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特許7467800エミッタ、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】エミッタ、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 35/06 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H01J35/06 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022192916
(22)【出願日】2022-12-01
【審査請求日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】10-2022-0136580
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521141394
【氏名又は名称】オーエックスオーム レイ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ホン スー
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヤン ベ
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ヒョング
(72)【発明者】
【氏名】リー, ナムキュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン, クンスー
(72)【発明者】
【氏名】ギム, セ フン
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ジウォン
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0181896(US,A1)
【文献】特開2012-119296(JP,A)
【文献】特表2008-523254(JP,A)
【文献】国際公開第2005/001180(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 35/00
H01J 1/30
H01J 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波発生装置で電子を放出するエミッタ(Emitter)であって、
前記エミッタは炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーン(Yarn)が製織(Weaving)されたシート(Sheet)形態であり、
前記エミッタは、
前記電子を放出する領域である電子放出部と、
前記電子放出部の両側に接続され、電子放出方向において前記電子放出部の後方に配置され、ホルダに固定される側部と、を含む、エミッタ。
【請求項2】
前記複数のヤーンそれぞれは編組糸(Braided Yarn)である、請求項1に記載のエミッタ。
【請求項3】
前記編組糸は複数の1次撚糸(Primary Twisted Yarn)が互いに編組されて形成され、
前記1次撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸(Fiber)が撚れて形成された、請求項2に記載のエミッタ。
【請求項4】
前記編組糸は2次撚糸(Secondary Twisted Yarn)が互いに編組されて形成され、
前記2次撚糸は複数の1次撚糸が互いに撚れて形成され、
前記1次撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸が撚れて形成された、請求項2に記載のエミッタ。
【請求項5】
前記複数のヤーンそれぞれは撚糸(Twisted Yarn)である、請求項1に記載のエミッタ。
【請求項6】
前記撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸が撚れて形成された1次撚糸である、請求項5に記載のエミッタ。
【請求項7】
前記撚糸は1次撚糸が互いに撚れて形成された2次撚糸であり、
前記1次撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸が撚れて形成された、請求項5に記載のエミッタ。
【請求項8】
電子を放出するエミッタ;および
前記エミッタを固定するホルダを含み、
前記エミッタは炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーンが製織されたシート形態であり、
前記エミッタは、
前記電子を放出する領域である電子放出部と、
前記電子放出部の両側に接続され、電子放出方向において前記電子放出部の後方に配置され、前記ホルダに固定される側部と、を含む、電界放出組立体。
【請求項9】
前記電子放出部前記電子放出方向に垂直な平面上に広げられた領域である、請求項8に記載の電界放出組立体。
【請求項10】
前記ホルダは前記エミッタが装着される装着部と、前記装着部の両側に配置される固定部を含み、
記電子放出部は前記装着部の前記電子放出方向の前面に装着され、
前記側部は前記装着部を囲みながら前記装着部と前記固定部の間に形成される隙間に配置される、請求項8に記載の電界放出組立体。
【請求項11】
前記装着部の前記電子放出方向の前面は前記電子放出方向に垂直である、請求項10に記載の電界放出組立体。
【請求項12】
前記固定部を側方向に貫通する結合部材を含み、
前記エミッタは前記側部が前記結合部材と前記装着部の側面によって加圧されることによって前記ホルダに固定される、請求項10に記載の電界放出組立体。
【請求項13】
電子を放出するエミッタと、前記エミッタを固定するホルダを含む電界放出組立体;および
前記電界放出組立体から放出された電子が衝突して電磁波を発生させるアノードを含み、
前記エミッタは炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーンが製織されたシート形態であり、
前記エミッタは、
前記電子を放出する領域である電子放出部と、
前記電子放出部の両側に接続され、電子放出方向において前記電子放出部の後方に配置され、前記ホルダに固定される側部と、を含む、電磁波発生装置。
【請求項14】
前記電子放出部は前記アノードに向かう方向に垂直な平面上に延びる、請求項13に記載の電磁波発生装置。
【請求項15】
前記電磁波は0.001nm~10nmの波長を有する、請求項13に記載の電磁波発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエミッタ(Emitter)、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置に関する。より詳細には、エミッタの構造を通じて電界放出特性を均一化できる電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近炭素ナノチューブ(carbon nanotube;CNT)関連技術の発達により、既存のフィラメントを利用した熱電子放出方式の既存のX線管の陰極を、電界によって電子が放出され得る炭素ナノチューブを利用した冷陰極で代替する技術が開発されている。
【0003】
一般的に炭素ナノチューブ基盤のX線管は、炭素ナノチューブを含む陰極部、電子の放出を誘導するゲート、電子の集束性能を向上させる集束部および放出された電子の衝突で電磁波(具体的にはX線)を発生させる正極部で構成される。
【0004】
X線はこのような各部分の電圧、幾何学的形態および位置によって放出電子の量と衝突速度および焦点の大きさなどが決定され、これはすなわち、放射線映像の分解能および画質を決定する要素となる。特に炭素ナノチューブを基盤として電子の放出源となるエミッタの場合、その形状または結合構造により電界放出の均一度および性能が左右され得る。
【0005】
エミッタはこれが含まれる電磁波発生装置の用途により多様な構造で形成され得る。例えば、乳ガン検出のために使われる電磁波発生装置では多い量のX線が要求される反面、他の特定の場合においては強くない強度のX線の放出が要求され得る。これはX線の強度が強くなると、X線が検出しようとする対象まで貫通して対象が検出されない可能性があるためである。
【0006】
一例において、エミッタでは多くの電子が放出されるものの、電子がエミッタのいずれか一つの地点で集中されて放出されるものではなく、広く広がった領域で均一に放出されることが要求され得る。このような電子放出の様相を導き出すために、従来の電磁波発生装置ではシート(sheet)形態のエミッタが時々使われた。
【0007】
従来のシート形態のエミッタの中には、炭素ナノチューブが方向性を有して配列されて形成されるエミッタ(anisotropic 2D sheet emitter)と、炭素ナノチューブが方向性なしにからまった状態で形成されるエミッタ(non-woven 2D sheet emitter)があった。
【0008】
しかし、このような従来のシートエミッタは、前者の場合はエミッタの設置方向により電界放出特性が変わり、後者の場合はシート内で電子放出点が均一に形成されるなど、エミッタの電界放出特性の均一度が落ちる限界があった。
【0009】
また、電界放出の均一度が落ちることによって、電磁波の発生量または強度などを精密に調整することに限界があった。
【0010】
また、前者のエミッタの場合は配列方向に垂直な方向に容易に破れるか、後者のエミッタの場合は不織布のような性質を有しているので特定方向に容易に破れるなど、エミッタの耐久性が急激に落ち、それによりエミッタごとにその寿命が異なる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本明細書が解決しようとする課題は、エミッタでの電界放出特性の均一度を向上させ得るエミッタ、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置を提供することである。
【0012】
また、電磁波の発生量または強度などの調整がより精密に遂行され得るエミッタ、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置を提供することである。
【0013】
また、エミッタの耐久性を向上させ、一貫した寿命を有することができるエミッタ、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を達成するための本開示の一側面(aspect)に係るエミッタは電磁波発生装置で電子を放出するエミッタ(Emitter)であり、前記エミッタは炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーン(Yarn)が製織(Weaving)されたシート(Sheet)形態であり得る。
【0015】
これを通じて、エミッタでの電界放出特性の均一度を向上させることができる。
【0016】
また、電界放出均一度が向上することによって、電磁波発生量または強度などの調整がより精密に遂行され得る。
【0017】
また、エミッタの耐久性が向上し得、これを通じてエミッタ、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置が一貫した寿命を有することができる。
【0018】
また、前記複数のヤーンは編組糸(Braided Yarn)であり得る。
【0019】
また、前記編組糸は複数の1次撚糸(Primary Twisted Yarn)が互いに編組されて形成され、前記1次撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸が撚れて形成され得る。
【0020】
また、前記編組糸は2次撚糸(Secondary Twisted Yarn)が互いに編組されて形成され、前記2次撚糸は複数の1次撚糸が互いに撚れて形成され、前記1次撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸が撚れて形成され得る。
【0021】
また、前記複数のヤーンそれぞれは撚糸であり得る。
【0022】
また、前記撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸が撚れて形成された1次撚糸であり得る。
【0023】
また、前記撚糸は1次撚糸が互いに撚れて形成された2次撚糸であり、前記1次撚糸は複数の炭素ナノチューブ単糸が撚れて形成され得る。
【0024】
前記課題を達成するための本開示の一側面(aspect)に係る電界放出組立体は、電子を放出するエミッタ;および前記エミッタを固定するホルダを含み、前記エミッタは炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーンが製織されたシート形態であり得る。
【0025】
また、前記エミッタは電子放出方向に垂直な平面上に広げられた領域である電子放出部を含むことができる。
【0026】
また、前記ホルダは前記エミッタが装着される装着部と、前記装着部の両側に配置される固定部を含み、前記エミッタは電子放出方向に垂直な平面上に広げられた領域である電子放出部と、前記電子放出部の両側に形成される側部を含み、前記電子放出部は前記装着部の電子放出方向の前面に装着され、前記側部は前記装着部を囲みながら前記装着部と前記固定部の間に形成される隙間に配置され得る。
【0027】
また、前記装着部の前記電子放出方向の前面は前記電子放出方向に垂直となり得る。
【0028】
また、前記固定部を側方向に貫通する結合部材を含み、前記エミッタは前記側部が前記結合部材と前記装着部の側面によって加圧されることによって前記ホルダに固定され得る。
【0029】
前記課題を達成するための本開示の一側面(aspect)に係る電磁波発生装置は電子を放出するエミッタと、前記エミッタを固定するホルダを含む電界放出組立体;および前記電界放出組立体から放出された電子が衝突して電磁波を発生させるアノード(Anode)を含み、前記エミッタは炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーンが製織されたシート形態であり得る。
【0030】
また、前記エミッタは前記アノードに向かう方向に垂直な平面上に延びる電子放出部を含むことができる。
【0031】
また、前記電磁波は0.001nm~10nmの波長を有することができる。
【発明の効果】
【0032】
本明細書を通じて、エミッタでの電界放出特性の均一度を向上させることができる。
【0033】
また、電界放出均一度が向上することによって、電磁波発生量または強度などの調整がより精密に遂行され得る。
【0034】
また、エミッタの耐久性が向上し得、これを通じてエミッタ、電界放出組立体およびこれを含む電磁波発生装置が一貫した寿命を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本明細書の一実施例に係る電界放出組立体を含む電磁波発生装置の概念図である。
図2】本明細書の一実施例に係る電界放出組立体の分解斜視図である。
図3】本明細書の一実施例に係る電界放出組立体の断面図である。
図4図2のS部分を拡大して図示したものである。
図5図2のS部分を拡大して図示したものである。
図6】本明細書の一実施例に係る電界放出組立体の線形エミッタを撮影した写真である。
図7】本明細書の一実施例に係る電界放出組立体のエミッタの形成過程を図示したものである。
図8】エミッタを構成するヤーンのタイプによる機械的物性を図示したものである。
図9】エミッタが撚糸(Twisted Yarn)で形成される場合と編組糸(Braided Yarn)で形成される場合の電気的物性を図示したグラフである。
図10】エミッタが撚糸(Twisted Yarn)で形成される場合と編組糸(Braided Yarn)で形成される場合の線密度(Linear Density)を図示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施例で使われる用語は本開示での機能を考慮しつつ、できる限り現在広く使われる一般的な用語を選択したが、これは当分野に従事する技術者の意図または判例、新しい技術の出現などにより変わり得る。また、特定の場合は出願人が任意に選定した用語もあり、この場合、該当する説明の部分で詳細にその意味を記載するであろう。したがって、本開示で使われる用語は単純な用語の名称ではなく、その用語が有する意味と本開示の全般にわたった内容に基づいて定義されるべきである。
【0037】
以下の説明で使われる構成要素に対する接尾辞「モジュール」および「部」は明細書作成の容易さのみが考慮されて付与または混用されるものであり、それ自体で互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本開示に含まれた実施例の説明において関連した公知技術に対する具体的な説明が本開示に含まれた実施例の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付された図面は本開示に含まれた実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本開示の技術的思想が制限されるものではなく、本開示の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0038】
第1、第2等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはしない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0039】
或る構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていたりまたは接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。反面、或る構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0040】
単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0041】
明細書全体で記載された「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0042】
明細書全体で記載された「a、b、およびcのうち少なくとも一つ」の表現は、「a単独」、「b単独」、「c単独」、「aおよびb」、「aおよびc」、「bおよびc」、または「a、b、およびcすべて」を包括することができる。
【0043】
以下では、添付した図面を参照して本開示の実施例に対して本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本開示は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。
【0044】
以下では、図面を参照して本開示の実施例を詳細に説明する。
【0045】
図1は、本明細書の一実施例に係る電界放出組立体を含む電磁波発生装置の概念図である。
【0046】
本明細書の第1実施例に係る電磁波発生装置100はハウジング110と、電界放出組立体120と、ゲート電極130と、集束部140とアノード150を含むことができるが、このうち一部の構成を省略して実施されてもよく、その他の追加的な構成を排除することもない。
【0047】
以下、電子放出方向xは電界放出組立体120からアノード150に向かった方向、すなわち、図1および図3を基準として上側方向であるものと理解され得る。
【0048】
図1を参照すると、電磁波発生装置100はハウジング110を含むことができる。ハウジング110は電界放出組立体120と、ゲート電極130と、アノード150などのような構成要素を収容することができる。ハウジング110の内部は真空状態、または真空状態に近く維持され得る。
【0049】
ハウジング110には照射部111が備えられ得る。アノード150で発生した電磁波は照射部111を通じてハウジング110の外部に放出され得る。しかし、これとは異なり、ハウジング110はアノード150で発生した電磁波が通過できるように全体的にガラスなどのような透明な材質で形成されてもよく、この場合、別途の照射部111は設けられなくてもよい。また、発生する電磁波の強度が強い場合には電磁波が不透明な材料を通過することもあり得るため、ハウジング110は照射部111を具備せず、かつ不透明な材料で形成されてもよい。
【0050】
電磁波発生装置100は電界放出組立体120を含むことができる。電界放出組立体120は電界(Electric Field)によって電子が放出される部分であり得る。電界放出組立体120には陽極が印加されるカソード(cathode)の役割を遂行することができる。
【0051】
電界放出組立体120は電子を放出するエミッタ121と、これを固定するホルダ122を含むことができる。電界放出組立体120の具体的な構造は図2図5と関連して具体的に後述する。
【0052】
本明細書の一実施例に係る電磁波発生装置100の電界放出組立体120は冷陰極であり得る。具体的には、本明細書の一実施例に係る電磁波発生装置100では、エミッタ121に別途の熱を加えずに電界放出組立体120とゲート電極130の間に印加された電圧によってエミッタ121に含まれている電子が放出され得る。
【0053】
電磁波発生装置100はゲート電極130を含むことができる。ゲート電極130はエミッタ121とアノード150の間に配置され得る。より具体的には、ゲート電極130はエミッタ121とアノード150の間でエミッタ121にさらに近いように領域に配置され得る。
【0054】
ゲート電極130はエミッタ121での電子放出を誘導することができる。エミッタ121に含まれている電子はゲート電極130とエミッタ121の間に印加された電圧によって放出され得る。ゲート電極130は優先的にエミッタ121から電子を引き出す役割を遂行することができる。
【0055】
しかし、これに限定されず、電磁波発生装置100はゲート電極130を含まなくてもよい。この場合、後述する集束部140またはアノード150と電界放出組立体120の間に印加された電圧によってエミッタ121に含まれた電子が放出され得る。
【0056】
電磁波発生装置100は集束部140を含むことができる。集束部140はゲート電極130とアノード150の間、または電界放出組立体120とアノード150の間に配置され得る。
【0057】
集束部140は電圧が印加されることによってゲート電極130を通過した電子ビームを集束する役割を遂行することができる。集束部140はレンズ(lens)と指称され得る。また、集束部140はゲート電極130を通過した電子ビームをさらに加速させることができる。具体的には、集束部140とゲート電極130の間に電圧が印加されると、ゲート電極130を通過した電子は集束部140とゲート電極130の間に印加された電圧によって形成された電場によって加速され得る。このように、集束部140が備えられるタイプの電磁波発生装置100はトライオードタイプ(Triode type)であると理解され得る。
【0058】
しかし、これに限定されず、ゲート電極130自らの集束性能が良好であるか優れている場合、集束部140が備えられなくてもよい。このように、集束部140が備えられない電磁波発生装置100はダイオードタイプ(Diode type)であると理解され得る。
【0059】
電磁波発生装置100はアノード150を含むことができる。アノード150は電界放出組立体120と反対側に配置され得る。アノード150は電子ビームの進行方向上でゲート電極130および/または集束部140の後方に配置され得る。アノード150はゲート電極130および/または電界放出組立体120を含むカソードに比べて高い電圧が印加される部分で、正極部と指称されてもよく、電子ビームがぶつかる目的という意味のターゲットと指称されてもよい。
【0060】
アノード150では電磁波が形成され得る。具体的には、エミッタ121から放出された電子ビームがゲート電極130および/または集束部140を通過しながら加速された後、アノード150に衝突することができ、このとき電子ビームはアノード150を構成する物質を興奮状態に励起させてから再び元の状態に戻りながら電磁波を発生させることができる。
【0061】
電磁波発生装置100が放出する電磁波は0.001nm~10nmの波長を有することができる。例えば、電磁波発生装置100は0.001nm~10nmの波長を有するX線を放出することができる。より詳細には、電磁波発生装置100は0.01nm~10nmの波長を有するX線を放出することができる。
【0062】
図2は、本明細書の一実施例に係る電界放出組立体の分解斜視図である。図3は、本明細書の一実施例に係る電界放出組立体の断面図である。図4および図5は、図2のS部分を拡大して図示したものである。
【0063】
本明細書の一実施例に係る電界放出組立体120はエミッタ121とホルダ122を含むことができるが、このうち一部を除いて実施されてもよく、その他の追加的な構成を排除することもない。
【0064】
図2図5を参照すると、電界放出組立体120はエミッタ121を含むことができる。エミッタ121はホルダ122に固定され得る。エミッタ121はホルダ122と接触して通電され得る。電磁波発生装置100に電界が印加されると、電子はホルダ122を通じてエミッタ121に移動した後、エミッタ121から放出され得る。エミッタ121は電子が容易に移動できる炭素ナノチューブ繊維を含むことができる。これに限定されず、エミッタ121は電子を放出できる多様な材料で形成され得る。
【0065】
エミッタ121はシート(sheet)形態であり得る。エミッタ121がシート状に形成されることによって多くの電子放出点Pが形成され得るため、多量の電磁波を発生させることができる。また、エミッタ121がシート状に形成されることによって電子放出点Pが広く分布され得るので、電子がエミッタ121のいずれか一つの地点で集まって放出されずに広い領域で均一に放出され得、これを通じて弱い強さの電磁波が発生し得る。総合すれば、シート状のエミッタ121を通じて弱い強度の電磁波を多量で発生させることができる。このようなシート状のエミッタ121は乳ガン検出等の弱い強度の多量の電磁波を必要とする特定の分野で活用され得る。
【0066】
図5を参照すると、エミッタ121は複数のヤーン(Yarn)121aを含むことができる。具体的には、エミッタ121は炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーン121aで形成され得る。ヤーン121aは炭素ナノチューブ単糸(Fiber)が集まって形成される線形の材料であり得る。ヤーン121aが形成される方式は図6および図7と関連して詳しく説明する。
【0067】
図4および図5を参照すると、エミッタ121は複数のヤーン121aが製織(Weaving)されて形成され得る。具体的には、エミッタ121は線形に形成される複数のヤーン121aが互いに製織されたシート形態であり得る。これを通じて、エミッタ121の電気的、機械的物性の均一度が向上し得、さらに、電気的、機械的物性が強化され得る。
【0068】
具体的には、複数のヤーン121aが製織されると、シート形態のエミッタ121は一定のテクスチャ(Texture)を有することができ、これを通じて電子放出点Pがシート上に均一に分布され得るため、電界放出特性の均一度が向上し得る。
【0069】
また、電子放出点Pは線形のヤーン121aが互いに交差する部分で形成され得るが、複数のヤーン121aが規則的に製織されたシート形態で備えられることによって、電子放出点Pに電子放出方向xに重なって電子の放出を妨害する要素を除去することができる。すなわち、複数のヤーン121aが規則的に製織されることによって、線形のヤーン121aが互いに交差する部分である電子放出点Pはすべて電子放出方向xの前方に露出され得る。これを通じて、電子の放出がより円滑になされ得るため、電界放出特性が強化され得る。
【0070】
また、複数のヤーン121aが製織されると、製造されるエミッタ121の間で構造的な統一性が確保され得るので、エミッタ121の機械的物性の均一性が向上し得る。これを通じて、電界放出組立体120および電磁波発生装置100の寿命の一貫性を確保することができる。また、電界放出組立体120の製造時、機械的物性の差による誤差を減らすことができるため、電界放出特性の均一性も向上し得る。
【0071】
また、複数のヤーン121aが製織されると、エミッタ121の構造が強化され得るため、エミッタ121、電界放出組立体120および電磁波発生装置100の耐久性が向上し得る。
【0072】
エミッタ121は多様な方式で製織され得る。例えば、エミッタ121は平織り(Plain weaving)、綾織り(twill weaving)または朱子織り(satin weaving)等の多様な方式で製織され得る。すなわち、エミッタ121は規則的なテクスチャ(texture)が形成され得るのであれば、いずれか特定の製織方式に限定されずに形成され得る。製織によって形成されたエミッタ121は薄くて広いシート(sheet)の形態を有し得、製織方式により剛性は少しずつ変わり得る。
【0073】
製織は追加的な物質の添加、または物理/化学的加工なしに複数のヤーン121aの組織構造自らシート形態を有し得ることを意味し得る。ただし、必要に応じて追加的な物質の添加を通じて、または物理/化学的加工を通じて、シート(sheet)組織がさらに堅固となり得る。
【0074】
エミッタ121は製織形成という特徴によって、電子放出方向xを基準として相対的に前方に配置された地点または領域、そして、後方に配置された地点または領域を含むことができる。相対的に前方に配置された地点または領域は山(peak)を含むことができ、相対的に後方に配置された地点または領域は谷(valley)を含むことができる。このような山と谷はヤーン121aが互いに交差する部分で形成され得る。電子放出点Pはヤーン121aが互いに交差する部分に形成され得るが、このような電子放出点Pは山(peak)と一致するものと理解され得る。山(peak)と谷(valley)が形成される部分は他の部分に比べて厚く形成され得るため多くの電子が集中され得、山(peak)の形状を通じて電子の放出が容易となり得る。複数のヤーン121aが規則的なテクスチャの形態で製織されることによって複数の山(peak)と谷(valley)は規則的な分布を有するようになり、これは電界放出特性の均一度を向上させることができる。
【0075】
図2および図3を参照すると、エミッタ121は電子放出部1211を含むことができる。電子放出部1211はエミッタ121の幅方向のうち電子を放出する直接領域を意味し得、主に平面で広げた状態のエミッタ121のうち中央領域であり得る。電子放出部1211はエミッタ121のみで定義されず、ホルダ122と結合した状態で特定され得る。電子放出部1211はホルダ122の装着部1221の電子放出方向xの前面上に配置され得る。電子放出部1211はエミッタ121がホルダ122に固定された時、ホルダ122の外部に露出され得る。電子放出部1211に電界が印加されると、電子放出部1211から電子(Electron)が放出され得る。
【0076】
電子放出部1211はエミッタ121で電子放出方向xに垂直な平面上に広げられた領域であり得る。すなわち、図1を基準として、電子放出部1211はエミッタ121の中でアノード(150、図1に図示)に向かう方向に垂直な平面上に広げられた部分であり得る。電子放出部1211は、電子放出方向xに垂直な平面上に形成される装着部1221の電子放出方向xの前面上に配置される部分であり得る。電磁波発生装置100の内部に電界が印加されると、エミッタ121の電子放出部1211上に電位(potential)が形成され得るが、このとき、電子放出部1211が電子放出方向xに垂直な平面上に形成されると、電子放出部1211に形成される電子放出点Pに印加される電位が同一となり得、それにより電子がエミッタ121のいずれか一部分に偏って放出される現象を防止することができる。
【0077】
エミッタ121は側部1212を含むことができる。側部1212は電子放出部1211の両側に形成され得る。側部1212は電子放出部1211の両側から延びる部分であり得る。側部1212はエミッタ121がホルダ122に固定された時、外部に露出しない部分であり得る。エミッタ121は側部1212によってホルダ122に固定され得る。
【0078】
側部1212はホルダ122の装着部1221を囲みながら装着部1221と固定部1222の間に形成される隙間に配置され得る。側部1212はエミッタ121がホルダ122に固定された時、電子放出部1211の両側縁から電子放出方向xの反対方向に延びる部分であるものと理解され得る。側部1212は少なくとも固定部1222に形成される結合ホール1223と側方向に重なる領域まで延長され得る。エミッタ121は、側部1212が結合ホール1223を貫通して結合される結合部材123と装着部1221の側面によって加圧されることによってホルダ122に固定され得る。
【0079】
図5を参照すると、エミッタ121には電子放出点Pが形成され得る。電子放出点Pは、複数のヤーン121aが製織されたエミッタ121で線形のヤーン121aが互いに交差する部分であり得る。具体的には、ヤーン121aが交差する部分はそうでない部分に比べて厚く形成され得、それによりエミッタ121に電界が印加されると、ヤーン121aが交差する部分に電子が容易に集中され得る。また、ヤーン121aが互いに交差する部分には山(peak)が形成され得るが、このような山(peak)の形状を通じて電子の放出が容易となり得る。このように、ヤーン121aが交差する部分には電子が容易に集中され得、電子の放出も容易になされ得るため、ヤーン121が交差する部分が電子放出点Pとなり得る。交差する二つのヤーン121のうち一つのヤーン121の山(peak)は、電子放出方向xの後方に配置された他の一つのヤーン121の谷(valley)との相対的配置によるものであり得る。
【0080】
エミッタ121は複数のヤーン121aが製織されて形成されるので、電子放出点Pが一定の密度で形成され得る。このような構造を通じて、電子は電子放出部1211の全体領域に均一に形成され得るため、電界放出特性の均一度が向上し得る。
【0081】
図2および図3を参照すると、電界放出組立体120はホルダ122を含むことができる。ホルダ122はエミッタ121を固定することができる。
【0082】
ホルダ122は通電が可能な電気伝導性物質で形成され得る。具体的には、ホルダ122は電気伝導性を有し、かつ電界放出組立体120に蓄積される電子の斥力によって変形されない程度の機械的強度を有した物質からなり得る。例えば、ホルダ122はタングステン、亜鉛、ニッケル、銅、銀、アルミニウム、金、白金、錫、ステンレススチールおよび導電性セラミックスからなる群から選択される1種以上の物質からなり得る。電界放出組立体120に電界が印加されると、電子は電気伝導性物質で形成されるホルダ122を通じてエミッタ121に移動した後、エミッタ121の外部に放出され得る。
【0083】
ホルダ122は装着部1221を含むことができる。装着部1221にはエミッタ121が装着され得る。具体的には、エミッタ121の電子放出部1211は装着部1221の電子放出方向xの前面上に配置され得、エミッタ121の側部1212は装着部1221を囲むように配置され得る。この時、エミッタ121の側部1212は装着部1221と固定部1222の間に形成される隙間の内側に配置され得る。
【0084】
装着部1221の電子放出方向xの前面は電子放出方向xに垂直となり得る。シート形態の電子放出部1211はこのような装着部1221の電子放出方向xの前面上に密着して配置されるので、電子放出部1211も電子放出方向xに垂直となり得る。これを通じて、電磁波発生装置100に電界が印加された時に電子放出部1211に均一な電位が形成され得るため、電界放出特性の均一度が向上し得る。
【0085】
ホルダ122は固定部1222を含むことができる。固定部1222は装着部1221の両側に配置され得る。装着部1221と固定部1222の間には隙間が形成され得、エミッタ121の側部1212はこのような隙間の内側に配置され得る。
【0086】
固定部1222は結合ホール1223を含むことができる。結合ホール1223は固定部1222の側面で側方向に貫通形成され得る。結合ホール1223には結合部材123が結合され得る。
【0087】
電界放出組立体120は結合部材123を含むことができる。結合部材123は固定部1222に形成された結合ホール1223に貫通して結合され得る。結合部材123はエミッタ121をホルダ122に固定させることができる。一例として、結合ホール1223の内側面と結合部材123の外側面にそれぞれねじ山が形成され、結合部材123は結合ホール1223にねじ結合され得る。
【0088】
具体的には、結合部材123が固定部1222に形成された結合ホール1223に結合されると、結合部材123の端部は装着部1221の側面を加圧することができる。この時、エミッタ121の側部1212は結合部材123の端部と装着部1221の側面の間に配置されて、結合部材123の端部と装着部1221の側面によって加圧される方式でホルダ122に固定され得る。
【0089】
これとは異なり、エミッタ121は多様な方式でホルダ122に固定され得る。例えば、エミッタ121の側部1212は装着部1221と固定部1222により直接加圧されて固定され得る。具体的には、結合部材123の端部は装着部1221の側面で終結されるのではなく、装着部1221の側面にも結合溝が形成されて結合部材123が固定部1222を貫通した後、装着部1221に締結され得る。この場合、結合部材123を締め付けると、装着部1221と固定部1222の距離が近づきながら隙間の幅が減少し得る。エミッタ121の側部1212が隙間の内側に配置された状態で結合部材123を締め付けると、エミッタ121の側部1212は装着部1221の側面と固定部1222の側面によって加圧されて固定され得る。
【0090】
また、ホルダ122は固定部1222を含まず、結合部材123は装着部1221の側面にすぐに結合されてもよい。この場合、エミッタ121の側部1212が装着部1221の側面に配置された状態で、結合部材123をエミッタ121の側部1212に貫通させて装着部1221の側面に結合させると、エミッタ121がホルダ122に固定され得る。
【0091】
ホルダ122の装着部1221と固定部1222は別途の部材で形成され得る。この場合、装着部1221と固定部1222はそれぞれボックス形態で製造され得るため、それぞれの部材お製造が容易となり得る。反面、ホルダ122の装着部1221と固定部1222は一体に形成されてもよい。この場合、固定部1222を装着部1221に対して別途に整列する過程が不要となり得るため、エミッタ121をホルダ122に固定する過程が容易となり得る。
【0092】
エミッタ121の電子放出部1211が電子放出方向xに垂直な面に沿って配置され得るのであれば、ホルダ122の前述した構造に制限されず、多様な方式で形成され得る。例えば、エミッタ121は別途の機械的なメカニズムを通じてホルダ122に結合されてもよく、接着体を通じてホルダ122に接着されてもよく、溶接方式を通じてホルダ122に固定されてもよい。
【0093】
図6は、本明細書の一実施例に係る電界放出組立体の線形エミッタを撮影した写真である。図7は、本明細書の一実施例に係る電界放出組立体のエミッタの形成過程を図示したものである。
【0094】
図6を参照すると、エミッタ121は炭素ナノチューブ材質で形成される線形の複数のヤーン(Yarn)が互いに製織されて形成され得る。図6の(a)を参照すると、エミッタ121を構成する複数のヤーン121aそれぞれは撚糸(Twisted Yarn)であり得る。この場合、ヤーン121aをより容易に製造できるため、製造効率性が向上し得る。また、図6の(b)を参照すると、エミッタ121を構成する複数のヤーン121aそれぞれは編組糸(Braided Yarn)であってもよい。この場合、ヤーン121aの機械的物性および電気的物性が向上し得るため、電界放出特性も向上し得る。撚糸と編組糸の物性に対しては図8図10と関連して詳しく後述する。
【0095】
図7は、本明細書の一実施例に係る電界放出組立体120のエミッタ121が形成される過程を具体的に図示したものである。
【0096】
図7の(a)および(b)を参照すると、エミッタ121を構成する複数のヤーン121aそれぞれは撚糸(Twisted Yarn)であり得る。この時、図7の(a)を参照すると、ヤーン121aを構成する撚糸(Twisted Yarn)は複数の炭素ナノチューブ単糸(Fiber)が撚れて形成される1次撚糸(Primary Twisted Yarn)であり得る。また、図7の(b)を参照すると、ヤーン121aを構成する撚糸(Twisted Yarn)は1次撚糸(Primary Twisted Yarn)が互いに撚れて形成された2次撚糸(Secondary Twisted Yarn)であり得る。この時、1次撚糸(Primary Twisted Yarn)は複数の炭素ナノチューブ単糸(Fiber)が撚れて形成され得る。
【0097】
一方、図7の(c)および(d)を参照すると、エミッタ121を構成する複数のヤーン121aそれぞれは編組糸(Braided Yarn)であり得る。この時、図7の(c)を参照すると、ヤーン121aを構成する編組糸(Braided Yarn)は複数の1次撚糸(Primary Twisted Yarn)が互いに編組されて形成され得、このような1次撚糸(Primary Twisted Yarn)は複数の炭素ナノチューブ単糸(Fiber)が撚れて形成され得る。また、図7の(d)を参照すると、ヤーン121aを構成する編組糸(Braided Yarn)は2次撚糸(Secondary Twisted Yarn)が互いに編組されて形成され得る。この時、2次撚糸(Secondary Twisted Yarn)は複数の1次撚糸(Primary Twisted Yarn)が互いに撚れて形成され得、このような1次撚糸(Primary Twisted Yarn)は複数の炭素ナノチューブ単糸(Fiber)が撚れて形成され得る。
【0098】
しかし、製織してシート形態のエミッタ121を形成できる線形のヤーン121aを形成できるのであれば、エミッタ121を構成するヤーン121aが形成される方式は前記図7の(a)~(d)で説明した方式に制限されず、要求される電界放出特性により図7の(a)~(d)に図示された方式の多様な組み合わせで形成されてもよく、図7の(a)~(d)で説明されていない方式で形成されてもよい。
【0099】
図8は、エミッタを構成するヤーンのタイプによる機械的物性を図示したものである。
【0100】
図8の(a)~(d)はエミッタを構成するヤーンのタイプによる変形率(Strain)-応力(Stress)カーブを図示したもので、それぞれの場合に対して複数回実験を施行した後にそのデータを図示したものである。図8の(a)は64本の炭素ナノチューブ単糸を単純に集めておいたヤーン(Non Twisted Yarn_64 Fiber)に変形を加えた場合であり、図8の(b)は64本の炭素ナノチューブ単糸を75回撚って形成された撚糸(75 Twisted Yarn_64 Fiber)に変形を加えた場合であり、図8の(c)は64本の炭素ナノチューブ単糸を150回撚って形成された撚糸(150 Twisted Yarn_64 Fiber)に変形を加えた場合であり、図8の(d)は64本の炭素ナノチューブ単糸を編組して形成された編組糸(Braided Yarn_64 Fiber)に変形を加えた場合である。
【0101】
図8の(a)~(c)を参照すると、炭素ナノチューブ単糸(Fiber)を単純に集めておいたもの(Non Twisted Yarn)と、炭素ナノチューブ単糸(Fiber)を撚って形成した撚糸(Twisted Yarn)に変形を加える時には、毎施行ごとに互いに異なる応力特性を示すことを確認することができる。反面、図8の(d)を参照すると、炭素ナノチューブ単糸(Fiber)を編組して形成した編組糸(Braided Yarn)に変形を加える時には、毎施行ごとに応力特性にほとんど差がないことを確認することができる。
【0102】
前記で詳擦したエミッタを構成するヤーンのタイプによる機械的物性を数値で表現すると、下記の[表1]の通りである。
【0103】
【表1】
【0104】
[表1]を参照すると、エミッタを構成するヤーンが編組糸(Braided Yarn)で形成される場合が他の場合より変形率(Strain)および応力(Stress)の偏差値が確然と低いことを確認することができる。また、変形率による応力の変化比率(Modulus)値を見ても、エミッタを構成するヤーンが編組糸(Braided Yarn)で形成される場合が他の場合に比べて偏差値が最も小さいことを確認することができる。
【0105】
図8および[表1]を参照すると、エミッタを構成するヤーンを編組糸(Braided Yarn)で形成すると、単純に炭素ナノチューブ単糸を集めておいたもの(Non Twisted Yarn)やヤーンを撚糸で形成するもの(Twisted Yarn)に比べて、機械的な物性の均一性が向上し得、これを通じて電界放出組立体を形成する過程でエミッタの機械的な物性差による誤差を減らすことができるため、電界放出特性の均一性も向上し得る。
【0106】
図9は、エミッタが撚糸で形成される場合と編組糸で形成される場合の電気的物性を図示したグラフである。
【0107】
具体的には、図9はエミッタを構成するヤーンのタイプによる電気伝導度(Electrical Conductivity)を図示したものである。
【0108】
下記の[表2]は、エミッタが撚糸(Twisted Yarn)で形成される場合と編組糸(Braided Yarn)で形成される場合の電気的物性を数値で表現したものである。
【0109】
【表2】
【0110】
図9および[表2]を参照すると、エミッタが編組糸(Braided Yarn)で形成される場合、撚糸(Twisted Yarn)で形成される場合に比べて電気伝導特性が高く、かつその偏差が小さいことを確認することができる。すなわち、エミッタを編組糸(Braided Yarn)に基づいて形成する場合、電気伝導度の均一性がより向上し得るため、エミッタの電界放出特性の均一性も向上し得る。
【0111】
図10は、エミッタが撚糸(Twisted Yarn)で形成される場合と編組糸(Braided Yarn)で形成される場合の線密度(Linear Density)を図示したグラフである。
【0112】
下記の[表3]は、エミッタが撚糸(Twisted Yarn)で形成される場合と編組糸(Braided Yarn)で形成される場合の線密度(Linear Density)を数値で表現したものである。
【0113】
【表3】
【0114】
図10および[表3]を参照すると、エミッタが編組糸(Braided Yarn)で形成される場合、撚糸(Twisted Yarn)に比べて線密度(Linear Density)の偏差がさらに小さいことを確認することができる。線密度(Linear Density)が変わると、エミッタを通じて流れる電流の量や抵抗が変わり得るため、線密度(Linear Density)が均一であるほど電気的特性が均一であるものと理解され得る。すなわち、エミッタが編組糸(Braided Yarn)で形成される場合、線密度(Linear Density)の均一性が優秀であることによって電気的特性も均一となり得るので、電界放出特性の均一性も向上し得る。
【0115】
前述された本明細書の或る実施例または他の実施例は、互いに排他的であるか区別されるものではない。前述された本明細書の或る実施例または他の実施例は、それぞれの構成または機能が併用または組み合わせられ得る。
【0116】
例えば、特定の実施例および/または図面に説明されたA構成と他の実施例および/または図面に説明されたB構成が結合され得ることを意味する。すなわち、構成間の結合に対して直接的に説明していない場合であっても、結合が不可能であると説明した場合を除いては結合が可能であることを意味する。
【0117】
前記の詳細な説明はすべての面で制限的に解釈されてはならず、例示的なものと考慮されるべきである。本明細書の範囲は添付された請求項の合理的解釈によって決定されるべきであり、本明細書の等価的範囲内でのすべての変更は本明細書の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0118】
100:電磁波発生装置
110:ハウジング
111:照射部
120:電界放出組立体
121:エミッタ
121a:ヤーン
1211:電子放出部
1212:側部
122:ホルダ
1221:装着部
1222:固定部
1223:結合ホール
123:結合部材
130:ゲート電極
140:集束部
150:アノード
【要約】
【課題】新規なエミッタ(Emitter)、電界放出組立体および電磁波発生装置を提供すること。
【解決手段】本明細書の一側面(aspect)に係るエミッタは、電磁波発生装置で電子を放出するエミッタであって、前記エミッタは炭素ナノチューブ繊維を含む複数のヤーン(Yarn)が製織(Weaving)されたシート(Sheet)形態である。本明細書の他の側面は、電界放出組立体および電磁波発生装置に係るものである。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10