(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】微細に分割された水性の粒子安定化ピッカリングエマルション及びそれから製造された粒子
(51)【国際特許分類】
C09K 23/54 20220101AFI20240408BHJP
C01B 33/18 20060101ALI20240408BHJP
C08G 77/06 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
C09K23/54
C01B33/18 C
C08G77/06
(21)【出願番号】P 2022537038
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2019085651
(87)【国際公開番号】W WO2021121562
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クノール,セバスティアン
【審査官】福山 駿
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202236(JP,A)
【文献】特開2019-210203(JP,A)
【文献】特表2009-531489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 23/00-23/56
C01B 33/18
C08G 77/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、ビニル基又はアルコキシ基を有する、シロキサン及びシランから選択される材料(S)の水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)を製造するための方法であって、
水相(W)、
重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、ビニル基又はアルコキシ基を有する、シロキサン及びシランから選択される材料(S)及び
酸化ケイ素(IV)
の粒状固体(F)を混合し、
最大で9μmの平均直径d
50を有し、材料(S)及び
前記粒状固体
(F)を含む液滴を形成し、
ただし、粒子安定化ピッカリングエマルションにおいて、
質量比Q1=m(F)/m(S)*100は、3~25の任意の数であり、
質量比Q2=m(S)/(m(S)+m(W))*100は、50~75の任意の数であり、
Q1及びQ2の間の関係は、
Q2=-(1.56*Q1)+Q3であり、式中、
Q3は77.0~89.0の間の数であり、
d
50はRetsch Technology社製Camsizer X2を用いて決定する(測定原理:ISO13322-2に従う動的画像解析、測定範囲:0.8μm~30mm、分析の種類:粉末及び顆粒の乾燥測定、分散圧=2bar)、方法。
【請求項2】
前記材料(S)が、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、一般式(IV)の少なくとも1種のシロキサンであるか、
[A
1
mR
9
pSiO(
4-p-m)/2](IV)
[式中、
A
1は、水素であるか、又は30個までの炭素原子を含み、O原子、S原子、Si原子、Cl原子、F原子、Br原子、P原子又はN原子から選択されるヘテロ原子をさらに含むことができる炭化水素基であり、したがってA
1は官能基であってもよく、それ自体が置換されていないか、又は置換されており、
R
9は、18個までの炭素原子を有するアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、又はヒドロキシル基若しくはHを表し、これはA
1とは独立してその定義を有することができ、
m及びpは、各々0、1、2又は3の値を表す。]、
又は重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすい、式(V)の少なくとも1種のシランであるか、
(R
10)
4-n-Si-(OR
11)
o (V)、
[式中、oは1、2、3又は4の値を有する数であり、
R
10は、1~16個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基であって、隣接していない炭素原子が酸素原子に置換されていてもよいアルキル基を表すか、又はアリール基を表すか、又はホスホン酸モノエステル基、ホスホン酸ジエステル基、ホスホン酸基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアナト基であって、化学反応からの保護のために任意に反応阻害されていてもよいイソシアナト基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、1個以上の窒素原子を有する第一級、第二級若しくは第三級アミノ基であって、窒素原子が、水素、又は一価の芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素基で置換されていてもよいアミノ基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、アルデヒド基、ウレタン基、尿素基の群から選択される有機官能基であり、ここで基R
10はケイ素原子上に直接結合してもよいし、又はケイ素原子から1~6個の炭素原子の炭素鎖によって分離されていてもよく、
R
11は、隣接しない炭素原子が、O、N、P、S、Cl、F、Br、又はSiのようなヘテロ原子によって置き換わっていてもよい一価の直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式炭化水素基であって、関連するヘテロ原子の自由原子価は、直鎖状若しくは分枝状のアルキル基によって、又は水素原子によって飽和されていてもよく、又は一価の芳香族炭化水素基若しくは形式-C(=O)-R
12の基であって、R
12は、一価の直鎖状若しくは分枝状の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は一価の芳香族炭化水素基であり、ここで、選択されたシラン若しくは任意に選択されたシランは、非加水分解形態、加水分解形態、又は加水分解され、かつ部分的に縮合された形態、又は加水分解され、かつ縮合された形態、又はこれらの形態の組み合わせで存在し得る。]、
又は2種以上の一般式(IV)のこのようなシロキサン及び/又は一般式(V)のシランの調製物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粒状固体(F)が、pH7.33の水及び0.11molの電解質バックグラウンドに、温度37℃及び1013hPaで0.1g/l未満の溶解度を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒状固体(F)の平均粒径が1000nm未満である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記粒状固体(F)の炭素含有率が、乾燥粒状固体についての元素分析によって測定される0.1~4重量%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法により製造可能である、水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)。
【請求項7】
ポリマー材料を含むコア(K)と粒状固体(F)から構成されるシェル(H)とを含む粒子(P)を製造する方法であって、
第1の工程では、重付加、重縮合又は連鎖重合に受けやすく、シロキサン及びシランから選択される材料(S)の水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)を、請求項1~5のいずれか一項に記載されているように製造し、
第2の工程では、水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)の材料(S)を重付加、連鎖重合又は縮合に供する、方法。
【請求項8】
前記粒子(P)が、20未満の分布範囲(d
90-d
10)を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
平均直径d
50が1.0~8.0μmであり、
請求項7又は8に記載の方法により製造可能である、付加-架橋、縮合-架橋又は連鎖重合-架橋シリコーン樹脂粒子(P1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすい材料の水性の粒子安定化ピッカリングエマルション、該エマルションの製造方法、該ピッカリングエマルションから粒子を製造する方法、及び粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
WO2017142068A1号は、反応性の付加架橋シロキサンの微細に分割されたシリカ安定化エマルションを開示し、その欠点は、非常に大量のシリカを使用することである。シリコーンエラストマー粒子のコアは、重付加反応によって形成される。
【0003】
WO2007113095号もシリカ安定化エマルションによるシリコーン粒子の製造について記載する。粒子のサイズは、例えば、乳化技術によって、換言すれば、例えば、導入される剪断エネルギー、分散性ケイ素-有機相の体積分率、安定化する微細に分割された金属酸化物粒子の量、連続水相のpH及びそのイオン強度、粘度、計量の順序、計量速度などの変数によって、又は反応方式によって、換言すれば、例えば、反応温度、反応時間、使用される原料の濃度によって制御され得ることが教示される。任意に採用される加水分解及び縮合触媒の選択及び量も同様に粒径に影響する。
【0004】
WO2007113095号は、さらに、比較的小さな液滴の製造を可能にする乳化技術を使用する場合、この方法は、小さい表面構造化粒子を生じることを教示する。この目的のためには、例えば、水中で凝縮性液体又は調製物を安定化させるために、異なる剪断エネルギー又は異なる両親媒性粒子の選択を使用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/142068号
【文献】国際公開第2007/113095号
【発明の概要】
【0006】
本発明の主題は、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、シロキサン及びシランから選択される材料(S)の水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)を製造するための方法であって、水相(W)、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、シロキサン及びシランから選択される材料(S)及び粒状固体(F)を混合し、最大で9μmの平均直径d50を有し、材料(S)及び粒状固体を含む液滴を形成し、
ただし、粒子安定化ピッカリングエマルションにおいて、
質量比Q1=m(F)/m(S)*100は、3~25の任意の数であり、
質量比Q2=m(S)/(m(S)+m(W))*100は、50~75の任意の数であり、
Q1及びQ2の間の関係は、Q2=-(1.56*Q1)+Q3であり、式中、
Q3は77.0~89.0の間の数字である方法である。
【0007】
驚くべきことに、上記の質量比が観察される場合、微細に分割された水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)が形成されることが見出された。この種の微細に分割されたエマルション(E)は、有機乳化剤(液滴に付着することにより破壊を引き起こす)を使用するだけで他の方法では入手可能である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の方法における、平均直径d50が9μm未満の液滴のサイズは、混合方法及び混合エネルギーとはほとんど無関係である。これは、本発明の方法を実質的により安定にし、例えば、式又は方法の費用のかかる不便な適合を必要とせずに、運用スケールアップの場合のようにバッチサイズ又は混合方法の変更を可能にする。
【0009】
先行技術の本発明に従わない粗粒状エマルションと比較して、ピッカリングエマルション(E)は、それらが分離に対して改善された安定性を示すという利点を有し、そのことはエマルションが分散相のクリーミング又は沈降に対してほとんど安定であることを意味する。
【0010】
ピッカリングエマルションEは、好ましくは、室温での貯蔵の21日以内に大きな分離を示さない。
【0011】
ピッカリングエマルション(E)のさらなる利点は、それらが低い剪断粘度を有し、したがって容易に塗布できることである。本発明の水性エマルションは、さらに、室温の閉鎖系において、それらが少なくとも15か月の高い保存安定性を有するという利点を有する。
【0012】
ピッカリングエマルション(E)の追加の利点は有機乳化剤を全く必要とせず、そのために、とりわけ、得られた成形品と基材との接触面の耐水性、及び基材への接着性が大幅に改善されることである。有機乳化剤を省略した結果、ピッカリングエマルション(E)から製造可能な粒子Pは有機乳化剤を含まない。これは、このような汚染物質が製品の品質を低下させるか、又は実際に望ましくない化粧品用途にとって大きな利点である。
【0013】
ピッカリングエマルション(E)を製造する本発明の方法は、非常に大過剰の安定化粒子を使用する必要なく、微細に分割されたエマルションを生成することができるという利点を与える。その結果、ピッカリングエマルション(E)では、環境に侵入する可能性があり、架橋性エマルションの活性に悪影響を及ぼす非反応性汚染物質が回避される。
【0014】
ピッカリングエマルション(E)は、既存の系とは対照的に、そのレオロジーが非水系で知られている種類の範囲内で調整できる利点がある。
【0015】
ピッカリングエマルション(E)のさらなる利点は、完全に硬化した生成物の機械的特性が非水系で知られている種類の範囲内にあることである。
【0016】
ピッカリングエマルション(E)は、さらに、硬化の過程で揮発性有機化合物が全く大気に放出されないように配合することができるという利点を有する。
【0017】
ピッカリングエマルション(E)は、さらに、それらが多数の基板、例えば、紙、布、繊維セメント、プラスチック、木材などの鉱物建築材料、及び多くの他の基材上に強固に接着する皮膜を形成するという利点を有する。その結果、それらは多くの基材に接着するのにも適している。ここでの皮膜は、例えば、ブラッシング、ローリング、浸漬又は噴霧により達成され得る。
【0018】
架橋性オルガノポリシロキサンのピッカリングエマルション(E)は、本発明に従わない粗粒状エマルションに対し、より小さい液滴サイズのため、被覆、含浸及び疎水化方法において、反応性オルガノポリシロキサンが、処理される基材中により深く浸透でき、それにより表面処理の活性及び耐久性を改善するという利点を有する。先行技術で使用されているように、非常に大過剰の粒状乳化剤は、処理される基材の細孔を詰まらせ、その表面に堆積するであろう。これは塗布の活性を低下させる。ピッカリングエマルション(E)を製造する本発明の方法は、大過剰の粒状乳化剤を使用することなく、微粉に分割されたエマルションの製造を可能にする。先行技術で使用されている種類の有機乳化剤を使用する場合、それらは表面に堆積するであろう。これは、望ましくない効果をもたらし、例えば、有機乳化剤は、表面の印刷適性及び接合時の接着性を損なう。
【0019】
本発明の別の主題は、上記の方法によって製造可能な水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)である。
【0020】
材料(S)及び粒状固体(F)を含む液滴はピッカリングエマルション(E)の不連続相を形成する。
【0021】
不連続相は、好ましくは、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、少なくとも1種以上のシロキサン又はシランを含む材料を含む。
【0022】
好ましくは、材料(S)は、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、一般式(IV)の少なくとも1種のシロキサンであるか、
[A1
mR9
pSiO(4-p-m)/2](IV)
[式中、
A1は、水素であるか、又は30個までの炭素原子を含み、O原子、S原子、Si原子、Cl原子、F原子、Br原子、P原子又はN原子から選択されるヘテロ原子をさらに含むことができる炭化水素基であり、したがってA1は官能基であってもよく、それ自体は置換されていないか、又は置換されており、
R9は、18個までの炭素原子を有するアルコキシ基若しくはアリールオキシ基、又はヒドロキシル基若しくはHを表し、これはA1とは独立してその定義を有することができ、
m及びpは、各々0、1、2又は3の値を表す。]、
又は重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすい、式(V)の少なくとも1種のシランであるか、
(R10)4-n-Si-(OR11)o (V)、
[式中、oは1、2、3又は4の値を有する数であり、
R10は、1~16個の炭素原子を有する直鎖状又は分枝状のアルキル基であって、隣接していない炭素原子が酸素原子に置換されていてもよいアルキル基を表すか、又はアリール基を表すか、又はホスホン酸モノエステル基、ホスホン酸ジエステル基、ホスホン酸基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、ビニル基、メルカプト基、イソシアナト基(イソシアナト基は化学反応からの保護のために任意に反応阻害されていてもよい。)、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、モルホリノ基、ピペラジノ基、1個以上の窒素原子を有する第一級、第二級若しくは第三級アミノ基(窒素原子が、水素、又は一価の芳香族、脂肪族又は脂環式炭化水素基で置換されていてもよい。)、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、アルデヒド基、ウレタン基、尿素基の群から選択される有機官能基であり、ここで基R10はケイ素原子上に直接結合してもよいし、又はケイ素原子から1~6個の炭素原子の炭素鎖によって分離されていてもよく、
R11は、隣接しない炭素原子が、O、N、P、S、Cl、F、Br、又はSiのようなヘテロ原子によって置き換わっていてもよい一価の直鎖状又は分岐状の脂肪族又は脂環式炭化水素基(関連するヘテロ原子の自由原子価は、直鎖状若しくは分枝状のアルキル基、又は水素原子によって飽和されていてもよい。)、又は一価の芳香族炭化水素基若しくは形式-C(=O)-R12の基(R12は、一価の直鎖状若しくは分枝状の脂肪族若しくは脂環式炭化水素基又は一価の芳香族炭化水素基である。)であり、ここで、選択されたシラン若しくは任意に選択されたシランは、非加水分解形態、加水分解形態、又は加水分解され、かつ部分的に縮合された形態、又は加水分解され、かつ縮合された形態、又はこれらの形態の組み合わせで存在し得る。]、
又は2種以上の一般式(IV)のこのようなシロキサン及び/又は一般式(V)のシランの調製物である。
【0023】
シラン、シロキサン又は調製物は、重縮合又は重付加を受けやすく、特に好ましいのは重付加を受けやすいシラン、シロキサン又は調製物である。
【0024】
重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすいシラン、シロキサン又は調製物は、好ましくは室温で周囲の雰囲気の圧力下、すなわち1013hPaで液体であり、好ましくは1~500000mm2/秒、より好ましくは10~100000mm2/秒、非常に好ましくは50~50000mm2/秒、特に好ましくは100~10000mm2/秒の粘度を有する。
【0025】
1つの好ましい実施形態では、少なくとも1種のビニル基含有オルガノポリシロキサンと、ケイ素結合した水素原子を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンから構成される調製物が用いられ、この調製物は25℃において150mm2/秒~8000mm2/秒の粘度を有する。
【0026】
1つの特に好ましい実施形態では、少なくとも1種のビニル基含有オルガノポリシロキサン、少なくとも1種のビニル基含有オルガノポリシロキサン樹脂、及びケイ素結合した水素原子を有する少なくとも1種のオルガノポリシロキサンから構成される調製物が用いられ、この調製物は25℃において500mm2/秒~5000mm2/秒の粘度を有する。
【0027】
材料(S)は、一般式(IV)の反復単位から構成される1種以上のシロキサン及び/又は一般式(V)のシランを含むことが好ましい。
【0028】
一般式(IV)では示されていないが、ジオルガノシロキサン単位の10mol%までが他のシロキサン単位に置換されている可能性がある。しかし、通常、R3SiO1/2単位、RSiO3/2単位及びSiO4/2単位(RはA1に対し上で示された定義を有する)のような、多かれ少なかれ避けがたい不純物の形態で存在するにすぎない。
【0029】
本発明で使用される粒状固体(F)は、好ましくは、室温で、周囲の雰囲気の圧力下、換言すれば、1013hPaで固体である粒子を含む。
【0030】
粒状固体(F)はpH7.33の水及び0.11molの電解質バックグラウンドに、温度37℃、及び周囲の雰囲気の圧力下、換言すれば、1013hPaで0.1g/l未満、より好ましくは0.05g/l未満の溶解度を有する。
【0031】
粒状固体(F)は、いずれの場合も好ましくは静的光散乱によって測定される、好ましくは10000g/molを超える、より好ましくは50000~50000000g/mol、より具体的には100000~10000000g/molのモル質量を有する。
【0032】
粒状固体(F)は、好ましくは30~500m2/g、より好ましくは100~300m2/gのBET比表面積を有する。BET比表面積は、好ましくはドイツ工業規格DIN66131及びDIN66132に従った、既知の方法によって測定される。
【0033】
粒状固体(F)は、好ましくは、1を超え、好ましくは4を超えるモース硬度を有する。
【0034】
使用される粒状固体(F)は、金属-酸素結合に共有結合成分を有する金属酸化物が好ましく、例は典型元素及び遷移族元素の固体酸化物、例えば、第3族のもの、例えば、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム及び酸化インジウム、及び第4族のもの、例えば、二酸化ケイ素、二酸化ゲルマニウム、及び酸化スズ及び二酸化スズ、酸化鉛及び二酸化鉛、又は遷移族元素の酸化物、例えば、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化ハフニウム、酸化セリウム又は酸化鉄である。
【0035】
本発明で使用される金属酸化物は、好ましくは酸化アルミニウム(III)、酸化チタン(IV)又は酸化ケイ素(IV)、例えば、湿式で化学的に製造される、例えば、沈降シリカ又はシリカゲル、又は高温での操作で生成される酸化アルミニウム、二酸化チタン又は二酸化ケイ素、例えば、熱によって生成される酸化アルミニウム、二酸化チタン又はシリカであり、焼成シリカが特に好ましい。
【0036】
焼成シリカは、メタノール価が70未満のシラン処理された焼成シリカが好ましい。
【0037】
EP1433749A1号及びDE10349082A1号に記載されているように、部分的に水湿潤性の金属酸化物が非常に特に好ましい。
【0038】
粒状固体(F)の平均粒径、又は適切な場合には、ここでの粒子の凝集体は、微細に分割された粒子を含まない液滴の平均直径d50より小さいことが好ましい。
【0039】
粒状固体(F)の平均粒径は、いずれの場合もMalvern社のナノサイザーZSを用いた173°後方散乱における光子相関分光法による平均流体力学的等価直径として測定される、1000nm未満、好ましくは10nm~800nmの間、より好ましくは50nm~500nmの間、非常に好ましくは75nm~300nmの間である。粒状固体(F)のメタノール価は、好ましくは70未満、より好ましくは50未満、非常に好ましくは40未満、特に好ましくは30未満である。
【0040】
メタノール価は、水とメタノールとの規定された混合物を調製し、次いで、これらの混合物の表面張力を既知の技術を使用することによって決定する。別の実験において、これらの水-メタノール混合物に規定量の粒子を重ね、規定条件下で振盪する(例えば、手で穏やかに、又はタンブルミキサーで約1分間振盪する)。粒子がまだ沈降しない水-アルコール混合物と、粒子がまさに沈降するアルコール含有率のより高い水-アルコール混合物で決定する。後者のアルコール-水混合物の表面張力は、粒子の表面エネルギーγの尺度として臨界表面エネルギーγcritを与える。水中のメタノール含有率からメタノール価を求める。
【0041】
粒状固体(F)の炭素含有率は、乾燥粒状固体についての元素分析によって測定される、0重量%より大きく、好ましくは0.1~4重量%、より好ましくは0.25~3.5重量%、非常に好ましくは0.5~3重量%である。
【0042】
少なくとも1種のシロキサン又はシランに加えて、液滴は、例えば、触媒、充填剤、抑制剤、熱安定剤、溶媒、可塑剤、着色顔料、増感剤、光開始剤、接着促進剤、チキソトロープ剤、導電率添加剤、化粧品物質、芳香剤、活性医薬品又は化粧品成分、及びシリコーン樹脂から選択されるさらなる構成成分をさらに含み得る。
【0043】
本発明の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)は、非イオン性、カチオン性及びアニオン性乳化剤(「有機乳化剤」)のような、室温及び周囲の雰囲気の圧力下で非粒状である従来の液体及び固体の有機界面活性物質を実質的に含まないことが好ましい。
【0044】
本明細書における有機乳化剤とは、Dispersionen und Emulsionen [Dispersions and Emulsions]、G.Lagaly、O.Schulz、R.Zindel、Steinkopff、Darmstadt 1997、ISBN3-7985-1087-3、pp.1~4に記載された分子、ポリマー、コロイド及び粒子の定義に沿って、粒子及びコロイドを指すのではなく、分子及びポリマーを指す。
【0045】
一般に、これらの有機乳化剤は、1nm未満のサイズ、10000g/mol未満のモル質量、元素分析で決定可能なように、50重量%超の炭素含有率、1未満のモース硬度を有する。
【0046】
同時に、本発明のエマルションが実質的に含まない有機乳化剤は、通常、20℃及び周囲の雰囲気の圧力、換言すれば、1013hPa下で均質に又はミセルの形態で、水に1重量%を超える溶解度を有する。
【0047】
本発明のエマルション(E)は、水相におけるこれらの有機乳化剤の臨界ミセル濃度の0.1倍未満、好ましくは0.01倍未満、より好ましくは0.001倍未満、より具体的には0.0001倍未満の最大濃度までこのような有機乳化剤を含み得る。これは、本発明の分散液の総重量に基づいて、10重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より具体的には0重量%のこれらの有機乳化剤の濃度に相当する。
【0048】
材料(S)との混合は、水相(W)中の粒状固体(F)の予備分散液(V)の調製が先行することが好ましい。
【0049】
予備分散液(V)は、原則的に、高速撹拌機、高速溶解機、ローター-ステーターシステム、超音波分散器、又はボールミル又はビーズミルのような剪断効果の高い撹拌要素を用いた組み込みのような、粒子分散液を生成するための既知の方法に従って行われ得る。
【0050】
この場合の予備分散液(V)中の固体(F)の濃度は1~80重量%の間、好ましくは10~60重量%の間、より好ましくは10~40重量%の間、非常に好ましくは12~30重量%の間である。
【0051】
粒子安定化ピッカリングエマルション(E)は、エマルションを製造するために当業者に知られた技術のいずれかを用いて製造することができる。それにもかかわらず、特に適切なエマルションが、以下の方法に従って得られることが明らかになった。
【0052】
方法1:
- 高濃度予備分散液(V)の最初の導入、最初に導入される体積は、それが必要とされる微細に分割された固体(F)の全量と、水相(W)の部分量のみを含むようにされる。
- 例えば、高速攪拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて連続的に均質化しながら、材料(S)の全体積をゆっくり計量添加。
- その後、任意に、例えば、高速攪拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて連続的に均質化しながら、所望の残留体積の水相(W)をゆっくり計量添加。
【0053】
方法2:
- 材料(S)の全体積の最初の導入。
- 例えば、高速攪拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて連続的に均質化しながら、高濃度予備分散液(V)をゆっくり計量添加。計量される体積は、それが必要とされる粒状固体(F)の全量及び水相(W)の部分量のみを含むようにされる。
- その後、任意に、例えば、高速攪拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて連続的に均質化しながら、所望の残留体積の水相(W)をゆっくり計量添加。
【0054】
方法3:
- 材料(S)の全体積の最初の導入。
- 例えば、高速攪拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて連続的に均質化しながら、予備分散液(V)をゆっくり計量添加、計量される体積は、それが必要な固体(F)及び水相(W)の全量を含むようにされる。
【0055】
方法4:
- 予備分散液(V)の最初の導入、最初に導入される体積は、それが必要な固体(F)及び水相(W)の全量を含むようにされる。
- 例えば、高速攪拌機、高速溶解機、ローター-ステーターシステムを用いて、又は毛細管乳化器を用いて、連続的に均質化しながら、材料(S)の全体積をゆっくり計量添加。
【0056】
方法5:
- 材料(S)及び予備分散液(V)の全体積の最初の導入、最初に導入される体積は、それが必要な粒状固体(F)及び水相(W)の全量を含むようにされる。
- 例えば、高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いてジョイント均質化。
【0057】
方法6:
- 材料(S)及び高濃度予備分散液(V)の全体積の最初の導入、最初に導入される体積は、それが固体(F)及び水相(W)の全量を含むようにされる。
- 例えば、高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いてジョイント均質化。
- その後、任意に、例えば、高速攪拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて連続的に均質化しながら、所望の残留体積の水相(W)をゆっくり計量的に添加。
【0058】
方法1、4、5及び6が好ましく、方法4及び5が特に好ましく、方法5が特に好ましい。
【0059】
均質化は、好ましくは少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも1分間、少なくとも1つの方法の工程で行われる。
【0060】
任意の方法の工程において、本発明の水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)を、任意に、例えば、高速撹拌機、高速溶解機又はローター-ステーターシステムを用いて連続的に均質化しながら、水相(W)で希釈する。
【0061】
記載された方法は、連続的な形態で実施されても、又は不連続的な形態で実施されてもよい。連続的な形態が好ましい。
【0062】
乳化操作中の温度は0℃~80℃の間、好ましくは10℃~50℃の間、より好ましくは20℃~40℃の間である。
【0063】
乳化操作は、大気圧、換言すれば、1013hPa、高圧、又は減圧下で行うことができる。大気圧下での操作が望ましい。
【0064】
エマルション(E)については、粒状固体(F)、材料(S)及び水相(W)を、好ましくは以下の割合で混合する。
(F): 好ましくは2~15重量%、より好ましくは3~13重量%、非常に好ましくは4~12重量%
(S): 好ましくは50~70重量%、より好ましくは53~68重量%、非常に好ましくは55~65重量%
(W): 好ましくは23~45重量%、より好ましくは25~40重量%、非常に好ましくは27~36重量%
【0065】
Q1は、5~22、より好ましくは8~18、より具体的には10~16の任意の数であることが好ましい。
【0066】
Q2は55~70、より好ましくは60~70の任意の数であることが好ましい。
【0067】
Q3は、77~89、より好ましくは82~88、より具体的には84~87の任意の数であることが好ましい。
【0068】
混合後、エマルションEを任意の所望量の水で希釈してもよい。
【0069】
前記方法における混合は、120時間より短く、より好ましくは0時間~48時間、非常に好ましくは0.1時間~24時間、1つの具体的な実施形態では0.25時間~12時間の間実施される。
【0070】
前記方法では、任意に、水相(W)、材料(S)及び固体(F)に加えて、架橋を促進し、完了させる上記の触媒を加えることが可能である。この添加は、ピッカリングエマルション(E)が製造される前に材料(S)又は水相(W)に直接、混合中又はその後に完成したピッカリングエマルションに行うことができる。
【0071】
添加される任意の触媒の使用量は、触媒に典型的な定量範囲内である。
【0072】
混合時の反応温度は0℃~150℃の間、好ましくは10℃~80℃の間、より好ましくは15℃~60℃の間である。
【0073】
この方法は、任意に窒素、アルゴン又は二酸化炭素のような不活性ガス雰囲気下で行うことができる。その場合の酸素分率は15体積%未満、好ましくは10体積%未満、より好ましくは5体積%未満である。
【0074】
エマルション(E)のpHは、pH10~1の間、好ましくはpH9~2の間、より好ましくはpH7~2の間、1つの具体的な実施形態では、pH6~2.5の間である。
【0075】
エマルション(E)は、任意に、メタノール、エタノール又はイソプロパノールなどのアルコール又はアセトン又はMEKなどのケトン又はTHFなどのエーテルなどの水溶性有機溶媒と混合してもよい。それらはエマルション(E)の製造終了後に直接添加する場合もあれば、混合の際に添加する場合もある。
【0076】
エマルション(E)は、任意に分散補助剤、保護コロイドなどと混合してもよい。
これらは、エマルション(E)の製造終了後に直接添加する場合もあれば、混合の際に添加する場合もある。
【0077】
エマルション(E)は、好ましくは、5重量%未満の分散助剤、保護コロイドなどを含み、本発明の粒子の分散液は、より好ましくは、1重量%未満の分散助剤、保護コロイドなどを含み、非常に好ましくは、本発明の粒子の分散液は、0.1重量%未満の分散助剤、保護コロイドなどを含み、1つの具体的な実施形態において、エマルション(E)は、分散助剤、保護コロイドなどを含まない。
【0078】
有機電解質又は無機電解質を任意にエマルション(E)に加えてもよい。それらはピッカリングエマルションの製造終了後、反応段階中、又は反応段階終了後のいずれかに添加することができる。この場合の分散液のイオン強度は、0.01mmol/l~1mol/lの間、好ましくは0.1mmol/l~500mmol/lの間、非常に好ましくは0.5mmol/l~100mmol/lの間である。
【0079】
増粘剤を任意にエマルション(E)に加えてもよい。これらは室温及び周囲の雰囲気の圧力下、換言すれば、1013hPaで固体又は液体の形態で存在する有機又は無機増粘剤である。それらはエマルション(E)の製造終了後に直接添加する場合もあれば、混合の際に添加する場合もある。
【0080】
エマルション(E)の乳化に先立って、充填剤は、任意に、いずれの場合も材料(S)100重量部に基づいて、好ましくは0.1~200重量部、より好ましくは0.5~100重量部の量で構成成分(S)に加えてもよい。使用される充填剤の量は、広い範囲内で変化させることができ、特に、本発明のエマルション(E)のそれぞれの用途によって導かれる。
【0081】
充填剤及びアジュバントを、ピッカリングエマルション(E)が製造される前に材料(S)又は水相(W)に直接、乳化中又はその後に、完成したピッカリングエマルション(E)に添加することができる。
【0082】
充填剤の例は、例えば、BET比表面積が50m2/gまでの非補強充填剤、例えば、石英、珪藻土、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ゼオライト、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、ガラス粉末及びプラスチック粉末である。
【0083】
補強充填剤の例としては、粒状固体(F)について上述し、30~500mm2/gのBET比表面積を有する充填剤、及びシリコーン樹脂が挙げられる。
【0084】
シリコーン樹脂の例は、MQ、MT、MDQ、MDT、MTQ及びMDTQシリコーン樹脂であり、MはR3SiO1/2単位及びHR2SiO1/2単位及びR1R2SiO1/2単位から選択され、DはR1RSiO1/2単位及びR2SiO1/2単位及びHRSiO1/2単位から選択され、TはRSiO3/2単位及びR1SiO3/2単位及びHSiO3/2単位から選択され、QはSiO4/2単位を示し、ここでRは各場合で独立して、同一の又は異なる、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まない有機又は無機基であり、R1は各場合で独立して、同一の又は異なる、少なくとも1つの脂肪族炭素-炭素多重結合を有する一価の置換又は非置換のSiC結合した炭化水素基である。
【0085】
基Rは、好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まず、1~18個の炭素原子を有する一価のSiC結合した置換されていてもよい炭化水素基を含み、より好ましくは、脂肪族炭素-炭素多重結合を含まず、1~6個の炭素原子を有する一価の、SiC結合した炭化水素基を含み、より具体的にはメチル基又はフェニル基を含む。
【0086】
基R1は、SiH官能性化合物との付加反応(ヒドロシリル化)を受けやすい任意の所望の基を含み得る。
【0087】
基R1は、好ましくは、2~16個の炭素原子を有するアルケニル基及びアルキニル基、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、1-プロペニル基、5-ヘキセニル基、エチニル基、ブタジエニル基、ヘキサジエニル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基、ビニルシクロヘキシルエチル基、ジビニルシクロヘキシルエチル基、ノルボルネニル基、ビニルフェニル基及びスチリル基を含み、ビニル基、アリル基及びヘキセニル基の使用が特に好ましい。
【0088】
充填剤として適したシリコーン樹脂は、20℃及び1013hPaで固体である。
【0089】
使用した材料(S)及び粒状固体(F)の合計からなるエマルション(E)中の本発明の液滴の割合は、0.1重量%~99重量%の間、好ましくは5重量%~90重量%の間、より好ましくは10重量%~80重量%の間である。
【0090】
完成したエマルション(E)は、さらに、任意に、撹拌しながら保存してもよい。これは、例えば、バー撹拌機又はアンカー撹拌機によって達成され得る。
【0091】
本発明の別の主題は、ポリマー材料を含むコア(K)と粒状固体(F)から構成されるシェル(H)とから構成される粒子(P)を製造するための方法であり、ここで、第2の工程において、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすく、シロキサン及びシランから選択される、水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)の材料(S)を、重付加、連鎖重合又は縮合に供する。
【0092】
第2の工程は、水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)中の重合性材料(S)の量が70wt未満%、好ましくは60wt未満%、より好ましくは50重量%未満、特に好ましくは40重量%未満となるように実施するのが好ましい。第2の工程の前に、粒子安定化ピッカリングエマルション(E)を、好ましくは水又は水溶性有機溶媒、より好ましくは水で希釈する。
【0093】
粒子(P)の製造に適した方法において、重合性材料(S)は、第1工程における混合後、重付加に供されるか、鎖重合されるか、又は縮合される。
【0094】
シロキサン又はシランは、もしそれらがアルコキシ-又はアセトキシ-置換シラン又はシロキサンであるならば、縮合の前に加水分解される必要がある場合がある。十分に反応性のあるシラン及びシロキサンの場合には、存在する水分は、任意に加水分解、続いて縮合をもたらすのに十分である。より反応性の低いシラン及びシロキサンの場合には、任意にシロキサン及びシランの加水分解及び縮合をもたらす触媒が必要である。これらの触媒は酸若しくは塩基であってもよいし、又は金属触媒、例えば、加水分解、縮合反応又はエステル交換反応を促進するために典型的に使用される種類のIV族遷移金属触媒又はスズ触媒であってもよい。適切な酸又は塩基は、既知の鉱酸及び金属塩に加えて、酸性又は塩基性シラン又はシロキサンを含む。
【0095】
好ましい塩基性触媒はNaOH、KOH、アンモニア及びNEt3である。
【0096】
好ましい酸性触媒はp-トルエンスルホン酸、水性又はガス状のHCl、硫酸である。
【0097】
前記方法が連鎖重合反応を含む場合、これは、例えば、オレフィン性不飽和シロキサン又はシランのラジカル重合反応であり得る。
【0098】
材料(S)が、重付加を受けやすいシラン又はシロキサンを含む場合、材料(S)は、好ましくは、例えば、特に、材料(S)がヒドロシリル化反応において互いに反応し得るシロキサンを含む場合、白金触媒などの遷移金属触媒と混合される。
【0099】
この方法は、シロキサン相又はシラン相を安定化させる微細に分割された粒状固体(F)が、縮合反応、連鎖重合反応又は重付加反応の間に、コア(K)を形成する縮合又は重合生成物の表面と反応するか、又は少なくとも水素結合、ファンデルワールス相互作用若しくは他の直接的相互作用、又は他のそのような直接的相互作用の組み合わせのような前記表面との安定な相互作用に入り、固体(F)が材料(S)の縮合生成物又は連鎖重合生成物から構成されるコア上に固定されるように実施されるべきである。
【0100】
粒子Pの表面は、任意に、反応性シラン又はシロキサンによる処理によって改質され得る。これらは、直接又は第1の工程のピッカリングエマルションの調製終了後、反応段階中、反応段階終了後、第2の工程において、粒子Pの単離前、又は粒子の単離後のいずれかに、液相又は固相に添加することができる。この処理は、シラン又はシロキサンが粒子に共有結合するように行うべきである。当業者には対応する方法及び処理が知られている。
【0101】
ピッカリングエマルション(E)は、第2の工程の反応段階終了後、さらに、任意に、撹拌しながら任意に保存することができる。これは、例えば、バー撹拌機又はアンカー撹拌機によって達成することができる。
【0102】
1つの好ましい実施形態において、粒子Pは、好ましくは沈降、濾過又は遠心分離により、より好ましくは濾過又は遠心分離により、非常に好ましくは遠心分離により、単離される。
【0103】
単離後、粒子Pは、好ましくは、FD水、メタノール、エタノール及びそれらの混合物から好ましく選択される洗浄液で洗浄される。
【0104】
1つの好ましい実施形態において、粒子(P)は、水相(W)から粉末形態で単離される。これは、例えば、濾過、沈降、遠心分離によって、又はオーブン若しくはドライヤー中で乾燥することによって揮発性成分を除去することによって、又は噴霧乾燥によって、又は適切な減圧を加えることによって達成され得る。
【0105】
噴霧乾燥により、さらなる後処理なしで非常に微細な粒子を得ることが可能である。静的に乾燥させた粒子Pは緩い凝集体を形成する傾向があり、例えば、ボールミル又はエアジェットミルによるなどの、適切なミリング法によって脱凝集することができる。
【0106】
粒子(P)は、より具体的には、Retsch Technology社のCamsizer X2で測定(測定原理:ISO13322-2に従う動的画像解析、測定範囲:0.8μm~30mm、分析の種類:粉末及び顆粒の乾燥測定、分散圧=2bar)した平均粒子径d50が0.5~9μm、好ましくは0.8~8.5μm、より好ましくは1.0~8.0μm、非常に好ましくは1.5~7μm、特に好ましくは2~6μmであることを特徴とする。
【0107】
粒子(P)は、好ましくは狭い粒径分布範囲を有し、分布範囲(d90-d10)が20μm未満、好ましくは17μm未満、より好ましくは15μm未満、特に好ましくは8μm未満であることを特徴とする。
【0108】
粒子(P)は、より具体的には、使用される粒状固体(F)が、ポリマー粒子(P)の表面に実質的に結合されることを特徴とする。使用される粒状固体(F)の分布は、本発明の包埋粒子の研磨した薄い断面のTEM顕微鏡写真から得ることができる。粒状固体(F)は、いずれの場合も架橋重合生成物の外境界から測定して、好ましくは10nm超、好ましくは20nm超、30nm超が架橋重合生成物に埋没し、架橋重合生成物から好ましくは10nm超、より好ましくは20nm超、非常に好ましくは30nm超突出しており、粒子Pの表面上で強固に結合される。これは、完成したシリコーンエラストマー粒子がシリカで後処理される市販の製品よりも大きな利点である。このような製品の場合、シリカはシリコーンエラストマーに埋没しないため、表面に強固に結合しない。
【0109】
粒子Pは実質的に球形である。好ましくは、球形度SPHT3は、Retsch Technology社のCamsizer X2を用いてISO9276-6により決定可能であるように、少なくとも0.8、より好ましくは少なくとも0.82である。
【0110】
同量の粒状固体(F)を用いて製造された先行技術に従った本発明でないシリカ被覆粒子と比較すると、粒子(P)は大幅により小さい粒径を有する。その結果、これらの粒子は、先行技術に従った比較的大きなシリカ被覆粒子が適さない用途に使用することができる。本発明の粒子は、例えば、処理時又は塗布中に、大幅により小さい開口部、ギャップ又はノズルを通過することができ、したがって、先行技術に従った比較的大きなシリカ被覆粒子で可能なよりも大幅により微細な構造又は表面皮膜の製造を可能にする。
【0111】
粒子(P)は両親媒性であり、これはそれらが親水性(すなわち、水を好む)及び親油性(すなわち、脂肪を好む)の両方であることを意味する。これは、本発明の粒子が、例えば、水又はアルコールなどの極性溶媒のみならず、例えば、有機乳化剤又は他の界面活性物質などのさらなる分散助剤又は添加剤を添加することなく、例えば、脂肪族炭化水素などの無極性溶媒、又はポリジメチルシロキサンオイル中にも容易に分散可能であることを意味する。これは、非常に疎水性であり、例えば、有機乳化剤などの望まれない助剤を使用しない場合には水又はアルコールなどの極性溶媒中に分散可能でない、被覆されていないシリコーンエラストマー粒子と比較して、本発明の粒子(P)の大きな利点である。本発明の粒子(P)の場合、粒状固体(F)は表面で強固に結合し、その結果、両親媒性は溶媒中の分散時に保持される。これは、硬化後にシリカで後処理される先行技術によるシリコーンエラストマー粒子と比較して大きな利点である。なぜなら、本発明に従わないこのような粒子の場合、吸収されたシリカは、永久的には結合されないからである。先行技術によるこれらの粒子の欠点は、非永久的に結合したシリカが、溶媒中での粒子の分散時に完全に又は部分的に剥がれ、それが粒子を高度に疎水性にし、例えば、水のような極性溶媒中ではもはや分散可能でないようにすることである。
【0112】
本発明の別の主題は、上記の方法により製造可能である、平均直径d50が最大で9μmである付加-架橋、縮合-架橋又は連鎖重合-架橋シリコーン樹脂粒子(P1)である。特に好ましいのは、縮合-架橋シリコーン樹脂粒子(P1)である。
【0113】
この場合、重付加、重縮合又は連鎖重合を受けやすい材料(S)が架橋されて熱硬化性シリコーン樹脂が形成される。
【0114】
シリコーン樹脂粒子(P1)に適したシリコーン樹脂の好ましい例は、補強充填剤に関連して上述したシリコーン樹脂であり、これらの樹脂は縮合-架橋され、より具体的には純粋なT樹脂である。
【0115】
水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)は、現在まで水性分散液も使用されている全ての目的に使用することができる。水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)は、化粧品用途及び医薬用途、洗浄組成物及びクレンジング組成物、又は固体基材及び液体基材の界面特性の変化を含む用途、例えば、疎水化組成物、接着促進剤、離型剤、紙被覆又は泡制御組成物、w/o/w又はo/w/oの多重エマルションを製造するため、例えば、制御された放出システムとして、又は反応性物質の分離のために使用され得る。
【0116】
ピッカリングエマルション(E)は、水を除去した後に架橋し、硬化してエラストマー又は樹脂を形成する。したがって、水性の粒子安定化ピッカリングエマルション(E)は、例えば、シーラント及び接着剤、塗料、被覆システムとして、並びに粘着性物質を忌避する電気絶縁性又は導電性疎水性被覆システムとして、又はそのようなシステムのためのベースとして、又はそのようなシステムへの添加として役立つことができる。また、エマルション(E)を架橋することにより、成形品の製造も可能である。
【0117】
ピッカリングエマルション(E)及び粒子(P)は化粧品でより具体的に使われる。
【0118】
粒子(P)は、特に化粧用として非常に有利な挙動を示す。それらは凝集又は閉塞の傾向がなく、したがって極めて分散しやすく、ビロード状の皮膚感触を生じる。この挙動は、本発明に従わない被覆されていないシリコーンエラストマー粒子では観察されない。このような粒子は、皮膚に広げると玉を形成し、不利な感覚を生じる。
【0119】
シリカで被覆されていない本発明でない粒子と比較して、粒子(P)は比較的広い表面積を有する。その結果、粒子(P)は多量の皮膚液を吸収することができ、比較的長期間にわたって乾燥した皮膚感触をもたらす。
【0120】
シリカで被覆されていない本発明でない粒子と比較して、シリカ被覆粒子は、シリカ表面上により多量の機能性物質を吸収することができ、例は、芳香剤、ケア剤、ビタミン又はUV吸収剤、又は活性薬効成分である。その後、これらの物質が皮膚に放出され得る。
【0121】
シリカで被覆されていない本発明でない粒子と比較して、シリカ被覆粒子は両親媒性挙動を示し、これは油性液体及び水性液体の両方で容易に分散可能であることを意味する。
【0122】
シリカで被覆されていない本発明でない粒子と比較して、シリカ被覆粒子の表面は、液体によってより効果的に湿らせることができる。その結果、粒子は、例えば、化粧品配合物のような液体中に実質的により容易にかつ迅速に分散することができ、それらはまた、表面上の液体をはるかに迅速かつ容易に吸収し、例えば、それらは、皮膚上に化粧品を塗布する場合、皮脂を吸収する。
【0123】
先行技術による本発明でないシリカ被覆粒子と比較して、粒子(P)は、実質的により小さい粒径を有する。その結果、化粧品用途で皮膚に塗った場合、それらはより快適で柔らかい皮膚感触を持ち、皮膚をより細かく覆う結果、より均一な皮膚の外観を生み出す。その結果、皮膚の凸凹及び跡がより効果的に隠される。
【0124】
粒子(P)は、先行技術による本発明でないシリカ被覆粒子と比較して、より大きな表面積を有し、その結果、より多量の皮膚液又は機能性物質又は活性薬効成分を取り込むことができる。
【実施例】
【0125】
固形分:
10gの水性分散液を磁器皿中で同量のエタノールと混合し、150℃のN2でパージした乾燥キャビネット中で一定重量になるまで蒸発させる。乾燥残留物の質量mSは、固形分/%=ms*100/10gに従って固形分を与える。
【0126】
平均粒径(d50):
d50はRetsch Technology社製Camsizer X2を用いて決定した(測定原理:ISO13322-2に従う動的画像解析、測定範囲:0.8μm~30mm、分析の種類:粉末及び顆粒の乾燥測定、分散圧=2bar)。
【0127】
メタノール価:
メタノール価は、水及びメタノールの規定の混合物を用意することによって決定する。別の実験では、これらの水-メタノール混合物を同量の乾燥粒子とともに重ねて、規定条件(例えば、手で穏やかに、又はタンブルミキサーで約1分間振盪する)で振盪する。粒子がまだ沈降していない水-アルコール混合物と、粒子がまさに沈降したアルコール含有率のより高い水-アルコール混合物で決定する。後者の水中のメタノール含有率からメタノール価を求める。
【0128】
[実施例1:水性シリカ分散液の製造]
200m2/gのBET比表面積を有する親水性出発シリカ(Wacker-Chemie GmbH、ミュンヒェンからHDK(R)N20の名称で入手可能)をEP1433749A1号に従ってジメチルジクロロシランと反応させることによって得られる、71%の残留シラノール含有率及び0.95%の炭素含有率を有する部分的に疎水性の焼成シリカ1300gを、650rpmで、溶解機上で5200gの完全脱塩(FD)水中に撹拌しながら少しずつ組み込む。シリカを完全に添加した後、分散をさらに60分間650rpmで続ける。これにより固形分20%及びpH4.2の高粘度分散液が得られる。
【0129】
[実施例2:バッチ法でUltra-Turraxを用いて、連鎖重合、重縮合又は重付加を受けやすいシラン及び/又はシロキサンのピッカリングエマルションを製造する一般的な手順]
【0130】
工程1:実施例1に記載のシリカ分散液を適切な1000mLステンレス鋼容器に検量し、10000rpmで10分間Ultra-Turrax T50で撹拌する。分散液の粘度が下がる。任意にFD水を添加し、均質に混合する。実施例7、8又は9の1つに従って製造した混合シリコーンオイル成分を撹拌したシリカ分散液に加え、氷冷しながらUltra-Turraxを用いて10分間10000rpmで均質化する。この手順の間、混合物の温度が35℃を超えないようにする。その結果、粘度の高い白色の組成物(エマルション(E))となる。
【0131】
工程2:工程1の高粘度組成物を、同量のFD水の3回の添加により30%シリコーンオイル含有率まで希釈する。FD水の各ポーションの後、攪拌を6000rpmで3分間行う。これにより、流動性が高く、白色のO/Wエマルションが得られる。
【0132】
[実施例3:溶解機を用いて、連鎖重合、重縮合又は重付加を行いやすいシラン及び/又はシロキサンのピッカリングエマルションを製造するための一般的な手順]
【0133】
工程1:実施例1に記載のシリカ分散液を適切な攪拌容器に検量し、PC Laboratory system,CHのLabo-Top Planetary溶解機を用いて6000rpmで10分間攪拌する。その過程で、分散液の粘度が下がる。任意にFD水を添加し、均質に混合する。実施例7、8又は9の1つに従って調製した混合シリコーンオイル成分を撹拌したシリカ分散液に加え、水冷しながら6000rpmで、10分間溶解機中で均質化する。この手順の間、混合物の温度が35℃を超えないようにする。その結果、白色、高粘度の組成物となる。
【0134】
工程2:工程1からの高粘度組成物を、同量のFD水の3回の添加により1000rpmで30%シリコーンオイル含有率まで希釈する。FD水の各ポーションの後、攪拌を1000rpmで3分間行う。これにより、流動性が高く、白色のO/Wエマルションが得られる。
【0135】
[実施例4:計量方法においてUltra-Turraxを用いて、連鎖重合、重縮合又は重付加を受けやすいシラン及び/又はシロキサンのピッカリングエマルションを製造するための一般的な手順]
【0136】
実施例2とは対照的に、混合オイル成分を、10000rpmでUltra-Turraxにより均質化しながら、15分かけてゆっくりと計量する。
【0137】
[実施例5:重縮合をうけやすいシリコーンオイル成分のピッカリングエマルションからシリカ被覆シリコーン粒子を製造する一般的な手順]
【0138】
重縮合を受けやすいピッカリングエマルションを、重縮合を受けやすく、実施例B8又はB9に従って製造されたシリコーンオイル成分から、実施例B2又は実施例B3に従って製造する。重縮合を受けやすいこのピッカリングエマルション250gを、p-トルエンスルホン酸1.5gと混合する。反応混合物を室温で24時間撹拌する。その結果、白色の流動性の高い分散液となる。この粒子を濾過により除去し、乾燥キャビネット内で、80℃で24時間乾燥させる。これは白色の微細な粉末を生じる。
【0139】
[実施例6:重付加を受けやすいシラン及び/又はシロキサンのピッカリングエマルションからシリカ被覆シリコーン粒子を製造する一般的な手順]
【0140】
重付加を受けやすいピッカリングエマルションを、重付加を受けやすいシリコーンオイル成分B7から、実施例B2又は実施例B3に従って製造する。重付加しやすいこのピッカリングエマルション250gを80℃で24時間撹拌する。その結果、白色の流動性の高い分散液となる。この粒子を濾過により除去し、乾燥キャビネット内で、80℃で24時間乾燥させる。これは白色の微細な粉末を生じる。
【0141】
[実施例7:重付加を受けやすいシリコーンオイル成分B7の製造]
実験室用攪拌装置を用いて、粘度が1000mPas(25℃)のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン375gと、粘度が20000mPas(25℃)のビニルジメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン264gとを均質に混合した。続いて組成[Me3SiO1/2]26.65[ViMe2SiO1/2]3.72[SiO4/2]42.78[HO1/2]1.02[EtO1/2]5.93(SEC(トルエン溶離剤)による分子量:Mw=5300g/mol、Mn=2560g/mol)のビニル基含有シリコーン樹脂274gを加え、溶解が完了するまで混合物を撹拌した。その後、Ptを1重量%含む白金-sym-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体含有溶液0.45g、及び1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン5.6gを加え、撹拌しながら均質に配合した。
【0142】
このようにして得られたベース組成物を、25℃で40mPasの粘度及び0.40%のSiH含有率を有する、ジメチルシロキシ単位、メチルハイドロジェンシロキシ単位及びトリメチルシロキシ単位から構成されるコポリマー114gと均質に混合した。生成された反応性混合物は保存不可能であり、実施例2又は実施例3に従って製造後1時間以内に乳化した。
【0143】
[実施例8:重縮合を受けやすいシリコーンオイル成分B8の製造]
使用した重縮合を受けやすいシリコーン組成物B8は、慣用の方法に従って製造したMw=1200の分子量を有し、メトキシ基含率が約30重量%のメチルトリメトキシシランのメトキシ基を含むオリゴマー縮合生成物であった。
【0144】
[実施例9:重縮合を受けやすいシリコーンオイル成分B8の製造]
使用した重縮合を受けやすいシリコーン組成物B9は、慣用の方法に従って製造した組成[MeSiO3/2]23[EtO1/2]27(SEC(トルエン溶離剤)による分子量:Mw=2560g/mol、Mn=900g/mol、粘度(動的、25℃)25mPa.s)を有するシリコーン樹脂であった。
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
[比較例C6:WO07113095による本発明でない粒子の製造]
本発明に従わないシリカ被覆シリコーン樹脂粒子をWO07113095号の実施例1a)~1c)に従って製造した。この場合、Q1=7.7、Q2=79.5、Q3=91.5である。平均粒径d50=9.3μm、分布範囲(d90-d10)=27.2の固体が得られる。
【0149】
<使用例>
[実施例21:化粧用途における官能評価]
実施例13及び18の本発明の微細に分割されたシリカ被覆シリコーン粒子、並びに比較例C3及びC5の本発明でないシリカ被覆シリコーン粒子の官能品質を、訓練された被験者群によって評価した。皮膚への塗布後、残留物の感覚特性を互いに比較して評価した。表3は、被験者が与えた平均評価を示しており、評点5は好ましいビロード状のような絹のような皮膚感覚に、評点0は望ましくないチクチクし、ざらざらした皮膚感覚に相当する。
【0150】
【0151】
[実施例22:皮膜での使用]
シリコーン皮膜を作製した。これは、実施例18の本発明の微細に分割されたシリカ被覆シリコーン粒子2部を、シリコーン組成物B7の98部と均質に混合し、6000rpmで、溶解機中で10分間撹拌することによって行い、温度を20℃で保持した。得られた組成物を、10mのドクターブレードを用いてガラス板に塗布した。これにより、滑らかで透明な皮膜が得られる。
【0152】
[比較例C7:皮膜での使用]
実施例22とは対照的に、比較例C5の本発明でないシリカ被覆シリコーン粒子を使用した。得られた皮膜は不均質で、多数の白色の粒及び筋がある。
【0153】
[実施例23:化粧品用途での視覚評価]
実施例13の本発明の微細に分割されたシリカ被覆シリコーン粒子100mgを、被験者の洗っていない下腕に直径4cmの円形領域にわたって均一に塗った。その結果、皮膚がやや白っぽくなり、乾燥して均一になり、視覚的に均質になる。これは、存在する皮脂が皮膚表面に完全に吸着される徴候である。
【0154】
[比較例C8:化粧品用途での視覚評価]
実施例23とは対照的に、先行技術のシリコーン粒子(Momentive Performance Materialsから入手可能なTospearl 2000Bマイクロビーズ)を用いた。塗ると、粒子は塊になり、魅力のない不均質な皮膚の外観をつくる。これは、存在する皮脂が皮膚表面に完全には吸着されない徴候である。