(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20240408BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G01N21/892 B
G01N21/88 J
(21)【出願番号】P 2022564599
(86)(22)【出願日】2021-03-08
(86)【国際出願番号】 CN2021079486
(87)【国際公開番号】W WO2021218386
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】202010348870.3
(32)【優先日】2020-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514216801
【氏名又は名称】バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】ポン, ティエゲン
(72)【発明者】
【氏名】ユェン, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】フー, ヨンフイ
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ゾン, ドゥーシァン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, シュイシャン
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104020177(CN,A)
【文献】特開2010-203813(JP,A)
【文献】中国実用新案第202433319(CN,U)
【文献】特開2012-122957(JP,A)
【文献】特開2004-219358(JP,A)
【文献】特開2016-217940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-21/958
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システムであって、
連続鋳造ビレットの進行方向に沿って順に設置されたエンコーダ、位置検知機構、及び載置ラックを有し、
上記載置ラックには、上記連続鋳造ビレットの進行方向に沿って順に3次元イメージング機構及び2次元イメージング機構が設置され、
上記位置検知機構は上記エンコーダを起動させるのに用いられ、該エンコーダは上記連続鋳造ビレットの位置情報を記録するのに用いられ、
上記載置ラックにはさらに昇降装置が設置され、上記3次元イメージング機構は上記昇降装置に沿って上下動し、
上記載置ラックにはさらに断熱板が設置され、上記2次元イメージング機構は上記断熱板より上方に位置し、上記3次元イメージング機構は上下動でき、上記連続鋳造ビレットは上記断熱板より下方に位置し
ており、
上記断熱板には、上記2次元イメージング機構に対応する2次元イメージングチャネル及び上記3次元イメージング機構に対応する3次元イメージングチャネルが設置され、上記3次元イメージングチャネルと上記3次元イメージング機構との間にプッシュプル断熱装置が配置されている、
表面検出システム。
【請求項2】
上記3次元イメージング機構及び上記2次元イメージング機構はそれぞれカメラ及び光源を有する、請求項1に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム。
【請求項3】
上記3次元イメージング機構の上記カメラはエリアスキャンカメラであり、上記3次元イメージング機構の上記光源はライン構造化レーザー光源である、請求項2に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム。
【請求項4】
上記2次元イメージング機構の上記カメラはラインスキャンカメラである、請求項2に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム。
【請求項5】
上記プッシュプル断熱装置はシリンダによって駆動して、上記3次元イメージングチャネルより上方を移動することで、上記3次元イメージングチャネルを遮断又は露出させる、請求項
1に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム。
【請求項6】
上記3次元イメージング機構には断熱保護装置が設置されている、請求項
1に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム。
【請求項7】
上記断熱保護装置は、回転軸を介して上記3次元イメージング機構のイメージングウインドウの周りを回転する、請求項
6に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム。
【請求項8】
上記位置検知機構は光電子センサであり、送信端及び受信端を有する、請求項1に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム。
【請求項9】
2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出方法であって、請求項1~
8のいずれか1項に記載の2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システムを使用して、上記3次元イメージング機構と上記2次元イメージング機構との相対位置関係に基づき、上記3次元イメージング機構及び上記2次元イメージング機構によって収集したデータ情報を統合することで、上記連続鋳造ビレットの表面にある欠陥を検出及び識別する方法。
【請求項10】
2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出方法であって、2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システムを使用して、3次元イメージング機構と2次元イメージング機構との相対位置関係に基づき、上記3次元イメージング機構及び上記2次元イメージング機構によって収集したデータ情報を統合することで、上記連続鋳造ビレットの表面にある欠陥を検出及び識別する方法であって、
前記2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システムは、
連続鋳造ビレットの進行方向に沿って順に設置されたエンコーダ、位置検知機構、及び載置ラックを有し、
上記載置ラックには、上記連続鋳造ビレットの進行方向に沿って順に3次元イメージング機構及び2次元イメージング機構が設置され、
上記位置検知機構は上記エンコーダを起動させるのに用いられ、該エンコーダは上記連続鋳造ビレットの位置情報を記録するのに用いられ、
上記載置ラックにはさらに昇降装置が設置され、上記3次元イメージング機構は上記昇降装置に沿って上下動し、
上記載置ラックにはさらに断熱板が設置され、上記2次元イメージング機構は上記断熱板より上方に位置し、上記3次元イメージング機構は上下動でき、上記連続鋳造ビレットは上記断熱板より下方に位置しており、
上記位置検知機構は光電子センサであり、送信端及び受信端を有しており、
上記2次元イメージング機構の中心点と上記光電子センサの送信端との水平距離をDとし、上記2次元イメージング機構の中心点と上記3次元イメージング機構の中心点との水平距離をLとした場合、
上記連続鋳造ビレットが上記光電子センサを通過したら、上記光電子センサの送信端と受信端との間の光電信号が遮断され、上記システムは上記エンコーダから信号を取得して、上記連続鋳造ビレットの進行方向に沿ってその位置情報の記録を開始し、
上記連続鋳造ビレットの頭部が上記光電子センサを通過して累積移動距離がD-Lに到達すると、上記3次元イメージング機構が作動し始め、上記累積
移動距離がDに到達すると、上記2次元イメージング機構が作動し始め、上記連続鋳造ビレットの尾部が上記光電子センサを通過すると、上記3次元イメージング機構は、上記連続鋳造ビレットの尾端からの距離がD-Lである連続鋳造ビレット表面を検出し続け、かつ上記2次元イメージング機構は、上記連続鋳造ビレットの尾端からの距離がDである連続鋳造ビレット表面を検出し続け、
所定の位置において上記2次元イメージング機構によって取得した画像データを評価する際、該位置に対応する上記3次元イメージング機構によって取得した3次元奥行き情報を参照し、上記3次元奥行き情報が設定閾値より小さい場合、上記連続鋳造ビレットは表面に欠陥を有さないと判定し、上記3次元奥行き情報が上記設定閾値より大きい場合、上記連続鋳造ビレットは表面に欠陥を有すると判定する
、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マシンビジョンに基づいて製品の表面を検出する技術に関し、具体的には、2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続鋳造ビレットの表面品質をオンライン検出する分野では、製造現場で2次元イメージング検出技術が応用されてきた。例えば、「連続鋳造ビレット表面のクラックをオンライン検出する方法」という特許文献(中国特許出願番号:200910092408.5)には、照明装置として緑色レーザーライン光源を使用し、ラインスキャンCCDカメラで高温鋳造ビレット表面の画像を取得し、高温鋳造ビレットの表面状態を反映したグレースケール画像を得て、連続鋳造ビレットの表面にある欠陥を検出する方法が開示されているが、高温鋳造ビレットの表面にあるスケールや水膜が干渉するため、実際の欠陥を2次元画像で効果的に識別するのは困難である。
【0003】
3次元イメージング検出の場合、例えば、「連続鋳造ホットビレットの表面欠陥をレーザー走査イメージングで非破壊的に検出する方法」という特許文献(中国特許出願番号:201010167889.4)には、エリアスキャンCCD走査レーザービームを使用して、連続鋳造ビレットの表面にある欠陥の奥行き情報を得る方法が開示されている。しかしながら、3次元イメージング検出の応用において、クラック状の欠陥は開口部が小さいため、3次元イメージングで効果的に検出するのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、上記した従来技術の欠点に鑑み、2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム及び方法を提供することを目的とする。2次元及び3次元の画像データ情報を統合することで、連続鋳造ビレットの表面にある実際の欠陥が効果的に検出され、疑似的な欠陥が除外される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本開示では、以下の技術的な解決手段を用いている。
【0006】
一態様において、2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システムは、連続鋳造ビレットの進行方向に沿って順に設置されたエンコーダ、位置検知機構、及び載置ラックを有し、
上記載置ラックには、上記連続鋳造ビレットの進行方向に沿って順に3次元イメージング機構及び2次元イメージング機構が設置され、
上記位置検知機構は上記エンコーダを起動させるのに用いられ、該エンコーダは上記連続鋳造ビレットの位置情報を記録するのに用いられ、
上記載置ラックにはさらに昇降装置が設置され、上記3次元イメージング機構は上記昇降装置に沿って上下動し、
上記載置ラックにはさらに断熱板が設置され、上記2次元イメージング機構は上記断熱板より上方に位置し、上記3次元イメージング機構は検出中に上記断熱板の下で検出位置まで移動でき、かつ検出が完了したら上記断熱板の最上部まで上昇でき、上記連続鋳造ビレットは上記断熱板より下方に位置している。
【0007】
上記3次元イメージング機構及び上記2次元イメージング機構はそれぞれカメラ及び光源を有することが好ましい。
【0008】
上記3次元イメージング機構の上記カメラはエリアスキャンカメラであり、上記3次元イメージング機構の上記光源はライン構造化レーザー光源であることが好ましい。
【0009】
上記2次元イメージング機構の上記カメラはラインスキャンカメラであることが好ましい。
【0010】
上記断熱板には、上記2次元イメージング機構に対応する2次元イメージングチャネル及び上記3次元イメージング機構に対応する3次元イメージングチャネルが設置され、上記3次元イメージングチャネルと上記3次元イメージング機構との間にプッシュプル断熱装置が配置されていることが好ましい。
【0011】
上記プッシュプル断熱装置はシリンダによって駆動して、上記3次元イメージングチャネルより上方を移動することで、上記3次元イメージングチャネルを遮断又は露出させることが好ましい。
【0012】
上記3次元イメージング機構には断熱保護装置が設置されていることが好ましい。
【0013】
上記断熱保護装置は、回転軸を介して上記3次元イメージング機構のイメージングウインドウの周りを回転することが好ましい。
【0014】
上記位置検知機構は光電子センサであり、送信端及び受信端を有することが好ましい。
【0015】
別の態様において、本開示は、2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出方法であって、上記2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システムが、上記3次元イメージング機構と上記2次元イメージング機構との相対位置関係に基づき、上記3次元イメージング機構及び上記2次元イメージング機構によって収集したデータ情報を統合することで、上記連続鋳造ビレットの表面にある欠陥を検出及び識別する方法を提供する。
【0016】
上記検出方法は、上記2次元イメージング機構の中心点と上記光電子センサの送信端との水平距離をDとし、上記2次元イメージング機構の中心点と上記3次元イメージング機構の中心点との水平距離をLとした場合、
上記連続鋳造ビレットが上記光電子センサを通過したら、上記光電子センサの送信端と受信端との間の光電信号が遮断され、上記システムは上記エンコーダから信号を取得して、上記連続鋳造ビレットの進行方向に沿ってその位置情報の記録を開始し、
上記連続鋳造ビレットの頭部が上記光電子センサを通過して累積移動距離がD-Lに到達すると、上記3次元イメージング機構が作動し始め、上記累積距離がDに到達すると、上記2次元イメージング機構が作動し始め、上記連続鋳造ビレットの尾部が上記光電子センサを通過すると、上記3次元イメージング機構は、上記連続鋳造ビレットの尾端からの距離がD-Lである連続鋳造ビレット表面を検出し続け、かつ上記2次元イメージング機構は、上記連続鋳造ビレットの尾端からの距離がDである連続鋳造ビレット表面を検出し続け、
所定の位置において上記2次元イメージング機構によって取得した画像データを評価する際、該位置に対応する上記3次元イメージング機構によって取得した3次元奥行き情報を参照し、上記3次元奥行き情報が設定閾値より小さい場合、上記連続鋳造ビレットは表面に欠陥を有さないと判定し、上記3次元奥行き情報が上記設定閾値より大きい場合、上記連続鋳造ビレットは表面に欠陥を有すると判定する。
【0017】
上記解決手段において、本開示が提供する2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システム及び方法は、連続鋳造ビレットの表面品質をオンライン検出するためのものである。上記表面検出システム及び方法は、2次元複合イメージングを用いて画像情報を統合し、スケールやウォーターマーク等の奥行き情報を持たない疑似的な欠陥を除外するが、奥行きが小さいクラック状の欠陥は保持することで、連続鋳造ビレットの表面にある欠陥を効果的に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示に係る検出システムの一実施形態における枠組みの模式図である。
【
図2】本開示に係る検出システムの一実施形態における構成の模式図である。
【
図3】本開示に係る検出システムの一実施形態における断熱板の模式図である。
【
図4】本開示に係る検出システムの一実施形態におけるプッシュプル断熱装置の模式図である。
【
図5】本開示に係る検出システムの一実施形態における断熱保護装置の模式図である。
【
図6】本開示に係る検出方法の一実施形態における模式的なフローチャートである。
【
図7】本開示に係る検出方法の一実施形態におけるイメージングの模式図である。
【
図8】本開示に係る検出方法の一実施形態における連続鋳造ビレットの表面検出の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面及び実施形態を組み合わせて本開示の解決手段をさらに説明する。
【0020】
図1及び
図2に示す通り、本開示で提供される2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出システムは、連続鋳造ビレット1の進行方向(
図1中、矢印で示す方向)に沿って順に設置されたエンコーダ2、位置検知機構、及び載置ラック3を有する。
【0021】
載置ラック3には、連続鋳造ビレット1の進行方向に沿って順に3次元イメージング機構4及び2次元イメージング機構5が固定及び設置されている。
【0022】
位置検知機構は、連続鋳造ビレット1の通過を感知すると同時にエンコーダ2を起動させ、該エンコーダが連続鋳造ビレット1の位置情報を記録する。
【0023】
載置ラック3にはさらに昇降装置6が設置され、3次元イメージング機構4は昇降装置6によって上下動する。
【0024】
載置ラック3にはさらに断熱板7が設置され、2次元イメージング機構5は断熱板7より上方に位置し、3次元イメージング機構4は上下動でき、連続鋳造ビレット1は断熱板7より下方に位置している。
【0025】
図3に示す通り、断熱板7には、2次元イメージング機構5に対応する2次元イメージングチャネル701及び3次元イメージング機構4に対応する3次元イメージングチャネル702が設置され、3次元イメージングチャネル702と3次元イメージング機構4との間にプッシュプル断熱装置8が配置されている。
【0026】
図4に示す通り、プッシュプル断熱装置8はシリンダ11によって駆動して、3次元イメージングチャネル702より上方を移動することで、3次元イメージングチャネル702を開閉する。
【0027】
プッシュプル断熱装置8は3次元イメージング機構4のイメージングウインドウの前方に設置されており、昇降装置6によって昇降できる。
【0028】
2次元イメージング機構5は連続鋳造ビレット1から離れており、上下に位置調整されないことから、連続鋳造ビレット1が通過しなければ2次元イメージングチャネル701が閉じられることはない。検出が完了したら、3次元イメージング機構4はプッシュプル断熱装置8より上方に上昇する。プッシュプル断熱装置8はシリンダ11によって駆動して、断熱板7上の3次元イメージングチャネル702の上方を移動することで、3次元イメージングチャネル702を閉じ、3次元検出システムが作動していないときは連続鋳造ビレット1から生じる熱放射が3次元イメージング機構4に影響を与えないようにする。
【0029】
図5に示す通り、3次元イメージング機構4にはさらに断熱保護装置12が設置されている。
【0030】
断熱保護装置12は、回転軸13を介して3次元イメージング機構4のイメージングウインドウの周りを回転する。
【0031】
連続鋳造ビレット1の頭部が位置検知機構を通過したことを本開示の検出システムが検出すると、イメージング機構の下を通過する前に、プッシュプル断熱装置8を取り外して3次元イメージングチャネル702を露出させ、昇降装置6によって連続鋳造ビレット1より上方の適切な位置まで3次元イメージング機構4を下降させ、3次元イメージング機構4の断熱保護装置12を取り外して検出を開始する。連続鋳造ビレット1の尾部が3次元イメージング機構の検出位置を完全に通過したら、昇降装置6によってプッシュプル断熱装置8より上方まで3次元イメージング機構4を上昇させ、プッシュプル断熱装置8を移動させて3次元イメージングチャネル702を閉じる。2次元イメージング機構5は、断熱板7上の2次元イメージングチャネル701を介してイメージングを行う。2次元イメージング機構5は連続鋳造ビレット1から離れており、断熱板7の貫通孔も狭いことから、熱放射は2次元イメージング機構5にほとんど影響しない。そのため、検出が完了しても2次元イメージングチャネル701は閉じられることはない。
【0032】
図6に示す通り、本開示はさらに、2次元及び3次元複合イメージングを用いた連続鋳造ビレットの表面検出方法であって、3次元イメージング機構4と2次元イメージング機構5との相対位置関係を使用して、3次元イメージング機構4及び2次元イメージング機構5によって収集したデータ情報を統合することで、連続鋳造ビレット1の表面にある欠陥を検出及び識別する方法を提供する。画像情報の統合処理とは、2次元イメージング機構5及び3次元イメージング機構4がエンコーダ2から速度信号を受信しかつ位置検知機構から開始/停止信号を受信した後、2次元画像データ及び3次元画像データを取得すると同時に、連続鋳造ビレットの表面のこれらの画像の実際の位置に関する情報が得られる処理をいう。検出アルゴリズム(フィルタリング、勾配計算等)によって2次元イメージング機構5が作動して、画像領域内で物体等の欠陥疑いが存在する領域が得られたら、3次元イメージング機構4が3次元画像を通じて連続鋳造ビレット1の表面の奥行きの変化に関する情報を得て、設定閾値を超えた領域を判定する。2次元イメージング機構5で検出された欠陥疑い領域と、3次元イメージング機構4で得られた疑い領域とが基本的に同じであれば、その領域は欠陥が存在する領域であると判定できる。スケールやウォーターマーク等の奥行きに変化のない疑似的な欠陥の場合、3次元イメージング機構4ではこれらの欠陥が存在する領域は得られないが、一定の奥行きを有するクラック状の欠陥が存在する領域は、2次元イメージング機構5及び3次元イメージング機構4で同時に検出されることになる。このように、2次元イメージング機構5及び3次元イメージング機構4は、位置情報を統合することで疑似的な欠陥を除外するという目的を達成する。
【0033】
図7に示す通り、3次元イメージング機構4及び2次元イメージング機構5はいずれも連続鋳造ビレット1より上方に配置されている。2次元イメージング機構5は一組のラインスキャンカメラ501及びマッチング光源502を有し、3次元イメージング機構4は一組のライン構造化レーザー光源401及びエリアスキャンカメラ402を有する。
【0034】
2次元イメージング機構5の対応するイメージング位置をAとし、3次元イメージング機構4の対応するイメージング位置をBとした場合、A及びBの中心イメージング点間の距離はLである。連続鋳造ビレット1が本開示の検出システムの下を通過すると、3次元イメージング機構4及び2次元イメージング機構5が連続鋳造ビレット1の表面をイメージングして、連続鋳造ビレット1の表面の画像データ情報が得られる。ある場所の2次元画像データをIMG1で表し、対応する3次元画像データをIMG2で表す。本実施形態において、IMG1は産業用ラインスキャンCCDカメラでイメージングして得られたグレースケール画像であり、IMG2は構造化光イメージング方式を用いて得られた3次元奥行き情報を有する画像である。IMG2における3次元奥行き情報の変化が設定閾値未満であれば、欠陥は存在しないと考えられる。連続鋳造ビレットの表面検出においては、例えば閾値は0.1mmに設定される。すなわち、欠陥の奥行きが0.1mm未満であれば欠陥は存在しないと考えられる。スケール及び水膜の干渉を迅速に除外できる。クラック状欠陥の多くは縁部や端部に存在するため、欠陥を評価する際、2次元画像データを主に使用し、3次元画像データを補助として使用できる。連続鋳造ビレットの中央に位置する欠陥の場合、欠陥を評価する際、3次元画像データを主に使用し、2次元画像データを補助として使用する。
【0035】
図8に示す通り、連続鋳造ビレット1が光電子センサを通過すると、光電子センサの送信端9と受信端10との間の光電信号が遮断され、本開示の検出システムは連続鋳造ビレット1の頭部が到着したことを検出する。本開示の検出システムは、連続鋳造ビレット1のモーションドライブに接続されたエンコーダ2から信号を取得し、連続鋳造ビレット1の進行方向における位置情報の記録を開始する。連続鋳造ビレットの頭部が光電子センサの検出位置を通過して累積移動距離がD-Lに到達すると、3次元イメージング機構4が作動し始める。累積距離がDに到達すると、2次元イメージング機構5が作動し始める。連続鋳造ビレット1の尾部が光電子センサを通過すると、3次元イメージング機構4は、連続鋳造ビレット1の尾端からの距離がD-Lである連続鋳造ビレットの表面を検出し続け、かつ2次元イメージング機構5は、連続鋳造ビレットの尾端からの距離がDである連続鋳造ビレット1の表面を検出し続ける。
【0036】
当業者は、上記の実施形態が本開示の説明のみに使用されるものであり、本開示の限定に使用されることは意図していないことを認識すべきである。上述した実施形態のいかなる改変及び変更も、それらが本開示の実質的な精神の範囲内にある限り、本開示の請求の範囲に包含される。