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特許7467592全ファイバ広域調整可能な超高速レーザ源
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】全ファイバ広域調整可能な超高速レーザ源
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/35 20060101AFI20240408BHJP
   G02F 1/383 20060101ALI20240408BHJP
   H01S 3/067 20060101ALI20240408BHJP
   H01S 3/094 20060101ALI20240408BHJP
   H01S 3/00 20060101ALI20240408BHJP
   H01S 3/30 20060101ALI20240408BHJP
   G02B 21/00 20060101ALN20240408BHJP
【FI】
G02F1/35 502
G02F1/383
H01S3/067
H01S3/094
H01S3/00 A
H01S3/30
G02B21/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022502036
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 US2020041464
(87)【国際公開番号】W WO2021007460
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/872,563
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】522012776
【氏名又は名称】トプティカ フォトニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ニコルソン,ジェフリー,ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ザック,アーミン
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-504756(JP,A)
【文献】特表2017-504074(JP,A)
【文献】特開2008-083118(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0110355(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0235049(US,A1)
【文献】特表2017-513211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0067895(US,A1)
【文献】特表2014-511125(JP,A)
【文献】J.W. Nicholson et al., "Soliton self-frequency shifting in a polarization-maintaining, Erbium-doped, very-large-mode-area fiber amplifier",2016 Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO),IEEE,2016年06月05日,STh3O.4,pp. 1-2
【文献】A. Zach, et al.,All-fiber widely tunable ultrafast laser source for multimodal imaging in nonlinear microscopy,Optics Letters,2019年10月18日,Vol. 44, No. 21,pp.5218-5221
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00-1/125
G02F 1/21-1/39
H01S 3/00-3/30
G02B 6/02-6/036
G02B 6/10
G02B 6/44
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前置増幅器を有する全偏光維持(PM)ファイバモードロックシードレーザと、
カスケードラマン共振器およびイッテルビウム(Yb)ファイバレーザキャビティを備え、非偏光維持(PM)であるラマンレーザと、
前記ラマンレーザによってコアポンピングされた増幅器であって、前記増幅器は、エルビウム(Er)ドープ偏光維持超大モード領域(PM Er VLMA)光ファイバと、前記PM Er VLMAに続く受動PM VLMAファイバとを含み、前記受動PM VLMAは、より長い波長へのスペクトルシフトを実行させ、前記増幅器は、1480nmで最大50Wのシングルモード出力を有する前記非PMラマンレーザによってコアポンピングされる、増幅器とを備え、
1620nmから1990nmまでのスペクトルカバレッジを提供する、超高速レーザシステムであって、
前記増幅器は、マスタ発振器パワー増幅器(MOPA)であり、1.5μmから開始し、
前記システムは、ソリトン自己周波数シフト(SSFS)によって1.6μmから2μmまでの波長領域にアクセスするように構成される、超高速レーザシステム。
【請求項2】
前記受動PM VLMAファイバおよび前記PM Er VLMAファイバは、同じ基本モード有効領域を有するように構成される、請求項1に記載の超高速レーザシステム。
【請求項3】
前記受動PM VLMAは、前記受動PM VLMAの長さに沿って減少する有効領域を達成するために、徐々に減少するコイル直径で螺旋状に巻かれる、請求項1に記載の超高速レーザシステム。
【請求項4】
前記システムは、6.8nJの高パルスエネルギーおよび120fsのパルス長を提供する、請求項1に記載の超高速レーザシステム。
【請求項5】
前記PM Er VLMA光ファイバの長さは3mであり、1530nmでのEr吸収は50dB/mであり、コア直径は50μmである、請求項1に記載の超高速レーザシステム。
【請求項6】
コアポンピングは前記利得ファイバを維持し、前記非PMラマンレーザはオーバーラップを伴う基本モードで伝搬することにより、差動利得に応じて高次モード(HOM)が出現することを実質的に防止する、請求項に記載の超高速レーザシステム。
【請求項7】
全偏光維持(PM)ファイバモードロックシードレーザと、
カスケードラマン共振器とイッテルビウム(Yb)キャビティとを備え、非偏光維持(PM)ラマンレーザであるポンプレーザと、
偏光維持超大モード領域(PM VLMA)増幅器であって、前記増幅器はラマンレーザによってコアポンピングされ、エルビウム(Er)ドープ偏光維持超大モード領域(PM Er VLMA)光ファイバと、前記PM Er VLMAに続く受動PM VLMAファイバとを備え、前記受動PM VLMAは、より長い波長へのスペクトルシフトを実行させ、前記増幅器は、1480nmで最大50Wのシングルモード出力を有する前記非PMラマンレーザによってコアポンピングされる、偏光維持超大モード領域増幅器と、
イッテルビウムドープファイバフェムト秒(Yb-fs)増幅器と、
ピックアップミラー(PM)が続くダイクロイックミラー(DC)と、
パルス遅延を測定するための光検出器(PD)と、
顕微鏡焦点面において2つのパルスを同期させるための遅延制御と、
前記PMに続くレーザ走査顕微鏡とを備え、
1620nmから1990nmまでのスペクトルカバレッジを提供する、超高速レーザシステムであって、
前記増幅器は、マスタ発振器パワー増幅器(MOPA)であり、1.5μmから開始し、
前記システムは、ソリトン自己周波数シフト(SSFS)によって1.6μmから2μmまでの波長領域にアクセスするように構成される、
超高速レーザシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願62/872,563(“All-fiber widely tunable ultrafast laser source”、2019年7月10日)に対する優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示の実施形態は、概して、超高速光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
可視スペクトル範囲内の超高速光パルスを使用する生物医学的用途の急速成長の開発は、改善された超高速光学技術を開発する強い必要性を生み出す。超高速光学および撮像は、生物医学界において興味深い診断のための安全な非侵襲的な技術を提供する。超高速光学実験は、モードロックレーザを用いて生成される超短パルスを含み得る。一般に、超短パルスの光とは、その持続時間がピコ秒以下のオーダーである電磁パルスである。
【0003】
超高速光学の新たな用途では、ファイバから直接出る単一空間モードパワーレベルをアップスケーリングする必要がある。非線形顕微鏡法、2光子重合、電気光学サンプリング、およびテラヘルツ撮像は、超高速レーザシステムがかさばらず複雑でない場合、非常に有益であろう、いくつかの用途にすぎない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施形態は、概して、全ファイバで、使いやすく波長調整可能な、超高速レーザシステムに関する。本開示の実施形態による超高速レーザシステムは、前置増幅器を有する全偏光維持(PM)ファイバモードロックシードレーザと、カスケードラマン共振器およびイッテルビウム(Yb)ファイバレーザキャビティを備えるラマンレーザと、前記ラマンレーザによってコアポンピングされた増幅器であって、前記増幅器は、エルビウム(Er)ドープ偏光維持超大モード領域(PM Er VLMA)光ファイバと、前記PM Er VLMAに続く受動PM VLMAファイバとを含み、前記受動PM VLMAは、より長い波長へのスペクトルシフトをサポートする、増幅器とを備え、1620nmから1990nmまでのスペクトルカバレッジを提供する。前記受動PM VLMAファイバおよび前記PM Er VLMAファイバは、同じ基本モード有効領域を有するように構成される。前記受動PM VLMAは、前記受動PM VLMAの長さに沿って減少する有効領域を達成するために、徐々に減少するコイル直径で螺旋状に巻かれる。
【0005】
したがって、本開示の上記で挙げた特徴を詳細に理解することができるように、本開示の実施形態のより具体的な説明は、添付の図面を参照することによって得ることができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の範囲内に含まれる例示的な実施形態のみを示し、限定的であると見なされるべきではなく、本開示が他の等価な効果的な実施形態を認め得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本開示の実施形態による、全PMファイバモードロックシードレーザ、ラマンファイバレーザ、PM VLMA増幅器を備えるレーザシステムを示すブロック図である。
図1B】本開示の実施形態による、全PMファイバモードロックシードレーザ、ラマンファイバレーザ、PM VLMA増幅器を備えるレーザシステムを示すブロック図である。
図2A】本開示の実施形態による、曲げ直径、有効領域(Aeff)、非線形パラメータ(ガンマ)の間の関係を示すチャートである。
図2B】本開示の実施形態によるビーム半径および位置の関係を示すチャートである。
図3A】本開示の実施形態による、1480nmポンプパワーの変動による出力のスペクトル同調を示すチャートである。
図3B】本開示の実施形態による赤外線出力の自己相関トレースを示す。
図4A】本開示の実施形態による、ポンプパワーの変動による第2の高調波生成(SHG)出力のスペクトル同調を示すチャートである。
図4B】本開示の実施形態によるスペクトル同調波長に関する平均出力パワーおよびパルスエネルギーを示すチャートである。
図4C】本開示の実施形態による第2の高調波生成(SHG)出力の自己相関トレースの図である。
図5A】本開示の実施形態に従って撮像された免疫染色線維芽細胞アクチン細胞骨格およびミオシンの画像である。
図5B】本開示の実施形態に従って撮像された、Lifeact-green蛍光タンパク質(GFP)でトランスフェクトされた線維芽細胞におけるアクチンの2光子励起蛍光(TPEF)の画像である。
図5C】本開示の実施形態に従って撮像された前方検出信号および後方検出信号を有するマウス腱コラーゲン原線維の第2の高調波生成(SHG)画像である。
図5D】本開示の実施形態に従って撮像された、染色シグナルを伴わない、高分解能における原線維の組織化の第2の高調波生成(SHG)画像である。
図5E】本開示の実施形態に従って撮像された、励起されたマウス脂肪組織の第3の高調波生成(THG)画像である。
図6】本開示の実施形態によるコヒーレント・アンチ・ストークス・ラマン分光法(CARS)レーザセットアップを示すブロック図である。
図7A】本開示の実施形態に従って撮像されたマウス脂肪組織のSum Frequency Coherent anti-Stokes Raman Spectroscopy(SF-CARS)画像である。
図7B】本開示の実施形態に従って撮像されたマウス脂肪組織のSum Frequency Coherent anti-Stokes Raman Spectroscopy(SF-CARS)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用される見出しは、編成目的のみのためであり、説明または請求項の範囲を限定するために使用されることを意味しない。本出願を通して使用される場合、であって、用語「あり得る」は、必須の意味(すなわち、必要とされる意味)ではなく、許容的な意味(すなわち、潜在性を有する意味)で使用される。同様に、「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」という用語は、これらに限定されないが含むことを意味する。理解を容易にするために、可能な場合、図面に共通の同様の要素を示すために同様の参照番号が使用されている。
【0008】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、非線形顕微鏡法などにおけるマルチモーダル撮像の必要性に適合する全ファイバ多用途レーザシステムを開示する。本開示の実施形態は、第2の高調波生成(SHG)、第3の高調波生成(THG)、2光子励起蛍光(TPEF)、および和周波数コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱(Sum Frequency Coherent anti-Stokes Raman Spectroscopy(SF-CARS))などを簡単な構成で実行する柔軟性を提供する。40dBより良好な偏光消光比および1.1のMを有することにより、本開示の実施形態によるコンピュータ制御レーザシステムは、ロバストかつコンパクトなレーザ源を提示する。本開示のパラメータにより、レーザシステムは、非線形顕微鏡法などにおけるマルチモーダル撮像に適している。本開示によるエルビウム(Er)ドープ偏光維持超大モード領域(PM VEMA)ファイバにおけるソリトン自己周波数シフトに基づく全ファイバで、容易に使用でき、波長調整可能な、超高速レーザの技術的構成および効果は、本開示の例示的な実施形態が示される添付の図面を参照しながら提供される以下の詳細な説明によって明確に理解されるであろう。
【0009】
図の簡単化及び明瞭化のために、添付の図面には一般的な構成スキームが示され、本開示の例示的な実施形態の議論が不必要に不明瞭になることを避けるために、当該技術分野において周知の特徴及び技術についての詳細な説明は省略されることがある。さらに、添付の図面における構成要素は、必ずしも縮尺どおりに描かれていない。例えば、大きさは、本開示の例示的な実施形態の理解を助けるために誇張されている場合がある。異なる図面上の同じ参照番号は、同様の構成要素を示し、異なる図面上の同じ参照番号は、同様の構成要素を示すが、必ずしもそれらに限定されない。
【0010】
本開示の実施形態は、全ファイバで使いやすい波長調整可能な超高速レーザシステムを含むことができる。システムは、Erドープ偏光維持超大モード領域(PM VEMA)ファイバにおけるソリトン自己周波数シフトを含むことができる。例えば、システムは、大きなスペクトルカバレッジを示すことができ、1620nmから始まる370nmで、平均出力は最大1.5Wで調整可能とすることができ、この平均出力は、かさばるパルス圧縮光学系を使用することなく、融合スプライスファイバから直接120fsの短いレーザパルスを放出する。追加の第2の高調波生成(SHG)では、出力は、その後、800nm~1000nmをカバーする波長範囲に周波数が倍増され、500mWを超える平均パワーおよび120fsパルス幅で2.5njのパルスエネルギーをカバーし得る。
【0011】
本開示の実施形態は、短いファイバ長においてより高い利得をもたらすより高いドーピングレベルを達成することができる。Erドープファイバレーザによってカバーされる約1.5μmの波長範囲に対して、負および正の分散を有するステップインデックスファイバを利用できることは、かさばる圧縮光学系を使用しない全ファイバ融合スプライスレーザを設計する上で大きなメリットとなる。1.5μmの波長範囲の大モード領域ファイバの場合、材料分散は導波路分散よりも優勢であり、増幅プロセスは異常分散レジームで起こり得る。これは、自己位相変調と異常分散との間の相互作用が、ファイバに沿った伝搬中にパルスを圧縮するソリトンパルス圧縮に対して有益である。しかしながら、超短パルスの場合、緊密モード閉じ込めは、非線形効果によりモードロックファイバ発振器のパルスピークパワーを約1kWに制限する。
【0012】
本開示の実施形態によるシステムは、増幅器内にErドープ超大モード領域偏波保持(PM VLMA)ファイバを備えることができる。Er系ファイバレーザを用いて1.5μmで開始し、1.6μmから2μmまでの波長領域は、自由空間圧縮光学系を使用せずに、マスタ発振器パワー増幅器(MOPA)ベースのソリトン圧縮増幅と組み合わせたソリトン自己周波数シフト(SSFS)によって都合よくアクセスされ得る。非常に短いソリトンについては、スペクトルは、より長い波長のテールが、スペクトルのより短い波長のテールのパワーによって生成されるラマン増幅を受ける程度まで広がり、ソリトンのより長い波長への全体的なスペクトルシフトを引き起こす。より短いソリトンパルスはより高いピークパワーおよびより広い光スペクトルを示すので、この効果はパルス幅に強く依存する。
【0013】
マルチモーダル撮像アプローチは、非線形プロセスの全てのファセットをカバーするために、柔軟かつスペクトル的に調整可能な短パルス源を必要とする。2光子励起蛍光(TPEF)顕微鏡法は、700nm~1000nmのスペクトルカバレッジを有するTi:Saレーザを用いて広く普及している。生体内の深部組織撮像は、1650nmから1850nmまでの組織における低減衰窓を利用する第3の高調波生成(THG)を用いる。概して、680nmから1650nmまでのスペクトル範囲全体は、光パラメトリック発振器(OPO)システムが対応できるマルチモーダル撮像にとって興味深い。これらのレーザシステムは、極めて複雑で高感度の自由空間設定に依存する。
【0014】
代わりにファイバレーザを使用すると、約1.65μm~1.85μmのTHGのスペクトルウィンドウは、Erドープファイバレーザ源から開始するSSFSによって容易にアクセスすることができる。この窓の小さな拡張により、調整可能な波長は、TPEF顕微鏡法に必要とされる800nm~1000nmをカバーするように周波数倍増され得る。例示的な実施形態は、超短パルス用のPM VFMAファイバ増幅器と、それに続く受動PM VFMAファイバ片とを用いたMOPAアプローチを使用するSSFSに基づく波長調整可能全ファイバレーザシステムを示す。出力に受動PM VFMAファイバがない設計は、最大1650nmまで調整可能な21njパルスエネルギーおよび86fsパルス幅を生成し得る。25njを超える増加したエネルギーで2000nmまで拡張された可変性と、それに続くコンパクトな調整可能な第2の高調波生成段により、本開示の実施形態は、出力を800nm~1000nmのスペクトル範囲を有する短いパルスに変換し得る。1050nmでの時間的に同期した第2の出力と組み合わせて、2色2光子(2C2P)励起顕微鏡検査ならびにコヒーレント・アンチ・ストークス・ラマン散乱(CARS)顕微鏡検査は、ラマンフィンガープリント領域だけでなく芳香族CH基、脂肪族CH2および脂肪族CH3基にも対応する500cm-1から3100cm-1までの範囲の極めて広いスペクトルカバレッジを有し得る。
【0015】
ここで図1Aを参照すると、本開示の実施形態による、全PMファイバモードロックシードレーザ102を備えるレーザシステム100を図示する、ブロック図が提供される。例示的な実施形態によれば、レーザシステム100は、シードレーザ102、ラマンレーザ104、アイソレータ120、ビームスプリッタ122、PM VLMA増幅器106などを含むことができる。例示的な実施形態では、システム100はまた、第1のレンズ128、ロングパスフィルタ(LPF)130、フリップミラー132、第2のレンズ134、周期的に分極されたニオブ酸リチウム(PPLN)ファンアウト136、第3のレンズ138、ショートパス(SP)フィルタ140、第2のミラー142などを備え得る。ラマンレーザ104の光増幅機構は、誘導ラマン散乱であってもよい。例示的な実施形態によれば、ラマンレーザ104は、1480nmなどで出力を提供することができる。ラマンレーザ104は、カスケードラマン共振器116およびイッテルビウム(Yb)ファイバレーザキャビティ118などを含むことができる。
【0016】
例示的な実施形態によれば、シードレーザ102は、半導体可飽和吸収体ミラー(SESAM)110と、ポンプダイオード112と、分極維持エルビウムドープファイバ(PM Erファイバ)108と、スプリッタ113と、波長分割マルチプレクサ(WDM)114とを備えることができる。一般に、SESAM110は、レーザキャビティ内に挿入された非線形ミラーである。その反射率は、非線形材料として半導体を使用することによって得られる吸収退色に起因して、より高い光強度においてより高くなる。SESAM110は、底部ミラーおよび可飽和吸収体構造を備え得る。SESAM110はまた、スペーサ層および/または追加の反射防止または反射コーティングを上面などに備えてもよい。
【0017】
図1Aおよび図1Bに示されるレーザ設定では、PM VLMA増幅器106、107の構成が異なる。図1Aに示す例示的なレーザシステム100では、PM VLMA増幅器106は、WDM123、PM Er VLMAファイバ124、およびPM VLMAファイバ126などを含むことができる。これに対し、図1Bに示されるレーザシステム200では、PM VLMA増幅器107は、WDM129、PM Er VLMAファイバ131、螺旋状PM VLMA127等を含むことができる。図1Aおよび図1Bならびに本明細書で説明される他の実施形態の各々内の様々な構成要素は、通信方式、電気的方式、または非電気的方式で直接的または間接的に接続され得る。
【0018】
図1A及び図1Bの両方に示すレーザセットアップは、エルビウムドープ偏光維持超大モード領域(ErドープPM VLMA)ファイバ124、131を含むことができる。いくつかの実施形態では、ErドープPM VLMAファイバ124、131は、3mの長さ、または本開示の実施形態に合致する好適な長さであり得る。ErドープPM VLMAファイバ124、131は、1530nmにおけるEr吸収が50dB/mであり、コア径が50μmなどであってもよい。いくつかの実施形態では、PM VLMAファイバ126、127は、約950μm等の有効領域をもたらす、25cm直径にコイル化されてもよい。増幅器106、107は、1480nmで最大50Wのシングルモード出力を有する非PMラマンファイバレーザ104によってコアポンピングされ得、したがって、信号レーザとポンプレーザの両方は、高オーバーラップを伴う基本モードでの伝搬であり、差動利得によって高次モード(HOM)が出現することを防止する。特に超短パルスの場合、コアポンピングの効果は、クラッドポンピングと比較して利得ファイバを短く保つのに役立ち、したがって非線形効果をさらに減少させる。
【0019】
例示的な実施形態によれば、1480nmラマンレーザシステム104でポンピングされたPM VLMAファイバ増幅器106、107が後に続く前置増幅器を有する全PMファイバモードロックシードレーザ102のレーザセットアップが図1Aおよび図1Bに示されている。出力は、基本ソリトンスペクトル範囲(1.6μm~2μm)から800nm~1000nmの範囲の第2高調波出力に容易に切り替えることができる。この実施形態によれば、受動PM VLMAファイバ126は、15mの長さを有することができ、より長い波長へのスペクトルシフトをさらにサポートするために使用することができる。
【0020】
ここで図1Bを参照すると、ブロック図は、本開示の実施形態による、全PMファイバモードロックシードレーザ102を備えるレーザシステム107を図示する。例示的実施形態では、前置増幅器を有する全PMファイバモードロックシードレーザ102の後に、1480nmラマンレーザシステム104で励起されるPM VLMAファイバ増幅器106コアが続いてもよい。出力は、基本ソリトンスペクトル範囲(1.6μm~2μm)から800nm~1000nmの範囲の第2高調波出力に容易に切り替えることができる。この実施形態によれば、受動PM VLMAファイバ127は、15mの長さを有してもよく、25cmから6cmまでの特別に設計された螺旋によって巻かれてもよい。螺旋は、コイル直径に影響を及ぼし、したがって、ファイバのモード場領域をゆっくりと減少させ得る。
【0021】
ここで図2Aを参照すると、本開示の実施形態による、曲げ直径と有効領域(Aeff)と非線形パラメータ(ガンマ)との間の関係を示すチャートが示されている。真っ直ぐにされたファイバは、約1050μmの基本モードに対する有効領域を表すが、25cmのコイルは、950μmまで有効領域を減少させる。例示的な実施形態によれば、これは、伝搬長中にガンマが減少するファイバの非線形性を増大させる。ファイバ非線形性が永久的に増加することで、受動PM VLMAを介した伝搬中にピークパワーと帯域幅が失われることによって引き起こされるソリトン自己周波数シフトの減速が防止される。図2Aは、非線形パラメータが減少している間にファイバの曲げ直径がAeffを減少させ、その結果、螺旋状ファイバコイルを介した伝搬中にファイバの非線形性が増加することをさらに示す。
【0022】
ここで図2Bを参照すると、本開示の実施形態による1480nmポンプパワーの変動による出力のスペクトル調整を示すチャートが示されている。ソリトン出力およびM測定のビームプロファイル、Mx=1,10;My=1,06。例示的な実施形態によれば、ビームプロファイルは、1.4Wの平均パワーおよびλ=1680nmの波長で蛍光体被覆CCDカメラを用いて測定することができる。Mxは1.10であり得、Myは1.06であり得、1.08の平均Mに対応する。M値は、調整範囲によって大きく変化することがない。本明細書に記載の例示的な実施形態によれば、動作範囲にわたるモーダル不安定性の兆候は見られない。
【0023】
調整可能な出力は、コリメーションレンズ(f=15.3mm)を通過し、波長に応じて1mm(1/e)以下のビーム直径をもたらす。ビーム経路に挿入されたロングパスフィルタ(Semrock BLP01-1550R)は、基本波およびポンプレーザスペクトルをカットオフするように構成され得る。出力のスペクトル調整は、1480nmラマンレーザのポンプパワーを変更することによって達成することができ、これは、ポンプ電流を変えることによって容易に行うことができる(例えば、図3参照)。調整プロセス全体を通して、常に120fs(sech)の範囲のパルス幅で、教科書のような干渉自己相関トレースが得られた。
【0024】
ここで図3Aを参照すると、本開示の実施形態による、1480nmポンプパワーの変動による出力のスペクトル調整を図示するチャートが示されている。より具体的には、チャートは、1480nmのポンプパワーの変化による1618nmから1985nmまでの出力のスペクトル調整を示す。図3Bを参照すると、116fs(sech)パルス幅を有する1800nmでの赤外線出力の典型的な自己相関トレースが示されている。干渉自己相関はペデスタルを示さず、パルスエネルギーは18njである。
【0025】
図3Aおよび図3Bのチャートによって示されるように、フリップミラーをセットアップに交換することによって、出力は、調整可能赤外線スペクトルから第2の高調波(SHG)近赤外線出力に変更され得る。その構成では、ビームは、レンズ(f=36mm)を介して、ファンアウト構造を有する周期的に5モル%のMgOがドープされた周期的に分極されたニオブ酸リチウム結晶(PPLN)に集束され得る。PPLNファンアウト結晶は、19.5μm~34μmから始まり、したがって1550nm~2350nmの基本スペクトルをカバーする準位相整合分極周期(QPM)を有し得る。PPLN結晶は、受容帯域幅を維持し、第2高調波出力の短いパルス幅を生成するために、0.5mmの厚さを備えてもよい。結晶は、ファンアウト構造のQPM位置を基本波長に整合させるために、焦点を介して水平に移動するように電動スライド上に搭載されてもよい。f=36mmレンズを使用して、結晶の後にビームをコリメートし、続いてショートパスフィルタを導入して、第2高調波出力からの残留基本波スペクトルを遮断することができる。
【0026】
図4A図4Cは、例示的な実施形態によるSHG出力の調整特性を示す。図4Aは、本開示の実施形態による、ポンプパワーの変動による第2の高調波生成(SHG)出力のスペクトル調整を図示するチャートである。具体的には、図4Aは、1480nmのポンプパワーの変化による808nmから990nmまでのSHG出力のスペクトル調整を示す。
【0027】
ここで図4Bを参照すると、本開示の実施形態によるスペクトル調整波長に関する平均出力パワーおよびパルスエネルギーを示すチャートが示されている。図4Cは、本開示の実施形態による第2の高調波生成(SHG)出力の自己相関トレースを示すチャートである。より具体的には、図4Cは、114fs(sech)パルス幅を有する900nmにおけるSHG出力の自己相関トレースを示す。例示的な実施形態によれば、干渉自己相関はペデスタルを示さず、パルスエネルギーは6.8njである。
【0028】
本開示の実施形態によるレーザシステムは、マルチモーダル顕微鏡法などに使用することができる。本明細書に記載される例示的な実施形態は、高い3D分解能で様々な生物学的試料を撮像することによる非線形顕微鏡法のためのPM VLMAレーザシステムの汎用性を実証する。本開示のマルチモーダルアプローチによれば、2つの光子励起蛍光(TPEF)、第2の高調波生成(SHG)、第3の高調波生成(THG)、およびスペクトル集束コヒーレント・アンチストークス・ラマン散乱(SF-CARS)が、コントラストメカニズムとして採用され得る。TPEFは外因性マーカーに依存するが、他のコヒーレント技法は、標識がなく、漂白効果、人工標識によって導入されるアーチファクト、および扱いにくい試料の準備の影響を受けない場合がある。しかしながら、順方向の位相整合による改善された信号対雑音比(SNR)のために、コヒーレント信号の検出は、収集が両方向で生じ得るSHGを除いて集束対物レンズの反対側に配置することができる。
【0029】
本開示の実施形態によるPM VLMAシステムは、蛍光タンパク質を含む全ての共通マーカーの励起を可能にする広いスペクトル範囲をカバーし得る。最適な励起のために波長を調整することは、ファンアウト結晶のみが動かされるので、ビーム経路において非常にわずかな変化を示し得る。TPEFを実証するために、全青色~赤色スペクトル範囲をカバーする3つの異なるフルオロフォアを使用することができる。
【0030】
図5A~5Eは、本開示の例示的な実施形態によるPM VLMAレーザシステムの例示的な用途を示す。図5Aは、免疫染色された線維芽細胞のアクチン細胞骨格およびミオシンの捕捉画像を示す。より具体的には、標準的な蛍光標識プロトコルに従ってATT0425を用いて免疫染色されたアクチンおよびAlexaFluor594を用いて免疫染色されたミオシンを有する単一のNIH3T3マウス線維芽細胞が示されている。図5Aは、免疫染色された線維芽細胞のアクチン細胞骨格およびミオシンの多色TPEF画像を示す。図5Aの白いボックスに示される挿入図は、アクチンに対するミオシンの組織化を高分解能で明らかにする拡大された領域である。
【0031】
図5Bは、本開示の実施形態に従って捕捉された2C2Pを用いた、ライフアクト緑色蛍光タンパク質(GFP)でトランスフェクトされた線維芽細胞におけるアクチンのTPEFの画像を示す。図5Cは、本開示の実施形態に従って捕捉された前方検出信号および後方検出信号を有するマウス腱コラーゲン原線維の第2の高調波生成(SHG)画像を示す。図5Dは、染色を伴わない高分解能での原線維の組織化の第2の高調波生成(SHG)画像を示す。図5Eは、本開示の実施形態に従って捕捉された、1620nmで励起されたマウス脂肪組織の第3の高調波生成(THG)画像を示す。図5Eにおいて、XZ投影は、深さ55μmを超える脂肪組織中の脂質液滴の境界を示す。図5A~5CおよびEのスケールバーは10μmであり、図5Dのスケールバーは1μmである。NIH3T3線維芽細胞を、アクチンに結合するライフアクト緑色蛍光タンパク質(GFP)でトランスフェクトし、図5Bに示した。
【0032】
例示的な実施形態によれば、SHGは、58週齢のC57BL/6マウスの腱コラーゲン原線維に適用され得る(図5Cおよび図5Dを参照のこと)。図5Eは、SHG出力の代わりに基本波長1620nmを使用した、C57BL/6マウス脂肪組織上のXZ平面におけるTHG画像を示す。図5Eは、55μmの深度に撮像され得る。THGは非線形屈折率の変化に敏感であるため、脂質液滴の境界を画像化するために使用することができる。特に、SHGおよびTHG組織切片は、余分な染色手順なしでカバースリップ上に直接準備することができる。スペクトル集束(SF)コヒーレント・アンチストークス・ラマン分光法(CARS)は、本開示のマルチモーダル撮像アプローチの別の例示的な実施形態である。ラマン散乱に基づいて、分子の振動指紋領域において化学的に特異的である。CARSは、異なる中心周波数を有する2つのレーザパルスに依拠することができ、周波数差が対象の分子の振動モードに整合するように調整される場合、大幅に強化されることがある。
【0033】
ここで図6を参照すると、本開示の実施形態によるコヒーレント・アンチストークス・ラマン分光法(CARS)レーザシステム300を示すブロック図が示されている。CARSシステム300の場合、PM VLMAレーザシステム310は、1050nmで動作するYbドープファイバフェムト秒(Yb-fs)増幅器320などで拡張され得る。図6は、PM VLMAレーザシステム310と、70%シードレーザ出力を介してシードされた1050nmのYbfs増幅器システム320とを含む例示的なCARSレーザセットアップ300を示す。例示的実施形態によれば、PM VLMAレーザシステム310は、シードレーザ302およびラマンレーザ314と、それに続く、アイソレータ304と、ビームスプリッタ306と、PM VLMA増幅器308と、周期的複リチウムニオブ酸(PPLN)第2の高調波生成(SHG)312とを備えてもよい。両方の出力は、ダイクロイックミラーDC324と、それに続くピックアップミラーPM 326と、ストークスとポンプレーザとの間のパルス遅延を測定するために使用される光検出器PD328とによって結合され得る。遅延制御318は、顕微鏡焦点面において2つのパルスを同期させるために使用され得る。
【0034】
CARSシステム300はまた、タイミング制御316と、遅延318と、Ybfs増幅器320と、ミラー322と、ダイクロイックミラーDC324と、ピックアップミラーPM326と、光検出器PD328とを備え得る。CARSシステム300はまた、レーザ走査顕微鏡330、ミラー332、フィルタ334、第2の光検出器336、ロックイン増幅器338、およびコンピューティングデバイス340などを備え得る。コンピューティングデバイス340は、レーザ走査顕微鏡330およびレーザシステム310等の動作を制御するように構成されてもよく、そこから捕捉された画像を表示するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、少なくとも、プロセッサと、入力デバイスと、出力デバイスと、顕微鏡330およびレーザシステム310を制御し、そこから捕捉されたデータおよび画像等を表示するように構成および適合される、ディスプレイとを備えてもよい。
【0035】
例示的な実施形態によれば、増幅器320は、80MHz発振器の70%出力でシードされ得、約100fs(sech)パルス幅などで最大3Wの平均パワーの出力を生成し得る。出力のスペクトル幅は、1050nmを中心とするほぼ帯域幅制限されたパルスを提供する10nm半値全幅(FWHM)であってもよい。CARSにおけるスペクトル選択性を改善するために、例示的な実施形態は、スペクトル集束技法を利用する2つのレーザパルスの各々に格子ストレッチャを適用し得る。したがって、図7に示すように、マウス脂肪組織を2850cm-1で脂肪族C-H2バンドをプロービングして画像化し、TPEF画像化のために細胞核をDAPIで対比染色することができる。
【0036】
図7Aおよび図7Bは、本開示の実施形態に従って捕捉されたマウス脂肪組織の和周波数コヒーレント・アンチストークス・ラマン分光法(SF-CARS)画像を示す。例示的な実施形態では、脂質液滴は、2850cm-1でのSF-CARSプロービングなどで画像化され得る。細胞核をDAPI(青色)で染色し、TPEFで画像化することができる。図7において、スケールバーは10μmである。レーザパルスの同期のために、2段階のタイミング遅延が、1050nmのYb増幅器をシーディングする出力ブランチに実装され得る。このモジュールは、粗い調整処理のためのファイバピグテール機械的遅延段と、30cmのPM980ファイバのスプールの温度調整に基づくファイバコイル遅延段とを備えることができる。同期パルスは、CARSのために使用され得るだけでなく、2C2P励起を可能にし得る。例えば、緑色蛍光タンパク質は、2つの920nmの光子の同時吸収によって、または1つの820nmおよび別の1050nmの光子の合計によって励起され得る。920nmの仮想2光子波長に対応するこの2C2P励起は、図5Bにおいて実証されており、原則として、3つの波長が異なるフルオロフォアの励起のために同時に存在するという利点を有し得る。
【0037】
本明細書に記載の例示的な実施形態は、非線形顕微鏡法におけるマルチモーダル撮像の必要性に理想的に適合する全ファイバ多用途レーザシステムを示した。本明細書に開示される実施形態は、最大6.8njの高いパルスエネルギーとファイバから直接出る120fsのパルス長とを組み合わせて、1620nmから始まり1990nmに至る370nmにわたる大きなスペクトルカバレッジを示す。追加のSHGを用いると、出力スペクトルカバレッジは、800nmから開始して1μmまで、2.5njパルスエネルギーおよび120fsパルス幅のスペクトルウィンドウで拡張することができる。したがって、本開示の実施形態は、簡単な構成で、しかし優れた結果で、SHG、THG、TPEFおよびSF-CARSを実行する柔軟性を提供する。
【0038】
上記の開示および特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、同様の構成要素を互いに区別するために使用され、特定の順序を説明するために使用され得るが、必ずしもそれに限定されない。これらの用語は、本明細書に記載される本開示の例示的実施形態が、本明細書に図示または説明される順序とは異なる順序で動作され得るように、適切な環境下で互いに互換性があることが理解されるであろう。同様に、方法が一連のステップを含むと本明細書で説明される場合、本明細書で提案されるこれらのステップのシーケンスは、必ずしもこれらのステップが実行され得るシーケンスではない。
【0039】
本開示において使用される用語は、本開示を限定するのではなく、例示的な実施形態を説明するためのものである。本開示において、単数の表現は、特に明示的な記載がない限り、複数の表現を含む。本開示で使用される「備える(comprise)」および/または「備える(comprising)」という用語によって言及される構成要素、ステップ、動作、および/または要素は、1つまたは複数の他の構成要素、ステップ、動作、および/または要素の存在または追加を排除しない。
【0040】
上記であって、本開示は、その例示的な実施形態を参照して説明されている。本開示に開示される全ての例示的な実施形態及び条件付き説明は、本開示が属する技術分野の当業者による本開示の原理及び概念の理解を助けることを意図して説明された。したがって、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で本発明を変形して実施できることを理解できるであろう。種々の特徴を有する多数の実施形態が本明細書に説明されているが、本明細書に議論されない他の組み合わせにおけるそのような種々の特徴の組み合わせは、本開示の実施形態の範囲内であると想定される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B