(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】決済管理装置、決済管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/28 20120101AFI20240408BHJP
【FI】
G06Q20/28
(21)【出願番号】P 2022201281
(22)【出願日】2022-12-16
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】519110124
【氏名又は名称】PayPay株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佃 真吾
(72)【発明者】
【氏名】ガン タクシン
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-351002(JP,A)
【文献】特開2022-181911(JP,A)
【文献】特開2016-207221(JP,A)
【文献】特開2020-057237(JP,A)
【文献】特表2020-532026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
決済サービス事業者が決済管理装置を用いて提供する電子決済サービスの利用者が利用する端末装置から、予め商品またはサービスの提供者、対象期間、および割引規則が定められたキャンペーンに応じて将来時点において商品を購入しまたはサービスを受けると共に、当該商品またはサービスについて前記電子決済サービスを利用した電子決済を行うことを予約する予約リクエストを受け付け、前記予約リクエストに係る前払い金を前記利用者から取得し、前記予約リクエストおよび前記前払い金に関する情報を記憶部に記憶させる受付部と、
前記利用者の端末装置または決済場所に設置された決済用装置から、少なくとも決済金額と前記利用者の識別情報を認識可能な決済情報を取得し、取得した情報に基づいて決済処理を行う決済処理部と、
を備え、
前記決済処理部は、前記決済情報と前記予約リクエストおよび前記前払い金に関する情報とに基づいて、
前記対象期間の間に前記予約リクエストに係る決済情報を取得したと判断した場合、前記割引規則に基づいて前記決済処理を行
い、
前記対象期間が経過するまで前記予約リクエストに係る決済情報が取得されなかった場合、前記前払い金の一部または全部を前記利用者に返金する処理を行う、
決済管理装置。
【請求項2】
前記キャンペーンとして、更に、前記商品またはサービスの対価の上限額が定められる、
請求項1記載の決済管理装置。
【請求項3】
前記受付部は、前記予約リクエストを受け付けた場合、前記利用者のアカウントから前記前払い金を取得して一時プールアカウントに計上する処理を行い、
前記決済処理部は、前記予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、前記前払い金を前記一時プールアカウントから差し引いて前記提供者の売上アカウントに計上すると共に、前記利用者の実質決済額が、前記対価のうち前記上限額を超えない範囲内の金額に前記割引規則を反映させた額となるように前記電子決済を行う、
請求項2記載の決済管理装置。
【請求項4】
前記決済処理部は、前記予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、前記利用者のアカウントから前記対価を取得し、決済額として前記提供者の売上アカウントとして計上すると共に、前記提供者の売上アカウントから前記対価のうち上限額を超えない範囲内の金額について前記割引規則により割り引かれる金額を前記利用者のアカウントにキャッシュバックする処理を行う、
請求項3記載の決済管理装置。
【請求項5】
前記決済処理部は、前記予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、前記対価から、前記対価のうち上限額を超えない範囲内の金額について前記割引規則により割り引かれる金額を減算した金額を、前記利用者のアカウントから取得し、決済額として前記提供者の売上アカウントとして計上する、
請求項3記載の決済管理装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記予約リクエストを受け付けた場合、前記利用者のアカウントから前記前払い金を取得して一時プールアカウントに計上する処理を行い、
前記決済処理部は、前記予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、前記前払い金を前記一時プールアカウントから差し引いて前記提供者の売上アカウントに計上すると共に、前記利用者の実質決済額が、前記対価のうち前記前払い金に基づいて定まる購入済対価上限を超えない範囲内の金額に前記割引規則を反映させた額となるように前記電子決済を行う、
請求項2記載の決済管理装置。
【請求項7】
前記決済処理部は、前記予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、前記利用者のアカウントから前記対価を取得し、決済額として前記提供者の売上アカウントとして計上すると共に、前記提供者の売上アカウントから前記対価と前記購入済対価上限とのうち小さい方の金額を前記利用者のアカウントにキャッシュバックする処理を行う、
請求項6記載の決済管理装置。
【請求項8】
前記決済処理部は、前記予約リクエストに係る決済情報を取得した場合において、前記対価が前記購入済対価上限を超える場合、前記対価から前記購入済対価上限を減算した金額を前記利用者のアカウントから取得し、決済額として前記提供者の売上アカウントとして計上する、
請求項6記載の決済管理装置。
【請求項9】
前記電子決済サービスは現実空間に存在する物理的な実店舗での決済を支援するものであり、
前記決済処理部は、前記利用者の端末装置または決済場所に設置された装置から取得される、前記予約リクエストに係る前記利用者の来店を確認可能な情報に基づいて、前記利用者について前記取得した情報が前記予約リクエストに係る決済情報であることを確認する、
請求項1記載の決済管理装置。
【請求項10】
前記予約リクエストに係る前記利用者の来店を確認可能な情報は、(1)利用者が前記端末装置で店舗にあるチェックイン用のQRコードを読み取り、読み取った情報を前記決済管理装置に送信すること、(2)前記端末装置がチェックイン用のQRコードを表示し、前記決済用装置が前記QRコードを読取り、読み取った情報を前記決済管理装置に送信すること、(3)前記店舗の店員が前記決済用装置を操作し、利用者を識別可能な情報と共に前記決済用装置に来店の旨を送信すること、(4)前記端末装置が備える測位装置によって測位された位置情報を前記決済用装置に送信すること、のうち一部または全部によって前記決済処理部に伝えられる、
請求項
9記載の決済管理装置。
【請求項11】
決済管理装置が、
決済サービス事業者が決済管理装置を用いて提供する電子決済サービスの利用者の利用する端末装置から、予め商品またはサービスの提供者、対象期間、および割引規則が定められたキャンペーンに応じて将来時点において商品を購入しまたはサービスを受けると共に、当該商品またはサービスについて電子決済サービスを利用した電子決済を行うことを予約する予約リクエストを受け付け、前記予約リクエストに係る前払い金を前記利用者から取得し、前記予約リクエストおよび前記前払い金に関する情報を記憶部に記憶させ、
前記利用者の端末装置または決済場所に設置された決済用装置から、少なくとも決済金額と前記利用者の識別情報を認識可能な決済情報を取得し、取得した情報に基づいて決済処理を行い、
前記決済処理を行う際に、前記決済情報と前記予約リクエストおよび前記前払い金に関する情報とに基づいて、
前記対象期間の間に前記予約リクエストに係る決済情報を取得したと判断した場合、前記割引規則に基づいて前記決済処理を行
い、
前記対象期間が経過するまで前記予約リクエストに係る決済情報が取得されなかった場合、前記前払い金の一部または全部を前記利用者に返金する処理を行う、
決済管理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
決済サービス事業者が決済管理装置を用いて提供する電子決済サービスの利用者の利用する端末装置から、予め商品またはサービスの提供者、対象期間、および割引規則が定められたキャンペーンに応じて将来時点において商品を購入しまたはサービスを受けると共に、当該商品またはサービスについて電子決済サービスを利用した電子決済を行うことを予約する予約リクエストを受け付けさせ、前記予約リクエストに係る前払い金を前記利用者から取得させ、前記予約リクエストおよび前記前払い金に関する情報を記憶部に記憶させることを行わせ、
前記利用者の端末装置または決済場所に設置された決済用装置から、少なくとも決済金額と前記利用者の識別情報を認識可能な決済情報を取得させ、取得された情報に基づいて決済処理を行わせ、
前記決済処理を行わせる際に、前記決済情報と前記予約リクエストおよび前記前払い金に関する情報とに基づいて、
前記対象期間の間に前記予約リクエストに係る決済情報が取得されたと判断した場合、前記割引規則に基づいて前記決済処理を行わ
せ、
前記対象期間が経過するまで前記予約リクエストに係る決済情報が取得されなかった場合、前記前払い金の一部または全部を前記利用者に返金する処理を行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザを識別するユーザ識別情報に紐付けられ、仮想プリペイドカードの識別情報に紐付けられていない第1残高と、仮想プリペイドカードの識別情報に紐付けられた第2残高を記憶部に記憶させておき、仮想プリペイドカードの識別情報とチャージ金額を指定したチャージ要求を受け付けた場合に、チャージ金額を第1残高から第2残高にチャージする装置の発明が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、予約時点よりも将来の時点で発生する、特定の提供者により提供される商品またはサービスの電子決済を好適にサポートすることができない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、予約時点よりも将来の時点で発生する、特定の提供者により提供される商品またはサービスの電子決済を好適にサポートすることが可能な決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、利用者の利用する端末装置から、予め商品またはサービスの提供者、対象期間、および割引規則が定められたキャンペーンに応じて将来時点において商品を購入しまたはサービスを受けると共に、当該商品またはサービスについて電子決済サービスを利用した電子決済を行うことを予約する予約リクエストを受け付け、前記予約リクエストに係る前払い金を前記利用者から取得する受付部と、前記利用者の端末装置または決済場所に設置された決済用装置から、少なくとも決済金額と前記利用者の識別情報を認識可能な決済情報を取得し、取得した情報に基づいて決済処理を行う決済処理部と、を備え、前記決済処理部は、前記予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、前記割引規則に基づいて前記決済処理を行う、決済管理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、予約時点よりも将来の時点で発生する、特定の提供者により提供される商品またはサービスの電子決済を好適にサポートすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。
【
図2】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その1)である。
【
図3】電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図(その2)である。
【
図5】利用者情報172の内容の一例を示す図である。
【
図6】加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。
【
図7】決済事業者アカウント情報178の内容の一例を示す図である。
【
図9】第1実施形態におけるキャンペーン情報180の内容の一例を示す図である。
【
図10】第1実施形態において事前予約の申し込み操作が行われるインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図11】事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン1-1)を示す図である。
【
図12】事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン1-2)を示す図である。
【
図13】第2実施形態において事前予約の申し込み操作が行われるインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図14】事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン2-1)を示す図である。
【
図15】事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン2-2)を示す図である。
【
図16】一定額でのみ利用者が事前購入できる場合のキャンペーン情報180Aの内容の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の決済管理装置、決済管理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。以下に説明するアプリケーションプログラムと決済サーバ(決済管理装置)は、協働して電子決済サービスを提供する。以下の説明ではアプリケーションプログラムを決済アプリと称する。電子決済サービスは、店舗における商品やサービスの購買に係る決済をサポートするサービスであり、決済事業者によって運営、管理が行われる。店舗とは、例えば、現実空間に存在する物理的な店舗(実店舗)であるが、電子商取引の仮想店舗を含んでもよい。仮想店舗は、電子決済サービスの運営者とは異なる主体によって提供されるものを含んでもよい。その場合、仮想店舗における買い物の決済の際に、電子決済サービスのインターフェース画面に遷移するように制御される。電子決済サービスにおいて、店舗は、例えば加盟店(ブランド)に属するものとして扱われ、店舗において購買行動が行われた際の決済などの処理は、主として利用者と加盟店の間で行われる。これに代えて、決済などの処理が利用者と店舗との間で行われてもよい。加盟店または店舗は、商品またはサービスの提供者である。
【0010】
<第1実施形態>
[電子決済サービス]
図1は、電子決済サービスが実現されるための構成の一例を示す図である。電子決済サービスは、決済サーバ100を中心として実現される。決済サーバ100は、例えば、一以上の利用者端末装置10、一以上の第1店舗端末装置50、及び一以上の第2店舗端末装置70のそれぞれとネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、無線基地局、プロバイダ装置などを含む。
【0011】
利用者端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の可搬型端末装置である。利用者端末装置10は、少なくとも、光学読取機能、通信機能、表示機能、入力受付機能、プログラム実行機能を有するコンピュータ装置である。以下の説明では、これらの機能を実現するための構成をそれぞれカメラ、通信装置、タッチパネル、CPU(Central Processing Unit)等と称する。利用者端末装置10では、CPU等のプロセッサにより決済アプリ20が実行されることで、決済サーバ100と連携して電子決済サービスを利用者に提供するように動作する。決済アプリ20は、例えば、アプリケーションストアから利用者端末装置10にインストールされ、カメラ、通信装置、タッチパネルなどを制御する。
【0012】
第1店舗端末装置50は、例えば、店舗に設置される。第1店舗端末装置50は、少なくとも、商品価格取得機能、光学読取機能、プログラム実行機能、通信機能を有するコンピュータ装置である。第1店舗端末装置50は、いわゆるPOS(Point of Sale)装置を含み、POS装置によって商品価格取得機能や光学読取機能を実現してもよい。店舗コード画像60は、店舗に置かれ、QRコード(登録商標)等のコード画像が紙やプラスチックの媒体に印刷されたものである。なお、店舗コード画像60は、店舗に置かれたディスプレイ(スマートフォンなどの端末装置のディスプレイでもよい)によって表示されてもよい。
【0013】
第2店舗端末装置70は、加盟店の運営者によって使用される。第2店舗端末装置70は、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。第2店舗端末装置70では、加盟店向けインターフェース72が動作する。加盟店向けインターフェース72は、加盟店向けアプリであってもよいし、ブラウザであってもよい。加盟店向けインターフェース72は、加盟店の運営者によるクーポンの設定等を受け付け、決済サーバ100に送信する。スマートフォンである第2店舗端末装置70は、加盟店向けアプリを実行することで、店舗コード画像に相当するコード画像を表示したり、利用者端末装置10が表示するコード画像を読み取ったりする機能を有する。
【0014】
決済サーバ100は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から受信した決済情報に基づいて電子決済を実現する。第1店舗端末装置50は、POS装置と加盟店サーバを含む場合があり、その場合、POS装置から加盟店サーバを介して決済情報が決済サーバ100に送信される。以下の説明では、これを特に区別せず、第1店舗端末装置50から決済情報が送信されるものとする。
【0015】
図2および
図3は、電子決済の大まかな流れを例示したシーケンス図である。電子決済には、パターン1とパターン2の二つが存在してよい。
【0016】
図2に示すパターン1(以下、ユーザスキャンと称する)の場合、決済アプリ20が起動した状態の利用者端末装置10が、光学読取機能によって店舗コード画像60をデコードする(S1)。店舗コード画像60には、店舗URL(Uniform Resource Locator)の情報が含まれている。この店舗URLは、電子決済サービスのドメインに対して店舗を識別可能な情報が付加されたものであり、決済サーバ100において加盟店IDや店舗ID等との対応付けがなされている(後述)。決済アプリ20は、店舗URLとアカウントIDを含む第1決済情報を決済サーバ100に送信する(S2)。決済サーバ100は、店舗URLに対応する加盟店ID、店舗IDから、店舗情報(後述)を検索して加盟店名と店舗名の情報を取得し(S3)、決済アプリ20に送信する(S4)。利用者は、加盟店名や店舗名が表示された画面において、決済金額を利用者端末装置10に入力する(S5)。そして、利用者端末装置10は、少なくとも決済金額を含む第2決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S6)。決済サーバ100は、受信した第2決済情報に基づいて電子決済を行う(S7)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知(決済完了画面を表示するための情報)を決済アプリ20に送信し(S8)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S9)。なお、店舗コード画像60が店舗に置かれたディスプレイによって表示される場合、店舗コード画像60には、店舗URLだけでなく決済金額の情報が含まれる場合がある。この場合、利用者が決済金額を入力する手順が省略され、第1決済情報に決済金額の情報が含められて決済サーバ100に送信される。加盟店名や店舗名の情報は、決済完了画面に含めて表示されてよい。
【0017】
図3に示すパターン2(以下、ストアスキャンと称する)の場合、決済アプリ20の起動時、決済アプリ20において支払う操作が行われたとき、自動更新のタイミング(例えば1分おき)になったとき、およびその他のタイミングで、決済アプリ20はワンタイムコードの発行要求を決済サーバ100に送信する(S11)。決済サーバ100はワンタイムコードを生成し(S12)、決済アプリ20に送信する(S13)。決済アプリ20は、ワンタイムコードに基づいて生成した、QRコードやバーコード等のコード画像を表示する(S14)。利用者は利用者端末装置10の表示面を第1店舗端末装置50に翳し(提示し)、第1店舗端末装置50は、光学読取機能によってコード画像をデコードし、ワンタイムコード等を取得する(S15)。そして、第1店舗端末装置50は、ワンタイムコード、決済金額、加盟店ID、店舗ID等を含む決済情報を生成し、決済サーバ100に送信する(S16)。決済金額の情報は、予めバーコード読み取りや手入力等によって取得されている。決済サーバ100は、受信した情報に基づいて、ワンタイムコードに対応する利用者を特定し、電子決済を行う(S17)。そして、決済サーバ100は、決済完了通知を決済アプリ20に送信し(S18)、決済アプリ20は決済完了画面を表示する(S19)。
【0018】
なお、上記のいずれか一方のみのパターンで電子決済が行われてもよい。また、
図2で説明した「アカウントID」は、利用者の識別情報として用いられ得る他の情報(例えば電話番号)であってもよい。また、ストアスキャンにおいてワンタイムコードの発行が省略され、決済アプリ20は、利用者のアカウントIDに基づいて生成したコード画像を表示してもよい。その場合、決済サーバ100は、ワンタイムコードに対応する利用者を特定するのに代えて、アカウントIDに対応する利用者を特定する。
【0019】
[決済サーバ]
図4は、決済サーバ100の構成図である。決済サーバ100は、例えば、通信部110と、決済コンテンツ提供部120と、決済処理部130と、情報管理部140と、記憶部170とを備える。決済処理部130は、事前予約決済処理部132を含む。情報管理部140は受付部の一例である。通信部110および記憶部170以外の構成要素は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0020】
記憶部170は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などである。記憶部170は、決済サーバ100がネットワークを介してアクセス可能なNAS(Network Attached Storage)装置であってもよい。記憶部170には、利用者情報172、決済コンテンツ情報174、加盟店/店舗情報176、決済事業者アカウント情報178、キャンペーン情報180などの情報が格納される。
【0021】
通信部110は、ネットワークNWに接続するための通信インターフェースである。通信部110は、例えばネットワークインターフェースカードである。
【0022】
決済コンテンツ提供部120は、例えば、Webサーバの機能を有し、電子決済サービスの各種画面を表示するための情報(コンテンツ)を利用者端末装置10に提供する。決済コンテンツ提供部120は、決済コンテンツ情報174から適宜、必要なコンテンツを読み出して利用者端末装置10に提供する。利用者端末装置10は、決済アプリ20によってコンテンツが再生された状態で利用者による各種入力を受け付け、前述した決済情報などを決済サーバ100に送信する。
【0023】
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50により送信された決済情報に基づいて、決済処理を行う。決済処理部130は、利用者情報172を参照しながら決済処理を行う。なお事前予約決済処理部132の機能については後述する。
【0024】
図5は、利用者情報172の内容の一例を示す図である。利用者情報172は、利用者の登録情報の一例である。利用者情報172は、例えば、利用者URL、アカウントID、電話番号、パスワードの他、メールアドレス、利用者ID、氏名・住所・生年月日、登録日、チャージ残高、後払い設定、後払い枠、後払い利用額、後払い利用可能額、決済方法設定、銀行口座、クレジットカード番号、チャージ履歴情報、決済履歴情報などの情報が対応付けられたものである。利用者URLは、利用者間の送金処理に使用される。電子決済サービスへの新規登録時には、電話番号およびパスワードの登録が必須となる。アカウントIDは、決済サーバ100によって利用者に発行されるものであり、利用者IDは、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)IDである。メールアドレス、および氏名・住所・生年月日も同様に、利用者が任意に設定できる(設定しなくてもよい)情報である。登録日とは利用者が電子決済サービスに登録した日(アカウントを作成した日)である。以下、これらの情報が対応付けられた利用者のインスタンス(電子決済口座)のことをアカウントと称する。
【0025】
チャージ残高は、利用者が予めアカウントに送金することで設定された電子マネーの残高を示す情報である。送金の手段としては、指定業者(銀行)のATM(Automatic Teller Machine)からの送金、登録された銀行口座からの送金などがある。後払い設定は、後払いによる電子決済を可能とするための設定が済んでいるか否かを示す情報であり、「済」と「未」のいずれかに設定される。後払い枠は月ごとに利用可能な後払いの限度額であり、後払い利用額は、当月に既に利用された後払いの金額であり、後払い利用可能額は、後払い枠から後払い利用額を差し引いて求められる、当月に利用可能な後払いの金額である。図では後払い枠を一つだけ示しているが、実際には更に日ごとの上限額などが存在し、それらの低い方が後払い枠に設定されてよい。後払いの更なる詳細については後述する。決済方法設定は、その時点において利用者がチャージ残高による電子決済を行うのか、後払いによる決済を行うのかを示す設定情報である。銀行口座とクレジットカード番号のそれぞれは、電子決済サービスに入金可能な銀行口座またはクレジットカード番号の情報(口座番号、カード番号)である。チャージ履歴情報は、利用者が予め電子決済サービスに送金してチャージ残高を増加させた履歴である。決済履歴情報は、利用者が行った決済の内訳(日時、購買行動が行われた店舗の店舗ID、決済金額、決済方法など)を、決済ごとに示す情報である。
【0026】
図6は、加盟店/店舗情報176の内容の一例を示す図である。加盟店/店舗情報176は、例えば、店舗URLに対して加盟店IDと店舗IDが対応付けられた第1テーブル176Aと、加盟店IDに対して加盟店名と売上金(前述)が対応付けられた第2テーブル176Bと、店舗IDに対して店舗IDが対応付けられた第3テーブル176Cとを含む。加盟店/店舗情報176には、これらの情報の他、加盟店または店舗のカテゴリ、店舗の所在地、決済パターン等の情報が含まれてもよい。
【0027】
図7は、決済事業者アカウント情報178の内容の一例を示す図である。決済事業者アカウント情報178は、例えば、決済事業者一時プールアカウントと、決済事業者本アカウントのそれぞれについて金額が対応付けられた情報である。決済事業者本アカウントは、決済事業者の収益を表す情報である。決済事業者一時プールアカウントの意義については後述する。
【0028】
情報管理部140は、利用者端末装置10や第2店舗端末装置70から取得した情報に基づいて、利用者情報172、加盟店/店舗情報176、および決済事業者アカウント情報178を管理する。情報管理部140は、利用者情報172、加盟店/店舗情報176、および決済事業者アカウント情報178について新規レコードの追加、編集、削除などを行う。キャンペーン情報180については後述する。
【0029】
[電子決済]
決済処理部130は、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報が取得されると、利用者情報172を参照して当該利用者の「決済方法設定」を取得する。決済処理部130は、「決済方法設定」が「チャージ残高」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。決済処理部130は、例えば、利用者IDに対応付けて管理しているチャージ残高を減少させ、加盟店の売上金の項目値を増加させることで、電子決済を行う。加盟店の売上金の項目値は、例えば、それ自体が電子マネーとして使用されるものでは無く、加盟店と電子決済サービスとの取り決めに応じたサイクルで、売上金の項目値に対応する金額が銀行口座に送金される。
【0030】
決済処理部130は、「設定情報」が「後払い」に設定されている利用者に関して、以下のように電子決済を行う。後払いとは、電子決済サービスの運営者とは別主体であるクレジットカード会社との連携による「クレジット払い」とは別枠で設定されるものであり、電子決済サービスの運営者が与信者となって、後払い枠の範囲内でチャージ残高に依存しない電子決済を許容するものである。なお後払いサービスを受けるために、電子決済サービスの運営者が提供するクレジットカードの取得が要求されてよい。後払いで利用された金額は、一か月分まとめて翌月の支払日に、例えば銀行口座からの引き落としによって決済される。この場合、決済処理部130は、後払い利用額に決済金額を加算し、後払い利用可能額から同額を差し引くことで暫定決済を行い、締め日になると上記のように当月分の決済を翌月の支払い日に引き落とすための処理を行う。なお暫定決済の時点で決済金額が後払い利用可能額を超える場合は、エラー通知が決済アプリケーション20に返信される。
【0031】
[事前予約決済]
以下、事前予約決済について説明する。情報管理部140は、利用者端末装置10から、予め商品またはサービスの提供者、対象期間、および割引規則(例えば割引率であり、割引額であってもよい)が定められたキャンペーンに応じて将来時点において商品を購入しまたはサービスを受けると共に、当該商品またはサービスについて電子決済サービスを利用した電子決済を行うことを予約する予約リクエストと、予約リクエストに係る前払い金の支払いを受け付け、記憶部170に反映させる。対象期間とは、例えば、将来の特定の期間(〇月〇日~〇月〇日、または一日限定であってもよい)、或いは予約時点以降、特定の日までの期間である。そして、決済処理部130は、前述のように、利用者端末装置10または決済場所に設置された決済用装置(例えば第1店舗端末装置50)から、少なくとも決済金額と利用者の識別情報(アカウントID)を認識可能な決済情報を取得し、取得した情報に基づいて決済処理を行うが、予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、事前予約決済処理部132が、キャンペーンにより定められた割引規則に基づいて決済処理を行う。なお、以降の説明において事前予約決済においてユーザからの支払いは、専らチャージ残高から減算することで行われるものとするが、クレジットカード払い、後払いなどの他の手法でユーザからの支払いが行われてもよい。
【0032】
図8は、事前予約決済の概略を示す図である。まず、ステップ1において、加盟店または店舗の運営者(担当者)が、第2店舗端末装置70で動作する加盟店向けインターフェース72を用いて、キャンペーン登録情報を入力する。キャンペーン登録情報は、対価上限額、割引率、対象期間、対象となる商品またはサービス等を含む情報であり、決済サーバ100に伝えられる。決済サーバ100では、例えば情報管理部140が、必要な情報をキャンペーン情報180として記憶部170に格納しておく。なお、対象となる商品またはサービスは指定されなくてもよい。つまり、当該加盟店または店舗における決済であれば何でも事前予約決済の対象となるように定められてもよい。また、ステップ1の作業は電話オペレータを介して行われてもよい。
【0033】
図9は、第1実施形態におけるキャンペーン情報180の内容の一例を示す図である。キャンペーン情報180は、加盟店IDまたは店舗IDに対して、対価上限額、割引率、対象期間、対象となる商品またはサービス、前払い金などの情報が対応付けられたものである。前払い金については第2店舗端末装置70から指定されてもよいし、対価上限額や割引額を参照して決済サーバ100が自動的に計算してもよい。キャンペーン情報180における一つのレコードをキャンペーンと称する。決済コンテンツ提供部120は、設定されたキャンペーン情報180のそれぞれのキャンペーンについて、無作為に、或いは推定された嗜好情報などに基づいて絞り込まれた、利用者の利用者端末装置10に内容を通知させる。
【0034】
次に、ステップ2において、利用者が利用者端末装置10を操作して所望のキャンペーンを選択して事前予約の申し込み操作を行う。
図10は、第1実施形態において事前予約の申し込み操作が行われるインターフェース画面の一例を示す図である。図示するように、利用者は、第1画面IM1で通知されるキャンペーンの画像IM11を操作することで予約入力画面IM2を開き、当該キャンペーンについて事前予約決済を申し込むための操作を行う。これによって予約リクエストが決済サーバ100に送信される。情報管理部140は、予約リクエストを受信すると、当該利用者から前払い金を取得するための処理を行う。この処理の内容については後述する。
【0035】
次に、ステップ3において、利用者端末装置10または第1店舗端末装置50から決済情報が取得されると、決済サーバ100の事前予約決済処理部132は、その決済情報が予約リクエストに係るものであるか否かを判断し、そうである場合にはキャンペーンにより規定された割引率を反映させた決済処理を行う。事前予約決済処理部132は、決済情報に含まれる加盟店IDまたは店舗ID、および決済日時がキャンペーンに対応しており、且つ当該利用者が前払い金を支払った履歴が存在する場合に、決済情報が予約リクエストに係るものであると判断する。利用者が前払い金を支払った履歴は、例えば決済事業者一時プールアカウントに保存されるが、他の記憶領域に保存されてもよい。
【0036】
以下、アカウントごとの金額の推移について説明する。ここでは、用語を下記のように定義する。
・対価:商品またはサービスの提供に対して支払われる金額(割引適用前の金額)
・決済額:ステップ3で利用者のアカウントから加盟店のアカウントに移される金額
・キャッシュバック:決済額とは別に加盟店または店舗のアカウントから利用者のアカウントに移される金額
・実質決済額:前払い金を加味したトータルで利用者が支払う金額
・返金:決済(購入行為)が行われなかった場合に前払い金の一部または全部が利用者に返金されること
【0037】
##パターン1-1##
図11は、事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン1-1)を示す図である。以降の図では、利用者のチャージ残高、対象となる加盟店Aの売上金(アカウント)、決済事業者一時プールアカウント、決済事業者本アカウントを例示する。パターン1-1では、決済時点で一旦、割引率を考慮しない決済が行われ、割引率に応じた金額がキャッシュバックの形で利用者に還元される。キャッシュバックは、例えば電子決済で利用可能なポイントが付与されたという態様で利用者に伝えられるが、これはチャージ残高が増加したのと実質的に同じ意味である。
図11および
図12において対価上限は10000円、割引率は20%であり、利用者は11000円分の買い物をし、あるいはサービスを受けたものとする。
【0038】
ステップ1においては、アカウントごとの金額に変化は生じない。この時点の利用者のチャージ残高は20000円であったものとする。ステップ2において、利用者が利用者端末10を用いて予約リクエストを決済サーバ100に送信すると、決済サーバ100では当該利用者のチャージ残高から500円を減算し、その500円を決済事業者一時プールアカウントに計上する。決済事業者一時プールアカウントでは、例えば、この前払い金に対して、利用者のアカウントIDと、加盟店IDまたは店舗IDとが補助情報として付加されている。
【0039】
次に、ステップ3において、事前予約決済処理部132は、チャージ残高から対価の11000円を決済額として減算すると共に、対価の11000円と決済事業者一時プールアカウントに保存されていた500円とを加算して11500円を加盟店の売上金に計上する。続いて、事前予約決済処理部132は、割引率である20%を「対価と対価上限のうち小さい方(本例では10000円)」に乗算した割引分の2000円を加盟店の売上金から差し引き、利用者のチャージ残高に加算する。係る処理において、一時的に決済事業者が割引分を立て替えてもよい。この結果、実質決済額は9500円となる。係る処理に代えて、前払い金を対価の一部に充当するものと考え、前払い金をキャッシュバックに加えて2500円、実質決済額が9000円となるように決済処理が行われてもよい。
【0040】
一方、対象期間内に決済(購入行為)が行われなかった場合、前払い金の一部または全部が利用者に返金される。このとき、決済事業者が手数料αを取得するものとしてもよいし、取得せず全額が返金されるようにしてもよい。αは前払い金を超えない範囲で何らかの規則により計算される。その場合、利用者の返金後のチャージ残高は20000-α円となる。このとき、利用者が何も処理をせず対象期間が経過した場合は前払い金の全額が決済事業者により受領され、キャンセル処理をした場合は図示のように前払い金の一部が返金され他の一部が決済事業者により受領されるようにしてもよい。
【0041】
##パターン1-2##
図12は、事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン1-2)を示す図である。パターン1-2では、決済時点で割引率を考慮した決済が行われ、キャッシュバックは発生しない。ステップ1、2、および返金の処理についてはパターン1-1と同様である。ステップ3において、事前予約決済処理部132は、チャージ残高から、対価の10000円に割引率を適用した8000円、プラス対価が対価上限を超えた分の1000円で合計9000円を決済額として減算し、決済額と決済事業者一時プールアカウントに保存されていた500円とを加算して9500円を加盟店の売上金に計上する。この結果、実質決済額は9500円となる。係る処理に代えて、前払い金を対価の一部に充当するものと考え、キャッシュバックを2500円、実質決済額が9000円となるように決済処理が行われてもよい。
【0042】
以上説明した第1実施形態によれば、予約時点よりも将来の時点で発生する、特定の提供者により提供される商品またはサービスの電子決済を好適にサポートすることができる。
【0043】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、前払い金は事前予約決済の手数料のような性質を有するが、第2実施形態では決済時に決済額の一部として使用される金額である。第2実施形態におけるキャンペーン情報180(
図9参照)には、前払い金の規定が省略されてよい。第2実施形態の場合、利用者は事前予約の申し込み操作において事前購入額を入力する必要がある。
図13は、第2実施形態において事前予約の申し込み操作が行われるインターフェース画面の一例を示す図である。図示するように、利用者は、第1画面IM1で通知されるキャンペーンの画像IM11を操作することで予約入力画面IM3を開き、当該キャンペーンについて事前予約決済を申し込むための操作を行う。予約入力画面IM3において、利用者は事前購入額(対価として支払う予定の金額に割引率を適用した額、或いは対価として支払う予定の金額そのもの)を入力する。第2実施形態において、この「対価として支払う予定の金額」を「購入済対価上限」と称する。その後、予約リクエストが決済サーバ100に送信される。情報管理部140は、予約リクエストを受信すると、当該利用者から前払い金を取得するための処理を行う。なお、返金時に前払い金の一部が決済事業者または加盟店への手数料として引き去られる点については同様である。
【0044】
以下、第2実施形態におけるアカウントごとの金額の推移について説明する。用語の定義については第1実施形態と同様である。
図14および
図15において購入済対価上限は10000円、割引率は20%であり、利用者は11000円分の買い物をし、あるいはサービスを受けたものとする。
【0045】
##パターン2-1##
図14は、事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン2-1)を示す図である。パターン2-1では、決済時点で一旦、前払い金を考慮しない決済が行われ、前払い金に応じた金額がキャッシュバックの形で利用者に還元される。
【0046】
ステップ1においては、アカウントごとの金額に変化は生じない。この時点の利用者のチャージ残高は20000円であったものとする。ステップ2において、利用者が利用者端末10を用いて予約リクエストを決済サーバ100に送信すると、決済サーバ100では当該利用者のチャージ残高から8000円を減算し、その8000円を決済事業者一時プールアカウントに計上する。決済事業者一時プールアカウントでは、例えば、この前払い金に対して、利用者のアカウントIDと、加盟店IDまたは店舗IDとが補助情報として付加されている。
【0047】
次に、ステップ3において、事前予約決済処理部132は、チャージ残高から対価の11000円を決済額として減算すると共に、対価の11000円と決済事業者一時プールアカウントに保存されていた8000円とを加算して11000円を加盟店の売上金に計上する。続いて、事前予約決済処理部132は、「対価と購入済対価上限のうち小さい方(本例では10000円)」を加盟店の売上金から差し引き、利用者のチャージ残高に加算する。係る処理において、一時的に決済事業者が割引分を立て替えてもよい。この結果、実質決済額は9000円となる。
【0048】
##パターン2-2##
図15は、事前予約決済の進行に応じたアカウントごとの金額の推移の一例(パターン2-2)を示す図である。パターン2-2では、決済時点で割引率を考慮した決済が行われ、キャッシュバックは発生しない。ステップ1、2、および返金の処理についてはパターン2-1と同様である。ステップ3において、事前予約決済処理部132は、チャージ残高から、対価が購入済対価上限を超えた分の1000円を決済額として減算し、決済額と決済事業者一時プールアカウントに保存されていた8000円とを加算して9000円を加盟店の売上金に計上する。この結果、実質決済額は9000円となる。
【0049】
第2実施形態において、対価が購入済対価上限よりも小さい場合の差額については、対象期間が経過した時点で利用者にそのまま返金されるようにしてもよいし、決済事業者または加盟店が手数料を受領した残りが利用者に返金されるようにしてもよい。
【0050】
また、第2実施形態において、対象となる商品またはサービスが予め加盟店によって指定されており、一定額でのみ利用者が事前購入できるようにしてもよい。この場合、対価として支払う予定の金額=対価となるため、「購入済対価上限を超えた分」はゼロとなる。
図16は、一定額でのみ利用者が事前購入できる場合のキャンペーン情報180Aの内容の一例を示す図である。
この場合のキャンペーン情報180Aは、加盟店IDまたは店舗IDに対して、対価、割引率、対象期間、対象となる商品またはサービスの具体的内容、前払い金などの情報が対応付けられたものである。前払い金は対価と割引率に基づいて決定されるため、割引率と前払い金のどちらかの情報が省略されてもよい。
【0051】
以上説明した第2実施形態によれば、予約時点よりも将来の時点で発生する、特定の提供者により提供される商品またはサービスの電子決済を好適にサポートすることができる。
【0052】
<その他>
上記実施形態において、事前予約決済は専ら電子決済をサポートするものとして説明したが、決済サーバ100は、店舗の予約サービスを併せて提供してもよい。この場合、例えばキャンペーンにおける対象期間は前述した例よりも絞られ、〇月〇日の20時~21時のような形で定義される。これに代えて、利用者が時間帯を指定する形で予約リクエストが送信されてもよい。利用者が当該キャンペーンについて予約リクエストを送信した場合、事前予約決済の申し込みとして受け付けられると共に、決済サーバ100から当該店舗の管理装置に予約情報が送信される。
【0053】
この場合、決済サーバ100は(例えば事前予約決済処理部132は)、事前予約決済を申し込んだ利用者の状態を、例えば、「未入店」、「入店済かつ未決済」、「決済済」、「期限切れ」の4つで管理する。「未入店」から「入店済かつ未決済」に状態が遷移するトリガーとして、(1)利用者が利用者端末装置10で店舗にあるチェックイン用のQRコードを読み取り、読み取った情報を決済サーバ100に送信する、(2)利用者端末装置10がチェックイン用のQRコードを表示し、第1店舗端末装置50がこれを読取り、読み取った情報を決済サーバ100に送信する、(3)店舗の店員が第1店舗端末装置50を操作し、利用者を識別可能な情報と共に決済サーバ100に来店の旨を送信する、(4)利用者端末装置10が備える測位装置(GPS受信機等)によって測位された位置情報を決済サーバ100が取得し、利用者が店舗の範囲内に入ったことを確認する、などが考えられる。いずれの場合も決済サーバ100によってトリガーが発生したことを検知可能である。決済サーバ100では、トリガーが発生した時刻が事前予約決済の対象期間内であることを確認し、対象期間内である場合に利用者の状態を「入店済かつ未決済」に遷移させる。
【0054】
その後、決済情報が取得されたときに、決済サーバ100では「入店済かつ未決済」の利用者に関する決済情報であれば、「予約リクエストに係る決済情報」であることを認識することができ、前述した「決済情報に含まれる加盟店IDまたは店舗ID、および決済日時がキャンペーンに対応しており、且つ当該利用者が前払い金を支払った履歴が存在する」ことを確認する処理は省略できる(ダブルチェックのために確認的に行われても構わない)。
【0055】
決済サーバ100が店舗の予約サービスを併せて提供する場合、決済サーバ100は、店舗の空き状況を取得し、空き状況に応じてキャンペーンを一時的に無効にしたり、有効にしたりする処理を行ってもよい。例えば、対象期間における店舗の予約状況(店舗の管理装置の側で管理される情報であってもよい)を参照して空きが無い場合にはキャンペーンを一時的に無効(予約リクエストを受け付けない)、或いは受け付ける利用者を制限してもよい。同様の考え方によって、決済サーバ100は、店舗における商品の在庫状況を取得し、在庫が少なくなっている場合にキャンペーンを一時的に無効、或いは受け付ける利用者を制限してもよい。
【0056】
また、上記実施形態において、前払い金は決済事業者一時プールアカウントに保存され、電子決済の時点で加盟店の売上金に計上されるものとしたが、これに代えて、決済サーバ100は、前払い金を直接、加盟店の売上金に計上するようにしてもよい。この場合、返金が行われるときは前述したキャッシュバックと同様の処理が行われてよい。
【0057】
また、上記実施形態において、決済サーバ100は、対象期間の経過前に利用者からキャンセルの申し込みを受け付け、キャンセルの申し込みを受け付けた場合に返金を行うようにしてもよい。この場合、前述した手数料αは、対象期間の経過による返金時よりも小さく設定されてよい。
【0058】
また、上記実施形態において、申し込んだ事前予約決済の権利は他の利用者に譲渡可能としてもよい。また、一名の利用者によって、複数名がそれぞれ利用可能な事前予約決済が申し込み可能としてもよい。
【0059】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0060】
10 利用者端末装置
50 第1店舗端末装置
70 第2店舗端末装置
100 決済サーバ
130 決済処理部
132 事前予約決済処理部
140 情報管理部(受付部)
170 記憶部
178 決済事業者アカウント情報
180 キャンペーン情報
【要約】
【課題】予約時点よりも将来の時点で発生する、特定の提供者により提供される商品またはサービスの電子決済を好適にサポートすること。
【解決手段】利用者の利用する端末装置から、予め商品またはサービスの提供者、対象期間、および割引規則が定められたキャンペーンに応じて将来時点において商品を購入しまたはサービスを受けると共に、当該商品またはサービスについて電子決済サービスを利用した電子決済を行うことを予約する予約リクエストを受け付け、予約リクエストに係る前払い金を利用者から取得する受付部と、利用者の端末装置または決済場所に設置された決済用装置から、少なくとも決済金額と利用者の識別情報を認識可能な決済情報を取得し、取得した情報に基づいて決済処理を行う決済処理部と、を備え、決済処理部は、予約リクエストに係る決済情報を取得した場合、割引規則に基づいて決済処理を行う、決済管理装置。
【選択図】
図8