(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01K 1/20 20060101AFI20240408BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20240408BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G01K1/20
G08C15/00 D
H02J13/00 301A
(21)【出願番号】P 2023110397
(22)【出願日】2023-07-05
【審査請求日】2023-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】馬場 貴志
(72)【発明者】
【氏名】今城 克樹
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-142836(JP,A)
【文献】特開2013-158217(JP,A)
【文献】特開2012-122966(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
G08C 13/00-25/04
H02J 1/00-50/90
H02H 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に
対して単位時間当たりに供給される電力量を特定する
とともに、前記一以上の電気機器に対して電力が供給されてから現在時刻までの経過時間を特定する特定部と、
前記特定部が特定した
前記単位時間当たりに供給される電力量
と、前記経過時間とに基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出する算出部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記特定部は、所定の時間間隔で前記一以上の電気機器に対して供給される電力量の累積値と、前記累積値を測定した時刻とが関連付けて記憶される記憶部を参照し、前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に対して現在時刻よりも所定時間前の時刻から、現在時刻までの所定期間に供給された電力量の累積値を特定し、前記所定期間と、特定した累積値とに基づいて前記一以上の電気機器に対して単位時間当たりに供給される電力量を特定する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記単位時間当たりに供給される電力量の複数の範囲と、当該範囲に対応する前記経過時間と前記補正値との関係を示す関係情報とを関連付けて記憶する記憶部を参照し、前記特定部が特定した前記単位時間当たりに供給される電力量に対応する範囲に関連付けられている関係情報を特定し、特定した関係情報と、前記特定部が特定した経過時間とに基づいて、前記補正値を算出する、
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に供給される電力量を特定するとともに、前記電力供給装置のプラグが前記コンセントに接続されてからの経過時間を特定
する特定部と、
前記特定部が特定した電力量に基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出し、前記ソケットに所定時間にわたって電気機器が接続されていない状態である無負荷状態である場合に、前記無負荷状態である場合における前記経過時間と前記補正値との関係を示す関係情報と、前記特定部が特定した経過時間とに基づいて、前記補正値を算出する
算出部と、
を有する情報処理装置。
【請求項5】
外部装置と通信を行う通信部と、
前記電力供給装置の温度を示す温度情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した温度情報が示す温度と前記算出部が算出した前記補正値とに基づく前記電力供給装置が設置されている場所の温度を示す情報を前記外部装置に送信する送信部と、
をさらに有する、
請求項
1又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが実行する、
コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に
対して単位時間当たりに供給される電力量を特定する
とともに、前記一以上の電気機器に対して電力が供給されてから現在時刻までの経過時間を特定するステップと、
特定した
前記単位時間当たりに供給される電力量
と、前記経過時間とに基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータが実行する、
コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に供給される電力量を特定するとともに、前記電力供給装置のプラグが前記コンセントに接続されてからの経過時間を特定するステップと、
特定した電力量に基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出し、前記ソケットに所定時間にわたって電気機器が接続されていない状態である無負荷状態である場合に、前記無負荷状態である場合における前記経過時間と前記補正値との関係を示す関係情報と、特定した経過時間とに基づいて、前記補正値を算出するステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に
対して単位時間当たりに供給される電力量を特定する
とともに、前記一以上の電気機器に対して電力が供給されてから現在時刻までの経過時間を特定する特定部、及び、
前記特定部が特定した
前記単位時間当たりに供給される電力量
と、前記経過時間とに基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出する算出部、
として機能させるプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に供給される電力量を特定するとともに、前記電力供給装置のプラグが前記コンセントに接続されてからの経過時間を特定する特定部、及び、
前記特定部が特定した電力量に基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出し、前記ソケットに所定時間にわたって電気機器が接続されていない状態である無負荷状態である場合に、前記無負荷状態である場合における前記経過時間と前記補正値との関係を示す関係情報と、前記特定部が特定した経過時間とに基づいて、前記補正値を算出する算出部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、見守り対象となるユーザの状況を、ユーザの居住環境の温度や家電製品の動作状況に基づいて判定するシステムが提供されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの居住環境の温度や家電製品の動作状況を特定するために、電源タップ等のコンセントから供給される電力を電気機器に供給する電力供給装置に温度センサ等の各種センサを組み込むことが考えられる。しかしながら、電力供給装置が電気機器に供給する電力により電力供給装置が発熱し、ユーザの居住環境の温度を精度良く測定することができないという問題が生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザの居住環境の温度の測定誤差を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る情報処理装置は、コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に供給される電力量を特定する特定部と、前記特定部が特定した電力量に基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出する算出部と、を有する。
【0007】
前記特定部は、前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に対して単位時間当たりに供給される電力量を特定するとともに、前記一以上の電気機器に対して電力が供給されてから現在時刻までの経過時間を特定し、前記算出部は、前記特定部が特定した前記単位時間当たりに供給される電力量と、前記経過時間とに基づいて、前記補正値を算出してもよい。
【0008】
前記特定部は、所定の時間間隔で前記一以上の電気機器に対して供給される電力量の累積値と、前記累積値を測定した時刻とが関連付けて記憶される記憶部を参照し、前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に対して現在時刻よりも所定時間前の時刻から、現在時刻までの所定期間に供給された電力量の累積値を特定し、前記所定期間と、特定した累積値とに基づいて前記一以上の電気機器に対して単位時間当たりに供給される電力量を特定してもよい。
【0009】
前記算出部は、前記単位時間当たりに供給される電力量の複数の範囲と、当該範囲に対応する前記経過時間と前記補正値との関係を示す関係情報とを関連付けて記憶する記憶部を参照し、前記特定部が特定した前記単位時間当たりに供給される電力量に対応する範囲に関連付けられている関係情報を特定し、特定した関係情報と、前記特定部が特定した経過時間とに基づいて、前記補正値を算出してもよい。
【0010】
前記特定部は、前記電力供給装置のプラグが前記コンセントに接続されてからの経過時間を特定し、前記算出部は、前記ソケットに所定時間にわたって電気機器が接続されていない状態である無負荷状態である場合に、前記無負荷状態である場合における前記経過時間と前記補正値との関係を示す関係情報と、前記特定部が特定した経過時間とに基づいて、前記補正値を算出してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、外部装置と通信を行う通信部と、前記電力供給装置の温度を示す温度情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した温度情報が示す温度と前記算出部が算出した前記補正値とに基づく前記電力供給装置が設置されている場所の温度を示す情報を前記外部装置に送信する送信部と、をさらに有してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する、コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に供給される電力量を特定するステップと、特定した電力量に基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出するステップと、を有する。
【0013】
本発明の第3の態様に係るプログラムは、コンピュータを、コンセントに接続するプラグと、電気機器のプラグと接続する一以上のソケットとを有し、前記コンセントから供給される電力を前記ソケットに接続された一以上の電気機器に供給する電力供給装置の前記ソケットに接続された前記一以上の電気機器に供給される電力量を特定する特定部、及び、前記特定部が特定した電力量に基づいて、前記電力供給装置が測定した前記電力供給装置の温度を、前記電力供給装置が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出する算出部、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザの居住環境の温度の測定誤差を小さくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】供給電力量と経過時間と温度補正値との関係を示す図である。
【
図5】関係情報特定用テーブルの一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[情報処理装置10の概要]
図1は、スマートプラグ1の概要を説明する図である。スマートプラグ1は、ユーザの居住環境に設けられ、電力を供給するためのコンセントに接続するプラグ2と、電気機器のプラグと接続するソケット3とを有し、コンセントから供給される電力をソケット3に接続された電気機器に供給する電力供給装置である。なお、
図1において、スマートプラグ1は一つのソケット3が設けられているが、これに限らず、複数のソケット3が設けられていてもよい。
【0017】
スマートプラグ1は、照度センサ4、人感センサ5、電力計6、温度センサ7等の各種センサと、情報処理装置10とを有し、各種センサの検出状況に基づいて、ユーザの居住環境である室内の状況を外部に通知する機能を有する。
【0018】
スマートプラグ1の情報処理装置10は、室内の状況として、照度センサ4が検出した室内に設けられている照明の点灯状況、人感センサ5が検出した室内における人の存在状況、電力計6が測定したソケット3に接続された電気機器による電力の消費状況、及び温度センサ7が検出した室内の温度を、室内の状況を管理するサーバ(不図示)に通知する。
【0019】
ところで、ソケット3に接続されている電気機器に対してスマートプラグ1が供給する電力によりスマートプラグ1が発熱し、温度センサ7が検出した温度がスマートプラグ1の周囲の温度に比べて高くなってしまう。これに対し、情報処理装置10は、スマートプラグ1が電気機器に供給した電力量に基づいて、温度センサが測定した温度を、スマートプラグ1が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出する。このようにすることで、スマートプラグ1は、補正値により温度センサが測定した温度を補正し、自身が設置されているユーザの居住環境である室内の温度の測定誤差を小さくすることができる。
【0020】
[情報処理装置10の機能構成]
続いて、情報処理装置10の機能構成について説明する。なお、情報処理装置10は、上述したように各種センサが検出した室内の状況を示す状況情報をサーバに通知するが、以下の説明では、スマートプラグ1が設置されている室内の温度を通知する機能に着目して説明を行う。
【0021】
図2は、情報処理装置10の機能構成を示す図である。情報処理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。
通信部11は、スマートプラグ1が設置されている室内の状況を示す状況情報を管理するサーバとデータを送受信するための通信インターフェースである。
【0022】
記憶部12は、各種のデータを記憶する記憶媒体であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びハードディスク等を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、制御部13を、特定部131、取得部132、算出部133及び送信部134として機能させるプログラムを記憶する。
【0023】
また、記憶部12は、電力計6による、スマートプラグ1が電気機器に対して供給する電力量の測定履歴を示す測定履歴情報を記憶する。
図3は、測定履歴情報の一例を示す図である。
図3に示すように、測定履歴情報は、電力計6が測定した、スマートプラグ1が電気機器に対して供給する電力量の累積値を示す測定結果情報と、当該累積値の測定時刻とを関連付けた情報である。例えば、記憶部12には、所定回数(例えば12回)分の測定履歴情報を記憶する記憶領域が設けられており、最大で所定回数分の測定結果情報が記憶される。
【0024】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、特定部131、取得部132、算出部133及び送信部134として機能する。
【0025】
特定部131は、ソケット3に接続された電気機器に供給される電力量の測定結果を示す測定結果情報を電力計6から取得する。例えば、特定部131は、ソケット3に接続された電気機器に供給される電力量の累積値を示す測定結果情報を電力計6から取得する。例えば、電力計6は、スマートプラグ1のプラグ2がコンセントに接続されている場合に、スマートプラグ1がソケット3に接続されている電気機器に対して供給する電力量を測定する。電力計6は、電気機器に供給される電力量の累積値を示す測定結果情報を情報処理装置10に出力する。
【0026】
特定部131は、第1の時間間隔(例えば5分)で、電力計6から測定結果情報を取得する。特定部131は、測定結果情報を取得すると、スマートプラグ1が負荷状態であるか、無負荷状態であるかを特定する。負荷状態は、スマートプラグ1がソケット3に接続された電気機器に対して電力を供給している状態である。無負荷状態は、ソケット3に電気機器が接続されていないか、ソケット3に接続されている電気機器の電源がOFFであり、スマートプラグ1が当該電気機器に対して電力を供給していない状態である。
【0027】
例えば、特定部131は、(1)記憶部12に測定履歴情報が記憶されていない場合、(2)記憶部12に記憶されている最新の測定履歴情報に含まれる測定時刻と、現在時刻との差が、所定期間(例えば1時間)よりも大きい場合、(3)記憶部12に記憶されている所定期間内の最新の測定履歴情報の電力量の累積値と、最古の測定履歴情報の電力量の累積値との差が0である場合、の少なくともいずれか一つの条件を満たしたときに、スマートプラグ1が無負荷状態であると判定する。特定部131は、スマートプラグ1が無負荷状態であると判定しなかった場合に、スマートプラグ1が負荷状態であると判定する。
【0028】
特定部131は、スマートプラグ1が負荷状態である場合に、スマートプラグ1のソケット3に接続された一以上の電気機器に供給される電力量を特定する。特定部131は、スマートプラグ1が負荷状態である場合に、ソケット3に接続された一以上の電気機器に対して単位時間(例えば1時間)当たりに供給される電力量を特定する。
【0029】
具体的には、特定部131は、第1の時間間隔で一以上の電気機器に対して供給される電力量の累積値と、当該累積値を測定した測定時刻とを関連付けて測定履歴情報として記憶する記憶部12を参照し、ソケット3に接続された一以上の電気機器に対して現在時刻よりも第2の時間(例えば1時間)前の時刻から、現在時刻までの所定期間に供給された電力量の累積値を特定する。そして、特定部131は、所定期間と、特定した累積値とに基づいて、一以上の電気機器に対して単位時間当たりに供給される電力量を特定する。ここで、第2の時間は第1の時間よりも長い時間であるものとする。
【0030】
例えば、特定部131は、記憶部12に記憶されている最新の測定履歴情報と、最古の測定履歴情報とを特定し、最新の測定履歴情報の測定時刻と、最古の測定履歴情報の測定時刻との時間差を、一以上の電気機器に対して電力が供給されてから現在時刻までの経過時間である負荷時経過時間と特定する。また、特定部131は、最新の測定履歴情報に含まれる電力量の累積値から、最古の測定履歴情報に含まれる電力量の累積値を減算し、期間内電力消費量を算出する。特定部131は、期間内電力消費量を、特定した負荷時経過時間で除算することにより、一以上の電気機器に対して単位時間当たりに供給される電力量である供給電力量を特定する。
【0031】
ここで、記憶部12には、最大で所定回数分(例えば12回)の測定結果情報が記憶されるとともに、第1の時間間隔(例えば5分)で測定結果情報が記憶部12に記憶されることから、所定回数と第1の時間間隔とに基づいて経過時間の上限値が設定されることとなる。特定部131は、当該上限値以下の経過時間を特定するものとする。
【0032】
特定部131は、スマートプラグ1が無負荷状態である場合に、スマートプラグ1のプラグ2がコンセントに接続されてからの経過時間を無負荷時経過時間として特定する。例えば、特定部131は、記憶部12に記憶されている、現在時刻から第2の時間前よりも新しい測定時刻を有する測定履歴情報のうち、最も古い測定履歴情報の測定時刻から、現在時刻までの経過時間を無負荷時経過時間として特定する。
【0033】
特定部131は、供給電力量及び経過時間を特定すると、測定結果情報を取得した時刻を測定時刻とし、取得した測定結果情報と、測定時刻とを関連付けて測定履歴情報として記憶部12に記憶させる。特定部131は、記憶部12に所定回数分の測定履歴情報が記憶されている場合には、最も古い測定履歴情報を削除し、取得した測定結果情報と、測定時刻とを関連付けて測定履歴情報として記憶部12に記憶させる。
【0034】
取得部132は、スマートプラグ1の温度を示す温度情報を取得する。具体的には、取得部132は、スマートプラグ1に設けられている温度センサ7が測定したスマートプラグ1の温度を示す温度情報を、温度センサ7から取得する。
【0035】
算出部133は、特定部131が特定した電力量に基づいて、取得部132が取得した温度情報が示す温度を、スマートプラグ1が設置されている場所の温度に補正するための補正値である温度補正値を算出する。例えば、算出部133は、特定部131が特定した単位時間当たりに供給される電力量である供給電力量と、経過時間とに基づいて、温度補正値を算出する。
【0036】
例えば、記憶部12には、スマートプラグ1の状態と、単位時間当たりに供給される電力量である供給電力量の複数の範囲と、当該範囲に対応する経過時間と温度補正値との関係を示す関係情報とを関連付けた関係情報特定用テーブルが記憶されている。
【0037】
ここで、供給電力量と経過時間と温度補正値との関係について説明する。
図4は、供給電力量と経過時間と温度補正値との関係を示す図である。曲線W1、W2、W3は、供給電力量が第1の供給電力量、第2の供給電力量、第3の供給電力量である場合における経過時間と温度補正値との関係を示している。第2の供給電力量は第1の供給電力量よりも大きく、第3の供給電力量は第2の供給電力量よりも大きいものとする。
【0038】
図4に示すように、同じ経過時間における温度補正値は、供給電力量が大きくなればなるほど大きくなる。また、温度補正値は、時間が経過するに従って大きくなる。しかしながら、経過時間が所定期間(例えば1時間)を超える付近から、スマートプラグ1の自然冷却と、電気機器の電力消費に伴うスマートプラグ1の温度上昇とがつり合い、温度補正値が略一定となる。なお、経過時間と、温度補正値との関係を示す関係情報は、経過時間の入力に対して補正値を出力する関数であるものとするが、これに限らず、複数の経過時間それぞれに対して補正値を関連付けたテーブル情報であってもよい。
【0039】
図5は、関係情報特定用テーブルの一例を示す図である。
図5において、T_corrは、温度補正値を示しており、tは経過時間を示している。また、f
ci(t)(ただし、iは0以上の整数)は、関係情報である、温度補正値を算出するための関数である補正値算出関数を示している。
図5において、スマートプラグ1の状態1と、供給電力量Wの複数の範囲それぞれとに対して、補正値算出関数が関連付けられていることが確認できる。
【0040】
なお、
図5において、関係情報特定用テーブルには、スマートプラグ1の状態が含まれているが、これに限らない。供給電力量Wの算出結果に基づいて、スマートプラグ1の状態が無負荷状態であるか、負荷状態であるかを特定することができることから、関係情報特定用テーブルにスマートプラグ1の状態が含まれないようにしてもよい。
【0041】
算出部133は、記憶部12に記憶されている関係情報特定用テーブルを参照し、特定部131が特定した単位時間当たりに供給される電力量である供給電力量に対応する範囲に関連付けられている関係情報としての補正値算出関数を特定する。例えば、算出部133は、スマートプラグ1の状態が負荷状態である場合には、記憶部12を参照し、負荷状態に関連付けられているとともに、特定部131が特定した供給電力量に対応する範囲に関連付けられている補正値算出関数を特定する。
【0042】
ここで、特定部131は、供給履歴情報が示す、現在時刻よりも第2の時間前の時刻から、現在時刻までの所定期間に供給された電力量に基づいて、単位時間当たりに供給される電力量を特定する。このため、電気機器に電力が供給されなくなった後に特定部131が特定する単位時間当たりに供給される電力量は徐々に小さくなる。これにより、算出部133は、電気機器に電力が供給されなくなった後におけるスマートプラグ1の冷却状態に対応する補正値算出関数を特定することができる。
【0043】
また、算出部133は、スマートプラグ1の状態が無負荷状態である場合には、記憶部12を参照し、無負荷状態に関連付けられており、無負荷状態である場合における経過時間(無負荷時経過時間)と温度補正値との関係を示す補正値算出関数を特定する。
【0044】
そして、算出部133は、特定した補正値算出関数と、特定部131が特定した経過時間とに基づいて補正値を算出する。例えば、算出部133は、スマートプラグ1の状態が負荷状態である場合には、特定した補正値算出関数に、負荷時経過時間を入力することにより、温度補正値を算出する。例えば、算出部133は、スマートプラグ1の状態が無負荷状態である場合には、特定した補正値算出関数に、無負荷時経過時間を入力することにより、温度補正値を算出する。
【0045】
送信部134は、取得部132が取得した温度情報が示す温度と、算出部133が算出した温度補正値とに基づく、スマートプラグ1が設置されている場所の温度を示す情報を外部装置としてのサーバに送信する。例えば、送信部134は、第1の時間間隔で、取得部132が取得した温度情報が示す温度から、算出部133が算出した温度補正値を減算し、スマートプラグ1が設置されている場所の温度を算出する。そして、送信部134は、算出した温度を示す温度情報と、当該温度を算出した時刻とをサーバに送信する。このようにすることで、サーバ側において、スマートプラグ1が設置されている居住環境の温度を把握することができる。
【0046】
なお、送信部134は、温度を算出したことに応じたタイミング、すなわち、第1の時間間隔で、温度情報と、当該温度を算出した時刻とをサーバに送信することとしたが、これに限らない。例えば、制御部13が設定部として機能し、温度情報をサーバに送信する時間間隔を受け付けたことに応じて、当該時間間隔を設定し、送信部134が、当該時間間隔で、温度情報と、当該温度を算出した時刻とをサーバに送信してもよい。また、送信部134は、第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔で、温度情報と、当該温度を算出した時刻とをサーバに送信するようにしてもよい。第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔で温度情報をサーバに送信することにより、情報処理装置10は、データの送信処理に係る消費電力を低減させたり、サーバに送信する通信データ量を削減したりすることができる。
【0047】
[動作フロー]
続いて、情報処理装置10に係る処理の流れについて説明する。
図6は、情報処理装置10に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートは、第1の時間間隔で実行されるものとする。
【0048】
まず、特定部131は、電力計6から測定結果情報を取得することにより、現時点の供給電力量の累積値を特定する(S1)。
続いて、特定部131は、記憶部12に記憶されている、現在時刻から第2の時間前よりも新しい測定時刻を有する測定履歴情報を参照して、最新の供給電力量の累積値と、最古の供給電力量の累積値とを特定する(S2)。
【0049】
続いて、特定部131は、最新の供給電力量の累積値と、最古の供給電力量の累積値と、これらの累積値に関連付けられている測定時刻とに基づいて、スマートプラグの状態が負荷状態であるか、無負荷状態であるかを特定する(S3)。
【0050】
続いて、特定部131は、最新の供給電力量の累積値と、最古の供給電力量の累積値と、これらの累積値に関連付けられている測定時刻とに基づいて、単位時間当たりの供給電力量を特定する(S4)。
【0051】
続いて、特定部131は、最新の供給電力量の累積値に関連付けられている測定時刻と、最古の供給電力量の累積値に関連付けられている測定時刻とに基づいて、経過時間を特定する(S5)。
【0052】
続いて、算出部133は、記憶部12に記憶されている関係情報特定用テーブルを参照し、S4において特定した供給電力量に対応する範囲に関連付けられている補正値算出関数を特定する(S6)。
続いて、算出部133は、S6において特定した補正値算出関数に、S5において特定した経過時間を入力し、温度補正値を算出する(S7)。
【0053】
続いて、送信部134は、取得部132が取得した温度情報が示す温度から、算出部133が算出した温度補正値を減算し、スマートプラグ1が設置されている場所の温度を算出する(S8)。そして、送信部134は、算出した温度を示す温度情報と、当該温度を算出した時刻とをサーバに送信する(S9)。
【0054】
[変形例1]
上述の実施の形態において、情報処理装置10は、スマートプラグ1に設けられることとしたが、これに限らない。例えば、スマートプラグ1が測定した各種情報を収集するサーバが情報処理装置10として機能してもよい。この場合、スマートプラグ1は、電力計6が測定した電気機器に供給される電力量の累積値を示す測定結果情報と、温度センサ7が測定したスマートプラグ1の温度を示す温度情報とをサーバに送信する。サーバは、受信した測定結果情報が示す電力量の累積値に基づいて、温度補正値を算出する。このようにすることで、情報処理装置10がスマートプラグ1に設けられている場合と同様に、スマートプラグ1が設置されているユーザの居住環境の温度の測定誤差を小さくすることができる。
【0055】
[変形例2]
また、上述の実施の形態において、特定部131は、ソケット3に接続された電気機器に供給される電力量の測定結果を示す測定結果情報として、ソケット3に接続された電気機器に供給される電力量の累積値を示す測定結果情報を電力計6から取得したが、これに限らない。特定部131は、ソケット3に接続された電気機器に第1の時間あたりに供給された電力量を示す測定結果情報を電力計6から取得してもよい。そして、特定部131は、当該測定結果情報に基づいて、単位時間当たりに供給される電力量を特定してもよい。
【0056】
[情報処理装置10による効果]
以上説明したように、本実施の形態に係る情報処理装置10は、スマートプラグ1のソケット3に接続された一以上の電気機器に供給される電力量を特定し、スマートプラグ1の温度を示す温度情報を取得し、特定した電力量に基づいて、取得した温度情報が示す温度を、スマートプラグ1が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出する。このようにすることで、情報処理装置10は、ユーザの居住環境の温度の測定誤差を小さくすることができる。
【0057】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0058】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0059】
1 スマートプラグ
2 プラグ
3 ソケット
4 照度センサ
5 人感センサ
6 電力計
7 温度センサ
10 情報処理装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 特定部
132 取得部
133 算出部
134 送信部
【要約】
【課題】ユーザの居住環境の温度の測定誤差を小さくする。
【解決手段】情報処理装置10は、コンセントに接続するプラグ2と、電気機器のプラグと接続する一以上のソケット3とを有し、コンセントから供給される電力をソケット3に接続された一以上の電気機器に供給するスマートプラグ1のソケット3に接続された一以上の電気機器に供給される電力量を特定する特定部131と、特定した電力量に基づいて、スマートプラグ1が測定したスマートプラグ1の温度を、スマートプラグ1が設置されている場所の温度に補正するための補正値を算出する算出部133とを有する。
【選択図】
図2