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特許7467694画像読取装置、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】画像読取装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20240408BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240408BHJP
   B65H 7/12 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H04N1/12 Z
H04N1/04 106A
H04N1/00 567J
B65H7/12
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023000018
(22)【出願日】2023-01-04
(62)【分割の表示】P 2019102760の分割
【原出願日】2019-05-31
(65)【公開番号】P2023033364
(43)【公開日】2023-03-10
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】村上 友洋
(72)【発明者】
【氏名】北野 浩行
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-141509(JP,A)
【文献】特開2016-086217(JP,A)
【文献】特開2000-224385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04
H04N 1/00
B65H 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって搬送された媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、
前記搬送ローラと前記撮像部との間に配置された媒体センサと、
前記媒体センサが媒体の先端を検出する前に前記撮像部による撮像を開始させ、前記入力画像内で前記媒体センサが媒体の先端を検出したタイミングに撮像された位置より所定時間だけ前に撮像された位置を特定し、前記特定した位置から領域を切り出して切り出し画像を生成する制御部と、
前記切り出し画像を出力する出力部と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記入力画像内で前記特定した位置から、前記媒体センサが媒体の後端を検出したタイミングに撮像された位置より第2所定時間だけ後に撮像された位置までの領域を切り出して前記切り出し画像を生成する、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
制御パルスに従って前記搬送ローラを回転させるモータをさらに有し、
前記制御部は、前記制御パルスを利用して、前記入力画像内で前記媒体センサが媒体の先端を検出したタイミングに撮像された位置より前記所定時間だけ前に撮像された位置を特定する、請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像読取装置に定められた媒体の傾き許容量に基づいて、前記入力画像内で前記媒体センサが媒体の先端を検出したタイミングに撮像された位置より前記所定時間だけ前に撮像された位置を特定する、請求項1~3の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
搬送ローラにより、媒体を搬送し、
撮像部により、前記搬送ローラによって搬送された媒体を撮像して入力画像を生成し、
前記搬送ローラと前記撮像部との間に配置された媒体センサが媒体の先端を検出する前に前記撮像部による撮像を開始させ、前記入力画像内で前記媒体センサが媒体の先端を検出したタイミングに撮像された位置より所定時間だけ前に撮像された位置を特定し、前記特定した位置から領域を切り出して切り出し画像を生成し、
前記切り出し画像を出力する、
ことを特徴とする画像読取方法。
【請求項6】
媒体を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラによって搬送された媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、前記搬送ローラと前記撮像部との間に配置された媒体センサと、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、
前記媒体センサが媒体の先端を検出する前に前記撮像部による撮像を開始させ、前記入力画像内で前記媒体センサが媒体の先端を検出したタイミングに撮像された位置より所定時間だけ前に撮像された位置を特定し、前記特定した位置から領域を切り出して切り出し画像を生成し、
前記切り出し画像を出力する、
ことを前記画像読取装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、搬送された媒体を撮像する画像読取装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿等の媒体を搬送させて撮像するスキャナ等の画像読取装置では、媒体を搬送させる際に、媒体が傾いて搬送されるスキュー(斜行)が発生し、媒体の先端の内、一方の角部分が極度に先行して撮像部に到達する場合がある。そのような場合であっても媒体全体を確実に撮像するためには、画像読取装置は、媒体の搬送開始と同時に撮像を開始する必要がある。しかしながら、搬送時に媒体のスリップが発生した場合、媒体を撮像した画像には媒体が写っていない余白部分が大量に含まれてしまい、その画像に対して文字検出等の画像処理を行う際に処理負荷が増大してしまう。
【0003】
搬送経路上のCISよりも上流側の位置に配置されたセンサの位置を原稿が通過してから第1ステップ数をカウントしたときに、CISを用いて原稿の読み取りを開始する画像読取装置が開示されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-77953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体を搬送させて撮像する画像読取装置では、媒体を撮像した画像のサイズが増大し過ぎることを抑制しつつ、媒体全体をより確実に撮像することが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、媒体を撮像した画像のサイズが増大し過ぎることを抑制しつつ、媒体全体をより確実に撮像することが可能な画像読取装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る画像読取装置は、媒体を分離する分離ローラと、媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、分離ローラによって分離された媒体を撮像部へ搬送する搬送ローラと、分離ローラと搬送ローラとの間に配置された第1媒体センサと、搬送ローラと撮像部との間に配置された第2媒体センサと、第1媒体センサによる媒体の検出に応じて撮像部による撮像を開始させ、第2媒体センサによる媒体の検出に応じて入力画像から切り出し画像を生成する制御部と、切り出し画像を出力する出力部と、を有し、制御部は、入力画像内で第2媒体センサが媒体を検出したタイミングに撮像された位置より所定量だけ前に撮像された位置を基準にして切り出し画像を生成する。
【0008】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、媒体を分離する分離ローラと、媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、分離ローラによって分離された媒体を撮像部へ搬送する搬送ローラと、分離ローラと搬送ローラとの間に配置された第1媒体センサと、搬送ローラと撮像部との間に配置された第2媒体センサと、を有する画像読取装置の制御方法であって、第1媒体センサによる媒体の検出に応じて撮像部による撮像を開始させ、第2媒体センサによる媒体の検出に応じて入力画像から切り出し画像を生成し、切り出し画像を出力することを含み、生成において、入力画像内で第2媒体センサが媒体を検出したタイミングに撮像された位置より所定量だけ前に撮像された位置を基準にして切り出し画像を生成する。
【0009】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を分離する分離ローラと、媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、分離ローラによって分離された媒体を撮像部へ搬送する搬送ローラと、分離ローラと搬送ローラとの間に配置された第1媒体センサと、搬送ローラと撮像部との間に配置された第2媒体センサと、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、第1媒体センサによる媒体の検出に応じて撮像部による撮像を開始させ、第2媒体センサによる媒体の検出に応じて入力画像から切り出し画像を生成し、切り出し画像を出力することを画像読取装置に実行させ、生成において、入力画像内で第2媒体センサが媒体を検出したタイミングに撮像された位置より所定量だけ前に撮像された位置を基準にして切り出し画像を生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像読取装置、制御方法及び制御プログラムは、媒体を撮像した画像のサイズが増大し過ぎることを抑制しつつ、媒体全体をより確実に撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る画像読取装置100を示す斜視図である。
図2】画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】搬送ローラ対等の配置について説明するための模式図である。
図4】画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
図5】記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】超音波信号の特性について説明するための模式図である。
図9A】切り出し画像について説明するための模式図である。
図9B】媒体のスリップについて説明するための模式図である。
図10】他の画像読取装置における処理回路260の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る画像読取装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された画像読取装置100を示す斜視図である。画像読取装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。画像読取装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。
【0014】
画像読取装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103及び操作表示装置104等を備える。
【0015】
上側筐体102は、画像読取装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、画像読取装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。
【0016】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能にヒンジにより下側筐体101に係合している。載置台103は、サイドガイド105a、bを有する。各サイドガイド105a、bは、載置台103の媒体搬送方向A1と直交する幅方向A2に移動可能に設けられ、且つ、載置台103に載置された媒体の幅方向を規制する。
【0017】
操作表示装置104は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。操作表示装置104は、さらにLED(Light Emitting Diode)等の表示デバイス及び表示デバイスに指示信号を出力するインタフェース回路を有し、利用者に警告等の情報を通知する。なお、操作表示装置104は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示してもよい。
【0018】
図2は、画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
画像読取装置100内部の搬送経路は、接触センサ110、分離ローラ111a、b、分離パッド112a、b、超音波発信器113a、超音波受信器113b、第1搬送ローラ114a、b、第2搬送ローラ115a、b、発光器116a、受光器116b、第1撮像装置117a、第2撮像装置117b、第3搬送ローラ118a、b及び第4搬送ローラ119a、b等を有している。なお、各ローラ及びパッドの数は、二つに限定されず、一つ又は三つ以上でもよい。
【0020】
以下では、分離ローラ111a及び111bを総じて分離ローラ111と称する場合がある。また、分離パッド112a及び112bを総じて分離パッド112と称する場合がある。また、第1搬送ローラ114a及び114bを総じて第1搬送ローラ114と称する場合がある。また、第2搬送ローラ115a及び115bを総じて第2搬送ローラ115と称する場合がある。また、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを総じて撮像装置117と称する場合がある。また、第3搬送ローラ118a及び118bを総じて第3搬送ローラ118と称する場合がある。また、第4搬送ローラ119a及び119bを総じて第4搬送ローラ119と称する場合がある。また、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115を総じて搬送ローラ対と称する場合がある。
【0021】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド101aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド102aを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。下側ガイド101a及び上側ガイド102aの下流側の端部は、媒体の排出口101bを形成する。
【0022】
接触センサ110は、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。接触センサ110は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する接触検出信号を生成して出力する。
【0023】
分離ローラ111及び分離パッド112は、接触センサ110の下流側に相互に対向するように設けられ、載置台103に載置された媒体を分離して給送する。分離ローラ111は、図2の矢印A3の方向に回転可能に設けられ、載置台103に載置された媒体を媒体搬送方向A1に向けて給送する。一方、分離パッド112は、載置台103に載置された媒体の内、分離ローラ111に接触していない媒体の給送を防止する。なお、分離パッド112の代わりに、媒体給送方向と逆方向に回転可能に設けられたリタードローラが用いられてもよい。
【0024】
超音波発信器113a及び超音波受信器113bは、媒体搬送方向A1において分離ローラ111と搬送ローラ対との間に配置される。超音波発信器113a及び超音波受信器113bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器113aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器113bは、超音波発信器113aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器113a及び超音波受信器113bを総じて超音波センサ113と称する場合がある。超音波センサ113は、第1媒体センサの一例である。
【0025】
第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115は、超音波センサ113の下流側に相互に対向するように設けられ、分離ローラ111によって分離された媒体を撮像装置117へ搬送する。第1搬送ローラ114又は第2搬送ローラ115は、搬送ローラの一例である。
【0026】
発光器116a及び受光器116bは、媒体搬送方向A1において搬送ローラ対と撮像装置117との間に配置される。発光器116a及び受光器116bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。発光器116aは、受光器116bに向けて光を放射する。搬送路に媒体が存在しないときは、受光器116bは発光器116aから放射された光を検知する。一方、搬送路に媒体が存在するときは、発光器116aから放射された光は搬送路に存在する媒体に遮られ、受光器116bは発光器116aから放射された光を検知しない。受光器116bは、受光した光の強度に応じて、発光器116aと受光器116bの間に媒体が存在するか否かを検出し、媒体が存在するか否かを示す電気信号である光信号を生成して出力する。以下では、発光器116a及び受光器116bを総じて光センサ116と称する場合がある。光センサ116は、第2媒体センサの一例である。
【0027】
なお、光センサ116において、発光器及び受光器が媒体の搬送路に対して一方の側に設けられ、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置にミラー等の反射部材が設けられてもよい。その場合、発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じて光信号を生成して出力する。また、第2媒体センサとして、光センサ116の代わりに、接触検出センサが用いられてもよい。
【0028】
第1撮像装置117aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を有する。また、第1撮像装置117aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置117aは、搬送された媒体の表面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0029】
同様に、第2撮像装置117bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISを有する。また、第2撮像装置117bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置117bは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0030】
撮像装置117は、撮像部の一例である。撮像装置117は、後述する駆動装置が有するパルス発生回路によって発生される、モータを回転させる制御パルスに従って、媒体の主走査方向に延伸する各ラインを撮像する。なお、画像読取装置100は、第1撮像装置117a及び第2撮像装置117bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CISの代わりにCCD(Charge-Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサが使用されてもよい。
【0031】
第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119は、撮像装置117の下流側に相互に対向するように設けられ、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115によって搬送された媒体を排出口101bから排出する。
【0032】
載置台103に載置された媒体は、分離ローラ111が図2の矢印A3の方向に回転することによって、下側ガイド101aと上側ガイド102aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。分離ローラ111及び分離パッド112の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち分離ローラ111と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0033】
媒体は、下側ガイド101aと上側ガイド102aによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ115がそれぞれ矢印A4及び矢印A5の方向に回転することによって、第1撮像装置117aと第2撮像装置117bの間に送り込まれる。媒体は、撮像位置L2において第2撮像装置117bにより読み取られ、撮像位置L1において第1撮像装置117aにより読み取られる。その後、媒体は、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって排出口101bから排出される。
【0034】
図3は、搬送ローラ対及び撮像装置117の配置について説明するための模式図である。図3は、上側筐体102を取り外した状態で画像読取装置100を上方から見た模式図である。
【0035】
画像読取装置100は小型装置であり、図3に示すように、媒体搬送方向A1において、第2搬送ローラ115と第2撮像装置117bの間のスペース、即ち搬送ローラ対と撮像装置117の間のスペースは極めて小さい。例えば、搬送ローラ対及び撮像装置117は、媒体搬送方向A1における搬送ローラ対の中心位置と、撮像装置117の搬送ローラ対に近い側の撮像位置L2との間の距離が20mm以下となるように配置される。より好ましくは、搬送ローラ対及び撮像装置117は、その距離が10mm以上且つ15mm以下となるように配置される。
【0036】
図3において、第2搬送ローラ115上の範囲Nは搬送ローラ対のニップ範囲を示し、位置N1はニップ範囲Nの上流側の端部位置を示し、位置N2はニップ範囲Nの下流側の端部位置を示す。この例では、ニップ範囲Nの外側(側壁W側)且つ上流側の端部位置P1と、媒体搬送路の幅方向A2の中央位置Cにおいてニップ範囲Nの下流側の端部位置N2に相当する位置P2とを通過する直線は、撮像装置117の撮像位置L2と重なっている。即ち、撮像装置117は、搬送ローラ対により幅方向A2の全幅にわたって挟持された媒体の先端が、搬送路の幅方向A2の中央位置Cにおいてニップ範囲Nに相当する範囲を通過する前に、その媒体の一部が撮像位置L2に到達可能な範囲に配置されている。
【0037】
一方、超音波センサ113は、ニップ範囲Nの上流側の端部位置N1より上流側に、且つ、搬送路の幅方向A2の中央位置Cの近傍に配置されている。また、光センサ116は、ニップ範囲Nの下流側の端部位置N2より下流側に、且つ、搬送路の幅方向A2の中央位置Cの近傍に配置されている。したがって、画像読取装置100では、光センサ116は、ニップ範囲Nの外側且つ上流側の端部位置P1と、光センサ116の配置位置とを通過する直線が、撮像装置117の撮像位置L2と重なるように配置されている。
【0038】
また、図3に示すように、幅方向A2における媒体MのサイズがXであり、幅方向A2に対して媒体Mが傾いている角度がθである場合、媒体搬送方向A1における媒体Mの先端のずれ量は(Xsinθ)となる。即ち、画像読取装置100がサポートする媒体の幅方向A2における最大サイズがXMAXであり、媒体の傾き許容量がθMAXである場合、媒体搬送方向A1における媒体の先端のずれ量の最大値は(XMAXsinθMAX)となる。例えば、画像読取装置100がサポートする媒体の幅方向A2における最大サイズがA4の短手方向のサイズ(210mm)であり、媒体の傾き許容量が3°である場合、媒体の先端のずれ量の最大値は11mm程度となる。画像読取装置100では、光センサ116は、媒体搬送方向A1において、撮像位置L2までの距離が、媒体の先端のずれ量の最大値未満となるように配置されている。
【0039】
図4は、画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0040】
画像読取装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及びCPU(Central Processing Unit)150、処理回路160等をさらに有する。
【0041】
駆動装置131は、CPU150からの制御信号によって制御パルスを発生させるパルス発生回路、及び、1つ又は複数のモータを含む。各モータは、パルス発生回路によって発生された制御パルスに従って回転し、分離ローラ111、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ115、第3搬送ローラ118及び第4搬送ローラ119を回転させて媒体を搬送させる。
【0042】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。インタフェース装置132は、出力部の一例である。
【0043】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0044】
CPU150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等が用いられてもよい。
【0045】
CPU150は、操作表示装置104、接触センサ110、超音波センサ113、光センサ116、撮像装置117、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路160等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、駆動装置131の駆動制御、撮像装置117の撮像制御等を行い、画像を取得し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信する。また、CPU150は、超音波センサ113により生成される信号に基づいて撮像装置117の撮像制御を行い、光センサ116により生成される信号に基づいて画像を切り出す。
【0046】
処理回路160は、撮像装置117により撮像された画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された画像を記憶装置140に格納する。なお、処理回路160の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
【0047】
図5は、記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
【0048】
図5に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、重送検出プログラム142及び出力制御プログラム143等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU150は、制御部151、重送検出部152及び出力制御部153として機能する。
【0049】
図6及び図7は、画像読取装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0050】
以下、図6及び図7に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。図6及び図7に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0051】
最初に、制御部151は、利用者により操作表示装置104を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作表示装置104から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0052】
次に、制御部151は、接触センサ110から接触検出信号を取得し、取得した接触検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0053】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作表示装置104から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0054】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、駆動装置131を駆動して、分離ローラ111、第1~第4搬送ローラ114、115、118及び119を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS103)。なお、制御部151は、第1~第4搬送ローラ114、115、118及び119を既に回転させている場合、分離ローラ111を回転させるように駆動装置131を駆動する。
【0055】
次に、重送検出部152は、超音波センサ113から超音波信号を取得し、取得した超音波信号の信号値が第1閾値未満であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0056】
図8は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
【0057】
図8のグラフ800において、横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。実線801は媒体として一枚の用紙が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線802は用紙の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。また、区間803は媒体が超音波センサ113上を通過している期間を示す。媒体が超音波センサ113の位置に搬送されることにより、区間803において実線801の超音波信号の信号値が低下している。第1閾値は、媒体が搬送されていないときの超音波信号の信号値S1と、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定される。制御部151は、超音波信号の信号値が第1閾値未満であるか否かを判定することによって媒体が超音波センサ113の位置に存在するか否かを判定することができる。
【0058】
超音波信号の信号値が第1閾値以上である場合、制御部151は、まだ媒体が超音波センサ113の位置まで搬送されていないと判定して待機する。一方、超音波信号の信号値が第1閾値未満である場合、制御部151は、媒体が超音波センサ113の位置まで搬送されたと判定し、撮像装置117による撮像を開始させる(ステップS105)。このように、制御部151は、超音波センサ113による媒体の検出に応じて撮像装置117による撮像を開始させる。
【0059】
次に、制御部151は、光センサ116から光信号を取得し、取得した光信号に基づいて媒体の先端が光センサ116の位置を通過したか否かを判定する(ステップS106)。制御部151は、直前に取得した光信号の信号値が、媒体が存在しないことを示し且つ今回取得した光信号の信号値が、媒体が存在することを示す場合、媒体の先端が光センサ116の位置を通過したと判定する。
【0060】
制御部151は、媒体の先端が光センサ116の位置を通過するまで待機し、媒体の先端が光センサ116の位置を通過した場合、媒体の先端が光センサ116の位置を通過したタイミングに関するタイミング情報を記憶する(ステップS107)。例えば、制御部151は、媒体の先端が超音波センサ113の位置を通過してから光センサ116の位置を通過するまでに、搬送ローラ対を回転させるためにモータに供給した制御パルス数を、タイミング情報として記憶する。
【0061】
次に、制御部151は、分離ローラ111の回転を停止させるように駆動装置131を制御する(ステップS108)。以降、媒体は、第1~第4搬送ローラ114、115、118及び119によって搬送される。
【0062】
次に、制御部151は、超音波センサ113から超音波信号を取得し、取得した超音波信号の信号値が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS201)。第2閾値は、第1閾値より小さい値に設定される。
【0063】
図8に示したグラフ800において、重送が発生していることにより、区間803において点線802の超音波信号の信号値が低下している。第2閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値S2と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S3との間の値に設定される。重送検出部152は、超音波信号の信号値が第2閾値未満であるか否かを判定することによって媒体の重送が発生したか否かを判定することができる。
【0064】
重送検出部152は、超音波信号の信号値が第2閾値未満である場合、重送が発生していると判定する(ステップS202)。このように、重送検出部152は、超音波センサ113により生成された超音波信号に基づいて、媒体の重送を検出する。
【0065】
次に、制御部151は、異常処理として、駆動装置131を停止して、媒体の給送及び搬送を停止させ(ステップS203)、一連のステップを終了する。なお、制御部151は、異常処理として、不図示のスピーカ、LED等により、異常が発生したことを利用者に通知してもよい。
【0066】
一方、超音波信号の信号値が第2閾値以上であった場合、制御部151は、重送が発生していないと判定する(ステップS204)。
【0067】
次に、制御部151は、光センサ116から光信号を取得し、取得した光信号に基づいて媒体の後端が撮像装置117の撮像位置を通過したか否かを判定する(ステップS205)。制御部151は、直前に取得していた光信号の信号値が、媒体が存在することを示し且つ今回取得した光信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す場合、媒体の後端が光センサ116の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が光センサ116の位置を通過してから所定時間経過した場合に、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定しなかった場合、処理をステップS201へ戻し、ステップS201~S204の処理を繰り返す。
【0068】
一方、制御部151は、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定した場合、撮像装置117による撮像を終了させ、撮像装置117から入力画像を取得する(ステップS206)。
【0069】
次に、制御部151は、光センサ116による媒体の検出に応じて、入力画像から、少なくとも媒体が含まれる媒体領域を切り出した切り出し画像を生成する(ステップS207)。
【0070】
制御部151は、入力画像内で、媒体が光センサ116を通過したタイミング、即ち光センサ116が媒体を検出したタイミングに撮像された位置より所定量だけ前に撮像された位置を基準にして切り出し画像を生成する。
【0071】
図9Aは、切り出し画像について説明するための模式図である。
【0072】
図9Aには、傾いて搬送された媒体M1が撮像された入力画像900が示されている。入力画像900において、位置901は、媒体M1の先端が超音波センサ113の位置を通過したタイミングで撮像された位置であり、位置902は、媒体M1の先端が光センサ116の位置を通過したタイミングで撮像された位置である。また、位置903は、媒体M1の後端が光センサ116の位置を通過したタイミングで撮像された位置であり、位置904は、媒体M1の後端が光センサ116の位置を通過してから所定時間経過したタイミングで撮像された位置である。
【0073】
上記したように、画像読取装置100がサポートする媒体の幅方向A2における最大サイズがXMAXであり、媒体の傾き許容量がθMAXである場合、媒体搬送方向A1における媒体の先端のずれ量の最大値は(XMAXsinθMAX)となる。制御部151は、入力画像内で、媒体M1の先端が光センサ116を通過したタイミングで撮像された位置902より、上記のずれ量の最大値に相当する画素数だけ上側の位置(前に撮像された位置)905を基準にして切り出し画像を生成する。
【0074】
また、上記したように、駆動装置131は、制御パルスに従ってモータを回転させて搬送ローラ対に媒体を搬送させ、撮像装置117は、その制御パルスに従って媒体の主走査方向に延伸する各ラインを撮像する。したがって、制御部151は、モータを回転させる制御パルスを利用して、媒体の先端が光センサ116を通過したタイミングで撮像された位置902、及び、ずれ量の最大値に相当する画素数だけ上側の位置905を特定することができる。制御部151は、入力画像の先端位置から、ステップS107でタイミング情報として記憶した制御パルス数に相当する画素数だけ下側の位置(後に撮像された位置)を位置902として特定する。また、制御部151は、特定した位置902から、搬送ローラ対がずれ量の最大値だけ媒体を移動させるだけの制御パルス数に相当する画素数だけ上側の位置(前に撮像された位置)を位置905として特定する。
【0075】
そして、制御部151は、特定した位置905から後端位置904までの領域を入力画像900から切り出して、切り出し画像を生成する。
【0076】
このように、制御部151は、モータを回転させる制御パルスを利用して、ずれ量の最大値に相当する画素数を特定する。これにより、制御部151は、容易且つ正確に入力画像から画像を切り出す位置を決定することができる。また、制御部151は、画像読取装置に定められた媒体の傾き許容量に基づいて、ずれ量の最大値に相当する画素数を特定する。これにより、制御部151は、媒体が傾いて搬送される場合であっても、媒体全体が確実に含まれるように、入力画像から画像を切り出す位置を決定することができる。
【0077】
次に、出力制御部153は、生成した切り出し画像を、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信することにより、切り出し画像を出力する(ステップS208)。
【0078】
次に、制御部151は、接触センサ110から取得する接触検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS209)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS103へ処理を戻し、次の媒体に対して、ステップS103~S209の処理を実行する。
【0079】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、駆動装置131を停止し(ステップS210)、一連のステップを終了する。
【0080】
なお、ステップS201~S203の処理は、媒体の先端が光センサ116の位置を通過した後でなく、媒体の給送を開始した後(ステップS104以後)、又は、媒体の先端が超音波センサ113の位置を通過した後(ステップS105以後)に実行されてもよい。また、ステップS201~S203の処理は省略されてもよい。その場合、分離ローラ111と搬送ローラ対との間に配置されて媒体を検出するセンサとして、超音波センサ113の代わりに、光センサ116と同様の光センサ、又は、接触センサ110と同様の接触センサが用いられてもよい。制御部151は、ステップS104で光センサ又は接触センサにより生成された信号に基づいて媒体がそのセンサの位置まで搬送されたか否かを判定し、ステップS105でその判定結果に基づいて撮像装置117による撮像を開始させる。
【0081】
以下、超音波センサ113の検出結果に基づいて撮像を開始し、光センサ116の検出結果に基づいて画像を切り出すことの技術的意義について説明する。
【0082】
図3に示したように、搬送ローラ対と撮像装置117の間のスペースが小さい小型の画像読取装置100では、媒体Mが傾いて搬送された場合に、その先端が光センサ116を通過する前に、先端の一部Eが撮像位置L2に到達する可能性がある。図3に示した例では、搬送ローラ対により幅方向A2の全幅にわたって媒体Mが挟持されているにも関わらず、その先端が光センサ116を通過する前に、先端の一部Eが撮像位置L2に到達している。
【0083】
このような小型の画像読取装置100では、搬送ローラ対の下流側に配置されて媒体がそのニップ範囲を通過したことを検出する光センサ116が媒体を検出したときには、媒体の一部は撮像位置L2を既に通過している可能性がある。したがって、光センサ116の検出結果に基づいて撮像装置117の撮像を開始する場合、媒体の一部が撮像されず、撮像された入力画像には媒体全体が含まれない可能性がある。一方、画像読取装置100は、搬送ローラ対の上流側に配置された超音波センサ113の検出結果に基づいて撮像装置117の撮像を開始することにより、媒体が傾いて搬送された場合でも媒体全体を確実に撮像することができる。
【0084】
上記した図9Aの入力画像900において、位置901は、媒体M1の先端が超音波センサ113の位置を通過したタイミングで撮像された位置であり、位置902は、媒体M1の先端が光センサ116の位置を通過したタイミングで撮像された位置である。したがって、媒体の先端が光センサ116の位置を通過したタイミングで撮像が開始される場合、その媒体の先端の一部は撮像されず入力画像に含まれない。一方、入力画像900では、媒体の先端が超音波センサ113の位置を通過したタイミングで撮像が開始されるため、媒体全体が撮像されて入力画像に含まれている。
【0085】
但し、媒体が搬送ローラ対を通過する前に撮像装置117の撮像を開始することにより、分離ローラ111又は搬送ローラ対による搬送時に媒体のスリップが発生した場合、入力画像には、媒体が写っていない余白部分が大量に含まれる。特に、媒体は、搬送ローラ対を通過する前には、分離ローラ111及び分離パッド112のみに挟持されており、スリップが発生しやすい。
【0086】
図9Bは、媒体のスリップについて説明するための模式図である。
【0087】
図9Bには、分離ローラ111又は搬送ローラ対でスリップしながら搬送された媒体M2が撮像された入力画像910が示されている。入力画像910において、位置911は、媒体M2の先端が超音波センサ113の位置を通過したタイミングで撮像された位置であり、位置912は、媒体M2の先端が光センサ116の位置を通過したタイミングで撮像された位置である。また、位置913は、媒体M2の後端が光センサ116の位置を通過したタイミングで撮像された位置であり、位置914は、媒体M2の後端が光センサ116の位置を通過してから所定時間経過したタイミングで撮像された位置である。
【0088】
この例では、媒体M2の先端が超音波センサ113の位置を通過した後にスリップが発生している。そのため、入力画像910では、媒体M2の先端が超音波センサ113の位置を通過したタイミングで撮像された位置911と、媒体M2の先端が光センサ116の位置を通過したタイミングで撮像された位置912との間の余白部分が大きい。しかしながら、入力画像910では、媒体M2の先端が光センサ116を通過したタイミングで撮像された位置912より所定量だけ上側の位置915から下側の領域のみが切り出し画像として切り出されるため、切り出し画像では余白部分が適切に削除される。
【0089】
このように、画像読取装置100は、搬送ローラ対の下流側に配置された光センサ116の検出結果に基づいて画像を切り出すため、媒体を撮像した画像のサイズが増大し過ぎることが抑制される。
【0090】
以上詳述したように、画像読取装置100は、超音波センサ113による媒体の検出位置に基づいて撮像を開始し、光センサ116による媒体の検出位置より少し前に撮像された位置から切り出し画像を生成する。これにより、画像読取装置100は、媒体の搬送中にスキューやスリップが発生しても、欠け部分のないように且つ余剰部分が小さくなるように画像を切り出すことができる。したがって、画像読取装置100は、媒体を撮像した画像のサイズが増大し過ぎることを抑制しつつ、媒体全体をより確実に撮像することが可能となった。
【0091】
これにより、画像読取装置100は、撮像した画像に対して文字検出等の画像処理を行う際の処理負荷の増大を抑制することが可能となった。また、画像読取装置100は、画像処理で媒体領域を検出することなく画像を切り出すため、媒体領域の検出誤り等により、誤った領域が切り出されることが抑制される。
【0092】
また、画像読取装置100は、媒体全体が撮像されるように光センサ116と撮像装置117を離間させる必要がなくなり、装置の小型化を図ることが可能となった。また、本実施形態に係る技術では、一般的な媒体搬送装置が有する超音波センサを利用して撮像開始タイミングを決定するため、製品出荷済みの媒体搬送装置においても、制御プログラムを更新するだけで、本実施形態に係る技術が適用可能である。
【0093】
また、一般に、超音波発信器113a及び超音波受信器113bの直径は大きいため、超音波センサ113による媒体通過時刻の検出精度は低く、発光器116a及び受光器116bの直径は小さいため、光センサ116による媒体通過時刻の検出精度は高い。画像読取装置100は、媒体通過時刻の検出精度が高い光センサ116を利用して、入力画像から媒体領域を切り出すため、より適切に媒体領域を切り出すことが可能となった。
【0094】
図10は、他の実施形態に係る画像読取装置における処理回路260の概略構成を示す図である。処理回路260は、画像読取装置100の処理回路160の代わりに使用され、CPU150の代わりに、媒体読取処理を実行する。処理回路260は、制御回路261、重送検出回路262及び出力制御回路263等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0095】
制御回路261は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路261は、操作表示装置104から操作信号を、接触センサ110から接触検出信号を、超音波センサ113から超音波信号を、光センサ116から光信号を、撮像装置117から入力画像を、重送検出回路262から重送の検出結果を受信する。制御回路261は、受信した各信号に基づいて、駆動装置131を駆動するとともに、入力画像から切り出し画像を生成し、記憶装置140に記憶する。
【0096】
重送検出回路262は、重送検出部の一例であり、重送検出部152と同様の機能を有する。重送検出回路262は、超音波センサ113から超音波信号を受信し、超音波信号に基づいて媒体の重送を検出し、検出結果を制御回路261に出力する。
【0097】
出力制御回路263は、出力制御部の一例であり、出力制御部153と同様の機能を有する。出力制御回路263は、記憶装置140から切り出し画像を読み出し、インタフェース装置132を介して情報処理装置へ送信する。
【0098】
以上詳述したように、画像読取装置は、処理回路260を用いる場合においても、媒体を撮像した画像のサイズが増大し過ぎることを抑制しつつ、媒体全体をより確実に撮像することが可能となった。
【符号の説明】
【0099】
100 画像読取装置
111 分離ローラ
113 超音波センサ
114 第1搬送ローラ
115 第2搬送ローラ
116 光センサ
117 撮像装置
132 インタフェース装置
151 制御部
152 重送検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10