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特許7467717自転車に接近する車両の追越し操作を確実にするための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】自転車に接近する車両の追越し操作を確実にするための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/095 20120101AFI20240408BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20240408BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240408BHJP
   B60W 50/16 20200101ALI20240408BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B60W30/095
B60W30/10
B60W50/14
B60W50/16
B60W40/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023029128
(22)【出願日】2023-02-28
(62)【分割の表示】P 2021536148の分割
【原出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2023071812
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】102018214962.3
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルトナー,ダニエル
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-006007(JP,A)
【文献】特開2008-008870(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035199(WO,A1)
【文献】米国特許第09227632(US,B1)
【文献】特開2018-094943(JP,A)
【文献】特開2016-181260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車に接近する車両の安全な追越しを提供する方法であって、
前記自転車の予想経路に対して安全間隔をあけることができないときは、前記車両の将来のルートを自動的に変更するステップと、
前記変更されたルートが利用可能な通行空間の内側を通ることに基づいて、前記変更されたルートに前記車両を案内するステップと
を含み、
前記車両のセンサシステムのセンサ情報に基づいて前記車両の将来のルートが自動的に変更され、前記センサ情報に基づいて前記利用可能な通行空間が自動的に決定され、
前記センサ情報は、道路、方向車線、交通標識および他の道路利用者を識別するために処理され、
前記車両の将来のルートは、前記車両のナビゲーションシステムから読み込まれ、ならびに/または、前記車両の運転支援システムから読み込まれ、ならびに/または、ステアリングホイール位置、アクセルペダル位置、および/もしくはブレーキペダル位置を含む現在の運転者の入力から推定され、
前記センサ情報から、前記自転車の予想経路が、前記自転車の現在の速度および方向を使用して推定され、
前記変更されたルート上で、前記車両は前記自転車に対して最小限の安全間隔を維持し、対向交通がなく、追越し禁止でなく、利用可能な通行空間が前記変更されたルートについて十分に大きいとき、前記車両は反対方向車線に少なくとも部分的に弧を描いて案内される、方法において、
前記自転車に対する横方向の最小限の間隔をあけることができ、前記車両の速度が制限速度を超えないとき、道路規則によって許可されており且つ対向交通がない場合にのみセンターラインが超えられ、前記センターラインと前記自転車との間のスペースが十分でない場合、自動的な追越し操作が開始されず、
前記自転車が前記車両の右側にある場合、前記車両が前記変更されたルートにおいて追越しを開始する前に前記車両の左側の方向指示器が自動的に設定され、前記自転車が前記車両の左側にある場合、前記車両が前記変更されたルートにおいて追越しを開始する前に前記車両の右側の方向指示器が自動的に設定され、
実線のセンターラインが存在することにより前記車両が最大間隔をとって前記自転車の脇を通過して走行するとしても、将来のルートの中で前記自転車との安全間隔を保つことができず、かつ、十分な安全間隔で前記自転車の脇を通過する変更ルートは、実線のセンターラインを越えてしまうため、変更ルートの少なくとも一部が利用可能な通行空間の外側に位置する場合には、前記自転車は前方を走行する車両として分類され、追越し禁止が終了してさらに利用可能な通行空間が対向交通によって制限されなくなるまで、前記車両の速度は前記自転車の速度に合わせられ、
前記自転車に対する横方向の間隔が十分でない場合には、自動的な追越し操作が開始されず、前記車両の運転者は、ユーザインタフェースを介して、それでも追越しを行いたいかどうかを尋ねられ、
前記自転車に対する横方向の間隔が十分でなく、かつ、前記運転者からそれでも追越しを行いたい旨の返答がなされた場合には、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を解除する旨の警告が出され、
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)が解除されて追越しが手動で行われる場合、要求される間隔は運転操作による介入によって補正される、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記変更されたルートが前記利用可能な通行空間の外側を通ることに基づいて、前記車両の速度を変更するステップをさらに含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記変更された速度を使用して前記車両の将来のルートが再び決定され、前記方法が繰り返される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、現在の運転者の入力を使用して前記将来のルートが予測される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記運転者の入力が前記変更されたルートおよび/または変更された速度からずれているとき、反対の力によって前記運転者の入力が対抗される、方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法であって、前記運転者の入力が前記変更されたルートおよび/または変更された速度からずれているとき、警告が出力される、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、識別された交通標識を表す交通標識情報および/または識別された路面標識を表す路面標識情報を使用して、前記利用可能な通行空間が決定される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、識別された対向交通ルートを表す対向交通情報を使用して、前記利用可能な通行空間が決定される、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記追越しの前および前記追越し操作中に、前記車両の方向指示器を動作させるステップをさらに含む、方法。
【請求項10】
自転車に接近する車両の安全な追越しを提供する装置であって、
前記自転車の予想経路に対して安全間隔をあけることができないときは、前記車両の将来のルートを自動的に変更するステップと、
前記変更されたルートが利用可能な通行空間の内側を通ることに基づいて、前記変更されたルートに前記車両を案内するステップと
を実行するように構成されたデバイスを備え、
前記車両のセンサシステムのセンサ情報に基づいて前記車両の将来のルートが自動的に変更され、前記センサ情報に基づいて前記利用可能な通行空間が自動的に決定され、
前記センサ情報は、道路、方向車線、交通標識および他の道路利用者を識別するために処理され、
前記車両の将来のルートは、前記車両のナビゲーションシステムから読み込まれ、ならびに/または、前記車両の運転支援システムから読み込まれ、ならびに/または、ステアリングホイール位置、アクセルペダル位置、および/もしくはブレーキペダル位置を含む現在の運転者の入力から推定され、
前記センサ情報から、前記自転車の予想経路が、前記自転車の現在の速度および方向を使用して推定され、
前記変更されたルート上で、前記車両は前記自転車に対して最小限の安全間隔を維持し、対向交通がなく、追越し禁止でなく、利用可能な通行空間が前記変更されたルートについて十分に大きいとき、前記車両は反対方向車線に少なくとも部分的に弧を描いて案内される、装置において、
前記自転車に対する横方向の最小限の間隔をあけることができ、前記車両の速度が制限速度を超えないとき、道路規則によって許可されており且つ対向交通がない場合にのみセンターラインが超えられ、前記センターラインと前記自転車との間のスペースが十分でない場合、自動的な追越し操作が開始されず、
前記自転車が前記車両の右側にある場合、前記車両が前記変更されたルートにおいて追越しを開始する前に前記車両の左側の方向指示器が自動的に設定され、前記自転車が前記車両の左側にある場合、前記車両が前記変更されたルートにおいて追越しを開始する前に前記車両の右側の方向指示器が自動的に設定され、
実線のセンターラインが存在することにより前記車両が最大間隔をとって前記自転車の脇を通過して走行するとしても、将来のルートの中で前記自転車との安全間隔を保つことができず、かつ、十分な安全間隔で前記自転車の脇を通過する変更ルートは、実線のセンターラインを越えてしまうため、変更ルートの少なくとも一部が利用可能な通行空間の外側に位置する場合には、前記自転車は前方を走行する車両として分類され、追越し禁止が終了してさらに利用可能な通行空間が対向交通によって制限されなくなるまで、前記車両の速度は前記自転車の速度に合わせられ、
前記自転車に対する横方向の間隔が十分でない場合には、自動的な追越し操作が開始されず、前記車両の運転者は、ユーザインタフェースを介して、それでも追越しを行いたいかどうかを尋ねられ、
前記自転車に対する横方向の間隔が十分でなく、かつ、前記運転者からそれでも追越しを行いたい旨の返答がなされた場合には、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を解除する旨の警告が出され、
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)が解除されて追越しが手動で行われる場合、要求される間隔は運転操作による介入によって補正される、
装置。
【請求項11】
プロセッサにより実行することができ、自転車に接近する車両の安全な追越しを提供するコンピュータプログラムが格納される非一時的な機械可読記録媒体であって、前記コンピュータプログラムは、
前記自転車の予想経路に対して安全間隔をあけることができないときは、前記車両の将来のルートを自動的に変更するステップと、
前記変更されたルートが利用可能な通行空間の内側を通ることに基づいて、前記変更されたルートに前記車両を案内するステップと
を実行することによって、自転車に接近する車両の安全な追越しを提供するためのプログラムコードを含み、
前記車両のセンサシステムのセンサ情報に基づいて前記車両の将来のルートが自動的に変更され、前記センサ情報に基づいて前記利用可能な通行空間が自動的に決定され、
前記センサ情報は、道路、方向車線、交通標識および他の道路利用者を識別するために処理され、
前記車両の将来のルートは、前記車両のナビゲーションシステムから読み込まれ、ならびに/または、前記車両の運転支援システムから読み込まれ、ならびに/または、ステアリングホイール位置、アクセルペダル位置、および/もしくはブレーキペダル位置を含む現在の運転者の入力から推定され、
前記センサ情報から、前記自転車の予想経路が、前記自転車の現在の速度および方向を使用して推定され、
前記変更されたルート上で、前記車両は前記自転車に対して最小限の安全間隔を維持し、対向交通がなく、追越し禁止でなく、利用可能な通行空間が前記変更されたルートについて十分に大きいとき、前記車両は反対方向車線に少なくとも部分的に弧を描いて案内される、非一時的な機械可読記録媒体において、
前記自転車に対する横方向の最小限の間隔をあけることができ、前記車両の速度が制限速度を超えないとき、道路規則によって許可されており且つ対向交通がない場合にのみセンターラインが超えられ、前記センターラインと前記自転車との間のスペースが十分でない場合、自動的な追越し操作が開始されず、
前記自転車が前記車両の右側にある場合、前記車両が前記変更されたルートにおいて追越しを開始する前に前記車両の左側の方向指示器が自動的に設定され、前記自転車が前記車両の左側にある場合、前記車両が前記変更されたルートにおいて追越しを開始する前に前記車両の右側の方向指示器が自動的に設定され、
実線のセンターラインが存在することにより前記車両が最大間隔をとって前記自転車の脇を通過して走行するとしても、将来のルートの中で前記自転車との安全間隔を保つことができず、かつ、十分な安全間隔で前記自転車の脇を通過する変更ルートは、実線のセンターラインを越えてしまうため、変更ルートの少なくとも一部が利用可能な通行空間の外側に位置する場合には、前記自転車は前方を走行する車両として分類され、追越し禁止が終了してさらに利用可能な通行空間が対向交通によって制限されなくなるまで、前記車両の速度は前記自転車の速度に合わせられ、
前記自転車に対する横方向の間隔が十分でない場合には、自動的な追越し操作が開始されず、前記車両の運転者は、ユーザインタフェースを介して、それでも追越しを行いたいかどうかを尋ねられ、
前記自転車に対する横方向の間隔が十分でなく、かつ、前記運転者からそれでも追越しを行いたい旨の返答がなされた場合には、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を解除する旨の警告が出され、
アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)が解除されて追越しが手動で行われる場合、要求される間隔は運転操作による介入によって補正される、
非一時的な機械可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車に接近する車両の追越し操作を確実にするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には様々な支援システムを装備することができる。例えば、アダプティブ・クルーズ・コントロール・システムは、目標速度に適合された安全間隔が前方を走行する車両に対して守られる場合には、車両を設定目標速度に維持することができる。安全間隔をあけることができない場合、アダプティブ・クルーズ・コントロール・システムは、当該車両が前方車両の速度で走行するようになるまで速度を低減させ、当該低減した速度に適合した安全間隔をもって前方車両に追従させる。
【発明の概要】
【0003】
このような背景から、本明細書で提示されるアプローチでは、独立請求項に記載の、自転車に接近する車両の追越し操作を確実にする方法と、自転車に接近する車両の追越し操作を確実にするための装置と、最後に、これらに対応するコンピュータプログラム製品および機械読み取り可能な記録媒体を提示する。本明細書に提示されたアプローチの有利な構成および改良が説明から明らかであり、従属請求項に記載されている。
【0004】
本発明の実施形態は、有利には、自転車との縦方向の安全間隔に加えて、自転車との横方向の安全間隔を維持することを可能にすることができる。横方向の安全間隔は、狭められた通行空間においても維持することができる。
【0005】
自転車に接近する車両の追越し操作を確保する方法が提案され、この方法は、自転車の予想経路との安全間隔をあけることができないときに車両の将来のルートが自動的に変更され、その変更ルートが利用可能な通行空間の内側を通るときには、車両が当該変更されたルートに案内されることを特徴とする。
【0006】
本発明の実施形態のアイデアは、とりわけ、以下に記載される考えおよび認識に基づくものと見なすことができる。
【0007】
長距離および中距離で有効な車両のセンサシステム、例えばカメラシステムおよび/またはレーダシステムおよび/またはライダシステムのセンサ情報を使用して、自転車に乗っているサイクリストを自動的に検出することができる。これらのセンサ情報から、サイクリストの現在の方向および現在の速度をさらに決定することができる。これらの情報を使用して、サイクリストが観測期間内に高い確率で移動する可能性のある範囲を予測することができる。当該可能性のある範囲は、自転車の予想経路によって描写することができる。車両の将来の経路は、車両の運転支援システム、例えば車線維持支援システムによって設定できる。
【0008】
サイクリストを追い越す場合には、車両の右側の境界線と自転車もしくはサイクリストの左側の境界線との間に少なくとも1.5メートルの安全間隔を維持することが望ましい。左側通行の場合には、その反対となる。安全間隔は、車両の速度に応じてより大きくすることもできる。さらに、子供が自転車で運ばれている場合には、必要な安全間隔をより大きくすることができる。安全間隔が少なくとも維持されるように、車両の将来のルートは、当該変更されたルートに自動的に合わせられる。
【0009】
車両の将来の経路は、センサ情報に基づいて自動的に変更することができる。利用可能な通行空間は、センサ情報に基づいて自動的に決定することができる。利用可能な通行空間は、他の道路利用者、車線の境界線、および適用されるべき交通規則によって制限される。利用可能な通行空間内では、車両は衝突することなしに走行することができる。十分な通行空間が利用可能である場合、車両は、安全間隔を維持しながら自転車の脇を通過して走行することができる。利用可能な通行空間が不十分である場合、変更ルートに車両を安全に案内することができない。
【0010】
変更ルートが利用可能な通行空間の外側または少なくとも部分的に外側を通る場合には、車両の速度を変更することができる。自転車の左側に追越しのために十分なスペースがない場合には車両を制動することができる。この場合、例えば、車両の自動距離制御システムのための目標車両として自転車を使用することができる。
【0011】
車両の将来の経路は、変更された速度を使用して新たに決定することができ、上記方法を再び実施することができる。車両が減速した場合、その減速前よりもより小さい安全間隔が必要とされることもある。
【0012】
将来のルートは、現在の運転者の入力を使用して予測することができる。将来のルートは、現在の走行方向、現在の速度、現在のステアリング動作、および現在の加速要求もしくは制動要求から予測することができる。
【0013】
運転者の入力が、変更ルートおよび/または変更された速度からずれている場合、反対の力によって運転者の入力に対抗することができる。車線維持支援システムの場合のように、操作時の運転者を補助することができる。
【0014】
代替的または補足的に、運転者の入力が変更ルートおよび/または変更された速度からずれている場合には警告を出力することができる。警告は、音響的、視覚的、および/または触覚的に出力することができる。この警告によって、安全間隔をあけることができなくなる前の運転者への警告、および/または安全間隔を自身で維持することができる。
【0015】
利用可能な通行空間は、検出された交通標識を表す交通標識情報および/または検出された路面標識を表す路面標識情報を使用して決定することができる。交通標識および路面標識をセンサ情報で検出することができる。自転車を追い越すときには、現在適用されている交通規制を遵守することができる。例えば、現在の速度制限および/または追越し禁止は、交通標識および/または路面標識によって認識することができる。
【0016】
利用可能な通行空間は、検出された対向交通ルートを表す対向交通情報を使用して決定することができる。他の道路利用者、特に対向車両は、追越しのために利用可能な通行空間を制限する。他の道路利用者に起因して十分なスペースが利用可能ではない場合には、追越しを行わなくてもよい。
【0017】
追越し操作の前および追越し操作の時、車両の方向指示器を動作させることができる。追越し操作は、自動的な点滅によって示すことができる。点滅により、後続の車両はサイクリストについて注意を促される。
【0018】
この方法は、例えば、ソフトウェアまたはハードウェアで、あるいは、ソフトウェアとハードウェアとの組合せの形態で、例えば、制御器で実施することができる。
【0019】
本明細書で提示されるアプローチにより、本明細書で提示される方法の一実施形態のステップを、対応する複数のデバイスにおいて実行、制御、もしくは実施するように構成さ
れた装置が得られる。
【0020】
前記の装置は、信号またはデータを処理するための少なくとも1つの計算ユニットと、信号またはデータを記憶するための少なくとも1つのメモリユニットと、通信プロトコルにしたがって埋め込まれたデータを読み込むか、または出力するための少なくとも1つのインタフェースおよび/または通信インタフェースとを有する電気装置であってもよい。計算ユニットは、例えば、信号プロセッサ、いわゆる「システムASIC」、またはセンサ信号を処理してセンサ信号に応じたデータ信号を出力するマイクロコントローラであってもよい。メモリユニットは、例えば、フラッシュメモリ、EPROM、または磁気式のメモリユニットであってもよい。インタフェースは、センサからセンサ信号を読み取るためのセンサインタフェースとして、および/またはデータ信号および/または制御信号をアクチュエータに出力するためのアクチュエータインタフェースとして構成することができる。通信インタフェースは、データを無線および/または有線で読み込み、または出力するように構成されていてもよい。インタフェースは、例えば、他のソフトウェアモジュールと共にマイクロコントローラに提供されているソフトウェアモジュールであってもよい。
【0021】
特にプログラム製品またはプログラムがコンピュータまたは装置で実行される場合に、機械読み取り可能なキャリアまたは記録媒体、例えば半導体メモリ、ハードディスク、もしくは光メモリなどに記録でき、上述のいずれか1つの実施形態により方法のステップを実行、実施、および/または制御するために使用できるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも有利である。
【0022】
本発明のいくつかの可能な特徴および利点が、異なる複数の実施形態に関して記載されていることに留意されたい。当業者は、本発明のさらなる実施形態に想到するために、装置および方法の特徴を適切な形態で組み合わせ、適合させ、または入れ替えることができることを認識する。
【0023】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明するが、図面および説明はいずれも本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】自転車を追い越す操作における可能なシナリオを示す図である。
図2】自転車を追い越す操作における可能なシナリオを示す図である。
図3】自転車を追い越す操作における可能なシナリオを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面は、概略的なものにすぎず、縮尺どおりではない。図面における同一符号は、同一または同様の特徴を示す。
【0026】
毎日、サイクリストは街道において追い越される。この場合、側方間隔が維持されないことが多い。このことは、一方では、サイクリストにとって不快であり、他方では、極めて危険な場合がある。
【0027】
本明細書に提示されたアプローチにより、このことは、最新の運転支援システムを使用して防止することができる。ここで提示される「安全なサイクリスト追越し」は、例えば、ACC機能(自動車間距離制御)の拡張として実現することができる。ACCをスイッチオンして走行し、サイクリストが自身の車線にて前方を走行している場合には自動追越し操作が開始される。
【0028】
図1図3は、自転車100を追い越す操作における可能なシナリオの説明図である。この場合、自転車100は、例えば一般的な街道のような、走行方向ごとに1つの方向車線106を有する道路104上で、車両102の前方を走行している。車両102は、自転車100よりも速く走行している。自転車100は方向車線106の右端を走行しており、この方向車線では車両102が後方から自転車100に接近している。少なくとも1.5メートルの必要な安全間隔108をもって自転車100を追い越すことができるようにするためには、ここに示すシナリオでは、常に他の方向車線106にハンドルを切る必要がある。
【0029】
車両102は、本明細書に提示されるアプローチによる装置を有し、この装置では、例示的な実施形態による追越し操作を確実にする方法が実施される。上記装置は、車両102のセンサシステムのセンサ情報を処理し、道路104、方向車線、交通標識、および自転車100などの他の道路利用者を検出する。装置は、例えば車両102のナビゲーションシステムから、車両102の将来のルート110を読み込む。車両102の運転支援システムから将来のルート110を読み込むこともできる。あるいは、ステアリングホイール位置、アクセルペダル位置、および/またはブレーキペダル位置などの現在の運転者の入力から将来のルート110を推定することができる。センサ情報から、装置はさらに自転車100の予想経路112を決定する。予想経路は、自転車102の現在の速度および方向を使用して推定される。
【0030】
図1は、自転車100の予想経路112との安全間隔108をあけることができない場合に、どのようにして将来のルート110が装置によって自動的に変更されるかを示す。変更ルート114は、車両102から見てさらに左側に延びている。車両102は、装置からの制御信号によって、変更ルート114に案内される。変更ルート114では、車両102は、自転車100との少なくとも1.5メートルの安全間隔108を維持する。対向交通がなく、追越し禁止ではないことから追越しのために利用可能な通行空間116は十分に大きいので、車両102は、少なくとも部分的に反対方向車線106に弧を描いて案内される。
【0031】
例示的な実施形態では、車両102が変更ルート114において追越し操作を開始する前に、車両102の左側の方向指示器が自動的に設定される。
【0032】
図2は、車両102が実線のセンターライン200により最大で1メートルの間隔でしか自転車100の脇を通過して走行することができないことにより、どのようにして安全間隔108が将来のルート110を損なうことになるかを示している。十分な安全間隔108で自転車の脇を通過する変更ルート114は、センターライン200を横断するので、その一部が利用可能な通行空間116の外側に位置する。したがって、自転車100は前方を走行する車両として分類され、追越し禁止が終了してさらに利用可能な通行空間116が対向交通によって制限されなくなるまで、車両102の速度は自転車100の速度に合わせられる。
【0033】
図3には、どのようにして安全間隔108が将来のルート110により削られるのかが同様に示されている。この図では図2とは対照的に追越し禁止ではない。しかしながら、対向車両300が反対方向車線106を走行しているので、利用可能な通行空間116は極めて小さく、したがって、この場合にも変更ルート114に車両102を案内することができない。その結果、車両102は、図2のように制動され、反対方向車線106が空くまで自転車100の後方を走行する。
【0034】
本明細書に提示された機能は、サイクリストとの横方向の間隔を最小限に維持し、制限速度を超えず、道路規則によって許可されており、図1に示すように対向交通がない場合
にのみ、車両がセンターラインを超えて走行することを考慮に入れている。図2のように、センターライン200とサイクリストとの間のスペースが十分でない場合には、自動的な追越し操作を開始することはできない。ラインは画像センサによって検出できる。
【0035】
例示的な一実施形態では、運転者は、ユーザインタフェース(HMI)を介して、それでも追越しを行いたいかどうかを尋ねられる。例示的な一実施形態では、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)が解除されており、追越しのための空きスペースが不十分である場合には警告が出されれる。追越しが手動で行われる場合、要求される間隔は、例示的な一実施形態では、わずかな運転操作によって補正される。
【0036】
最後に、「有する」、「備える」などの用語は、任意の他の要素またはステップを除外せず、「1つの」などの用語は、複数を除外しないことを指摘しておく。特許請求の範囲における参照符号は、限定とみなされるべきではない。
図1
図2
図3