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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】パレット供給装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20240408BHJP
   B23Q 1/00 20060101ALI20240408BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B23Q7/00 E
B23Q1/00 G
B23Q11/08 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022524737
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 JP2020019874
(87)【国際公開番号】W WO2021234834
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】中川 光司
(72)【発明者】
【氏名】宮本 大資
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-110875(JP,A)
【文献】特開2020-019119(JP,A)
【文献】特開2017-154226(JP,A)
【文献】特開2011-224742(JP,A)
【文献】特開平08-085032(JP,A)
【文献】特開平07-290166(JP,A)
【文献】特開平06-262495(JP,A)
【文献】特開平06-238551(JP,A)
【文献】特開平03-287331(JP,A)
【文献】特開平02-298454(JP,A)
【文献】特開昭61-079544(JP,A)
【文献】実開平04-106149(JP,U)
【文献】実開平02-040728(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第109305387(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00-7/18
G05B 19/18-19/416
B23Q 1/00-1/76
B23Q 39/00
B23Q 41/00
B23P 19/00
B65G 1/00-1/133
B65G 1/14-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットを保持する複数の保持部、及び該複数の保持部を並んだ状態で支持する架台を備えたパレット収容装置と、
前記パレット収容装置に対して並設され、前記パレット収容装置に沿った走行路を有する走行基台、及び前記走行路上を走行し、前記保持部に対して前記パレットを出し入れするとともに、予め定められた場所との間で前記パレットを搬送する搬送部を有する搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置とを備えたパレット供給装置であって、
前記架台は、前記保持部の下方に前記制御装置を収容可能な空間を有するとともに、該空間内に、前記制御装置が収納された状態で該制御装置の上方に位置し、且つ前記走行基台側に向けて下り傾斜となるように配設された板状のカバー体を備えており、
前記カバー体は、その下端側を上方に跳ね上げ可能に前記架台に支持されるとともに、
前記カバー体の下端側を上方に跳ね上げた状態で、該カバー体の下方を前記制御装置が通過可能に構成されていることを特徴とするパレット供給装置。
【請求項2】
前記カバー体は、前記下端側とは反対側が前記架台に軸支されていることを特徴とする請求項1記載のパレット供給装置。
【請求項3】
前記架台は、前記カバー体の下端側を上方に跳ね上げた状態に維持する係止具を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のパレット供給装置。
【請求項4】
前記架台及び制御装置は、それぞれその下面にキャスターが設けられて、それぞれ手押し搬送可能になっていることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかのパレット供給装置。
【請求項5】
前記架台及び制御装置は、それぞれその下面に、更に、高さ調整機能を有するスタンドを備えていることを特徴とする請求項4記載のパレット供給装置。
【請求項6】
パレットを保持する複数の保持部、及び該複数の保持部を並んだ状態で支持する架台を備えたパレット収容装置と、
前記パレット収容装置に対して並設され、前記保持部に対して前記パレットを出し入れするとともに、予め定められた場所との間でパレットを搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置とを備え、
前記架台は、前記各保持部の下方に前記制御装置を収容可能な空間を有するとともに、該空間内に、前記制御装置が収納された状態で該制御装置の上方に位置し、且つ前記搬送装置側に向けて下り傾斜となるように配設された板状のカバー体を備え、前記カバー体は、その下端側を上方に跳ね上げ可能に前記架台に支持されるとともに、前記カバー体の下端側を上方に跳ね上げた状態で、該カバー体の下方を前記制御装置が通過可能に構成されたパレット供給装置を組み付ける方法であって、
まず、前記搬送装置を所定位置に配設した後、該搬送装置の近傍に前記制御装置を仮置きして、前記搬送装置と制御装置とを接続し、
次に、前記カバー体の下端部を上方に跳ね上げた状態の前記架台を、前記制御装置が該カバー体の下方を相対的に通過するように、該制御装置側から前記搬送装置に近づけて、該搬送装置に対して並設し、
次に、前記制御装置を、前記架台の保持部の下方に設定された正規の位置に移動させて設置した後、前記カバー体を跳ね上げ状態から元の下り傾斜状態に戻すようにしたことを特徴とするパレット搬送装置の組付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパレットを収容するパレット収容装置を備え、このパレット収容装置に収容されたパレットを予め定められた場所に搬送するパレット供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したパレット供給装置の一例として、従来、特開2014-83670号公報(下記特許文献1)に開示された装置(パレット搬送装置)が知られている。このパレット搬送装置は、同公報に開示されるように、パレットストッカ、加工ステーション及び段取りステーションに経由して、パレットを移載、搬送する装置であって、パレットを移載、保管するパレットストッカと、このパレットストッカ、前記加工ステーション及び段取りステーションに経由可能な台車と、この台車の移動方向に互いに離間させて当該台車上に取り付けられた第1及び第2パレット載置台と、第1パレット載置台側に位置決めされたとき、第1パレット載置台と前記加工ステーションまたは段取りステーションとの間でパレットの移載を行い、第2パレット載置台側に位置決めされたとき、第2パレット載置台と加工ステーションまたは段取りステーションとの間でパレットの移載を行うように構成された1つのパレット移載手段とを備えている。
【0003】
そして、このパレット搬送装置は、前記パレット移載手段を固定した状態で前記台車を移動させて、前記加工ステーションまたは前記段取りステーションに対する前記第1及び第2パレット載置台の位置を入れ替えるように構成されている。また、前記台車は、前記パレットストッカ、加工ステーション及び段取りステーションに経由可能に延設された軌道上を台車駆動手段によって前後方向に移動するように構成され、前記パレット移載手段は、前記台車に対して前記前後方向に相対移動可能に構成されており、前記パレット移載手段は、前記軌道に対してロック、アンロックする固定手段によって固定される。
【0004】
この従来のパレット搬送装置によれば、第1及び第2パレット載置台の各々に1つのパレットを載置可能にしたパレット搬送装置において、1つのパレット移載手段で加工ステーションと段取りステーションの各々においてパレットを交換可能となり、一対のパレット搭載部の各々にパレット移載手段が設けられたパレット搬送装置に比べて、製造コストを低減することができる、とのことである。
【0005】
また、パレット移載手段を加工ステーションまたは段取りステーションに対して正対する位置に固定した状態で、第1及び第2パレット載置台の位置を入れ替えるようにしたので、パレット搭載部の中心間ピッチに正確に合わせて加工ステーションや段取りステーションを設置する必要がなく、工場等へのパレット搬送ラインの据付作業が容易になる、とのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-83670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来のパレット搬送装置において、前記パレットストッカは、一般的に、パレットを保持する複数の保持部、及びこの複数の保持部を並んだ状態で支持する架台から構成されている。また、前記台車駆動手段及びパレット移載手段は、専用の制御装置によってその作動が制御されるが、この制御装置は、パレット搬送装置の全体的な省スペース化の観点から、従来、一般的に、パレットストッカの架台内に収容した態様が採用されている。
【0008】
そして、このようなパレット搬送装置を工場に設置する際には、従来、以下のような手順が取られていた。即ち、まず、前記加工ステーション、段取りステーション及び軌道を構成する各構造物を予め設定された位置に設置する。次に、前記台車を軌道上に配置するとともに、前記制御装置を所定位置に設置した後、当該制御装置と、前記台車駆動手段及びパレット移載手段とを電気的に接続する。ついで、天井クレーン等の巻き上げ装置を用いて、パレットストッカを吊り上げた後、前記制御装置が当該パレットストッカ内に収まるように、これを上方から所定位置に設置する。
【0009】
ところが、このような設置態様では、天井クレーンなどの巻き上げ装置が備えられていない工場では、その設置が極めて困難になるという問題があった。このような場合に、クレーン車等を適用することも考えられるが、クレーン車の場合には精度の良い微細な位置決めが難しいという欠点がある。また、巻き上げ装置を用いて、パレットストッカを上方から所定位置に設置するという態様では、元々、吊り上げたパレットストッカが揺れるなどその制動性が悪いため、制御装置とパレットストッカとが干渉しないようにして、これらを設置するには、慎重な作業が必要であり、このため、装置の設置に長時間を要するという問題もある。
【0010】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、天井クレーンなどの巻き上げ装置を用いることなく、しかも短時間での設置が可能なパレット供給装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、
パレットを保持する複数の保持部、及び該複数の保持部を並んだ状態で支持する架台を備えたパレット収容装置と、
前記パレット収容装置に対して並設され、前記パレット収容装置に沿った走行路を有する走行基台、及び前記走行路上を走行し、前記保持部に対して前記パレットを出し入れするとともに、予め定められた場所との間で前記パレットを搬送する搬送部を有する搬送装置と、
前記搬送装置の動作を制御する制御装置とを備えたパレット供給装置であって、
前記架台は、前記保持部の下方に前記制御装置を収容可能な空間を有するとともに、該空間内に、前記制御装置が収納された状態で該制御装置の上方に位置し、且つ前記走行基台側に向けて下り傾斜となるように配設された板状のカバー体を備えており、
前記カバー体は、その下端側を上方に跳ね上げ可能に前記架台に支持されるとともに、
前記カバー体の下端側を上方に跳ね上げた状態で、該カバー体の下方を前記制御装置が通過可能に構成されパレット供給装置に係る。
【0012】
このパレット供給装置によれば、以下のようにして、各装置を所定位置に設置することができる。即ち、まず、前記搬送装置を所定位置に配設した後、該搬送装置の近傍に前記制御装置を仮置きして、前記搬送装置と制御装置とを接続し、ついで、前記カバー体の下端部を上方に跳ね上げた状態の前記架台を、前記制御装置が該カバー体の下方を相対的に通過するように、該制御装置側から前記搬送装置に近づけて、該搬送装置に対して並設する。
【0013】
次に、前記制御装置を、前記架台の保持部の下方に設定された正規の位置に移動させて設置した後、前記カバー体を跳ね上げ状態から元の下り傾斜状態に戻す。以上により、パレット収容装置、搬送装置及び制御装置をそれぞれ設定された位置に設置することができ。
【0014】
以上のように、本発明に係るパレット供給装置、及びその組み付け方法によれば、天井クレーンなどの巻き上げ装置を用いることなく、パレット収容装置の架台に設けられた空間内に制御装置を収容した状態で、パレット収容装置、搬送装置及び制御装置を組み付ける(据え付ける)ことができる。したがって、天井クレーンなどの巻き上げ装置が用意されていない工場においても、当該パレット供給装置を容易に設置することができる。
【0015】
また、巻き上げ装置を用いた場合に比べて、前記架台の空間内に制御装置を収容する際の当該制御装置の制動性が良いため、当該制御装置と架台との干渉を容易に回避することができ、これら架台及び制御装置の設置作業を容易且つ短時間で実行することができる。
【0016】
本発明において、前記カバー体は、前記下端側とは反対側が前記架台に軸支された態様を採ることができる。このようにすれば、前記カバー体の跳ね上げ動作を容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明において、前記架台は、前記カバー体の下端側を上方に跳ね上げた状態に維持する係止具を備えた態様を採ることができる。このようにすれば、係止具により、カバー体の下端側を上方に跳ね上げた状態を維持することができるので、架台及び制御装置の設置作業を効率良く行うことができる。
【0018】
また、本発明において、前記架台及び制御装置は、それぞれその下面にキャスターが設けられて、それぞれ手押し搬送可能になった態様を採ることができる。このようにすれば、架台及び制御装置を容易に移動させることができ、その設置作業を効率良く行うことができる。
【0019】
また、本発明において、前記架台及び制御装置は、それぞれその下面に、更に、高さ調整機能を有するスタンドを備えた態様を採ることができる。このようにすれば、スタンドの高さ調整機能を調整することで、前記架台及び制御装置の高さ位置を容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、天井クレーンなどの巻き上げ装置を用いることなく、パレット収容装置の架台に設けれる空間内に制御装置を収容した状態で、パレット収容装置、搬送装置及び制御装置を組み付けることができる。したがって、天井クレーンなどの巻き上げ装置が用意されていない工場においても、当該パレット供給装置を容易に設置することができる。
【0021】
また、巻き上げ装置を用いた場合に比べて、架台の空間内に制御装置を収容する際の当該制御装置の制動性が良いため、当該制御装置と架台との干渉を容易に回避することができ、これらの設置作業を容易且つ短時間で実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るパレット供給装置を、その正面側から見た斜視図である。
図2】本実施形態に係るパレット供給装置を、その背面側から見た斜視図である。
図3】本実施形態に係るパレット供給装置を組み付ける方法を説明するための説明図である。
図4】本実施形態に係るパレット供給装置を組み付ける方法を説明するための説明図である。
図5】本実施形態に係るパレット供給装置を組み付ける方法を説明するための説明図であって、図3における矢視E-E方向の断面図に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1図5に示すように、本例のパレット供給装置1は、搬送装置10、パレット収容装置30及び制御装置60などから構成される。
【0025】
前記搬送装置10は、予め定められた場所(供給場所)との間で前記パレットPを搬送するための走行路11aを有する走行基台11と、前記走行路11a上を走行し、前記パレット収容装置30に対してパレットPを出し入れするとともに、前記供給場所との間でパレットPを搬送する搬送部15などから構成される。尚、走行基台11は、パレット収容装置30と前記供給場所とを結ぶように配設されるが、図1図4では、その一部のみを図示している。
【0026】
前記走行基台11は、横断面形状がアルファベットのU字形をした部材であり、この走行基台11の平行な上面にそれぞれガイドレール12が配設されている。そして、このガイドレール12によって矢示A-B方向に沿った走行路11aが形成されている。
【0027】
前記搬送部15は、図示しないスライダを介して、前記一対のガイドレール12に跨るように、当該ガイドレール12上に載置され、前記矢示A-B方向に移動可能になった走行台車16と、この走行台車16を矢示A-B方向に移動させる移動機構17と、前記走行台車16上に設けられた移載機構20とを備えて構成される。
【0028】
前記移動機構17は、上記のように走行台車16を矢示A-B方向に移動させることができれば良く、従来公知の様々な構造の機構を適用し得るが、例えば、走行基台11の内壁面に、その長手方向に沿って固設されたラックと、前記走行台車16に設けられ、前記ラックに噛合するピニオンギアと、このピニオンギアを駆動する駆動モータ17aなどから構成することができる。この移動機構17によれば、駆動モータ17aによってピニオンギアを回転させることにより、前記ラックとの噛合関係から前記走行台車16が矢示A-B方向に移動する。
【0029】
前記移載機構20は、順次重なるように配設された基部材22、第1スライド部材23及び第2スライド部材24からなり、前記パレット収容装置30に向けて伸縮するように構成された伸縮部21と、この伸縮部21を伸縮させる伸縮駆動部(図示せず)と、前記第2スライド部材24に設けられ、前記パレットPを支持する支持部24aと、この支持部24aを昇降させる昇降駆動部(図示せず)などから構成される。
【0030】
前記制御装置60は、前記移動機構17及び移載機構20の作動を制御するもので、詳しくは後述する前記パレット収容装置30の架台40内に配設される。
【0031】
前記パレット収容装置30は、前記走行基台11に沿って並設される保持プレート34,35,36,37と、この保持プレート34,35,36,37相互間のそれぞれ下方であって、走行基台11より離れた側である後部側に配設される板状の傾斜カバー42,47,50、及び走行基台11側である前部側に配設された同じく板状の跳ね上げカバー43,48,51と、これら保持プレート34,35,36,37、傾斜カバー42,47,50及び跳ね上げカバー43,48,51を支持する枠状(フレーム状)の架台40と、この架台40の後部側に設けられる外壁41などから構成される。
【0032】
前記保持プレート34,35,36,37はパレットPを保持する保持部として機能するもので、前記保持プレート34,35が保持部31を形成し、保持プレート35,36が保持部32を形成し、保持プレート36,37が保持部33を形成する。そして、前記パレットPは、保持部31において、保持プレート34,35に跨るようにこれらの上に載置され、同様に、保持部32において、保持プレート35,36に跨るようにこれらの上に載置され、保持部33において、保持プレート36,37に跨るようにこれらの上に載置される。
【0033】
また、前記走行台車16は、前記移動機構17によって、矢示A-B方向に移動するとともに、各保持部31,32及び33に対応する位置にそれぞれ位置決めされるようになっている。そして、各保持部31,32及び33に対応する位置において、前記移載機構20は、当該各保持部31,32及び33に対しパレットPを搬入し、また、各保持部31,32及び33に保持されたパレットPを走行台車16上に搬出する。
【0034】
例えば、図1に示すように、走行台車16が保持部32に対して位置決めされた状態で、前記移載機構20は、パレットPを支持する支持部24aを昇降駆動部(図示せず)によって上昇させた状態で、第1スライド部材23及び第2スライド部材24を伸展させて、パレットPを保持プレート35,36(保持部32)の上方に移動し、次に、昇降駆動部(図示せず)により、支持部24aを降下させることで、パレットPを保持プレート35,36(保持部32)上に載置した後、第1スライド部材23及び第2スライド部材24を収縮させる。以上により、パレットPが保持部32に搬入される。
【0035】
一方、保持部32に保持されたパレットPを当該保持部32から搬出する際には、移載機構20は、パレットPを支持していない状態の支持部24aを昇降駆動部(図示せず)によって降下させた状態で、第1スライド部材23及び第2スライド部材24を伸展させて、当該支持部24aを、保持プレート35,36(保持部32)上に載置されたパレットPの下方に移動させ、次に、昇降駆動部(図示せず)により、支持部24aを上昇させることで、パレットPが支持部24aに支持された状態で保持プレート35,36(保持部32)の上方に浮き上がり、この後、第1スライド部材23及び第2スライド部材24を収縮させることで、パレットPが走行台車16上に搬出される。
【0036】
前記傾斜カバー42,47,50及び跳ね上げカバー43,48,51はそれぞれ走行基台11に形成されたオイル回収通路11bに向けて下り傾斜となるように設けられている。そして、跳ね上げカバー43の上端上面が前記傾斜カバー42の下端下面に接続し、同様にして、跳ね上げカバー48の上端上面が前記傾斜カバー47の下端下面に接続し、跳ね上げカバー51の上端上面が前記傾斜カバー50の下端下面に接続している。跳ね上げカバー43,48,51の下端部はそれぞれ走行基台11のオイル回収通路11bの上方に位置している。これら、傾斜カバー42,47,50及び跳ね上げカバー43,48,51はオイル回収板として機能するもので、保持部31,32及び33に載置されたパレットPから垂れ落ちるオイル等(切屑等を含む)を前記オイル回収通路11bに導く。
【0037】
また、前記跳ね上げカバー43は、その両側部が、前記架台40に軸支される一対の支持ステー44を介して当該架台40に取り付けられ、同様に、跳ね上げカバー48は、その両側部が、前記架台40に軸支される一対の支持ステー49を介して当該架台40に取り付けられ、跳ね上げカバー51は、その両側部が、前記架台40に軸支される一対の支持ステー52を介して当該架台40に取り付けられている。
【0038】
そして、跳ね上げカバー43,48,51は、各支持ステー44,49,52の軸支部分を支点として、それぞれその下端側が上下方向に回動可能となっている。例えば、図5に示すように、跳ね上げカバ48は、支持ステー49の軸支部(49a)を支点として、その下端側が上下方向(矢示C-D方向に)に回動可能となっている。
【0039】
また、各跳ね上げカバー43,48,51は、前記架台40に係合する係止具によって、その下端側を上方に跳ね上げた状態を維持されるようになっている。係止具には各種のものを適用することができるが、本例では、図5に示すように、架台40の柱部分に螺着される係止ボルト49bが適用され、図5では、跳ね上げカバー48を跳ね上げた状態で係止ボルト49bを架台40の柱部分に螺着して当該柱部分を貫通させることで、当該係止ボルト49bによって跳ね上げカバー48の下端部が支持され、跳ね上げ状態が維持される。一方、係止ボルト49bを架台40から取り外すことで、跳ね上げカバー48は下方に回動可能となる。
【0040】
尚、本例では、各跳ね上げカバー43,48,51を上方(矢示C方向)に跳ね上げた状態で、これら跳ね上げカバー43,48,51の下方を前記制御装置60が通過可能になっている。また、本例では、前記保持部32,33の下方位置に前記制御装置60が設置される。
【0041】
また、前記走行基台11は、ジャッキボルト13によって、水平レベルと調整することができるようになっている。また、前記架台40は、その下面に複数のキャスター55が設けられており、このキャスター55によって人手により搬送することができ、また、同様に、下面に設けられた複数のスタンド56によって、その高さ位置を調整した状態で、床面に据え付けることができる(このとき、キャスター55は床面から上方に浮き上がっている)。
【0042】
また、前記制御装置60も同様に、その下面に設けられた複数のキャスター61により人手によって搬送することができ、また、同様に、下面に設けられた複数のスタンド62によって、その高さ位置を調整した状態で、床面に据え付けることができる(このとき、キャスター61は床面から上方に浮き上がっている)。
【0043】
以上の構成を備えた本例のパレット供給装置1によれば、前記制御装置60による制御の下で、前記移動機構17により前記走行台車16が駆動され、当該走行台車16は前記走行基台11上に形成された走行路11aに沿って矢示A-B方向に走行して、前記パレット収容装置30に収納された適宜パレットPを前記供給場所に供給するとともに、当該供給場所から回収したパレットPを前記パレット収容装置30に収容する。
【0044】
そして、本例の本例のパレット供給装置1では、例えば、工場内にこれを設置する際には、以下のようにして組み付けられ、設置される。尚、架台40及び制御装置60は、それぞれキャスター55,61によって手押し搬送可能になっている。
【0045】
まず、前記走行基台11及び搬送部15から構成される搬送装置10を所定位置に配設した後、前記制御装置60を手押しにより搬送して、前記走行基台11の近傍に仮置きし、ついで、前記移動機構17及び移載機構20と制御装置60とを電気的に接続する。尚、走行基台11の据え付けには、フォークリフトやハンドリフトなどの運搬機を用いることができる。
【0046】
次に、少なくとも、跳ね上げカバー48を上方に跳ね上げ、前記係止ボルト49bを架台40に螺着することによって、当該跳ね上げカバー48を跳ね上げ状態に維持した後、当該架台40を、前記制御装置60が跳ね上げカバー48の下方を相対的に通過するように、当該制御装置60側から前記走行基台11に近づけて、当該走行基台11に対して並設する(図3図5参照)。
【0047】
次に、前記制御装置60を旋回させながらその位置調整を行って、前記架台40の保持部32,33の下方に設定された正規の位置に移動させ、この後、係止ボルト49bを架台40から取り外して、前記跳ね上げカバー48を跳ね上げ状態から元の下り傾斜状態に戻す。
【0048】
そして、前記スタンド56,62を調整して、これらスタンド56,62によって前記架台40及び制御装置60を支持するとともに、それぞれの高さ位置を調整する。
【0049】
以上により、搬送装置10、パレット収容装置30及び制御装置60をそれぞれ設定された位置に設置することができる。
【0050】
以上のように、本例のパレット供給装置1によれば、天井クレーンなどの巻き上げ装置を用いることなく、パレット収容装置30の架台40に設けられた空間内に制御装置60を収容した状態で、搬送装置10、パレット収容装置30及び制御装置60を組み付けることができる。したがって、天井クレーンなどの巻き上げ装置が用意されていない工場においても、当該パレット供給装置1を容易に設置することができる。
【0051】
また、巻き上げ装置を用いた場合に比べて、架台40の空間内に制御装置60を収容する際の当該制御装置60の制動性が良いため、当該制御装置60と架台40との干渉を容易に回避することができ、これら架台40及び制御装置60の設置作業を容易且つ短時間で実行することができる。
【0052】
また、本例のパレット供給装置1では、前記跳ね上げカバー43,48,51を上方(矢示C方向)に跳ね上げるとともに、また、この跳ね上げ状態を維持することができるように構成されているので、例えば、保持部31,32,33の下方位置のメンテナンスや、前記制御装置60の保全を、走行基台11側から行うことができ、当該メンテナンスや保全を容易に行うことができる。跳ね上げカバー43,48,51が、跳ね上げ可能に設けられていない場合には、架台40に取り付けられた外壁41などを取り外した状態でメンテナンスや保全を行う必要があり、その作業が煩雑なものとなる。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何ら上例のものに限定されるものではない、
【0054】
例えば、上例では、パレットを保持する保持部として3つの保持部31,32,33を設定したが、当然のことながら、保持部の設置数はこれに限られるものではなく、これ以上の数でも、これ以下の数でも良い。また、上例では、保持部を走行軌道11に沿った一方側に設けたが、このような構成に限られるものではなく、走行軌道11を挟んだその両側に保持部を設けても良い。
【0055】
繰り返しになるが、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 パレット供給装置
10 搬送装置
11 走行基台
11a 走行路
15 搬送部
16 走行台車
17 移動機構
20 移載機構
21 伸縮部
30 パレット収容装置
31,32,33 保持部
40 架台
42,47,50 傾斜カバー
43,48,51 跳ね上げカバー
44,49,52 ステー
60 制御装置
61 キャスター
62 スタンド
図1
図2
図3
図4
図5