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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 23/30 20060101AFI20240408BHJP
   H01H 25/04 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01H23/30
H01H25/04 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023538247
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2022010659
(87)【国際公開番号】W WO2023007815
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-11-28
(31)【優先権主張番号】P 2021122184
(32)【優先日】2021-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】土谷 智明
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-225390(JP,A)
【文献】特開2006-140060(JP,A)
【文献】国際公開第2017/217027(WO,A1)
【文献】実開平4-127935(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0012237(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 23/30
H01H 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に支持され、操作者からの操作力を受けて回動する操作ノブと、
前記操作ノブが回動する回動方向に対して交差する方向に揺動可能に設けられ、前記操作ノブが第1角度範囲にて回動した時に揺動して第1動作を行い、前記操作ノブが前記第1角度範囲に続く第2角度範囲にて回動した時に揺動して、前記第1動作に続く第2動作を行うカム部材と、
前記筐体の内部に設けられる基板と、
前記基板上に設けられ、
前記カム部材の前記第1動作に合わせてオンされる第1スイッチと、
前記カム部材の前記第2動作に合わせてオンされる第2スイッチと
を備え、
前記操作力から開放された時には、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチからの復帰力によって前記操作ノブが自動復帰する入力装置であって、
前記カム部材の前記第1動作によってスライドされて、前記第1スイッチを前記基板に対して垂直な方向に押圧する第1アクチュエータと、
前記カム部材の前記第2動作に合よってスライドされて、前記第2スイッチを前記基板に対して垂直な方向に押圧する第2アクチュエータと
を有することを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記カム部材は、前記筐体に対してスナップイン係止することの可能な係止部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記自動復帰が完了した非操作状態において、前記カム部材の前記係止部と当接し、前記係止部を支持する揺動支点部を有し、
前記カム部材の前記揺動する方向に垂直な方向から見た時、前記係止部は凸角の頂点であり、前記揺動支点部は、凹角の頂点である
ことを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記筐体は、
前記操作ノブを支持する壁部と、
前記壁部に支持され、前記回動方向と交差する向きに延設された梁部とを有し、
前記筐体の前記揺動支点部は、前記梁部に設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記梁部は、板形状を有して弾性変形可能に設けられる
ことを特徴とする請求項4に記載の入力装置。
【請求項6】
前記基板に対して垂直な方向から見た平面視において、前記揺動支点部が前記操作ノブと重なって配置される
ことを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【請求項7】
前記カム部材は、前記カム部材が揺動する方向において、前記係止部を間に挟んで前記係止部の両側に設けられる一対の第1テーパ部を有し、
前記筐体は、前記カム部材が揺動する方向において、前記揺動支点部を間に挟んで前記揺動支点部の両側に設けられる一対の第2テーパ部を有する
ことを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項8】
前記凸角の角度は、前記凹角の角度より小さい
ことを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記カム部材が揺動する方向と平行な平面形状を有するガイド面を有し、
前記カム部材は、前記ガイド面と当接し、前記カム部材が揺動した時には前記ガイド面と摺動する被摺動部を有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項10】
前記基板に対して垂直な方向から見た平面視において、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチは、前記操作ノブと重なって配置される
ことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項11】
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはラバードームスイッチである
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、操作ノブの回動操作位置に応じて、第1のスイッチと第2のスイッチとを2段階でオンにすることが可能なパワーウインドウ操作用の2段操作スイッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3810920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、プッシャが傾くことによってラバーシートの復帰手段(ドーム部)を斜め押しする構成であるため、ドーム部は、斜め下方に向けて押圧され、捩れながら弾性変形する。そのため、ドーム部が下方へ真っ直ぐ押圧される構成と比較して、ドーム部の一部に疲労が蓄積し易くなる。また、蓄積した疲労によってドーム部が局所的に破壊してしまうため、ラバーシートの寿命が短くなる虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る入力装置は、筐体と、筐体に支持され、操作者からの操作力を受けて回動する操作ノブと、操作ノブが回動する回動方向に対して交差する方向に揺動可能に設けられ、操作ノブが第1角度範囲にて回動した時に揺動して第1動作を行い、操作ノブが第1角度範囲に続く第2角度範囲にて回動した時に揺動して、第1動作に続く第2動作を行うカム部材と、筐体の内部に設けられる基板と、基板上に設けられ、カム部材の第1動作に合わせてオンされる第1スイッチと、カム部材の第2動作に合わせてオンされる第2スイッチとを備え、操作力から開放された時には、第1スイッチ及び第2スイッチからの復帰力によって操作ノブが自動復帰する入力装置であって、カム部材の第1動作によってスライドされて、第1スイッチを基板に対して垂直な方向に押圧する第1アクチュエータと、カム部材の第2動作に合よってスライドされて、第2スイッチを基板に対して垂直な方向に押圧する第2アクチュエータとを有する。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、ラバーシートの寿命を改善したスイッチ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る入力装置の外観斜視図
図2】一実施形態に係る入力装置の平面図
図3】一実施形態に係る入力装置の分解斜視図
図4】一実施形態に係る入力装置が備える筐体の外観斜視図
図5A】一実施形態に係る入力装置が備える筐体の外観斜視図
図5B】一実施形態に係る入力装置が備える筐体の下面図
図5C】一実施形態に係る入力装置が備える筐体を、図5Bに示す切取り線E-Eで切断した断面図
図5D】一実施形態に係る入力装置が備える筐体を、図5Bに示す切取り線F-Fで切断した断面図
図6】一実施形態に係る入力装置が備える操作ノブの外観斜視図
図7A】一実施形態に係る入力装置の図2に示すA-A断面線による断面を示す断面斜視図
図7B図7Aに示すP部の拡大図
図8】一実施形態に係る入力装置の図2に示すB-B断面線による断面を示す断面斜視図
図9】一実施形態に係る入力装置の図2に示すC-C断面線による断面を示す断面斜視図
図10】一実施形態に係る入力装置の図2に示すD-D断面線による断面を示す断面斜視図
図11A】一実施形態に係る入力装置が備えるカム部材の外観斜視図
図11B】一実施形態に係る入力装置が備えるカム部材を操作ノブの回動する回動方向(X軸方向)から見た図
図11C】一実施形態に係る入力装置が備えるカム部材を回動方向に対して交差する方向(Y軸方向)から見た図
図11D】一実施形態に係る入力装置が備えるカム部材の上方図
図11E】一実施形態に係る入力装置が備えるカム部材の下方図
図12A】一実施形態に係る入力装置の組み立て方法の手順を説明するための図
図12B】一実施形態に係る入力装置の組み立て方法の手順を説明するための図
図12C】一実施形態に係る入力装置の組み立て方法の手順を説明するための図
図12D】一実施形態に係る入力装置の組み立て方法の手順を説明するための図
図12E】一実施形態に係る入力装置の組み立て方法の手順を説明するための図
図12F】一実施形態に係る入力装置の組み立て方法の手順を説明するための図
図12G】一実施形態に係る入力装置の組み立て方法の手順を説明するための図
図13】非操作状態における一実施形態に係る入力装置の側面図
図14】操作ノブが第1角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置の側面図
図15】操作ノブが第2角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置の側面図
図16】非操作状態における、一実施形態に係る入力装置の係止部、及び、揺動支点部の配置を示す断面図
図17】操作ノブが第1角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置の係止部、及び、揺動支点部の配置を示す断面図
図18】操作ノブが第2角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置の係止部、及び、揺動支点部の配置を示す断面図
図19】一実施形態に係る入力装置のJ-J断面線による断面を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以降の説明では、便宜上、X軸方向を前後方向とし、Y軸方向を左右方向とし、Z軸方向を上下方向とする。但し、X軸正方向を前方向とし、Y軸正方向を右方向とし、Z軸正方向を上方向とする。
【0009】
(入力装置100の概要)
図1は、一実施形態に係る入力装置100の外観斜視図である。図2は、一実施形態に係る入力装置100の平面図である。
【0010】
図1に示す入力装置100は、例えば、自動車等の車両に設置され電気的に駆動される車載装置(例えば、パワーウインドウ)の操作を行うための入力装置として利用することができる。入力装置100は、筐体110と、筐体110の上側に接続され回動操作可能に支持された操作ノブ120とを備える。例えば、入力装置100は、操作ノブ120が回動操作されたときに検出信号を生成し、入力装置100とは別に設けられたパワーウインドウの駆動部(非図示)に該検出信号を送信する。該検出信号を受信した該駆動部は駆動して車両の窓を開閉させる。
【0011】
(入力装置100の構成)
図3は、一実施形態に係る入力装置100の分解斜視図である。図4および図5Aは、一実施形態に係る入力装置100が備える筐体110の外観斜視図である。図5Bは、一実施形態に係る入力装置100が備える筐体110の下面図である。図5Cは、一実施形態に係る入力装置100が備える筐体110を、図5Aに示す切取り線E-Eで切断した断面図である。図5Dは、一実施形態に係る入力装置100が備える筐体110を、図5Aに示す切取り線F-Fで切断した断面図である。図6は、一実施形態に係る入力装置100が備える操作ノブ120の外観斜視図である。
【0012】
図3に示すように、入力装置100は、操作ノブ120、筐体110、2つのカム部材170-1,170-2、4つのアクチュエータ140-1~140-4、ラバーシート150、基板160、およびカバー130を備える。
【0013】
<操作ノブ120>
操作ノブ120は、操作者からの入力を受け付けて回動する部材である。操作ノブ120は、筐体110の上方に配置され、筐体110の上側(Z軸正側)に接続されることにより、筐体110に対して回動可能に支持される。操作ノブ120は、操作者からの操作力を受け付ける樹脂製の部材である。操作ノブ120は、図6に示す軸受孔121Aが図3に示す筐体110の突起部111Aに接続されることによって、筐体110に対して前方(X軸正方向)および後方(X軸負方向)へ回動可能に支持されている。図6に示すように、操作ノブ120は、下部が開口した中空構造を有する。また、図6に示すように、操作ノブ120の内部空間120Aには、左右に一対のリブ121が、当該内部空間120Aの天井面から垂下して設けられている。一対のリブ121の各々には、円形を有し、当該リブ121を左右方向に貫通する軸受孔121Aが形成されている。
【0014】
図6に示すように、操作ノブ120の内部空間120Aにおいて、一対のリブ121よりも前側(X軸正側)には、押圧部122-1が内部空間120Aの天井面から下方に突出して設けられている。押圧部122-1は、操作ノブ120の前方(X軸正方向)への回動操作がなされたとき、当該押圧部122-1の下側に配置されるカム部材170-1を押圧する。押圧部122-1は、操作ノブ120の左右方向における中央よりも左側にオフセットして設けられている。押圧部122-1は、操作ノブ120が回動した時、カム部材170-1を押圧して操作力を伝達する部位である。
【0015】
図6に示すように、操作ノブ120の内部空間120Aにおいて、一対のリブ121よりも後側(X軸負側)には、押圧部122-2が内部空間120Aの天井面から下方に突出して設けられている。押圧部122-2は、操作ノブ120の後方(X軸負方向)への回動操作がなされたとき、当該押圧部122-2の下側に配置されるカム部材170-2を押圧する。押圧部122-2は、操作ノブ120の左右方向における中央よりも右側にオフセットして設けられている。押圧部122-2は、操作ノブ120が回動した時、カム部材170-2を押圧して操作力を伝達する部位である。
【0016】
<筐体110>
筐体110は、中空構造を有する容器状且つ樹脂製の部材である。筐体110の内部には、ラバーシート150、基板160、およびカバー130が収容される。筐体110の上部には、上下方向に延設された略四角筒状の外形を有する壁部111が形成されている。壁部111は、上部開口111Bを有する。上部開口111Bは、組立て後には操作ノブ120によって覆われる。壁部111は、左右両方の内壁面から突出して設けられた一対の突起部111Aを有する。突起部111Aは、操作ノブ120の軸受孔121Aに対応した形状を有し、軸受孔121Aに対応した位置に設けられている。壁部111は、一対の突起部111Aの各々が一対の軸受孔121Aの各々に係合することによって、操作ノブ120を前後方向(X軸方向)に回動可能に支持する。
【0017】
図4および図5に示すように、筐体110は、壁部111の内側に、2つの梁部115(115-1,115-2)を有する。梁部115-1は、前側(X軸正側)に設けられており、操作ノブ120を支持する壁部によって支持され、左右方向(Y軸方向)に延設されている。梁部115-2は、後側(X軸負側)に設けられており、操作ノブ120を支持する壁部によって支持され、左右方向(Y軸方向)に延設されている。2つの梁部115-1,115-2は、いずれも板形状を有しており、X軸方向に弾性変形可能に設けられる。
【0018】
筐体110は、壁部111の内側に、2つの第1の支持孔112-1,112-2を有する。2つの第1の支持孔112-1,112-2の各々は、上下方向を筒方向とする概ね四角筒状を有する。前側の第1の支持孔112-1は、一部が梁部115-1によって構成されており、梁部115-1の弾性変形に合わせて前後方向(X軸方向)の寸法を一時的に変更可能である。また、カム部材170-1は、係合突起172の前後方向(X軸方向)の寸法が、弾性変形前の第1の支持孔112-1の寸法より大きく、且つ、弾性変形後の第1の支持孔112-1の寸法より小さく設けられている。第1の支持孔112-1は、カム部材170-1と筐体110とを組立てる時、前側のカム部材170-1の係合突起172が上方から嵌め込まれる孔である。図4に示す様に、第1の支持孔112-1の入り口部分を構成する梁部115-1の上部前方側の端部には、係合突起172を上方から嵌め込み易くするために面取りした形状(スナップイン傾斜部117)が設けられている。後側の第1の支持孔112-2は、一部が梁部115-2によって構成されており、梁部115-2の弾性変形に合わせて前後方向(X軸方向)の寸法を一時的に変更可能である。後側の第1の支持孔112-2は、後側のカム部材170-2の係合突起172が上方から嵌め込まれる孔である。第1の支持孔112-2の入り口部分を構成する梁部115-2の上部後方側の端部には、係合突起172を上方から嵌め込み易くするために面取りした形状(スナップイン傾斜部117)が設けられている。
【0019】
筐体110は、壁部111の内側に、4つの第2の支持孔113-1~113-4を有する。4つの第2の支持孔113-1~113-4に各々は、上下方向を筒方向とする概ね円筒状を有する。前側の2つの第2の支持孔113-1,113-2は、梁部115-1に設けられており、第1の支持孔112-1を間に挟んで、左右方向に並べて設けられている。前側の2つの第2の支持孔113-1,113-2の各々は、前側の2つのアクチュエータ140-1,140-2の各々の軸部141が下側から挿通されることにより、前側の2つのアクチュエータ140-1,140-2の各々を支持する。後側の2つの第2の支持孔113-3,113-4は、梁部115-2に設けられており、第1の支持孔112-2を間に挟んで、左右方向に並べて設けられている。後側の2つの第2の支持孔113-3,113-4の各々は、後側の2つのアクチュエータ140-3,140-4の各々の軸部141が下側から挿通されることにより、後側の2つのアクチュエータ140-3,140-4の各々を支持する。第2の支持孔113は、一部が図4に示すガイド部118によって構成されている。ガイド部118は、アクチュエータ140の軸部141を上下スライド可能に支持する形状であると共に、筐体110とカム部材170との組立て後、カム部材170の本体部171の下方に配置される部位である。
【0020】
<アクチュエータ140-1~140-4>
4つのアクチュエータ140-1~140-4は、筐体110によって基板に対して垂直な方向(上下方向)にスライド可能に支持される。4つのアクチュエータ140-1~140-4の各々は、ラバーシート150の4つのドーム部152-1~152-4の各々の上側に配置される。4つのアクチュエータ140-1~140-4の各々は、上下方向(Z軸方向)に延在する円柱状の軸部141と、水平な円板状の押圧部142とを有する、樹脂製の部材である。押圧部142は、軸部141の下端部に設けられている。4つのアクチュエータ140-1~140-4の各々は、操作ノブ120による回転操作がなされたときに、カム部材170-1またはカム部材170-2によって押し下げられる。これにより、4つのアクチュエータ140-1~140-4の各々は、下方へスライドし、押圧部142の底面によって、押圧部142の下方に設けられているラバーシート150のドーム部152を押圧する。
【0021】
なお、アクチュエータ140-1は、カム部材170-1の第1動作に合わせて第1スイッチ(ドーム部152-1および固定接点161-1)へ向けてスライドし、第1スイッチを押圧する。アクチュエータ140-1は、「第1アクチュエータ」の一例である。
【0022】
また、アクチュエータ140-2は、カム部材170-1の第1動作の完了後、更に操作力が加えられた時、第1動作に加えて行われる第2動作に合わせて第2スイッチ(ドーム部152-2および固定接点161-2)へ向けてスライドし、第2スイッチを押圧する。アクチュエータ140-2は、「第2アクチュエータ」の一例である。
【0023】
また、アクチュエータ140-3は、カム部材170-2の第1動作の完了後、更に操作力が加えられた時、第1動作に加えて行われる第2動作に合わせて第2スイッチ(ドーム部152-3はおよび固定接点161-3)へ向けてスライドし、第2スイッチを押圧する。アクチュエータ140-3は、「第2アクチュエータ」の一例である。
【0024】
また、アクチュエータ140-4は、カム部材170-2の第1動作に合わせて第1スイッチ(ドーム部152-4および固定接点161-4)へ向けてスライドし、第1スイッチを押圧する。アクチュエータ140-4は、「第1アクチュエータ」の一例である。
【0025】
<カム部材170-1>
カム部材170-1は、筐体110の内部の前側(X軸正側)に配置され、筐体110によって上下方向にスライド可能且つ左右方向に揺動可能に支持される、樹脂製の部材である。カム部材170-1は、左右方向(Y軸方向)に長手形状を有する本体部171を有する。本体部171は、前側の2つのアクチュエータ140-1,140-2の上方に配置される。本体部171は、2つのアクチュエータ140-1,140-2の各々の頂部に懸架されて配置される。本体部171の底面における左右方向の中央には、係合突起172が下方に突出して設けられている。
【0026】
カム部材170-1は、係合突起172が筐体110に設けられている前側の第1の支持孔112-1に上方から嵌め込まれることにより、筐体110によって支持される。カム部材170-1は、操作ノブ120の前方(X軸正方向)への回動操作がなされたとき、操作ノブ120の前側の押圧部122-1の下端部によって、当該カム部材170-1の本体部171の上面の左方向に偏った位置が押圧される。
【0027】
操作ノブ120の前方(X軸正方向)への回動操作の操作量が所定の第1角度範囲にあるとき、カム部材170-1は、第1動作として、左側に揺動し、左側のアクチュエータ140-1を押し下げる。カム部材170-1によって押し下げられたアクチュエータ140-1は、左側のドーム部152-1を押し下げて弾性変形させる。これにより、左側の固定接点161-1が導通状態となる。本実施形態において、第1角度範囲とは、図13に示す自動復帰が完了した非操作状態における操作ノブ120の角度(0°)[deg]を基準として、その角度より大きく、図14に示す操作ノブ120の角度(7°)[deg]以下の角度範囲のことを指す。第1角度範囲は、0°[deg]<θ≦7°[deg]であり、操作ノブ120が前方(X軸正方向)へ7°[deg]回動した時、図17に示す様に、左右方向に並んで配置される2つの固定接点161のうち左側の固定接点161-1が導通状態となる。
【0028】
操作ノブ120の前方(X軸正方向)への回動操作の操作量が所定の第2の角度範囲(>第1角度範囲)にあるとき、カム部材170-1は、第2動作として、左側のアクチュエータ140-1を押し下げた状態のまま、右側に揺動することで水平状態となり、右側のアクチュエータ140-2をさらに押し下げる。カム部材170-1によって押し下げられたアクチュエータ140-2は、右側のドーム部152-2を押し下げて弾性変形させる。これにより、右側の固定接点161-2が導通状態となる。本実施形態において、第2角度範囲とは、図14に示す操作ノブ120の角度(7°)[deg]より大きく、図15に示す操作ノブ120の角度(14°)[deg]以下の角度範囲のことを指す。第2角度範囲は、7°[deg]<θ≦14°[deg]であり、操作ノブ120が前方(X軸正方向)へ14°[deg]回動した時、図18に示す様に、左右方向に並んで配置される2つの固定接点161-1、161-2の両方が導通状態となる。
【0029】
ここで、アクチュエータ140-1,140-2は、上下方向にスライド可能に支持されている。このため、アクチュエータ140-1,140-2は、カム部材170-1によって押し下げられることにより、ドーム部152-1,152-2を下方に真っ直ぐに押し下げることができる。
【0030】
操作ノブ120の前方(X軸正方向)への回動操作が解除されると、2つのドーム部152-1,ドーム部152-2からの復帰力によって、カム部材170-1および操作ノブ120は、中立状態に復帰する。
【0031】
<カム部材170-2>
カム部材170-2は、筐体110の内部の後側(X軸負側)に配置され、筐体110によって上下方向にスライド可能且つ左右方向に揺動可能に支持される、樹脂製の部材である。カム部材170-2は、左右方向(Y軸方向)に長手形状を有する本体部171を有する。本体部171は、後側の2つのアクチュエータ140-3,140-4の上方に配置される。本体部171は、2つのアクチュエータ140-3,140-4の各々の頂部に懸架されて配置される。本体部171の底面における左右方向の中央には、係合突起172が下方に突出して設けられている。
【0032】
カム部材170-2は、係合突起172が筐体110に設けられている後側の第1の支持孔112-2に上方から嵌め込まれることにより、筐体110によって支持される。カム部材170-2は、操作ノブ120の後方(X軸負方向)への回動操作がなされたとき、操作ノブ120の後側の押圧部122-2の下端部によって、当該カム部材170-2の本体部171の上面の右方向に偏った位置が押圧される。
【0033】
操作ノブ120の後方(X軸負方向)への回動操作の操作量が所定の第1角度範囲にあるとき、カム部材170-2は、第1動作として、右側に揺動し、右側のアクチュエータ140-4を押し下げる。カム部材170-2によって押し下げられたアクチュエータ140-4は、右側のドーム部152-4を押し下げて弾性変形させる。これにより、右側の固定接点161-4が導通状態となる。本実施形態において、第1角度範囲は、0°[deg]<θ≦7°[deg]であり、操作ノブ120が後方(X軸負方向)へ7°[deg]回動した時、左右方向に並んで配置される2つの固定接点161のうち右側の固定接点161-4が導通状態となる。
【0034】
操作ノブ120の後方(X軸負方向)への回動操作の操作量が所定の第2の角度範囲(>第1角度範囲)にあるとき、カム部材170-2は、第2動作として、右側のアクチュエータ140-4を押し下げた状態のまま、左側に揺動することで水平状態となり、左側のアクチュエータ140-3をさらに押し下げる。カム部材170-2によって押し下げられたアクチュエータ140-3は、左側のドーム部152-3を押し下げて弾性変形させる。これにより、左側の固定接点161-3が導通状態となる。本実施形態において、第2角度範囲は、7°[deg]<θ≦14°[deg]であり、操作ノブ120が後方(X軸負方向)へ14°[deg]回動した時、左右方向に並んで配置される2つの固定接点161-3、161-4の両方が導通状態となる。
【0035】
ここで、アクチュエータ140-3,140-4は、上下方向にスライド可能に支持されている。このため、アクチュエータ140-3,140-4は、カム部材170-2によって押し下げられることにより、ドーム部152-3,152-4を下方に真っ直ぐに押し下げることができる。
【0036】
操作ノブ120の後方(X軸負方向)への回動操作が解除されると、2つのドーム部152-3,ドーム部152-4からの復帰力によって、カム部材170-2および操作ノブ120は、中立状態に復帰する。
【0037】
<基板160>
基板160は、硬質な樹脂製且つ平板状の部材である。基板160は、筐体110の内部において、カバー130の上面130Aに載置され、且つ、XY平面方向と平行に設けられている。基板160としては、例えば、PWB(Printed Wiring Board)が用いられる。
【0038】
基板160の上面160Aには、4つの固定接点161-1~161-4が、2×2のマトリクス状に配設されている。4つの固定接点161-1~161-4は、いずれもZ軸方向からの平面視において概ね円形状を有する。4つの固定接点161-1~161-4の各々は、導電性を有する薄板状の金属素材(例えば、銅膜)が用いられて形成されている。
【0039】
<ラバーシート150>
ラバーシート150は、弾性素材(例えば、シリコン、ゴム等)が用いられて形成される平板状の部材である。ラバーシート150は、筐体110の内部において、基板160を覆い、且つ、XY平面方向と平行に設けられている。ラバーシート150は、基板160を水滴等から保護する。ラバーシート150は、基部151と、4つのドーム部152-1~152-4とを有する。
【0040】
基部151は、水平な平板状の部分であり、Z軸方向からの平面視において矩形状を有する。基部151は、4つのドーム部152-1~152-4を支持する。
【0041】
4つのドーム部152-1~152-4は、基部151の上面151Aよりも上方に突出して設けられたドーム状を有する。4つのドーム部152-1~152-4の各々は、平面視において基板160に設けられている4つの固定接点161-1~161-4の各々と重なる位置に設けられている。すなわち、ラバーシート150において、4つのドーム部152-1~152-4は、2×2のマトリクス状に配設されている。
【0042】
4つのドーム部152-1~152-4の各々の下側(Z軸負側)の面には可動接点(図示省略)が設けられている。4つのドーム部152-1~152-4の各々は、操作ノブ120の回動操作がなされたときに、当該ドーム部152の上側(Z軸正側)に配置されているアクチュエータ140によって押し下げられることにより、下方(Z軸負方向)に屈曲(弾性変形)して、当該ドーム部152の下側(Z軸負側)に配置されている固定接点161と接触する。これにより、当該固定接点161と可動接点152Aとが接触して導通状態になる。ドーム部152は復帰力を有しており、操作力から開放された時、初期状態に復帰する。
【0043】
ドーム部152-1は、固定接点161-1とともに、カム部材170-1の第1動作に合わせてオンされる「第1スイッチ」および「ラバードームスイッチ」を構成する。ドーム部152-2は、固定接点161-2とともに、カム部材170-1の第2動作に合わせてオンされる「第2スイッチ」および「ラバードームスイッチ」を構成する。
【0044】
ドーム部152-3は、固定接点161-3とともに、カム部材170-2の第2動作に合わせてオンされる「第2スイッチ」および「ラバードームスイッチ」を構成する。ドーム部152-4は、固定接点161-4とともに、カム部材170-2の第1動作に合わせてオンされる「第1スイッチ」および「ラバードームスイッチ」を構成する。
【0045】
なお、「第1スイッチ」および「第2スイッチ」は、「ラバードームスイッチ」に限らず、その他のスイッチ(例えば、メタルコンタクトスイッチ等)であってもよい。
【0046】
<カバー130>
カバー130は、筐体110の下側開口部110Aに嵌め込まれることにより、下側開口部110Aを閉塞する、樹脂製の部材である。カバー130は、概ね直方体形状を有する。カバー130の上面130Aには、基板160が載置される。カバー130の側面には、複数の係合爪131が設けられている。カバー130は、複数の係合爪131が、筐体110の側面に形成されている複数の開口部114の各々に係合することにより、筐体110に固定される。
【0047】
(カム部材170-1,170-2の詳細な構成)
図7A及び図7Bは、一実施形態に係る入力装置100のA-A断面線(図2参照)による断面を示す断面斜視図である。図8は、一実施形態に係る入力装置100のB-B断面線(図2参照)による断面を示す断面斜視図である。図9は、一実施形態に係る入力装置100のC-C断面線(図2参照)による断面を示す断面斜視図である。図10は、一実施形態に係る入力装置100のD-D断面線(図2参照)による断面を示す断面斜視図である。図11Aは、一実施形態に係る入力装置100が備えるカム部材170-1,170-2の外観斜視図である。図11Bは、一実施形態に係る入力装置100が備えるカム部材170を操作ノブ120の回動する回動方向(X軸方向)から見た図である。図11Cは、一実施形態に係る入力装置100が備えるカム部材170を回動方向に対して交差する方向(Y軸方向)から見た図である。図11Dは、一実施形態に係る入力装置100が備えるカム部材170の上方図である。図11Eは、一実施形態に係る入力装置100が備えるカム部材170の下方図である。図13は、非操作状態における一実施形態に係る入力装置100の側面図である。図14は、操作ノブ120が第1角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置100の側面図である。図15は、操作ノブ120が第2角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置の側面図である。図16は、非操作状態における、一実施形態に係る入力装置100の係止部(頂部172Aa)、及び、揺動支点部(頂部115Aa)の配置を示す断面図である。図17は、操作ノブ120が第1角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置100の係止部(頂部172Aa)、及び、揺動支点部(頂部115Aa)の配置を示す断面図である。図18は、操作ノブ120が第2角度範囲の終点まで回動した状態における、一実施形態に係る入力装置100の係止部(頂部172Aa)、及び、揺動支点部(頂部115Aa)の配置を示す断面図である。図19は、一実施形態に係る入力装置のJ-J断面線による断面を示す断面図である。
【0048】
図11に示すように、カム部材170-1およびカム部材170-2の各々は、本体部171の底面における左右方向(Y軸方向)の中央から、係合突起172が下方に突出して設けられている。
【0049】
図11に示すように、係合突起172は、前方(X軸正方向)および後方(X軸負方向)の各々に、本体部171よりも前方(X軸正方向)および後方(X軸負方向)に張り出している張り出し部172Aを有する。これにより、係合突起172の前後方向(X軸方向)の幅は、本体部171の前後方向(X軸方向)の幅よりも大きくなっている。
【0050】
張り出し部172Aは、X軸方向からの平面視において、上端部が頂部172Aaとなる(すなわち、上方に向かって尖った形状の)二等辺三角形状を有する。すなわち、張り出し部172Aの頂部172Aaは、カム部材170-1およびカム部材170-2の左右方向(Y軸方向)における中央に設けられている。
【0051】
カム部材170-1の係合突起172の前後方向(X軸方向)の幅は、第1の支持孔112-1の上部開口(後述する規制壁115Aが設けられている部分)の前後方向(X軸方向)の幅よりも大きい。
【0052】
このため、一実施形態に係る入力装置100は、第1の支持孔112-1の上部開口から、第1の支持孔112-1内にカム部材170-1の係合突起172を押し込むことで、梁部115-1を弾性変形させて第1の支持孔112-1の上部開口の前後方向の幅を押し広げつつ、カム部材170-1の係合突起172を第1の支持孔112-1に容易に嵌め込むことができる。
【0053】
また、一実施形態に係る入力装置100は、第1の支持孔112-1に嵌め込まれたカム部材170-1の係合突起172が、第1の支持孔112-1の上部開口よりも前後方向(X軸方向)の幅が大きい。このため、一実施形態に係る入力装置100は、カム部材170-1の張り出し部172Aの頂部172Aaが第1の支持孔112-1の上部開口に設けられている規制壁115Aの下面に当接することによってカム部材170-1の上方への移動が係止され、カム部材170-1が第1の支持孔112-1から容易に抜け落ちないようにすることができる。
【0054】
すなわち、カム部材170-1の係合突起172の頂部172Aaは、「スナップイン係止することの可能な係止部」を構成する。
【0055】
カム部材170-1は、図11A図11E及び図19に示す様に、本体部171のX軸正方向側、及び、本体部171のX軸負方向側に設けられた被摺動部173を有する。被摺動部173は、詳しくは後述するガイド面116と摺動する形状である。被摺動部173は、YZ平面と平行な平面形状を有している。筐体110は、YZ平面と平行な平面形状を有して被摺動部173と対向して設けられるガイド面116を有している。カム部材170-1は、係合突起172が第1の支持孔112-1に嵌め込まれた後、被摺動部173がガイド面116にガイドされることによって、YZ平面方向にガイドされる。このことにより、カム部材170-1は、梁部115-1の前側(X軸正側)の壁部と梁部115-1の後側(X軸負側)の壁部との間で、左右方向(Y軸方向)に揺動可能に支持される。なお、カム部材170-1の本体部171の前後方向(X軸方向)の幅は、梁部115-1の前側(X軸正側)の内壁面と梁部115-1の後側(X軸負側)の内壁面との間の間隔と略等しい。これにより、カム部材170-1は、左右方向(Y軸方向)に揺動可能でありつつ、前後方向(X軸方向)へのがたつきが抑制される。
【0056】
同様に、カム部材170-2の係合突起172の前後方向(X軸方向)の幅は、第1の支持孔112-2の上部開口(後述する規制壁115Aが設けられている部分)の前後方向(X軸方向)の幅よりも大きい。
【0057】
このため、一実施形態に係る入力装置100は、第1の支持孔112-2の上部開口から、第1の支持孔112-2内にカム部材170-2の係合突起172を押し込むことで、梁部115-2を弾性変形させて第1の支持孔112-2の上部開口の前後方向の幅を押し広げつつ、カム部材170-2の係合突起172を第1の支持孔112-2に容易に嵌め込むことができる。
【0058】
また、一実施形態に係る入力装置100は、第1の支持孔112-2に嵌め込まれたカム部材170-2の係合突起172が、第1の支持孔112-2の上部開口よりも前後方向(X軸方向)の幅が大きい。このため、一実施形態に係る入力装置100は、カム部材170-2の張り出し部172Aの頂部172Aaが第1の支持孔112-2の上部開口に設けられている規制壁115Aの下面に当接することによって上方への移動が係止され、カム部材170-2が第1の支持孔112-2から容易に抜け落ちないようにすることができる。
【0059】
すなわち、カム部材170-2の係合突起172および第1の支持孔112-2の規制壁115Aは、スナップイン係止に係る形状である。係合突起172の頂部172Aaは、「係止部」の一例である。規制壁115Aの頂部115Aaは、「揺動支点部」の一例である。
【0060】
カム部材170-2は、本体部171のX軸正方向側、及び、本体部171のX軸負方向側に設けられた被摺動部173を有する。被摺動部173は、YZ平面と平行な平面形状を有している。筐体110は、YZ平面と平行な平面形状を有して被摺動部173と対向して設けられるガイド面116を有している。カム部材170-2は、係合突起172が第1の支持孔112-2に嵌め込まれた後、被摺動部173がガイド面116にガイドされることによって、YZ平面方向にガイドされる。このことにより、カム部材170-2は、梁部115-2の前側(X軸正側)の壁部と梁部115-1の後側(X軸負側)の壁部との間で、左右方向(Y軸方向)に揺動可能に支持される。なお、カム部材170-2の本体部171の前後方向(X軸方向)の幅は、梁部115-2の前側(X軸正側)の内壁面と梁部115-2の後側(X軸負側)の内壁面との間の間隔と略等しい。これにより、カム部材170-1は、左右方向(Y軸方向)に揺動可能でありつつ、前後方向(X軸方向)へのがたつきが抑制される。
【0061】
なお、一実施形態に係る入力装置100は、図7B図11A図11C、及び、図11Eに示すように、カム部材170-1およびカム部材170-2の各々の係合突起172が、下方に向かって徐々に前後方向(X軸方向)の幅が狭くなるテーパー形状(スナップイン傾斜部174)を有している。また、カム部材170-1およびカム部材170-2は、下端部において第1の支持孔112-1の上部開口および第1の支持孔112-2の上部開口よりも前後方向(X軸方向)の幅が小さい。このため、一実施形態に係る入力装置100は、カム部材170-1およびカム部材170-2の第1の支持孔112-1および第1の支持孔112-2への嵌め込みを行う際、位置決めを容易に行うことができるようになっている。また、図4、及び、図5Cに示す通り、第1の支持孔112-1を構成する梁部115-1、および、第1の支持孔112-2を構成する梁部115-2には、スナップイン傾斜部174と略平行に設けられたテーパー形状(スナップイン傾斜部117)が設けられている。このため、位置決め後、梁部115-1及び梁部115-2を弾性変形させて、カム部材170-1およびカム部材170-2を、第1の支持孔112-1および第1の支持孔112-2への嵌め込む組立操作を容易に行うことが出来る。尚、図4に示す様に、カム部材170の本体部171の下方には、Z軸方向において本体部171と重なる位置に、第2の支持孔113-1~113-4を構成するガイド部118が設けられている。そのため、スナップイン接続された後、カム部材170は、仮にドーム部152からの復帰力を受けない状態であっても、本体部171がガイド部118に当接し、支持されることによって筐体110から脱落することは無い。
【0062】
図5A図5B図7B図9図16図18に示す様に、第1の支持孔112-1の上部開口の後側(X軸負側)の縁部には、規制壁115Aが第1の支持孔112-1内に突出して設けられている。規制壁115Aの下面は、上方に向かって尖った二等辺三角形状の溝状を有する。カム部材170-1の張り出し部172Aの頂部172Aaは、曲面形状を有し、規制壁115Aの下面に設けられた頂部172Aaよりも曲率の大きな曲面形状を有する頂部115Aaに下側から当接(面接触)する。これにより、カム部材170-1は、筐体110の壁部111の内側において、左右方向(Y軸方向)の中央に正確に位置決めされる。また、カム部材170-1は、頂部172Aaが規制壁115Aの下面の頂部115Aaに当接することにより、頂部115Aaを「揺動支点部」として、左右方向(Y軸方向)に揺動可能となる。なお、本実施形態において、「揺動支点部」及び「係止部」が面接触する構成について説明したが、「揺動支点部」及び「係止部」は、カム部材170の揺動が開始する時に発生する摩擦力が小さい構成であれば良く、曲面形状同士が面接触する構成でなくても良い。即ち、「揺動支点部」及び「係止部」は、点接触、または、線接触する構成であってもよい。また、本実施形態において、規制壁115Aを構成する頂部115Aa、及び、第1テーパ部115Abは、X軸方向から見た時、頂部115Aaを凹角の頂点として、その両側に第1テーパ部115Abを備える凹角の頂部の形状を有している。第1テーパ部115Abは、Y軸方向において、頂部115Aaを間に挟んで頂部115Aaの両側に設けられている。また、係合突起172の張り出し部172Aを構成する頂部172Aa、及び、第2テーパ部172Abは、X軸方向から見た時、頂部172Aaを凸角の頂点として、その両側に第2テーパ部172Abを備える凸角の頂部の形状を有している。第2テーパ部172Abは、Y軸方向において、頂部172Aaを間に挟んで頂部172Aaの両側に設けられている。具体的には、本実施形態の一対の第1テーパ部115Abのなす凹角の角度は90°[deg]に形成されており、一対の第2テーパ部172Abのなす凸角の角度は70°[deg]に形成されている。そのため、操作ノブ120が操作者から操作された状態から解放され、ドーム部152からの復帰力を受けて初期状態に戻るとき、カム部材170は、頂部172Aaが規制壁115Aと接する。その後、カム部材170は、頂部172Aaが頂部115Aaと当接するまで第1テーパ部115Abの上を滑って遷移し、初期位置に復帰する。
【0063】
同様に、第1の支持孔112-2の上部開口の前側(X軸正側)の縁部には、規制壁115Aが第1の支持孔112-2内に突出して設けられている。規制壁115Aの下面は、上方に向かって尖った二等辺三角形状の溝状を有する。カム部材170-2の張り出し部172Aの頂部172Aaは、規制壁115Aの下面の頂部115Aa下側から当接(面接触)する。これにより、カム部材170-2は、筐体110の壁部111の内側において、左右方向(Y軸方向)の中央に正確に位置決めされる。また、カム部材170-2は、頂部172Aaが規制壁115Aの下面の頂部115Aaに当接することにより、頂部172Aaと頂部115Aaとが支点となることにより、左右方向(Y軸方向)に揺動可能となる。
【0064】
なお、一実施形態に係る入力装置100は、回動操作された後の操作ノブ120が操作力から開放されたとき、カム部材170-1およびカム部材170-2が、左右2つのドーム部152の復帰力によって左右均等に上方に付勢されることで、水平状態に復帰できる。その際、カム部材170-1およびカム部材170-2は、頂部172Aaが規制壁115Aの下面の頂部115Aaに押し当てられるため、左右方向(Y軸方向)の中央に正確に位置決めされた状態を維持できる。なお、一実施形態に係る入力装置100は、カム部材170-1およびカム部材170-2が左右方向(Y軸方向)の中央に正確に位置決めされることで、例えば、カム部材170-1およびカム部材170-2の左右方向(Y軸方向)の側面が、揺動動作の際に筐体110の壁部111の内壁面に当接して削れてしまったり、抵抗となったりすることを抑制することができる。
【0065】
(入力装置100の組み立て方法)
以下、図12A図12Gを参照して、一実施形態に係る入力装置100の組み立て方法の手順について説明する。図12A図12Gは、一実施形態に係る入力装置100の組み立て方法の手順を説明するための図である。
【0066】
まず、図12Aおよび図12Bに示すように、カバー130の上面130Aに、基板160を載置する。次に、図12Cに示すように、基板160の上面に、ラバーシート150を重ね合わせる。
【0067】
次に、図12Dに示すように、ラバーシート150の4つのドーム部152-1~152-4の各々の上面に、4つのアクチュエータ140-1~140-4の各々を載置する。
【0068】
次に、図12Eに示すように、カバー130に対して上方から筐体110の下側開口部110Aを嵌め込む。
【0069】
次に、図12Fに示すように、筐体110の第1の支持孔112-1,112-2の各々に対して、カム部材170-1,170-2の各々の係合突起172を上方からスナップインによって嵌め込むことにより、カム部材170-1,170-2を筐体110に組み込む。
【0070】
最後に、図12G示すように、筐体110の一対の111Aの各々に対して、操作ノブ120の一対の軸受孔121Aの各々を上方から嵌め込むことにより、操作ノブ120を筐体110に取り付ける。
【0071】
このように、一実施形態に係る入力装置100は、複数の部品を順次積み上げていくことにより、当該入力装置100の組み立てを完成させることができる。すなわち、一実施形態に係る入力装置100は、いずれの部品も上下を反転させることなく、比較的容易に当該入力装置100の組み立てを完成させることができる。
【0072】
一実施形態に係る入力装置100は、筐体110と、筐体110に支持され、操作者からの操作力を受けて回動する操作ノブ120と、操作ノブ120が回動する回動方向に対して交差する揺動方向に揺動可能に設けられ、操作ノブ120が第1角度範囲にて回動した時に揺動して第1動作を行い、操作ノブ120が第1角度範囲に続く第2角度範囲にて回動した時に揺動して第2動作を行うカム部材170-1,170-2と、第1動作に合わせてオンされる第1スイッチと、第2動作に合わせてオンされる第2スイッチとを備え、操作力から開放されたときには第1スイッチ及び第2スイッチからの復帰力によって自動復帰する入力装置100であって、第1動作に合わせて第1スイッチへ向けてスライドするアクチュエータ140-1,140-4と、第2動作に合わせて第2スイッチへ向けてスライドするアクチュエータ140-2,140-3とを有する。
【0073】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、第1スイッチ及び第2スイッチをアクチュエータ140-1,140-4およびアクチュエータ140-2,140-3によって下方に真っ直ぐに押すことができるため、第1スイッチ及び第2スイッチの不具合の発生を抑制することができる。
【0074】
一実施形態に係る入力装置100において、カム部材170-1,170-2と筐体110とは、スナップイン係止することの可能な、凸角の頂点の形状を有する係止部(頂部172Aa)を有する。
【0075】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、カム部材170-1,170-2の筐体110への組付けを容易に行うことができる。また、一実施形態に係る入力装置100は、カム部材170-1,170-2を筐体110へ組付けた後、筐体110からのカム部材170-1,170-2の抜け落ちを防止することができる。
【0076】
また、一実施形態に係る入力装置100において、非操作状態において、係止部(頂部172Aa)は、揺動可能な状態を維持しつつ、凹角の頂点の形状を有する揺動支点部(頂部115Aa)と当接する。
【0077】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、係止部が、スナップイン係止可能な機能性と、操作ノブ120が揺動する際の支点としての機能性との双方の機能を実現する形状を有している。このことによって、これら2つの機能性に係る構成を簡易化することができる。
【0078】
また、一実施形態に係る入力装置100において、筐体110は、操作ノブ120を支持する壁部111と、壁部111に支持され、操作ノブ120の回動方向と交差する向きに延設された梁部115-1,115-2とを有し、筐体110の揺動支点部(頂部115Aa)は、梁部115-1,115-2に設けられる。
【0079】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、梁部115-1,115-2を弾性変形させることで、カム部材170-1,170-2の筐体110への組付けを容易に行うことができる。
【0080】
また、一実施形態に係る入力装置100において、梁部115-1,115-2は、板形状を有して弾性変形可能に設けられる。
【0081】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、梁部115-1,115-2を弾性変形させることで、カム部材170-1,170-2の筐体110への組付けを容易に行うことができる。
【0082】
なお、一実施形態に係る入力装置100は、Z軸方向からの平面視において、操作ノブ120の外縁部よりも内側に設けられ、第1スイッチ及び第2スイッチが、操作ノブ120と重なって配置される。
【0083】
また、一実施形態に係る入力装置100は、Z軸方向からの平面視において、揺動支点部が操作ノブ120の外縁部よりも内側に設けられ、操作ノブ120と重なって配置される。
【0084】
また、一実施形態に係る入力装置100において、第1スイッチ及び第2スイッチはラバードームスイッチである。
【0085】
これにより、一実施形態に係る入力装置100は、いずれもラバードームスイッチである第1スイッチ及び第2スイッチを、アクチュエータ140-1,140-4およびアクチュエータ140-2,140-3によって下方に真っ直ぐに押すことができるため、第1スイッチ及び第2スイッチにおけるラバードームスイッチ特有の不具合の発生を抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【0087】
本国際出願は、2021年7月27日に出願した日本国特許出願第2021-122184号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0088】
100 入力装置
110 筐体
111 壁部
111A 突起部
111B 上部開口
112-1,112-2 第1の支持孔
113-1~113-4 第2の支持孔
114 開口部
115-1,115-2 梁部
115A 規制壁
115Aa 頂部
115Ab 第1テーパ部
116 ガイド面
117 スナップイン傾斜部
118 ガイド部
120 操作ノブ
120A 内部空間
121 リブ
121A 軸受孔
122-1,122-2 押圧部
130 カバー
130A 上面
131 係合爪
140-1~140-4 アクチュエータ
141 軸部
142 押圧部
150 ラバーシート
151 基部
152-1~152-4 ドーム部
160 基板
161-1~161-4 固定接点
170-1,170-2 カム部材
171 本体部
172 係合突起
172A 張り出し部
172Aa 頂部
172Ab 第2テーパ部
173 被摺動部
174 スナップイン傾斜部
P 部
図1
図2
図3
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図5A
図5B
図5C
図5D
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図7A
図7B
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図11B
図11C
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図12B
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