(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】セルロース層を有する二層湿式摩擦材を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
F16D 13/62 20060101AFI20240408BHJP
F16D 69/02 20060101ALI20240408BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20240408BHJP
F16H 45/02 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F16D13/62 A
F16D69/02 J
F16D69/02 K
C09K3/14 520H
C09K3/14 520M
C09K3/14 530D
C09K3/14 530J
F16H45/02 X
(21)【出願番号】P 2022551034
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 US2021027906
(87)【国際公開番号】W WO2021221937
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-08-24
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ヤネッタ
(72)【発明者】
【氏名】ムラート バカン
(72)【発明者】
【氏名】ラシッド ファラハティ
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-045860(JP,A)
【文献】特開平10-204415(JP,A)
【文献】特開昭56-092983(JP,A)
【文献】特開昭63-309531(JP,A)
【文献】特開昭63-152735(JP,A)
【文献】特開昭63-254240(JP,A)
【文献】特開2004-217790(JP,A)
【文献】特開平04-198227(JP,A)
【文献】特開2014-077039(JP,A)
【文献】特開2004-231965(JP,A)
【文献】特表2019-513157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/14
F16D 13/62
69/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿式摩擦材を作製する方法であって、
セルロース層の第1の外面を摩擦コーティングでコーティングすることと、
45~55ミクロンの平均直径および1~2ミリメートルの平均長を有する繊維およびフィラー粒子のマトリクスを、前記セルロース層の第2の外面上に配置することと、
前記繊維およびフィラー粒子のマトリクスをバインダーで飽和させ、前記バインダーを硬化させて、前記繊維およびフィラー粒子のマトリクスを一緒に接合して湿式摩擦材ベース層を形成し、湿式摩擦材ベース層を前記セルロース層の前記第2の外面に接合することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記セルロース層の前記第1の外面を前記摩擦コーティングで前記コーティングすることが、水、溶液バインダー、およびフィラー粒子を含む摩擦溶液を前記第1の外面に適用することと、前記摩擦溶液を乾燥させて前記摩擦コーティングを形成することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記摩擦溶液が、1~10重量%の溶液バインダー、5~60重量%のフィラー粒子、および30~94重量%の水を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記セルロース層の前記第1の外面を前記摩擦コーティングで前記コーティングすることが、前記摩擦溶液を前記セルロース層の前記外面上に、噴霧、ブラッシング、またはローリングすることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記摩擦コーティングが、溶液バインダーおよびフィラー粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記摩擦コーティングが、10~30重量%の溶液バインダーおよび70~90重量%のフィラー粒子を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記摩擦コーティングが、12.5~25重量%の溶液バインダーおよび75~87.5重量%のフィラー粒子を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶液バインダーが、ナノセルロース、グアーガム、または四級アンモニウム塩である、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維およびフィラー粒子のマトリクスを前記セルロース層の前記第2の外面上に前記配置することが、前記摩擦コーティングが載る多孔質支持面を通して前記マトリクス中の液体を排出することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記セルロース層の前記第2の外面上にある間、前記マトリクスを圧縮することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
摩擦クラッチの部品を作製する方法であって、
請求項1に記載の方法で前記湿式摩擦材を作製することと、
前記湿式摩擦材を前記摩擦クラッチの金属部品に固定して、前記湿式摩擦材ベース
層が、前記金属部品に接触し、かつ前記摩擦コーティングが前記金属部品から離れて対向するようにすることと、を含む、方法。
【請求項12】
湿式摩擦材であって、
湿式摩擦材ベース層であって、前記湿式摩擦材ベース層に埋め込まれた
、45~55ミクロンの平均直径および1~2ミリメートルの平均長を有する繊維およびフィラー粒子のマトリクスならびにベースバインダーを含む、湿式摩擦材ベース層と、
前記湿式摩擦材ベース層に固定された第1の外面を含むセルロース層と、
前記セルロース層の第2の外面に固定された摩擦コーティングと、を含む、湿式摩擦材。
【請求項13】
前記摩擦コーティングが、溶液バインダーおよびフィラー粒子を含む、請求項12に記載の湿式摩擦材。
【請求項14】
前記摩擦コーティングが、10~30重量%の溶液バインダーおよび70~90重量%のフィラー粒子を含む、請求項13に記載の湿式摩擦材。
【請求項15】
前記摩擦コーティングが、12.5~25重量%の溶液バインダーおよび75~87.5重量%のフィラー粒子を含む、請求項13に記載の湿式摩擦材。
【請求項16】
前記湿式摩擦材ベース
層の前記繊維が、少なくとも70重量%のアラミド繊維である、請求項12に記載の湿式摩擦材。
【請求項17】
前記フィラー粒子が、珪藻土である、請求項12に記載の湿式摩擦材。
【請求項18】
クラッチアセンブリであって、
金属部品と、
前記湿式摩擦材ベース
層が前記金属部品に接触し、かつ前記摩擦コーティングが前記金属部品から離れて対向するように、前記金属部品上に固定された請求項12に記載の湿式摩擦材と、を含む、クラッチアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年4月30日に出願された米国仮出願第16/862,474号の優先権を主張し、その開示の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、トルクコンバータおよび車両用変速機に使用される摩擦クラッチおよびプレートに関し、より具体的には、湿式摩擦材に関する。
【背景技術】
【0003】
湿式摩擦クラッチの摩擦材は、一般に、油中に沈められた環境で作動し、多くの場合、摩擦材リングを形成するために使用される紙ベースの材料である。長網抄紙機を使用する抄紙プロセスによって摩擦材を形成することは、既知である。二層湿式摩擦材は、既知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
湿式摩擦材を作製する方法が提供される。この方法は、セルロース層の第1の外面を摩擦コーティングでコーティングすることと、繊維およびフィラー粒子のマトリクスをセルロース層の第2の外面上に配置することと、繊維およびフィラー粒子のマトリクスをバインダーで飽和させ、バインダーを硬化させて、繊維およびフィラー粒子のマトリクスを一緒に接合して湿式摩擦材ベース層を形成し、湿式摩擦材ベース層をセルロース層の第2の外面に接合することと、を含む。
【0005】
この方法のいくつかの実施形態では、セルロース層の第1の外面を摩擦コーティングでコーティングすることは、水、溶液バインダー、およびフィラー粒子を含む摩擦溶液を第1の外面に適用することと、摩擦溶液を乾燥させて摩擦コーティングを形成することと、を含み得る。摩擦溶液は、1~10重量%の溶液バインダー、5~60重量%のフィラー粒子、および30~94重量%の水を含み得る。セルロース層の第1の外面を摩擦コーティングでコーティングすることは、摩擦溶液をセルロース層の外面上に、噴霧、ブラッシング、またはローリングすることを含み得る。摩擦コーティングは、溶液バインダーおよびフィラー粒子を含み得る。摩擦コーティングは、10~30重量%の溶液バインダーおよび70~90重量%のフィラー粒子を含み得る。摩擦コーティングは、12.5~25重量%の溶液バインダーおよび75~87.5重量%のフィラー粒子を含み得る。溶液バインダーは、ナノセルロース、グアーガム、または四級アンモニウム塩であり得る。繊維およびフィラー粒子のマトリクスのセルロース層を第2の外面上に配置することは、摩擦コーティングが載る多孔質支持面を通してマトリクス中の液体を排出することを含み得る。この方法は、セルロース層の第2の外面上にある間に、マトリクスを圧縮することをさらに含み得る。
【0006】
湿式摩擦材を作製することと、湿式摩擦材を摩擦クラッチの金属部品に固定して、湿式摩擦材ベースが、金属部品に接触し、かつ摩擦コーティングが金属部品から離れて対向するようにすることを含む、摩擦クラッチの部品を作製する方法も提供される。
【0007】
湿式摩擦材ベース層に埋め込まれた繊維およびフィラー粒子のマトリクスならびにベースバインダーを含む、湿式摩擦材ベース層と、湿式摩擦材ベース層に固定された第1の外面を含むセルロース層と、セルロース層の第2の外面に固定された摩擦コーティングと、を含む、湿式摩擦材も提供される。
【0008】
湿式摩擦材のいくつかの実施形態では、摩擦コーティングは、溶液バインダーおよびフィラー粒子を含み得る。摩擦コーティングは、10~30重量%の溶液バインダーおよび70~90重量%のフィラー粒子を含み得る。摩擦コーティングは、12.5~25重量%の溶液バインダーおよび75~87.5重量%のフィラー粒子を含み得る。湿式摩擦材ベースの繊維は、少なくとも70重量%のアラミド繊維であり得る。フィラー粒子は、珪藻土であり得る。
【0009】
金属部品と、湿式摩擦材ベースが金属部品に接触し、かつ摩擦コーティングが金属部品から離れて対向するように、金属部品上に固定された湿式摩擦材と、を含む、クラッチアセンブリも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、以下の図面を参照して以下に説明される。
【
図1a】ある実施形態によるセルロース層を概略的に示す。
【
図1b】摩擦コーティングでコーティングされたセルロース層を概略的に示す。
【
図1c】セルロース層上に配置されている繊維およびフィラー粒子のマトリクスを示す。
【
図1d】摩擦でコーティングされたセルロース層と、ベース層に形成された繊維およびフィラー粒子のマトリクスとを含む湿式摩擦材を示す。
【
図2】熱プレートを介して金属部品の上に接合されている湿式摩擦材を示す。
【
図3】トルクコンバータのロックアップクラッチアセンブリのクラッチプレートの両側に結合された湿式摩擦材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、摩擦コーティングをセルロース層に適用することと、摩擦材ベースをコーティングされたセルロース層に結合することと、を含む、湿式摩擦材を形成する方法を提供する。セルロース層は、製造中の摩擦材ベースの湿潤強度を増加させる。セルロース層は、スクリム層、すなわち、コーヒーフィルタおよびティーバックに使用される材料の層であり得る。
【0012】
図1a~1dは、本開示のある実施形態による湿式摩擦材およびクラッチアセンブリを形成する方法を概略的に示す。
【0013】
図1aは、平面上側外面12aおよび平面下側外面12bを含むセルロース層12を示す。セルロース層12は、セルロースの薄層から形成され、そこを通して液体を排出するのに十分な多孔性を有する。セルロース層12は、100~200ミクロンの厚さ、0.05g/cm
3~0.25g/cm
3の密度、および/または35~65%の多孔性を有し得る。
【0014】
図1bは、摩擦コーティング14で上側外面12a上にコーティングされているセルロース層12を示す。セルロース層12は、コンベヤなどの可動支持面であり得る支持面13に外面12aが接触した状態で、支持面13上に配置され、摩擦溶液は、セルロース層12に適用されて、摩擦コーティング14を形成する。摩擦コーティング14は、噴霧、ローリング、またはブラッシングによって外面12a上に適用され得る。コーティングされたセルロース層12は、多孔性を維持するが、多孔性は、コーティング14の適用後に減少する。例えば、Gurley Precision Instruments製のデンソメータ、具体的には、材料を通して設定された空気容量を押し出すモデル4110N Genuine Gurleyデンソメータによって測定する場合、コーティング14の適用前では時間は4~9秒であるが、コーティング14の適用後では時間は10~20秒である。
【0015】
摩擦溶液は、フィラー粒子およびバインダーを含み得る。溶液中のバインダーは、本明細書において溶液バインダーと称され、本明細書においてベースバインダーと称される後述の摩擦材料ベース16に添加されるバインダーと区別する。溶液バインダーは、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、グアーガム、または四級アンモニウム塩(QAS)などのナノセルロースであり得る。一実施形態では、QASは、約16~18個の炭素原子を有するアルキル鎖を有する四級アンモニウム塩である。例えば、QASは、ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウムクロリドであるArquad 2HT-75であり得る。フィラー粒子は、珪藻土であり得る。摩擦溶液は、1~10重量%の溶液バインダー、5~60重量%のフィラー粒子、および30~94重量%の水を含み得る。溶液に使用される水の量は、適用方法に依存し得る。例えば、ローリングまたはブラッシングは、噴霧の水の量の約1/6~1/4を必要とし得る。ローリングまたはブラッシングでは、QAS含有溶液は、4~10重量%の溶液バインダー、10~60重量%のフィラー粒子、および30~86重量%の水を含み得る。噴霧では、QAS含有溶液は、1~5重量%の溶液バインダー、5~30重量%のフィラー粒子、および65~98重量%の水を含み得る。
【0016】
QAS含有溶液をセルロース層14に適用した後、摩擦溶液を乾燥させることによって水を除去して、摩擦コーティング14の形成を完成させる。乾燥は、熱風送風または加熱プレートを介する乾燥によって実行され得る。どちらの場合でも、紙の表面は、90~110℃の温度に到達する。摩擦コーティング14は、乾燥後、10~30重量%の溶液バインダーおよび70~90重量%のフィラー粒子を含み得る。いくつかの実施形態では、摩擦コーティング14は、乾燥後、12.5~25重量%の溶液バインダーおよび75~87.5重量%のフィラー粒子を含み得る。
【0017】
図1cに示すように、摩擦コーティング14をセルロース層12上で乾燥させた後、セルロース層12を、多孔質支持面16、例えば、金網上に位置付け、摩擦コーティング14の外面14aは、多孔質支持面16に下向きに対向し、かつ多孔質支持面16上に載る。多孔質支持面16は、可動であり得、例えば、コンベヤであり得る。次いで、溶液中で一緒に接合された繊維およびフィラー材料のマトリクス18を、セルロース層12の外面12bの上に放出して、マトリクス18中の残りの液体をセルロース層12および多孔質支持面16を通して排出する。マトリクス18を摩擦材ベース22に成形するための金型20(
図1d)を、多孔質支持面16の上に提供する。
【0018】
マトリクス18をセルロース層12の上に配置する間、マトリクス18を、例えばローラを介して圧縮して、マトリクス18の厚さを低減し、マトリクス18の密度を増加させる。圧縮後、マトリクス18にベースバインダーを飽和させてから、例えば熱プレートをマトリクス上に押圧することを介して硬化させて、マトリクス18をセルロース層12に接合し、セルロース層12に固定された摩擦材ベース層22を形成して、摩擦コーティング14により画定された第1の平面外面10aおよび摩擦材ベース層22により画定された第2の平面外面10bを含む、
図1dに示すような湿式摩擦材10を形成する。フェノール樹脂の硬化は、湿式摩擦材ベース層22を凝固および固化させて繊維および粒子を適所に固定し、これにより、湿式摩擦材10の強度が改善される。
【0019】
したがって、湿式摩擦材ベース層22は、繊維、フィラー材料、およびベースバインダーから形成される。繊維は、アラミド繊維、有機繊維、炭素繊維、および/または繊維ガラスであり得る。有機繊維は、セルロース繊維または綿繊維を含み得る。一実施形態では、繊維のうちの少なくとも70%は、アラミド繊維であり得る。一実施形態では、繊維は、アラミド繊維のみからなる。フィラー材料は、珪藻土の粒子であり得る。ベースバインダーは、フェノール樹脂であり得る。任意選択的に、グラファイトなどの摩擦調整剤も、ベース層22に含められ得る。ベース層22の繊維は、45~55ミクロンの平均直径および1~2ミリメートルの平均長を有し得る。
【0020】
1つの好適な実施形態では、ベース層22は、重量パーセントで、30~45%の繊維、25~35%のフィラー材料、および25~40%のベースバインダーを含み得る。より具体的には、湿式摩擦材12は、重量パーセントで、30~35%の繊維、30~35%のフィラー材料、および30~35%のベースバインダーを含み得る。
【0021】
図1dに示すように、湿式摩擦材10は、ベース摩擦材層22が厚さT1を有し、セルロース層12および摩擦コーティング14が一緒にして厚さT2を有するように形成され、湿式摩擦材10は、外面10aと外面10bとの間の合計厚さT3を有する。1つの好適な実施形態では、セルロース層12および摩擦コーティング14の厚さT2は、合計厚さT3の5~10%に等しく、したがって、支持層114の厚さT1は、合計厚さT3の70~90%になる。
【0022】
図2に示すように、次いで、湿式摩擦材10の外面10bが金属部品24の平面24aに接触するように、湿式摩擦材10を金属部品24の上に配置し、湿式摩擦材10および部品24を一緒に接合して、摩擦アセンブリを形成する。表面10bおよび24aの間に適用された接着膜は、時間、温度、および印加された圧力に起因して、金属部品24と湿式摩擦材10との間の永続的接続を作り出す。
【0023】
図3は、トルクコンバータ44のロックアップクラッチアセンブリ42のクラッチプレート40の形態の金属部品の両側に結合された湿式摩擦材10を示す。ロックアップクラッチアセンブリ42のピストン46は、トルクコンバータ44のフロントカバー48の内面48aに対してクラッチプレート40を押し付ける。ピストン46は、湿式摩擦材42の後部の表面10aに接触し、湿式摩擦材10の前部の表面12aをフロントカバー48の内面48aに押し付ける。クラッチプレート40をピストン46によってフロントカバー48に押し付けることにより、ロックアップクラッチアセンブリ42をロックし、その結果、変速機入力シャフトへのトルクコンバータ44のトルク経路がトルクコンバータ44のインペラ50およびタービン52を迂回し、代わりにフロントカバー48からクラッチプレート40まで、かつダンパアセンブリ54を介してトルクコンバータ44の出力ハブ56に接続された変速機入力シャフトまで流れる。
【0024】
前述の明細書では、本開示は、特定の例示的な実施形態およびその例を参照して説明されてきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載されるようなより広い趣旨および範囲の開示から逸脱することなく、様々な修正および変更を行ってもよいことは明らかであろう。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な方式で見なされるべきである。
【符号の説明】
【0025】
10 湿式摩擦材
10a 第1の平面外面
10b 第2の平面外面
12 セルロース層
12a 第1の平面外面
12b 第2の平面外面
13 支持面
14 摩擦コーティング
16 多孔質支持面
18 繊維およびフィラー粒子のマトリクス
20 金型
22 湿式摩擦材ベース
24 金属部品
24a 表面
40 クラッチプレート
42 ロックアップクラッチアセンブリ
42 ロックアップクラッチアセンブリ
44 トルクコンバータ
46 ピストン
48 フロントカバー
48a 内面
50 インペラ
52 タービン
54 ダンパアセンブリ
56 出力ハブ
112 二層湿式摩擦材
113 ベース
114 支持層
114a 上側外面
114b 下側外面
116 外層
116a 上側外面
116b 下側外面
120 QAS含有層
T1 支持層厚さ
T2 外層厚さ
T3 合計厚さ