(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】イヤホン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
H04R1/10 104
H04R1/10 104B
(21)【出願番号】P 2022570350
(86)(22)【出願日】2021-05-19
(86)【国際出願番号】 CN2021094509
(87)【国際公開番号】W WO2021238730
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】202010453201.2
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517372494
【氏名又は名称】維沃移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】VIVO MOBILE COMMUNICATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, vivo Road, Chang’an, Dongguan,Guangdong 523863, China
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジュンフイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ニンジェ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー,レレ
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107708015(CN,A)
【文献】特開2015-133673(JP,A)
【文献】特開2004-274540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピーカ、リアハウジング及びフロントハウジングを含むイヤホンであって、前記スピーカは前記リアハウジング内に設けられ、前記フロントハウジングの第1端に出音孔が開設され、前記フロントハウジングの第2端は前記リアハウジングに回転可能に接続され、前記フロントハウジングは前記リアハウジングに対して第1位置と第2位置との間に回転可能であり、
前記フロントハウジングが前記リアハウジングに対して前記第1位置に回転した場合に、前記出音孔は第1方向に向き、且つ前記スピーカは第1チャンネル音声信号を出力するために用いられ、
前記フロントハウジングが前記リアハウジングに対して前記第2位置に回転した場合に、前記出音孔は第2方向に向き、且つ前記スピーカは第2チャンネル音声信号を出力するために用いられ、
前記第1方向と前記第2方向は異なる方向であ
り、
前記リアハウジングはベース及び固定具を含み、前記ベースと前記固定具は接続されており、前記ベースに第1キャビティが開設され、前記固定具に第2キャビティが開設され、前記第1キャビティと前記第2キャビティは連通して収容キャビティを形成し、前記スピーカは前記収容キャビティ内に設けられ、
前記フロントハウジングは固定具に回転可能に接続され、前記フロントハウジングに導音路が開設され、前記導音路は前記第2キャビティに連通し、
検出具及び検出回路をさらに含み、前記検出具と前記検出回路は電気的に接続され、前記検出回路は前記検出具の状態に基づいてイヤホンの状態を特定し、
前記検出具は、前記固定具に間隔が隔てられた第1金属接点及び第2金属接点と、前記フロントハウジングに設けられた金属ドームとを含み、前記第1金属接点と前記第2金属接点はそれぞれ前記検出回路に電気的に接続され、
前記フロントハウジングが前記固定具に対して所定位置に回転すると、前記第1金属接点と第2金属接点は前記金属ドームを介して導電的に接続される、
イヤホン。
【請求項2】
前記フロントハウジングの前記固定具に接続された一端に円形開口が設けられ、 前記固定具は部分的に前記フロントハウジング内に位置し、且つ前記固定具の外壁と前記フロントハウジングの内部は相互に係合して、回転可能な接続を実現する、
請求項
1に記載のイヤホン。
【請求項3】
前記固定具は、環状構造材である、請求項
1に記載のイヤホン。
【請求項4】
前記リアハウジングはシール材をさらに含み、前記シール材の内壁に第1環状突起が設けられ、前記シール材の外壁に第2環状突起が設けられ、前記固定具の外側壁に前記第1環状突起にマッチングする第1環状凹溝が設けられ、前記フロントハウジングの内壁に前記第2環状突起にマッチングする第2環状凹溝が設けられ、前記シール材は前記固定具の外側壁の一部に嵌設され、前記フロントハウジングは前記シール材の外周に嵌設され、
前記第1環状突起は前記第1環状凹溝内に位置し、前記第2環状突起は前記第2環状凹溝内に位置する、
請求項
3に記載のイヤホン。
【請求項5】
外力の作用で、前記フロントハウジングが前記固定具に対して軸方向に回転することは、
前記シール材は前記固定具に対して軸方向に回転可能であることと、
前記シール材は前記フロントハウジングに対して軸方向に回転可能であることと、のうちの少なくとも1つを満たす、
請求項
4に記載のイヤホン。
【請求項6】
前記
第1環状突起
又は前記第2環状突起の数量は複数であってもよく、複数の
前記第1環状突起又は複数の前記第2環状突起は均一な間隔で同一の円周に設けられる、請求項
4に記載のイヤホン。
【請求項7】
前記固定具の外側壁に位置規制凹溝がさらに設けられ、前記フロントハウジングに位置規制スライダが設けられ、前記位置規制スライダは少なくとも部分的に前記位置規制凹溝内に位置して、前記位置規制凹溝と位置規制するように係合し、前記位置規制スライダは前記位置規制凹溝の第3位置と第4位置との間に移動可能である、
請求項
4に記載のイヤホン。
【請求項8】
前記位置規制凹溝は円弧状に設けられ、前記位置規制凹溝の円周角は180°である、
請求項
7に記載のイヤホン。
【請求項9】
前記固定具の外側壁に環状段差面が設けられ、前記環状段差面は前記フロントハウジングに向いて設けられ、前記位置規制凹溝は前記環状段差面に設けられる、
請求項
7に記載のイヤホン。
【請求項10】
前記所定位置は前記第1位置又は前記第2位置である、
請求項
1に記載のイヤホン。
【請求項11】
前記リアハウジング内に通信モジュールと制御モジュールがさらに設けられ、前記制御モジュールは前記通信モジュール及び前記検出回路にそれぞれ電気的に接続され、
前記通信モジュールは外部機器と通信するために用いられ、前記制御モジュールは前記第1金属接点と前記第2金属接点との接続状態に基づいて、制御情報を前記通信モジュールを介して通信機器に出力するために用いられ、前記制御情報は前記スピーカの出力状態を指示するためのものであり、
前記出力状態は前記第1チャンネル音声信号を出力する第1状態又は前記第2チャンネル音声信号を出力する第2状態を含む、
請求項
1に記載のイヤホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年5月26日に中国で出願した中国特許出願番号No.202010453201.2の優先権を主張し、その全ての内容は引用によって本文に取り込まれる。
【0002】
本発明は、電子製品の技術分野に関し、特に、イヤホンに関する。
【背景技術】
【0003】
電子産業の迅速な発展につれて、様々な携帯電話が次々と現れ、各種のイヤホンも次々と現れている。フルワイヤレスステレオ(true wireless stereo,TWS)ブルートゥースイヤホンのような従来の一般的なイヤホンは全て、左右耳を区別して装着する必要があり、Lがマーキングされているイヤホンは左耳装着専用であり、Rがマーキングされているイヤホンは右耳装着専用である。Lがマーキングされているイヤホンが右耳に装着され、又はRがマーキングされているイヤホンが左耳に装着された場合には、構造設計の差異により、例えば、装着できなくなることや、再生の効果が不良になること等、使用者に違和感を与えてしまう。したがって、従来技術において、イヤホンは使用する際の柔軟性が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施例は、イヤホンの使用する際の柔軟性が低いという問題を解決するために、イヤホンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、スピーカ、リアハウジング及びフロントハウジングを含むイヤホンであって、前記スピーカは前記リアハウジング内に設けられ、前記フロントハウジングの第1端に出音孔が開設され、前記フロントハウジングの第2端は前記リアハウジングに回転可能に接続され、前記フロントハウジングは前記リアハウジングに対して第1位置と第2位置との間に回転可能であり、前記フロントハウジングが前記リアハウジングに対して前記第1位置に回転した場合に、前記出音孔は第1方向に向き、且つ前記スピーカは第1チャンネル音声信号を出力するために用いられ、前記フロントハウジングが前記リアハウジングに対して前記第2位置に回転した場合に、前記出音孔は第2方向に向き、且つ前記スピーカは第2チャンネル音声信号を出力するために用いられ、
前記第1方向と前記第2方向は異なる方向である、イヤホンを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施例において、イヤホンは、スピーカ、リアハウジング及びフロントハウジングを含み、前記スピーカは前記リアハウジング内に設けられ、前記フロントハウジングの第1端に出音孔が開設され、前記フロントハウジングの第2端は前記リアハウジングに回転可能に接続され、前記フロントハウジングは前記リアハウジングに対して第1位置と第2位置との間に回転可能であり、前記フロントハウジングが前記リアハウジングに対して前記第1位置に回転した場合に、前記出音孔は第1方向に向き、且つ前記スピーカは第1チャンネル音声信号を出力するために用いられ、前記フロントハウジングが前記リアハウジングに対して前記第2位置に回転した場合に、前記出音孔は第2方向に向き、且つ前記スピーカは第2チャンネル音声信号を出力するために用いられ、前記第1方向と前記第2方向は異なる方向である。イヤホンをこのように設計することにより、フロントハウジングを異なる位置に回転することで異なる耳に適合させることができ、イヤホンの使用する際の柔軟性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例で提供されるイヤホンの分解構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例で提供されるイヤホンにおけるフロントハウジングの構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例で提供されるイヤホンにおける固定具の構造模式図である。
【
図4】本発明の実施例で提供されるイヤホンの一状態の構造模式図である。
【
図5】本発明の実施例で提供されるイヤホンの別の状態の構造模式図である。
【
図6】
図5中のA-A方向の断面構造模式図である。
【
図7】
図6中のB部分の拡大構造模式図である。 本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以上に実施例の記述に用いられる図面について簡単に説明するが、当然ながら、以上に記載する図面は単に本発明の実施例の一部であり、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到し得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下において、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的解決手段を明確に、完全に説明し、当然ながら、説明される実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づき、当業者が創造的な労力を要することなく、得られた他の全ての実施例は、いずれも本願の保護範囲に属するものとする。
【0009】
別途に定義しない限り、本発明で使用される技術用語又は科学用語は本発明が属する分野の当業者に理解される通常の意味である。本発明で使用される「第1」、「第2」及び類似する用語は何らかの順序、数量又は重要さを示すものではなく、異なる組成部分を区別するためのものに過ぎない。同様に、「1つ」又は「一」等の類似する用語も数量を制限するものではなく、少なくとも1つが存在することを意味する。「接続」又は「連結」等の類似する用語は物理的又は機械的接続に限らず、電気的な接続をも含み得、直接でも間接でも構わない。「上」、「下」、「左」、「右」等は相対的な位置関係を示すためのものに過ぎず、記載される対象の絶対位置が変わった場合、該相対的な位置関係もそれに応じて変化する。
【0010】
図1~
図7を参照し、本発明の実施例はイヤホンを提供し、該イヤホンは、スピーカ10、リアハウジング20及びフロントハウジング30を含み、前記スピーカ10は前記リアハウジング20内に設けられ、前記フロントハウジング30の第1端に出音孔301が開設され、前記フロントハウジング30の第2端は前記リアハウジング20に回転可能に接続され、前記フロントハウジング30は前記リアハウジング20に対して第1位置と第2位置との間に回転可能であり、前記フロントハウジング30が前記リアハウジング20に対して前記第1位置に回転した場合に、前記出音孔301は第1方向に向き、且つ前記スピーカ10は第1チャンネル音声信号を出力するために用いられ、前記フロントハウジング30が前記リアハウジング20に対して前記第2位置に回転した場合に、前記出音孔は第2方向に向き、且つ前記スピーカ10は第2チャンネル音声信号を出力するために用いられ、前記第1方向と前記第2方向は異なる方向である。
【0011】
本発明の実施例において、上記リアハウジング20とフロントハウジング30はいずれもプラスチック材料によって製造されてもよく、上記出音孔は、一端が外界に連通し、他端がスピーカ10に対応して設けられる出音路として理解されてもよく、スピーカ10から発した音が出音孔301を通って外部環境に出ることができる。一般的に、イヤホンを使用する際に、フロントハウジング30は少なくとも部分的に耳道内に位置し、出音孔301の外界に連通する開口はフロントハウジング30の耳道内に位置する部分に設けられ、これによりスピーカ10から発した音が出音孔301を通って耳道に入ることができる。
【0012】
上記第1チャンネル音声信号と第2チャンネル音声信号は異なるチャンネル音声信号であり、例えば、第1チャンネル音声信号が右チャンネル音声信号である場合に、第2チャンネル音声信号は左チャンネル音声信号であり、又は、第1チャンネル音声信号が左チャンネル音声信号である場合に、第2チャンネル音声信号は右チャンネル音声信号である。一実施例において、前記フロントハウジング30が前記リアハウジング20に対して前記第1位置に回転した場合に、出音孔301は第1方向に向き、具体的には
図4に示すように、該イヤホンは右イヤホンを形成し、つまりイヤホンは右イヤホンとして使用される。別の実施例において、前記フロントハウジング30が前記リアハウジング20に対して前記第2位置に回転した場合に、出音孔301は第2方向に向き、具体的には
図5に示すように、該イヤホンは左イヤホンを形成し、つまり、イヤホンは左イヤホンとして使用される。
【0013】
選択的に、イヤホンを使用する際には、実際のニーズに応じて、フロントハウジング30をリアハウジング20に対して第1位置に回転するか、又は第2位置に回転して、使用者の対応する耳内に装着することができる。例えば、使用者が右耳で音を聞きたい場合は、具体的に
図4に示すように、フロントハウジング30をリアハウジング20に対して第1位置に回転することができる。使用者が左耳で音を聞きたい場合は、具体的に
図5に示すように、フロントハウジング30をリアハウジング20に対して第2位置に回転することができる。
【0014】
本発明の実施例において、イヤホンは、スピーカ10、リアハウジング20及びフロントハウジング30を含み、前記スピーカ10は前記リアハウジング20内に設けられ、前記フロントハウジング30の第1端に出音孔301が開設され、前記フロントハウジング30の第2端は前記リアハウジング20に回転可能に接続され、前記フロントハウジング30は前記リアハウジング20に対して第1位置と第2位置との間に回転可能であり、前記フロントハウジング30が前記リアハウジング20に対して前記第1位置に回転した場合に、前記出音孔301は第1方向に向き、且つ前記スピーカ10は第1チャンネル音声信号を出力するために用いられ、前記フロントハウジング30が前記リアハウジング20に対して前記第2位置に回転した場合に、前記出音孔は第2方向に向き、且つ前記スピーカ10は第2チャンネル音声信号を出力するために用いられ、前記第1方向と前記第2方向は異なる方向である。イヤホンをこのように設計することにより、フロントハウジング30を異なる位置に回転することで異なる耳に適合させることができ、イヤホンの使用する際の柔軟性が向上する。
【0015】
説明すべきことは、上記イヤホンは有線イヤホンであっても、無線イヤホンであってもよい点である。無線イヤホンの場合、各イヤホンは相対的に独立したイヤホンであり、左イヤホン/右イヤホンを区別する必要がないため、別々に販売されてもよい。例えば、使用者が1つのイヤホンをなくした場合には、イヤホンを1つだけ購入すればよい。また、本実施例において、左イヤホン、右イヤホンの構造が完全に一致しているため、左イヤホン、右イヤホンの型開き生産製造は完全に同じであり、よって、イヤホンの生産製造がより容易になり、生産コストがより低くなる。
【0016】
なお、一実施例において、上記イヤホンはイヤホンカバー40を含んでもよいことを理解すべきである。該イヤホンカバー40は上記フロントハウジング30に嵌設され、該イヤホンカバーはシリコーンカバーを用いてもよく、イヤホンカバーを設けることによってイヤホンの着用快適性が向上する。
【0017】
選択的に、前記リアハウジング20はベース201及び固定具202を含み、前記ベース201と前記固定具202は接続されており、前記ベース201に第1キャビティが開設され、前記固定具202に第2キャビティが開設され、前記第1キャビティと前記第2キャビティは連通して収容キャビティを形成し、前記スピーカ10は前記収容キャビティ内に設けられ、前記フロントハウジング30は固定具202に回転可能に接続され、前記出音孔301は前記第2キャビティに連通する。
【0018】
本実施例において、上記固定具202は環状構造材であってもよく、上記出音孔301は、収容キャビティ内のスピーカ10から発した音が出音孔301内に入ることができるように、固定具202の内輪部の開口を介して第2キャビティに連通する。
【0019】
選択的に、上記フロントハウジング30の固定具202に接続された一端に円形開口が設けられてもよく、固定具202は部分的にフロントハウジング30内に位置してもよく、且つ固定具202の外壁とフロントハウジング30の内部は相互に係合して、回転可能な接続を実現する。例えば、一実施例において、前記リアハウジング20はシール材203をさらに含み、前記シール材203の内壁に第1環状突起が設けられ、前記シール材203の外壁に第2環状突起が設けられ、前記固定具202の外側壁に前記第1環状突起にマッチングする第1環状凹溝が設けられ、前記フロントハウジング30の内壁に前記第2環状突起にマッチングする第2環状凹溝が設けられ、前記シール材203は前記固定具202の外側壁の一部に嵌設され、前記フロントハウジング30は前記シール材203の外周に嵌設され、前記第1環状突起は前記第1環状凹溝内に位置し、前記第2環状突起は前記第2環状凹溝内に位置する。
【0020】
本実施例において、上記シール材203は環状シールスリーブであってもよく、具体的には、シリコーン、ゴム等の材料によって製造されてもよく、例えば、シール材203はシリコーンスリーブであってもよい。該シール材は固定具202の外壁に嵌設されてもよく、フロントハウジング30は前記シール材203に嵌設されて、フロントハウジング30と固定具202の接続が実現される。前記第1環状突起が前記第1環状凹溝内に位置するように設計したため、シール材203の固定具202に対する軸方向(固定具の中心軸)における移動が制限される。前記第2環状突起が前記第2環状凹溝内に位置するように設計したため、フロントハウジング30のシール材203に対する軸方向における移動が制限される。第1環状突起に対する第1環状凹溝のガイド作用及び/又は第2環状突起に対する第2環状凹溝のガイド作用により、フロントハウジング30は外力の作用で固定具202に対して軸方向に回転可能となる。
【0021】
なお、フロントハウジング30が固定具202に対して軸方向に回転することは、具体的に、シール材203は固定具202に対して軸方向に回転可能であることと、
シール材203はフロントハウジング30に対して軸方向に回転可能であることと、のうちの少なくとも1つを満たすことができることを理解すべきである。
【0022】
説明すべきことは、他の実施例において、他の方法でフロントハウジング30の固定具202に対する回転を実現してもよい点である。例えば、固定具202に環状凹溝を設け、フロントハウジング30に環状凹溝にマッチングする突起を設けるか、又は、フロントハウジング30内に環状凹溝を設け、固定具202に環状凹溝にマッチングする突起を設ける。
【0023】
さらに、上記環状突起の数は複数であってもよく、複数の突起は均一な間隔で同一の円周に設けられてもよい。本実施例において、環状突起が採用されるため、異物がフロントハウジング30と固定具202との間の隙間を通ってリアハウジング20内に入ることを効果的に防止することができ、よって、イヤホンの使用安全性が向上する。
【0024】
さらに、前記固定具202の外側壁に位置規制凹溝2021がさらに設けられ、前記フロントハウジング30に位置規制スライダ302が設けられ、前記位置規制スライダ302は少なくとも部分的に前記位置規制凹溝2021内に位置して、前記位置規制凹溝2021と位置規制するように係合し、前記位置規制スライダ302は前記位置規制凹溝2021の第3位置と第4位置との間に移動可能である。
【0025】
選択的に、一実施例において、前記固定具202の外側壁に環状段差面2022が設けられ、前記環状段差面2022は前記フロントハウジング30に向いて設けられ、前記位置規制凹溝2021は前記環状段差面2022に設けられる。
【0026】
本実施例において、上記固定具202のシール材203内にある部分の外径はシール材203の外部にある部分の外径よりも小さくなる。上記位置規制凹溝2021は環状段差面2022に設けられ、上記フロントハウジング30の環状段差に対向する端面に上記位置規制スライダ302が凸設されてもよい。本実施例において、フロントハウジング30の固定具202に対する回転は位置規制凹溝2021と位置規制スライダ302の係合によってガイド可能であるため、回転の安定性が向上し、回転中にフロントハウジング30が偏向することによりシール材203が過度に圧迫されて損傷することが回避され、よって、イヤホンの耐用年数を効果的に延ばすことができる。
【0027】
選択的に、上記位置規制凹溝2021は円弧状に設けられてもよく、例えば、上記位置規制凹溝2021の円周角は180°である。
【0028】
なお、本実施例において、上記位置規制凹溝2021と位置規制スライダ302は、前記フロントハウジング30が前記固定具202に対して回転する回転角度を制限するために用いられ得ることを理解すべきである。例えば、位置規制スライダ302が位置規制凹溝2021の一端に位置する場合は、第1位置に回転したことを示してもよく、位置規制スライダ302が位置規制凹溝2021の他端に位置する場合は、第2位置に回転したことを示してもよい。位置規制凹溝2021の円周角は180°に設定したため、停止位置を制限する方式によりフロントハウジング30が固定具202に対して回転した位置(第1位置又は第2位置)を特定することができる。例えば、第3方向に回転不能になるまで回転した場合は、フロントハウジング30が固定具202に対して第1位置に回転したこととなり、第4方向に回転不能になるまで回転した場合は、フロントハウジングが固定具に対して第2位置に回転したこととなる。第3方向は時計回り方向又は反時計回り方向であり、第4方向は時計回り方向又は反時計回り方向であり、第3方向と第4方向は異なる。したがって、本発明の実施例では回転操作の容易性が向上する。フロントハウジング30が固定具202に対して第1位置に回転したことは、フロントハウジング30がリアハウジング20に対して第1位置に回転したと理解されてもよく、フロントハウジング30が固定具202に対して第2位置に回転したことは、フロントハウジング30がリアハウジング20に対して第2位置に回転したと理解されてもよい。
【0029】
さらに、前記イヤホンは検出具及び検出回路をさらに含み、前記検出具と前記検出回路は電気的に接続され、前記検出回路は前記検出具の状態に基づいてイヤホンの状態を特定する。
【0030】
本実施例において、上記検出具はホール素子や磁石であってもよく、距離センサやストッパとしてもよく、又はボタンやストッパ等であってもよい。具体的に、上記フロントハウジング30が固定具202に対して回転する間に、検出具の状態が変化するように制御することで、イヤホンの回転後の位置状態を特定する。上記イヤホンの状態はフロントハウジング30の固定具202に対する位置状態として理解されてもよいし、イヤホンの使用状態、例えば、左イヤホン又は右イヤホンとして決定される等として理解されてもよい。
【0031】
図2と
図3に示すように、一実施例において、前記検出具は、前記固定具202に間隔が隔てられた第1金属接点2023及び第2金属接点2024と、前記フロントハウジング30に設けられた金属ドーム303とを含み、前記第1金属接点2023と前記第2金属接点2024はそれぞれ前記検出回路に電気的に接続され、前記フロントハウジング30が前記固定具202に対して所定位置に回転すると、前記第1金属接点2023と第2金属接点2024は前記金属ドーム303を介して導電的に接続される。
【0032】
上記所定位置は、フロントハウジング30の固定具202に対する第1位置と第2位置との間のいずれの位置であってもよい。つまり、まず、フロントハウジング30が第1位置にあることをデフォルトとし、その後、第1金属接点2023と第2金属接点2024が金属ドーム303を介して導電的に接続される状態に基づいてイヤホンの状態を特定し、又はフロントハウジング30の固定具202に対する位置(第1位置又は第2位置)を特定することができる。
【0033】
フロントハウジング30が固定具202に対して回転した位置を特定する難易度を低下させるために、本実施例において、上記所定位置は前記第1位置又は前記第2位置とする。例えば、上記所定位置を第1位置とする場合、特定の位置に回転してイヤホンを使用する際に、第1金属接点2023と第2金属接点2024が金属ドーム303を介して導電的に接続されれば、現在の位置が第1位置であることを示し、そうでなければ、現在の位置が第2位置であることを示す。
【0034】
さらに、前記リアハウジング20内に通信モジュールと制御モジュールがさらに設けられ、前記制御モジュールは前記通信モジュール及び前記検出回路にそれぞれ電気的に接続され、前記通信モジュールは外部機器と通信するために用いられ、前記制御モジュールは前記第1金属接点2023と前記第2金属接点2024との接続状態に基づいて、制御情報を前記通信モジュールを介して通信機器に出力するために用いられ、前記制御情報は前記スピーカ10の出力状態を指示するためのものであり、該出力状態は前記第1チャンネル音声信号を出力する第1状態又は前記第2チャンネル音声信号を出力する第2状態を含む。
【0035】
本実施例において、上記通信モジュールはブルートゥース通信モジュール、WiFi通信モジュール又は他の近距離通信モジュールであってもよく、ここではさらに限定しない。通信機器と通信する通信モジュールが設けられるため、通信出力される音声信号がイヤホンの現在の使用状態に自動的にマッチングできるように、イヤホンの現在の使用状態を通信機器に送信することができ、これによりイヤホンの知能化程度が向上し、イヤホンの使用の難しさが低下する。具体的に、上記制御情報はイヤホンの現在の使用状態情報を含んでもよく、又はイヤホンの現在の使用状態を示すための情報であってもよく、例えば、位置情報を送信し、即ち、フロントハウジング30のリアハウジング20に対する位置が第1位置又は第2位置であるという位置情報を送信する。
【0036】
以上は本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲がそれに限定されるものでなく、本発明に記載された技術範囲内に当業者に容易に想到される変化又は取り替えは、全て本発明の保護範囲に含まれる。従って、本発明の保護範囲は請求項の保護範囲に準ずるものとする。