(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】医用システム、医用装置、医用情報の通信方法及び情報端末
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2023084333
(22)【出願日】2023-05-23
(62)【分割の表示】P 2019099058の分割
【原出願日】2019-05-28
【審査請求日】2023-05-23
(31)【優先権主張番号】P 2018103084
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 洋行
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206716(JP,A)
【文献】特許第5608830(JP,B1)
【文献】特開2017-11586(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0041786(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0077431(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0248841(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-16/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用情報を保持する医用装置と、携帯端末と、前記医用装置および前記携帯端末と通信を行う情報端末と、を備え、
前記情報端末は、前記携帯端末と通信を行う通信制御部を備え、
前記通信制御部は、前記医用装置との通信が遮断された状態で、前記医用装置から受け取った前記医用情報を前記携帯端末に送信する、
医用システム。
【請求項2】
前記医用情報は第1の医用情報を含み、
前記情報端末は、前記医用装置から送信された前記第1の医用情報を記憶部に記憶させ、記憶させた前記第1の医用情報を前記携帯端末に送信する、請求項1に記載の医用システム。
【請求項3】
前記医用情報は第2の医用情報を含み、
前記情報端末は、前記携帯端末から送信された前記第2の医用情報を記憶部に記憶させ、前記携帯端末との通信が遮断された状態で、記憶させた前記第2の医用情報を前記医用装置に送信する、請求項1又は2に記載の医用システム。
【請求項4】
前記情報端末は、前記情報端末と前記携帯端末が通信する前に、前記医用装置と前記情報端末との通信を遮断する、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項5】
前記医用装置は、前記情報端末と前記携帯端末が通信する前に、前記医用装置と前記情報端末との通信を遮断する、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項6】
前記第1の医用情報の記憶先の情報は、前記情報端末に対して前記携帯端末が接続されるごとに変更される、請求項2に記載の医用システム。
【請求項7】
前記情報端末は、前記医用装置との通信が遮断された後であって前記医用装置との再接続前に、ウイルススキャンを実行する、請求項1乃至6のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項8】
前記情報端末は、前記第1の医用情報を匿名化した状態で、前記携帯端末に送信する、請求項2に記載の医用システム。
【請求項9】
前記医用情報は、医用画像である、請求項1乃至8のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項10】
前記医用情報は、医用レポートである、請求項1乃至8のいずれか1つに記載の医用システム。
【請求項11】
前記情報端末は、前記医用画像に情報が付加された画像データを記憶部に記憶させ、記憶させた前記画像データを前記携帯端末に送信する、請求項9に記載の医用システム。
【請求項12】
院内通信回線および携帯端末と通信を行う医用装置であって、
前記院内通信回線から医用情報を取得する取得部と、
前記医用情報を記憶する記憶部と、
前記携帯端末と通信を行う通信制御部と、を有し、
前記通信制御部は、前記院内通信回線との通信が遮断された状態で、前記院内通信回線から受け取った前記医用情報を前記携帯端末に送信する、
医用装置。
【請求項13】
医用情報を保持する医用装置および携帯端末と通信を行う情報端末によって実行される医用情報の通信方法であって、
前記医用装置との通信が遮断された状態で、前記医用装置から受け取った前記医用情報を前記携帯端末に送信する、
ことを含む、医用情報の通信方法。
【請求項14】
院内通信回線および携帯端末と通信を行う医用装置によって実行される医用情報の通信方法であって、
前記院内通信回線から前記医用情報を取得し、前記医用情報を記憶し、
前記院内通信回線との通信が遮断された状態で、前記院内通信回線から受け取った前記医用情報を前記携帯端末に送信する、
ことを含む、医用情報の通信方法。
【請求項15】
医用情報を保持する医用装置と、携帯端末と、前記医用装置および前記携帯端末と通信を行う情報端末と、を備え、
前記情報端末は、前記携帯端末と通信を行う通信制御部を備え、
前記通信制御部は、前記医用装置との通信が遮断された状態で、前記医用装置から受け取った前記医用情報を前記携帯端末に送信し、前記携帯端末との通信が遮断された後に前記医用装置との通信を再開する、
医用システム。
【請求項16】
医用情報を保持する医用装置および携帯端末と通信を行う情報端末であって、
前記携帯端末と通信を行う通信制御部を備え、
前記通信制御部は、前記医用装置との通信が遮断された状態で、前記医用装置から受け取った前記医用情報を前記携帯端末に送信する、
情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用システム、医用装置、医用情報の通信方法及び情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波診断装置と情報端末とを無線通信で接続して、超音波診断装置の操作や、超音波画像の確認を情報端末によってリアルタイムに行う機能が知られている。かかる機能は、セカンドコンソールとも呼ばれ、例えば、座位状態の被検体の下肢に超音波プローブを接触させて検査する下肢検査等、超音波プローブで走査しながら、超音波診断装置におけるコンソールの操作及び超音波画像の確認がし難い場合に利用される。
【0003】
また、超音波診断装置と、被検体が所持する携帯端末とを近距離無線通信で接続して、超音波診断装置から携帯端末に対して超音波画像を転送する技術も知られている。かかる技術は、例えば、産科での健診において、胎児の超音波画像を母親に提供する際に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、簡便に医用情報を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用システムは、医用装置と、第1端末とを含む。医用装置は、医用情報を保持する。第1端末は、前記医用装置と前記医用情報を送受信可能に通信接続し、アクセスポイントの機能を有し、前記アクセスポイントの識別情報を含む第1コードを表示する。前記第1端末は、前記第1コードを読み取った第2端末と医用情報を送受信可能に通信接続する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断システムの概要を説明するための図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る情報端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る情報端末における表示の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る符号化機能による処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る携帯端末における超音波画像の表示の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る超音波診断システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る情報端末の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第2の実施形態に係る画像データの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2の実施形態に係る超音波診断システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態に係る医用システム及び医用情報の転送方法について説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例であり、本実施形態に係る医用システム及び医用情報の転送方法は、以下の説明に限定されるものではない。なお、以下の実施形態では、医用システムとして、超音波診断装置を含む超音波診断システムを1例に挙げて説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、本実施形態に係る超音波診断システムの概要について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1の概要を説明するための図である。ここで、
図1においては、本実施形態に係る超音波診断システム1を、産科での健診に適用した場合の例について示す。なお、本実施形態に係る超音波診断システム1は、産科での健診に限らず、その他種々のケースに適用することができる。
【0010】
図1に示すように、超音波診断システム1は、超音波診断装置100と、情報端末200とを含み、情報端末200が携帯端末300と通信接続される。超音波診断装置100は、超音波プローブと、入力インターフェースと、ディスプレイと、装置本体(コンソール)とを有し、院内LAN(Local Area Network)などのネットワークに通信接続される。また、超音波診断装置100は、院内LANとは異なる通信回線を介して情報端末200と通信接続される。なお、超音波診断装置100の院内LANに対する通信接続及び情報端末200との通信接続は、有線及び無線のどちらが用いられてもよい。
【0011】
超音波診断装置100は、操作者によって超音波プローブが操作され、超音波プローブによって送受信された超音波に基づいて超音波画像を生成して、生成した超音波画像をディスプレイに表示させる。例えば、超音波診断装置100は、
図1に示すように、産科の健診に用いられ、胎児の超音波画像を生成して表示する。また、超音波診断装置100は、院内LANとは異なる通信回線を介して、情報端末200に超音波画像等の画像データを送信する。
【0012】
情報端末200は、院内LANとは異なる通信回線を介して超音波診断装置100と通信接続され、医用情報を送受信する。例えば、情報端末200は、超音波診断装置から超音波画像等の画像データを受信して、受信した画像データを記憶する。情報端末200は、例えば、PC(Personal Computer)やタブレットPC等である。ここで、超音波診断システム1にセカンドコンソールの機能が適用されている場合、情報端末200は、超音波診断装置100を制御するための操作を受け付けて、超音波画像を収集させ、収集させた超音波画像を表示させることができる。
【0013】
例えば、情報端末200は、超音波診断装置100の入力インターフェースと同様に、超音波診断装置100の装置本体を制御するための種々の入力操作を受け付けて、超音波画像を収集するように超音波診断装置100の装置本体を制御する。そして、情報端末200は、超音波診断装置100によって収集された超音波画像を受信して、受信した超音波画像を自装置のディスプレイに表示させたり、記憶回路に記憶したりする。
【0014】
ここで、情報端末200は、例えば、無線通信によって超音波診断装置100と通信接続されることで、超音波診断装置100から離れた位置で使用可能となる。これにより、操作者は、超音波診断装置100におけるコンソールの操作及び超音波画像の確認がし難い位置でも、情報端末200に表示された超音波画像を観察しながら、超音波診断装置を操作することができる。例えば、
図1に示すように、横臥する被検体の腹部を超音波プローブで走査しながら、情報端末200を操作することで、超音波診断装置100に被検体の腹部の超音波画像を収集させることができる。
【0015】
また、情報端末200は、超音波診断装置100と通信接続するための通信回線とは異なる通信回線を介して携帯端末300と通信接続され、携帯端末300との間で種々の情報を送受信する。例えば、情報端末200は、携帯端末300に対して超音波画像等の画像データを送信する。また、例えば、情報端末200は、携帯端末300から医用レポート等の医用情報を受信して、受信した医用情報を記憶する。そして、情報端末200は、医用装置に対して医用情報を送信する。なお、情報端末200と携帯端末300との通信については、後に詳述する。
【0016】
携帯端末300は、情報端末200との間で通信接続され、超音波画像を受信する。携帯端末300は、例えば、被検体が所持するPDA(Personal Digital Assistant)や、タブレットPC、スマートフォン等である。一例を挙げると、携帯端末300は、産科の健診を受ける被検体が所持するスマートフォンであり、情報端末200から胎児の超音波画像等の画像データを受信する。ここで、携帯端末300は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって画像データを送受信することができない装置であってもよく、この場合、例えば、OS(Operating System)として、iOS(登録商標)が搭載された装置である。
【0017】
上述したように、超音波診断システム1は、超音波診断装置100と情報端末200との間で超音波画像等の医用情報を送受信し、情報端末200を介して携帯端末300に超音波画像等の医用情報を送信する。ここで、近距離無線通信によって画像データを受信することができない携帯端末300に超音波画像を転送する場合、現状では、携帯端末300に専用のアプリケーションをインストールすることによって画像データを受信することが可能となるが、画像データを受信するためにアプリケーションをインストールしなくてはならないのは手間がかかるうえに、アプリケーションをダウンロードするためのコスト(通信料)がかかることとなる。
【0018】
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断システム1では、専用のアプリケーションをインストールすることなく画像データを受信可能とすることで、被検体が所持する携帯端末300に対して簡便に画像データを提供することを可能にする。また、超音波診断システム1は、アプリケーションをダウンロードすることがないため、通信料の負担を無くすことも可能となる。さらに、第1の実施形態に係る超音波診断システム1では、情報端末200が、携帯端末300と通信接続する際に、超音波診断装置100との通信接続を遮断することで、被検体が所持する携帯端末300が、情報端末200を介して超音波診断装置100や院内LANに接続されることを回避する。これにより、超音波診断システム1は、携帯端末300に対する画像データの提供をセキュアに行うことも可能にする。
【0019】
以下、超音波診断システム1における各装置の詳細について説明する。なお、以下では、超音波診断システム1にセカンドコンソールが適用された場合を一例に挙げて説明する。
図2は、第1の実施形態に係る超音波診断装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置100は、超音波プローブ100aと、入力インターフェース100bと、ディスプレイ100cと、装置本体100dとを有する。超音波プローブ100a、入力インターフェース100b及びディスプレイ100cは、装置本体100dと通信可能に接続される。
【0020】
超音波プローブ100aは、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、装置本体100dが有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ100aは、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。すなわち、超音波プローブ100aは、被検体Pに対して超音波走査を行って、被検体Pから反射波を受信する。また、超音波プローブ100aは、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ100aは、装置本体100dと着脱自在に接続される。
【0021】
超音波プローブ100aから被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ100aが有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0022】
本実施形態では、超音波プローブ100aは、被検体を2次元で走査する1Dアレイプローブであっても、被検体を3次元で走査する3次元プローブすなわちメカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブであっても適用可能である。
【0023】
入力インターフェース100bは、所定の位置(例えば、関心領域等)の設定等を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース100bは、後述する処理回路150に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路150へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース100bは、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路150へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0024】
ディスプレイ100cは、超音波診断装置100の操作者が入力インターフェース100bを用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100dにおいて生成された超音波画像等を表示したりする。また、ディスプレイ100cは、装置本体100dの処理状況や処理結果を操作者に通知するために、各種のメッセージや表示情報を表示する。また、ディスプレイ100cは、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。
【0025】
装置本体100dは、超音波プローブ100aが受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。例えば、装置本体100dは、超音波プローブ100aが受信した2次元の反射波データ(エコーデータ)に基づいて2次元の超音波画像データを生成する。また、装置本体100dは、超音波プローブ100aが受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データ(ボリュームデータ)を生成する。そして、装置本体100dは、生成した超音波画像データから表示用の超音波画像を生成する。
【0026】
例えば、装置本体100dは、
図2に示すように、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、記憶回路140と、処理回路150と、通信インターフェース160とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、記憶回路140、処理回路150、及び、通信インターフェース160は、互いに通信可能に接続される。また、装置本体100dは、ネットワーク2に接続される。なお、ネットワーク2は院内LAN等であり、超音波診断装置100は、ネットワーク2を介して院内LANに接続された種々の装置と通信接続される。
【0027】
送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ100aに駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ100aから発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ100aに駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0028】
なお、送受信回路110は、後述する処理回路150の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0029】
また、送受信回路110は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ100aが受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0030】
送受信回路110は、被検体Pを2次元走査する場合、超音波プローブ100aから2次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ100aが受信した2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、送受信回路110は、被検体Pを3次元走査する場合、超音波プローブ100aから3次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ100aが受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0031】
ここで、送受信回路110からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0032】
Bモード処理回路120は、送受信回路110から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0033】
ドプラ処理回路130は、送受信回路110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、ドプラ処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれでドプラデータを生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。ドプラ処理回路130は、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流の平均分散値、血流の平均パワー値等を、複数のサンプル点それぞれで推定した情報を生成する。
【0034】
ドプラ処理回路130は、MTIフィルタ及び血流情報生成部を有し、例えば、カラードプラ法を実行し、血流情報を算出する。カラードプラ法では、超音波の送受信が同一の走査線上で複数回行なわれ、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号を抽出する。そしてカラードプラ法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。
【0035】
MTIフィルタは、フィルタ行列を用いて、同一位置(同一サンプル点)の連続した反射波データのデータ列から、クラッタ成分が抑制され、血流に由来する血流信号が抽出されたデータ列を出力する。血流情報生成部は、MTIフィルタが出力したデータを用いた自己相関演算等の演算を行なって、血流情報を推定し、推定した血流情報をドプラデータとして出力する。MTIフィルタとしては、例えば、バタワース型のIIR(Infinite Impulse Response)フィルタ、多項式回帰フィルタ(Polynomial Regression Filter)等の係数が固定されたフィルタ、または固有ベクトル(eigenvector)等を用いて入力信号に応じて係数を変化させる適応型のフィルタが適用可能である。
【0036】
なお、
図2に例示するBモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路120は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路130は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0037】
記憶回路140は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路140は、各種の画像データを記憶する。例えば、記憶回路140は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130により生成されたデータも記憶する。記憶回路140が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、処理回路150を経由して表示用の超音波画像となる。また、記憶回路140は、反射波データも記憶することができる。また、記憶回路140は、超音波診断装置100から情報端末200に対して送信される画面データを記憶する。なお、画面データについては、後に詳述する。例えば、記憶回路140は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
【0038】
なお、記憶回路140が記憶するデータは、ネットワーク2を経由して、外部装置へ転送することができる。外部装置は、例えば、画像診断を行う医師が使用するPC(Personal Computer)や、CDやDVD等の記憶媒体、プリンター等である。また、記憶回路140が記憶するデータは、ネットワーク2とは異なる通信回線を経由して、情報端末200へ転送することができる。なお、記憶回路140への記憶の形態は、ライブ情報を一時的に保存する場合と、長期にわたる記録のために保存する場合がある。
【0039】
処理回路150は、超音波診断装置100の処理全体を制御する。具体的には、処理回路150は、入力インターフェース100bを介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路140から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130の処理を制御する。また、処理回路150は、記憶回路140が記憶する表示用の超音波画像をディスプレイ100cや、入力インターフェース100bにおけるタッチモニタ等にて表示するように制御する。また、処理回路150は、情報端末200を介して操作者から入力された要求に応じて、上述した各回路の処理を制御する。
【0040】
処理回路150は、制御機能151と、画像生成機能152と、画面生成機能153と、アクセスポイント機能154と、認証情報表示機能155と、認証機能156と、符号化機能157とを実行する。
【0041】
ここで、例えば、処理回路150の構成要素である制御機能151、画像生成機能152、画面生成機能153、アクセスポイント機能154、認証情報表示機能155、認証機能156及び符号化機能157が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路140に記憶されている。処理回路150は、各プログラムを記憶回路140から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、処理回路150内に示された各機能を有することとなる。
【0042】
通信インターフェース160は、ネットワーク2を経由して院内LANに接続された各種の装置と通信を行うためのインターフェースである。また、通信インターフェース160は、ネットワーク2とは異なる通信回線を介して情報端末200と通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース160により、処理回路150は、院内LANに接続された装置との通信や、情報端末200との通信を行う。例えば、処理回路150は、通信インターフェース160によって、超音波診断装置100以外の外部装置との間で各種データのやり取りを行うことができる。
【0043】
制御機能151は、超音波診断装置100の全体を制御する。例えば、制御機能151は、送受信回路110、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130を制御して、反射波データの収集と、Bモードデータ及びドプラデータの生成とを制御する。すなわち、制御機能151は、超音波プローブ100aを介して、被検体に対する2次元超音波スキャン及び3次元超音波スキャンを実行させる。また、制御機能151は、計測処理等の各種処理を実行し、処理結果をディスプレイ100cに表示させるように制御する。また、制御機能151は、画像生成機能152によって生成された超音波画像等をディスプレイ100cに表示させるように制御する。
【0044】
画像生成機能152は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成機能152は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成機能152は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。また、画像生成機能152は、Bモード処理回路120が生成した1走査線上のBモードデータの時系列データから、Mモード画像データを生成することも可能である。また、画像生成機能152は、ドプラ処理回路130が生成したドプラデータから、血流や組織の速度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を生成することも可能である。
【0045】
ここで、画像生成機能152は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像を生成する。具体的には、画像生成機能152は、超音波プローブ100aによる超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像を生成する。また、画像生成機能152は、スキャンコンバート以外の種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成機能152は、超音波画像に、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマーク、種々のマーカ等を合成する。
【0046】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成機能152が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像である。
【0047】
さらに、画像生成機能152は、Bモード処理回路120が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成機能152は、ドプラ処理回路130が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成機能152は、「3次元Bモード画像データや3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。また、画像生成機能152は、3次元Bモード画像データや、3次元ドプラ画像データに対して多断面変換を行うことで、MPR画像を生成したり、3次元Bモード画像データや、3次元ドプラ画像データに対してボリュームレンダリング処理を行うことで、ボリュームレンダリング画像を生成したりする。
【0048】
画面生成機能153は、情報端末200に対して送信する画面データを生成する。具体的には、画面生成機能153は、通信インターフェース160を介して情報端末200からコマンド信号を受信し、受信したコマンド信号に応じた画面データを記憶回路140から読み出して情報端末200に送信する。
【0049】
ここで、画面データは、例えば、入力インターフェース100bが有するタッチパネルにて表示される操作画面を模して生成される操作画面の画像データである。一例を挙げると、操作画面の画像データは、操作者からの操作を受け付けるための機能ボタンを示す画像データである。また、画面データは、例えば、入力インターフェース100bが有するパネルスイッチの形状を模して生成されるパネルスイッチの画像データである。一例を挙げると、パネルスイッチの画像データは、超音波診断装置100の前面に配置される少なくとも1つのパネルスイッチを示す画像データである。
【0050】
なお、画面データは、各機能ボタン、各パネルスイッチがどのような機能を実行するかを示す付帯情報が対応付けられる。すなわち、画面データは、画面データに含まれる機能情報と当該機能に対応する機能ボタンや、パネルスイッチがどこに配置されているかを示す位置情報とが対応付けられる。このような画面データは、予め生成されて記憶回路140に記憶される。
【0051】
画面生成機能153は、情報端末200から受信したコマンド信号に応じた画面データを記憶回路140から読み出して、読み出した画面データを情報端末200に送信する。例えば、情報端末200は、セカンドコンソールの初期画面や、各種機能を操作するための操作画面、超音波画像を表示する画面などに対応する画面データを要求するコマンド信号を超音波診断装置100に送信する。画面生成機能153は、受信したコマンド信号に対応する画面データを、通信インターフェース160を介して情報端末200に送信する。情報端末200は、超音波診断装置100から受信した画面データを表示させて、超音波診断装置100に種々の機能を実行させるための操作を受け付ける。情報端末200は、画面データに対応付けられた付帯情報に基づいて、操作を受け付けた位置に対応する機能を特定し、特定した機能に対応するコマンド信号を超音波診断装置100に送信することで、操作を受け付けた位置に対応する機能を超音波診断装置100に実行させる。
【0052】
アクセスポイント機能154は、情報端末200が超音波診断装置100と通信するための仮想的なアクセスポイントを生成するSoftware AP機能である。具体的には、アクセスポイント機能154は、セカンドコンソール開始ボタンが押下されると、通信インターフェース160を制御して、仮想的なアクセスポイントを生成する。ここで、セカンドコンソール開始ボタンは、例えば、入力インターフェース100bが有するタッチパネル上の所定の位置に設けられる。なお、セカンドコンソール開始ボタンは、入力インターフェース100bが有するパネルスイッチが備える複数のスイッチボタンのうちの1つとして設けられてもよい。
【0053】
ここで、アクセスポイント機能154は、アクセスポイントを生成する際に、SSID(Service Set Identifier)及びパスワードを設定する。SSID及びパスワードは、操作者が入力インターフェース100bを介して入力することによって手動で設定されてもよく、或いは、自動で設定されてもよい。ここで、パスワードは、超音波診断装置100と情報端末200との間の通信接続毎又は定期的に更新されるワンタイムパスワードである。なお、ワンタイムパスワードとは、例えば、数学的アルゴリズム等に基づき生成されるパスワードである。
【0054】
また、アクセスポイント機能154は、通信インターフェース160を介し、予め設定された接続情報に基づいて情報端末200と通信接続する。ここで、本実施形態では、超音波診断装置100と情報端末200との間の通信接続に関する認証は、予め設定された接続情報に基づいて自動的に行われる。なお、予め設定された接続情報とは、生成されたアクセスポイントのSSID、接続のためのパスワード、及び、超音波診断装置100及び情報端末200のMACアドレス(Media Access Control address)等の通信接続に関する情報である。
【0055】
なお、アクセスポイント機能154は、情報端末200からの通信接続要求を受けた後に通信接続を確立させるようにしてもよい。この場合、通信接続に関する認証処理は、情報端末200において入力されたパスワード等の正誤を超音波診断装置100で判定することで行われる。
【0056】
また、アクセスポイント機能154は、情報端末200との通信接続を確立した後、通信インターフェース160を介して、情報端末200から超音波診断装置100を操作するためのパスワードの入力要求を情報端末200に対して送信する。
【0057】
認証情報表示機能155は、情報端末200によって超音波診断装置100を操作するための識別情報を提示する。例えば、認証情報表示機能155は、アクセスポイント機能154によって設定されたSSID及びパスワードを含む識別情報をディスプレイ100cに表示する。ここで、識別情報に含まれるパスワードは、操作者が情報端末200によって超音波診断装置100を操作する正当な利用者であるかどうかを認証するために予め定められた文字、記号、及び数字の羅列である。したがって、パスワードはアクセスポイント機能154により設定されたパスワードと異なるものであってもよいが、この場合においても、パスワードは、超音波診断装置100と情報端末200との間の通信接続毎又は定期的に更新されるワンタイムパスワードである。なお、識別情報としてSSIDとパスワードを例に挙げて説明したが、SSIDとは異なるID及びパスワードを識別情報として用いる場合であってもよい。
【0058】
認証機能156は、アクセスポイント機能154から送信されたパスワードの入力要求に対して情報端末200から応答データを受信した場合に、受信した応答データに対する認証を行う。具体的には、認証機能156は、通信インターフェース160を介して、情報端末200よりパスワードの入力要求に応じた応答データを受信する。そして、認証機能156は、受信した応答データに含まれるパスワードと、認証情報表示機能155によって表示されたパスワードとを比較する。ここで、認証機能156は、応答データに含まれるパスワードと認証情報表示機能155によって表示されたパスワードとが一致した場合に、操作者が情報端末200よって超音波診断装置100を操作することを許可する。
【0059】
符号化機能157は、画像生成機能152によって生成された超音波画像及び画面生成機能153によって記憶回路140から取得された画面データを圧縮する。例えば、符号化機能157は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の圧縮技術を用いて超音波画像を圧縮する。また、例えば、符号化機能157は、MPEG(Moving Picture Experts Group)等の圧縮技術を用いて、付帯情報を含む画面データを圧縮する。
【0060】
制御機能151は、符号化機能157によって圧縮された超音波画像や、画面データを、通信インターフェース160を介して、情報端末200に送信する。例えば、制御機能151は、情報端末200によって送信されたコマンド信号に応じて生成され、圧縮された画面データを情報端末200に送信する。また、例えば、制御機能151は、操作者が情報端末200を操作することで収集され、圧縮された超音波画像を情報端末200に送信する。
【0061】
図3は、第1の実施形態に係る情報端末200の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報端末200は、通信インターフェース21と、記憶回路22と、入力インターフェース23と、ディスプレイ24と、処理回路25とを有する。そして、情報端末200は、ネットワーク2とは異なる通信回線を介して超音波診断装置100と通信接続される。また、情報端末200は、超音波診断装置100と通信接続される通信回線とは異なる通信回線によって携帯端末300と通信接続される。
【0062】
通信インターフェース21は、ネットワーク2とは異なる通信回線を介して超音波診断装置100と通信を行うためのインターフェースである。また、通信インターフェース21は、超音波診断装置100との通信回線とは異なる通信回線を介して携帯端末300と通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース21により、処理回路25は、超音波診断装置100との通信や、携帯端末300との通信を行う。例えば、処理回路25は、通信インターフェース21によって、超音波診断装置100との間で各種データをやり取りしたり、携帯端末300との間で各種データをやり取りしたりすることができる。
【0063】
記憶回路22は、情報端末200における各種処理を行なうための制御プログラムや、各種の画像データ等を記憶する。例えば、記憶回路22は、超音波診断装置100から受信した超音波画像や、画面データを記憶する。また、例えば、記憶回路22は、処理回路25による処理結果を記憶する。例えば、記憶回路22は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
【0064】
なお、記憶回路22が記憶するデータは、通信回線を経由して、外部装置へ転送することができる。例えば、記憶回路22が記憶するデータは、超音波診断装置100との通信回線とは異なる通信回線を経由して、携帯端末300へ転送することができる。なお、記憶回路22への記憶の形態は、ライブ情報を一時的に保存する場合と、長期にわたる記録のために保存する場合がある。
【0065】
入力インターフェース23は、入力操作を行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチモニタ、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース23は、処理回路25に接続されており、操作者から受け付けた入力操作を電気信号へ変換し処理回路25へと出力する。なお、本明細書において入力インターフェース23は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路25へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0066】
ディスプレイ24は、情報端末200の操作者が入力インターフェース23を用いて各種要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、処理回路25の処理結果などを操作者に通知するための各種のメッセージや表示情報を表示したりする。また、ディスプレイ24は、超音波診断装置100から受信した画面データや、超音波画像等を表示する。例えば、ディスプレイ24は、液晶ディスプレイや、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。なお、情報端末200がタブレットPCの場合、ディスプレイ24は、入力インターフェース23と一体化されることとなる。また、ディスプレイ24は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。
【0067】
処理回路25は、情報端末200の処理全体を制御する。具体的には、処理回路25は、入力インターフェース23を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路22から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、各種処理を制御する。例えば、処理回路25は、記憶回路22が記憶する超音波画像等をディスプレイ24にて表示するように制御する。また、例えば、処理回路25は、携帯端末300との通信接続を確立し、携帯端末300との間で各種データを送受信する。
【0068】
処理回路25は、制御機能251と、画像処理機能252と、アクセスポイント機能253と、サーバ機能254と、符号化機能255と、認証機能256と、セキュリティ処理機能257とを実行する。
【0069】
ここで、例えば、処理回路25の構成要素である制御機能251、画像処理機能252、アクセスポイント機能253、サーバ機能254、符号化機能255、認証機能256及び、セキュリティ処理機能257が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路22に記憶されている。処理回路25は、各プログラムを記憶回路22から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路25は、処理回路25内に示された各機能を有することとなる。
【0070】
制御機能251は、情報端末200の全体を制御する。例えば、制御機能251は、通信インターフェース21を介した超音波診断装置100との間の各種データの送受信を制御する。一例を挙げると、制御機能251は、情報端末200によって超音波診断装置100を操作するための認証に用いられる識別情報の超音波診断装置100への送信や、超音波診断装置100からの画面データ及び超音波画像の受信などを制御する。
【0071】
また、制御機能251は、超音波診断装置100から受信した画面データや、超音波画像をディスプレイ24にて表示するように制御する。また、制御機能251は、画面データに含まれる機能ボタンや、パネルスイッチに対する入力操作が実行されると、付帯情報に基づいて、操作された機能ボタン或いはパネルスイッチに対応する機能を特定する。そして、制御機能251は、特定した機能のコマンド信号を生成して、生成したコマンド信号を超音波診断装置100に送信するように制御する。さらに、制御機能251は、コマンド信号に応じて超音波診断装置100から受信した応答データに基づく処理を実行する。一例を挙げると、制御機能251は、操作画面を変更するためのコマンド信号を送信した場合、コマンド信号に応じて受信した画面データをディスプレイ24にて表示させるように制御する。
【0072】
また、制御機能251は、携帯端末300に対する画像データの送信を制御する。具体的には、処理回路25における他の機能による処理によって通信接続が確立された携帯端末300に対する画像データの送信を制御するが、この点については、後に詳述する。
【0073】
上述したように、第1の実施形態に係る超音波診断システム1では、超音波診断装置100と情報端末200とが通信接続され、各種データを送受信する。ここで、超音波診断システム1は、セカンドコンソールが適用されていることから、情報端末200によって超音波診断装置100を操作することができる。
【0074】
例えば、情報端末200は、超音波診断装置100との通信接続が確立された後に受信した画面データをディスプレイ24に表示させることによって、
図4に示すように、種々の機能ボタンが配置された操作画面を表示することができる。また、情報端末200は、超音波診断装置100から受信した超音波画像をディスプレイ24に表示させることによって、例えば、
図4に示すように、胎児の超音波画像を表示することができる。ここで、超音波診断システム1においてセカンドコンソールが機能している場合には、収集中の超音波画像をリアルタイムで情報端末200に送信する。すなわち、操作者は、情報端末200のディスプレイ24において、収集した超音波画像をリアルタイムで確認しながら、超音波プローブ100aによって被検体の腹部を走査することができる。なお、
図4は、第1の実施形態に係る情報端末200における表示の一例を示す図である。
【0075】
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断システム1では、以下、詳細に説明する情報端末200の処理回路25の処理により、超音波診断システム1内で取り扱われる画像データを、被検体が所有する携帯端末300に簡便に提供することを可能にする。具体的には、超音波診断システム1は、近距離無線通信によって画像データを受信することができない携帯端末300に対して簡便に画像データを提供することを可能にする。以下、処理回路25による処理の詳細について説明する。なお、以下では、情報端末200から携帯端末300に対して提供することができる超音波画像や、画面データなどをまとめて画像データと記す。
【0076】
図3に戻って、画像処理機能252は、超音波診断装置100から受信した超音波画像や、画面データに対して種々の画像処理を実行する。例えば、画像処理機能252は、携帯端末300に対して転送する画面データや超音波画像に含まれる個人情報を削除するための画像処理を実行する。一例を挙げると、画像処理機能252は、超音波画像に含まれる個人情報の領域を除去したり、塗りつぶしたりする。すなわち、情報端末200は、匿名化した状態で携帯端末300に提供するように制御する。
【0077】
ここで、携帯端末300に転送する画像データは、種々のタイミングで決定することができる。例えば、一連の検査が終了した後に、収集した複数の超音波画像を情報端末200に表示させながら決定する場合でもよく、或いは、超音波プローブ100aによって走査している際に、情報端末200にリアルタイムで表示される超音波画像から決定する場合でもよい。なお、一連の検査が終了した後に、収集した複数の超音波画像の中から転送する超音波画像を決定する場合には、転送を開始するための開始ボタンが押下される前のタイミングであれば、どのタイミングで決定する場合でもよい。また、一連の検査が終了した後に、収集した複数の超音波画像の中から転送する超音波画像を決定する場合には、転送する超音波画像として複数の超音波画像が選択される場合でもよい。
【0078】
なお、画像処理機能252は、上述した画像データの匿名化処理だけではなく、例えば、画像データの拡大・縮小、超音波画像における関心領域の抽出などのその他の画像処理を適宜行うことができる。
【0079】
アクセスポイント機能253は、情報端末200が携帯端末300と通信するための仮想的なアクセスポイントを生成するSoftware AP機能である。具体的には、アクセスポイント機能253は、携帯端末300に対して画像データを転送するための転送ボタンが押下されると、通信インターフェース21を制御して、仮想的なアクセスポイントを生成する。ここで、転送ボタンは、例えば、入力インターフェース23が有するタッチパネル上に設けられ、携帯端末300に転送する画像データが決定された後に押下される。
【0080】
ここで、アクセスポイント機能253は、アクセスポイントを生成する際に、SSID及びパスワードを設定する。SSID及びパスワードは、操作者が入力インターフェース23を介して入力することによって手動で設定されてもよく、或いは、自動で設定されてもよい。ここで、パスワードは、情報端末200と携帯端末300との間の通信接続毎又は定期的に更新されるワンタイムパスワードである。
【0081】
そして、アクセスポイント機能253は、後述する認証機能256による認証処理において、情報端末200に対する携帯端末300の通信接続が許可された場合に、情報端末200と携帯端末300との通信接続を確立する。なお、認証機能256による認証処理については、後に詳述する。
【0082】
ここで、上述したように、情報端末200と携帯端末300とが通信接続される場合、超音波診断システム1においては、情報端末200と超音波診断装置100との通信接続が切断される。すなわち、超音波診断システム1は、情報端末200と携帯端末300とが通信接続される前に、情報端末200と超音波診断装置100との通信接続を無効にする。例えば、転送ボタンが押下されると、制御機能251は、超音波診断装置100との間で確立されている通信接続を切断するように制御する。これにより、被検体が所有する携帯端末300が超音波診断装置100や院内LANに接続されることを回避することができる。
【0083】
符号化機能255は、種々の情報を符号化する。具体的には、符号化機能255は、携帯端末300に対する画像データの転送に関わる情報を、携帯端末300によって復号可能なコードに符号化する。例えば、符号化機能255は、
図5に示すように、アクセスポイント機能253によって設定されたSSID及びパスワードを2次元コード化させる。また、例えば、符号化機能255は、携帯端末300に転送する画像データの記憶先の情報を、2次元コード化させる。なお、
図5は、第1の実施形態に係る符号化機能255による処理の一例を示す図である。
【0084】
上述したように、情報端末200では、携帯端末300に対して画像データを転送するための転送ボタンが押下されると、アクセスポイント機能253が、アクセスポイントを生成して、SSIDとパスワードを設定する。そして、符号化機能255が、アクセスポイント機能253によって設定されたSSIDとパスワードを2次元コード化すると、制御機能251が、2次元コードをディスプレイ24に表示させる。
【0085】
被検体は、自身の携帯端末300を操作して、ディスプレイ24に表示された2次元コードをカメラで読み取る。これにより、携帯端末300は、仮想的なアクセスポイントのSSIDとパスワードを取得する。SSIDとパスワードを取得すると、携帯端末300が、取得したSSID及びパスワードと、自装置のMACアドレス等の認証情報を情報端末200に送信することで、情報端末200と携帯端末300との通信接続を行う。なお、認証情報の送信は、2次元コードの読み取りに応じて自動で行われる場合でもよく、或いは、携帯端末300が、情報端末200との通信接続を行う旨のメッセージを表示させ、被検体が情報端末200との通信接続を行うことに同意する操作を実行することで行われる場合でもよい。
【0086】
認証機能256は、携帯端末300から受信した認証情報に対する認証を行う。具体的には、認証機能256は、通信インターフェース21を介して、携帯端末300より認証情報を受信する。そして、認証機能256は、受信した認証情報に含まれるパスワードと、2次元コード化されたパスワードとを比較する。ここで、認証機能256は、認証情報に含まれるパスワードと2次元コード化されたパスワードとが一致した場合に、携帯端末300と情報端末200との通信接続を許可する。ここで、情報端末200に対する携帯端末300の通信接続が許可された場合に、アクセスポイント機能253は、情報端末200と携帯端末300との通信接続を確立する。
【0087】
サーバ機能254は、携帯端末300からの画像データの閲覧要求に対して、レスポンスを返す。例えば、サーバ機能254は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)を用いたWebサーバとして機能し、画像データを記憶させた記憶先のURL(Uniform Resource Locator)を閲覧するためのHTTPリクエストを携帯端末300のWebブラウザから受信する。そして、サーバ機能254は、受信したHTTPリクエストに応じて、携帯端末300のWebブラウザに対して画像データを返す。
【0088】
一例を挙げると、サーバ機能254は、まず、転送ボタンが押下されると、携帯端末300に対して転送することが決定され、画像処理が施された画像データを記憶回路22の一時記憶領域に記憶させ、記憶させた先のURLを符号化機能255に通知する。ここで、サーバ機能254は、転送ボタンが押下されるごとに、画像データのGUID(Globally Unique Identifier)や、記憶回路22への格納時の時間などを用いて画像データのファイル名を変更することで、URLを毎回更新する。
【0089】
サーバ機能254からURLが通知されると、符号化機能255は、通知されたURLを2次元コード化させる。ここで、符号化機能255に通知されるURLは、転送ボタンが押下されるごとに更新される。すなわち、符号化機能255によって符号化されたURLは、転送ごとに異なるコードとなる。そして、符号化機能255が、URLを2次元コード化すると、制御機能251が、2次元コードをディスプレイ24に表示させる。なお、上述した例では、転送ボタンが押下されるごとにURLを更新することで、転送ごとにコードを変化させる場合について説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、符号化機能255は、通知されたURLを、異なる符号化方法によって符号化させることで、コードを変化させることもできる。一例を挙げると、符号化機能255は、情報端末200と携帯端末300との通信接続が確立するごとに、異なる符号化方法によってURLを2次元コード化させる。
【0090】
被検体は、自身の携帯端末300を操作して、ディスプレイ24に表示された2次元コードをカメラで読み取る。これにより、携帯端末300は、画像データのURLを取得する。画像データのURLを取得すると、携帯端末300は、Webブラウザが取得したURLを閲覧するためのHTTPリクエストを情報端末200に送信する。サーバ機能254は、携帯端末300から受信したHTTPリクエストに応じて、携帯端末300のWebブラウザに対してリクエストされたURLの画像データを転送する。なお、携帯端末300におけるWebブラウザの起動は、URLの2次元コードの読み取りに応じて自動で行われる場合でもよく、或いは、携帯端末300が、Webブラウザを起動させる旨のメッセージを表示させ、被検体がWebブラウザを起動することに同意する操作を実行することで行われる場合でもよい。
【0091】
そして、携帯端末300は、情報端末200から画像データが転送されると、例えば、
図6に示すように、Webブラウザで胎児の超音波画像を表示させることができる。ここで、被検体は、Webブラウザにおける画像データを保存するための操作を実行することで、胎児の超音波画像を自身の携帯端末300に保存することができる。ここで、携帯端末300に転送される画像データは、
図6に示すように、画像処理機能252の処理によって個人情報が秘匿化されたものとなっている。なお、
図6は、第1の実施形態に係る携帯端末300における超音波画像の表示の一例を示す図である。
【0092】
上述したように、携帯端末300に対する画像データの転送が完了すると、操作者は、情報端末200と携帯端末300との通信接続を切断するための操作を実行する。例えば、情報端末200が、タッチパネルに通信接続を解除する通信終了ボタンを表示させる。操作者は、情報端末200のタッチパネルに示された通信終了ボタンを押下することで、情報端末200と携帯端末300との通信接続を切断する。
【0093】
図3に戻って、セキュリティ処理機能257は、情報端末200におけるウイルスチェックを行う。例えば、セキュリティ処理機能257は、ウイルス定義ファイルに基づいて、携帯端末300との通信接続が終了した情報端末200におけるウイルスチェックを行う。ここで、ウイルスを検出した場合、セキュリティ処理機能257は、検出したウイルスを除去する。
【0094】
セキュリティ処理機能257によるウイルスチェックが完了すると、制御機能251が超音波診断装置100に通信接続の要求を送信することで、超音波診断装置100との間の通信接続が再度確立される。
【0095】
上述したように、超音波診断システム1では、被検体が自身の携帯端末300で2次元コードを2回読み取るだけで、自身の携帯端末300に画像データを転送させることができ、被検体に対して簡便に画像データを提供するができる。また、超音波診断システム1では、画像データの転送に際して、仮想的なアクセスポイントを用いた通信回線を構築し、構築した通信回線を利用して画像データを転送することで、操作者は専用のアプリケーションをダウンロードするための通信料を負担することなく、所望の画像データを得ることができる。
【0096】
さらに、超音波診断システム1では、情報端末200が携帯端末300と通信接続される場合、情報端末200と超音波診断装置100との通信接続を切断することで、携帯端末300に対する画像データの提供をセキュアに行うことができる。
【0097】
次に、第1の実施形態に係る超音波診断システム1における処理の流れについて説明する。
図7は、第1の実施形態に係る超音波診断システム1における処理の流れを示すシーケンス図である。ここで、
図7においては、超音波診断システム1にセカンドコンソールが適用される場合について示す。
【0098】
図7に示すように、超音波診断システム1においては、超音波診断装置100が、セカンドコンソールを開始するためのセカンドコンソール開始ボタンの押下を受け付けると(ステップS101)、仮想的なアクセスポイントを作成して情報端末200との間の通信接続を確立し、認証情報を表示する(ステップS102)。さらに、超音波診断装置100は、情報端末200から超音波診断装置100を操作するための認証情報の入力要求を情報端末200に対して送信する。
【0099】
情報端末200は、認証情報の入力要求を受信すると、超音波診断装置100に表示された認証情報の入力を受け付けることで、超音波診断装置100に対して認証情報を送信する(ステップS103)。超音波診断装置100は、情報端末200から認証情報を受信すると、受信した認証情報と表示した認証情報とを比較することで、認証処理を実行する(ステップS104)。この認証処理において認証情報が一致すると、超音波診断システム1では、情報端末200による超音波診断装置100の遠隔操作が開始される。
【0100】
その後、情報端末200において携帯端末300との通信開始ボタンの押下が受け付けられると(ステップS105)、情報端末200は、超音波診断装置100との通信接続を遮断し、仮想的なアクセスポイントを作成して、認証情報を符号化して表示させる(ステップS106)。携帯端末300は、符号化された認証情報を読み取ることで認証情報を取得し、取得した認証情報を情報端末200に送信する(ステップS107)。
【0101】
情報端末200は、携帯端末300から認証情報を受信すると、受信した認証情報と符号化した認証情報とを比較することで、認証処理を実行する(ステップS108)。この認証処理において認証情報が一致すると、超音波診断システム1では、情報端末200と携帯端末300との通信接続が開始される。
【0102】
また、情報端末200は、転送する画像データの格納先のアドレスを符号化して表示させる(ステップS109)。携帯端末300は、符号化されたアドレスを読み取ることで画像データのアドレスを取得し、取得したアドレスの閲覧要求を情報端末200に送信する(ステップS110)。情報端末200は、携帯端末300から閲覧要求を受信すると、要求に応じた画像(アドレスに格納されたデータ)を携帯端末300に送信する(ステップS111)。
【0103】
携帯端末300は、情報端末200から画像を受信すると、被検体からの操作を受け付けて、画像を自装置に保存する(ステップS112)。その後、情報端末200において携帯端末300との通信を終了させる通信終了ボタンの押下を受け付けると(ステップS113)、情報端末200は、携帯端末300との接続を遮断して、ウイルスチェックを実行する(ステップS114)。ウイルスチェック後、情報端末200は、超音波診断装置100との通信接続を再開する。
【0104】
次に、第1の実施形態に係る情報端末200による処理の手順について説明する。
図8は、第1の実施形態に係る情報端末200の処理手順を示すフローチャートである。なお、
図8においては、超音波診断装置100との通信接続が確立された後の情報端末200の処理について示す。
【0105】
図8におけるステップS201、202、205、209、212は、例えば、処理回路25が制御機能251に対応するプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS203は、例えば、処理回路25がアクセスポイント機能253に対応するプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS204は、例えば、処理回路25が符号化機能255に対応するプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS206、207は、例えば、処理回路25が認証機能256に対応するプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS208は、例えば、処理回路25が画像処理機能252に対応するプログラム及び符号化機能255に対応するプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS210、211は、例えば、処理回路25がサーバ機能254に対応するプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。また、ステップS213は、例えば、処理回路25がセキュリティ処理機能257に対応するプログラムを記憶回路22から読み出して実行することにより実現される。
【0106】
本実施形態に係る情報端末200では、
図8に示すように、処理回路25が、携帯端末300との通信を開始するボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS201)。ここで、被検体によってボタンが押下されると(ステップS201肯定)、処理回路25は、超音波診断装置100との通信接続を遮断して(ステップS202)、アクセスポイントを作成する(ステップS203)。なお、携帯端末300との通信を開始するボタンが押下されるまで、情報端末200は、超音波診断装置100との通信接続を継続する(ステップS201否定)。
【0107】
そして、処理回路25は、アクセスポイントのSSIDおよびパスワードを含む認証情報を符号化して(ステップS204)、符号化によって得られたコードをディスプレイ24に表示させ(ステップS205)、コード化した認証情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS206)。ここで、認証情報を受け付けると(ステップS206肯定)、処理回路25は、さらに、認証がOKであるか否かを判定する(ステップS207)。
【0108】
ここで、受け付けた認証情報による認証がOKである場合(ステップS207肯定)、処理回路25は、個人情報を秘匿化させた画像データの格納先のアドレスを符号化させ(ステップS208)、符号化によって得られたコードをディスプレイ24に表示させる(ステップS209)。
【0109】
その後、処理回路25は、符号化したアドレスに対する閲覧要求を受信したか否かを判定する(ステップS210)。ここで、閲覧要求を受信すると(ステップS210肯定)、処理回路25は、受け付けたアドレスに対応する画像データを携帯端末300に送信して(ステップS211)、通信終了ボタンが押下されたか否かを判定する(ステップS212)。その後、通信終了ボタンが押下されると(ステップS212肯定)、処理回路25は、情報端末200のウイルスチェックを実行して、超音波診断装置100との通信接続を再開する(ステップS213)。
【0110】
上述したように、第1の実施形態に係る超音波診断システム1によれば、超音波診断装置100が超音波画像を取得する。超音波診断装置100に接続された情報端末200が、超音波診断装置100から転送された超音波画像を記憶し、アクセスポイントの機能を有し、アクセスポイントの識別情報を含む第1コードを表示する。そして、情報端末200は、第1コードを読み取った携帯端末300とネットワーク接続し、当該ネットワークを介して、記憶した超音波画像を携帯端末300に転送する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、超音波診断装置100によって取得された画像データを簡便に携帯端末300に提供することを可能にする。
【0111】
また、第1の実施形態によれば、第1コードは、識別情報に対応するパスワードを含む。従って、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、携帯端末300を所有する被検体がパスワードを入力する手間を省くことができ、より簡便に画像データを提供することを可能にする。
【0112】
また、第1の実施形態によれば、情報端末200は、超音波画像の記憶先の情報を含む第2コードを表示し、携帯端末300が第2コードを読み取った場合に、ネットワークを介して、記憶した超音波画像を携帯端末300に転送する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、携帯端末300を所有する被検体が画像データの格納先の情報を入力する手間を省くことができ、より簡便に画像データを提供することを可能にする。
【0113】
また、第1の実施形態によれば、超音波診断装置100又は情報端末200は、情報端末200と携帯端末300がネットワーク接続される前に、超音波診断装置100と情報端末200の間の接続を無効化する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、被検体が所有する携帯端末300が超音波診断装置100や院内LANに接続されることを回避することができ、セキュアな状態での画像データの転送を実現することを可能にする。
【0114】
また、第1の実施形態によれば、情報端末200は、携帯端末300とのネットワーク接続後であって、超音波診断装置100との再接続前のタイミングで、ウイルススキャンを実行する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、仮に情報端末200に対して携帯端末300からウイルスが侵入したとしても、超音波診断装置100や、院内LANに接続される他の装置にウイルスが侵入することを回避することを可能にする。
【0115】
また、第1の実施形態によれば、情報端末200は、超音波画像を匿名化した状態で、携帯端末300に転送する。従って、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、個人情報が外部に漏えいすることを回避することを可能にする。
【0116】
また、第1の実施形態によれば、識別情報に対応するパスワード及び超音波画像の記憶先の情報は、情報端末200に対して携帯端末300が接続されるごとに変更される。従って、第1の実施形態に係る超音波診断システム1は、画像データの提供をよりセキュアに行うことを可能にする。
【0117】
(第2の実施形態)
さて、これまで第1の実施形態について説明したが、上述した第1の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0118】
上述した実施形態では、携帯端末300に超音波画像のみを転送する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、種々の情報が付加された超音波画像が転送される場合であってもよい。具体的には、情報端末200は、超音波画像に情報が付加された画像データを記憶し、記憶した画像データを携帯端末300に転送する。例えば、情報端末200は、自装置にて表示されている画面データと超音波画像とを示した画像データを携帯端末300に送信することができる。また、例えば、情報端末200は、自装置において超音波画像に付与されたピクトグラムやボディマークなどを付与した状態の画像データを携帯端末300に転送することができる。かかる場合には、画像処理機能252が、上述した画像データを生成する。
【0119】
さらに、情報端末200は、画像データ転送時にさらに情報を付加した画像データを転送することもできる。例えば、情報端末200は、自装置に備えられたカメラによって撮影された画像を超音波画像に合成した画像データを携帯端末300に転送することができる。
図9は、第2の実施形態に係る画像データの一例を示す図である。例えば、情報端末200は、
図9に示すように、胎児の超音波画像に母親の顔写真を合成した画像データを携帯端末300に送信することができる。かかる場合には、まず、操作者が、情報端末200を操作して、母親の顔写真を撮影する。その後、画像処理機能252は、撮影された母親の顔写真を超音波画像に合成した画像データを生成する。ここで、画像処理機能252は、例えば、超音波画像における胎児の領域に重ならない位置に母親の顔写真を合成する。上述したように、第2の実施形態に係る超音波診断システム1においては、超音波画像に情報を付加した画像データを転送することができる。したがって、超音波診断システム1は、携帯端末300に対して種々の情報を提供することを可能にする。
【0120】
また、上述した実施形態では、超音波診断システム1を産科での健診に適用した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波診断システム1のサポートに適用する場合であってもよい。かかる場合には、例えば、超音波診断システム1は、超音波診断システム1をサポートする営業担当者が所有する携帯端末に対して、不具合が生じた画像データを転送する場合などに適用することができる。
【0121】
また、上述した実施形態では、情報端末200と携帯端末300との通信接続を行う際に認証処理を行い、この認証処理によって、画像データの転送が許可される場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、画像データが転送される際に、さらに認証処理が実施される場合でもよい。すなわち、情報端末200は、アクセスポイントの認証情報を符号化したコードを読み取った携帯端末300と通信接続した後に、パスワードによる認証処理を行い、当該認証処理において許可となった携帯端末300に対して画像データを転送する。
【0122】
かかる場合には、例えば、サーバ機能254によって閲覧要求が受信された場合に、制御機能251が、ワンタイムパスワードをディスプレイ24に表示させる。サーバ機能254は、ディスプレイ24に表示されたワンタイムパスワードと一致するパスワードを携帯端末300から受信した場合にのみ、閲覧要求に対応する画像データを携帯端末300に送信する。これにより、超音波診断システム1は、よりセキュアな画像データの提供を行うことを可能にする。
【0123】
また、上述した実施形態では、超音波診断システム1にセカンドコンソールが適用されている場合を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、超音波診断装置100と情報端末とが通信接続されるシステムであれば、どのようなシステムにおいても適用することができる。
【0124】
また、上述した実施形態では、超音波診断装置100と情報端末200との通信接続の無効化(遮断)を情報端末200が実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波診断装置100によって無効化される場合でもよい。かかる場合には、超音波診断装置100は、携帯端末300との通信接続を開始するためのボタンが押下されたことを示す通知を情報端末200から受信した場合に、情報端末200との通信接続を無効化する。
【0125】
また、上述した実施形態では、情報端末200が、画像データを転送する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、超音波診断装置によって画像データが転送される場合であってもよい。すなわち、超音波診断装置100は、超音波画像を取得し、超音波画像を記憶し、アクセスポイントの機能を有し、アクセスポイントの識別情報を含むコードを表示し、コードを読み取った端末とネットワーク接続し、当該ネットワークを介して、記憶した超音波画像を携帯端末300に転送する。
【0126】
かかる場合には、超音波診断装置100における処理回路150が、制御機能251、画像処理機能252、アクセスポイント機能253、サーバ機能254、符号化機能255、認証機能256、セキュリティ処理機能257を実行する。ここで、超音波診断装置100が、携帯端末300に画像データを転送する場合、超音波診断装置100の院内LANとの通信接続が無効化され、携帯端末300との通信接続が遮断された後に、院内LANとの通信接続が再確立される。
【0127】
また、上述した実施形態では、医用システムとして、超音波診断装置を含む超音波診断システム1を1例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、上述した医用情報の転送方法が、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)、HIS(Hospital Information Systems)、RIS(Radiology Information Systems)などのシステムに適用される場合でもよい。
【0128】
かかる場合には、例えば、上記したシステムに含まれるサーバ装置やワークステーションなどの情報処理装置における処理回路が、上述した処理回路150による処理と同様の処理を実行することで、情報端末200や、携帯端末300との間で通信接続し、システムに保持された画像データや医用レポート等の医用情報を送受信する。
【0129】
また、例えば、上述した医用情報の転送方法は、X線CT(Computed Tomography)装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などの他のモダリティを含むシステムに適用される場合でもよい。かかる場合には、例えば、モダリティのコンソール装置やガントリなどにおける処理回路が、上述した処理回路150による処理と同様の処理を実行することで、情報端末200や、携帯端末300との間で通信接続し、各モダリティに保持された画像データ等の医用情報を送受信する。
【0130】
また、上述した実施形態では、超音波診断装置100など医用装置から情報端末に画像データが転送され、情報端末200から携帯端末300に当該画像データを転送する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、携帯端末300から情報端末200に画像データや医用レポート等の医用情報が転送され、情報端末200から医用装置に当該医用情報が転送される場合でもよい。
【0131】
これにより、例えば、転院時に病院間で引き継がれる画像データや、医用レポート、被検体が日常的に取得したバイタルデータなどを記憶した携帯端末300が、情報端末200を介して、院内の医用装置にセキュアかつ容易に画像データや医用レポート等の医用情報を転送することができる。一例を挙げると、被検体が転院する際に、被検体の携帯端末300に転院元の病院の医用装置から上記した方法によって医用情報が転送される。そして、転院先の病院の医用装置に対して、被検体の携帯端末300から医用情報が転送される。ここで、本願の転送方法を用いることにより、セキュアかつ容易に医用情報を転送することができる。以下、携帯端末300からの医用情報の転送について説明する。
【0132】
かかる場合には、例えば、情報端末200において、携帯端末300から画像データや医用レポート等の医用情報を受信するためのボタンが押下されると、アクセスポイント機能253が、アクセスポイントを生成して、SSIDとパスワードを設定する。そして、符号化機能255が、設定されたSSIDとパスワードを2次元コード化する。その後、制御機能251が2次元コードをディスプレイ24に表示させる。
【0133】
被検体は、自身の携帯端末300を操作して、ディスプレイ24に表示された2次元コードをカメラで読み取る。これにより、携帯端末300は、仮想的なアクセスポイントのSSIDとパスワードを取得する。SSIDとパスワードを取得すると、携帯端末300が、取得したSSID及びパスワードと、自装置のMACアドレス等の認証情報を情報端末200に送信することで、情報端末200と携帯端末300との通信接続を行う。
【0134】
認証機能256は、携帯端末300から受信した認証情報に対する認証を行う。具体的には、認証機能256は、通信インターフェース21を介して、携帯端末300より認証情報を受信する。そして、認証機能256は、受信した認証情報に含まれるパスワードと、2次元コード化されたパスワードとを比較する。ここで、認証機能256は、認証情報に含まれるパスワードと2次元コード化されたパスワードとが一致した場合に、携帯端末300と情報端末200との通信接続を許可する。ここで、情報端末200に対する携帯端末300の通信接続が許可された場合に、アクセスポイント機能253は、情報端末200と携帯端末300との通信接続を確立する。
【0135】
ここで、上述したように、情報端末200と携帯端末300とが通信接続される場合、情報端末200と医用装置との通信接続が切断される。すなわち、医用装置又は情報端末200が、情報端末200と携帯端末300とが通信接続される前に、情報端末200と医用装置との通信接続を無効にする。
【0136】
サーバ機能254は、携帯端末300からの画像データや医用レポート等の医用情報のアップロード要求に対して、レスポンスを返す。例えば、サーバ機能254は、Webサーバとして機能し、アップロード画面のURLを閲覧するためのHTTPリクエストを携帯端末300のWebブラウザから受信する。そして、サーバ機能254は、受信したHTTPリクエストに応じて、携帯端末300のWebブラウザに対してアップロード画面を返す。
【0137】
一例を挙げると、サーバ機能254は、まず、携帯端末300から画像データや医用レポート等の医用情報を受信するためのボタンが押下されると、アップロード画面を記憶させた先のURLを符号化機能255に通知する。符号化機能255は、通知されたURLを2次元コード化させる。そして、符号化機能255が、URLを2次元コード化すると、制御機能251が、2次元コードをディスプレイ24に表示させる。
【0138】
被検体は、自身の携帯端末300を操作して、ディスプレイ24に表示された2次元コードをカメラで読み取る。これにより、携帯端末300は、アップロード画面のURLを取得する。アップロード画面のURLを取得すると、携帯端末300は、Webブラウザが取得したURLを閲覧するためのHTTPリクエストを情報端末200に送信する。サーバ機能254は、携帯端末300から受信したHTTPリクエストに応じて、携帯端末300のWebブラウザに対してリクエストされたURLのアップロード画面を転送する。
【0139】
そして、携帯端末300は、情報端末200からアップロード画面が転送されると、例えば、Webブラウザでアップロード画面を表示させることができる。ここで、被検体が、Webブラウザにおけるアップロード画面において、携帯端末300内の画像データや医用レポート等の医用情報をアップロードするための操作を実行することで、携帯端末300が情報端末200に医用情報をアップロードすることができる。情報端末200は、アップロードされた全ての医用情報を記憶回路22に格納する。
【0140】
携帯端末300から全ての医用情報のアップロードが完了すると、操作者は、情報端末200と携帯端末300との通信接続を切断するための操作を実行する。例えば、情報端末200が、タッチパネルに通信接続を解除する通信終了ボタンを表示させる。操作者は、情報端末200のタッチパネルに示された通信終了ボタンを押下することで、情報端末200と携帯端末300との通信接続を切断する。
【0141】
その後、セキュリティ処理機能257によるウイルスチェックが完了すると、制御機能251が医用装置に通信接続の要求を送信することで、医用装置との間の通信接続が確立される。なお、医用装置と情報端末200との通信接続は、上記した超音波診断装置100と情報端末200との通信接続と同様に実施される。
【0142】
医用装置と情報端末200との通信接続が確立されると、操作者は、医用装置を操作して、被検体のデータを開く。例えば、操作者は、被検体の情報を登録するための画面や、検査データの入力画面、電子カルテなどを開く。そして、操作者が、情報端末200に記憶された当該被検体の画像データや医用レポート等の医用情報を取得するための操作を医用装置に対して実行すると、医用装置における処理回路は、情報端末200に対して、医用情報の転送要求を送信する。医用装置から医用情報の転送要求を受信すると、情報端末200の制御機能251は、医用情報、或いは、圧縮後の医用情報を医用装置に送信する。
【0143】
情報端末200から医用情報を受信すると、医用装置における処理回路は、受信した医用情報を自身の記憶回路に格納する。ここで、医用装置における処理回路は、被検体を一意に特定するための識別子などを医用情報に対応付けて、記憶回路に格納する。
【0144】
次に、第2の実施形態に係る医用システムにおける処理の流れについて説明する。
図10は、第2の実施形態に係る医用システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。なお、
図10においては、医用装置400を含む医用システムにおける処理の流れについて示す。ここで、医用装置400は、サーバ装置やワークテーションなどの情報処理装置であってもよく、或いは、超音波診断装置100などのモダリティであってもよい。
【0145】
図10に示すように、医用システムにおいては、携帯端末300との通信開始ボタンの押下が受け付けられると(ステップS301)、情報端末200は、医用装置との通信接続を遮断し、仮想的なアクセスポイントを作成して、認証情報を符号化して表示させる(ステップS302)。携帯端末300は、符号化された認証情報を読み取ることで認証情報を取得し、取得した認証情報を情報端末200に送信する(ステップS303)。
【0146】
情報端末200は、携帯端末300から認証情報を受信すると、受信した認証情報と符号化した認証情報とを比較することで、認証処理を実行する(ステップS304)。この認証処理において認証情報が一致すると、医用システムでは、情報端末200と携帯端末300との通信接続が開始される。
【0147】
通信接続が開始されると、情報端末200は、アップロード画面のアドレスを符号化して表示させる(ステップS305)。携帯端末300は、符号化されたアドレスを読み取ることでアップロード画面のアドレスを取得し、取得したアドレスの閲覧要求を情報端末200に送信する。情報端末200は、携帯端末300から閲覧要求を受信すると、要求に応じたアップロード画面を携帯端末300に送信する。
【0148】
携帯端末300は、情報端末200からアップロード画面を受信すると、被検体からの操作を受け付けて、画像データや医用レポートなどのデータを情報端末200に送信する(ステップS306)。情報端末200は、受信した全てのデータ(医用情報)を保存する(ステップS307)。そして、情報端末200において携帯端末300との通信を終了させる通信終了ボタンの押下を受け付けると(ステップS308)、情報端末200は、携帯端末300との接続を遮断して、ウイルスチェックを実行する(ステップS309)。
【0149】
ウイルスチェック後、医用装置400が、通信開始ボタンの押下を受け付けると(ステップS310)、仮想的なアクセスポイントを作成して情報端末200との間の通信接続を確立し、認証情報を表示する(ステップS311)。さらに、医用装置400は、認証情報の入力要求を情報端末200に対して送信する。
【0150】
情報端末200は、認証情報の入力要求を受信すると、医用装置400に表示された認証情報の入力を受け付けることで、医用装置400に対して認証情報を送信する(ステップS312)。医用装置400は、情報端末200から認証情報を受信すると、受信した認証情報と表示した認証情報とを比較することで、認証処理を実行する(ステップS313)。この認証処理において認証情報が一致すると、医用システムでは、情報端末200と医用装置400との通信接続が開始される。
【0151】
その後、医用装置400において、該当する被検体のデータが開かれ(ステップS314)、医用情報の転送要求を送信される。医用装置400から転送要求を受信すると、情報端末200は、画像データや医用レポートなどのデータを医用装置400に送信する(ステップS315)。医用装置400は、受信した全てのデータを、該当する被検体のデータに対応付けて保存する(ステップS316)。
【0152】
上述したように、第2の実施形態では、情報端末200は、携帯端末300から転送された医用情報を記憶回路22に記憶させ、記憶させた医用情報を医用装置400に転送する。したがって、第2の実施形態に係る医用システムにおいては、被検体が有する携帯端末に記憶された画像データや医用レポートなどの医用情報を、院内の医用装置400にセキュアかつ容易に転送することを可能にする。
【0153】
上述した実施形態では、単一の処理回路(処理回路25及び処理回路150)によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路25(及び処理回路150)は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路25(及び処理回路150)が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0154】
上述した実施形態において図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0155】
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0156】
なお、上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路22、記憶回路140に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路22、記憶回路140にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0157】
ここで、上述した実施形態で説明した医用情報の転送方法は、予め用意された医用情報の転送プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用情報の転送プログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶部等に予め組み込まれて提供される。なお、この医用情報の転送プログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよい。また、この医用情報の転送プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、この医用情報の転送プログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0158】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、簡便に医用情報を提供することができる。
【0159】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0160】
1 超音波診断システム
100 超音波診断装置
25、150 処理回路
151、251 制御機能
252 画像処理機能
154、253 アクセスポイント機能
254 サーバ機能
157、255 符号化機能
156、256 認証機能
257 セキュリティ処理機能
200 情報端末
300 携帯端末