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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】デュワー転倒装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/00 20060101AFI20240408BHJP
   F17C 13/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B65D23/00 J
F17C13/00 302Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022522887
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2020056066
(87)【国際公開番号】W WO2021076953
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】16/657,292
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520244016
【氏名又は名称】クライオポート,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100163061
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】オブラッド,フランク
(72)【発明者】
【氏名】バンウェゼル,カール
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-091269(JP,A)
【文献】実開昭54-168261(JP,U)
【文献】特表2008-518181(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0247204(US,A1)
【文献】特開2018-203378(JP,A)
【文献】米国特許第04735238(US,A)
【文献】国際公開第2010/134102(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体または気体を貯蔵するように構成された第1のデュワーと、
デュワー転倒装置であって、
前記第1のデュワーを捕捉するように構成されたクレードル
前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すための係合位置において、前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すために前記クレードルを転倒または傾斜させるように構成された釣合いおもり組立体
前記釣合いおもり組立体に結合され、かつ、前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すための前記係合位置にあるときに前記釣合いおもり組立体の釣合いおもりを下げるように構成された、ハンドルと、
前記クレードルに結合され、かつ、前記ハンドルを選択的にロックおよびロック解除し、前記係合位置からおよび前記係合位置への前記ハンドルの移動を選択的に許可および禁止するように構成されたハンドルラッチであって、ロック位置では、前記ハンドルラッチは、前記ハンドルと機械的に接触して前記ハンドルに直接機械的にロックされ、前記係合位置への移動を防止する、ハンドルラッチと、
前記第1のデュワーが傾斜または反転されたときに前記液体または気体を受け入れるための第2のデュワーまたは溜め桝のうちの一方と、
を含む、デュワー転倒装置と、
を備える、デュワー転倒システム。
【請求項2】
前記デュワー転倒装置が、
前記第1のデュワーが傾斜または反転されたときに前記第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの一方を前記第1のデュワーの中心線の下に引っ張るように構成された摺動デバイスをさらに含む、請求項1に記載のデュワー転倒システム。
【請求項3】
前記デュワー転倒装置が、
前記クレードルに結合され、かつ、前記第1のデュワーから前記液体または気体を注ぎ出すために前記クレードルが転倒または傾斜されるときに前記第1のデュワーの蓋を保持するように構成された、蓋受けをさらに含む、請求項1に記載のデュワー転倒システム。
【請求項4】
前記デュワー転倒装置が、
ロッキングラッチを有しかつ前記クレードルに結合された保持バンドであって、前記第1のデュワーを含む前記クレードルが傾斜または反転されるときに前記クレードル内の前記第1のデュワーを保持するように構成された、保持バンドをさらに含む、請求項1に記載のデュワー転倒システム。
【請求項5】
前記デュワー転倒装置が、
前記クレードルおよび前記第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの一方に結合されたベースと、
前記ベースに結合され、かつ、前記ベース、前記クレードル、および前記第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの少なくとも一方の移動を可能にするように構成された、複数の車輪と、をさらに含む、請求項1に記載のデュワー転倒システム。
【請求項6】
デュワーローラをさらに備え、
前記デュワーローラは、前記第1のデュワーが前記デュワーローラに設置されたときに前記第1のデュワーを移動させるように構成されている、請求項1に記載のデュワー転倒システム。
【請求項7】
第1のデュワーを捕捉するように構成されたクレードルと、
前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すための係合位置において、前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すために前記クレードルを転倒または傾斜させるように構成された釣合いおもり組立体と、
前記釣合いおもり組立体に結合され、かつ、前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すための前記係合位置にあるときに前記釣合いおもり組立体の釣合いおもりを下げるように構成された、ハンドルと、
前記クレードルに結合され、かつ、前記ハンドルを選択的にロックおよびロック解除し、前記係合位置からおよび前記係合位置への前記ハンドルの移動を選択的に許可および禁止するように構成されたハンドルラッチであって、ロック位置では、前記ハンドルラッチは、前記ハンドルと機械的に接触して前記ハンドルに直接機械的にロックされ、前記係合位置への移動を防止する、ハンドルラッチと、
前記第1のデュワーが傾斜または反転されたときに前記液体または気体を受け入れるための第2のデュワーまたは溜め桝と、を備える、デュワー転倒装置。
【請求項8】
前記第1のデュワーが傾斜または反転されたときに前記第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの少なくとも一方を前記第1のデュワーの中心線の下に引っ張るように構成された摺動デバイスをさらに備える、請求項7に記載のデュワー転倒装置。
【請求項9】
前記クレードルに結合され、かつ、前記第1のデュワーから前記液体または気体を注ぎ出すために前記クレードルが転倒または傾斜されるときに前記第1のデュワーの蓋を保持するように構成された、蓋受けをさらに備える、請求項7に記載のデュワー転倒装置。
【請求項10】
前記クレードルに結合され、かつ、前記第1のデュワーを含む前記クレードルが傾斜または反転されるときに前記クレードル内の前記第1のデュワーを保持するように構成された、ロッキングラッチまたはバンドをさらに備える、請求項7に記載のデュワー転倒装置。
【請求項11】
前記クレードルおよび前記第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの少なくとも一方に結合されたベースと、
前記ベースに結合され、かつ、前記ベース、前記クレードル、および前記第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの少なくとも一方の移動を可能にするように構成された、複数の車輪と、をさらに備える、請求項7に記載のデュワー転倒装置。
【請求項12】
前記第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの一方が、前記溜め桝である、請求項7に記載のデュワー転倒装置。
【請求項13】
前記クレードルが、モジュール式のクレードルまたは交換可能なクレードルであり、
前記モジュール式のクレードル又は交換可能なクレードルは、取り外されることができるように構成され、且つ、異なるサイズのまたは異なる形状の別のクレードルと交換されるように構成され、
前記異なるサイズのまたは異なる形状の別のクレードルは、異なるサイズのまたは異なる形状の別のデュワーを受け入れるように構成されている、請求項7に記載のデュワー転倒装置。
【請求項14】
第1のデュワーを捕捉するように構成されたクレードルと、
前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すための係合位置において、前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すために前記クレードルを転倒または傾斜させるように構成された釣合いおもり組立体と、
前記釣合いおもり組立体に結合され、かつ、前記第1のデュワーから液体または気体を注ぎ出すための前記係合位置にあるときに前記釣合いおもり組立体の釣合いおもりを下げるように構成された、ハンドル
前記クレードルに結合され、かつ、前記ハンドルを選択的にロックおよびロック解除し、前記係合位置からおよび前記係合位置への前記ハンドルの移動を選択的に許可および禁止するように構成されたハンドルラッチであって、ロック位置では、前記ハンドルラッチは、前記ハンドルと機械的に接触して前記ハンドルに直接機械的にロックされ、前記係合位置への移動を防止する、ハンドルラッチと、
を備える、デュワー転倒装置。
【請求項15】
前記第1のデュワーが傾斜または反転されたときに前記液体または気体を受け入れるための溜め桝をさらに備える、請求項14に記載のデュワー転倒装置。
【請求項16】
前記ハンドルが前記係合位置に位置決めされているときに、前記第1のデュワーが前記溜め桝の真上に転倒、傾斜、または反転され、その結果、前記液体または気体が前記溜め桝内に注ぎ出るように、前記釣合いおもり組立体が転倒、傾斜、または反転される、請求項15に記載のデュワー転倒装置。
【請求項17】
前記釣合いおもり組立体が、ばねまたは滑動体を含み、前記釣合いおもり組立体が前記溜め桝の上で転倒、傾斜、または反転されたときに、前記ばねまたは滑動体が、前記第1のデュワーの中心線の下に前記溜め桝を移動させる、請求項16に記載のデュワー転倒装置。
【請求項18】
前記クレードルおよび第2のデュワーまたは前記溜め桝のうちの少なくとも一方に結合されたベースと、
前記ベースに結合され、かつ、前記デュワー転倒装置の移動を可能にするように構成された、複数の車輪と、
前記デュワー転倒装置の移動を防止するために前記複数の車輪をロックするように構成された、ロッキングデバイスと、をさらに備える、請求項15に記載のデュワー転倒装置。
【請求項19】
前記クレードルが、様々なサイズまたは形状のデュワーを受け入れるように調整可能である、請求項14に記載のデュワー転倒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年10月18日に出願され「デュワー転倒装置」と題された米国特許出願第16/657,292号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
本明細書は、極低温輸送に使用するための貯蔵デバイスを搬送する、保管する、空にする、および再充填するためのシステム、デバイス、または装置に関する。
【背景技術】
【0003】
生体試料、標本、または他の物質の輸送は、輸送物質が損なわれないまたは劣化しないことを確実にするために、時には非常に低い温度でまたは極低温で行われなければならない。多くの場合、「デュワー」として知られる断熱デバイスが使用され、(液体窒素などの)冷却剤が詰め込まれ、そして物質がデュワー内で低温に保たれる。しかし、冷却剤は、最終的には室温まで暖まり、デュワーを再び使用するためには、冷却剤をデュワーから取り出されなければならない。
【0004】
研究室の技術者もしくは搬送技術者、輸送者、または他の専門家は、規制上の要件を満たすために、輸送に先立ってデュワーなどのドライベーパーシッパー内の液体窒素などの全ての液体または気体を空にしてしまわなければならない。極低温の液体または気体は、ドライベーパーシッパー内に残っていてはならず、または、搬送もしくは輸送中にシッパーから漏れてはならない。ドライベーパーシッパーが24時間の期間にわたって液体窒素で満たされるかまたは液体窒素を充填された後、液体窒素は、ドライベーパーシッパーの吸収性ライナに浸透し、それが、一定の期間にわたってシッパーを低温に保つ。
【0005】
現在のところ、輸送に先立ち、研究室の技術者もしくは搬送技術者、輸送者、または他の専門家は、シッパーを物理的に持ち上げて液体窒素をシッパーから注ぎ出さなければならない。これは、2人の人員がシッパーを持ち上げて、液体または気体内容物が空にされている間、シッパーを傾斜したまたは反転した位置に保持することを必要とし得る。シッパーは、120ポンド(54.43kg)以上の重さがある場合があり、また、1分から2分の間、注ぎ位置(pouring position)に保持されることを必要とし得る。これは、困難でもあり、潜在的に危険でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、液体もしくは気体を注ぎ、また、液体もしくは気体を別のシッパーを充填しかつ/または満たす際に再使用するために回収するのに必要とされる労働力量を減少させるためのシステム、デバイス、または装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般に、本明細書において説明される主題の1つの態様は、デュワー転倒システム(dewar tipping system)において具現化される。デュワー転倒システムは、任意の液体または気体をデュワーから溜め桝(catch basin)もしくは別のデュワー内に注ぐか、排出するか、または他の方法で流動させるために、デュワーもしくは他の貯蔵容器を持ち上げるか、転倒させるか、注がせるか、傾斜させるか、または他の方法で移動させる。
【0008】
デュワー転倒システムは、第1のデュワーを含む。第1のデュワーは、液体または気体を貯蔵するように構成される。デュワー転倒システムは、デュワー転倒装置を含む。デュワー転倒装置は、クレードルを含む。クレードルは、第1のデュワーを捕捉するように構成される。デュワー転倒装置は、釣合いおもり組立体を含む。釣合いおもり組立体は、液体または気体を第1のデュワーから注ぎ出すために、クレードルを転倒または傾斜させるように構成される。デュワー転倒装置は、ハンドルを含む。ハンドルは、釣合いおもり組立体に結合される。ハンドルは、係合位置にあるときに釣合いおもり組立体を作動させるように構成される。デュワー転倒システムは、第2のデュワーまたは溜め桝のうちの一方を含む。第2のデュワーまたは溜め桝のうちの一方は、第1のデュワーが傾斜または反転されたときに、液体または気体を受け入れる。
【0009】
上記その他の実施形態は、場合により、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含んでもよい。デュワー転倒装置は、摺動デバイスを含んでもよい。摺動デバイスは、第1のデュワーが傾斜または反転されたときに第2のデュワーまたは溜め桝のうちの一方を第1のデュワーの中心線の下に引っ張るように構成されてもよい。デュワー転倒装置は、蓋受け(lid receptacle)を含んでもよい。蓋受けは、クレードルに結合されてよく、また、液体または気体を第1のデュワーから注ぎ出すためにクレードルが転倒または傾斜されるときに第1のデュワーの蓋を保持するように構成されてよい。デュワー転倒装置は、保持バンドを含んでもよい。保持バンドは、ロッキングラッチを有してもよく、かつ、クレードルに結合されてもよい。ロックラッチを含む保持バンドは、第1のデュワーを含むクレードルが傾斜または反転されるときにクレードル内の第1のデュワーを保持するように構成されてもよい。デュワー転倒装置は、クレードルおよび第2のデュワーまたは溜め桝のうちの一方に結合されたベースを含んでもよい。デュワー転倒装置は、複数の車輪を含んでもよい。複数の車輪は、ベースに結合されてもよく、かつ、ベース、クレードル、および第2のデュワーまたは溜め桝のうちの少なくとも一方の移動を可能にするように構成されてもよい。デュワー転倒システムは、デュワーローラを含む。デュワーローラは、第1のデュワーがデュワーローラに設置されたときに第1のデュワーを移動させるように構成されてもよい。
【0010】
別の態様では、主題は、デュワー転倒装置において具現化される。デュワー転倒装置は、第1のデュワーを捕捉するように構成されたクレードルを含む。デュワー転倒装置は、釣合いおもり組立体を含む。釣合いおもり組立体は、液体または気体を第1のデュワーから注偽出すためにクレードルを転倒または傾斜させるように構成される。デュワー転倒装置は、ハンドルを含む。ハンドルは、釣合いおもり組立体に結合され、かつ、係合位置にあるときに釣合いおもり組立体を作動させるように構成される。デュワー転倒装置は、第1のデュワーが傾斜または反転されたときに液体または気体を受け入れるための第2のデュワーまたは溜め桝を含む。
【0011】
別の態様では、主題は、デュワー転倒装置において具現化される。デュワー転倒装置は、第1のデュワーを捕捉するように構成されたクレードルを含む。デュワー転倒装置は、液体または気体を第1のデュワーから注ぎ出すためにクレードルを転倒または傾斜させるように構成された釣合いおもり組立体を含む。デュワー転倒装置は、釣合いおもり組立体に結合されたハンドルを含む。ハンドルは、係合位置にあるときに釣合いおもり組立体を作動させるように構成される。デュワー転倒装置は、第1のデュワーが傾斜または反転されたときに液体または気体を受け入れるための溜め桝を含む。
【0012】
本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図および詳細な説明を検討すれば、当業者に明らかになるであろう。図面に示された構成部品は、必ずしも原寸に比例しておらず、本発明の重要な特徴をより良く示すために、誇張されている場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一態様による、受け容器として溜め桝を使用する例示的なデュワー転倒システムの図である。
図2】本発明の一態様による、受け容器として別のデュワーを使用する例示的なデュワー転倒システムの図である。
図3】本発明の一態様による、図1~2のデュワー転倒システムのデュワー転倒装置の正面斜視図である。
図4】本発明の一態様による、図1~2のデュワー転倒システムのデュワー転倒装置の背面斜視図である。
図5】本発明の一態様による、図1~2のデュワー転倒システムのデュワー転倒装置の保持バンドおよびロッキングラッチの拡大図である。
図6】本発明の一態様による、液体または気体をデュワーから溜め桝に注いでいる図1のデュワー転倒システムの図である。
図7】本発明の一態様による、液体または気体をデュワーから別のデュワーに注いでいる図2のデュワー転倒システムの図である。
図8A】本発明の一態様による、デュワー転倒装置の1つまたは複数の構成要素を含む、溜め桝または他のデュワー側からの図1~2のデュワー転倒システムの斜視図である。
図8B】本発明の一態様による、デュワー転倒装置の1つまたは複数の構成要素の運動を含む、クレードル側からの図1~2のデュワー転倒システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、液体窒素などの液体または気体を搬送および貯蔵するためのシステム、装置、およびデバイスが開示される。システム、装置、またはデバイスは、デュワーをクレードル内に捕捉し、かつ、液体窒素をデュワーから溜め桝または他のデュワーに注ぎ出すにデュワーを傾斜位置または反転位置まで転倒させるか、傾斜させるか、反転させるか、または他の方法で移動させる、デュワー転倒システムであり得る。本明細書において説明される主題の特定の実施形態は、以下の利点のうちの1つまたは複数を実現するように実施され得る。
【0015】
典型的には、液体または気体をデュワーから注ぎ出すことは、デュワーを持ち上げてデュワーの内容物を溜め桝または他のデュワーに注ぐのに、2人の人員を必要とする。しかし、デュワー転倒システムは、液体または気体を別のデュワーまたは溜め桝に注ぐまたは空ける動作が1人の人員によって行われることを可能にする。デュワー転倒システムは、極低温に耐えることができるようにポリマー材料、金属、または他の材料から作られるデュワー転倒装置を有し得る。デュワー転倒装置は、クレードル内にデュワーを捕捉し、かつ、保持バンドおよびロッキングラッチを用いてデュワーを所定の位置に保持する。人員は、ハンドルを係合位置まで押し下げるか他の方法で移動させることができ、それにより、釣合いおもり組立体が、デュワーを含むクレードルを持ち上げるか、転倒させるか、移動させるか、傾斜させるか、または他の方法で反転させて、デュワーの内容物を溜め桝または他のデュワーに注ぎ出す。保持バンドおよびロッキングラッチは、デュワーを所定の位置に保持する。これは、単一の人員がデュワーを傾斜させて液体または気体を溜め桝に注ぎ出すことを可能にする。さらに、人員は、デュワーを物理的に持ち上げる必要がなく、したがって、デュワー転倒システムは、120ポンド(54.43kg)以上の重さがある場合があるデュワーを持ち上げることに関わる人員に対する危険と人員の労力量とを最小限に抑える。
【0016】
デュワー転倒装置の他の便益および利点は、ハンドルを係合位置に保持するハンドルラッチを有することを含む。さらに、デュワー転倒装置は、摺動デバイスまたは摺動機構を有してもよく、この摺動デバイスまたは摺動機構は、デュワーから注ぎ出される液体または気体が溜め桝または受入れデュワーに流入するように、溜め桝または受入れデュワーを、反転したまたは傾斜したデュワーの下に引っ張るかまたは移動させる。また、デュワーが転倒されたときに、注ぎ出される液体または気体は、こぼれない。さらなる便益および利点は、デュワーおよび/またはデュワー転倒装置が容易に搬送または移動されることを可能にする、デュワーのためのデュワーローラおよび/またはデュワー転倒装置のための車輪ベースを有することである。
【0017】
図1は、受け容器として溜め桝106を使用するデュワー転倒システム100を示す。図2は、受け容器として別のデュワー202を使用するデュワー転倒システム100を示す。デュワー転倒システム100は、デュワー転倒装置102、デュワー104、および、溜め桝106または別のデュワー202のうちの一方などの別の受け容器を含む。デュワー転倒システム100は、デュワーローラ112を含んでもよい。
【0018】
デュワー転倒装置102は、デュワー104を受け取り、かつ、液体または気体が溜め桝106または他のデュワー202のうちの少なくとも一方に流入するか空けられるように、デュワー104を転倒させるか、傾斜させるか、反転させるか、または他の方法で移動させる。デュワー104は、極低温で保管または搬送され得る、二重壁のフラスコまたは容器であってよい。デュワー104は、液体窒素などの液体または気体を貯蔵することができる。デュワー104は、蒸気栓または蓋116を有してもよい。蓋116は、デュワー104に挿入されてよいが、デュワー104内で圧力が上昇しないように、液体または気体が漏出することを可能にする。デュワー104は、デュワーハンドル120を有してもよい。人員は、デュワー104を持ち上げるかまたは他の方法で移動させるために、デュワーハンドル120を使用してもよい。
【0019】
デュワー転倒装置102は、様々なサイズおよび/または形状の様々なデュワーを受け入れることができる。例えば、一部のデュワーは、最大でおおよそ120ポンド(54.43kg)の重さがある場合がある。デュワー転倒装置102は、液体または気体を注ぎ出すためにデュワー104が反転されるか傾斜されるかまたは他の方法で移動されたときに、液体または気体が溜め桝106、他のデュワー202、または他の受け容器に流入するか排出されるかまたは他の方法で空けられるように、デュワー104の反対側に位置決めされた溜め桝106、他のデュワー202、または他の受け容器にデュワー104の中身を注ぐことができる。
【0020】
溜め桝106、他のデュワー202、または他の受け容器は、空洞を有してもよく、この空洞は、複数の壁から形成され、また、デュワー104から流出するまたは注ぎ出される液体もしくは気体を受け入れる。溜め桝106または他のデュワー202は、デュワー転倒装置102の一部として含まれるか、または、デュワー転倒システム100内の別体の構成要素であってよい。デュワー転倒装置102は、デュワー転倒装置102の片側108にデュワー104を受け入れ、かつ、デュワー転倒装置102のもう一方の側110に溜め桝106または他のデュワー202を受け入れることができる。他方の側110は、片側108に向かい合い、かつ、壁118によって分離されてよい。
【0021】
さらに、溜め桝106または他のデュワー202は、任意の形状および/またはサイズのものであってよい。溜め桝106は、例えば図1に示されるように、長方形または正方形の形状であってよい。長方形の空洞の周りの4つの壁が、溜め桝106を形成する。溜め桝106または他のデュワー202は、断熱されるか、または、溜め桝106もしくは他のデュワー202に注がれる液体もしくは気体の極低温を維持する材料から作られてもよい。これは、液体または気体が別のデュワーを極低温に冷却するのに再使用されることを可能にする。さらに、なおも他の実施形態では、溜め桝106は、使用した液体または気体を除去するためのドレンまたは他のシステムに接続され得る。
【0022】
いくつかの実施態様では、溜め桝106、他のデュワー202、または他の受け容器は、例えば図2および4に示されるように、そり204または他の摺動デバイスに設置され得る。そり204は、釣合いおもり組立体304がクレードル302を転倒させるか傾斜させるか移動させるときにそり204または他の摺動デバイスを移動させるか引っ張るかまたは他の方法で後退させるばね402、レール、または他の摺動デバイスを介してデュワー転倒装置102に結合されるかまたはその一部であってもよい。ばね402は、注ぎ出される液体または気体がこぼれないようにデュワー104が反転されるときに溜め桝106または他のデュワー202をデュワー104と位置合わせするために、釣合いおもり組立体304がクレードル302を転倒させるか傾斜させるか移動させるときに、そりを壁に向かって方向404に引っ張るか他の方法で移動させることができる。
【0023】
デュワー転倒システム100は、デュワーローラ112を有してもよい。デュワー104は、デュワーローラ112に据えられるか位置決めされてよい。デュワーローラ112は、1つまたは複数の車輪114を有してもよい。デュワー104がデュワーローラ112に設置または位置決めされたときに、デュワーローラ112は、デュワー104がデュワーローラ112上で押されるか引っ張られるか移動されるかまたは他の方法で搬送されることを可能にすることができる。デュワーローラ112は、デュワー104に結合されてよく、また、デュワー104がクレードル302によって受け入れられ、デュワー104内の液体または気体を注ぐかまたは空にするために反転されるか傾斜されるかまたは他の方法で移動されるときでさえ、デュワー104と結合されたままであってよい。これは、ある場所または位置から別の場所または位置へデュワー104を移動させるのに人員に必要とされる労力量を減少させる。さらに、人員は、デュワー104を持ち上げる必要がない。
【0024】
デュワー転倒装置102の斜視図を示す図3を参照すると、デュワー転倒装置102は、クレードル302、釣合いおもり組立体304、ハンドル306、デュワー転倒装置ベース320、および複数の車輪326を含む。デュワー転倒装置102は、ロッキングラッチ310を有する保持バンド308、蓋受け312、釣合いおもりラッチ314、および/またはデュワーハンドルホルダ322を含んでもよい。
【0025】
デュワー転倒装置102は、間に壁118を含む2つの側108、110を有してもよい。壁118の一方の側108では、デュワー転倒装置102は、クレードル302を有し、壁118のもう一方の側110では、デュワー転倒装置102は、溜め桝106または他のデュワー202などの受け容器を受け入れる。
【0026】
デュワー転倒装置102は、液体または気体を貯蔵するデュワー104または他の貯蔵容器を受け入れる空洞を有する、クレードル302または他の受け容器を含む。クレードル302は、様々なサイズおよび/もしくは形状のデュワー104または他の貯蔵容器に対応するために様々なクレードルがデュワー転倒装置102の側面と相互接続され得るように、モジュール式であってよい。クレードル302は、クレードルベース318および1つまたは複数のリング316a~bを有し、かつ、壁118に結合されてよい。クレードルベース318は、デュワーローラ112が1つまたは複数のリング316a~bと位置合わせするように摺動または移動されるときに、デュワーローラ112の頂部を受け止めるかまたはその下に滑り込むことができる。クレードルベース318は、デュワーローラ112のための基礎を提供する。1つまたは複数のリング316a~bは、半円としてそれぞれが形成された部分的なリングであってもよい。1つまたは複数のリング316a~bは、支持を提供するために、クレードルベース318に対して垂直にもしくは直角に位置決めされるかまたは積み重ねられる。さらに、クレードルベース318に対して垂直にまたは直角に等距離で積み重ねられる1つまたは複数のリング316a~bの数は、デュワー転倒装置102が受け入れるように構成されるデュワー104の高さに応じるかまたは基づいてよい。1つまたは複数のリング316a~bは、デュワー104を受け入れて支持し、かつ、クレードル302内に転動されるデュワー104を受け入れるための部分的な空洞を形成する、部分的なリングであってよい。
【0027】
いくつかの実施態様では、クレードル302は、調整可能であり得る。クレードルは、様々なデュワー104または貯蔵容器に適合しかつそれを受け止めるために、様々な形状および/またはサイズに調整され得る。例えば、クレードル302を形成するリングの直径は、例えば様々な直径を有するデュワー104に適合するように調整されてもよい。さらに、クレードル302の高さは、デュワー104を受け止めるためのさらなるリングを追加することによって調整または再構成されてもよい。さらなるリングを追加または除去することにより、調整可能なクレードル302の高さは、より高い高さまたはより低い高さのデュワー104それぞれに適応するように増減し得る。
【0028】
デュワー転倒装置102は、クレードル302内にデュワー104を保持するために、ロッキングラッチ310付きの保持バンド308または他の保持器を含んでもよい。ロッキングラッチ310付きの保持バンド308は、クレードル302に結合されてもよい。例えば、保持バンド308は、デュワー104の直径の周りに配置され、かつ、ロッキングラッチ310を使用して外れ止めを掛けられてもよい。図5は、保持バンド308およびロッキングラッチ310の拡大斜視図を示す。デュワー104がクレードル302に挿入され、クレードル302がデュワー104を受け入れると、保持バンド308は、クレードル302内のデュワー104の周りに配置されることが可能であり、ロッキングラッチ310がロックまたは係合されると、保持バンド308およびロックされたロッキングラッチ310は、クレードル302が傾斜または反転された場合でも、クレードル302内のデュワー104を保持する。保持バンド308は、極低温に耐えることができる金属または温度感受性材料で作られてもよい。保持バンド308は、デュワー104の周りに配置または巻回されてよく、ロッキングラッチ310は、デュワー104をクレードル302内の所定の位置に保持するようにロックまたは係合されてよい。
【0029】
デュワー転倒装置102は、クレードル302のすぐ近くに、デュワーハンドルホルダ322を有してもよい。デュワーハンドルホルダ322は、デュワー104が傾斜されるか反転されるかまたは他の方法で移動されるときにデュワーハンドル120が邪魔になるかひっくり返るかまたは他の方法で移動することがないように、デュワーハンドル120を受け入れる凹部、デュワーハンドル120が移動するのを防止する障害物、および/またはデュワーハンドル120を保持するラッチもしくは固定具であってもよい。デュワーハンドルホルダ322は、クレードル302の1つまたは複数のリング316a~cのうちの頂部リング316cなどにおいて、クレードル302と一体に形成されるか、クレードル302に接続されるか、または他の方法でクレードル302に結合されてもよい。デュワーハンドルホルダ322は、液体または気体がデュワー104から注ぎ出されるときに、デュワーハンドル120を液体または気体の経路から離してまたはその経路の外側で、例えば溜め桝106または他のデュワー202の上で反転されるときのデュワー104の中心線から離して保持する。デュワーハンドルホルダ322が押されるか移動されるかまたはもはやデュワーハンドル120を邪魔しない場合、デュワーハンドル120は、持ち上げられるか、移動されるか、またはデュワー104を保持するかもしくは持ち上げるために他の方法で使用され得る。
【0030】
デュワー転倒装置102は、蓋保持リングなどの蓋受け312を含んでもよい。蓋受け312は、1つまたは複数のリング316b~cのうちの頂部リング316cなどのクレードル302の頂部に結合されてもよい。蓋受け312は、デュワー104の蓋116または蒸気栓を受け入れ、かつ、図6~7に示されるようにデュワー転倒装置102がデュワー104を反転位置へ反転させるか傾斜させるか移動させるときに、蓋受け312内の蓋116または蒸気栓を保持する。蓋受け312は、蓋116または蒸気栓のサイズおよび/形状に基づいて、サイズおよび/または形状が調整可能であってもよい。
【0031】
蓋受け312は、締め綱324などの固定デバイスを有してもよい。固定デバイスは、蓋受け312に接続されるか付着されるかまたは他の方法で結合されてもよい。固定デバイスは、デュワー104の蓋116または蒸気栓を蓋受け312に固定して、デュワー104がクレードル302内にあって釣合いおもり組立体304によって反転されるときに蓋受け312内の蓋116または蒸気栓が蓋受け312から落ちるのを防ぐことができる。
【0032】
デュワー転倒装置102は、ハンドル306、ボタン、ノブ、または他の作動デバイスを含んでもよい。ハンドル306は、釣合いおもり組立体304に接続または結合される。ハンドル306は、係合位置および係脱位置を有し得る。ハンドル306に力が加えられていないときに、ハンドル306は、係合位置または自然位置に偏ることができ、釣合いおもり組立体304が作動され得る。
【0033】
係脱位置では、ハンドル306は、釣合いおもり組立体304を作動させることができず、クレードル302は、移動されないか、傾斜されないか、回転されないか、または他の方法で反転されない。クレードル302の長手軸は、地面に対して直角なままであり、液体または気体は、受け入れられたデュワー104内に留まる。ハンドル306が係合位置に回転するか、位置するか、移動するか、または他の方法で適応すると、釣合いおもり組立体304は、作動または係合することができ、それが、クレードル302を溜め桝106または他のデュワー202の上で移動させるか、傾斜させるか、または反転させる。結果として、クレードル302内に位置決めされたデュワー104内の任意の液体または気体は、最初に位置決めされたクレードル302の反対側110にある溜め桝106または他のデュワー202に注がれるか、空けられるか、または他の方法で放出される。
【0034】
いくつかの実施態様では、デュワー転倒装置102は、ハンドル306の代わりに、異なる作動デバイスを有し得る。異なる作動デバイスは、釣合いおもり組立体304、または液圧式もしくは電動式の転倒装置などの他の転倒デバイスを作動させるために、押し下げられるか、旋回されるか、または他の方法で操作され得る。
【0035】
デュワー転倒装置102は、釣合いおもり組立体304、液圧式もしくは電動式の組立体、または他の転倒デバイスを含む。釣合いおもり組立体304は、図6~7に示されるように、デュワー104内の液体または気体を溜め桝106または他のデュワー202に注ぐか、放出するか、または空けるために、デュワー104を含むクレードル302を傾斜位置または反転位置まで持ち上げるか、傾斜させるか、反転させるか、または他の方法で移動させる。釣合いおもり組立体304は、ハンドル306が自由に動くことを可能にしまた釣合いおもり組立体304が解放されることを可能にするために釣合いおもりラッチ314が係脱されたときにクレードル302を転倒させるか傾斜させるかまたは他の方法で移動させるのにユーザに必要とされる力の量を自動的に減少させる、自己付勢機構を有してもよい。
【0036】
図6は、クレードル302内のデュワー104を溜め桝106の上で転倒、移動、傾斜、または他の方法で反転させている釣合いおもり組立体304を示し、図7は、クレードル302内のデュワー104を他のデュワー202の上で転倒、移動、傾斜、または他の方法で反転させている釣合いおもり組立体304を示す。釣合いおもり組立体304は、デュワー104が溜め桝106または他のデュワー202それぞれの真上で反転されるように、デュワー104を含むクレードル302を方向602、702に回転させる。釣合いおもり組立体304は、クレードル302が溜め桝106または他のデュワー202の上で傾斜または反転されたときに、クレードル302を反転位置に保持することができる。釣合いおもり組立体304がデュワー104を転倒させる間、釣合いおもり組立体304は同時に、デュワー転倒装置102の反対側110で、そり204を方向404において壁118のより近くに引っ張るか、移動させるか、または他の方法で位置決めする。釣合いおもり組立体304は、デュワー104内の液体または気体が方向604、704において溜め桝106または他のデュワー202それぞれの空洞に注がれるかまたは空けられるように、クレードル302内のデュワー104を溜め桝106または他のデュワー202の空洞の上に位置決めする。釣合いおもり組立体304は、反転したときのデュワー104の空洞または開口部の中心が溜め桝106または他のデュワー202それぞれの中心もしくは空洞の真上に位置決めされるように、設定または構成され得る。これは、デュワー104内に存在し得る液体または気体のいかなるこぼれをも防止するかまたは最小限に抑える。図8は、釣合いおもり組立体304の様々な構成要素をさらに示しかつ説明する。
【0037】
デュワー転倒装置102は、釣合いおもりラッチ314を含んでもよい。釣合いおもりラッチ314は、地面に対して平行な水平位置などにおいてハンドル306をロックするために、結合されるか係合されるかまたは他の方法で位置決めされ得る。釣合いおもりラッチ314が係合されたときに、ハンドル306は、係脱位置に位置決めされ、釣合いおもりラッチ314は、ハンドル306が自然位置または係合位置に偏るかまたは移動するのを防止し、かつ/または、釣合いおもり組立体304が解放されるのを防止する。ハンドル306の自然位置は、釣合いおもり組立体304がクレードル302を転倒、移動、または傾斜させる力を生成する場所であってよく、そのため、釣合いおもりラッチ314は、ハンドル306が係合位置につくのを防ぐことにより、釣合いおもり組立体304がクレードル302を転倒させるか移動させるかまたは他の方法で傾斜させるのを防ぐ。例えば、釣合いおもりラッチ314なしでは、または釣合いおもりラッチ314が係脱されている場合には、釣合いおもり組立体304は、ハンドル306を自然位置または係合位置へ回転させるかまたは他の方法で移動させ、かつ、釣合いおもり組立体304にクレードル302を方向602、702に回転させる可能性がある。これは、デュワー転倒装置102内にデュワー104が存在しないときでも、釣合いおもり組立体304が解放されるのを防ぐ。
【0038】
デュワー転倒装置102は、デュワー転倒装置ベース320を含む。デュワー転倒装置ベース320は、デュワー転倒装置102の両側108、110に結合されて、デュワー転倒装置102のための基礎を提供することができる。デュワー転倒装置ベース320は、デュワー転倒装置102の異なる側108、110などのデュワー転倒装置102の様々な構成要素を相互接続する。クレードル302および/または釣合いおもり組立体304などの他の構成要素は、デュワー転倒装置102を形成するためにデュワー転倒装置ベース320と相互接続することができる。これは、デュワー転倒装置102の様々な構成要素が交換可能であることを可能にし、また、デュワー転倒装置102が様々なサイズおよび/もしくは形状のデュワーを転倒させるかまたはデュワーの中身を溜め桝106もしくは他のデュワー202のうちの一方に注ぐように構成または再構成されることを可能にする。
【0039】
デュワー転倒装置102は、例えば図4に示されるようにデュワー転倒装置ベース320に結合されるか配置され得るそり204または他の摺動デバイスを含んでもよい。そり204は、クレードル302を含む側108とは反対側の他方の側110に据えられるかまたは位置決めされ、かつ、デュワー転倒装置102の壁118に対して直角であってもよい。そり204は、デュワー104内の液体または気体をそり204に据えられた溜め桝106または他のデュワー202に注ぐために釣合いおもり組立体304がクレードル302を持ち上げるか傾斜させるか回転させるかまたは他の方法で移動させるときに、壁118に向かって後退することができる。そり204は、釣合いおもり組立体304がハンドル306を係合位置へと回転させ、また、クレードル302が反転するように回転されるときに、壁118に向かって方向404に移動する。これは、デュワー104の中身を溜め桝106または他のデュワー202に注ぐことからもたらされるいかなるこぼれをも防止する。
【0040】
デュワー転倒装置102は、複数の車輪326を含む、1つまたは複数の車輪326を含んでもよい。1つまたは複数の車輪326は、デュワー転倒装置ベース320に結合されてもよい。複数の車輪326の各車輪は、隅部においてデュワー転倒装置ベース320の下に位置決めされかつデュワー転倒装置ベース320に取り付けられてもよい。1つまたは複数の車輪326は、デュワー転倒装置102の移動を可能にする。1つまたは複数の車輪326は、表面または地面に平行な1つまたは複数の車輪326の360度回転を可能にする、玉軸受けなどの回転デバイスに接続されてもよい。これは、1つまたは複数の車輪が地面または表面に対して直角に回転するときに、任意の方向における移動を可能にする。デュワー転倒装置102が押されるか、引っ張られるか、または他の方法で移動されるときに、1つまたは複数の車輪326は、表面に沿ってデュワー転倒装置102を転動させる。
【0041】
デュワー転倒装置102は、1つまたは複数の車輪326に結合された1つまたは複数の車輪ロック328を有してもよい。車輪ロック328は、1つまたは複数の車輪326のそれぞれに結合されてもよい。1つまたは複数の車輪ロック328は、1つまたは複数の車輪326が移動するのを防ぐために係合されるか、または、1つまたは複数の車輪326が表面または地面に対して直角にまたは平行に回転しかつ移動するのを可能にするために係脱され得る。
【0042】
図8Aは、溜め桝106または他のデュワー202が位置決めされる側110を正面にしたデュワー転倒装置102の斜視図を示し、図8Bは、デュワー104を受け入れるためにクレードル302が位置決めされる側108を正面にしたデュワー転倒装置102の別の斜視図を示す。釣合いおもり組立体304は、おもり802を含む。おもり802は、1つまたは複数のヒンジ804を介して壁118およびハンドル306に結合される。釣合いおもりラッチ314が係脱されると、ハンドル306は、自由に動くことができ、おもり802は解放されて、方向806に下向きの力を働かせる。おもり802が単独でまたは係合位置への方向808におけるハンドル306の回転運度との組合せで方向806に力を向けるにつれて、クレードル302を含む壁118は、上方に傾斜されて、クレードル302内に受け入れられたデュワー104の中身を注ぐか、放出するか、または空にする。
【0043】
おもりにより方向806に加えられる力は、下方に移動し続けてよく、および/または、ハンドル306は、クレードル302を含む壁118が180度反転するまで、方向808に回転し続けてよい。クレードル302が180度反転されると、クレードル302内のデュワー104は、側110においてそり204上に存在する溜め桝106または他のデュワー202の真上に位置することになる。方向808に移動するハンドル306および方向806に移動するおもり802の運動と同時にかつ/またはそれと連動して、そり204は、デュワー104の中心線が溜め桝106または他のデュワー202の空洞の中心と位置合わせされるように、デュワー転倒装置102の中心に向かって内方に引っ張られる。
【0044】
方法/システムの例示的な実施形態が、説明に役立つ様式で開示された。したがって、全体にわたって用いられた技術用語は、非限定的な態様で読まれるべきである。本明細書における教示に対するささいな修正が当業者(those well versed in the art)に思い浮かぶであろうが、ここにおいて正当化される特許の範囲内に限定されることが意図されているものは、それによって寄与される当技術分野に対する進歩の範囲に合理的に入る全ての実施形態であること、また、その範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物を考慮すること以外には制限されるものではないことが、理解されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B