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  • 特許-乗場行先階登録装置 図1
  • 特許-乗場行先階登録装置 図2
  • 特許-乗場行先階登録装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】乗場行先階登録装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B1/14 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023109021
(22)【出願日】2023-07-03
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河島 悠哉
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-148418(JP,A)
【文献】特開平09-136773(JP,A)
【文献】特開2014-034430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0087015(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗場に設けられる操作部と、
前記操作部において任意の第1点の長押ししながら、前記操作部において前記第1点とは異なる第2点が押された場合に、前記第2点が押された回数に基づいて、前記エレベータの行先階を登録する登録部と、を備え、
前記第1点は、前記操作部において、視覚障碍者以外の利用者が前記行先階の登録に利用しないボタンである、乗場行先階登録装置。
【請求項2】
前記登録部は、前記第1点の長押しが止められた場合に、前記行先階の登録完了と判断する、請求項1に記載の乗場行先階登録装置。
【請求項3】
エレベータの乗場に設けられる操作部と、
前記操作部において任意の第1点の長押ししながら、前記操作部において前記第1点とは異なる第2点が押された場合に、前記第2点が押された回数に基づいて、前記エレベータの行先階を登録する登録部と、
前記第1点が長押しされた場合に、視覚障碍者用の前記行先階の登録モードへ移行したことを通知する通知部と、
備える乗場行先階登録装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記第2点が押される度に、登録される前記行先階を通知する、請求項3に記載の乗場行先階登録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、乗場行先階登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗場で目的階(行先階)を予め登録する乗場行先階登録装置が運用されているが、目的階をテンキーで入力する必要があるため、視覚障碍者が通常の乗場行先階登録装置を利用することは困難である。
【0003】
特許文献1では、乗場の視覚障碍者用の専用ボタンを繰り返す押すことで、所定の基準時間内に専用ボタンを押した回数に基づいて、行先階を選択し、乗場呼び登録と同時に行先階の登録を可能する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、乗場行先階登録装置において、タッチパネルと、凸部を有するICカードリーダと、凸部を有する押しボタンと、を設け、視覚障碍者が、ICカードを所持している場合には、凸部よりカードリーダを探して、行先階を登録し、ICカードを所持していない場合には、凸部の押しボタンを押して行先階を登録可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-34066号公報
【文献】特許第6806195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、視覚障碍者用の専用処理に時間制限があり、視覚障碍者が時間内に正しく行先階を登録できない場合がある。また、特許文献2記載の技術では、乗場行先階登録装置が大型化し、視覚障碍者が凸部の押しボタンを探す手間がかかる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の乗場行先階登録装置は、操作部と、登録部と、を備える。操作部は、エレベータの乗場に設けられる。登録部は、操作部において任意の第1点の長押ししながら、操作部において第1点とは異なる第2点が押された場合に、第2点が押された回数に基づいて、エレベータの行先階を登録する。第1点は、操作部において、視覚障碍者以外の利用者が行先階の登録に利用しないボタンである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態にかかる乗場行先階登録装置を適用したエレベータ制御システムの一例の構成例説明図である。
図2図2は、本実施形態にかかるエレベータシステムの行先階登録装置が有する操作部の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態にかかるエレベータシステムの行先階登録装置における行先階の登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本実施形態にかかる乗場行先階登録装置の一例について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態にかかる乗場行先階登録装置を適用したエレベータ制御システムの一例の構成例説明図である。エレベータ制御システム10は、大別すると、複数(図1の例では、3台)のエレベータ11と、エレベータ11の群管理制御を行うエレベータ制御装置12と、エレベータ制御装置12の制御下で各エレベータ11をそれぞれ制御する複数の単体制御装置13と、エレベータ11の乗場に設けられた乗場行先階登録装置の一例である行先階登録装置14と、を備えている。
【0011】
以下の説明において各エレベータ11を識別する必要がある場合には、それぞれ、エレベータ11A(A号機)、エレベータ11B(B号機)、およびエレベータ11C(C号機)と表記するものとする。
【0012】
各エレベータ11のかごには、それぞれ各種アナウンスを行うアナウンス装置がそれぞれ設けられている。
【0013】
エレベータ制御装置12は、行先階登録装置14により行先階呼び(乗場呼び)がなされた場合に、エレベータ11A、エレベータ11B、およびエレベータ11Cに対して既に割り当てられている行先呼びあるいはエレベータ11A、エレベータ11Bおよびエレベータ11Cに対応する既に割り当てられているかご呼びに基づいて、新たな行先階呼びに応答させるエレベータを決定し、割当指令を出力する。
【0014】
単体制御装置13は、対応するいずれか一つのエレベータ11のかごの走行および戸開閉を制御する。
【0015】
行先階登録装置14は、エレベータ11の乗場に設置され、入力された行先階を登録して行先呼びを発生させる。具体的には、行先階登録装置14は、操作部14a、登録部14b、および通知部14cを有する。
【0016】
操作部14aは、エレベータ11の乗場に設けられる操作部の一例である。例えば、操作部14aは、テンキー、または、物理的なボタンが付いていないタッチパネルであっても良い。
【0017】
登録部14bは、操作部14aにおいて任意の第1点を長押ししながら、当該操作部14aにおいて第1点とは異なる第2点が押された場合に、第2点が押された回数に基づいて、エレベータ11の行先階を登録する登録部の一例である。例えば、登録部14bは、操作部の任意のボタン(第1点の一例)を長押ししながら、別のボタン(第2点の一例)を、目的階(行先階)の階床数と同じ回数押すことで、行先階の呼び登録を行う。そして、登録部14bは、第1点の長押しが止められた場合に、行先階の登録完了と判断しても良い。
【0018】
これにより、標準的な構造の行先階登録装置14に対して、視覚障碍者のための操作方法を設けることができるので、視覚障碍者でも簡単かつ正確に行先階を登録できる機能をソフトウェア制御によって実現できる。また、行先階登録装置14以外に視覚障碍者用の呼び登録装置を別に設ける必要が無くなるので、装置の大型化やシステムの複雑化を防止できる。
【0019】
また、従来は、エレベータ11の乗場での行先階の登録が困難な視覚障碍者のために少なくとも1台のエレベータ11を視覚障碍者用の号機とする必要があり、複数台のエレベータ11の制御において運転効率の向上を図る行先階登録装置の意義に反する場合がある。しかしながら、本実施形態にかかる行先階登録装置14によれば、視覚障碍者用の号機を設けることなく、視覚障碍者に対して行先階登録装置14の運用を実施できるので、運転効率への影響を抑制しつつ、視覚障碍者による乗場で行先階の登録を可能とする。
【0020】
ここで、長押しとは、予め設定された時間以上、第1点を押し続けることを含む。また、ここで、第1点は、操作部14aにおいて、視覚障碍者以外の利用者が行先階の登録に普段使用しないボタン(例えば、「*」ボタン、「♯」ボタン)、またはテンキーとは別途設置された凹凸ボタンであっても良い。これにより、視覚障碍者以外の利用者が操作部14aの第1点を長押ししてしまった場合に、視覚障碍者用の行先階の登録モードに切り替わることを防止できる。
【0021】
通知部14cは、第1点が長押しされた場合に、視覚障碍者用の行先階の登録モードに移行したことを通知する通知部の一例である。例えば、通知部14cは、音声の出力によって、視覚障碍者用の行先階の登録モードに移行したことを通知しても良い。また、通知部14cは、第2点が押される度に、登録される行先階を通知しても良い。例えば、通知部14cは、視覚障碍者用の行先階の登録モードに移行した場合に、第2点が押される度に、登録する行先階を示す音声を出力しても良い。
【0022】
図2は、本実施形態にかかるエレベータシステムの行先階登録装置が有する操作部の一例を示す図である。本実施形態では、行先階登録装置14の操作部14aは、図2に示すように、テンキー、および「*」ボタンを有していても良い。そして、登録部14bは、任意のボタン(例えば、「*」ボタン)が所定時間長押しされると、視覚障碍者用の行先階の登録モードに移行する。
【0023】
その際、通知部14cは、行先階の登録方法が切り替わったことを通知する音声(アナウンス)を出力しても良い。例えば、通知部14cは、「呼び登録方法が切り替わりました。長押ししたまま、目的階の階床数だけ別のボタンを押して下さい。」等の音声を出力しても良い。
【0024】
その後、任意のボタン以外のボタン、即ち、第1点以外のボタン(例えば、「6」ボタン)が複数回押されると、登録部14bは、当該ボタンが押された回数に基づいて、行先階の登録を行う。登録部14bは、登録する行先階を、当該ボタンが押された回数に応じて増やす。その際、通知部14cは、登録された行先階(例えば、「××階」)を通知する音声を出力しても良い。
【0025】
そして、登録部14bは、任意のボタンの長押しが解除されると、行先階の登録完了と判断する。
【0026】
図3は、本実施形態にかかるエレベータシステムの行先階登録装置における行先階の登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、登録部14bは、操作部14aの任意の第1点が長押しされたか否かを判断する(ステップS301)。
【0027】
第1点が長押しされた場合(ステップS301:Yes)、登録部14bは、視覚障碍者用の行先階の登録モードに切り替える(ステップS302)。その際、通知部14cは、視覚障碍者用の行先階の登録モードに切り替わったことを通知する(ステップS303)。
【0028】
次に、登録部14bは、操作部14aの第2点が押下されたか否かを判断する(ステップS304)。第2点が押下された場合(ステップS304:Yes)、登録部14bは、登録する行先階を1階増やす(ステップS305)。その際、通知部14cは、登録する行先階を通知する(ステップS306)。
【0029】
次に、登録部14bは、第1点の長押しが解除されたか否かを判断する(ステップS307)。第1点が長押しされたままの場合(ステップS307:No)、登録部14bは、ステップS304に戻り、第2点が押下されたか否かを判断する。一方、第1点の長押しが解除された場合(ステップS307:Yes)、登録部14bは、第2点が押された回数を行先階として登録し、行先階の登録を完了する(ステップS308)。
【0030】
このように、本実施形態にかかるエレベータ制御システム10によれば、標準的な構造の行先階登録装置14に対して、視覚障碍者のための操作方法を設けることができるので、視覚障碍者でも簡単かつ正確に行先階を登録できる機能をソフトウェア制御によって実現できる。
【0031】
なお、本実施形態の行先階登録装置14で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の行先階登録装置14で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成しても良い。
【0032】
さらに、本実施形態の行先階登録装置14で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の行先階登録装置14で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0033】
本実施形態の行先階登録装置14で実行されるプログラムは、上述した各部(登録部14b、および通知部14c)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、登録部14b、および通知部14cが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
10 エレベータ制御システム
11 エレベータ
12 エレベータ制御装置
13 単体制御装置
14 行先階登録装置
14a 操作部
14b 登録部
14c 通知部
【要約】
【課題】視覚障碍者でも簡単かつ正確に行先階を登録できる機能をソフトウェア制御によって実現する乗場期先階登録装置を提供する。
【解決手段】実施形態の乗場行先階登録装置は、操作部と、登録部と、を備える。操作部は、エレベータの乗場に設けられる。登録部は、操作部において任意の第1点の長押ししながら、操作部において第1点とは異なる第2点が押された場合に、第2点が押された回数に基づいて、エレベータの行先階を登録する。
【選択図】図1
図1
図2
図3