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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】カップ形レフィル容器、化粧料容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 34/00 20060101AFI20240409BHJP
   A45D 40/18 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A45D34/00 510Z
A45D40/18 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020110364
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007410
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康之
(72)【発明者】
【氏名】戸田 珠代
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3152177(JP,U)
【文献】国際公開第2015/045025(WO,A1)
【文献】特開2007-222193(JP,A)
【文献】特開2001-240099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 34/00
A45D 40/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ、中枠、シールフィルムを備えたカップ形レフィル容器であって、
カップは、周壁の上部内側に受け段部が形成されており、
中枠は、浅い皿状であって、三角辺状で、頂部である一端が中枠の内底に固定され、辺状の他端が自由端である弾発性のある摘み、カップの受け段部に係止する縁部を備えており、中枠の中心部を挟んで凸状の突起と中央に凹部を有するスパチュラ受け部が形成されており、
カップの受け段部は、カップ縁上面部から中枠の縁部の厚みより下部に形成されており、
スパチュラ受け部にスパチュラが装填され、摘みがシールフィルムに当接して摘み倒伏状態になるようにカップに中枠を装着した状態で、シールフィルムがカップ縁上面部にヒートシールされていることを特徴とするカップ形レフィル容器。
【請求項2】
請求項1に記載されたカップ形レフィル容器をシールフィルムを外した状態で外容器に収納した化粧料容器であって、
外容器の蓋の内面に設けられているパッキンが、摘みに当接して摘み倒伏状態となるようにカップ形レフィル容器が外容器に収納されていることを特徴とする化粧料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レフィル容器及び化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
外容器に交換可能なレフィル容器を装着した二重の包装容器が開発されている。
特許文献1(特開2016-193741号公報)には、外容器の底にレフィル容器を押し上げて交換時に取り出しが容易になるように工夫した二重容器が開示されている。
特許文献2(特開2013-244347号公報)には、中蓋を備えたレフィル容器であって、中蓋の凸状のある縁とレフィル容器の開口縁部に設けた凸状を同じ高さに設けることによって、密封するシール材が中蓋を下向きに押圧して気密性が向上する旨の開示がある。
本出願人は、特許文献3(特許第4933793号公報)として、スパチュラを収納できる中蓋を設けた化粧料容器を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-193741号公報
【文献】特開2013-244347号公報
【文献】特許第4933793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、レフィル容器を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主な解決手段は次のとおりである。
1.カップ、中枠、シールフィルムを備えたカップ形レフィル容器であって、
カップは、周壁の上部内側に受け段部が形成されており、
中枠は、浅い皿状であって、弾発性のある摘み、カップの受け段部に係止する縁部を備えており、
カップの受け段部は、カップ縁上面部から中枠の縁部の厚みより下部に形成されており、
摘みがシールフィルムに当接して摘み倒伏状態になるようにカップに中枠を装着した状態で、シールフィルムがカップ縁上面部にヒートシールされていることを特徴とするカップ形レフィル容器。
2.中枠にはスパチュラ受け部が形成されており、該スパチュラ受け部にスパチュラが収納されていることを特徴とする1.記載のカップ形レフィル容器。
3.1.又は2.に記載されたカップ形レフィル容器を外容器に収納した化粧料容器であって、
外容器の蓋の内面に設けられているパッキンが、摘みに当接して摘み倒伏状態となるようにカップ形レフィル容器が外容器に収納されていることを特徴とする化粧料容器。
【発明の効果】
【0006】
1.中枠の縁部がシールフィルムに接触せず隙間ができるように、受け段部を設けたので、シールフィルムをカップ縁上面部に熱融着する際に、中枠の縁部がシールフィルムに融着せず、開封時に剥がされたシールフィルムに接着した中枠も外れる事故が発生しないカップ付きレフィル容器を開発することができた。
2.弾発性の摘みが倒伏状態になるようにシールフィルムでシールする構成にしたことにより、中枠をカップに押し付けて密着性を確保したので、中枠が安定するとともに、輸送途中などに中身が中枠上面側に漏れて汚損することがない。この密着性は、外容器にレフィル容器を装着したのちも、摘みがパッキンに当接して同様に機能することとなる。
3.受け段部を中枠の縁部の厚さよりも低い位置に設けたので、中枠とシールフィルムとの間に大きな空間が生じ、スパチュラを収納したレフィル容器を開発することができた。
4.受け段部を深く設けることで、スパチュラを収納する空間を大きくとることができ、また、加えて倒伏状態になるような長さに摘みを設けたので、開封したときにつまみが起立し摘みを把持しやすい長さとなり、操作しやすい化粧料容器を開発することができた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】カップ形レフィル容器の例を示す図
図2】カップの例を示す図
図3】中枠の例を示す図
図4】中枠とカップの係合部の構造例を示す図
図5】スパチュラの例を示す図
図6】化粧料容器の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、カップ、中枠、シールフィルムを備えたカップ形レフィル容器である。中枠にスパチュラを収納することができる。
カップ形レフィル容器は、クリームなどの中身が収容されており、カップの開口部に中枠がセットされ、カップ縁上面部がシールフィルムで密封されている。
カップには、周壁の上部内側に中枠を係合して支持する受け段部が形成されている。受け段部は、中枠の縁部の厚みより下部に形成されており、中枠をカップにはめた際に、カップ縁上面部と中枠の縁部との間に隙間ができるようになっている。この隙間があることによって、シールフィルムをカップ縁上面部に熱融着した際に、中枠の縁部にシールフィルムが融着することを防止できる。シールフィルムを剥がすときに中枠も一緒に外れることを防止することができる。また、中枠にスパチュラを収納する際に、中枠の縁の高さ(懐)に係わらず中枠を下方セットでき、スパチュラ収納空間を大きくできるので、スパチュラの形状設計の自由度が大きくなる。例えば、凹状の掬い面の深さ、把持部の太さなどにバリエーション化が可能である。
【0009】
中枠は、カップの開口部を覆う浅い皿状であって、弾発性のある摘み、カップの受け段部に係止する縁部を備えている。スパチュラを収納する場合は、中央部にスパチュラ受け部を形成する。摘みは、一端が中枠の皿部に接合されており、他端は自由端である。摘みの一端を接合する位置は、中枠の内側であればいずれも可能であるが、中枠の内底の中間部から中央部が好ましい。摘みは、中枠を脱着操作する操作性と中枠を下方に押し付ける機能を有する。摘みの大きさと接合位置はこの二つの機能を考慮して設計する。中枠にスパチュラを収納する場合は、スパチュラの収納位置と調整する。
摘みは、自由端がシールフィルムに当接して倒伏する状態になる長さであれば制限されない。この倒伏状態において、摘みの弾発性によって中枠を下方に押圧して、縁部がカップの受け段部に密着され、縁部から中身が漏れることを防止し、中枠の位置を安定させることができる。シールフィルムを剥がすと摘みは起立状態になり、摘みやすくなる。また、受け段部を下方に設けることによって、中枠の内底からシールフィルムまでの距離が大きくなり、弾発性があっても長い摘みを形成することができる。
中枠がカップに押圧されて密着することによって、搬送中に揺動を受けても、化粧料などの中身が中枠の縁から漏れるなどの事故を防止することができる。この漏れ防止は、化粧料容器にこのカップ形のレフィル容器を装着した状態でも、摘みが蓋の内面、例えばパッキン等に当接して倒伏状態となるので、この漏れ防止機能は発揮され、転倒漏れなどを防止することができる。
【0010】
シールフィルムは、カップの縁上面部に熱融着され、カップ開口部を封止するフィルム材であって、化粧料を使用する際には剥離される。本発明では、カップの開口部に中枠を装着し、中枠の縁部に融着せずに、シールフィルムがカップの縁上面部に熱融着している。シールフィルムは、摘みの先端を押し下げて摘みを倒伏状態でカップ形レフィル容器に収納する機能を果たしており、この機能により、前述した中枠をカップに密着させることができる。
【0011】
スパチュラは、化粧料をすくい取るへら状の用具である。カップの開口部に装着する中枠に収納されている。本発明のスパチュラは、レフィル容器の内部に収納されているので、使用するレフィル容器の専用品であって、レフィル容器を交換するたびに更新される。使用時には化粧料容器に収納され、他の化粧品などと混じることなく使うことができる。中枠の縁部の厚みよりもカップの受け段部が下がるように深く設けているので、中枠の内底からシールフィルムまでの間に広い空間が生じ、中枠の皿の深さよりも厚みのあるスパチュラを設計することができ、スパチュラのすくい面や持ち手部分の設計自由度が向上する。
本出願人が特許文献3に提案したスパチュラを収納した化粧料容器では、中枠(中蓋)の縁がカップ(内容器)の上縁に被るように係合しており、中枠の縁が蓋の内面のパッキンに当接している。このため、スパチュラを収納する空間は、中枠の深さ分に限定されるが、本発明ではこの限定がない分、設計自由度が向上している。特許文献3では中枠の縁をもって中枠を外すことができるが、本発明では、縁をもって取り外すことができないので、外し操作用の摘みを設け、摘みの弾発性を中枠押さえ力に利用して、中身が漏れることを防止している。
【0012】
このカップ形レフィル容器は、外容器に収納されて化粧料容器を構成する。化粧料容器は、容器本体と蓋で構成された外容器の内部にカップ形レフィル容器が収納されている。蓋の内面にはパッキンが設けられており、パッキンがカップの縁上面部に密着する。シールフィルムを剥がしたのちは、このパッキンがシールフィルムと同様の機能を果たすこととなる。
【0013】
カップ形レフィル容器には、クリームなどの化粧料が収納される。カップ形の容器は「ジャー」と称される開口の大きな化粧料容器である。収容される剤は、クリームタイプの化粧料であって、クレンジングクリーム、クレンジングジェル、クリームタイプ美容液、ジェルタイプ美容液、保湿クリーム、アイクリーム、ネッククリーム、ボディクリーム、ハンドクリーム、リップバーム、クリームタイプファンデーション、クリームタイプアイシャドウ、ジェル状アイライナーなどが挙げられる。
カップは、樹脂成型品であり、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系等の合成樹脂が素材である。
外容器は、合成樹脂、ガラス、金属などを素材にする。
【実施例1】
【0014】
図1~5にカップ形のレフィル容器の例、図6にカップ形のレフィル容器を収納した化粧料容器を示す。
図1は、カップ1とカップ1の受け段部に係止されている中枠2とカップ1の縁上面部をシールするシールフィルム3を備えたカップ形レフィル容器10である。クリームなどの中身5がカップ1に充填されている。スパチュラ4が中枠2に収納されており、中枠2には摘み29が一体的に取り付けられている。
カップ1の縁の先端側は折り返されており、外容器の容器本体に係合されるようにカップ係合部が形成されている。
シールフィルム3は、カップ1の縁上面部に接着しており、中枠2の縁部とは離れていて、接着していない。シールフィルム3は、摘み29の自由端に当接して、摘み29は倒伏状態となっており、摘みの弾発力を利用して、中枠2をカップ1に押し付けて密着させる機能も果たしている。
【0015】
カップの例を図2に示す。
カップ1はいわゆるジャータイプと称する深い「U」字状であって、周壁11が立ち上がって、上部が広く開口している。周壁11の上端部は外側に折り返されたカップ係合部12が形成され、外容器に係合する構造となっている。カップ係合部12の上面はカップ縁上面部13が形成され、シールフィルムと接着する部分となる。また、カップ縁上面部13は、使用時には外容器の蓋の内面にあるパッキンに密接する部分である。周壁11の上端部の内側には受け段部14が形成されていて、中枠の縁部を受ける箇所となる。受け段部14の形成位置は、中枠の縁がカップ縁上面部13より低くなるように、カップ縁上面部13から中枠の縁部の厚みより下部に下がった位置である。
【0016】
中枠2を図3に示す。断面図を図3(a)、平面図を図3(b)に示す。
中枠2は、全体として浅い皿状であって、中枠底壁23から立ち上がった中枠側壁21の上端は外側に広がった縁部22に形成されている。
縁部上面22aはほぼ平らであり、中枠側壁21の外周から延出した縁部下面22bが形成されており、カップ1の受け段部14に載る部分となる。中枠2は、カップ1の開口面の内側に納まる大きさであって、縁部22の外周がカップ1の受け段部14に載る大きさとなる。
本例では、中枠の中央部に、中枠の内底26に設けた凸状の突起25と中央の凹部24でスパチュラ受け部28が形成されている。スパチュラ4がスパチュラ受け部28に納まって、安定している。凹部24を設けることにより、スパチュラ4の背面側に隙間が生じ、指でスパチュラが取り出し易くなる。なお、スパチュラ受け部28は、スパチュラの形状、摘み29の設置個所などによって、その形状、設置箇所は中央部に限らず、任意である。
【0017】
摘み29は、三角辺状であって、一端が中枠の内底26に固定されており、他端が広がった自由端となっている。摘み29は、化粧料を使用する際に中枠を取り外すために掴む操作片の機能と密封状態で中枠2をカップ1に押し付ける機能を有する。
摘み29は、つまむことができる大きさとシールフィルムに当接して倒伏状態となる長さを有する。摘み29は弾発性を有しており、倒伏状態から起立状態に変化し、押しつけ力の発揮と摘み易い状態に変化する。
【0018】
中枠とカップの係合について図4を用いて説明する。図4には、カップ1の周壁11の上部に中枠2が係合している状態が示されている。
カップ1の周壁11の上部は、内側に受け段部14が設けられ、周壁11は受け段部14から上方に延び、外側に延びて折り返されたカップ係合部12が形成されている。中枠2の中枠側壁21の上端部は外側に広がった縁部22が形成されていて、縁部22が受け段部14に載っている。
中枠2に設けられている摘み29は、摘み起立状態29aと摘み倒伏状態29bの2態様が示されている。
【0019】
中枠2とカップ1の係合状態に関する高さレベルがL1~L5で示されている。L1~L5は、中枠2の内底レベルL1、受け段部レベルL2、中枠の縁部上面レベルL3、カップ縁上面レベルL4、摘み起立レベルL5である。
カップ縁上面部13のカップ縁上面レベルL4から縁部深さΔs1分下がった位置に中枠の縁部上面22aの縁部上面レベルL3がある。カップ縁上面レベルL4がシールフィルムの高さでもある。
この縁部深さΔs1がシールされているシールフィルムとの隙間に相当し、シールフィルムを熱融着する際に中枠2の縁部22が接触しないので、誤って縁部22がシールフィルムと接着しない。
【0020】
摘み29は、自由状態で摘み起立レベルL5の高さに上端がある。摘み29は、シールフィルムをシールした場合は、シールフィルムで押さえられてカップ縁上面レベルL4の高さに上端が位置する摘み倒伏状態29bとなる。摘み起立レベルL5とカップ縁上面レベルL4の差が倒伏巾Δs2となる。摘み29は弾発性を有しており、この倒伏巾Δs2分の復帰力を発揮し、この復帰力が中枠2の縁部22の縁部下面22bをカップ1の受け段部14に押し付けている。この押しつけ力によって、中枠2はカップ1に密着して安定し、カップ1が傾くことがあっても、中身5が中枠2の縁部22とカップ1の受け段部14の間から漏れ出すことを防止することができる。
さらに縁部深さΔs1を設けることにより、シールフィルムを剥がすとき中枠も一緒に外れることがない。さらにまた、中枠2の縁部22をカップ縁上面部13の上に係止させず、縁部深さΔs1を設けることにより、中枠2の内底レベルL1とカップ縁上面レベルL4の差分の空間を、スパチュラを収納する空間にすることができ、また、摘み29を長くすることができる。この内底レベルL1とカップ縁上面レベルL4によって生ずる空間は、カップ形レフィル容器10を外容器に収納した状態でも維持されるので、化粧料容器100でも同様の作用効果を奏することとなる。
【0021】
スパチュラ4は、中枠に収納できる大きさで、使いやすさなどを考慮して製造する。例えば、特許文献3に提案したスパチュラも用いることができるが、スパチュラを収納する空間を大きくすることができるので、すくい面の容量を大きくできる、あるいは、持ち手部分を工夫することができる。
【0022】
なお、特許文献2は、中蓋30(本発明の「中枠」に相当)の縁のフランジ部32の凸状32と本体20(本発明の「カップ」に相当)の凸状25を同じ高さにして、シール材40を両凸状に押し付けている構成となっているので、シール材40を剥がすときに同時に中蓋が外れる構成であり、摘み片33の立ち上がり部を1/3~2/3に薄くして、シールの下面に沿って倒伏しやすくしている。摘みはシール材を剥がすと起立することになるが、倒伏から起立に変化する復帰力を、中蓋を本体に押し付ける力に利用することは想定されていない。中身の漏れ防止は、凹部などを組み合わせた係合構造としている。
【0023】
一方、本実施例に示すカップ形レフィル容器10は、中枠2をカップ1の開口の上端から下げて係合して、シールフィルムを剥がした時に中枠が一緒に外れることがなくなり、中枠2の底とカップ1の側壁の上端との間を大きくすることができ、摘みの弾発力を利用して、中枠とカップの密着性を確保して、中身の漏れを防止することができるともに、摘みを大きくすることができ、スパチュラの設計自由度を向上させることができる。本発明のカップ形レフィル容器は、搬送や展示などの物流途中で姿勢が乱れても中身漏れを防止することができ、シールを外して使用を開始する時にも中枠の下側についたクリームなどが周囲を汚損することがない。
【0024】
図5にスパチュラ4の例を示す。平面図(a)、断面図(b)である。
本体の一端側の表側に凹みを設け、裏側がカーブしたすくい部41を設け、他端側を把持部42としている。把持部42の表裏面には凸部43を数列設けて滑り止めとしている。本体中央部の裏面に凹部44を設けて、指がかかりやすくしている。この凹部44と中枠のスパチュラ受け部28の凹部と相まって、スパチュラ4の取り出しが容易になっている。
【実施例2】
【0025】
(化粧料容器の例)
外容器6にカップ形レフィル容器10を収納した化粧料容器100の例が図6に示されている。
化粧料容器100は、容器本体61と蓋62から構成されている。
容器本体61は、内部にカップ1を収納する空間をもっている。蓋62は、内面側に平板状のパッキン63が設けられている。折り返しが形成されたカップ1の係合部12を外容器の開口部に係止して、カップ形レフィル容器10を収納する。シールフィルムの剥離は、容器本体61に収納する前後を問わない。シールフィルムを剥がしても、中枠2が一緒に外れることがない。仮に、中枠2の下面にクリームなどが付着していても、外れて衣服等を汚損することがない。
蓋62の内面に設けられたパッキン63が、カップ1のカップ縁上面部に密着して、パッキン63が摘み29を押圧するので、中枠2をカップ1に密着させることとなる。
容器本体61と蓋62は、本例では螺着構造を示しているが、しっかり係合する構造であれば、これに限るものではない。
【符号の説明】
【0026】
1・・・カップ
11・・・周壁
12・・・カップ係合部
13・・・カップ縁上面部
14・・・受け段部

2・・・中枠
21・・・中枠側壁
22・・・縁部
22a・・縁部上面
22b・・縁部下面
23・・・中枠底壁
24・・・凹部
25・・・突起
26・・・内底
28・・・スパチュラ受け部
29・・・摘み
29a・・・摘み起立状態
29b・・・摘み倒伏状態

3・・・シールフィルム
31・・・剥がし片
32・・・シール部

4・・・スパチュラ
41・・・すくい部
42・・・把持部
43・・・凸部
44・・・凹部

5・・・中身

6・・・外容器
61・・・容器本体
62・・・蓋
63・・・パッキン

10・・・カップ形レフィル容器
100・・・化粧料容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6