(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】硫酸塩を含まない発泡性固体クレンザー
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20240408BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240408BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240408BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20240408BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61K8/46
A61K8/44
A61K8/19
A61K8/362
A61Q19/10
(21)【出願番号】P 2022525759
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 IB2019059317
(87)【国際公開番号】W WO2021084308
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】515233487
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・コンシューマー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Consumer Inc.
【住所又は居所原語表記】199 Grandview Road, Skillman, NJ 08558, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ハーパー・ドナルド・エル
(72)【発明者】
【氏名】マルチネス・マーシー
(72)【発明者】
【氏名】シング・シャイレンドラ
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06506713(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0282837(US,A1)
【文献】特表2005-514970(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0288208(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体クレンジング製品であって、
a.第1の界面活性剤重量で存在する少なくとも第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤重量で存在する少なくとも第2の界面活性剤であって、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の両方が硫酸塩含有物質を含まず、前記第1の界面活性剤重量の前記第2の界面活性剤重量
に対する比は、
1:1~1:1.5である、少なくとも第1の界面活性剤及び少なくとも第2の界面活性剤と、
b.合算した緩衝剤重量で存在する、少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤であって、
前記合算した緩衝剤重量が、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の合算重量の少なくとも2倍である、
少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤と
を含
み、
前記第1の界面活性剤がイセチオン酸塩であり、前記第2の界面活性剤がベタイン又はタウリン酸塩であり、
前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の前記合算重量が、前記固体クレンジング製品の16重量%~20重量%である、固体クレンジング製品。
【請求項2】
前記第1の界面活性剤がココイルイセチオン酸ナトリウムであり、前記第2の界面活性剤がコカミドプロピルベタインである、請求項1に記載の固体クレンジング製品。
【請求項3】
前記合算した緩衝剤重量が、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の前記合算重量の少なくとも2.5倍である、請求項1に記載の固体クレンジング製品。
【請求項4】
前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の前記合算重量が、前記固体クレンジング製品
の18重量%である、請求項1に記載の固体クレンジング製品。
【請求項5】
前記合算した緩衝剤重量が、前記固体クレンジング製品
の36重量%
~48重量%である、請求項1に記載の固体クレンジング製品。
【請求項6】
前記合算した緩衝剤重量が、前記固体クレンジング製品
の48重量%である、請求項1に記載の固体クレンジング製品。
【請求項7】
前記第1の緩衝剤が塩基性緩衝剤である、請求項1に記載の固体クレンジング製品。
【請求項8】
前記第2の緩衝剤が酸性緩衝剤である、請求項1に記載の固体クレンジング製品。
【請求項9】
前記第1の緩衝剤が炭酸水素ナトリウムであり、前記第2の緩衝剤がクエン酸である、請求項2に記載の固体クレンジング製品。
【請求項10】
撹拌時間の終了から10分後の時点で10%未満の泡崩壊を有する、請求項1
~9のいずれか一項に記載の固体クレンジング製品。
【請求項11】
固まっていない粉末の形態にある、請求項1
~9のいずれか一項に記載の固体クレンジング製品。
【請求項12】
固体クレンジング製品であって、
a.第1の界面活性剤重量で存在する第1の界面活性剤、第2の界面活性剤重量で存在する第2の界面活性剤及び第3の界面活性剤重量で存在する第3の界面活性剤であって、前記第1の界面活性剤、前記第2の界面活性剤及び前記第3の界面活性剤の各々が、硫酸塩含有物質を含まず、前記第1の界面活性剤重量
の前記第2の界面活性剤
重量に対する比が1:1~3:1であり、
前記第2の界面活性剤重量が、前記第3の界面活性剤重量の1~2.37倍である、第1の界面活性剤、第2の界面活性剤及び第3の界面活性剤と、
b.合算した緩衝剤重量で存在する、少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤であって、
前記合算した緩衝剤重量が、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤
の合算重量の少なくとも2倍である、
少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤と
を含
み、
前記第1の界面活性剤がイセチオン酸塩であり、前記第2の界面活性剤がベタインであり、前記第3の界面活性剤がタウリン酸塩である、固体クレンジング製品。
【請求項13】
前記第1の界面活性剤がココイルイセチオン酸ナトリウムであり、前記第2の界面活性剤がコカミドプロピルベタインであり、前記第3の界面活性剤がメチルココイルタウリン酸ナトリウムである、請求項12に記載の固体クレンジング製品。
【請求項14】
前記第1の緩衝剤が炭酸水素ナトリウムであり、前記第2の緩衝剤がクエン酸である、請求項13に記載の固体クレンジング製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレンジング製品、特に固体クレンジング製品に関する。本固体クレンジング製品は、硫酸塩を少なくとも実質的に含んでおらず、水などの流体の存在下で発泡性であり、かついくつかの態様では、固まっていない粉末、カプセル又はプレスされた錠剤の形態にあることができる。
【背景技術】
【0002】
クレンジング製品は、液体形態を含むさまざまな形態で提供される。液体クレンジングの形態は、非常に有用で効果的であるが、漏れやこぼれを起こしやすく、また通常、ボトルなどのより大きなパッケージを必要とする。この理由から、固体クレンジング製品が望まれる場合がある。固体クレンジング製品は、流体の存在下で溶解性である。しかし、固体クレンザーは、所望のプロファイル又は量まで発泡しないことが多く、すなわち、それらは、十分に早く発泡することもなく、所望の泡安定性を有することもない。固体クレンザーは、水にさらされた場合、及びユーザーの皮膚表面で使用される場合、「ペースト」にならないことが特に望ましく、むしろ柔らかい泡状の質感となることが望ましい。
【0003】
「バスボム(Bath Bomb)」は、概して、本質的に固体で、水の存在下で溶解する製品であり、バスボムは、その中に含まれるクレンジング製品を含む。バスボムは、概して、湿潤したときに発泡する乾燥成分が固く詰まった混合物である。これらの製品は、概して、水存在下で激しく反応して、5分以内に発泡と完全な溶解をもたらす。バスボムは、芳香剤、油、気泡、又は色などの1つ以上の要素を浴の水に提供することが知られている。しかし、バスボムは、通常、使用される際に所望の発泡プロファイル又は量をもたらすこともなく、バスボムは、保湿効果も他の皮膚への有益性、特ににきび処置などの顔面への有益性のいずれももたらすことはない。バスボムを使用して、通常、大量の水(満杯の浴槽など)に要素を提供するが、ユーザーに発泡したクレンジングを提供しない。バスボムは、通常、ユーザーの手での溶解に適しておらず、後で、ユーザーの皮膚又は顔で使用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
固体クレンジング製品、特に、粉末物質から作製されており、かつ硫酸塩含有成分を含まず、ユーザーの皮膚上で使用するのに十分に温和であり、かつ迅速な発泡性成分、クレンジング成分、保湿成分及び皮膚コンディショニング成分の組合せ物を提供するものが必要とされている。本発明は、所望の時間内に生成される望ましい量の泡を有する固体クレンジング製品であって、望ましい泡安定性を更に有するだけでなく、所望のクレンジングレベルを実現する、固体クレンジング製品を提供する。本固体クレンジング製品は、濃縮クレンジング錠剤の形態にあってもよく、この製品は、迅速な速さで泡立つクッション性泡に変換されて、ユーザーの皮膚に不快感、乾燥又は刺激を伴うことなく、所望のレベルのクレンジングをもたらす。固体クレンジング製品の特定の実施形態はまた、ユーザーの皮膚に潤い感を与えた状態にするための保湿剤を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】2つの市販の液体クレンザーの泡試験の結果を表すグラフである。
【
図2】界面活性剤を試験した泡試験の結果を示すグラフである。
【
図3】様々な配合物を試験した泡試験の結果を示すグラフである。
【
図4】様々な配合物を試験した泡試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用するとき、用語「固体」は、液体の形態ではない材料を指す。固体製品は、流動性の顆粒又は粉末を含んでもよく、錠剤又はプレスされた錠剤などのより大きな固体形態を含んでもよい。望ましくは、本明細書に記載される固体製品は、本質的に無水である。本明細書のクレンジング製品は、実質的に水が添加されないことが望まれ、本明細書のクレンジング製品は、水が添加されないことがより望まれる。用語「添加された水を実質的に含まない」とは、クレンジング製品が、添加された水を0.1%未満、より望ましくは添加された水を0.01%未満含むことを意味する。添加された水を含まないクレンジング製品は、芳香剤、エキスなどの成分中における水の存在及び空気中の水分の存在に起因する、微量レベルの水を含むことがあるが、クレンジング製品中の微量の水は、配合物の0.1重量%未満、より望ましくは配合物の0.1重量%未満、より望ましくは配合物の0.01重量%未満となるはずである。
【0007】
本明細書に記載のクレンジング製品は、多数の異なる形態のうちの1つであり得る。クレンジング製品は、以下により詳細に記載されるように、プレスされた錠剤の形態であり得る。クレンジング製品は、小袋、カプセル、又は他の保管ユニット内の粉末材料であり得る。クレンジング製品は、外側のカプセル又は他のシェル内に封入することができ、外側の溶解性フィルム又はケーシング内に封入することができ、外側の材料を分離又は分断してクレンジング製品を放出するか、又は使用中に溶解することによって、内部に含まれるクレンジング成分を放出することができる。いくつかの態様では、クレンジング製品は、顆粒状又は粉末状の材料であり、使用前に保管容器から分配することができる。
【0008】
クレンジング製品の成分は、粉末又は顆粒の形態などの固体であることが最も望まれる。最も望ましくは、成分は粉末又は顆粒の形態であり、所望であれば、成分は、クレンジング製品の形成前に、ミル粉砕又はロール処理工程に供されてもよい。本明細書で使用する場合、用語「粉末」は、約2.1マイクロメートル未満、又は約1.1マイクロメートル未満、又は約0.8マイクロメートル未満の平均断面直径を有する粒子状材料を指す。用語「直径」は、必ずしも粒子が球状であることを必要とせず、任意の断面構成を有する粒子を指すことができることに留意されたい。
【0009】
本発明の組成物及び製品は、硫酸塩を含む成分を少なくとも実質的に含んでおらず、好ましい実施形態では、硫酸塩含有成分を含まない。本明細書で使用する場合、「少なくとも実質的に含まない」という用語は、硫酸塩含有成分を0.1重量%未満含み、より好ましくは硫酸塩含有成分を0.01重量%未満含む、組成物を指す。
【0010】
クレンジング製品には、少なくとも1種の界面活性剤を含む多数の成分が含まれている。望ましくは、クレンジング製品は、少なくとも2種の界面活性剤を含み、第1の界面活性剤と第2の界面活性剤とは互いに異なる。クレンジング製品はまた、シアバター(あるいはシリカ担体中のシアバターのブレンドを含むシアバター粉末、Jarchem Industries Inc.によりJarplex SB60として販売)などの少なくとも1つの皮膚コンディショニング剤を含んでもよい。クレンジング製品はまた、緩衝剤を含んでいてもよい。クレンジング製品はまた、結合剤を含み、任意選択で増量剤を含んでもよい。所望の実施形態では、クレンジング製品は、加工に役立つシリカなどの流動促進剤を含む。クレンジング製品はまた、固化防止剤を含んでもよい。任意選択で、クレンジング製品は、抗にきび剤、老化防止剤、抗生剤などの皮膚有益剤を含んでもよい。
【0011】
クレンジング製品はまた、所望の場合、着色料又は芳香剤などの他の添加剤を含んでもよい。
【0012】
上で明記されているとおり、クレンジング製品は、少なくとも1種の界面活性剤を含み、望ましくは2種以上の界面活性剤を含み、第1の界面活性剤と第2の界面活性剤とは互いに異なる。本発明に有用な界面活性剤には、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、メチルココイルタウリン酸ナトリウム及びアシルイセチオン酸ナトリウムなどの陰イオン性が含まれる。好ましくは、第1の界面活性剤は、ココイルイセチオン酸ナトリウムである。本発明において有用な他の界面活性剤には、四級アンモニウム塩、アミンオキシド及びエステルクォートなどの陽イオン性界面活性剤;ベタイン、アミドベタイン、エステルベタイン及びアンホアセテートなどの両性界面活性剤;並びにアルキ(alky)ポリグリコシド、アルコールエトキシレート及び脂肪アルカノールアミドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。2種以上の界面活性剤が存在する実施形態では、第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤は両方とも陰イオン性、非イオン性、陽イオン性、又は両性であってもよく、第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤はイオン的性質が異なっていてもよい。
【0013】
界面活性剤は、製品全体の約1重量%~約50重量%の任意の量で存在してもよく、製品全体の約5重量%~約40重量%の量で存在してもよく、製品全体の約10重量%~約30重量%の量で存在してもよい。2種以上の界面活性剤が使用される場合、各界面活性剤は、同じ重量で存在してもよく、異なる重量で存在してもよい。第1の界面活性剤と第2の界面活性剤とは、それぞれ1:1~10:1、又は1:1~5:1、又は1:1~3:1、又は1:1~約1:1.5の重量比で存在してもよい。好ましくは、第1の界面活性剤と第2の界面活性剤とは、約1:1の重量比で存在してもよい。
【0014】
本発明において有用な結合剤としては、ラクトース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、アラビアガム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファ化デンプン、寒天、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。このような結合剤の1つはラクトース一水和物であり、一方、他の結合剤としては微結晶性セルロース、及びアルファ化デンプンが挙げられる。本発明で使用され得るこのような微結晶性セルロースの1つには、ProSolv SMCC(JRS Pharmaにより販売)の名称で販売されているケイ化微結晶性セルロースが含まれる。ProSolv SMCCは、微結晶性セルロースとコロイド状二酸化ケイ素との組合せであり、50~65マイクロメートルの平均粒径(ProSolv SMCC 50及びProSolv SMCC 50LD)、及び125マイクロメートルの平均粒径(ProSolv SMCC 90及びProSolv SMCC 90HD)で入手できる。結合剤は、クレンジング製品の約10重量%~約40重量%を含む、任意の所望の量で存在してもよい。いくつかの態様では、結合剤は、クレンジング製品の約20重量%~約30重量%の量で存在する。いくつかの態様では、結合剤は、すべての界面活性剤の合計重量よりも少ない量で存在してもよい。
【0015】
本発明において有用な皮膚コンディショニング剤としては、アロエエキス、アラントイン、ビサボロール、セラミド、ジメチコン、ヒアルロン酸、ビオサッカライドガム-1、エチルヘキシルグリセリン、ペンチレングリコール、水素添加ポリデセン、オレイン酸オクチルドデシル、グリチルリチン酸二カリウム及びセチルリン酸カリウムが挙げられる。乳化剤は、クレンジング製品の約1重量%~約10重量%、又はクレンジング製品の約4重量%~約6重量%の量で存在し得る。
【0016】
増量剤は、任意選択で、本発明のクレンジング製品に使用されてもよい。好適な増量剤には、例えば、zea mayコーンスターチ(Ingredionによって販売)などのコーンスターチが含まれる。使用される場合、増量剤は、クレンジング製品の約3重量%~約10重量%、又はクレンジング製品の約5重量%~約8重量%の量で存在し得る。
【0017】
本発明はまた、緩衝剤を含む。所望の実施形態では、本発明は、2つの明確に異なる緩衝剤を含む。第1の緩衝剤は本質的に塩基性であるが、第2の緩衝剤は本質的に酸性である。好適な第1の緩衝剤の一例としては、重炭酸ナトリウムが挙げられ、好適な第2の緩衝剤の一例としては、クエン酸が挙げられる。緩衝剤は、クレンジング製品の約10重量%~約50重量%、又はクレンジング製品の約16重量%~約48重量%、又はクレンジング製品の約34重量%~約48重量%の合計重量で使用され得る。2種以上の異なる緩衝剤を使用し、第1の緩衝剤が第2の緩衝剤と実質的に同じ重量である量で存在することが最も望ましい。いくつかの態様では、第1の緩衝剤は、クレンジング製品の約5重量%~約25重量%の量で存在してもよく、第2の緩衝剤は、クレンジング製品の約5重量%~約25重量%の量で存在してもよい。本明細書で使用するとき、用語「実質的に同じ重量」は、第1の緩衝剤と第2の緩衝剤との重量が互いに約5%を超えて異ならないことを意味する。第1の緩衝剤と第2の緩衝剤とは、それぞれ1:1~10:1、又は1:1~5:1、又は1:1~3:1の重量比で存在してもよい。好ましくは、緩衝剤と第2の緩衝剤とは、1:1の重量比で存在してもよい。
【0018】
すべての界面活性剤及びすべての緩衝剤の総重量は、クレンジング製品の総重量の約58重量%~約80重量%であってもよい。いくつかの態様では、クレンジング製品中の界面活性剤及び緩衝剤の総重量は、クレンジング製品全体の約60~70重量%であってもよい。
【0019】
クレンジング製品がプレスされた錠剤の形態にある実施形態では、粉末の流動性を改善し、錠剤の加工に役立つ流動促進剤を含むことが望まれる。流動促進剤は、粉末間の摩擦を低減することによって、顆粒又は粉末の流動を促進する。流動促進剤は、クレンジング製品の約0.1重量%~約2重量%、又はクレンジング製品の約0.5重量%~約1重量%の量で存在し得る。流動促進剤の例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ヒュームドシリカ、デンプン及びタルクが挙げられる。プレスされたクレンジング錠剤は、錠剤の接着を防ぐステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を更に含んでもよい。
【0020】
クレンジング製品は、固化防止剤を含んでもよく、これは、凝集物質の形成を防ぎ、最終製品の形成中の流動を改善すると共に、包装、輸送、及び消費を容易にするための、クレンジング粉末中の添加剤である。固化防止剤の中には、水に可溶性のものもあれば、アルコールや他の有機溶媒に可溶性のものもある。それらは、過剰な水分を吸収することによって、又は粒子をコーティングして、より効果的に水をはじくようにすることによってのいずれかで機能する。好適な固化防止剤には、例えば、セルロース及びデンプンが挙げられる。使用される場合、固化防止剤は、クレンジング製品の約3重量%~約12重量%の量で存在してもよく、クレンジング製品の約1重量%~約20重量%であってもよい。
【0021】
クレンジング製品は、所望に応じて着色剤及び/又は芳香剤を含んでもよい。使用される場合、着色剤は、クレンジング製品の約0.1重量%~約2重量%の量で使用され得る。いくつかの態様では、クレンジング製品は、複数の着色剤を含んでもよく、いくつかの態様では、クレンジング製品は、異なる色の層を有する、又は製品が色の線若しくは層を含む配色を含む、プレスされた錠剤であってもよい。クレンジング製品は芳香剤を含んでもよく、使用される場合、芳香剤はクレンジング製品の約0.01重量%~約0.5重量%の量で使用される。クレンジング製品には、着色剤又は芳香剤が添加されていなくてもよい。
【0022】
クレンジング製品は、抗にきび剤、老化防止剤、抗微生物剤などの1種以上の追加の活性剤を含んでもよい。このような皮膚有益成分/担体としては、例えば、以下の成分:レチノール、レチニルエステル、テトロン酸、テトロン酸誘導体、ヒドロキノン、コウジ酸、没食子酸、アルブチン、ct-ヒドロキシ酸、ナイアシンアミド、ピリドキシン、アスコルビン酸、ビタミンE及び誘導体、アロエ、サリチル酸、ベンゾイルペルオキシド、ウィッチヘーゼル、カフェイン、ジンクピリチオン、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、コロイド状オートミール、アルファヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ酸、及びβ-ヒドロキシ酸などの酸、クロレラ、パパイヤ、及びパパインなどの酵素、N-アセチルグルコサミン、並びにグルコノラクトンのうちの1つ以上が挙げられる。他のスキンケア成分及び担体は、当業者に既知であり、本発明の組成物に使用されてもよい。
【0023】
本発明の組成物に含まれ得る追加の皮膚有益成分としては、以下の成分:セチルリン酸カリウム、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100などの乳化剤;ポリクオタニウム、綿粉末及びパンテノールなどのコンディショニング剤;グリコールジステアレート、ジステアリルエーテル及び雲母などの真珠光沢剤;オクトクリレン、メトキシケイ皮酸オクチル、ベンゾフェノン-4、二酸化チタン及び酸化亜鉛などのUVフィルタ;アプリコット種子、クルミ殻、ポリマー又はセルロースビーズ、及び軽石などの角質除去添加剤;ジメチコン、シクロメチコン及びアモジメチコンなどのシリコーン;ワセリン、ヒマワリ油、脂肪族アルコール、グルコース、セラミド、ヒアルロン酸、乳酸、ゼラチン、アスコルビン酸、アラントイン、乳タンパク質、マルトデキストリン、グルコン酸亜鉛、尿素及びシアバターなどの保湿剤;コカミドMEA及びコカミドDEAなどの泡安定剤;トリクロサンなどの抗菌剤;グリセリンなどの保水剤;グアー、塩化ナトリウム及びカルボマーなどの増粘剤;タンパク質、加水分解タンパク質及び加水分解コラーゲンなどの毛髪及び皮膚損傷修復剤;コカミドMIPAなどの発泡促進剤;フェノイエタノール(phenoyethanol)、エチルヘキシルグリセリン、安息香酸ナトリウム及びホルムアルデヒド供与体などの防腐剤;並びに芳香剤のうちの1種以上が挙げられる。使用される場合、追加の皮膚有益剤は、好ましくはセチルリン酸カリウムなどの乳化剤であり、約1%~約10%、より好ましくは約2~約5%の量である。
【0024】
最終製品は、1種以上の超崩壊剤を含むことが望まれる場合がある。例えば、製品にはAc-Di-Sol(登録商標)クロスカルメロースナトリウムが含まれる場合があり、これは医薬品及び栄養補助食品の錠剤、カプセル、及び顆粒の粉状化及び溶解に役立つ内部架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース(NaCMC)である。使用される場合、超崩壊剤は、最終製品の約0.01~約2重量%、又は最終製品の約0.1~約1重量%の量で使用されてもよい。
【0025】
上述のように、クレンジング製品は、任意の固体形態であってもよく、いくつかの実施形態では、クレンジング製品は、プレスされた錠剤又は固まっていない粉末の形態であることが望ましい。プレスされた錠剤が使用される場合、プレスされた錠剤は、圧縮、破砕性、及び溶解時間のバランスが適切である必要がある。プレスされた錠剤は、望ましくは、錠剤の形状及び感触を維持するように圧縮されるが、ユーザーは錠剤を分断又は粉砕して、錠剤を粉末状又は顆粒状の形態に還元することができる。プレスされた錠剤は、望ましくは、ユーザーによって粉砕することができるが、包装されてユーザーに出荷されるときに、その形状を保持できないほど容易に砕けることのない破砕性レベルを有する。
【0026】
クレンジング製品は、実質的に水密のパッケージに包装され、望ましくは気密のパッケージ内にある。例えば、製品は、小袋、カプセル、溶解性フィルム、ブリスターパッケージ、又は他の単一パッケージ若しくは密封環境などの、それ自体の使い捨てパッケージ内に含まれてもよい。ユーザーは、使用するためにパッケージからクレンジング製品を、例えばブリスターパッケージから取り出す又は放出する、又はカプセルを分離/分断する、又は外側のフィルムを溶解するなどして、放出する。製品が錠剤である実施形態では、ユーザーが錠剤を分断して、分断された錠剤を形成することが望まれる。例えば、これは、ユーザーの手又は粉砕ツールで錠剤を粉砕することによって達成されてもよく、錠剤は、ユーザーの指で錠剤をねじることによって粉砕されてもよい。いくつかの態様では、錠剤は、例えば、錠剤をユーザーの手のひらの中に置き、次に指又は親指を使用してユーザーの手のひらの中で錠剤を粉砕することによってなど、手と指の使用の組合せによって粉砕され得る。
【0027】
クレンジング製品が粉末の形態である態様では、ユーザーは、クレンジング製品をほぐして、それ以上粉々にする必要がない場合がある。
【0028】
粉末の形態で粉砕又は分配されると、ユーザーは、クレンジング製品に少量の水(例えば、約3~10mL、又は約3~5mL)を添加し、ユーザーの手、指、体、顔、又は毛髪で湿潤したクレンジング製品を走らせることができる。ユーザーの手、指、体、顔、又は毛髪で湿潤した製品を走らせることによって、湿潤した製品は、発泡したクレンジング製品を形成する。製品は、以下に記載される泡生成速度を有し、望ましくは、水にさらされ、ユーザーの手、指、体、顔、又は毛髪でこすられた後、約2~約5秒以内に、固体クレンジング製品の少なくとも約95%が発泡したクレンジング製品となる。次に、ユーザーは、所望に応じて、発泡したクレンジング製品を、手、体、顔又は毛髪を含むユーザーの体の1つ又は複数の領域に施用することができる。クレンジングが完了すると、ユーザーは、発泡して施用したクレンジング製品を水ですすぐことができる。
【0029】
本発明は、上述のプレスされた錠剤の形態にある固体クレンジング製品を作製する方法を含み、プレスされた錠剤の成分は粉末の形態にあることが望ましく、したがって、所望の場合又は必要な場合、錠剤を形成する方法は、個々の成分を粉末の形態にロール処理又はミル粉砕する初期工程を含むことがある。例えば、第1の工程は、1種以上の界面活性剤を、断面直径約2マイクロメートル未満又は断面直径約1.1マイクロメートル未満の粒径を有する粉末にロール処理又はミル粉砕する工程であってもよい。一例として、第1の界面活性剤は、最初にフレークの形態であってもよく、第2の界面活性剤は、ヌードルの形態であってもよいが、これらの界面活性剤のそれぞれは、(一緒に又は個々に)ミル粉砕されて、所望の粒径を有する粉末を形成する。
【0030】
本明細書に記載のクレンジング製品を作製する場合、界面活性剤(又は使用する場合、複数の界面活性剤)を、LM-40ブレンダー(L.B.Bohle社製)などの乾燥粉末ブレンダーに添加する。界面活性剤に、流動促進剤以外の他の乾燥成分の混合物を添加する。例えば、他の乾燥成分の混合物は、結合剤、増量剤、緩衝剤、固化防止剤、及び他の任意選択成分(抗にきび剤、着色剤、芳香剤など)を含んでもよい。次いで、これらの成分をブレンダーで十分な時間混合して、完全に混合し、この混合は、約25~50RPMで約10分であってもよく、完全に混合されるまでであってもよい。この初期混合段階の終了時に、次に、所望の場合、流動促進剤を混合物に添加することができ、次いで、流動促進剤を有する組成物を、約25~50RPMで更に5分間混合してもよく、完全に混合されるまで混合してもよい。混合されると、最終製品を錠剤にする場合、組成物は錠剤化の準備が整う。
【0031】
製品が錠剤の形態であることが望まれる実施形態では、混合組成物を、錠剤化装置に添加し、所望の力及び圧縮に供して、包装及び分配に好適であるが、ユーザーによって使用(及び所望であれば粉砕)することもできる好適な錠剤を形成する。粉末材料は、約70N~約120Nの射出力で、約2.0kN~約5.0kNの圧縮力を受けることができる。プレスされた錠剤は、望ましくは約900~約1100mg、より望ましくは約950mg~約1010mgの重量を有する。プレスされた錠剤は、望ましくは約1.0kp~約5.0kp、より望ましくは約1.2kp~約3.5kpの平均硬度を有する。最後に、錠剤は任意の所望の厚さを有してもよいが、いくつかの態様では、約5mm~約10mm、又は約6mm~約8mmの厚さを有してもよい。最終錠剤は、例えば、円形、正方形、六角形、又は他の断面形状を含む任意の所望の形状を有してもよく、任意の所望の断面形状を有する球体若しくは円筒であってもよい。
【0032】
最終製品は、錠剤又は固まっていない粉末の形態であっても、任意の他の形態であっても、好適な容器に包装することができる。容器は実質的に気密であり、より望ましくは、容器は完全に気密であることが望まれる。クレンジング製品が形成され包装されると、ユーザー又は複数のユーザーに分配することができ、製品は、男女のユーザーが望むように使用することができる。クレンジング機能を提供することに加えて、クレンジング製品は、老化防止又はしわ防止効果などの他の効果を提供するために、1つ以上の成分を更に含んでもよい。
【0033】
上述のように、本発明は、ユーザーの皮膚、毛髪又は顔に直接使用するのに好適な発泡性クレンジング製品を提供する。クレンジング製品が好適な泡量、好適なレベルの泡安定性を発生することが望ましく、泡は、泡が生成された後の気泡サイズ又は気泡サイズ分布によって測定され得る、ソフトなクッション感を有するべきである。本明細書で使用するとき、「泡量」は、クレンジング製品を追加の水にさらし、ユーザーによって又は機器を使用する方法によって撹拌されたときに生成される泡の量を指す。「ピーク泡量」とは、所定の撹拌時間中に生成され、その後すぐに泡が崩壊して減少し始める泡の最大量を指す。更に、本明細書で使用する場合、「泡崩壊」は、所定の時間にわたる撹拌が終了したときの泡量に対する泡量の減少率を指す。消費者が使用する場合、撹拌の終了は、製品が水と組み合わされ、ユーザーによって処理(例えば、手で又は皮膚でこすることによって)された時点から、泡が十分なレベルまで生成されるのに十分な時点までとして定義される。これは、ユーザーによる約10秒の撹拌、約15秒の撹拌、約20秒の撹拌、又は約30秒の撹拌の後であってもよい。以下に定義されるSITA泡試験では、撹拌は15秒間隔で13回パルスされたプロペラから行われるため、総撹拌時間は195秒である。したがって、SITA泡試験では、「撹拌の終了」は、この195秒間の撹拌期間の後である。泡生成時間、泡量、ピーク泡量及び泡崩壊は、以下に記載される美的評価に対する、それほど定量的ではない、機器による泡試験法に基づく。
【0034】
例示的な配合物の初期スクリーニングは、製品の意図される使用の間の美的評価を含んだ。製品は、望ましくは約2~5秒の泡生成時間を有し、これは、粉末又は粉砕製品の形態になってから、製品が、水にさらされ撹拌された後、約2~約5秒以内に製品が発泡し始めることを意味し、製品が粉末として分配されても、又はユーザーによって粉砕された錠剤として分配されてもそうである。撹拌は、ユーザーが製品を(例えば、ユーザーの手、ユーザーの顔、又はユーザーの体で)こすることを含み得る。泡生成時間は、製品の少なくとも約95%が水と反応して泡を形成するのに必要な時間を指す。試験目的で、ピーク泡量及び泡崩壊は、以下に記載される機器を使用しての泡試験法によって定量的に評価された。
【0035】
実施例における配合物を定量的に比較するために使用される機器を使用しての泡試験法は、「SITA泡試験」であり、以下のように実施された:泡は、SITA Foam Tester R-2000(SITA Messtechnik GmbHにより販売)を使用して生成及び測定された。SITA泡試験のプロトコルは、2つの段階からなり、それらの段階のどちらも、30±2℃に制御した温度である。第1の段階は「泡生成」を含み、この最中に、中程度の硬水(100ppmのCaCl2)250mL中の試験製品0.25グラムを、1200RPMで13回、15秒間のプロペラパルスに供し、各パルスの後に泡量を測定する(測定には、10秒以下を要する)。13回目のパルスからの泡が測定された後、泡安定性を評価するための「泡崩壊」段階が始まる。「泡崩壊」は、60秒毎に15分間の泡量測定を伴う。良好な発泡形成体は、「泡生成」段階中に少なくとも300mLの泡を生成し、安定した泡は、10分間の「泡崩壊」段階の間に10%未満の量しか崩壊しない。SITA泡試験は、泡生成段階中の増分泡量を測定し、ピーク泡量を測定し、泡崩壊段階中の増分泡量を測定するものである。
【0036】
本明細書で使用する場合、用語「泡崩壊」は、泡生成段階が終了したときから10分後までに起こる泡量の減少量を指す。例えば、泡生成段階の終了時に製品が300mLの泡量を有しており、10分後に270mLに減少した場合、その泡崩壊は10%であった。本明細書における配合物は、10%以下、又は8%以下、又は5%以下の泡崩壊値を有することが望ましい。
【0037】
本明細書におけるクレンジング製品は、当該クレンジング製品の特定の形態に依存し得る、任意の所望の方法又はパッケージで包装されてもよい。例えば、プレスされた錠剤は、複数のプレスされた錠剤を含む容器内に包装されてもよい。あるいは、プレスされた錠剤は、ブリスターパッケージに包装されてもよく、それにより、ユーザーは、一度に1つのプレスされた錠剤を分配することができ、残りの錠剤は、水密又は気密のブリスターパッケージにしっかりと保管されてもよい。クレンジング製品が流動性粉末の形態である場合、クレンジング製品は、使い捨ての気密パッケージ若しくは小袋に保管されてもよく、又は容器(チューブ、キャニスター、ボトル、若しくはアンプルなど)に保管されてもよく、これにより、ユーザーは必要に応じて、所望の量のクレンジング製品を分配することができる。換言すれば、製品は、ユーザーが使用するために所望の量の製品を取る多目的容器に保管されてもよく、又は製品は、使い捨ての容器内に保管されてもよく、それによってパッケージは容器を開封する際に1回量のクレンジング製品を分配する。
【実施例】
【0038】
以下の非限定的な実施例により、本発明は、より完全に理解され得る。以下の実施例では、製品を(粉末として)形成し、試験室の現場内で評価した。製品の形成後、発泡、肌触り、発泡までの時間、成分の溶解プロファイル、及び使用後の乾燥などの美観に関して、製品を非公式に試験した。加えて、以下のいくつかの実施例では、上記のように錠剤を形成する試みがなされた。製品が、美的な外観及び感触を通して、又は錠剤作製の失敗を通してのいずれかで、初期評価に合格しなかった場合、製品は不合格と見なされ、追加の泡特性について試験されなかった。製品が、美的試験及び/又は錠剤作製試験のいずれかを含む初期評価に合格した場合、本明細書に記載されている泡試験に製品を供した。
【0039】
2つの市販されている液体クレンジング製品に関する発泡プロファイルを評価して、
図1に示されているとおり、泡の比較レベルを提示した。最初の液体クレンザー(NEUTROGENA(商標)Oil-Free Acne Wash)は、700mLを超えるピーク泡量を生成することが分かった一方、2番目の液体クレンザー(NEUTROGENA(商標)Ultra Gentle daily Cleaner)は、約300mLのピーク泡量をもたらした。本明細書に記載されている固体クレンジング製品は、約300mL以上のピーク泡量を有することが望ましい。
【0040】
試験した配合物を以下の実施例に記載し、詳細な配合は、以下の表に記載されており、列挙されている量は、最終配合物の重量%である。本明細書に記載されている実施例に基づくと、二次界面活性剤と組み合わせた、ココイルイセチオン酸ナトリウムなどの非イオン性界面活性剤を含有する硫酸塩不含配合物は、硫酸マグネシウム及び緩衝剤の存在下で、十分な泡量をもたらす。更に、二次界面活性剤が、コカミドプロピルベタイン若しくはメチルココイルタウリン酸ナトリウム、又はコカミドプロピルベタインの重量分率をより高くして、メチルココイルタウリン酸ナトリウムと組み合わせたコカミドプロピルベタインである場合、配合物は良好な性能を示した。驚くべきことに、二次界面活性剤が陰イオン性である配合物は、泡量及び泡安定性の性能に関して劣る。
【0041】
実施例1
ココイルイセチオン酸ナトリウム及び硫酸塩含有界面活性剤(ココ硫酸ナトリウム)を、さまざまなタイプの水で個別にそれぞれ試験し、発泡レベル及び安定性を判定した。配合物S1は、ココイルイセチオン酸ナトリウムしか含んでいない一方、配合物S2は、ココ硫酸ナトリウムしか含まない(それぞれ、配合物全体中に約9%の量で存在する)。各々をSITA泡試験に供したが、それぞれを硬水(100ppmのCaCl2)中で試験し、それぞれをDI水中で試験した。結果を
図2に示す。
【0042】
分かるとおり、ココイルイセチオン酸ナトリウムは、より高いピーク泡量及びわずかに良好な泡崩壊をもたらした(硬水中)。ココ硫酸ナトリウム単独では、硬水中とDI水中の両方において、性能に乏しかった。
【0043】
しかし、驚くべきことに、DI水中ではココイルイセチオン酸ナトリウム単独で、非常に良好に性能を発揮し、約325mLのピーク泡量に到達した。その安定性は、数分後に悪くなり始めたが、硬水中では、ココイルイセチオン酸ナトリウムよりも依然として高いものであった。陰イオン性界面活性剤は、静電的反発を促進する電荷が存在するため、非イオン性界面活性剤よりも優れた発泡性を通常もたらすので、ココ硫酸ナトリウムはより高い泡量をもたらすことが予想される。
【0044】
実施例A~D
ココイルイセチオン酸ナトリウムの発泡プロファイルを考慮して、第1の界面活性剤としてココイルイセチオン酸ナトリウムを含むさまざまな実施例組成物を調製した。実施例A~Dを調製し、それぞれが、第1の界面活性剤としてココイルイセチオン酸ナトリウムを含むが、第2の界面活性剤として非硫酸塩含有界面活性剤を含んだ。配合物の詳細を、以下の表1に説明する。分かるとおり、これらの実施例の各々の場合、第1の界面活性剤は、9%の重量百分率で存在し、これらの実施例の各々の場合、活性な第2の界面活性剤の成分の重量百分率も9%とする。
【0045】
【0046】
SITA泡試験を用いて、実施例A~Dのそれぞれを試験した。結果を
図3に示す。分かるとおり、ココイルイセチオン酸ナトリウム、及び第2の界面活性剤としてコカミドプロピルベタイン及びメチルココイルタウリン酸ナトリウムを含む硫酸塩不含配合物は、適度なピーク泡量及び適度な泡崩壊を示した。対照的に、ココイルイセチオン酸ナトリウムと第2の界面活性剤としてラウロイルサルコシン酸ナトリウム及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウムとの組合せ物は、発泡プロファイルが不適切であった。実施例Aは、ほぼ185mLのピーク泡量を示し、経時的に迅速に崩壊した。実施例Cは、約175mLのピーク泡量に到達し、経時的に更に一層迅速に崩壊した。実施例Dは、300mLを超えるピーク泡量に到達し、10分後に6%の許容可能な泡崩壊で、経時的にその泡を維持した。実施例Bは、約350mLのピーク泡量に到達し、10分後にわずか3%の泡崩壊を有したに過ぎなかった。
【0047】
このことは、ココイルイセチオン酸ナトリウムと第2の非硫酸塩界面活性剤との組合せ物のすべてが成功を収めるとは限らないことを示している。
【0048】
実施例E~G
二次界面活性剤として、メチルココイルタウリン酸ナトリウム及びコカミドプロピルベタインを含む、配合物の発泡プロファイルを考慮して、3種の界面活性剤のすべてをさまざまな比で含む、更に3種の硫酸塩不含配合物を調製して発泡特性に関して試験した。更なる配合物は、以下に記載されている実施例E~Gである。
【0049】
【0050】
分かるとおり、実施例Eは、9%の活性重量パーセントの第1の界面活性剤、それぞれ4.5%の活性重量百分率の第2の界面活性剤及び第3の界面活性剤を含む。実施例Fは、9%の活性重量パーセントの第1の界面活性剤、6%の活性重量パーセントの第2の界面活性剤、及び3%の活性重量百分率の第3の界面活性剤を含む。実施例Gは、9%の活性重量パーセントの第1の界面活性剤、3%の活性重量パーセントの第2の界面活性剤、及び6%の活性重量百分率の第3の界面活性剤を含む。
【0051】
実施例E~Gの各々をSITA泡試験に供し、その結果を
図4に示す。分かるとおり、実施例E及びFは、より優れた発泡プロファイルを示し、375mLという高いピーク泡量及び10分後に5%未満の泡崩壊であった。実施例Eは、実施例Fよりもわずかに優れていたが、どちらも実質的に類似した。実施例Gは、300mLをわずかに超えるピーク泡量を生じたが、実施例E及びFよりも統計学的に有意な、より低い発泡レベルを示した。3つの製品はすべて、許容可能な泡安定性を示した。
【0052】
この試験は、3種の界面活性剤が、固体発泡性クレンザー(それぞれが、ココイルイセチオン酸ナトリウムを含む)において使用される場合、コカミドプロピルベタインが、メチルココイルタウリン酸ナトリウム以上の活性重量百分率で存在する場合、発泡レベルは、コカミドプロピルベタインがメチルココイルタウリン酸ナトリウムよりも低い活性重量百分率で存在するときよりも高いことを示している。更に、コカミドプロピルベタインとメチルココイルタウリン酸ナトリウムとの組合せ物は、第2の界面活性剤として個別に使用した場合に比べて、組合せ物においてより高い発泡レベルを実現した。陰イオン性界面活性剤は、通常、最高の泡形成を示すので、コカミドプロピルベタインとメチルココイルタウリン酸ナトリウムとの組合せ物が、ココイルイセチオン酸ナトリウムと組み合わせた、コカミドプロピルベタイン単独及びメチルココイルタウリン酸ナトリウム単独よりもわずかに多い泡を生じたことは驚くべきことであった。
【0053】
更に、これまでの実施例と現在の実施例とを比較すると、メチルココイルタウリン酸ナトリウムがコカミドプロピルベタインの量の2倍である場合に示したより低い発泡レベルは、メチルココイルタウリン酸ナトリウムが第2の界面活性剤として単独で使用された場合の発泡レベルとほぼ同じになることが見出された。このことは、メチルココイルタウリン酸ナトリウムの一部の除去、及びコカミドプロピルベタインによる置き換えは、メチルココイルタウリン酸ナトリウムを単独で(第2の界面活性剤として)使用した場合の発泡レベルを改善しないことを示している。コカミドプロピルベタインの量を、メチルココイルタウリン酸ナトリウム以上に増加させた場合、発泡レベルは有意に向上した。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) 固体クレンジング製品であって、
a.第1の界面活性剤重量で存在する少なくとも第1の界面活性剤及び第2の界面活性剤重量で存在する少なくとも第2の界面活性剤であって、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の両方が硫酸塩含有物質を含まず、前記第1の界面活性剤重量及び前記第2の界面活性剤重量が、互いにほぼ等しい、少なくとも第1の界面活性剤及び少なくとも第2の界面活性剤と、
b.合算した緩衝剤重量で存在する、少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤であって、
前記合算した緩衝剤重量が、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の合算重量の少なくとも2倍である、
少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤と
を含む、固体クレンジング製品。
(2) 前記合算した緩衝剤重量が、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の前記合算重量の少なくとも2.5倍である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(3) 前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の前記合算重量が、前記固体クレンジング製品の約16重量%~約20重量%である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(4) 前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の前記合算重量が、前記固体クレンジング製品の約18重量%である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(5) 前記合算した緩衝剤重量が、前記固体クレンジング製品の約36重量%~約48重量%である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
【0055】
(6) 前記合算した緩衝剤重量が、前記固体クレンジング製品の約48重量%である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(7) 前記第1の界面活性剤がイセチオン酸塩である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(8) 前記第2の界面活性剤がベタインである、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(9) 前記第1の緩衝剤が塩基性緩衝剤である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(10) 前記第1の緩衝剤が酸性緩衝剤である、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
【0056】
(11) SITA泡試験器において、0.25gのクレンジング製品及び250mLの水を使用することによって測定すると、300mLより多い泡ピークを有する、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(12) 撹拌時間の終了から10分後の時点で10%未満の泡崩壊を有する、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(13) 固まっていない粉末の形態にある、実施態様1に記載の固体クレンジング製品。
(14) 固体クレンジング製品であって、
a.第1の界面活性剤重量で存在する第1の界面活性剤、第2の界面活性剤重量で存在する第2の界面活性剤及び第3の界面活性剤重量で存在する第3の界面活性剤であって、前記第1の界面活性剤、前記第2の界面活性剤及び前記第3の界面活性剤の各々が、硫酸塩含有物質を含まず、前記第1の界面活性剤重量が、前記第2の界面活性剤及び前記第3の界面活性剤の合算重量にほぼ等しい、第1の界面活性剤、第2の界面活性剤及び第3の界面活性剤と、
b.合算した緩衝剤重量で存在する、少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤であって、
前記合算した緩衝剤重量が、前記第1の界面活性剤及び前記第2の界面活性剤の前記合算重量の少なくとも2倍である、
少なくとも第1の緩衝剤及び少なくとも第2の緩衝剤と
を含む、固体クレンジング製品。
(15) 前記第1の界面活性剤がイセチオン酸塩である、実施態様14に記載の固体クレンジング製品。
【0057】
(16) 前記第2の界面活性剤がベタインである、実施態様14に記載の固体クレンジング製品。
(17) 前記第3の界面活性剤がタウリン酸塩である、実施態様14に記載の固体クレンジング製品。
(18) 前記第2の界面活性剤がベタインであり、前記第3の界面活性剤がタウリン酸塩であり、前記第2の界面活性剤重量が、前記第3の界面活性剤重量とほぼ等しい、実施態様14に記載の固体クレンジング製品。
(19) 前記第2の界面活性剤がベタインであり、前記第3の界面活性剤がタウリン酸塩であり、前記第2の界面活性剤重量が、前記第3の界面活性剤重量のほぼ2倍である、実施態様14に記載の固体クレンジング製品。
(20) SITA泡試験器において、0.25gのクレンジング製品及び250mLの水を使用することによって測定すると、300mLより多い泡ピークを有する、実施態様14に記載の固体クレンジング製品。