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特許7467601情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報出力方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20240408BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022509293
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 JP2021000977
(87)【国際公開番号】W WO2021192514
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】P 2020057765
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】荻野 晃一
(72)【発明者】
【氏名】田中 壮詩
(72)【発明者】
【氏名】家永 健吾
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-064691(JP,A)
【文献】特開2016-050900(JP,A)
【文献】国際公開第2017/017761(WO,A1)
【文献】特開2006-023158(JP,A)
【文献】特開2011-154003(JP,A)
【文献】特開2006-023159(JP,A)
【文献】特開2004-286559(JP,A)
【文献】特開2010-019661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、
経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内部を備え、
前記音声案内部は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定し、
前記音声案内部は、前記進路変更案内地の次に前記レーン案内地が存在する場合、前記進路変更案内地と前記レーン案内地との距離が第1の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内し、前記レーン案内地の次に前記進路変更案内地が存在する場合、前記レーン案内地と前記進路変更案内地との距離が前記第1の距離よりも長い第2の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内する情報処理装置。
【請求項2】
前記音声案内部は、
2つのレーン案内地が連続する場合、前記2つのレーン案内地の距離が前記第1の距離以下であるときに、前記2つのレーン案内地を一度に連続して案内し、
2つの進路変更案内地が連続する場合、前記2つの進路変更案内地の距離が前記第1の距離以下であるときに、前記2つの進路変更案内地を一度に連続して案内する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記音声案内部は、2つの案内地を一度に連続して案内する場合、1つ目の案内地の案内音声に続けて2つ目の案内地の案内音声を出力する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
車両の移動に関する情報を提供する情報処理装置により実行される情報出力方法であって、
経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内工程を備え、
前記音声案内工程は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定し、
前記音声案内工程は、前記進路変更案内地の次に前記レーン案内地が存在する場合、前記進路変更案内地と前記レーン案内地との距離が第1の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内し、前記レーン案内地の次に前記進路変更案内地が存在する場合、前記レーン案内地と前記進路変更案内地との距離が前記第1の距離よりも長い第2の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内する情報出力方法。
【請求項5】
コンピュータを備える情報処理装置により実行され、車両の移動に関する情報を提供するプログラムであって、
経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内部として前記コンピュータを機能させ、
前記音声案内部は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定し、
前記音声案内部は、前記進路変更案内地の次に前記レーン案内地が存在する場合、前記進路変更案内地と前記レーン案内地との距離が第1の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内し、前記レーン案内地の次に前記進路変更案内地が存在する場合、前記レーン案内地と前記進路変更案内地との距離が前記第1の距離よりも長い第2の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内するプログラム。
【請求項6】
請求項に記載のプログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声による経路案内に関する。
【背景技術】
【0002】
車両などに搭載され、目的地への経路案内を行うナビゲーション装置が知られている。特許文献1は、連続する案内ポイントの距離が近く、案内が重なる場合に、第1の案内ポイントに対する音声案内に第2案内ポイントに対する音声案内を付加して出力する連続案内を行うことを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-202147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なナビゲーション装置は、表示部に車両周辺の地図や案内経路などを詳細に表示して目的地への経路案内を行う。一方、地図や案内経路などを表示せず、もっぱら音声出力により目的地への経路案内を行うナビゲーション装置(以下、「音声ナビゲーション装置」と呼ぶ。)が知られている。音声ナビゲーション装置の場合、音声案内の内容が一般的なナビゲーション装置とは異なるため、連続案内の方法も一般的なナビゲーション装置とは異なってくる。
【0005】
一例では、一般的なナビゲーション装置において直進するだけのため案内が行われない地点であっても、音声ナビゲーション装置においてはレーンの移動に注意すべき場合等に案内を行う必要があると判断される場合がある。その際、連続案内を一般的なナビゲーション装置と同じ条件で行うだけでは、直進した先をどのように曲がるのかを運転手に伝えるタイミングが遅くなりすぎてしまうことが考えられる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、主として音声により経路案内を行う場合に、適切に連続案内を実施することが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項に記載の発明は、車両の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内部を備え、前記音声案内部は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定し、前記音声案内部は、前記進路変更案内地の次に前記レーン案内地が存在する場合、前記進路変更案内地と前記レーン案内地との距離が第1の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内し、前記レーン案内地の次に前記進路変更案内地が存在する場合、前記レーン案内地と前記進路変更案内地との距離が前記第1の距離よりも長い第2の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内する
【0008】
また、請求項に記載の発明は、車両の移動に関する情報を提供する情報処理装置により実行される情報出力方法であって、経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内工程を備え、前記音声案内工程は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定し、前記音声案内工程は、前記進路変更案内地の次に前記レーン案内地が存在する場合、前記進路変更案内地と前記レーン案内地との距離が第1の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内し、前記レーン案内地の次に前記進路変更案内地が存在する場合、前記レーン案内地と前記進路変更案内地との距離が前記第1の距離よりも長い第2の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内する
【0009】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータを備える情報処理装置により実行され、車両の移動に関する情報を提供するプログラムであって、経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内部として前記コンピュータを機能させ、前記音声案内部は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定し、前記音声案内部は、前記進路変更案内地の次に前記レーン案内地が存在する場合、前記進路変更案内地と前記レーン案内地との距離が第1の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内し、前記レーン案内地の次に前記進路変更案内地が存在する場合、前記レーン案内地と前記進路変更案内地との距離が前記第1の距離よりも長い第2の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内する
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。
図2】音声案内装置の概略構成の一例を示す。
図3】進路変更案内地及びレーン案内地の例を示す。
図4】連続案内を行うか否かの判定基準を示す。
図5】案内経路の例を示す。
図6】案内経路の他の例を示す。
図7】経路案内処理のフローチャートである。
図8】第2実施例に係る音声案内システムの構成例である。
図9】サーバ装置の概略構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の1つの好適な実施形態では、車両の移動に関する情報を提供する情報処理装置であって、経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内部を備え、前記音声案内部は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定する。
【0012】
上記の情報処理装置は、経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内部を備える。音声案内部は、レーン案内地と、進路変更案内地とが連続する場合に、レーン案内地と進路変更案内地の順序及び距離に応じて、レーン案内地と進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定する。これにより、レーン案内地と進路変更案内地の順序及び距離に応じて、適切に連続案内が行われる。
【0013】
上記の情報処理装置の一態様では、前記音声案内部は、前記進路変更案内地の次に前記レーン案内地が存在する場合、前記進路変更案内地と前記レーン案内地との距離が第1の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内し、前記レーン案内地の次に前記進路変更案内地が存在する場合、前記レーン案内地と前記進路変更案内地との距離が前記第1の距離よりも長い第2の距離以下であるときに、前記進路変更案内地と前記レーン案内地を一度に連続して案内する。
【0014】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記音声案内部は、2つのレーン案内地が連続する場合、前記2つのレーン案内地の距離が前記第1の距離以下であるときに、前記2つのレーン案内地を一度に連続して案内し、2つの進路変更案内地が連続する場合、前記2つの進路変更案内地の距離が前記第1の距離以下であるときに、前記2つの進路変更案内地を一度に連続して案内する。
【0015】
上記の情報処理装置の他の一態様では、前記音声案内部は、2つの案内地を一度に連続して案内する場合、1つ目の案内地の案内音声に続けて2つ目の案内地の案内音声を出力する。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態では、車両の移動に関する情報を提供する情報処理装置により実行される情報出力方法は、経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内工程を備え、前記音声案内工程は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定する。これにより、レーン案内地と進路変更案内地の順序及び距離に応じて、適切に連続案内が行われる。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータを備える情報処理装置により実行され、車両の移動に関する情報を提供するプログラムは、経路に基づいて、走行すべき直進レーンを案内するレーン案内地において走行すべき直進レーンを案内し、進路変更案内地において進路変更を案内する音声案内部として前記コンピュータを機能させ、前記音声案内部は、前記レーン案内地と、前記進路変更案内地とが連続する場合に、前記レーン案内地と前記進路変更案内地の順序及び距離に応じて、前記レーン案内地と前記進路変更案内地を個別に案内するか、一度に連続して案内するかを決定する。このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記の情報処理装置を実現することができる。このプログラムは記憶媒体に記憶して使用することができる。
【実施例
【0018】
以下、図面を参照して本発明の好適な各実施例について説明する。
<第1実施例>
[システム構成]
図1は、本発明の情報処理装置の第1実施例に係る音声案内システムの構成例を示す。音声案内システムは、車両Veと、音声案内装置1とを有する。
【0019】
音声案内装置1は、車両Veと共に移動し、案内対象となる経路(「案内経路」とも呼ぶ。)に沿って車両Veが走行するように、音声を主とした経路案内を行う。なお、「音声を主とした経路案内」は、案内経路に沿って車両Veを運転するために必要な情報をユーザが少なくとも音声のみから把握可能な経路案内を指し、音声案内装置1が現在位置周辺の地図などを補助的に表示することを除外するものではない。本実施例では、音声案内装置1は、少なくとも、案内が必要な経路上の地点(「案内地点」とも呼ぶ。)に関する情報を音声により出力する。ここで、案内地点は、例えば車両Veの右左折を伴う交差点、その他、案内経路に沿って車両Veが走行するために重要な通過地点が該当する。音声案内装置1は、例えば、車両Veから次の案内地点までの距離、当該案内地点での進行方向などの案内地点に関する音声案内を行う。以後では、案内経路に対する案内に関する音声を「経路音声案内」とも呼ぶ。
【0020】
なお、音声案内装置1は、車両Veに備え付けられた又は取り付けられた車載機であってもよく、スマートフォンなどの車両に持ち込まれて利用される携帯端末であってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、車両Veに組み込まれてもよい。音声案内装置1は、「情報処理装置」の一例である。
【0021】
[装置構成]
図2は、音声案内装置1の概略構成の一例を示す。音声案内装置1は、主に、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、制御部14と、センサ群15と、表示部16と、音声出力部17と、を有する。音声案内装置1内の各要素は、バスライン10を介して相互に接続されている。
【0022】
通信部11は、制御部14の制御に基づき、他の端末とのデータ通信を行う。通信部11は、例えば、後述する地図DB(DataBase)4を更新するための地図データを図示しない地図管理サーバから受信してもよい。
【0023】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部12には、音声案内装置1が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。上述のプログラムは、経路案内を音声により行うためのアプリケーションプログラム、音楽を再生するためのアプリケーションプログラム、音楽以外のコンテンツ(テレビ等)を出力するためのアプリケーションプログラムなどを含んでもよい。また、記憶部12は、制御部14の作業メモリとして使用される。なお、音声案内装置1が実行するプログラムは、記憶部12以外の記憶媒体に記憶されてもよい。
【0024】
また、記憶部12は、地図DB(DataBase)4を記憶する。地図DB4には、経路案内に必要な種々のデータが記録されている。地図DB4は、例えば、道路網をノードとリンクの組合せにより表した道路データ、及び、目的地、立寄地、又はランドマークの候補となる施設を示す施設データなどを含むデータベースである。地図DB4は、制御部14の制御に基づき、通信部11が地図管理サーバから受信する地図情報に基づき更新されてもよい。
【0025】
入力部13は、ユーザが操作するためのボタン、タッチパネル、リモートコントローラ、音声入力装置等である。表示部16は、制御部14の制御に基づき表示を行うディスプレイ等である。音声出力部17は、制御部14の制御に基づき音を出力するスピーカ等である。
【0026】
センサ群15は、外界センサ18と、内界センサ19とを含む。外界センサ18は、例えば、カメラ、ライダ、レーダ、超音波センサ、赤外線センサ、ソナーなどの車両Veの周辺環境を認識するための1又は複数のセンサである。内界センサ19は、車両Veの測位を行うセンサであり、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、ジャイロセンサ、IMU(Inertial Measurement Unit)、車速センサ、又はこれらの組合せである。なお、センサ群15は、制御部14がセンサ群15の出力から車両Veの位置を直接的に又は間接的に(即ち推定処理を行うことによって)導出可能なセンサを有していればよい。
【0027】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)などを含み、音声案内装置1の全体を制御する。例えば、制御部14は、センサ群15の1又は複数のセンサの出力に基づき、車両Veの位置(進行方向の向きも含む)を推定する。また、制御部14は、入力部13により目的地が指定された場合に、当該目的地までの経路である案内経路を示す経路情報を生成し、当該経路情報と推定した車両Veの位置情報と地図DB4とに基づき、経路案内を行う。この場合、制御部14は、音声出力部17を制御することで、経路音声案内を音声出力部17に出力させる。また、制御部14は、表示部16を制御することで、再生中の音楽の情報、映像コンテンツ、又は現在位置周辺の地図などの表示を行う。なお、制御部14及び音声出力部17は、音声案内部の一例である。
【0028】
なお、制御部14が実行する処理は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組み合わせ等により実現してもよい。また、制御部14が実行する処理は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、制御部14が本実施例において実行するプログラムを実現してもよい。このように、制御部14は、プロセッサ以外のハードウェアにより実現されてもよい。
【0029】
図2に示す音声案内装置1の構成は一例であり、図2に示す構成に対して種々の変更がなされてもよい。例えば、地図DB4を記憶部12が記憶する代わりに、制御部14が通信部11を介して経路案内に必要な情報を、図示しない地図管理サーバから受信してもよい。他の例では、音声案内装置1は、音声出力部17を備える代わりに、音声案内装置1とは別体に構成された音声出力部17と電気的に、または公知の通信手段によって接続することで、当該音声出力部17に音声の出力を実行させてもよい。この場合、音声出力部17は、車両Veに備えられたスピーカであってもよい。さらに別の例では、音声案内装置1は、表示部16を備えなくともよい。この場合、音声案内装置1は、表示に関する制御を全く行わなくともよく、有線又は無線により、車両Ve等に備えられた表示部と電気的に接続することで、当該表示部に所定の表示を実行させてもよい。同様に、音声案内装置1は、センサ群15を備える代わりに、車両Veに備え付けられたセンサが出力する情報を、車両VeからCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに基づき取得してもよい。
【0030】
[レーン案内地]
次に、音声案内装置1によるレーン案内について説明する。一般的なナビゲーション装置では表示部に地図及び案内経路が表示されるため、基本的に車両が進路変更を行う地点で音声案内が行われる。この音声案内を「進路変更案内」と呼び、進路変更案内を行う交差点などの地点を「進路変更案内地」と呼ぶ。図3(A)は、進路変更案内地の例を示す。車両Veが案内経路Rに沿って走行しており、案内経路に従って交差点Aを右折すべきである場合、例えば「交差点Aを右折です。」など、交差点Aで右折を促す案内音声が出力される。
【0031】
これに対し、音声案内装置1の場合、車両が進路変更を行う必要がない地点においても、車両が走行すべき直進レーンを指示する音声案内が行われる。この音声案内を「レーン案内」と呼び、レーン案内が行われる交差点などの地点を「レーン案内地」と呼ぶ。図3(B)は、レーン案内地の例を示す。車両Veが案内経路Rに沿って走行しており、交差点Aを直進すべきであるが、交差点Aには右折レーンがある場合、音声案内装置1は、例えば「交差点Aを直進です。左側レーンを走行して下さい。」などの案内を行う。レーン案内地は、図3(B)の例のように、右折専用レーンや左折専用レーンを有する交差点に設定される。また、レーン案内地は、次の進路変更案内地での進路変更に備えて走行すべきレーンを指示する場合にも設定される。例えば、案内経路が交差点Aの次の交差点Bで右折を示している場合、次の交差点Bで右折しやすいように、交差点Aをレーン案内地として、右側の直進レーンを走行するよう音声案内を行う。このように、レーン案内は、交差点などにおいて、進路変更は行わないが、直進すべきレーンをユーザに伝えるために行われる。このように、音声案内装置1は、案内経路に従い、必要な地点でレーン案内と進路変更案内を行う。
【0032】
[連続案内]
案内経路上で連続する2つの案内地の距離が近い場合、連続案内が行われる。ここで、連続案内を行うか否かは、連続する2つの案内地の距離に基づいて決定される。具体的に、図4(A)に示すように、案内経路R上に連続する案内地1及び案内地2がある場合、音声案内装置1は、2つの案内地の距離Dを所定の連続案内判定距離Dtと比較する。そして、音声案内装置1は、2つの案内地の距離Dが連続案内判定距離Dtより長い場合、連続案内は行わず、2つの案内地を個別に案内する。一方、音声案内装置1は、2つの案内地の距離Dが連続案内判定距離Dt以下である場合、連続案内を行う。
【0033】
ここで、音声案内装置1では、音声案内を行う案内地としてレーン案内地と進路変更案内地があるため、それら連続する2つの案内地の組み合わせ、及び、それらの距離Dに応じて、連続案内判定距離Dtを設定する。図4(B)は、連続案内判定距離の設定例を示す。いま、図4(A)に示すように、案内経路R上に2つの連続する案内地、即ち、案内1と案内地2があるとする。各案内地は、レーン案内地と進路変更案内地のいずれかであるので、それらの組み合わせは図4(B)に示すように4つのケースに分類される。以下、各ケースについて説明する。
【0034】
ケース1の例を図5(A)に示す。ケース1では、案内地1、案内地2がともに進路変更案内地である。この場合、図4(B)に示すように、連続案内判定距離Dtは第1の距離(350m)に設定される。音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが350mより長い場合、案内地1と案内地2で個別に進路変更案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1を右折です。」と案内し、案内地2において「案内地2を左折です。」と案内する。一方、音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが350m以下である場合、連続案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1を右折です。その先の案内地2を左折です。」と案内する。なお、案内地1で連続案内を行った場合、案内地2では案内を省略してもよいし、案内地2のみに関する案内を行ってもよい。
【0035】
ケース2の例を図5(B)に示す。ケース2では、案内地1が進路変更案内地であり、案内地2がレーン案内地である。この場合、図4(B)に示すように、連続案内判定距離Dtは第1の距離(350m)に設定される。音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが350mより長い場合、案内地1で進路変更案内を行い、案内地2でレーン案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1を右折です。」と案内し、案内地2において「案内地2は左側レーンを走行して下さい。」と案内する。一方、音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが350m以下である場合、連続案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1を右折です。その先の案内地2は左側レーンを走行して下さい。」と案内する。
【0036】
ケース3の例を図6(A)に示す。ケース3では、案内地1がレーン案内地であり、案内地2が進路変更案内地である。この場合、図4(B)に示すように、連続案内判定距離Dtは第1の距離(350m)よりも長い第2の距離(700m)に設定される。これは、案内地2における案内情報をユーザに早めに伝えるためである。仮にケース3の連続案内判定距離Dtを他のケースと同様に第1の距離に設定すると、案内地1と案内地2の距離Dが350m以下でない限り、連続案内が行われないことになる。しかし、ケース3では、案内地1はレーン案内地であるので、連続案内が行われないと、案内地1で走行すべき直進レーンが案内された後、車両が案内地2に近づくまでの間、ユーザはなぜそのレーンを走行すべきなのかがわからず、不安になることが予想される。また、前述のように、レーン案内は、その次の案内地における進路変更に備えて走行すべき直進レーンを案内することも多いので、次の案内地が進路変更案内地である場合には、それとペアで同時に案内を行った方がユーザは走行すべき経路を理解しやすいと考えられる。そこで、レーン案内地の次に進路変更案内地が来る場合には、それ以外の場合よりも連続案内判定距離Dtを長くし、連続案内が行われやすくする。
【0037】
具体的に、音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが700mより長い場合、案内地1でレーン案内を行い、案内地2で進路変更案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1は右側レーンを走行してください。」と案内し、案内地2において「案内地2を右折です。」と案内する。一方、音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが700m以下である場合、連続案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1は右側レーンを走行してください。その先の案内地2を右折です。」と案内する。
【0038】
ケース4の例を図6(B)に示す。ケース4では、案内地1、案内地2がともにレーン案内地である。この場合、図4(B)に示すように、連続案内判定距離Dtは第1の距離(350m)に設定される。音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが350m以上である場合、案内地1と案内地2で個別にレーン案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1は左側レーンを走行して下さい。」と案内し、案内地2において「案内地2は左側レーンを走行して下さい。」と案内する。一方、音声案内装置1は、案内地1と案内地2の距離Dが350m以下である場合、連続案内を行う。例えば、音声案内装置1は、案内地1において「案内地1は左側レーンを走行して下さい。その先の案内地2は左側レーンを走行して下さい。」と案内する。
【0039】
[経路案内処理]
図7は、上記の連続案内を含む経路案内処理のフローチャートである。ユーザにより目的地が設定され、経路案内が開始されると、音声案内装置1は、車両の現在位置から2つの案内地(1番目と2番目の案内地)の情報を取得する(ステップS11)。次に、音声案内装置1は、2つの案内地がレーン案内地、進路変更案内地の順序であるか否か、即ち、上記のケース3に該当するか否かを判定する(ステップS12)。
【0040】
2つの案内地がレーン案内地、進路変更案内地の順序でない場合(ステップS12:No)、音声案内装置1は、第1の距離(300m)を用いて連続案内を行うか否かを判定する(ステップS13)。一方、2つの案内地がレーン案内地、進路変更案内地の順序である場合(ステップS12:Yes)、音声案内装置1は、第1の距離(300m)よりも長い第2の距離(700m)を用いて連続案内を行うか否かを判定する(ステップS14)。
【0041】
次に、音声案内装置1は、1番目の案内地の案内タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS15)。1番目の案内地の案内タイミングが到来していない場合(ステップS15:No)、音声案内装置1は案内タイミングの到来を待つ。一方、1番目の案内地の案内タイミングが到来した場合(ステップS15:Yes)、音声案内装置1は音声案内を行う(ステップS16)。この際、ステップS13又はS14で連続案内を行うと判定されている場合、音声案内装置1は、1番目の案内地の案内と2番目の案内地の案内を連続案内として行う。一方、連続案内を行うと判定されていない場合、音声案内装置1は、1番目の案内地の案内のみを行う。
【0042】
次に、音声案内装置1は、車両が目的地に到着したか否かを判定する(ステップS17)。車両が目的地に到着していない場合(ステップS17:No)、処理はステップS11へ戻る。ここで、ステップS16で1番目の案内地の案内のみが行われた場合、音声案内装置1は、ステップS11で、案内が行われていない次の2つの案内地(2番目と3番目の案内地)の情報を取得する。一方、ステップS16で連続案内が行われた場合、音声案内装置1は、ステップS11で、案内が行われていない次の2つの案内地(3番目と4番目の案内地)の情報を取得する。一方、車両が目的地に到着した場合(ステップS17:Yes)、経路案内処理は終了する。
【0043】
このように、本実施例によれば、案内経路上の連続する2つの案内地が、レーン案内地、進路変更案内地の順序で到来する場合には、それ以外の場合よりも連続案内判定距離を長くする。これにより、レーン案内地において、その次の進路変更案内地に関する情報が同時に音声出力されやすくなり、ユーザはその次の進路変更のことを意識して走行することが可能となる。
【0044】
<第2実施例>
図8は、第2実施例に係る音声案内システムの構成例である。第2実施例に係る音声案内システムは、主に、車両Veと、音声案内装置1Aと、サーバ装置2とを有する。なお、第1実施例と同様の構成要素については、第1実施例の構成要素と適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
音声案内装置1Aは、上述の第1実施例において説明した音声案内装置1と同様の構成(図2参照)を有する。なお、本変形例では、地図DB4に基づく経路探索処理及び経路案内処理をサーバ装置2が行うため、音声案内装置1Aは、地図DB4を有しなくともよい。そして、音声案内装置1Aは、ユーザにより目的地等を指定する入力を入力部13により検知した場合に、センサ群15が出力する車両Veの位置情報、及び、指定された目的地に関する情報などを含むアップロード信号「S1」をサーバ装置2に送信する。また、音声案内装置1Aは、車両Veの進行時において、車両Veの位置情報を含むアップロード信号S1をサーバ装置2に供給する。また、音声案内装置1Aは、車両Veの進行時において、サーバ装置2から音声出力に関する制御信号「S2」を受信した場合、制御信号S2に基づき、音声出力部17により音声出力を行う。この場合、音声案内装置1Aは、制御信号S2に基づき、経路音声案内に関する出力を行う。
【0046】
サーバ装置2は、音声案内装置1Aから受信する目的地等を含むアップロード信号S1に基づき、車両Veが走行すべき案内経路を示す経路情報を生成する。そして、サーバ装置2は、その後に音声案内装置1Aが送信するアップロード信号S1が示す車両Veの位置情報とサーバ装置2が保持する経路情報とに基づき、経路音声案内の出力に関する制御信号S2を生成する。なお、サーバ装置2は、上述した連続する2つの案内地の種類(レーン案内地か進路変更案内地か)とそれらの距離とに応じて、連続案内を行うことを決定する。そして、サーバ装置2は、生成した制御信号S2を、音声案内装置1Aに送信する。
【0047】
図9は、サーバ装置2の概略構成の一例を示す。サーバ装置2は、主に、通信部21と、記憶部22と、制御部24とを有する。サーバ装置2内の各要素は、バスライン20を介して相互に接続されている。
【0048】
通信部21は、制御部24の制御に基づき、音声案内装置1Aなどの外部装置とのデータ通信を行う。記憶部22は、RAM、ROM、不揮発性メモリ(ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどを含む)などの各種のメモリにより構成される。記憶部22は、サーバ装置2が所定の処理を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部22は、地図DB4を含んでいる。制御部24は、CPU、GPUなどを含み、サーバ装置2の全体を制御する。また、制御部24は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することで、上述の実施例において説明した音声案内装置1の処理の少なくとも一部を実行する。例えば、制御部24は、音声案内装置1Aから通信部21を介して受信するアップロード信号S1に基づき、案内経路を示す経路情報の生成、及び、経路音声案内の出力に関する制御信号S2の生成を行う。そして、制御部24は、生成した制御信号S2を、通信部21により音声案内装置1Aに送信する。
【0049】
サーバ装置2は、アップロード信号S1及び地図DB4に基づき、図7に示すフローチャートの処理を実行する。この場合、サーバ装置2は、目的地及びセンサ群15の出力に関する情報を含むアップロード信号S1に基づき経路情報を生成する。また、サーバ装置2は、音声案内装置1Aから送信されるセンサ群15の出力に関するアップロード信号S1に基づき、車両Veの位置情報を生成又は取得する。そして、サーバ装置2は、案内経路及び車両Veの位置情報に基づいて、連続案内を行う場合を含む音声案内を出力するための制御信号S2を生成し、当該制御信号S2を音声案内装置1Aに送信する。
【0050】
このように、サーバ装置2が経路案内に関する音声案内装置1Aの制御を実質的に行う場合であっても、音声案内システムは、実施例と同様、車両Veが経路音声案内の通りに案内地点を進行できたことをユーザに好適に通知することができる。第2実施例において、サーバ装置2は、「情報処理装置」の一例である。
【0051】
なお、上述した各実施例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータである制御部等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。
【0052】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0053】
1 音声案内装置
2 サーバ装置
4 地図DB
11、21 通信部
12、22 記憶部
13 入力部
14、24 制御部
15 センサ群
16 表示部
17 音声出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9