(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】メーターアセンブリの減衰の判定
(51)【国際特許分類】
G01F 1/84 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
G01F1/84
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022206764
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2021507608の分割
【原出願日】2018-08-13
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マカナリー, クレイグ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ダウニング, バート ジェイ.
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-237353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計(5)のメーターアセンブリ(10)の減衰を判定するメーター電子機器(20)であって、前記メーター電子機器(20)が、実質的に共振周波数における前記メーターアセンブリ(10)の励起に対する応答を含む振動応答を前記メーターアセンブリ(10)から受信するインターフェース(201)と、前記インターフェース(201)と通信する処理システム(203)と、を備え、前記処理システム(203)が、
前記インターフェース(201)から前記振動応答を受信し、
前記振動応答の複数の応答電圧(V)であって、1つ以上の減衰セクション(430a、530a~530f)および1つ以上の立ち上がりセクション(430b、630a~630f)のうちの少なくとも1つを含む複数の応答電圧(V)を測定し、
前記1つ以上の減衰セクション(430a、530a~530f)および前記1つ以上の立ち上がりセクション(430b、630a~630f)のそれぞれの減衰関
連値の総量に基づいて、前記メーターアセンブリ(10)の総減衰関連値を判定するように構成されている、メーター電子機器。
【請求項2】
前記1つ以上の減衰セクション(430a、530a~530f)および1つ以上の立ち上がりセクション(430b、630a~630f)のうちの少なくとも1つが、周期的応答電圧プロット(430、530、630)である、請求項1に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項3】
前記1つ以上の減衰セクション(530a~530f)が、応答電圧減衰曲線からなり、前記1つ以上の立ち上がりセクション(630a~630f)が、応答電圧立ち上がり曲線からなる、請求項1または請求項2に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項4】
前記メーターアセンブリ(10)の前記総減衰関連値が、前記1つ以上の減衰セクション(430a、530a~530f)に基づく前記メーターアセンブリ(10)の総減衰特性値である、請求項1から3のいずれか一項に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項5】
前記処理システム(203)が、さらに、前記総減衰特性値に基づいて減衰特性を判定するように構成されている、請求項4に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項6】
前記総減衰特性値が、前記1つ以上の減衰セクション(530a~530f)にそれぞれ対応する部分減衰特性の平均である、請求項4に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項7】
前記メーターアセンブリ(10)の前記総減衰関連値が、前記メーターアセンブリ(10)の総減衰特性値である、請求項1から6のいずれか一項に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項8】
前記メーターアセンブリ(10)の前記総減衰特性値が、前記メーターアセンブリ(10)の平均減衰特性からなる、請求項7に記載のメーター電子機器(20)。
【請求項9】
流量計のメーターアセンブリの減衰を判定する方法であって、実質的に共振周波数における前記メーターアセンブリの振動に対する応答を含む振動応答を前記メーターアセンブリから受信することを備え、さらに、
前記振動応答を受信することと、
前記振動応答の複数の応答電圧であって、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つを含む複数の応答電圧を測定することと、
前記1つ以上の減衰セクションおよび前記1つ以上の立ち上がりセクションのそれぞれの減衰関
連値の総量に基づいて、前記メーターアセンブリの総減衰関連値を判定することと、を備える、方法。
【請求項10】
前記1つ以上の減衰セクションおよび前記1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つが周期的応答電圧プロットである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の減衰セクションが、応答電圧減衰曲線からなり、前記1つ以上の立ち上がりセクションが、応答電圧立ち上がり曲線からなる、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記メーターアセンブリの前記総減衰関連値が、前記1つ以上の減衰セクションに基づく前記メーターアセンブリの総減衰特性値である、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
さらに、前記総減衰特性値に基づいて減衰特性を判定することを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記総減衰特性値が、前記1つ以上の減衰セクションにそれぞれ対応する部分減衰特性の平均である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記メーターアセンブリの前記総減衰関連値が、前記メーターアセンブリの総減衰特性値である、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記メーターアセンブリの前記総減衰特性値が、前記メーターアセンブリの平均減衰特性からなる、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、メーターの検証、より具体的には、メーターアセンブリの減衰の判定に関する。
【背景技術】
【0002】
コリオリ質量流量計や振動管濃度計などの振動導管センサは、通常、流動材料を含む振動導管の動きを検出することによって動作する。質量流量、密度などの導管内の材料に関連する特性は、導管に関連する運動トランスデューサから受信した測定信号を処理することによって判定されることができる。振動する材料が充填されたシステムの振動モードは、一般に、収容導管およびそこに含まれる材料の質量、剛性、および減衰特性の組合せによって影響を受ける。
【0003】
振動流量計の導管は、1つ以上のフローチューブを含むことができる。フローチューブ
は、共振周波数で強制的に振動し、チューブの共振周波数は、フローチューブ内の流体の密度に比例する。チューブの入口セクションおよび出口セクションにあるセンサは、チューブの両端間の相対振動を測定する。流動中、コリオリの力により振動管と流動質量が結合し、チューブの両端間の振動に位相シフトを発生させる。位相シフトは、質量流量に正比例する。
【0004】
典型的なコリオリ質量流量計は、パイプラインまたは他の輸送システムにインラインで接続され、例えば、システム内の流体、スラリーなどの材料を運ぶ1つ以上の導管を含む
。各導管は、例えば、単純な曲げ、ねじれ、半径方向、および結合モードを含む一連の固有振動モードを有すると見なすことができる。典型的なコリオリ質量流量測定用途では、材料が導管を通って流れるときに導管が1つ以上の振動モードで励起され、導管の動きが
導管に沿って間隔を置いて配置されたポイントで測定される。励起は、通常、アクチュエータ、例えば、周期的に導管を摂動させるボイスコイルタイプのドライバなどの電気機械装置によって提供される。質量流量は、トランスデューサの位置での動作間の時間遅延または位相差を測定することによって判定されることができる。2つのそのようなトランス
デューサ(またはピックオフセンサ)は、通常、流動導管または複数の流動導管の振動応答を測定するために使用され、通常、アクチュエータの上流および下流の位置に配置される。2つのピックオフセンサは、ケーブルによって電子機器に接続されている。機器は、2つのピックオフセンサから信号を受信し、質量流量測定値を導出するために信号を処理する。
【0005】
2つのセンサ信号間の位相差は、フローチューブまたは複数のフローチューブを流れる
材料の質量流量に関連している。材料の質量流量は、2つのセンサ信号間の時間遅延に比
例し、したがって、質量流量は、時間遅延に流量校正係数(FCF)を掛けることによって
判定されることができ、ここで、時間遅延は、周波数で割った位相差を含む。FCFは、フ
ローチューブの材料特性および断面特性を反映する。従来技術では、FCFは、流量計をパ
イプラインまたは他の導管に設置する前の校正プロセスによって判定される。校正プロセスでは、流体が所定の流量でフローチューブを通過し、位相差と流量との比率が計算される。
【0006】
コリオリ流量計の利点の1つは、測定された質量流量の精度が、流量計の可動部品の摩
耗の影響を受けないということである。流量は、フローチューブの2点間の位相差とフロ
ー校正係数とを掛けることによって判定される。唯一の入力は、フローチューブ上の2点
の振動を示す、センサからの正弦波信号である。位相差は、これらの正弦波信号から計算
される。振動するフローチューブには可動部品は存在しない。したがって、位相差および流量校正係数の測定は、流量計の可動部品の摩耗の影響を受けない。
【0007】
FCFは、メーターアセンブリの剛性、減衰、および質量の属性に関連付けることができ
る。メーターアセンブリの属性が変更されると、FCFもまた変更されることがある。した
がって、属性の変更は、流量計によって生成される流量測定の精度に影響を与える。属性の変化は、フローチューブの材料および断面特性の変化に起因することがあり、これは、例えば、侵食や腐食によって引き起こされることがある。したがって、流量計の高レベルの精度を維持するために、メーターアセンブリの減衰属性などの属性への任意の変化を検出および/または定量化することができることが非常に望ましい。
【0008】
減衰属性は、メーターアセンブリの減衰特性を判定することによって検出および/または定量化されることができる。減衰特性は、メーターアセンブリの振動応答を減衰させることを可能にし、減衰中にセンサ信号を測定することによって判定されることができる。しかしながら、センサ信号にノイズが存在する場合がある。ノイズは、減衰特性の判定を不正確にする場合がある。したがって、上述した問題なしにメーターアセンブリの減衰を判定する必要がある。
【発明の概要】
【0009】
流量計のメーターアセンブリの減衰を判定するメーター電子機器が提供される。メーター電子機器は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信するインターフェースと、インターフェースと通信する処理システムと、を備える。処理システムは、インターフェースから振動応答を受信し、振動応答の複数の応答電圧であって、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つを含む複数の応答電圧を測定するように構
成されている。処理システムはまた、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つに基づいて、メーターアセンブリの総減衰関連値を
判定するように構成されている。
【0010】
流量計のメーターアセンブリの減衰を判定する方法が提供される。この方法は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの振動に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信することを備える。この方法は、さらに、振動応答を受信することと、振動応答の複数の応答電圧であって、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つを含む複数の応答電圧を測定することを備える。
この方法はまた、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つに基づいて、メーターアセンブリの総減衰関連値を判定することを備え
る。
[態様]
一態様によれば、流量計(5)のメーターアセンブリ(10)の減衰を判定するメーター
電子機器(20)は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリ(10)の励起に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリ(10)から受信するインターフェース(201
)と、インターフェース(201)と通信する処理システム(203)と、を備える。処理システム(203)は、インターフェース(201)から振動応答を受信し、振動応答の複数の応答電圧(V)であって、1つ以上の減衰セクション(430a、530a~530f)および1つ以上の立
ち上がりセクション(430b、630a~630f)、のうちの少なくとも1つを含む複数の応答電
圧(V)を測定し、1つ以上の減衰セクション(430a、530a~530f)および1つ以上の立ち
上がりセクション(430b、630a~630f)の少なくとも1つに基づいて、メーターアセンブ
リ(10)の総減衰関連値を判定するように構成されている。
【0011】
好ましくは、1つ以上の減衰セクション(430a、530a~530f)および1つ以上の立ち上が
りセクション(430b、630a~630f)のうちの少なくとも1つは、周期的応答電圧プロット
(430、530、630)である。
【0012】
好ましくは、1つ以上の減衰セクション(530a~530f)は、応答電圧減衰曲線からなり
、1つ以上の立ち上がりセクション(630a~630f)は、応答電圧立ち上がり曲線からなる
。
【0013】
好ましくは、メーターアセンブリ(10)の総減衰関連値は、1つ以上の減衰セクション
(430a、530a~530f)に基づくメーターアセンブリ(10)の総減衰特性値である。
【0014】
好ましくは、処理システム(203)は、さらに、総減衰特性値に基づいて減衰特性を判
定するように構成されている。
【0015】
好ましくは、総減衰特性値は、1つ以上の減衰セクション(530a~530f)にそれぞれ対
応する部分減衰特性の平均である。
【0016】
好ましくは、メーターアセンブリ(10)の総減衰関連値は、メーターアセンブリ(10)の総減衰特性値である。
【0017】
好ましくは、メーターアセンブリ(10)の総減衰特性値は、メーターアセンブリ(10)の平均減衰特性から構成されている。
【0018】
一態様によれば、流量計のメーターアセンブリの減衰を判定する方法は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリの振動に対する応答を含む振動応答をメーターアセンブリから受信することを備える。この方法は、さらに、振動応答を受信することと、振動応答の複数の応答電圧であって、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つを含む複数の応答電圧を測定することと、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つに基づいてメーターアセンブリの総減衰関連値を判定することと、を備える。
【0019】
好ましくは、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つは、周期的応答電圧プロットである。
【0020】
好ましくは、1つ以上の減衰セクションは、応答電圧減衰曲線からなり、1つ以上の立ち上がりセクションは、応答電圧立ち上がり曲線からなる。
【0021】
好ましくは、メーターアセンブリの総減衰関連値は、1つ以上の減衰セクションに基づ
くメーターアセンブリの総減衰特性値である。
【0022】
好ましくは、この方法は、さらに、総減衰特性値に基づいて減衰特性を判定することを備える。
【0023】
好ましくは、総減衰特性値は、1つ以上の減衰セクションにそれぞれ対応する部分減衰
特性の平均である。
【0024】
好ましくは、メーターアセンブリの総減衰関連値は、メーターアセンブリの総減衰特性値である。
【0025】
好ましくは、メーターアセンブリの総減衰特性値は、メーターアセンブリの平均減衰特性から構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
同じ参照符号は、全ての図面において同じ要素を表す。図面は、必ずしも縮尺どおりにではないことを理解されたい。
【
図1】メーターアセンブリおよびメーター電子機器を備える流量計を示している。
【
図2】本発明の実施形態にかかるメーター電子機器20を示している。
【
図3】振動減衰中の時間に対するピックオフ電圧を示すグラフ300を示している。
【
図4】複数の応答電圧の減衰および立ち上がりセクションを示すグラフ400を示している。
【
図5】複数の減衰セクションを伴う応答電圧減衰を示すグラフ500を示している。
【
図6】複数の立ち上がりセクションを伴う応答電圧立ち上がりを示すグラフ600を示している。
【
図7】メーターアセンブリの減衰特性を判定する方法700を示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1~
図7および以下の説明は、当業者に、メーターアセンブリの減衰を判定する電子機器および方法の最良のモードを作製および使用する方法を教示するための特定の例を示している。発明の原理を教示する目的で、いくつかの従来の態様は、単純化または省略されている。当業者は、本発明の範囲内にあるこれらの実施例からの変形を理解するであろう。当業者は、以下に記載される特徴が様々な方法で組み合わせられて、本発明の複数の変形例を形成することができることを理解するであろう。結果として、メーターアセンブリの減衰を判定する電子機器および方法は、以下に説明する特定の例に限定されず、特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ限定される。
【0028】
図1は、メーターアセンブリ10およびメーター電子機器20を備える流量計5を示している。メーターアセンブリ10は、プロセス材料の質量流量および密度に応答する。メーター電子機器20は、リード100を介してメーターアセンブリ10に接続され、経路26を介して密度
、質量流量、および温度情報、ならびに本発明に関係のない他の情報を提供する。コリオリ流量計の構造が記載されているが、当業者には、本発明がコリオリ質量流量計によって提供される追加の測定能力なしに振動管濃度計として実施されることができることは明らかである。
【0029】
メーターアセンブリ10は、一対のマニホルド150および150’と、フランジネック110お
よび110’を有するフランジ103および103’と、一対の平行フローチューブ130および130
’と、駆動機構180と、温度センサ190と、一対のピックオフセンサ170Lおよび170Rと、を含む。フローチューブ130および130’は、フローチューブ取付けブロック120および120’において互いに向かって収束する2つの本質的に真っ直ぐな入口脚部131および131’およ
び出口脚部134および134’を有する。フローチューブ130および130’は、それらの長さに沿って2つの対称的な位置で曲がり、それらの長さ全体にわたって本質的に平行である。
ブレースバー140および140’は、各フローチューブが振動する軸WおよびW’を画定するのに役立つ。
【0030】
フローチューブ130および130’の側脚部131、131’および134、134’は、フローチューブ取付けブロック120および120’に固定的に取り付けられ、これらのブロックは、次に、マニホルド150および150’に固定的に取り付けられる。これは、コリオリ流量計アセンブリ10を通る連続的な閉じた材料経路を提供する。
【0031】
孔102および102’を有するフランジ103および103’が、入口端部104および出口端部104’を介して、測定されているプロセス材料を運ぶプロセスライン(図示せず)に接続されると、材料は、フランジ103のオリフィス101を通ってメーターの端部104に入り、マニホ
ルド150を通って、表面121を有するフローチューブ取付けブロック120に導かれる。マニ
ホルド150内で、材料は分割され、フローチューブ130および130’を通って送られる。フ
ローチューブ130および130’を出ると、プロセス材料は、マニホルド150’内の単一の流
れに再結合され、その後、ボルト孔102’を有するフランジ103’によってプロセスライン(図示せず)に接続された出口端部104’に送られる。
【0032】
それぞれ、実質的に同じ質量分布、慣性モーメント、および曲げ軸W~WおよびW’~W’の周りのヤング率を有するように、フローチューブ130および130’が選択され、フローチューブ取付けブロック120および120’に適切に取り付けられる。これらの曲げ軸は、ブレースバー140および140’を通過する。フローチューブのヤング率は、温度とともに変化し、この変化が流れと密度の計算に影響を与えるため、抵抗温度検出器(RTD)190がフローチューブ130’に取り付けられ、フローチューブの温度を継続的に測定する。フローチュ
ーブの温度、したがって、そこを通過する特定の電流に対してRTDの両端に現れる電圧は
、フローチューブを通過する材料の温度によって決まる。RTDの両端に現れる温度依存電
圧は、フローチューブ温度の任意の変化に起因するフローチューブ130および130’の弾性率の変化を補償するために、メーター電子機器20によって周知の方法で使用される。RTD
は、リード195によってメーター電子機器20に接続されている。
【0033】
双方のフローチューブ130および130’は、ドライバ180によって、それぞれの曲げ軸WおよびW’を中心に反対方向に、そして流量計の第1の位相外曲げモードと呼ばれるもので駆動される。この駆動機構180は、フローチューブ130’に取り付けられた磁石、およびフローチューブ130に取り付けられ、双方のフローチューブを振動させるために交流が通過す
る対向コイルなどの多くの周知の構成のいずれか1つを備えることができる。適切な駆動
信号は、リード185を介してメーター電子機器20によって駆動機構180に印加される。
【0034】
メーター電子機器20は、リード195においてRTD温度信号と、リード165Lおよび165Rにそれぞれ現れる左右のピックオフ信号を受信する。メーター電子機器20は、リード185に現
れる駆動信号を生成して、要素180を駆動し、管130および130’を振動させる。メーター
電子機器20は、左右のピックオフ信号およびRTD信号を処理して、メーターアセンブリ10
を通過する材料の質量流量および密度を計算する。この情報は、他の情報とともに、経路26を介してメーター電子機器20によって適用される。
【0035】
図2は、本発明の実施形態にかかるメーター電子機器20を示している。メーター電子機
器20は、インターフェース201および処理システム203を含むことができる。メーター電子機器20は、例えば、メーターアセンブリ10などからの振動応答210を受信する。メーター
電子機器20は、メーターアセンブリ10を通って流れる流動材料の流動特性を得るために、振動応答210を処理する。さらに、本発明にかかるメーター電子機器20では、メーターア
センブリ10の剛性パラメータKを判定するために、振動応答210も処理される。さらにまた、メーター電子機器20は、メーターアセンブリ10の剛性変化ΔKを検出するために、経時
的に2つ以上のそのような振動応答を処理することができる。剛性の判定は、流動状態ま
たは無流動状態で行うことができる。流れのない判定は、結果として生じる振動応答の騒音レベルを低減するという利点を提供することができる。
【0036】
前に説明したように、流量校正係数(FCF)は、フローチューブの材料特性と断面特性
とを反映する。流量計を流れる流動材料の質量流量は、測定された時間遅延(または位相差/周波数)にFCFを掛けることによって判定される。FCFは、メーターアセンブリの剛性、減衰、および質量特性に関連することができる。メーターアセンブリの特性が変化すると、FCFも変化する。したがって、メーターアセンブリの特性の変化は、流量計によって
生成される流量測定の精度に影響を与える。
【0037】
流量計の振動応答は、以下を含む開ループの2次駆動モデルによって表すことができる
。
【0038】
【0039】
ここで、fはシステムに加えられる力であり、Mはシステムの質量であり、Cは減衰特性
であり、Kはシステムの剛性特性である。剛性特性Kは、K=M(ω
0)
2を含み、減衰特性C
はC=M2ζω
0を含み、ここで、ζは減衰特性を含み、ω
0=2πf
0であり、ここで、f
0はヘルツ単位のメーターアセンブリ10の固有/共振周波数である。さらに、xは振動の物理的
変位距離であり、
【数A】
はフローチューブ変位の速度であり、
【数B】
は加速度である。これは、一般に、MCKモデルと呼ばれる。この式は、以下の形式に再配
置されることができる。
【0040】
【0041】
式(2)は、伝達関数形式にさらに操作されることができる。伝達関数形式では、以下
を含む力に対する変位の項が使用される。
【0042】
【0043】
周知の磁気方程式を使用して、式(3)を簡略化することができる。適用可能な2つの式は、
【0044】
【0045】
式(4)のセンサ電圧V
EMF(ピックオフセンサ170Lまたは170Rにおける)は、ピックオ
フ感度係数BL
POに運動のピックオフ速度
【数C】
を掛けたものに等しい。ピックオフ感度係数BL
POは、一般に、各ピックオフセンサについて既知であるかまたは測定される。式(5)のドライバ180によって生成される力(f)は
、ドライバ感度係数BL
DRにドライバ180に供給される駆動電流(I)を掛けたものに等しい。ドライバ180のドライバ感度係数BL
DRは、一般に既知であるかまたは測定される。係数BL
POおよびBL
DRは、双方とも温度の関数であり、温度測定によって補正されることができ
る。
【0046】
磁気方程式(4)および(5)を式(3)の伝達関数に代入すると、結果は以下のように
なる。
【0047】
【0048】
メーターアセンブリ10が共振時に開ループで駆動される場合、すなわち、共振/固有周波数ω0(ここで、ω0=2πf0)で駆動される場合、式(6)は、以下のように書き直すことができる。
【0049】
【0050】
剛性を代入することにより、式(7)は、以下のように簡略化される。
【0051】
【0052】
ここで、剛性パラメータKは、取得するために分離されることができる。
【0053】
【0054】
結果として、減衰特性ζを、駆動電圧Vおよび駆動電流Iとともに測定/定量化することにより、剛性パラメータKを判定することができる。ピックオフからの応答電圧Vは、駆動電流Iとともに振動応答から判定されることができる。剛性パラメータKを判定するプロセスは、以下の
図3と併せてより詳細に説明される。
【0055】
使用中、剛性パラメータKは、経時的に追跡されることができる。例えば、統計的手法
を使用して、任意の経時的な変化(すなわち、剛性の変化ΔK)を判定することができる
。剛性パラメータKの統計的変化は、特定の流量計のFCFが変化したことを示すことができる。式(9)から観察できるように、剛性パラメータは、減衰特性ζに基づいて判定され
ることができる。
【0056】
比例減衰システムは、式(10)によって与えられるように、時間tの関数として指数関
数的に減衰することができる。
【0057】
【0058】
ここで、ηは時間減衰モードの大きさであり、Aは初期振幅であり、ζは減衰特性(比
例減衰係数などと呼ばれることもある)であり、ωnは固有周波数である。
【0059】
モーダルの大きさは、左右のピックオフの平均と考えることができる。平均化プロセスは、駆動モード(第1の位相外曲げモードとも呼ばれる)を増幅し、他のモード(例えば
、ねじれモード、二次以上の曲げモードなど)を減衰させることができる。減衰は、グローバルなモーダル特性であるため、モーダルの大きさを使用すると、例えば、右または左のピックオフを使用して減衰を推定するよりも有利な場合がある。
【0060】
減衰特性ζを判定するために、式(10)は、両側の自然対数を取ることによって時間的に線形化されることができる。
【0061】
【0062】
式(11)は、傾き-ζωnおよび切片ln(A)を有して時間的に線形である。式(11)は、対応する時間tにおいてモーダルの大きさηのn個のサンプルを取得することにより、簡単な最小二乗法で解くことができる。
【0063】
【0064】
式(12)は、モーダル応答の対数を含むベクトルに、1のベクトルによって拡張された
サンプル時間t1…tnから構成される基底ベクトルの疑似逆行列を事前に乗算することによって解かれる。結果は、最小二乗推定の関心量、減衰、および切片である。
【0065】
【0066】
利得減衰計の検証方法は、減衰特性ζを判定するために、減衰ピックオフ電圧の正確な
カーブフィットに依存することができる。減衰特性ζの計算は、駆動電流をカットすることにより、メーターアセンブリ10の励起を除去し、振動応答が開始応答電圧から停止応答電圧に自然に減衰するときのピックオフ電圧を測定することによって実行されることができる。開始応答電圧は、共振周波数において振動するときの振動の振幅に基づくことができる。任意の適切な振幅または単位を使用することができるが、停止応答電圧は、ゼロボルトまたはほぼゼロボルトとすることができる。
【0067】
減衰曲線を判定するためのピックオフ電圧のサンプリングは、ピックオフ電圧が開始応答電圧閾値を下回ると開始し、停止応答電圧閾値に到達すると停止することができる。次に、指数最小二乗カーブフィットを曲線に適用して、データを最もよく表す指数関数を判定することができるが、データの任意の適切なデータフィッティング、関数、または形式を使用することができる。したがって、減衰特性は、開始応答電圧よりも小さくすることができる開始応答電圧閾値から、停止応答電圧よりも大きくすることができる停止応答電圧閾値まで測定されることができる。
【0068】
開始応答電圧閾値および停止応答電圧閾値は、振動計(例えば、形状、サイズ、構成など)、振動計が動作している駆動ターゲット、材料の密度と粘度、および温度の関数である。しかしながら、メーター電子機器20および/またはメーターアセンブリ10の非線形性は、減衰中にサンプリングされたピックオフ電圧の開始および/または停止応答電圧閾値が変更されると、異なる減衰特性ζの値をもたらす可能性がある。これらの非線形性は、メーターアセンブリ10に機械的変化が起こらなかったときに剛性の変化をもたらす可能性がある。
【0069】
インターフェース201は、
図1のリード100を介して、ピックオフセンサ170Lおよび170R
のうちの1つから振動応答210を受信する。インターフェース201は、フォーマッティング
、増幅、バッファリングなどの任意の方法など、任意の必要なまたは所望の信号調整を実行することができる。あるいは、信号調整の一部または全ては、処理システム203におい
て実行されることができる。さらに、インターフェース201は、メーター電子機器20と外
部装置との間の通信を可能にすることができる。インターフェース201は、任意の方法の
電子的、光学的、または無線通信が可能とすることができる。
【0070】
一実施形態のインターフェース201は、デジタイザ(図示せず)と結合され、ここで、
センサ信号は、アナログセンサ信号を含む。デジタイザは、アナログ振動応答をサンプリングしてデジタル化し、デジタル振動応答210を生成する。
【0071】
処理システム203は、メーター電子機器20の動作を実行し、流量計アセンブリ10からの
流量測定値を処理する。処理システム203は、1つ以上の処理ルーチンを実行し、それによって、1つ以上の流れ特性を生成するために流れ測定値を処理する。
【0072】
処理システム203は、汎用コンピュータ、マイクロ処理システム、論理回路、または他
の何らかの汎用もしくはカスタマイズされた処理装置を備えることができる。処理システム203は、複数の処理装置に分散させることができる。処理システム203は、記憶システム204などの任意の方法の一体型または独立した電子記憶媒体を含むことができる。
【0073】
記憶システム204は、流量計のパラメータおよびデータ、ソフトウェアルーチン、定数
値、および変数値を記憶することができる。一実施形態では、記憶システム204は、流量
計5の剛性特性を判定する剛性特性ルーチン230など、処理システム203によって実行され
るルーチンを含む。
【0074】
剛性特性ルーチン230は、メーターアセンブリ10から振動応答を受信するように処理シ
ステム203を構成することができる。振動応答は、インターフェース201によって受信されることができる。振動応答は、実質的に共振周波数におけるメーターアセンブリ10の励起に対する応答を含むことができる。
【0075】
記憶システム204は、流量計5を操作するために使用される変数を記憶することができる。例えば、記憶システム204は、例えば、速度/ピックオフセンサ170Lおよび170Rから受
信されることができる振動応答210などの変数を記憶することができる。
【0076】
一実施形態では、記憶システム204は、定数、係数、および動作変数を記憶する。例え
ば、記憶システム204は、判定された剛性特性220と、後の時点で生成される第2の剛性特
性221とを記憶することができる。記憶システム204は、振動応答210の周波数212、振動応答210の応答電圧213、および駆動電流214などの動作値を記憶することができる。
【0077】
記憶システム204は、さらに、振動ターゲット226および流量計5の測定された減衰特性215を記憶することができる。さらに、記憶システム204は、許容誤差224などの定数、閾値、または範囲を記憶することができる。さらに、記憶システム204は、剛性変化228などのある期間にわたって蓄積されたデータを記憶することができる。
【0078】
図3は、振動減衰中の時間に対するピックオフ電圧を示すグラフ300を示している。
図3
に示されるように、グラフ300は、時間軸310およびピックオフ電圧軸320を含む。時間軸310は秒単位であり、ピックオフ電圧軸320はボルト単位であるが、任意の適切な単位を使
用することができる。時間軸310は0.00から12.00秒の範囲であり、ピックオフ電圧軸320
は0.000から0.140ボルトの範囲であるが、任意の適切な範囲を使用することができる。グラフ300はまた、時間軸310に沿って0.00から約12.00秒の範囲であり、およびピックオフ
電圧軸320に沿って0.060から約0.120ボルトの範囲のピックオフ電圧プロット330を含む。
【0079】
図3に示されるように、ピックオフ電圧プロット330は、第1の駆動ターゲットセクショ
ン330a、減衰セクション330b、および第2の駆動ターゲットセクション330cからなる。第1の駆動ターゲットセクション330aは、約0.120ボルトであり、第2の駆動ターゲットセクション330cは、約0.060ボルトである。減衰セクション330bは、開始応答電圧閾値332および停止応答電圧閾値334を含む。開始応答電圧閾値332は、約0.110ボルトであり、これは、
第1の駆動ターゲットセクション330aの0.120ボルトよりも低い。停止応答電圧閾値334は
、約0.065ボルトであり、これは、0.060ボルトの第2の駆動ターゲットセクション330cよ
りも大きい。
【0080】
ピックオフ電圧プロット330が、0.120ボルトの第1の駆動ターゲットセクション330aの
電圧値から0.060ボルトの第2の駆動ターゲットセクション330cの電圧値に減少するにつれて、電圧は、開始応答電圧閾値332および停止応答電圧閾値334を横切る。応答電圧は、減衰セクション330bの開始応答電圧閾値332と停止応答電圧閾値334との間で測定、サンプリングなどされることができる。したがって、測定された応答電圧は、減衰セクション330bの全体を表さない場合がある。
【0081】
減衰特性ζは、開始応答電圧閾値332と停止応答電圧閾値334との間で行われた測定が複数回実行される場合、より再現性があり得る。例えば、複数の連続測定は、開始応答電圧閾値332と停止応答電圧閾値334との間で行われることができる。例えば、ピックオフ電圧プロット330が第2の駆動ターゲットセクション330cに到達した後、ターゲット電圧は、第1の駆動ターゲットセクション330aの値である0.120ボルトとほぼ同じに設定されることができる。ピックオフ電圧が0.120ボルトの値に到達した後、ターゲット電圧は、0.060ボルトに低減されることができ、それにより、ピックオフ電圧を0.060ボルトに減衰させるこ
とができる。
【0082】
減衰特性ζはまた、例えば、開始応答電圧閾値332と停止応答電圧閾値334との差が小さい場合、より再現性があり得る。例えば、停止応答電圧閾値334は、(0.060ではなく)約0.10ボルトとすることができる。結果として、減衰セクション330bは、時間軸310および
ピックオフ電圧軸320の双方に沿って短くなることができる。すなわち、開始応答電圧閾
値332と停止応答電圧閾値334との間で行われる測定は、より短い期間にわたって行われることができる。持続時間が短いため、減衰特性ζにノイズなどが含まれにくくなる場合がある。複数のより短い期間の測定を含む例示的なプロットについて以下に説明する。
【0083】
図4は、複数の応答電圧の減衰および立ち上がりセクションを示すグラフ400を示している。
図4に示されるように、グラフ400は、時間軸410およびピックオフ電圧軸420を含む。時間軸410は秒単位であり、ピックオフ電圧軸420はボルト単位であるが、任意の適切な単位を使用することができる。時間軸410は0.00から25.00秒の範囲であり、ピックオフ電圧軸420は0.000から0.140ボルトの範囲であるが、任意の適切な範囲を使用することができ
る。グラフ400はまた、時間軸410に沿って2.00から約23.00秒、およびピックオフ電圧軸420に沿って0.100から約0.120ボルトの範囲の応答電圧プロット430を含む。
【0084】
応答電圧プロット430は、例えば、上述したメーターアセンブリ10の振動応答の複数の
応答電圧を測定することによって得ることができる。応答電圧プロット430は、複数の減
衰セクション430aを含む。複数の減衰セクション430aは、測定された後、例えば、平均化されて、平均減衰特性ζavgを判定することができる。5つの減衰セクション430aが示されているが、多かれ少なかれ減衰セクションが利用されることができる。追加的または代替的に、減衰特性ζは、減衰サイクルの総数よりも少ない数にわたって平均化された測定値に基づいて判定されることができる。例えば、減衰セクション430aのうちの3つは、減衰
特性ζを判定するために使用されることができる。一例では、複数の減衰セクション430aのうちの最初の3つを使用することができる。
【0085】
応答電圧プロット430はまた、応答電圧プロット430が約0.100から0.120ボルトに増加する立ち上がりセクション430bを含む。立ち上がりセクション430bは、0.100から0.120に増加した電圧設定点に起因することができる。増加した電圧設定点に到達するのに必要な時間は、減衰に関連している。例えば、振動が0.100ボルトから0.120ボルトに増加するのに必要な時間は、減衰と相関があり得る。したがって、減衰特性C、もしくはその係数、ま
たは減衰特性Cに由来する、もしくは関連する別の項は、立ち上がりセクション430bから
判定されることができる。
【0086】
図5は、複数の減衰セクションを伴う応答電圧減衰を示すグラフ500を示している。
図5
に示されるように、グラフ500は、時間軸510およびピックオフ電圧軸520を含む。時間軸510は秒の単位であり、ピックオフ電圧軸520はボルトの単位である。時間軸510は、約0か
ら25秒の範囲であり、ピックオフ電圧軸520は、約0.00ボルトから約0.09ボルトの範囲で
ある。グラフ500はまた、応答電圧(例えば、ピックオフ電圧)を時間と関連付ける応答
電圧プロット530を含む。
【0087】
応答電圧プロット530は、時間軸510上で約7秒から約22秒の範囲であるが、任意の適切
な範囲を使用することができる。応答電圧プロット530は、ピックオフ電圧軸520上で約0.01ボルトから約0.08ボルトの範囲である。応答電圧プロット530は、開始応答電圧Vstart
および停止応答電圧Vstopを含む。応答電圧プロット530はまた、第1から第5の停止応答電圧閾値V1~V5を含む。第1から第5の停止応答電圧閾値V1~V5および停止応答電圧Vstopは
、それぞれ、応答電圧プロット530の第1から第6の減衰セクション530a~530fに対応する
。
【0088】
示されているように、第1から第5の応答電圧閾値V1~V5、ならびに開始応答電圧Vstartおよび停止応答電圧Vstopは、対応する部分減衰特性を判定するために使用される。例え
ば、第1の部分減衰特性ζ1は、開始応答電圧Vstartから第1の停止応答電圧閾値V1までの
範囲の応答電圧プロット530に対応する。同様に、第2から第5の部分減衰特性ζ2~ζ5は
、それぞれ、隣接する応答電圧に対する第2から第5の応答電圧閾値V2~V5に対応する(例えば、第1の応答電圧V1および第3の応答電圧V3は、第2の応答電圧V2に隣接する)。
【0089】
平均減衰特性ζavgは、応答電圧プロット530に対して判定されることができる。例えば、第1から第6の減衰特性ζ1~ζ6は、平均減衰特性ζavgに平均化されることができる。
しかしながら、平均減衰特性ζavgを判定するために、任意の適切な数の減衰特性を使用
することができる。
【0090】
したがって、応答電圧プロット530の第1から第6の減衰セクション530a~530fにおける
ノイズは、ノイズがノイズを有する第1から第6の減衰セクション530a~530fに対応する減衰特性に悪影響を与えるのと同じくらい大きく、平均減衰特性ζavgに悪影響を及ぼさな
い可能性がある。すなわち、応答電圧プロット530に存在することができるノイズが平均
化される。その結果、平均減衰特性ζavgは、ノイズの悪影響を受ける可能性があるが、
平均減衰特性ζavgは、例えば、第1から第6の部分減衰特性ζ1~ζ6よりも再現性が高い
可能性がある。
【0091】
図6は、複数の立ち上がりセクションを伴う応答電圧立ち上がりを示すグラフ600を示している。
図6に示されるように、グラフ600は、時間軸610およびピックオフ電圧軸620を含む。時間軸610は秒の単位であり、ピックオフ電圧軸620はボルトの単位である。時間軸610は、約0から18秒の範囲であり、ピックオフ電圧軸620は、約0.00ボルトから約0.25ボル
トの範囲である。グラフ600はまた、応答電圧(例えば、ピックオフ電圧)を時間と関連
付ける応答電圧プロット630を含む。
【0092】
応答電圧プロット630は、時間軸610上で約1.5秒から約15.5秒の範囲であるが、任意の
適切な範囲を使用することができる。応答電圧プロット630は、ピックオフ電圧軸620上で約0.15ボルトから約0.2ボルトの範囲である。応答電圧プロット630は、開始応答電圧Vstartおよび停止応答電圧Vstopを含む。応答電圧プロット630はまた、第1から第5の停止応答電圧閾値V1~V5を含む。第1から第5の停止応答電圧閾値V1~V5および停止応答電圧Vstop
は、それぞれ、応答電圧プロット630の第1から第6の立ち上がりセクション630a~630fに
対応する。
【0093】
示されているように、第1から第5の応答電圧閾値V1~V5、ならびに開始応答電圧Vstartおよび停止応答電圧Vstopは、対応する部分減衰特性を判定するために使用される。例え
ば、第1の部分減衰特性C1は、開始応答電圧Vstartから第1の停止応答電圧閾値V1までの範囲の応答電圧プロット630に対応する。同様に、第2から第5の部分減衰特性C2~C5は、そ
れぞれ、隣接する応答電圧に対する第2から第5の停止応答電圧閾値V2~V5に対応する(例えば、第1の応答電圧閾値V1および第3の応答電圧閾値V3は、第2の応答電圧閾値V2に隣接
している)。
【0094】
平均減衰特性Cavgは、応答電圧プロット630に対して判定されることができる。例えば
、第1から第6の減衰特性C1~C6は、平均減衰特性Cavgに平均化されることができる。しかしながら、平均減衰特性Cavgを判定するために、任意の適切な数の減衰特性を使用することができる。
【0095】
したがって、応答電圧プロット630の第1から第6の立ち上がりセクション630a~630fに
おけるノイズは、ノイズがノイズを有する立ち上がりセクションに対応する減衰特性に悪
影響を与えるのと同じくらい大きく、平均減衰特性Cavgに悪影響を及ぼさない可能性がある。すなわち、応答電圧プロット630に存在することができるノイズが平均化される。結
果として、平均減衰特性Cavgは、ノイズによって悪影響を受ける可能性があるが、平均減衰特性Cavgは、例えば、第1から第6の減衰特性C1~C6よりも再現性が高い可能性がある。
【0096】
式(1)から(3)を参照して上述したように、減衰特性ζを使用して、減衰特性Cを判
定することができる。減衰特性ζおよび減衰特性Cはまた、相互に判定されることができ
る。例えば、減衰特性ζに共振周波数ω0を掛けて、減衰特性Cを判定することができる。減衰特性ζおよび減衰特性Cは、例えば、フローチューブ130、130’の減衰に関連するこ
とができる。したがって、減衰特性ζおよび減衰特性Cは、例えば、上述したメーターア
センブリ10の減衰関連値とすることができる。他の減衰関連の値を使用することができる。
【0097】
立ち上がりセクション430b、630a~630fの場合、ターゲット電圧は、前の値よりも大きい値に設定されることができる。結果として生じる立ち上がりセクション430bのピックオフ電圧は、立ち上がりに基づく減衰特性Cを判定するために測定および特徴付けられるこ
とができる。エネルギ量が制限されている場合、立ち上がりベースの減衰特性Cを判定す
るために、ピックオフ電圧は、ターゲット電圧に到達すると対数曲線を示す場合がある。カーブフィットの場合、この対数曲線を使用して、特定のメーターの減衰特性Cまたは減
衰特性Cのある割合を推定することができる。
【0098】
以下により詳細に説明するように、総減衰関連値は、減衰セクション430a、530a~530fおよび立ち上がりセクション430b、630a~630fに基づいて判定されることができる。例えば、減衰セクション430a、530a~530fおよび/または立ち上がりセクション430b、630a~630fを使用して、例えば、総減衰特性または総減衰特性を判定することができる。総減衰特性は、平均減衰特性Cavgとすることができ、総減衰特性は、平均減衰特性ζavgとする
ことができる。より具体的には、減衰ベースの平均減衰特性Cavgは、減衰セクション430a、530a~530fに基づいて判定されることができ、立ち上がりベースの平均減衰特性Cavgは、立ち上がりセクション430b、630a~630fに基づいて判定されることができる。
【0099】
例えば、上述したように、減衰セクション430a、530a~530fの減衰特性Cは、共振周波
数f0を測定し、M2ζω0から減衰特性Cを判定することにより、減衰特性ζから判定されることができ、ここで、ω0=2πf0である。また、上述したように、減衰特性Cは、立ち上
がりセクション430b、630a~630fの対数曲線に基づくことができる。したがって、1つ以
上の減衰セクション430a、530a~530fに基づいて判定された減衰特性Cおよび1つ以上の立ち上がりセクション430b、630a~630fに基づいて判定された減衰特性Cは、例えば、とも
に平均化され、平均減衰特性Cavgを判定することができる。
【0100】
平均減衰特性Cavgは、減衰セクション430a、530a~530fまたは立ち上がりセクション430b、630a~630fのそれぞれと比較して、より再現性があり得る。例えば、上述したように、減衰特性ζは、ノイズを含むことができるピックオフ電圧測定に基づいて判定されることができる。ノイズは、メーターアセンブリの実際の減衰属性が同じままであっても、減衰セクション430a、530a~530fおよび立ち上がりセクション430b、630a~630fのそれぞれを時間とともに変化させる可能性がある。すなわち、ノイズは、減衰セクション430a、530a~530fおよび立ち上がりセクション430b、630a~630fのそれぞれを実質的に再現可能でなくする可能性がある。したがって、平均減衰特性Cavgは、減衰セクション430a、530a~530fおよび立ち上がりセクション430b、630a~630fのうちの1つに基づいて判定された減
衰特性Cよりも再現性が高い可能性がある。
【0101】
図4の減衰および立ち上がりセクション430a、430bは、周期的である応答電圧プロット4
30の一部である。したがって、
図4の立ち上がりセクションおよび減衰セクションは、そ
れぞれ繰り返され、実質的に同じであり、連続していない。対照的に、
図5および
図6の減衰および立ち上がりセクション530a~530f、630a~630fは、示されているように周期的ではない応答電圧プロット530、630からなる。したがって、
図5および
図6の減衰および立ち上がりセクション530a~530f、630a~630fは、連続し、繰り返されず、そして別個である。
【0102】
図4~
図6に関する上記の説明は、平均減衰関連値(例えば、平均減衰特性C、平均減衰
特性ζavgなど)について説明しているが、任意の適切な減衰関連値を使用することがで
きる。例えば、減衰に関連するが、減衰特性または減衰特性ではない値を使用することができる。追加的または代替的に、総減衰関連値は、平均値以外のものとすることができる。例えば、総減衰関連値は、平均、加重平均などとすることができる。追加的または代替的に、総減衰関連値は、任意の適切な方法で判定されることができる。例えば、減衰および立ち上がりセクション430a、430b、530a~530f、630a~630fのサブセットを使用して、平均減衰関連値を判定することができる。1つの特定の例では、明らかに誤った、または
破損したデータに起因して超過した場合、閾値を使用して、減衰および立ち上がりセクション430a、430b、530a~530f、630a~630fの一部を除外することができる。
【0103】
図7は、メーターアセンブリの減衰特性を判定する方法700を示している。
図7に示され
るように、方法700は、ステップ710において振動応答を受信することを含む。振動応答は、上述したメーター電子機器20のインターフェース201によって受信されることができる
。ステップ720において、方法700は、振動応答の複数の応答電圧を測定する。複数の応答電圧は、上述したインターフェース201および/または処理システム203によって測定されることができる。複数の応答電圧は、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションを含むことができる。ステップ730において、方法700は、上述したメーターアセンブリ10などのメーターアセンブリの総減衰関連値を判定することができる。総減衰関連値は、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つに基づいて判定されることができる。
【0104】
一例では、1つ以上の減衰セクションおよび1つ以上の立ち上がりセクションのうちの少なくとも1つは、周期的応答電圧プロットである。例えば、
図4を参照すると、減衰セクションおよび立ち上がりセクション430a、430bは、周期的である応答電圧プロット430の一
部である。別の例では、1つ以上の減衰セクションは、応答電圧減衰曲線からなり、1つ以上の立ち上がりセクションは、応答電圧立ち上がり曲線からなる。例えば、
図5および
図6を参照すると、減衰および立ち上がりセクション530a~530f、630a~630fは、それぞれ、応答電圧減衰曲線および応答電圧立ち上がり曲線である応答電圧プロット530、630からなる。
【0105】
メーターアセンブリの総減衰関連値は、1つ以上の減衰セクションに基づくメーターア
センブリの総減衰特性値とすることができる。例えば、減衰ベースの平均減衰特性Cavgは、それぞれ、
図4および
図5に示される減衰セクション430a、530a~530fに基づいて判定されることができる。この方法はまた、総減衰特性値に基づいて減衰特性を判定することができる。例えば、減衰ベースの平均減衰特性Cavgは、減衰セクション430a、530a~530fに基づいて判定されることができる。追加的または代替的に、総減衰特性値は、1つ以上の
減衰セクションにそれぞれ対応する部分減衰特性の平均とすることができる。
【0106】
メーターアセンブリの総減衰関連値は、メーターアセンブリの総減衰特性値とすることができる。例えば、総減衰特性は、平均減衰特性Cavgとすることができる。すなわち、メーターアセンブリの総減衰特性値は、メーターアセンブリの平均減衰特性から構成されることができる。
【0107】
前述は、上述したメーターアセンブリ10および流量計5などの流量計のメーターアセン
ブリの減衰を判定することができるメーター電子機器20および方法700について説明して
いる。メーターアセンブリ10の減衰は、1つ以上の減衰セクション430a、530a~530fまた
は1つ以上の立ち上がりセクション430b、630a~630fから判定されることができる。例え
ば、総減衰関連値は、1つ以上の減衰セクション430a、530a~530fまたは1つ以上の立ち上がりセクション430b、630a~630fから判定されることができる。総減衰関連値は、1つ以
上の減衰セクション430a、530a~530fまたは1つ以上の立ち上がりセクション430b、630a
~630fから判定されるため、ノイズ、または他の偽のデータ破損は、メーターアセンブリの判定された減衰にそれほど大きな変動を引き起こさない可能性があるため、より再現性の高いメーター検証を保証する。
【0108】
したがって、とりわけ、1つ以上の減衰セクション430a、530a~530fおよび1つ以上の立ち上がりセクション430b、630a~630fのうちの少なくとも1つに基づいて、メーターアセ
ンブリの総減衰関連値を判定することを含む技術的解決策は、例えば、メーターアセンブリの減衰の不正確な判定を引き起こす可能性のある応答電圧プロット430、530、630のノ
イズの技術的課題を解決するために使用されることができる。
【0109】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明が本説明の範囲内にあると想定される全ての実施形態の網羅的な説明ではない。実際に、当業者は、上述した実施形態の特定の要素が様々に組み合わせられてまたは排除されて、さらなる実施形態を形成することができ、そのようなさらなる実施形態は、本説明の範囲および教示の範囲内にあることを認識するであろう。上述した実施形態が全体的または部分的に組み合わせられて、本説明の範囲および教示の範囲内で追加の実施形態を形成することができることも当業者にとって明らかであろう。
【0110】
したがって、特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、関連技術分野の当業者が認識するように、本説明の範囲内で様々な同等の変更が可能である。本明細書で提供される教示は、上述した添付の図に示されている実施形態だけでなく、メーターアセンブリの減衰を判定する他の電子機器および方法に適用することができる。したがって、上述した実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から判定されるべきである。