(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】スラリー濾過装置及び塗布システム
(51)【国際特許分類】
B01D 36/02 20060101AFI20240408BHJP
B01D 29/00 20060101ALI20240408BHJP
B01D 33/00 20060101ALI20240408BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240408BHJP
B05C 5/02 20060101ALI20240408BHJP
H01M 4/139 20100101ALN20240408BHJP
【FI】
B01D36/02
B01D23/02 Z
B01D33/00 Z
B05C11/00
B05C5/02
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2022558518
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2022081753
(87)【国際公開番号】W WO2022227925
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】202120924138.6
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】焉勝云
(72)【発明者】
【氏名】黄標
(72)【発明者】
【氏名】温裕乾
(72)【発明者】
【氏名】豆建新
(72)【発明者】
【氏名】郭政山
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112170125(CN,A)
【文献】中国実用新案第202136842(CN,U)
【文献】国際公開第2011/024253(WO,A1)
【文献】特開2012-217989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/02-35/05
B01D 35/10-37/04
H01M 4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリー濾過装置であって、
回転フィルタエレメント(30)と、
重力フィルタ(40)とを含み、
前記重力フィルタ(40)に供給口(41)と第一の排出口(42)が設けられ、前記供給口(41)の前記重力フィルタ(40)における高さは、前記第一の排出口(42)よりも高く、前記回転フィルタエレメント(30)は、前記供給口(41)に接続され、前記重力フィルタ(40)に正圧で濾過されたスラリーを提供するために用いられ、前記第一の排出口(42)は、前記重力フィルタ(40)により濾過されたスラリーを塗布装置に輸送するために用いられ
、
前記重力フィルタ(40)は、タンク本体(43)と前記タンク本体(43)内に設置される濾過スクリーン(44)とを含み、前記供給口(41)と前記第一の排出口(42)は、それぞれ前記タンク本体(43)に設置され、
前記タンク本体(43)に第二の排出口(46)がさらに設けられ、前記第二の排出口(46)は、前記濾過スクリーン(44)が詰まり前記濾過スクリーン(44)により濾過されていないスラリーを排出するためのものである、スラリー濾過装置。
【請求項2】
前記濾過スクリーン(44)の前記タンク本体(43)内における高さは、前記供給口(41)と前記第一の排出口(42)との間に介在する、請求項1に記載のスラリー濾過装置。
【請求項3】
前記濾過スクリーン(44)は、底壁(441)と前記底壁(441)の周りに設置される側壁(442)とを含み、且つ前記側壁(442)と前記底壁(441)によって、頂部に開口を有するストレーナ室を囲んで形成され、前記底壁(441)と前記側壁(442)にいずれも濾過孔が設けられる、請求項2に記載のスラリー濾過装置。
【請求項4】
前記濾過スクリーン(44)は、前記タンク本体(43)内に取り外し可能に設置される、請求項3に記載のスラリー濾過装置。
【請求項5】
前記タンク本体(43)の内周壁に支持凸部(431)が設けられ、前記支持凸部(431)は、前記側壁(442)と前記タンク本体(43)の内周壁との間に位置し、前記側壁(442)の前記ストレーナ室の開口に近い箇所の外側にフランジ(443)がさらに設けられ、前記フランジ(443)は、前記支持凸部(431)の頂部に当接する、請求項4に記載のスラリー濾過装置。
【請求項6】
前記濾過スクリーン(44)のメッシュ数は、20~70メッシュである、請求項2から5のいずれか1項に記載のスラリー濾過装置。
【請求項7】
前記第二の排出口(46)の前記タンク本体(43)における最低点の高さが前記供給口(41)と前記濾過スクリーン(44)との間に位置するとともに、前記第二の排出口(46)が前記第一の排出口(42)と前記タンク本体(43)の外部で連通する、請求項2から6のいずれか1項に記載のスラリー濾過装置。
【請求項8】
前記スラリー濾過装置は、中継タンク(50)とバッファタンク(60)とをさらに含み、前記中継タンク(50)の出口が前記供給口(41)と連通するとともに、前記回転フィルタエレメント(30)は、前記中継タンク(50)の出口と前記供給口(41)との間に位置し、前記中継タンク(50)は、前記回転フィルタエレメント(30)に濾過対象のスラリーを提供するために用いられ、前記バッファタンク(60)は、入口が前記第一の排出口(42)と連通し、前記重力フィルタ(40)により濾過されたスラリーを貯蔵し、且つ前記バッファタンク(60)の出口を介して塗布装置に輸送するために用いられる、請求項1から7のいずれか1項に記載のスラリー濾過装置。
【請求項9】
前記スラリー濾過装置は、二段目のフィルタエレメント(70)をさらに含み、前記二段目のフィルタエレメント(70)は、前記バッファタンク(60)の出口に接続され、前記二段目のフィルタエレメント(70)により濾過された濾過粒径が前記回転フィルタエレメント(30)の濾過粒径よりも小さい、請求項8に記載のスラリー濾過装置。
【請求項10】
前記回転フィルタエレメント(30)の濾過粒径が0.15mmよりも大きく、前記二段目のフィルタエレメント(70)の濾過粒径が0.075mmよりも大きい、請求項9に記載のスラリー濾過装置。
【請求項11】
塗布システムであって、塗布装置(10)と請求項1から10のいずれか1項に記載のスラリー濾過装置とを含み、前記スラリー濾過装置は、前記塗布装置(10)に濾過された塗布スラリーを提供するために用いられる、塗布システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の実施例は、リチウム電池生産の技術分野に関し、具体的にはスラリー濾過装置及び塗布システムに関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年04月29日に提出された名称が「スラリー濾過装置及び塗布システム」の中国特許出願202120924138.6の優先権を主張しており、同出願の内容の全ては、本明細書に参照として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
リチウム電池の生産過程では、シートに対してスラリー塗布操作を行う必要があり、塗布品質の優劣が電池の電気性能と安全性能に影響を与えるため、塗布過程では、スラリーの輸送と品質などに対する要求も比較的に高く、例えばスラリーに多すぎる不純物、比較的に大きい粒子物が含まれてはいけない。しかし、スラリーが輸送パイプ内にあるため、時間が長くなるにつれて、スラリーが堆積・凝集して大粒子の軟物質を形成しやすく、このような大粒子の軟物質が正圧の作用で濾過スクリーンを浸透しやすくなるため、塗布時、シートに引っかき傷又は破断が生じてしまい、塗布品質に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題に鑑み、本出願の実施例は、スラリーにおける堆積及び凝集によって形成される大粒子の軟物質を減少させ、塗布品質を高めるためのスラリー濾過装置及び塗布システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の実施例の一方面によるスラリー濾過装置は、回転フィルタエレメントと、重力フィルタとを含み、前記重力フィルタに供給口と第一の排出口が設けられ、前記供給口の前記重力フィルタにおける高さは、前記第一の排出口よりも高く、前記回転フィルタエレメントは、前記供給口に接続され、前記重力フィルタに正圧で濾過されたスラリーを提供するために用いられ、前記第一の排出口は、前記重力フィルタにより濾過されたスラリーを塗布装置に輸送するために用いられる。
【0006】
一選択的な形態では、前記重力フィルタは、タンク本体と前記タンク本体内に設置される濾過スクリーンとを含み、前記供給口と前記第一の排出口は、それぞれ前記タンク本体に設置されるとともに、前記濾過スクリーンの前記タンク本体内における高さは、前記供給口と前記第一の排出口との間に介在する。
【0007】
一選択的な形態では、前記濾過スクリーンは、底壁と前記底壁の周りに設置される側壁とを含み、且つ前記側壁と前記底壁によって、頂部に開口を有するストレーナ室を囲んで形成し、前記底壁と前記側壁にいずれも濾過孔が設けられる。
【0008】
一選択的な形態では、前記濾過スクリーンは、前記タンク本体内に取り外し可能に設置される。
【0009】
一選択的な形態では、前記タンク本体の内周壁に支持凸部が設けられ、前記支持凸部は、前記側壁と前記タンク本体の内周壁との間に位置し、前記側壁の前記ストレーナ室の開口に近い箇所の外側にフランジがさらに設けられ、前記フランジは、前記支持凸部の頂部に当接する。
【0010】
一選択的な形態では、前記濾過スクリーンのメッシュ数は、20~70メッシュである。
【0011】
一選択的な形態では、前記タンク本体に第二の排出口がさらに設けられ、前記第二の排出口の前記タンク本体における最低点の高さが前記供給口と前記濾過スクリーンとの間に位置するとともに、前記第二の排出口が前記第一の排出口と前記タンク本体の外部で連通する。
【0012】
一選択的な形態では、前記スラリー濾過装置は、中継タンクとバッファタンクとをさらに含み、前記中継タンクの出口が前記供給口と連通するとともに、前記回転フィルタエレメントは、前記中継タンクの出口と前記供給口との間に位置し、前記中継タンクは、前記回転フィルタエレメントに濾過対象のスラリーを提供するために用いられ、前記バッファタンクは、入口が前記第一の排出口と連通し、前記重力フィルタにより濾過されたスラリーを貯蔵し、且つ前記バッファタンクの出口を介して塗布装置に輸送するために用いられる。
【0013】
一選択的な形態では、前記スラリー濾過装置は、二段目のフィルタエレメントをさらに含み、前記二段目のフィルタエレメントは、前記バッファタンクの出口に接続され、前記二段目のフィルタエレメントにより濾過された濾過粒径が前記回転フィルタエレメントの濾過粒径よりも小さい。
【0014】
一選択的な形態では、前記回転フィルタエレメントの濾過粒径が0.15mmよりも大きく、前記二段目のフィルタエレメントの濾過粒径が0.075mmよりも大きい。
【0015】
本出願の実施例の別の方面による塗布システムは、塗布装置と上記のスラリー濾過装置とを含み、前記スラリー濾過装置は、前記塗布装置に濾過された塗布スラリーを提供するために用いられる。
【0016】
本出願の実施例では、回転フィルタエレメントを重力フィルタの供給口に接続することで、重力フィルタの供給口の高さが第一の排出口の高さよりも高くなるため、スラリーが重力フィルタ内において重力作用によって上から下へ流動し、大粒子の軟物質は、過度な正圧作用が与えられず、重力フィルタを浸透しにくいため、重力フィルタにより効果的に遮断されることができることによって、重力フィルタは、第一の排出口から塗布装置に比較的少ない大粒子の軟物質不純物を有するスラリーを提供することができ、それによって、スラリーに存在する大粒子の軟物質を低減させ、大量の大粒子の軟物質が存在することにより塗布時に生じるシートの破断、引っかき傷などの、塗布品質に影響を与える問題を解決し、塗布品質を高める。
【0017】
上記説明は、本出願の技術案の概要にすぎず、本出願の技術的手段をより明確に理解した上で、明細書の内容に従って実施することができ、そして本出願の上記およびその他の目的、特徴、利点をより明確にわかりやすくするために、以下に本出願の具体的な実施の形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
以下の好適な実施の形態の詳細な記述を読むことによって、当業者にとって、様々な他の利点及び有益点が明らかになる。添付図面は、好適な実施の形態を示すためのものにすぎず、本出願に対する限定ではない。そして添付図面全体において、同じ部品は、同じ参照記号で表されている。添付図面において、
【
図1】本出願の実施例による塗布システムの構造概略図を示す。
【
図2】本出願の実施例による塗布装置の構造概略図を示す。
【
図3】本出願の実施例によるスラリー濾過装置の構造概略図を示す。
【
図4】本出願の実施例による重力フィルタの構造概略図を示す。
【
図5】本出願の実施例による濾過スクリーンの構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、添付図面を結び付けながら本出願の技術案の実施例について詳細に記述する。以下の実施例は、本出願の技術案をより明瞭に説明するためにのみ使用されるため、例にすぎず、これによって本出願の保護範囲を限定すべきではない。
【0020】
スラリーの濾過過程では、輸送パイプ内における時間が長くなるにつれて、堆積・凝集によって大粒子の軟物質を形成しやすい。現在、スラリー濾過を行う時、多くの場合ポンプなどの動力によって、濾過するフィルタエレメントを通るようにスラリーを駆動する必要があり、正圧を用いて濾過するこのような方式は、大粒子の軟物質が正圧の作用で、フィルタエレメントを浸透しやすくなるため、濾過装置が効果的な濾過、遮断作用を果たすことができず、それによって、塗布時に、大粒子の軟物質がシートの表面にコーティングされるため、シートの表面に粒子による引っかき傷が生じてしまい、さらにシートが破断してしまう。
【0021】
上記問題を解決するために、発明者らは、従来の濾過装置の構造を再設計及び改善し、スラリーをフィルタエレメントにより正圧で濾過した後、重力濾過装置により濾過し、スラリーにおけるほとんどの大粒子の軟物質を濾過でき、それによって、大粒子の軟物質による塗布品質の問題を解決することを見出した。
【0022】
図1及び
図2を参照し、
図1は、本出願の実施例による塗布システム1の構造概略図を示し、
図2は、本出願の実施例による塗布装置10の構造概略図を示す。本出願の実施例は、塗布システム1を提供し、塗布システム1は、塗布装置10とスラリー濾過装置20とを含み、スラリー濾過装置20は、塗布装置10に濾過された塗布スラリーを提供するために用いられ、塗布装置10は、塗布機であってもよく、塗布機は、押出ヘッド11を含み、押出ヘッド11は、スラリー濾過装置20により提供されたスラリーを電池用の電極シートにコーティングするために用いられる。
【0023】
いくつかの実施例では、塗布機は、巻き出しコンポーネント12と、乾燥コンポーネント13と、巻き取りコンポーネント14とをさらに含んでもよく、巻き出しコンポーネント12、押出ヘッド11、乾燥コンポーネント13と巻き取りコンポーネント14は、順に電極シートの輸送方向に沿って設置される。巻き出しコンポーネント12は、スラリーをコーティングすべき電極シートを押出ヘッド11に輸送するために用いることで、押出ヘッド11は、コーティング対象の電極シートの表面にスラリーをコーティングすることができ、乾燥コンポーネント13は、スラリーがコーティングされた電極シートに対して乾燥処理を行うために用いられ、巻き取りコンポーネント14は、スラリーがコーティングされ且つ乾燥された後の電極シートを巻き取るために用いられる。
【0024】
いくつかの実施例では、塗布機は、他のコンポーネント、例えば制御コンポーネント(図示せず)をさらに含んでもよいが、これに限らない。制御コンポーネントは、それぞれ押出ヘッド11、巻き出しコンポーネント12、乾燥コンポーネント13、巻き取りコンポーネント14に電気的に接続されることにより、各コンポーネントの作動を制御及び調整して、電極シートに対して塗布操作を行う。
【0025】
図3を参照し、
図1を結び付けながら、
図3は、本出願の実施例によるスラリー濾過装置20の構造概略図を示す。いくつかの実施例では、スラリー濾過装置20は、回転フィルタエレメント30と重力フィルタ40とを含み、重力フィルタ40に供給口41と第一の排出口42が設けられ、供給口41の重力フィルタ40における高さは、第一の排出口42の重力フィルタ40における高さよりも高く、回転フィルタエレメント30は、供給口41に接続され、回転フィルタエレメント30は、重力フィルタ40に正圧で濾過されたスラリーを提供するために用いられ、第一の排出口42は、重力フィルタ40により濾過されたスラリーを塗布装置10に輸送するために用いられる。
【0026】
そのうち、回転フィルタエレメント30は、重力フィルタ40の供給口41と連通するフィードパイプ内に直接取り付けられてもよく、重力フィルタ40の供給口41と連通するプレフィルタの内部に取り付けられてもよい。
【0027】
スラリーが回転フィルタエレメント30を介して重力フィルタ40に流入する時、回転フィルタエレメント30は、スラリーにおける硬質粒子を遮断することができるが、大粒子の軟物質は、正圧に駆動されて、回転フィルタエレメント30を浸透して供給口41から重力フィルタ40内に入る。重力フィルタ40の供給口41の高さが第一の排出口42よりも高いため、スラリーが重力フィルタ40内において重力作用によって上から下へ流動し、大粒子の軟物質は、過度な正圧作用が与えられず、重力フィルタ40を浸透しにくいため、重力フィルタ40により遮断されることによって、重力フィルタ40は、第一の排出口42から塗布装置10に比較的少ない大粒子の軟物質不純物を有するスラリーを提供することができ、それによって、スラリーに存在する大粒子の軟物質を低減させ、大量の大粒子の軟物質が存在するために塗布時に生じるシートの破断、引っかき傷などの、塗布品質に影響を与える問題を解決し、塗布品質を高める。
【0028】
図4及び
図5を参照し、
図4は、本出願の実施例による重力フィルタ40の構造概略図を示し、
図5は、本出願の実施例による濾過スクリーン44の構造概略図を示す。いくつかの実施例では、重力フィルタ40は、タンク本体43とタンク本体43内に設置される濾過スクリーン44とを含み、供給口41と第一の排出口42は、それぞれタンク本体43に設置されるとともに、濾過スクリーン44のタンク本体43内における高さは、供給口41と第一の排出口42との間に介在する。
【0029】
そのうち、濾過スクリーン44は、供給口41から重力フィルタ40の内部に入ったスラリーを濾過することで、第一の排出口42から濾過スクリーン44により重力濾過されたスラリーを出力するために用いられる。
【0030】
本実施例では、濾過スクリーン44をタンク本体43の内部に設置し、そしてタンク本体43における高さを供給口41と第一の排出口42との間にすることにより、濾過スクリーン44によってタンク本体43の内部空間を未濾過チャンバーと濾過チャンバーの二つの部分に仕切りすることができ、そのうち、未濾過チャンバーは、供給口41と連通し、濾過済みチャンバーは、第一の排出口42と連通し、未濾過チャンバーと濾過済みチャンバーとの間は、濾過スクリーン44における濾過孔を介して連通する。スラリーが供給口41を介してタンク本体43の内部の未濾過チャンバーに入った後、濾過スクリーン44は、スラリーにおける粒径が濾過スクリーン44の孔径よりも大きい大粒子の軟物質と硬質粒子を遮断し、タンク本体43の内部でスラリーが重力で流動するため、スラリーにおける大粒子の軟物質が濾過スクリーン44を通って濾過済みチャンバーに入ることが困難であり、それによって、スラリーにおける大粒子の軟物質を低減させる。
【0031】
いくつかの実施例では、濾過スクリーン44は、底壁441と底壁441の周りに設置される側壁442とを含み、且つ側壁442と底壁441との間は、頂部に開口を有するストレーナ室を囲んで形成し、底壁441と側壁442にいずれも濾過孔が設けられる。
【0032】
そのうち、濾過スクリーン44は、頂部に開口が設けられる筒状、例えば円柱形筒状、角柱形方筒状などであってもよい。
【0033】
側壁442を底壁441の外周全体にわたって設置し、頂部に開口を有するストレーナ室を囲むことにより、濾過スクリーン44の開口が供給口41と連通でき、スラリーが供給口41からストレーナ室内に流入して濾過を行う。濾過スクリーン44における側壁442と底壁441にいずれも濾過孔が設けられるため、濾過スクリーン44の側壁442と底壁441がいずれもスラリーを濾過することができ、スラリーの濾過速度、流量を高め、濾過効率を高めることができる。
【0034】
理解できるように、別の実施例では、濾過スクリーン44は、シート状構造であってもよい。
【0035】
いくつかの実施例では、濾過スクリーン44はタンク本体43の内部に取り外し可能に接続されることで、濾過スクリーン44が詰まった時、タンク本体43内から取り外して交換するか、又は洗浄した後リサイクル使用することを容易にし、使用コストを低減させる。そのうち、濾過スクリーン44は、ステンレス鋼材質で製造されてもよい。
【0036】
いくつかの実施例では、タンク本体43の内周壁に支持凸部431がさらに設けられ、支持凸部431は、側壁442とタンク本体43の内周壁との間に位置し、側壁442のストレーナ室の開口に近い箇所の外側にフランジ443がさらに設けられ、フランジ443は、支持凸部431の頂部に当接する。
【0037】
そのうち、フランジ443は、側壁442の頂部の外側に設置される、ストレーナ室から離れた方向へ突出する外フランジである。支持凸部431は、タンク本体43の中軸の周りにタンク本体43の内周壁全体に沿って連続的に設置される突出構造であってもよく、タンク本体43の中軸の周りにタンク本体43の内周壁全体に沿って間隔をおいて設置される突出構造であってもよい。
【0038】
本実施例では、濾過スクリーン44におけるフランジ443が支持凸部431に当接することにより、濾過スクリーン44をタンク本体43内に套着することができ、このような方式は、着脱が容易であり、濾過スクリーン44が詰まった時、ユーザが濾過スクリーン44をタンク本体43から容易に取り外して交換又は洗浄することができる。
【0039】
別の実施例では、濾過スクリーン44とタンク本体43との間は、他の取り外し可能な方式で接続固定され、例えばタンク本体43の内周壁と側壁442との間に互いに係合される係着構造が設けられてもよい。
【0040】
いくつかの実施例では、タンク本体43は、頂部に開口を有する筒状構造であってもよく、そしてタンク本体43の開口箇所にエンドキャップ45がカバーされ、エンドキャップ45がタンク本体43に取り外し可能に接続されることにより、ユーザは、必要がある時に、エンドキャップ45を開いて内部の濾過スクリーン44を取り出すことができる。
【0041】
いくつかの実施例では、濾過スクリーン44のメッシュ数は、20~70メッシュであり、示例的に、濾過スクリーン44のメッシュ数は、20メッシュ、30メッシュ、40メッシュ、50メッシュ、60メッシュ又は70メッシュなどであってもよい。
【0042】
濾過スクリーン44のメッシュ数が大きいほど、濾過孔の孔径が小さく、濾過できる粒子の粒径が小さい一方、メッシュ数が小さいほど、濾過スクリーン44の孔径が大きく、濾過できる粒子の粒径が大きい。濾過スクリーン44のメッシュ数が20~70メッシュであると、対応する濾過スクリーン44の濾過孔の孔径大きさが0.212~0.850mmの間である。このメッシュ数範囲内において、粒径がこの範囲よりも大きい硬質粒子と凝集粒子が濾過スクリーン44で遮断されることを確保できるとともに、スラリーが濾過するのに十分な流量及び流速を有することができることを確保し、濾過粒径が小さすぎるため、スラリーの濾過流量が小さくなり、速度が遅くなることで、塗布時、スラリーの供給不足による塗布品質問題を回避する。
【0043】
引き続き
図1、
図4及び
図5を参照し、いくつかの実施例では、タンク本体43に第二の排出口46がさらに設けられ、第二の排出口46のタンク本体43内における最低点の高さが供給口41と濾過スクリーン44との間に位置するとともに、第一の排出口42と第二の供給口41がタンク本体43の外部で連通する。
【0044】
そのうち、第二の排出口46は、供給口41とタンク本体43の側壁442の同じ高さに位置してもよく、第一の排出口42は、タンク本体43の底部に設置され、第二の排出口46のタンク本体43における最低高さが濾過スクリーン44のタンク本体43内における高さよりも高いことを確保すればよい。第二の排出口46は、濾過スクリーン44が詰まった後、タンク本体43内に入ったスラリーが濾過スクリーン44により濾過された後全てを第一の排出口42から排出できない時に、濾過スクリーン44により濾過されていないスラリーを直接第二の排出口46を介して塗布装置10まで輸送できることによって、濾過装置が塗布装置10に塗布スラリーを持続的に提供できるために用いられる。
【0045】
いくつかの実施例では、スラリー濾過装置20は、中継タンク50とバッファタンク60とをさらに含み、中継タンク50の出口がタンク本体43の供給口41と連通し、回転フィルタエレメント30は、中継タンク50の出口とタンク本体43の供給口41との間に位置し、中継タンク50は、回転フィルタエレメント30に濾過対象のスラリーを提供するために用いられ、バッファタンク60は、入口が第一の排出口42と連通し、重力フィルタ40により濾過されたスラリーを貯蔵し、且つバッファタンク60の出口を介して塗布装置10に輸送するために用いられる。
【0046】
具体的には、重力フィルタ40は、三方管47をさらに含み、三方管47のうち二つの管口がそれぞれ第一の排出口42と第二の排出口46と連通して設置され、三方管47の別の排出口が中継タンク50の出口と連通して設置される。
【0047】
いくつかの実施例では、スラリー濾過装置20は、二段目のフィルタエレメント70をさらに含み、二段目のフィルタエレメント70は、バッファタンクの出口に接続され、二段目のフィルタエレメント70の濾過粒径が回転フィルタエレメント30の濾過粒径よりも小さい。即ち二段目のフィルタエレメント70のスクリーン孔の孔径が回転フィルタエレメント30のスクリーン孔の孔径よりも小さい。そのうち、二段目のフィルタエレメント70は、重力フィルタ40の排出口と連通する材料輸送パイプ内に直接取り付けられてもよく、重力フィルタ40の排出口と連通するバックフィルタの内部に取り付けられてもよい。
【0048】
本実施例では、バッファタンクの出口に二段目のフィルタエレメント70を設置することにより、二段目のフィルタエレメント70は、スラリーにおける回転フィルタエレメント30と重力フィルタ40により濾過されていない粒子不純物をさらに濾過することができる。
【0049】
無論、別の実施例では、二段目のフィルタエレメント70は、回転フィルタエレメント30と重力フィルタ40の供給口41との間に設置されてもよい。
【0050】
いくつかの実施例では、回転フィルタエレメント30の濾過粒径が0.15mmよりも大きく、二段目のフィルタエレメント70の濾過粒径が0.075mmよりも大きく、即ち回転フィルタエレメント30のスクリーン孔径が0.15mmよりも小さく且つ0.075mmよりも大きく、二段目のフィルタエレメント70のスクリーン孔径が0.075mmよりも小さい。この孔径範囲内において、スラリーを回転フィルタエレメント30と二段目のフィルタエレメント70により濾過した後、ほとんどの硬質粒子不純物を基本的に濾過し、硬質粒子による塗布品質への影響を低減させることができる。
【0051】
注意すべきこととして、特に説明がない限り、本出願の実施例で使用される技術用語及び科学用語は、本出願の実施例の属する分野の当業者が理解する一般的な意味である。本出願の実施例の記述では、技術用語の「高さ」「頂」「底」「内」「外」などで指示される方位又は位置関係は、添付図面に基づいて示される方位又は位置関係であり、本出願の実施例の記述を容易にし、記述を簡略化するためのものにすぎず、指示される装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成して操作しなければならないことを指示又は示唆するものではないため、本出願の実施例を限定するものとして理解すべきではない。最後に説明すべきこととして、以上の各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものにすぎず、限定するものではなく、前述各実施例を参照して本出願について詳細に説明したが、当業者は、依然として、前述各実施例に記載の技術案を修正し、又はその技術的特徴の一部又はすべてを同等に置き換えることができ、これらの修正又は置き換えにより、該当する技術案の本質を本出願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させることなく、それらがいずれも本出願の請求項と明細書の範囲に含まれるべきであることを理解すべきである。特に、構造の矛盾が存在しない限り、各実施例で言及した各技術の特徴を、任意の方式で組み合わせてもよい。本出願は、明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術案を含む。
【符号の説明】
【0052】
具体的な実施の形態における添付図面の番号は、以下のとおりである。
1 塗布システム、10 塗布装置、11 塗布押出ヘッド、12 巻き出しコンポーネント、13 乾燥コンポーネント、14 巻き取りコンポーネント、20 スラリー濾過装置、30 回転フィルタエレメント、40 重力フィルタ、41 供給口、42 第一の排出口、43 タンク本体、431 支持凸部、44 濾過スクリーン、441 底壁、442 側壁、443 フランジ、45 エンドキャップ、46 第二の排出口、47 三方管、50 中継タンク、60 バッファタンク、70 二段目のフィルタエレメント。