(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】カートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 17/32 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
B41J17/32 A
(21)【出願番号】P 2023000725
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2018243218の分割
【原出願日】2018-12-26
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000129437
【氏名又は名称】株式会社キングジム
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石本 章雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 泰志
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/033393(WO,A1)
【文献】特開2012-030366(JP,A)
【文献】特開平07-134884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジを装着するためのカートリッジ装着部と、前記カートリッジ装着部に設けられ、前記カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された際、前記カートリッジの周壁部に設けられた電極部に接触し、弾性変位可能な接触端子部と、を備えたテープ印刷装置に装着される前記カートリッジであって、
前記カートリッジは、
第1周壁部と、前記カートリッジの装着方向から見て、前記第1周壁部に対して内角が180°を超えて屈曲した第2周壁部と、を有し、前記電極部は、前記第1周壁部または前記第2周壁部に設けられていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記電極部が第1面に設けられた基板を備え、
前記基板の前記第1面とは反対側の第2面には、電気素子が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記電極部と電気的に接続された電気素子が、前記第1周壁部または前記第2周壁部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記カートリッジ装着部に装着される際、前記カートリッジ装着部の底面から突出した位置決め部によりガイドされることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記電極部は、複数の前記接触端子部と接触する複数の電極で構成され、
複数の前記電極は、前記装着方向に垂直な方向に1列で配列されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記電極部はGND電極を含み、前記GND電極は、他の前記電極より前記装着方向奥側に延伸していることを特徴とする請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記電極部は、前記カートリッジの周壁部のうち前記装着方向奥側の位置に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項8】
印刷テープを排出するテープ排出口が設けられたカートリッジケースと、前記テープ排出口に向けて前記印刷テープが送られるテープ経路と、前記印刷テープに送り力を与える送り部と、を有し、
前記装着方向手前側から見て、前記電極部が前記接触端子部から受ける力の方向に対して、前記印刷テープに送り力を与える部分での前記テープ経路の方向、が為す角度である経路角度が、45°未満であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記カートリッジケースには、外部から前記印刷テープが導入されるテープ導入口が設けられていることを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記カートリッジは、前記印刷テープに印刷するためのインクリボンを収容するインクリボン収容部を有し、
前記テープ導入口は、前記インクリボン収容部と前記電極部との間に設けられていることを特徴とする請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された状態で、前記印刷テープの送り速度が加速する際、前記印刷テープが送られていない状態に比べ、前記電極部を前記接触端子部に押し付ける方向のベクトル成分が増加することを特徴とする請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項12】
カートリッジを装着するためのカートリッジ装着部と、前記カートリッジ装着部に設けられ、前記カートリッジが前記カートリッジ装着部に装着された際、前記カートリッジの周壁部に設けられた電極部に接触し、弾性変位可能な接触端子部と、を備えたテープ印刷装置に装着される前記カートリッジであって、
前記カートリッジは、
印刷テープを排出するテープ排出口が設けられたカートリッジケースと、
前記テープ排出口に向けて前記印刷テープが送られるテープ経路と、
前記印刷テープに印刷するためのインクリボンを収容するインクリボン収容部と、
前記インクリボン収容部側に設けられ、前記テープ経路を構成するリボン側経路側壁部と、を有し、
前記カートリッジの装着方向から見て、前記電極部が前記接触端子部から受ける力の方向に対して、前記リボン側経路側壁部を基準とする角度である経路角度が、45°未満であ
り、
第1周壁部と、前記装着方向から見て、前記第1周壁部に対して内角が180°を超えて屈曲した第2周壁部と、をさらに有し、
前記電極部は、前記第1周壁部または前記第2周壁部に設けられることを特徴とするカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ印刷装置に装着されるカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、IC基板が取り付けられたインクカートリッジが知られている。インクカートリッジには、印刷媒体が収容されていない。このため、インクカートリッジについては、印刷媒体が収容されたテープカートリッジとは異なり、印刷媒体が送られる際にインクカートリッジに力が作用する、ということがなく、そのような力に起因する課題を考慮した構成を備えてはいない。
また、特許文献2が開示するように、IC基板が取り付けられたテープカートリッジが知られている。テープ印刷装置には、IC基板の配線に対応する位置に、接触端子が90°ごとに4個配置されており、接触端子によるIC基板への押圧力は、4方向に放射状に作用することによって相殺される。換言すると、各接触端子部が発生させる力のベクトルを合成したときに、ベクトル成分はゼロとなる。そのため、接触端子の押圧力は、テープやインクリボンの搬送に影響することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-129175号公報
【文献】特開2015-182313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カートリッジに収容された印刷テープを送るテープ印刷装置において、印刷テープが送られる際にカートリッジに作用する力のベクトル成分のうち、カートリッジに設けられた電極部をテープ印刷装置に設けられた接触端子部に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分が大きくなる構成であると、電極部が接触端子部に対して位置ずれし、接触不良が生じるおそれがある。さらに、特許文献1が開示しているインクカートリッジでは、IC基板がカートリッジケースの表面に露出する構成となっている。そのため、落下させた際の衝撃を直接受けることにより、IC基板にダメージが及ぶおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のカートリッジは、カートリッジを装着するためのカートリッジ装着部と、カートリッジ装着部に設けられ、カートリッジがカートリッジ装着部に装着された際、カートリッジの周壁部に設けられた電極部に接触し、弾性変位可能な接触端子部と、を備えたテープ印刷装置に装着されるカートリッジであって、カートリッジは、印刷テープを排出するテープ排出口が設けられたカートリッジケースと、テープ排出口に向けて印刷テープが送られるテープ経路と、印刷テープに送り力を与える送り部と、電極部と、を備え、カートリッジの装着方向手前側から見て、電極部が接触端子部から受ける力の方向に対して、テープ排出口に向けて印刷テープが送られる際に送り部により印刷テープに送り力が与えられる部分において印刷テープが送られる方向、が為す角度である送り角度が、45°未満である。
【0006】
本発明のカートリッジは、カートリッジを装着するためのカートリッジ装着部と、カートリッジ装着部に設けられ、カートリッジがカートリッジ装着部に装着された際、カートリッジの周壁部に設けられた電極部に接触し、弾性変位可能な接触端子部と、を備えたテープ印刷装置に装着されるカートリッジであって、カートリッジは、第1周壁部と、カートリッジの装着方向から見て、第1周壁部に対して内角が180°を超えて屈曲した第2周壁部と、を有し、電極部は、第1周壁部または第2周壁部に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】テープカートリッジが装着された状態のテープ印刷装置を装着方向手前側から見た図である。
【
図3】リボンカートリッジが装着された状態のテープ印刷装置を装着方向手前側から見た図である。
【
図4】テープ印刷装置を装着方向手前側から見た図である。
【
図5】カートリッジ装着部に装着されたリボンカートリッジに対し、テープカートリッジを、テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着される位置に対応した位置となるように、装着方向手前側に重ねた状態を示す図である。
【
図6】リボンカートリッジを装着方向手前側から見た図である。
【
図8】リボンカートリッジを装着方向奥側から見た図である。
【
図9】リボン部手前側ケースおよびテープ保持部手前側ケースが取り外された状態のリボンカートリッジを装着方向手前側から見た図である。
【
図10】リボンカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、テープ印刷装置が行う印刷処理について説明するための図である。
【
図12】テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態における、基板接続部周りの断面図である。
【
図13】リボンカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態における、基板接続部周りの断面図である。
【
図16】第2基板取付部周りを装着方向手前側から見た部分拡大図である。
【
図17】第2基板取付部周りの部分拡大斜視図である。
【
図18】テープカートリッジを装着方向手前側から見た図である。
【
図20】テープカートリッジを装着方向奥側から見た図である。
【
図21】テープカートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、テープ印刷装置が行う印刷処理について説明するための図である。
【
図22】インクリボン収容カートリッジおよびテープガイドカートリッジが装着された状態のテープ印刷装置を装着方向手前側から見た図である。
【
図23】テープガイドカートリッジの斜視図である。
【
図24】テープガイドカートリッジを装着方向奥側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の図面における方向について定義する。テープ印刷装置1の上下方向をZ方向、Z方向に直交する左右方向をX方向、Z方向とX方向に直交する前後方向をY方向とする。Z方向は、下方向あるいは重力方向を-Z方向、上方向を+Z方向とする。Y方向は、一方向を+Y方向、その反対方向を-Y方向とする。
図1において、装着部カバー5の回転軸側を+Y方向としている。X方向は、一方向を+X方向、その反対方向を-X方向とする。
図1において、平面視右側を+X方向としている。なお、これらの方向は、説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではないことは、言うまでもない。
【0009】
[テープ印刷装置、テープカートリッジ、リボンカートリッジの概要]
図1ないし
図3に基づいて、テープ印刷装置1、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201の概要について説明する。テープ印刷装置1には、テープカートリッジ101とリボンカートリッジ201とが、択一的に装着される。
【0010】
図2に示すように、テープカートリッジ101には、第1印刷テープ103と、第1インクリボン105とが収容されている。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープ印刷装置1は、テープカートリッジ101に収容された第1印刷テープ103および第1インクリボン105を送りつつ、第1印刷テープ103に印刷を行う。
【0011】
図3に示すように、リボンカートリッジ201には、第2インクリボン205が収容されている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープ印刷装置1に、テープ印刷装置1外に設けられたテープロール401から繰り出された第2印刷テープ403が導入される。テープ印刷装置1は、導入された第2印刷テープ403と、リボンカートリッジ201に収容された第2インクリボン205とを送りつつ、第2印刷テープ403に印刷を行う。
【0012】
なお、未使用状態のテープロール401における第2印刷テープ403の長さおよびリボンカートリッジ201に収容された第2インクリボン205の長さは、特に限定されるものではないが、本実施形態では、未使用状態のテープカートリッジ101に収容された第1印刷テープ103の長さおよび第1インクリボン105の長さよりも長くなっている。このため、例えば、一度に大量のラベルを作成する場合に、リボンカートリッジ201が装着される。
【0013】
[テープ印刷装置]
図4に基づいて、テープ印刷装置1について説明する。テープ印刷装置1は、装置ケース3と、装着部カバー5と、カートリッジ装着部7とを備えている。装置ケース3は、略直方体状に形成されている。装置ケース3には、+X側の面にテープロール401から繰り出される第2印刷テープ403用の装置側テープ導入口9が設けられ、-X側の面にテープカートリッジ101とリボンカートリッジ201共用の装置側テープ排出口11が設けられている。装置側テープ導入口9は、第2印刷テープ403を装置ケース3外から装置ケース3内に導入する。装置側テープ排出口11は、導入された第2印刷テープ403を装置ケース3外に排出する。また、装置側テープ排出口11は、カートリッジ装着部7に装着されたテープカートリッジ101から送り出された第1印刷テープ103を装置ケース3外に排出する。装置側テープ導入口9および装置側テープ排出口11は、Z方向に延びるスリット状に形成されている。また、テープ印刷装置1内におけるテープ送り経路において、第2印刷テープ403が、装置側テープ導入口9から装置側テープ排出口11へ向かう方向を下流、逆の方向を上流、とする。
【0014】
装置ケース3には、装置側テープ導入口9とカートリッジ装着部7とを接続するテープ導入路13が設けられている。また、装置ケース3には、カートリッジ装着部7と装置側テープ排出口11とを接続するテープ排出路15が設けられている。テープ導入路13およびテープ排出路15は、+Z側が開放された溝状に形成されている。テープ排出路15には、カッター17が設けられている。カッター17は、テープ排出路15において、第1印刷テープ103或いは第2印刷テープ403を切断する。
【0015】
装着部カバー5は、カートリッジ装着部7を開閉する。装着部カバー5の内側の面には、第1押え突起19と、第2押え突起20と、第3押え突起21と、第4押え突起22と、第5押え突起23と、第6押え突起24とが設けられている。装着部カバー5の外側の面には、図示省略したが、キーボードおよびディスプレーが設けられている。キーボードは、文字列等の印刷情報や、印刷実行等の各種指示の入力操作を受け付ける。ディスプレーは、キーボードから入力された印刷情報のほか、各種情報を表示する。ディスプレーは、蝶番となる回動軸を有して、装着部カバー5に収納可能に構成されている。ディスプレーが装着部カバー5内に収納されているとき、ディスプレーの表示面は、キーボードと対向している。テープ印刷装置1は、キーボードが印刷実行の入力操作を受け付けると、キーボードから入力された印刷情報に基づいて、印刷処理を実行する。なお、テープ印刷装置1は、キーボードおよびディスプレーに代えて、タッチパネル式ディスプレーなどの入力表示手段を備えた構成でもよい。また、テープ印刷装置1は、パソコン、スマートフォンなどの外部装置から受信した印刷データおよびコマンドに基づいて、印刷処理を実行する構成でもよい。換言すると、テープ印刷装置1と、操作端末としての外部装置と、を組み合わせた印刷システムを構成してもよい。これら外部装置と接続可能な構成とする際、キーボードおよびディスプレーは、テープ印刷装置1に設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0016】
カートリッジ装着部7は、+Z側が開放された凹状に形成されている。ここで、カートリッジ装着部7の内周面のうち、-X側の内周面を、第1装着内周面25という。第1装着内周面25の-Y側の端部から+X側に延びる内周面を、第2装着内周面27という。第2装着内周面27の+X側の端部から+Y側に延びる内周面を、第3装着内周面29という。第3装着内周面29の+Y側の端部から-X側に延びる内周面を、第4装着内周面31という。第4装着内周面31の-X側の端部から+Y側に延びる内周面を、第5装着内周面33という。第5装着内周面33の+Y側の端部から-X側に延びる内周面を、第6装着内周面35という。第6装着内周面35の-X側の端部は、第1装着内周面25の+Y側の端部と繋がっている。テープ導入路13の下流端は、第4装着内周面31に開口している。テープ排出路15の上流端は、第1装着内周面25に開口している。
【0017】
カートリッジ装着部7の底面つまり-Z側の面である装着底面37には、-X側から順に、プラテン軸39と、第1巻取り軸43と、第1繰出し軸41と、第2繰出し軸45と、第2巻取り軸47とが、+Z側に突出して設けられている。
【0018】
プラテン軸39は、第1繰出し軸41、第1巻取り軸43、第2繰出し軸45および第2巻取り軸47に比べて、装着方向手前側への突出量が大きい。プラテン軸39は、テープカートリッジ101或いはリボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際に、後述する第1プラテンローラー109或いは第2プラテンローラー203に挿通され、テープカートリッジ101或いはリボンカートリッジ201の装着をガイドする。なお、以下では、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201の装着方向を、単に「装着方向」といい、装着方向は、プラテン軸39の延びる方向、すなわちZ方向と平行である。また、装着方向手前側とは、+Z側を意味し、装着方向奥側とは、-Z側を意味する。
【0019】
また、装着底面37には、ヘッド部49と、係合凸部51と、挿入凸部53とが、装着方向手前側に突出して設けられている。ヘッド部49は、プラテン軸39の-Y側に位置している。ヘッド部49は、印刷ヘッド55と、印刷ヘッド55の少なくとも+X側、-Y側および装着方向手前側を覆うヘッドカバー56とを備えている。印刷ヘッド55は、発熱素子を備えたサーマルヘッドである。ヘッドカバー56は、装着方向手前側から見て、略長方形状に形成されている。ヘッドカバー56は、テープカートリッジ101或いはリボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際に、プラテン軸39と共に、テープカートリッジ101或いはリボンカートリッジ201の装着をガイドする。
図4では、印刷ヘッド55を図示するために、ヘッドカバー56を2点鎖線により仮想的に示している。なお、ヘッドカバー56および上記のプラテン軸39は、位置決め部の一例である。係合凸部51は、第5装着内周面33と第6装着内周面35とが交わる隅部に近接して位置しており、第5装着内周面33と向かい合った板状に形成されている。すなわち、係合凸部51は、装着方向手前側から見て、Y方向に長い略長方形状に形成されている。また、係合凸部51は、装着底面37から片持ち梁状に突出している。挿入凸部53は、係合凸部51とプラテン軸39との略中間部に位置しており、装着方向奥側が大径で装着方向手前側が小径となる略段付き円柱状に形成されている。
【0020】
さらに、装着底面37には、第1フック57と、第2フック59と、第3フック61と、第4フック63とが、装着方向手前側に突出して設けられている。第1フック57は、プラテン軸39の+Y側、且つ装着底面37の-X側の端部に位置している。第2フック59は、第1繰出し軸41の+Y側、且つX方向において第1フック57と対向する位置に位置している。第3フック61は、第2繰出し軸45と第2巻取り軸47との略中間位置の-Y側、且つ装着底面37の-Y側の端部に位置している。第4フック63は、第2巻取り軸47の+X側、装着底面37の+X側の端部に位置している。また、装着底面37には、複数の位置決めピン65が、装着方向手前側に突出して設けられている。
【0021】
第5装着内周面33には、係合凸部51の+X側において係合凸部51と向かい合うようにして、基板接続部67が設けられている。基板接続部67は、テープ印刷装置1の各部を制御する制御回路(図示省略)に接続されている。
【0022】
ここで、カートリッジ装着部7のうち、装着方向手前側から見て、テープカートリッジ101が着脱可能に装着される領域を、第1装着領域69といい、リボンカートリッジ201が着脱可能に装着される領域を、第2装着領域71という。第1装着領域69は、第2装着内周面27の-X側の略半部、第1装着内周面25、第6装着内周面35、および第5装着内周面33で囲まれた領域に相当し、第2装着領域71は、カートリッジ装着部7の略全域に相当する。
図4では、第1装着領域69の外縁および第2装着領域71の外縁を、それぞれ2点鎖線で示す。
【0023】
第1装着領域69と第2装着領域71とが重なった領域、すなわち、第2装着内周面27の-X側の略半部、第1装着内周面25、第6装着内周面35、および第5装着内周面33で囲まれた領域を、重畳領域73という。第1装着領域69と第2装着領域71とが重なっておらず、第2装着領域71のみから成る領域、すなわち、第2装着内周面27の+X側の略半部、第3装着内周面29、および第4装着内周面31で囲まれた領域を、非重畳領域75という。重畳領域73には、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201が、共通して装着され、非重畳領域75には、リボンカートリッジ201のみが装着される。このように、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201が共通して装着される重畳領域73を備えたことで、テープ印刷装置1の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0024】
プラテン軸39、第1繰出し軸41、第1巻取り軸43、ヘッド部49、係合凸部51、挿入凸部53、第1フック57、第2フック59および基板接続部67は、重畳領域73に位置している。ヘッド部49が重畳領域73に設けられていることで、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201が部品コストの高い印刷ヘッド55を共用することができ、テープ印刷装置1のコストダウンを図ることができる。一方、第2繰出し軸45、第2巻取り軸47、第3フック61および第4フック63は、非重畳領域75に位置している。
【0025】
図5は、カートリッジ装着部7に装着されたリボンカートリッジ201に対し、テープカートリッジ101を、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着される位置に対応した位置となるように、装着方向手前側に重ねた状態を示す図である。ここで、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着される位置に対応した位置とは、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着される位置から、装着方向手前側に移動した位置を意味する。
図5に示すように、リボンカートリッジ201は、装着方向手前側から見て、テープカートリッジ101と重なった重畳部分Aと、テープカートリッジ101と重なっておらず、リボンカートリッジ201のみから成る非重畳部分Bとを有する。このように、リボンカートリッジ201がテープカートリッジ101との重畳部分Aを有することで、カートリッジ装着部7の一部の領域に、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201を共通して装着することが可能となる。これにより、テープ印刷装置1の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0026】
[リボンカートリッジ]
図6ないし
図8に基づいて、リボンカートリッジ201について説明する。リボンカートリッジ201は、第2プラテンローラー203と、第2繰出しコア206と、第2巻取りコア207と、保持先端部209と、これらを収容した第2カートリッジケース211とを備えている。第2プラテンローラー203、第2繰出しコア206および第2巻取りコア207は、装着方向手前側から見て、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられたプラテン軸39、第2繰出し軸45および第2巻取り軸47に対応した位置に設けられている。第2プラテンローラー203には、装着方向に貫通した第2プラテン軸挿通孔213が設けられている。第2繰出しコア206には、第2インクリボン205が巻回されている。第2繰出しコア206から繰り出された第2インクリボン205は、第2巻取りコア207に巻き取られる。なお、第2カートリッジケース211には、収容した第2インクリボン205の幅に応じて、厚さ、すなわち装着方向の寸法が異なる複数種のものがある。
【0027】
第2カートリッジケース211は、装着方向手前側から見て、カートリッジ装着部7と略相似形に形成されている。第2カートリッジケース211は、装着方向手前側から見て、第1カートリッジケース115とは異なる形状を有している。ここで、第2カートリッジケース211の周壁部のうち、-X側の周壁部を、リボン側第1周壁部215という。リボン側第1周壁部215の-Y側の端部から+X側に延びる周壁部を、リボン側第2周壁部217という。リボン側第2周壁部217の+X側の端部から+Y側に延びる周壁部を、リボン側第3周壁部219という。リボン側第3周壁部219の+Y側の端部から、第1湾曲面221を介して-X側に延びる周壁部を、リボン側第4周壁部223という。リボン側第4周壁部223の-X側の端部から+Y側に延びる周壁部を、リボン側第5周壁部225という。リボン側第5周壁部225の+Y側の端部から-X側に延びる周壁部を、リボン側第6周壁部227という。リボン側第6周壁部227の-X側の端部は、第2湾曲面229を介して、リボン側第1周壁部215の+Y側の端部と繋がっている。リボン側第4周壁部223とリボン側第6周壁部227は、リボン側第5周壁部225により段差が構成されている。また、装着方向手前側から見て、リボン側第4周壁部223とリボン側第5周壁部225とが為す内角αの角度は、180°を超えており、例えば略270°である。なお、リボン側第4周壁部223およびリボン側第5周壁部225は、第1周壁部および第2周壁部の一例である。
【0028】
第2カートリッジケース211には、第2ヘッド挿通孔231が、装着方向に貫通して設けられている。第2ヘッド挿通孔231は、装着方向手前側から見て、リボン側第1周壁部215とリボン側第2周壁部217とが交わる隅部に位置している。第2ヘッド挿通孔231は、リボン側第1周壁部215とリボン側第2周壁部217に沿って配置されている。第2ヘッド挿通孔231は、装着方向手前側から見て、ヘッドカバー56と対応した形状、すなわち略長方形状に形成されている。第2ヘッド挿通孔231および上記の第2プラテン軸挿通孔213は、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に着脱される際に、リボンカートリッジ201を位置決めし、リボンカートリッジ201の着脱をガイドする。
【0029】
第2カートリッジケース211は、手前側ケースと、第2奥側ケース237とを備えている。手前側ケースは、リボン部手前側ケース233と、テープ保持部手前側ケース235とに分割されている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際には、リボン部手前側ケース233およびテープ保持部手前側ケース235が装着方向手前側となり、第2奥側ケース237が装着方向奥側となる。リボン部手前側ケース233およびテープ保持部手前側ケース235は、透光性を有する樹脂の成形品であり、第2奥側ケース237は、透光性を有しない樹脂の成形品であるが、リボン部手前側ケース233、テープ保持部手前側ケース235および第2奥側ケース237の材質や製法は、これに限定されるものではない。
【0030】
リボン部手前側ケース233は、リボン部手前壁部239と、リボン部手前壁部239の周縁部から装着方向奥側に突出したリボン部手前側周壁部241とを備えている。テープ保持部手前側ケース235は、テープ保持部手前壁部243と、テープ保持部手前壁部243の周縁部から装着方向奥側に突出したテープ保持部手前側周壁部245とを備えている。第2奥側ケース237は、第2奥壁部247と、第2奥壁部247から装着方向手前側に突出したリボン部奥側周壁部249およびテープ保持部奥側周壁部251とを備えている。
【0031】
リボン部手前側ケース233と第2奥側ケース237とは、リボン部手前側周壁部241とリボン部奥側周壁部249とを突き合わせるようにして組み合わされ、第2インクリボン205を収容するインクリボン収容部253の外殻を構成している。テープ保持部手前側ケース235と第2奥側ケース237とは、テープ保持部手前側周壁部245とテープ保持部奥側周壁部251とを突き合わせるようにして組み合わされ、第2プラテンローラー203および保持先端部209を収容するテープ保持機構収容部255の外殻を構成している。すなわち、インクリボン収容部253とテープ保持機構収容部255とが、第2奥壁部247を介して、一体に形成されている。なお、テープ保持機構収容部255に収容されるテープ保持部305については、後述する。
【0032】
リボン部手前側ケース233には、第1周壁凹部267と、第2周壁凹部269と、第3周壁凹部271と、第4周壁凹部272とが設けられている。第1周壁凹部267は、リボン側第4周壁部223の+X側の端部において、リボン部手前壁部239から装着方向奥側に凹状に形成されている。第2周壁凹部269は、リボン側第2周壁部217のX方向略中間部において、装着方向に延びる溝状に形成されている。第3周壁凹部271は、リボン側第3周壁部219の-Y側の端部において、リボン部手前壁部239から装着方向奥側に凹状に形成されている。第4周壁凹部272は、リボン側第5周壁部225の+Y側の端部において、テープ保持部手前壁部243から装着方向奥側に凹状に形成されている。また、リボン部奥側周壁部249には、第2周壁凹部269に対応する位置に、周壁凸部273が装着方向手前側に突出して設けられている。
【0033】
ここで、第1周壁凹部267の底面、周壁凸部273の突出先端面、および第3周壁凹部271の底面を、それぞれ、第1押え部275、第2押え部277および第3押え部279という。第1押え部275、第2押え部277および第3押え部279は、装着方向手前側から見て、第2繰出しコア206および第2巻取りコア207を囲むように設けられている。また、第1押え部275、第2押え部277および第3押え部279は、それぞれ、装着部カバー5に設けられた第1押え突起19、第2押え突起20および第3押え突起21に対応する位置に設けられている。また、第4周壁凹部272の底面、およびカートリッジ側テープ排出口261の+Z側の装着方向手前側の面を、それぞれ、第4押え部280および第5押え部282という。第4押え部280および第5押え部282は、それぞれ、装着部カバー5に設けられた第4押え突起22および第5押え突起23に対応する位置に設けられている。
【0034】
リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、装着部カバー5が閉められると、装着部カバー5に設けられた第1押え突起19、第2押え突起20および第3押え突起21が、それぞれ、第1周壁凹部267、第2周壁凹部269および第3周壁凹部271に案内され、第1押え部275、第2押え部277および第3押え部279に突き当たる。すなわち、第1押え突起19、第2押え突起20および第3押え突起21により、第2繰出しコア206および第2巻取りコア207の周囲が押さえられる。これにより、第2繰出しコア206および第2巻取りコア207が、カートリッジ装着部7に設けられた第2繰出し軸45および第2巻取り軸47に対して傾くことが抑制される。したがって、第2インクリボン205が第2繰出しコア206から第2巻取りコア207へ送られる際に、第2インクリボン205にシワが生じることを抑制することができる。
【0035】
なお、リボンカートリッジ201は、インクリボン幅が大きい、例えば、幅50mmのインクリボンを収容することができる。一方、インクリボン幅が50mmより小さい、例えば、幅24mm以下のインクリボンを収容するために、リボン部手前側ケース233およびテープ保持部手前側ケース235の、Z方向における寸法を縮小したリボンカートリッジ201としてもよい。このとき、第1周壁凹部267および第3周壁凹部271のうち、双方またはどちらか一方を設けずに、第1押え突起19および第3押え突起21の双方またはどちらか一方は、リボン部手前壁部239を押えるようにしてもよい。
【0036】
また、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、装着部カバー5が閉められると、装着部カバー5に設けられた第4押え突起22が、第4周壁凹部272に案内され、第4押え部280に突き当たる。これにより、第4押え部280が第4押え突起22により装着方向奥側に押さえられ、第4押え部280の近傍に設けられた第2回路基板327の第2電極部330を、接触端子部83に適切に接触させることができる。また、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、装着部カバー5が閉められると、装着部カバー5に設けられた第5押え突起23が、第5押え部282に突き当たる。これにより、第5押え部282が第5押え突起23により装着方向奥側に押さえられ、第5押え部282の近傍に設けられた第2プラテンローラー203を、印刷ヘッド55に適切に対向させることができる。なお、第5押え部282は、第2プラテンローラー203および印刷ヘッド55の近傍に位置する。そのため、テープ印刷装置1が印刷動作を行う際に、第5押え突起23による負荷が掛からないようにすることが好ましい。そこで、リボンカートリッジ201をカートリッジ装着部7に装着した後、第5押え突起23と、第5押え部282との間に、隙間ができるように構成してもよい。
【0037】
リボン部奥側周壁部249のうち、リボン側第1周壁部215には、リボン側第1フック係合部321が設けられ、リボン側第2周壁部217には、リボン側第2フック係合部323が設けられ、リボン側第3周壁部219には、リボン側第3フック係合部325が設けられている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられたリボン側第1フック係合部321、リボン側第2フック係合部323およびリボン側第3フック係合部325が、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられた第1フック57、第3フック61および第4フック63と係合する。これにより、リボンカートリッジ201が装着底面37から浮き上がった状態で装着されることが抑制される。
【0038】
また、リボン部奥側周壁部249のうち、リボン側第5周壁部225には、第2回路基板327が取り付けられている。すなわち、第2回路基板327は、カートリッジ側テープ排出口261が設けられたリボン側第1周壁部215と略平行に設けられたリボン側第5周壁部225に取り付けられている。リボン側第5周壁部225には、第2回路基板327が取り付けられる第2基板取付部337が設けられている。
【0039】
上述したように、リボン側第5周壁部225は、装着方向手前側から見て、リボン側第4周壁部223に対して内角αが180°を超えて屈曲している。このため、リボンカートリッジ201が床等に落下した場合には、リボン側第3周壁部219とリボン側第4周壁部223との間の第1湾曲面221、或いはリボン側第5周壁部225とリボン側第6周壁部227とが交わる角部、が床等に当たることになり、リボン側第4周壁部223およびリボン側第5周壁部225が床等に当たることが抑制される。したがって、リボンカートリッジ201が床等に落下した場合に、第2回路基板327に設けられた第2電極部330が床等に当たることが抑制され、機械強度の弱い第2電極部330が破損することを抑制することができる。なお、第2回路基板327がリボン側第4周壁部223に取り付けられた構成においても、同様の作用効果を得ることができる。
【0040】
図8に示すように、第2奥壁部247において、繰出し側筒部283の+Y側には、フック挿通穴299が形成されている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられたフック挿通穴299に、カートリッジ装着部7に設けられた第2フック59が挿通する。これにより、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際に、第2フック59がリボンカートリッジ201と干渉することが抑制される。
【0041】
図6、
図7および
図9に基づいて、第2テープ経路257について説明する。第2テープ経路257は、リボン部手前側ケース233とテープ保持部手前側ケース235との間に設けられている。第2テープ経路257は、リボン側第5周壁部225に設けられたカートリッジ側テープ導入口259と、リボン側第1周壁部215に設けられたカートリッジ側テープ排出口261とを接続している。なお、カートリッジ側テープ導入口259は、インクリボン収容部253と、第2回路基板327との間に設けられている。すなわち、カートリッジ側テープ導入口259は、第2回路基板327よりもリボン側第4周壁部223側に位置している。
図6および
図9では、カートリッジ側テープ導入口259は、リボン側第5周壁部225の第2回路基板327から距離を置いてリボン側第4周壁部223と交差する領域に設けられている。カートリッジ側テープ導入口259は、リボン側第4周壁部223に設けてもよい。その場合は、リボン側第5周壁部225とリボン側第4周壁部223と交差する領域に近い方が、簡単な配置構造にするために望ましい。
【0042】
カートリッジ側テープ導入口259は、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、装置側テープ導入口9から導入された第2印刷テープ403を第2カートリッジケース211内に導入する。カートリッジ側テープ排出口261は、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、第2印刷テープ403を装置側テープ排出口11に向けて第2カートリッジケース211外に排出する。カートリッジ側テープ導入口259およびカートリッジ側テープ排出口261は、装着方向に沿うスリット状に形成されている。このため、第2カートリッジケース211内に導入された第2印刷テープ403は、第2印刷テープ403の幅方向が装着方向と略平行になるようにして、送られる。
【0043】
第2テープ経路257の側壁部のうち、インクリボン収容部253側の側壁部を、リボン側経路側壁部263といい、テープ保持機構収容部255側の側壁部を、テープ保持機構側経路側壁部265という。カートリッジ側テープ導入口259の近くでは、第2印刷テープ403がスムーズに導入されるように、第2テープ経路257の幅、すなわちリボン側経路側壁部263とテープ保持機構側経路側壁部265との間隔、が広くなっている。
【0044】
第2テープ経路257には、カートリッジ側テープ排出口261に近い方から順に、第2プラテンローラー203と、保持先端部209とが設けられている。テープ保持機構側経路側壁部265のうち、保持先端部209に対応した箇所は、保持先端部209が第2テープ経路257に導入された第2印刷テープ403をリボン側経路側壁部263との間で保持できるように、切り欠かれている。また、第2テープ経路257のカートリッジ側テープ排出口261側の端部は、後述する第2リボン露出部291を介して第2ヘッド挿通孔231に繋がっている。
【0045】
図9に基づいて、第2奥側ケース237について説明する。第2奥側ケース237の第2奥壁部247には、第2ヘッド周縁凸部281と、繰出し側筒部283と、巻取り側筒部285と、第1リボンガイド287と、第2リボンガイド289とが、装着方向手前側に突出して設けられている。第2ヘッド周縁凸部281は、第2ヘッド挿通孔231の周縁部に設けられている。第2ヘッド周縁凸部281は、+Y側すなわち第2プラテンローラー203側の一部が切り欠かれており、その切り欠かれた箇所が、第2インクリボン205が露出する第2リボン露出部291となっている。これにより、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、第2ヘッド挿通孔231に挿通した印刷ヘッド55が、第2インクリボン205および第2印刷テープ403を挟んで第2プラテンローラー203と対向する。
【0046】
繰出し側筒部283および巻取り側筒部285は、装着方向手前側から見て、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられた第1繰出し軸41および第1巻取り軸43に対応した位置に設けられている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられた繰出し側筒部283および巻取り側筒部285に、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられた第1繰出し軸41および第1巻取り軸43が挿入される。これにより、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際に、第1繰出し軸41および第1巻取り軸43がリボンカートリッジ201と干渉することが抑制される。
【0047】
第2繰出しコア206から繰り出された第2インクリボン205は、繰出し側筒部283、第2ヘッド周縁凸部281、巻取り側筒部285、第1リボンガイド287および第2リボンガイド289の順にガイドされながら、第2巻取りコア207に巻き取られる。すなわち、繰出し側筒部283および巻取り側筒部285は、第1繰出し軸41および第1巻取り軸43が挿入されるだけでなく、第2インクリボン205をガイドするガイド部材としても機能する。
【0048】
また、第2奥壁部247には、第2筒状軸部293が、装着方向手前側に突出して設けられている。第2筒状軸部293は、略段付き円筒状に形成されている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられた第2筒状軸部293に、カートリッジ装着部7に設けられた挿入凸部53が挿入される。
【0049】
第2奥壁部247の装着方向奥側の面には、複数の第2位置決め穴295が設けられている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられた第2位置決め穴295が、カートリッジ装着部7に設けられた位置決めピン65と係合する。これにより、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に対して位置決めされる。
【0050】
第2奥壁部247には、リボン側第5周壁部225とリボン側第6周壁部227とが交わる隅部に位置して、第2凸部受入部297が設けられている。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられた第2凸部受入部297が、カートリッジ装着部7に設けられた係合凸部51を受け入れる。
【0051】
テープ保持機構収容部255には、保持先端部209を備えたテープ保持部305が収容されている。テープ保持部305は、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際に、第2テープ経路257に予め導入された第2印刷テープ403を保持するためのものである。
【0052】
図6および
図9に示すように、テープ保持部305は、保持先端部209と、アーム支軸307と、アーム部309と、係合ピン311と、スライドプレート313とを備えている。保持先端部209は、アーム部309の一方の端部に設けられている。保持先端部209は、リボン側経路側壁部263との間で第2テープ経路257に導入された第2印刷テープ403を保持する。保持先端部209により第2印刷テープ403を保持することで、第2テープ経路257に導入された第2印刷テープ403が第2テープ経路257から抜け出てしまうことが抑制されると共に、第2印刷テープ403が第2テープ経路257を送られる際に、第2印刷テープ403に与える摩擦抵抗を少なくすることができる。
【0053】
アーム支軸307は、第2奥壁部247から装着方向手前側に突出している。アーム部309は、装着方向手前側から見て略「L」字状に形成されている。アーム部309の保持先端部209が設けられた端部とは反対側の端部には、アーム支軸307が挿通している。アーム部309は、アーム支軸307に対して回転可能に支持されている。すなわち、アーム部309は、アーム部309に設けられた保持先端部209がリボン側経路側壁部263に近接し、リボン側経路側壁部263との間で第2テープ経路257に導入された第2印刷テープ403を保持する近接位置と、アーム部309に設けられた保持先端部209がリボン側経路側壁部263から離隔した離隔位置との間で、回転可能に設けられている。また、アーム支軸307には、テープ保持バネ315が設けられている。テープ保持バネ315は、アーム部309に対し、近接位置に向けて力を付与している。なお、テープ保持バネ315としては、例えば、ねじりコイルバネを用いることができる。係合ピン311は、アーム部309の保持先端部209が設けられた端部とアーム部309の屈曲部との間に設けられている。係合ピン311は、アーム部309から装着方向手前側に突出している。
【0054】
スライドプレート313は、テープ保持部手前壁部243に対してY方向にスライド可能に構成されている。スライドプレート313は、プレート本体317と、摘み部319とを備えている。プレート本体317は、テープ保持部手前壁部243の内側すなわち-Z側においてテープ保持部手前壁部243と略平行に設けられている。プレート本体317は、係合ピン311の先端部と係合している。すなわち、プレート本体317は、係合ピン311を介して、アーム部309と接続されている。また、プレート本体317は、第2プラテンローラー203と係合している。摘み部319は、プレート本体317から装着方向手前側に突出しており、装着方向手前側から見て、X方向に長い略長方形状に形成されている。なお、スライドプレート313は、テープ保持部手前側ケース235と同様に、透光性を有する樹脂の成形品であるが、スライドプレート313の材質や製法は、これに限定されるものではない。
【0055】
ユーザーが、摘み部319を摘んでスライドプレート313を+Y側の非保持位置にスライドさせると、係合ピン311を介してプレート本体317と接続されたアーム部309が、テープ保持バネ315に抗して離隔位置へ回転すると共に、第2プラテンローラー203の+Z側の先端部が、+Y側に移動する。換言すると、スライドプレート313を+Y側の非保持位置にスライドさせると、第2プラテンローラー203は、その+Z側の先端部が第2リボン露出部291から離れる方向に傾斜する。これにより、アーム部309に設けられた保持先端部209が、リボン側経路側壁部263から離隔すると共に、第2プラテンローラー203が第2リボン露出部291に露出した第2インクリボン205から離隔する。
【0056】
一方、ユーザーが、スライドプレート313を-Y側の保持位置にスライドさせると、アーム部309が、近接位置へ回転すると共に、第2プラテンローラー203の+Z側の先端部が-Y側に移動する。これにより、保持先端部209がリボン側経路側壁部263との間で第2印刷テープ403を保持すると共に、第2プラテンローラー203が第2リボン露出部291に露出した第2インクリボン205に近づく。
【0057】
このように構成されたテープ保持部305を備えたことで、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際に、予め第2テープ経路257に導入された第2印刷テープ403が第2テープ経路257から抜け出てしまうことが抑制される。このため、ユーザーは、予め第2テープ経路257に第2印刷テープ403が導入されたリボンカートリッジ201をカートリッジ装着部7に装着するという簡単な操作で、第2印刷テープ403とリボンカートリッジ201とを同時にテープ印刷装置1にセットすることができる。すなわち、ユーザーは、リボンカートリッジ201をカートリッジ装着部7に装着する操作と、第2印刷テープ403をカートリッジ装着部7に導入する操作とを、別々に行う必要がない。
【0058】
第2印刷テープ403がリボンカートリッジ201の第2テープ経路257に導入されていない場合には、ユーザーは、リボンカートリッジ201をカートリッジ装着部7に装着する前に、第2印刷テープ403を第2テープ経路257に導入する。すなわち、ユーザーは、スライドプレート313を非保持位置にスライドすることで、保持先端部209をリボン側経路側壁部263から離隔させると共に、第2プラテンローラー203を第2インクリボン205から離隔させる。この状態で、第2印刷テープ403が第2プラテンローラー203と第2インクリボン205との間を通るように、カートリッジ側テープ導入口259から、或いは開放された第2テープ経路257の装着方向手前側から、第2印刷テープ403を第2テープ経路257に導入する。続いて、ユーザーは、スライドプレート313を保持位置にスライドすることで、保持先端部209をリボン側経路側壁部263に近づけると共に、第2プラテンローラー203を第2インクリボン205に近づける。これにより、第2テープ経路257に導入された第2印刷テープ403が、保持先端部209により保持される。
【0059】
なお、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、第2プラテン軸挿通孔213にプラテン軸39が挿通しているため、第2プラテンローラー203と係合したスライドプレート313が保持位置から非保持位置にスライド不能となる。このため、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、ユーザーが誤ってスライドプレート313を非保持位置にスライドすることにより、第2印刷テープ403の保持状態が解除され、第2印刷テープ403が第2テープ経路257から抜け出てしまうことが抑制されている。
【0060】
[リボンカートリッジ装着時の印刷処理]
図10に基づいて、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、テープ印刷装置1が行う印刷処理について説明する。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられた第2プラテンローラー203の第2プラテン軸挿通孔213、第2繰出しコア206および第2巻取りコア207に、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられたプラテン軸39、第2繰出し軸45および第2巻取り軸47が挿通する。これにより、テープ印刷装置1に設けられた送りモーターの駆動力が、第2プラテンローラー203、第2繰出しコア206および第2巻取りコア207に伝達可能となる。
【0061】
また、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、リボンカートリッジ201に設けられた第2ヘッド挿通孔231に、カートリッジ装着部7に設けられたヘッド部49が挿通する。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された後、装着部カバー5が閉められると、ヘッド移動機構により、印刷ヘッド55がプラテン軸39に向けて移動する。これにより、印刷ヘッド55と第2プラテンローラー203との間に、第2印刷テープ403および第2インクリボン205が挟持される。なお、第2プラテンローラー203が印刷ヘッド55との間で第2印刷テープ403および第2インクリボン205を挟持した部分を、第2送り部分79という。
【0062】
この状態で、送りモーターが正方向に回転すると、第2プラテンローラー203が正方向に回転すると共に、第2巻取りコア207が巻取り方向に回転する。これにより、装置側テープ導入口9から導入された第2印刷テープ403が、装置側テープ排出口11に向けて送られると共に、第2繰出しコア206から繰り出された第2インクリボン205が、第2巻取りコア207に巻き取られる。
【0063】
また、送りモーターが戻し方向に回転すると、第2プラテンローラー203が戻し方向に回転すると共に、第2繰出しコア206が巻戻し方向に回転する。これにより、第2印刷テープ403が、カートリッジ側テープ排出口261から排出された第2印刷テープ403が第2カートリッジケース内に引き戻されると共に、第2繰出しコア206から繰り出された第2インクリボン205が、第2繰出しコア206に巻き戻される。このように、第2繰出しコア206に挿通する第2繰出し軸45と、第2巻取りコア207に挿通する第2巻取り軸47とは、第2インクリボン205を送る第2インクリボン搬送機構を構成している。
【0064】
テープ印刷装置1は、送りモーターを正方向に回転させると共に、印刷ヘッド55を発熱させることにより、第2印刷テープ403および第2インクリボン205を送りつつ、キーボード等から入力された印刷情報を第2印刷テープ403に印刷する。印刷終了後、テープ印刷装置1は、カッター17を切断動作させ、第2印刷テープ403の印刷済み部分を切り離す。その後、テープ印刷装置1は、送りモーターを戻し方向に回転させることにより、第2印刷テープ403の先端が、印刷ヘッド55と第2プラテンローラー203との挟持位置の近傍にくるまで、第2印刷テープ403を引き戻す。これにより、次に印刷される第2印刷テープ403の長さ方向前方に生じる余白を、短くすることができる。
【0065】
ここで、第2送り部分79において第2プラテンローラー203が第2印刷テープ403に付与する力を、第2送り力Fcという。第2送り力Fcの方向、すなわち、装置側テープ排出口11に向けて第2印刷テープ403が送られる際に、第2送り部分79において第2印刷テープ403が送られる方向、を第2送り方向という。第2送り方向は、印刷ヘッド55が第2プラテンローラー203との間で第2印刷テープ403を挟む方向と直交する。また、第2送り力Fcの反力として、リボンカートリッジ201に作用する力を、第2送り反力Fdという。第2印刷テープ403の送り速度が加速する際には、第2送り反力Fdが増加する。一方、第2印刷テープ403の送り速度が減速する際には、第2印刷テープ403の張力が無くなるため、第2送り反力Fdも無くなる。
【0066】
装着方向手前側から見て、第2回路基板327が基板接続部67の接触端子部83から受ける力の方向、すなわち-X方向に対して、第2送り方向が為す角度を、第2送り角度θcという。なお、装着方向手前側から見て、第2回路基板327が接触端子部83から受ける力の方向に対して、第2送り部分79での第2テープ経路257の方向、が為す角度を、第2経路角度θdという。第2経路角度θdは、第2送り角度θcと略等しい。
【0067】
第2送り角度θcおよび第2経路角度θdは、45°未満であることが好ましく、本実施形態では、25°以上30°以下に設計されている。第2送り角度θcおよび第2経路角度θdが、45°未満であることで、上記の第2送り反力Fdのベクトル成分のうち、X方向のベクトル成分Fdx、すなわち第2回路基板327を接触端子部83へ押し付ける方向のベクトル成分が、Y方向のベクトル成分Fdy、すなわち第2回路基板327を接触端子部83に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分より大きくなる。これにより、第2回路基板327が接触端子部83に対してY方向に位置ずれすることを抑制することができる。第2送り角度θcは、第2印刷テープ403の第2プラテンローラー203への進入角度に置き換えることもできる。第2経路角度θdは、第2テープ経路257を構成するリボン側経路側壁部263とテープ保持機構側経路側壁部265のいずれかを基準にしてもよい。あるいは、第2テープ経路257の中心を基準にしてもよい。また、第2テープ経路257は、カートリッジ側テープ導入口259を広くしているが、カートリッジ側テープ導入口259から第2プラテンローラー203まで順次経路が狭くなるように構成してもよい。
【0068】
図10に示すように、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態において、テープ印刷装置1が印刷処理を行うとき、第2印刷テープ403は、装置側テープ導入口9から第2テープ経路257を経て、装置側テープ排出口11より排出される。すなわち、第2印刷テープ403は、テープ印刷装置1が印刷処理を行うとき、装着方向手前側から見て、+X側から-X側へ搬送される。一方、第2回路基板327、ひいては、リボンカートリッジ201が接触端子部83から受ける力の方向は、装着方向手前側から見て、+X側から-X側へ向かう方向である。換言すると、第2印刷テープ403の搬送方向と、リボンカートリッジ201が接触端子部83から受ける力の方向とは、同方向となる。
【0069】
[基板接続部]
図11ないし
図13に基づいて、基板接続部67について説明する。基板接続部67は、接続基板81と、複数の接触端子部83と、端子カバー84とを備えている。複数の接触端子部83は、Y方向に1列に並ぶように、配列されている。接触端子部83は、折り返して略「U」字状に湾曲した形状を有する金属製の弾性部材であり、一方の端部が接続基板81に接続され、他方の端部には、-Y側から見て-X側が鋭角となった略直角三角形状に形成された接触先端部85が設けられている。接触端子部83は、外力を受けていないときには、端子カバー84に設けられたスリット状の端子開口(図示省略)から-X側に突出しており、外力を受けることによって、+X方向に弾性変位する。このため、接触端子部83は、その弾性変位に伴う押圧力により、第1回路基板165や第2回路基板327を-X側に押圧する。接触端子部83が第1回路基板165や第2回路基板327を押す位置、すなわち接触先端部85の位置は、装着方向において、係合凸部51と一部が重なっていてもよい。
【0070】
接触端子部83は、
図12に示すように、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、装着方向において、第1回路基板165が設けられた第1奥側ケース139と重なる位置に設けられている。また、接触端子部83は、
図13に示すように、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、装着方向において、第2回路基板327が設けられた第2奥側ケース237と重なる位置に設けられている。このため、接触端子部83は、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、第1回路基板165に設けられた第1電極部169(
図19参照)と接触し、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態では、第2回路基板327に設けられた第2電極部330と接触する。このとき、接触端子部83は、第1電極部169または第2電極部330と接触することにより、+X方向に弾性変位する。
図12は、装着方向において、接触端子部83が、第1回路基板165と重なる位置に配設されていることを強調する図としている。したがって、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201が、部品コストの高い基板接続部67を共用することができ、テープ印刷装置1のコストダウンを図ることができる。
【0071】
[第2回路基板]
図14および
図15に基づいて、第2回路基板327について説明する。なお、第1回路基板165は、第2回路基板327と同様に構成されているため、その説明を省略する。第2回路基板327の外面となる+X側の面すなわち第1面329には、第2電極部330が設けられている。第2電極部330には、複数の第2電極331が含まれる。複数の第2電極331は、Y方向に1列に並ぶように、配列されている。このため、複数の第2電極331が複数列に分かれて配列された構成とは異なり、接触端子部83の押圧力が複数列間でばらつくことがないため、第2電極331と接触端子部83との電気的な接触の安定性を確保することができる。
【0072】
複数の第2電極331には、VCC電極331aと、A2電極331bと、GND電極331cと、SCL電極331dと、SDA電極331eとが含まれる。VCC電極331aは、電源電圧用の電極である。A2電極331bは、スレーブアドレス設定用の電極である。GND電極331cは、基準電圧用の電極である。SCL電極331dは、シリアルクロック入力用の電極である。SDA電極331eは、シリアルデータ入出力用の電極である。複数の第2電極331の中央に配置されたGND電極331cは、他の第2電極331に比べ、装着方向奥側に延伸している。これに対し、上記した複数の接触端子部83は、装着方向において同じ位置に並んでいる。このため、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際には、複数の第2電極331のなかでGND電極331cが最初に接触端子部83と接触する。また、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7から取り外される際には、複数の第2電極331のなかでGND電極331cが最後に接触端子部83から離れる。このため、後述する第2電気素子335の動作安定性を向上させることができる。なお、複数の第2電極331の個数やその並び順は、特に限定されるものではなく、後述する第2電気素子335の仕様や、第2回路基板327の設計方法に合わせて変更可能である。
【0073】
第2回路基板327の第1面329とは反対側の面である第2面333には、第2電気素子335が実装されている。第2電気素子335は、第2面333の装着方向において、中央よりも装着方向手前側に実装されている。第2電気素子335が第2回路基板327の内面となる第2面333に実装されていることで、リボンカートリッジ201が床等に落下した場合に、第2電気素子335が床等に当たることが抑制され、機械強度の弱い第2電気素子335が破損することを抑制することができる。なお、第2電気素子335は、第2回路基板327の第2面333ではなく、第1面329に実装されてもよく、例えば、第2電極部330の装着方向手前側に実装可能である。また、第2電極部330と電気的に接続された第2電気素子335が、第2回路基板327とは別に、リボン側第4周壁部223或いはリボン側第5周壁部225に設けられてもよい。
【0074】
第2電気素子335は、メモリー素子であり、第2電気素子335には、例えば、第2インクリボン205の幅、第2繰出しコア206に巻回されている第2インクリボン205の残量などの情報が記憶される。第2電気素子335の実装形態としては、例えばICパッケージやICチップを用いることができる。ICチップを用いる場合、第2回路基板327に実装したICチップを樹脂でコーティングすることが好ましい。これにより、実装高さを低くできる上、コーティング樹脂で実装部分が固定されるため、耐衝撃性を向上させることができる。
【0075】
[第2基板取付部]
図16および
図17に基づいて、リボンカートリッジ201において第2回路基板327が取り付けられる第2基板取付部337について説明する。なお、テープカートリッジ101において第1回路基板165が取り付けられる第1基板取付部167は、第2基板取付部337と同様に構成されているため、その説明を省略する。第2基板取付部337は、周壁取付部339と、突出取付部341とを備えている。
【0076】
周壁取付部339は、テープ保持部奥側周壁部251のうちリボン側第5周壁部225の一部を切り欠くようにして形成されている。周壁取付部339は、第2回路基板327に対し、-Y側に位置する第1周壁取付壁部343と、+Y側に位置する第2周壁取付壁部345と、+X側に位置する第3周壁取付壁部347および第4周壁取付壁部349とを備えている。
【0077】
第1周壁取付壁部343と第2周壁取付壁部345との間隔は、装着方向奥側ほど狭くなっており、装着方向奥側の端部では、第2回路基板327の幅すなわちY方向の寸法と略等しい。このため、第2回路基板327は、Y方向に位置決めされた状態で、第2基板取付部337に取り付けられる。
【0078】
第3周壁取付壁部347は、第1周壁取付壁部343の+X側の端部から、+Y側に突出している。第3周壁取付壁部347の-X側の面は、第2奥壁部247に垂直な面に対し、装着方向奥側が-X側となるように傾斜した第3周壁傾斜面351となっている。第4周壁取付壁部349は、第2周壁取付壁部345の+X側の端部から、-Y側に突出している。第4周壁取付壁部349の-X側の面は、第2奥壁部247に垂直な面に対し、装着方向奥側が-X側となるように傾斜した第4周壁傾斜面353となっている。
【0079】
突出取付部341は、周壁取付部339の-X側に位置して、第2奥壁部247から装着方向手前側に突出している。突出取付部341は、装着方向手前側から見て、Y方向に長い略長方形の環状に形成されており、その穴形状部分が上記の第2凸部受入部297となる。突出取付部341は、第2凸部受入部297に対し、-Y側に位置する第1突出取付壁部355と、+Y側に位置する第2突出取付壁部357と、+X側に位置する第3突出取付壁部359と、-X側に位置する第4突出取付壁部361とを備えている。第1突出取付壁部355の装着方向手前側への突出量と、第2突出取付壁部357の装着方向手前側への突出量とは、略等しい。第1突出取付壁部355および第2突出取付壁部357は、第3突出取付壁部359に比べて、装着方向手前側への突出量が大きく、第3突出取付壁部359は、第4突出取付壁部361に比べて、装着方向手前側への突出量が大きい。
【0080】
第1突出取付壁部355は、装着方向手前側から見て、X方向に長い略長方形状に形成されている。第1突出取付壁部355の+Y側の面には、第3突出取付壁部359の-Y側の端部に繋がる第1段部363が設けられている。第1突出取付壁部355の+X側の面は、第2奥壁部247に垂直な面に対し、装着方向奥側が-X側となるように傾斜した第1突出傾斜面365となっている。第2突出取付壁部357は、装着方向手前側から見て、X方向に長い略長方形状に形成されている。第2突出取付壁部357の-Y側の面には、第3突出取付壁部359の+Y側の端部に繋がる第2段部367が設けられている。第2突出取付壁部357の+X側の面は、第2奥壁部247に垂直な面に対し、装着方向奥側が-X側となるように傾斜した第2突出傾斜面369となっている。
【0081】
第3突出取付壁部359は、装着方向手前側から見て、Y方向に長い略長方形状に形成されている。第3突出取付壁部359は、第1突出取付壁部355の+X側の端部と第2突出取付壁部357の+X側の端部との間に設けられている。第3突出取付壁部359の+X側の面は、第2奥壁部247に垂直な面に対し、装着方向奥側が-X側となるように傾斜した第3突出傾斜面371となっている。第4突出取付壁部361は、装着方向手前側から見て、Y方向に長い略長方形状に形成されている。第4突出取付壁部361は、第1突出取付壁部355の-X側の端部と第2突出取付壁部357の-X側の端部との間に設けられている。
【0082】
なお、上記の第2電気素子335は、第3突出取付壁部359と干渉しない位置に設けられている(
図13参照)。このため、第2電気素子335が設けられた第2回路基板327の第2面333を、第3突出取付壁部359に接触させることができる。また、第2電気素子335は、接触端子部83により押される位置よりも、装着方向手前側に位置している。このため、接触端子部83の押圧力が第2電気素子335に直接作用することが抑制され、第2電気素子335に動作不良や電気的接触不良が発生することを抑制することができる。
【0083】
このように構成された第2基板取付部337に対し、第2回路基板327は、テープ保持部手前側ケース235と第2奥側ケース237とが組み合わされる前に、周壁取付部339と突出取付部341との間に、装着方向手前側から挿入される。その後、テープ保持部手前側ケース235と第2奥側ケース237とが組み合わされると、テープ保持部手前側周壁部245から装着方向奥側に突出した抜止め部375(
図7参照)により、第2回路基板327が装着方向手前側に抜止めされた状態となる。
【0084】
ここで、第1突出傾斜面365および第2突出傾斜面369は、第3突出傾斜面371に比べて、僅かに+X側に突出している。このため、第2回路基板327は、第3周壁傾斜面351および第4周壁傾斜面353と、第1突出傾斜面365および第2突出傾斜面369と、の間に圧入されるようにして、挿入される。これにより、第2回路基板327の第1面329のY方向両縁部は、第3周壁傾斜面351および第4周壁傾斜面353と接触する。換言すれば、第2回路基板327は、第1面329のY方向両縁部が第3周壁傾斜面351および第4周壁傾斜面353と接触するようにX方向に位置決めされた状態で、第2基板取付部337に取り付けられる。これにより、複数のリボンカートリッジ201間における、基板接続部67の接続基板81と第2回路基板327の第1面329との間の距離のばらつきを、低減することができる。
【0085】
また、上述したように、第3周壁傾斜面351、第4周壁傾斜面353、第1突出傾斜面365、第2突出傾斜面369および第3突出傾斜面371は、第2奥壁部247に垂直な面に対し、装着方向奥側が-X側となるように傾斜している。このため、第2回路基板327は、第1面329が、第2奥壁部247に垂直な面に対し、装着方向奥側が-X側となるように傾斜した姿勢で、第2基板取付部337に取付けられる。これにより、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7から取り外される際に、接触端子部83が第2回路基板327の第1面329に引っ掛かることが抑制され、接触端子部83が破損することを抑制することができる。なお、第2回路基板327の傾斜角度は、特に限定されないが、例えば4°である。
【0086】
また、第2基板取付部337は、第2奥側ケース237に設けられている。すなわち、第2基板取付部337に取り付けられた第2回路基板327の第2電極部330は、リボン側第5周壁部225のうち、装着方向奥側に寄った位置に設けられている。リボンカートリッジ201は、装着底面37に片持ち支持されたプラテン軸39やヘッド部49などにより位置決めされているため、装着方向奥側ほどがたつきが少ない。このため、第2電極部330が装着方向奥側に寄った位置に設けられることで、接触端子部83に対する第2電極部330の位置ずれ量を低減することができる。
【0087】
[第2凸部受入部]
図13、
図16および
図17に基づいて、第2凸部受入部297について説明する。なお、第1凸部受入部159は、第2凸部受入部297と同様に構成されているため、その説明を省略する。第2凸部受入部297は、装着方向手前側から見て、係合凸部51の形状に対応する開口形状、すなわちY方向に長い略長方形状を有している。このため、係合凸部51に対して第2凸部受入部297が位置決めされた状態で、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される。なお、装着方向手前側から見た第2凸部受入部297の形状は、略長方形に限定されるものではなく、係合凸部51を受け入れ可能な形状であればよい。第2凸部受入部297の装着方向奥側の周縁部には、受入面取り部373(
図8参照)が形成されている。この受入面取り部373により、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される際に、係合凸部51が第2凸部受入部297にスムーズに挿入される。
【0088】
第1突出取付壁部355と第2突出取付壁部357との間隔は、係合凸部51を受け入れ可能な程度に、係合凸部51のY方向の寸法と略等しい。このため、係合凸部51に対して第2凸部受入部297がY方向に位置決めされた状態で、係合凸部51が第2凸部受入部297に受け入れられる。一方、第3突出取付壁部359と第4突出取付壁部361との間隔は、係合凸部51のX方向の寸法よりも大きい。係合凸部51が第2凸部受入部297に受け入れられた状態では、後述するように、第3突出取付壁部359が、接触端子部83の押圧力により-X側に押されることで、係合凸部51と接触する。これにより、係合凸部51に対して第3突出取付壁部359がX方向に位置決めされる。
【0089】
リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着される途中では、リボンカートリッジ201の装着方向奥側への移動に伴って、第2回路基板327の第1面329が、カートリッジ装着部7に設けられた基板接続部67の接触端子部83と擦れ合いながら、接触端子部83をその押圧力に抗して+X側に変位させる。
【0090】
そして、リボンカートリッジ201が装着底面37に突き当たり、リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着されると、第2回路基板327の第2電極部330が接触端子部83と接触し、第2回路基板327が接触端子部83の押圧力により-X側に押された状態となる。また、このとき、係合凸部51が、第2凸部受入部297に受け入れられた状態となる。この状態では、第2回路基板327が、接触端子部83の押圧力により-X側すなわち第3突出取付壁部359側に押され、第3突出取付壁部359と接触する。さらに、第3突出取付壁部359が、接触端子部83の押圧力により第2回路基板327を介して-X側すなわち係合凸部51側に押され、係合凸部51と接触する。これにより、接触端子部83の押圧力が、第2回路基板327および第3突出取付壁部359を介して、係合凸部51によって受け止められる。上述したように、接触端子部83が第2回路基板327を押す位置は、装着方向において、係合凸部51と重なっているため、係合凸部51が接触端子部83の押圧力を効果的に受け止めることができる。
【0091】
このように、第2凸部受入部297が係合凸部51を受け入れることで、係合凸部51が接触端子部83の押圧力に対する受けとして機能する。これにより、接触端子部83の押圧力を受けた第2回路基板327が、撓み変形することを抑制することができる。また、接触端子部83の押圧力が係合凸部51によって受け止められることで、第2カートリッジケース211が接触端子部83の押圧力を受けて回転することが抑制され、第2カートリッジケース211が装着底面37に対して傾くことが抑制される。これにより、第2カートリッジケース211に収容された第2繰出しコア206および第2巻取りコア207が、第2繰出し軸45および第2巻取り軸47に対して傾くことが抑制される。したがって、第2インクリボン205が第2繰出しコア206から第2巻取りコア207へ送られる際に、第2インクリボン205にシワが生じることを抑制することができる。同様に、第2インクリボン205が第2巻取りコア207から第2繰出しコア206へ巻き戻される際に、第2インクリボン205にシワが生じることを抑制することができる。
【0092】
さらに、接触端子部83により-X側に押された第3突出取付壁部359が係合凸部51と接触することで、係合凸部51に対して第3突出取付壁部359がX方向に位置決めされ、これにより第2回路基板327が接触端子部83に対してX方向に位置決めされる。このため、複数のリボンカートリッジ201間における、基板接続部67の接続基板81と第2回路基板327の第1面329との間の距離のばらつきを、低減することができる。これにより、接触端子部83の変位量を少なくすることができるため、接触端子部83が第2回路基板327を押す力を低減することができ、また、リボンカートリッジ201の着脱操作に対する接触端子部83の耐久性を向上させることができる。
【0093】
[テープカートリッジ]
図18ないし
図20に基づいて、テープカートリッジ101について説明する。テープカートリッジ101は、テープコア107と、第1プラテンローラー109と、第1繰出しコア111と、第1巻取りコア113と、これらを回転可能に収容した第1カートリッジケース115とを備えている。テープコア107、第1プラテンローラー109、第1繰出しコア111および第1巻取りコア113は、装着方向手前側から見て、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられた挿入凸部53、プラテン軸39、第1繰出し軸41および第1巻取り軸43に対応した位置に設けられている。第1プラテンローラー109には、装着方向に貫通した第1プラテン軸挿通孔117が設けられている。
【0094】
テープコア107には、第1印刷テープ103が巻回されている。テープコア107から繰り出された第1印刷テープ103は、後述するテープ側第1周壁部123に設けられたテープ送出口119から、第1カートリッジケース115外へ送り出される。なお、テープ送出口119は、テープ排出口の一例である。第1カートリッジケース115内には、テープコア107からテープ送出口119に至る第1テープ経路121が設けられている。第1繰出しコア111には、第1インクリボン105が巻回されている。第1繰出しコア111から繰り出された第1インクリボン105は、第1巻取りコア113に巻き取られる。なお、第1カートリッジケース115には、収容した第1印刷テープ103および第1インクリボン105の幅に応じて、厚さ、すなわち装着方向の寸法が異なる複数種のものがある。
【0095】
第1カートリッジケース115は、装着方向手前側から見て、長方形における長辺の両端部を、同方向、且つ直角に曲げた形状に形成されている。ここで、第1カートリッジケース115の周壁部のうち、-X側の周壁部を、テープ側第1周壁部123という。テープ側第1周壁部123の-Y側の端部から+X側に延びる周壁部を、テープ側第2周壁部125という。テープ側第2周壁部125の+X側の端部から+Y側に延びる周壁部を、-Y側から順に、テープ側第3周壁部127、テープ側第4周壁部129およびテープ側第5周壁部131という。テープ側第4周壁部129は、テープ側第3周壁部127およびテープ側第5周壁部131に対して凹状に形成されている。テープ側第5周壁部131の+Y側の端部から-X側に延びる周壁部を、テープ側第6周壁部133という。テープ側第6周壁部133の-X側の端部は、テープ側第1周壁部123の+Y側の端部と繋がっている。
【0096】
第1カートリッジケース115には、第1ヘッド挿通孔135が、装着方向に貫通して設けられている。第1ヘッド挿通孔135は、装着方向手前側から見て、テープ側第1周壁部123とテープ側第2周壁部125とが交わる隅部に位置している。第1ヘッド挿通孔135は、装着方向手前側から見て、ヘッドカバー56に対応した形状、すなわち略長方形状に形成されている。第1ヘッド挿通孔135および上記の第1プラテン軸挿通孔117は、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に着脱される際に、テープカートリッジ101を位置決めし、テープカートリッジ101の着脱をガイドする。
【0097】
第1カートリッジケース115は、第1手前側ケース137と、第1奥側ケース139とを備えている。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着される際には、第1手前側ケース137が装着方向手前側となり、第1奥側ケース139が装着方向奥側となる。第1手前側ケース137は、透光性を有する樹脂の成形品であり、第1奥側ケース139は、透光性を有しない樹脂の成形品であるが、第1手前側ケース137および第1奥側ケース139の材質や製法は、これに限定されるものではない。
【0098】
第1手前側ケース137は、第1手前壁部141と、第1手前壁部141の周縁部から装着方向奥側に突出した第1手前側周壁部143とを備えている。第1奥側ケース139は、第1奥壁部145と、第1奥壁部145の周縁部から装着方向手前側に突出した第1奥側周壁部147とを備えている。第1手前側ケース137と第1奥側ケース139とは、第1手前側周壁部143と第1奥側周壁部147とを突き合わせるようにして組み合わされる。
【0099】
第1手前壁部141には、テープ側第2周壁部125とテープ側第3周壁部127とが交わる隅部に位置して、弾性部149が設けられている。弾性部149は、装着方向手前側から見て、第1手前壁部141を「U」字状に除去した略長方形部分として形成されている。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態で、装着部カバー5が閉められると、装着部カバー5に設けられた第2押え突起20が弾性部149に突き当たり、弾性部149が装着方向奥側に変位する。弾性部149の弾性変位に伴う押圧力は、第2押え突起20に受けられ、その結果、テープカートリッジ101が装着方向奥側に押圧される。これにより、テープカートリッジ101が装着底面37から浮き上がった状態で装着されることが抑制される。
【0100】
第1奥壁部145には、第1ヘッド周縁凸部151が、第1ヘッド挿通孔135の周縁部から装着方向手前側に向け突出して設けられている。第1ヘッド周縁凸部151は、+Y側すなわち第1プラテンローラー109側の一部が切り欠かれており、その切り欠かれた箇所が、第1インクリボン105が露出する第1リボン露出部153となっている。ただし、第1リボン露出部153を示した
図19では、第1インクリボン105が図示省略されている。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、第1ヘッド挿通孔135に挿通した印刷ヘッド55が、第1インクリボン105および第1印刷テープ103を挟んで第1プラテンローラー109と対向する。
【0101】
第1奥壁部145には、第1筒状軸部155が、装着方向手前側に突出して設けられている。第1筒状軸部155は、略段付き円筒状に形成されており、テープコア107を回転可能に支持している。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープカートリッジ101に設けられた第1筒状軸部155に、カートリッジ装着部7に設けられた挿入凸部53が挿入される。
【0102】
また、第1奥壁部145の装着方向奥側の面には、複数の第1位置決め穴157が対角線上に設けられている。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープカートリッジ101に設けられた第1位置決め穴157が、カートリッジ装着部7に設けられた位置決めピン65と係合する。これにより、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に対して位置決めされる。
【0103】
さらに、第1奥壁部145には、テープ側第5周壁部131とテープ側第6周壁部133とが交わる隅部に位置して、第1凸部受入部159が設けられている。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープカートリッジ101に設けられた第1凸部受入部159が、カートリッジ装着部7に設けられた係合凸部51を受け入れる。
【0104】
第1奥側周壁部147のうち、テープ側第1周壁部123には、テープ側第1フック係合部161が設けられ、テープ側第4周壁部129には、テープ側第2フック係合部163が設けられている。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープカートリッジ101に設けられたテープ側第1フック係合部161およびテープ側第2フック係合部163が、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられた第1フック57および第2フック59と係合する。これにより、テープカートリッジ101が装着底面37から浮き上がった状態で装着されることが抑制される。また、第1奥側周壁部147のうち、テープ側第5周壁部131には、第1回路基板165が取り付けられている。すなわち、第1回路基板165は、テープ送出口119が設けられたテープ側第1周壁部123と略平行に設けられたテープ側第5周壁部131に取り付けられている。テープ側第5周壁部131には、第1回路基板165が取り付けられる第1基板取付部167が設けられている。
【0105】
テープ側第1周壁部123からは、第1把持部173が-X側に突出しており、
テープ側第4周壁部129からは、第2把持部175が突出している。第1把持部173および第2把持部175は、装着方向手前側から見て、第1カートリッジケース115全体においてY方向の略中間部に設けられている。第1把持部173および第2把持部175は、ユーザーがテープカートリッジ101を把持する際に手掛かりとなる。ここで、第1把持部173の装着方向手前側の面を、第6押え部177という。リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、装着部カバー5が閉められると、装着部カバー5に設けられた第6押え突起24(
図2参照)が、第6押え部177に突き当たる。これにより、第6押え部177が第6押え突起24により装着方向奥側に押さえられる。
【0106】
[テープカートリッジ装着時の印刷処理]
図21に基づいて、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態で、テープ印刷装置1が行う印刷処理について説明する。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープカートリッジ101に設けられた第1プラテンローラー109の第1プラテン軸挿通孔117、第1繰出しコア111および第1巻取りコア113に、それぞれ、カートリッジ装着部7に設けられたプラテン軸39、第1繰出し軸41および第1巻取り軸43が挿通する。これにより、テープ印刷装置1に設けられた送りモーター(図示省略)の駆動力が、第1プラテンローラー109、第1繰出しコア111および第1巻取りコア113に伝達可能となる。
【0107】
また、テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された状態では、テープカートリッジ101に設けられた第1ヘッド挿通孔135に、カートリッジ装着部7に設けられたヘッド部49が挿通する。テープカートリッジ101がカートリッジ装着部7に装着された後、装着部カバー5が閉められると、ヘッド移動機構(図示省略)により、印刷ヘッド55がプラテン軸39に向けて移動する。これにより、印刷ヘッド55と第1プラテンローラー109との間に、第1印刷テープ103および第1インクリボン105が挟持される。なお、第1プラテンローラー109が印刷ヘッド55との間で第1印刷テープ103および第1インクリボン105を挟持した部分を、第1送り部分77という。
【0108】
この状態で、送りモーターが正方向に回転すると、第1プラテンローラー109が正方向に回転すると共に、第1巻取りコア113が巻取り方向に回転する。これにより、テープコア107から繰り出された第1印刷テープ103が、テープ送出口119を通って装置側テープ排出口11に向けて送られると共に、第1繰出しコア111から繰り出された第1インクリボン105が、第1巻取りコア113に巻き取られる。
【0109】
また、送りモーターが正方向とは逆の戻し方向に回転すると、第1プラテンローラー109が正方向とは逆の戻し方向に回転すると共に、第1繰出しコア111が巻戻し方向に回転する。これにより、テープ送出口119から排出された第1印刷テープ103が第1カートリッジケース内に引き戻されると共に、第1繰出しコア111から繰り出された第1インクリボン105が、第1繰出しコア111に巻き戻される。このように、第1繰出しコア111に挿通する第1繰出し軸41と、第1巻取りコア113に挿通する第1巻取り軸43とは、第1インクリボン105を送る第1インクリボン搬送機構を構成している。
【0110】
テープ印刷装置1は、送りモーターを正方向に回転させると共に、印刷ヘッド55を発熱させることにより、第1印刷テープ103および第1インクリボン105を送りつつ、キーボード等から入力された印刷情報を第1印刷テープ103に印刷する。印刷終了後、テープ印刷装置1は、カッター17を切断動作させ、第1印刷テープ103の印刷済み部分を切り離す。その後、テープ印刷装置1は、送りモーターを戻し方向に回転させることにより、第1印刷テープ103の先端が、印刷ヘッド55と第1プラテンローラー109との挟持位置の近傍、すなわち、印刷位置の近傍にくるまで、第1印刷テープ103を引き戻す。これにより、印刷ヘッド55とカッター17とが離隔していることに起因して、次に印刷される第1印刷テープ103の長さ方向前方に生じる余白を、短くすることができる。
【0111】
ここで、第1送り部分77において第1プラテンローラー109が第1印刷テープ103に付与する力を、第1送り力Faという。第1送り力Faの方向、すなわち、装置側テープ排出口11に向けて第1印刷テープ103が送られる際に、第1送り部分77において第1印刷テープ103が送られる方向、を第1送り方向という。第1送り方向は、印刷ヘッド55が第1プラテンローラー109との間で第1印刷テープ103を挟む方向と直交する。また、第1送り力Faの反力として、テープカートリッジ101に作用する力を、第1送り反力Fbという。第1印刷テープ103の送り速度が加速する際には、第1送り反力Fbが増加する。一方、第1印刷テープ103の送り速度が減速する際には、第1印刷テープ103の張力が無くなるため、第1送り反力Fbも無くなる。
【0112】
装着方向手前側から見て、第1回路基板165が基板接続部67の接触端子部83(
図11参照)から受ける力の方向、すなわち-X方向に対して、第1送り方向が為す角度を、第1送り角度θaという。なお、装着方向手前側から見て、第1回路基板165が接触端子部83から受ける力の方向に対して、第1送り部分77での第1テープ経路121の方向、が為す角度を、第1経路角度θbという。第1経路角度θbは、第1送り角度θaと略等しい。
【0113】
第1送り角度θaおよび第1経路角度θbは、45°未満であることが好ましい。第1送り角度θaおよび第1経路角度θbが、45°未満であることで、上記の第1送り反力Fbのベクトル成分のうち、X方向のベクトル成分Fbx、すなわち第1回路基板165を接触端子部83へ押し付ける方向のベクトル成分が、Y方向のベクトル成分Fby、すなわち第1回路基板165を接触端子部83に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分より大きくなる。これにより、第1回路基板165が接触端子部83に対してY方向に位置ずれすることを抑制することができる。第1送り角度θaは、第1印刷テープ103の第1プラテンローラー109への進入角度に置き換えることもできる。進入角度は、第1印刷テープ103の未使用の段階では、テープコア107に巻回される第1印刷テープ103は大径である。第1印刷テープ103の使用に連れ、テープコア107に巻回される第1印刷テープ103は小径に変化する。そのため、進入角度は、第1印刷テープ103の使用により、角度が大きくなるよう変化する。進入角度は、変化しても45°未満に設定されている。しかし、テープコア107を小径にした場合、第1印刷テープ103の終わりの方では、45°を超える場合があるが、それまでは、45°未満なので、本発明を含むものである。
【0114】
[その他の変形例]
テープ印刷装置1、テープカートリッジ101およびリボンカートリッジ201は、上記の実施形態に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。
【0115】
テープカートリッジ101は、第1回路基板165を備えていない構成でもよい。同様に、リボンカートリッジ201は、第2回路基板327を備えていない構成でもよい。
【0116】
リボンカートリッジ201は、インクリボン収容部253とテープ保持機構収容部255とが一体に形成された構成に限定されず、インクリボン収容部253とテープ保持機構収容部255とに分離可能な構成でもよい。また、
図22に示すように、カートリッジ装着部7に対し、リボンカートリッジ201に代えて、インクリボン収容カートリッジ501とテープガイドカートリッジ503とが装着される構成でもよい。インクリボン収容カートリッジ501は、リボンカートリッジ201のインクリボン収容部253と略同様に構成されており、テープガイドカートリッジ503は、リボンカートリッジ201のテープ保持機構収容部255と略同様に構成されている。
【0117】
図22ないし
図24に示すように、テープガイドカートリッジ503は、第3プラテンローラー505と、テープ挟持部507と、第3カートリッジケース509とを備えている。第3プラテンローラー505は、第2プラテンローラー203と同様に、印刷ヘッド55との間に第2印刷テープ403を挟持し、第2印刷テープ403を送る。テープ挟持部507は、第3カートリッジケース509の周壁部との間に第2印刷テープ403を挟持する。テープガイドカートリッジ503は、テープ挟持部507により第2印刷テープ403を保持した状態で、カートリッジ装着部7に装着される。
【0118】
第3カートリッジケース509には、テープガイド511と、第3基板取付部513と、第3凸部受入部515と、第4周壁凹部517とが設けられている。テープガイド511は、装置側テープ導入口9から導入された第2印刷テープ403をガイドする。テープガイド511と第3カートリッジケース509の周壁部との間は、第2印刷テープ403が送られる第3テープ経路512となっている。第3基板取付部513は、第1基板取付部167や第2基板取付部337と同様に構成されており、第3基板取付部513には、第1回路基板165や第2回路基板327と同様に構成された第3回路基板519が取り付けられている。テープガイドカートリッジ503がカートリッジ装着部7に装着されると、接触端子部83が第3回路基板519の第3電極部521に接触する。第3凸部受入部515は、第1凸部受入部159や第2凸部受入部297と同様に、係合凸部51を受け入れる。第4周壁凹部517は、リボンカートリッジ201に設けられた第4周壁凹部272と同様に構成されている。すなわち、第4周壁凹部517の装着方向手前側の面は、装着部カバー5が閉じられた際に第4押え突起22により押さえられる第4押え部523となっている。
【0119】
図22に示すように、第3送り角度θeおよび第3経路角度θfは、45°未満であることが好ましい。なお、第3送り角度θeは、第1送り角度θaや第2送り角度θcと同様に定義され、第3経路角度θfは、第1経路角度θbや第2経路角度θdと同様に定義される。
【0120】
リボンカートリッジ201がカートリッジ装着部7に装着された状態で、第2回路基板327と係合凸部51との間に、第3突出取付壁部359が設けられた構成に限定されず、第2回路基板327と係合凸部51とが直接接触した構成でもよい。
【0121】
カートリッジは、本実施形態のテープカートリッジ101やリボンカートリッジ201のように、印刷テープやインクリボンを収容した構成に限定されず、テープ印刷装置1に装着可能な構成であればよい。
【0122】
テープカートリッジ101は、テープコア107を以下の配置にすることで、テープに対する送り力の反力である送り反力のベクトル成分のうち、第2電極部330をテープ印刷装置1の接触端子部83へ押し付ける方向のベクトル成分が、第2電極部330を接触端子部83に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分より大きくなり、第2電極部330が接触端子部83に対して位置ずれすることを抑制することができる。
第1回路基板165の電極部は、
図14と同様に、複数の電極が配列されている。これら電極のうち、テープ側第6周壁部133に最も近い電極と、第1プラテンローラー109の中心軸を結ぶ仮想線171を形成する。テープ側第6周壁部133に最も近い電極のテープ側第6周壁部133側の端を結んで良い。
テープコア107の外形の一部は、この仮想線171よりもテープ側第5周壁部131側に位置することで、前述の効果を達成することができる。
また、上記した実施形態や変形例を、それぞれ組み合わせた構成でもよい。
【0123】
[付記]
以下、カートリッジについて付記する。
カートリッジを装着するためのカートリッジ装着部と、カートリッジ装着部に設けられ、カートリッジがカートリッジ装着部に装着された際、カートリッジの周壁部に設けられた電極部に接触し、弾性変位可能な接触端子部と、を備えたテープ印刷装置に装着されるカートリッジであって、カートリッジは、印刷テープを排出するテープ排出口が設けられたカートリッジケースと、テープ排出口に向けて印刷テープが送られるテープ経路と、印刷テープに送り力を与える送り部と、電極部と、を備え、カートリッジの装着方向手前側から見て、電極部が接触端子部から受ける力の方向に対して、テープ排出口に向けて印刷テープが送られる際に送り部により印刷テープに送り力が与えられる部分において印刷テープが送られる方向、が為す角度である送り角度が、45°未満である。
【0124】
この構成によれば、印刷テープに対する送り力の反力である送り反力のベクトル成分のうち、電極部を接触端子部へ押し付ける方向のベクトル成分が、電極部を接触端子部に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分より大きくなる。これにより、電極部が接触端子部に対して位置ずれすることを抑制することができる。なお、ここでの電極部は、複数の電極を含む。また、接触端子部は、複数の電極に対応した、複数の接触端子部を含む。すなわち、ここでのベクトル成分は、複数の接触端子部による合成ベクトルを含む。
【0125】
この場合、カートリッジケースには、外部から印刷テープが導入されるテープ導入口が設けられていることが好ましい。
【0126】
この構成によれば、巻き径の大きなテープロールを使用することが可能となる。
【0127】
この場合、カートリッジは、印刷テープに印刷するためのインクリボンを収容するインクリボン収容部を備え、テープ導入口は、インクリボン収容部と電極部との間に設けられていることが好ましい。
【0128】
この場合、カートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、印刷テープの送り速度が加速する際、電極部を接触端子部に押し付ける方向のベクトル成分が増加することが好ましい。
【0129】
この構成によれば、印刷テープの送り速度が加速する際に、電極部が接触端子部に対して位置ずれすることを抑制することができる。
【0130】
カートリッジを装着するためのカートリッジ装着部と、カートリッジ装着部に設けられ、カートリッジがカートリッジ装着部に装着された際、カートリッジの周壁部に設けられた電極部に接触し、弾性変位可能な接触端子部と、を備えたテープ印刷装置に装着されるカートリッジであって、カートリッジは、第1周壁部と、カートリッジの装着方向から見て、第1周壁部に対して内角が180°を超えて屈曲した第2周壁部と、を有し、電極部は、第1周壁部または第2周壁部に設けられている。
【0131】
この構成によれば、カートリッジが床等に落下した場合に、L字状に形成されたカートリッジ周壁部全体により、電極部が床等に当たることが抑制され、機械強度の弱い電極部が破損することを抑制することができる。また、凸凹の大きな床に落下したときでも、カートリッジ周壁部の形状そのもので保護するため、周壁部から更に突出する張出部を設けることなく、電極部が破損することを抑制することができる。
【0132】
この場合、電極部が第1面に設けられた基板を備え、基板の第1面とは反対側の第2面には、電気素子が設けられていることが好ましい。
【0133】
この構成によれば、カートリッジが床等に落下した場合に、電気素子が床等に当たることが抑制され、機械強度の弱い電気素子が破損することを抑制することができる。
【0134】
この場合、電極部と電気的に接続された電気素子が、第1周壁部または第2周壁部に設けられていることが好ましい。
【0135】
この構成によれば、カートリッジが床等に落下した場合に、電気素子が床等に当たることが抑制され、機械強度の弱い電気素子が破損することを抑制することができる。
【0136】
この場合、カートリッジ装着部に装着される際、カートリッジ装着部の底面から突出した位置決め部によりガイドされることが好ましい。
【0137】
この構成によれば、カートリッジを、カートリッジ装着部に対して位置決めされた状態で、スムーズに装着することができる。
【0138】
この場合、電極部は、複数の接触端子部と接触する複数の電極で構成され、複数の電極は、装着方向に垂直な方向に1列で配列されていることが好ましい。
【0139】
この構成によれば、複数の電極が複数列に分かれて配列された構成とは異なり、接触端子部の押圧力が複数列間でばらつくことがないため、電極と接触端子部との電気的な接触の安定性を確保することができる。
【0140】
この場合、電極部はGND電極を含み、GND電極は、他の電極より装着方向奥側に延伸していることが好ましい。
【0141】
この構成によれば、カートリッジがカートリッジ装着部に装着される際には、複数の電極のなかでGND電極が最初に接触端子部と接触する。また、カートリッジがカートリッジ装着部から取り外される際には、複数の電極のなかでGND電極が最後に接触端子部から離れる。このため、電気素子の動作安定性を向上させることができる。
【0142】
この場合、電極部は、カートリッジの周壁部のうち装着方向奥側の位置に設けられていることが好ましい。
【0143】
この構成によれば、カートリッジは、カートリッジ装着部の底面から片持ち梁状に突出した位置決め部により位置決めされているため、電極部が装着方向奥側の位置に設けられることで、接触端子部に対する電極部の位置ずれ量を低減することができる。また、剛性が高く変形し難い、片持ち梁状に突出した係合凸部51の固定端側が、接触端子部83からの押圧力を受けるようにすることができる。
【0144】
この場合、印刷テープを排出するテープ排出口が設けられたカートリッジケースと、テープ排出口に向けて印刷テープが送られるテープ経路と、印刷テープに送り力を与える送り部と、を有し、装着方向手前側から見て、電極部が接触端子部から受ける力の方向に対して、印刷テープに送り力を与える部分でのテープ経路の方向、が為す角度である経路角度が、45°未満であることが好ましい。
【0145】
この構成によれば、印刷テープに対する送り力の反力である送り反力のベクトル成分のうち、電極部を接触端子部へ押し付ける方向のベクトル成分が、電極部を接触端子部に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分より大きくなる。これにより、接触部が接触端子部に対して位置ずれすることを抑制することができる。
【0146】
この場合、カートリッジケースには、外部から印刷テープが導入されるテープ導入口が設けられていることが好ましい。
【0147】
この構成によれば、巻き径の大きなテープロールを使用することが可能となる。
【0148】
この場合、カートリッジは、印刷テープに印刷するためのインクリボンを収容するインクリボン収容部を有し、テープ導入口は、インクリボン収容部と電極部との間に設けられていることが好ましい。
【0149】
この場合、カートリッジがカートリッジ装着部に装着された状態で、印刷テープの送り速度が加速する際、印刷テープが送られていない状態に比べ、電極部を接触端子部に押し付ける方向のベクトル成分が増加することが好ましい。
【0150】
この構成によれば、印刷テープの送り速度が加速する際に、電極部が接触部に対して位置ずれすることを抑制することができる。
【0151】
この場合、送り部はプラテンローラーであり、印刷テープの送り方向とは、カートリッジがカートリッジ装着部に装着されて印刷テープが印刷される際、テープ印刷装置の印刷ヘッドがプラテンローラーとの間で印刷テープを挟む方向と直交する方向であることが好ましい。
【0152】
この構成によれば、印刷ヘッドがプラテンローラーとの間で印刷テープを挟む方向と直交する方向を送り方向として、印刷テープが送られる。
【0153】
カートリッジであって、角部を構成する第1周壁部と第2周壁部と、前記第1周壁部と前記第2周壁部とで構成する前記角部と対角をなす角部を構成する第5周壁部と第6周壁と、を有し、前記第1周壁部と前記第5周壁部とは対向し、前記第2周壁部と前記第6周壁部とは対向するカートリッジケースと、前記第1周壁部と前記第2周壁部との前記角部に配置されたヘッド挿通孔と、前記ヘッド挿通孔に対向するプラテンローラーと、前記第5周壁部に設けられた電極部を有する基板と、前記第1周壁部に設けられたテープ排出口と、前記カートリッジケースの前記ヘッド挿通孔より前記第6周壁部側で収納され、テープコアに巻回された印刷テープと、を備え、前記テープコアの外形の一部は、前記電極部の前記第6周壁部側と前記プラテンローラーの中心軸とを結ぶ線より、前記第5周壁部側に位置する。
【0154】
この構成によれば、カートリッジをテープ印刷装置に装着させた場合、テープに対する送り力の反力である送り反力のベクトル成分のうち、電極部をテープ印刷装置の接触端子部へ押し付ける方向のベクトル成分が、電極部を接触端子部に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分より大きくなる。これにより、電極部が接触端子部に対して位置ずれすることを抑制することができる。
【0155】
カートリッジであって、角部を構成する第1周壁部と第2周壁部と、前記第2周壁部の前記角部と反対側で繋がる第3周壁部と、前記第2周壁部と対向し、前記第3周壁部に繋がる第4周壁部と、前記第4周壁部に連接し段差をなす第5周壁部を介して前記第2周壁部と対向する第6周壁部と、を含むカートリッジケースと、前記第1周壁部と前記第2周壁部との前記角部に配置されたヘッド挿通孔と、前記ヘッド挿通孔に対向するプラテンローラーと、前記段差を形成する前記第5周壁部に設けられた電極部を有する基板と、前記第1周壁部に設けられたテープ排出口と、前記基板に対して前記第4周壁部側で、前記第5周壁部と前記第4周壁部の少なくともいずれかに設けられたテープ導入口と、を備える。
【0156】
この構成によれば、カートリッジをテープ印刷装置に装着させた場合、テープに対する送り力の反力である送り反力のベクトル成分のうち、電極部をテープ印刷装置の接触端子部へ押し付ける方向のベクトル成分が、電極部を接触端子部に対して位置ずれさせる方向のベクトル成分より大きくなる。これにより、電極部が接触端子部に対して位置ずれすることを抑制することができる。
また、カートリッジが床等に落下した場合に、電気素子が床等に当たることが抑制され、機械強度の弱い電気素子が破損することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0157】
1…テープ印刷装置、7…カートリッジ装着部、39…プラテン軸、56…ヘッドカバー、77…第1送り部分、79…第2送り部分、83…接触端子部、101…テープカートリッジ、103…第1印刷テープ、109…第1プラテンローラー、115…第1カートリッジケース、119…テープ送出口、121…第1テープ経路、131…テープ側第5周壁部、169…第1電極部、201…リボンカートリッジ、203…第2プラテンローラー、211…第2カートリッジケース、223…リボン側第4周壁部、225…リボン側第5周壁部、253…インクリボン収容部、257…第2テープ経路、259…カートリッジ側テープ導入口、261…カートリッジ側テープ排出口、327…第2回路基板、329…第1面、330…第2電極部、331…第2電極、331c…GND電極、333…第2面、335…第2電気素子、Fa…第1送り力、Fc…第2送り力、Fdx…ベクトル成分、θa…第1送り角度、θb…第1経路角度、θc…第2送り角度、θd…第2経路角度。