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特許7467811布ロールの製造方法及びその方法で製造された布ロール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】布ロールの製造方法及びその方法で製造された布ロール
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/672 20060101AFI20240409BHJP
   B65H 75/18 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B65D85/672 ZAB
B65H75/18 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021537508
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 EP2019074272
(87)【国際公開番号】W WO2020053303
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】18193731.9
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507343327
【氏名又は名称】サンコ テキスタイル イスレットメレリ サン ベ ティク エーエス
【氏名又は名称原語表記】SANKO TEKSTIL ISLETMELERI SAN. VE TIC. A.S.
【住所又は居所原語表記】Organize Sanayi Bolgesi 3. Cadde 16400 Inegol-Bursa(TR)
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ファティー コヌコウルー
(72)【発明者】
【氏名】メリク パルラクボラト
(72)【発明者】
【氏名】カムラン ジェベ
(72)【発明者】
【氏名】イスマイル アカ
(72)【発明者】
【氏名】カディル トゥンチャイ イイドアン
(72)【発明者】
【氏名】マフムト オズデミル
(72)【発明者】
【氏名】エルトゥグ エルクシュ
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-059285(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第19946272(DE,A1)
【文献】特開平08-324845(JP,A)
【文献】米国特許第04449675(US,A)
【文献】特開平08-188306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/672
B65H 75/00-75/32
B65H 18/00-18/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の布(4)が複数のリール(T)の周りに巻かれた1つの布ロール(11)を提供する前記布ロール(11)の製造方法であって、
1つの位置合わせの軸(14)を使用して、前記軸がリールの内部にあるような状態で、前記複数のリールを互いに間隔を空けて前記軸上に配置するステップと、
前記1枚の布(4)を前記複数のリールに巻きつけ、前記1つの布ロール(11)を生成するステップと、
前記軸を複数の前記リールから取り外すステップとを含み、
前記複数のリールの全長(L)は、前記布ロール(11)の幅(Wr)よりも短いことを特徴とする布ロール(11)の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記布ロール(11)の2つのを支持するために、少なくとも前記布ロールの幅の両端面(9)に前記リールが配置されていることを特徴とする布ロールの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記各リールの長さ(Li)はL1、…、Lnであり、
下記の式で示される前記各リールの長さの合計は、
【数1】

下記の式で示されるとおり、前記布ロール(11)の幅(Wr)よりも小さいことを特徴とする布ロールの製造方法。
【数2】
【請求項4】
請求項3において、
下記の式で示される前記各リールの長さの合計は、
前記布ロールの幅(Wr)の少なくとも13%である、ことを特徴とする布ロールの製造方法。
【数3】
【請求項5】
請求項において、
前記1枚の布(4)の端面(7)がその幅にわたって引っ張られ、少なくとも2個の前記リールに取り付けられる開始ステップを含む、ことを特徴とする布ロールの製造方法。
【請求項6】
請求項において、
前記布(4)の端面(7)がその幅にわたって引っ張られ、少なくとも1回転の間前記リールに手動で巻かれる開始ステップを含む、ことを特徴とする布ロールの製造方法。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1項において、
さらに、前記布ロール(11)の前記幅(Wr)に対して、中央に配置された1つの前記リール(2)を含む、ことを特徴とする布ロールの製造方法。
【請求項8】
請求項1において、
選択した位置で前記軸(14)に前記複数のリール(1~3)を保持することを特徴とする布ロールの製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記軸の軸線に対して半径方向に拡張して、前記複数のリール(1~3)を必要な位置に一時的に保持することができる複数の要素を有する、ことを特徴とする布ロールの製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記軸が空気圧で作動する軸であり、前記複数の要素が前記空気圧の作用により膨張する、ことを特徴とする布ロールの製造方法。
【請求項11】
少なくとも2個のリールを含む1つの布ロール(11)であって、
前記1つの布ロールが前記各リールの周りに巻かれており、
前記各リールは1つの軸線(B-B)上に同軸に整列して配置され、前記軸線の方向において互いに離間され、前記軸線は前記リールの内部にあるような状態となっており、
前記少なくとも2個のリールは、前記布ロールの幅(Wr)よりも短い全長Lを有し、
前記各リールの長さLiをL1、L2、Lnとしたとき、
下記の式で示される前記各リールの長さの合計は、
【数4】

下記の式で示されるとおり、前記布ロール(11)の前記幅(Wr)よりも小さく、
【数5】

下記の式で示される前記各リールの長さの合計は、
前記布ロールの前記幅(Wr)の少なくとも13%である、ことを特徴とする布ロール。
【数6】
【請求項12】
1枚の布(4)がリール(T)の周りに巻かれた1つの布ロール(11)であって、
前記リールの数は、3~4個であり、
前記各リールは1つの軸線(B-B)上に同軸に整列して配置され、前記軸線の方向において互いに離間され、前記軸線は前記リールの内部にあるような状態となっており、
前記リールは前記布ロールの幅の両端面(9)に配置された2個の前記リールと、前記両端面(9)のリールの間に配置された他の前記リールを含み、
前記複数のリールの全長(L)は、前記布ロールの幅(Wr)よりも短いことを特徴とする布ロール(11)。
【請求項13】
請求項11において、
前記少なくとも2個のリールと接触している前記布(4)の端面(7)は、その幅方向に引っ張られ、前記少なくとも2個のリールに取り付けられていることを特徴とする布ロール(11)。
【請求項14】
請求項13おいて、
前記布(4)が両面粘着テープ(140)で前記各リールに取り付けられていることを特徴とする布ロール(11)。
【請求項15】
請求項11~14のいずれか1項において、
前記布ロール(11)の前記幅(Wr)に対して中央に配置された1個の前記リールを含むことを特徴とする布ロール(11)。
【請求項16】
請求項11において、
前記各リールは、前記布ロール(11)の両端面(9)を支持するために、少なくとも前記布ロールの幅の両端部に配置されていることを特徴とする布ロール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布ロールを製造する方法、及びその製法で得られた布ロールに関する。より詳細には、本発明は、布の製造工程において布をリールに巻く方法に関する。
【背景技術】
【0002】
布は通常、ロールとして保管及び輸送されるものであり、これらのロールでは、布が1個のリールに巻かれているか巻き付けられている。通常、このリールは、布ロールを支持するために、布の一方の端から他方の端まで延びたものが選択される。布の包装プロセスにおいて、様々な長さの巻き付けリールがある。このような巻き付けリールの長さは、そのリールに巻き付けられる布地の幅に応じて、700mm~2200mmの間で変更できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、既知の布包装工程では、異なる長さ(サイズ)の複数の布ロールが製造される。そのため、布ロールのあらゆるサイズ毎にそれに適したリールが必要であり、布地の幅に応じて使用できる、様々な長さの様々なリールを用意する必要がある。これらの既知の方法のさらなる問題は、これらのリールが通常は、段ボール又はプラスチックでできており、このようなリールを使用すると、布ロールの重量にリールの重量が追加されることである。さらなる問題は、布がこれらのリールから巻き戻された後、巻き付けリールを再利用できないことである。従って、使用済みリールは、産業廃棄物になるか、あるいは、可能ならば(プラスチックの再生処理等の)材料のリサイクルに送られる。
【0004】
従って、上記の諸問題を解決し、布ロールを製造する新しい方法を提供する必要がある。
上記の問題を解決することが本発明の1つの目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのような目的は、本願の請求項1に記載の布ロールの製造方法の発明によって達成される。
すなわち、本発明の方法は、1枚の布が複数のリールの周りに巻かれた(つまり、巻き付けられた)ロールを提供する1つの布ロールを製造する方法を提供するものである。1枚の布(4)が複数のリール(T)の周りに巻かれた1つのロール(11)を提供する前記布ロール(11)の製造方法であって、1つの位置合わせの軸(14)を使用して、前記軸がリールの内部にあるような状態で、前記複数のリールを互いに間隔を空けて前記軸上に配置するステップと、前記1枚の布(4)を前記複数のリールに巻きつけ、1つの布ロール(11)を生成するステップと、前記軸を複数の前記リールから取り外すステップとを含み、前記複数のリールの全長(L)は、前記布ロール(11)の幅(Wr)よりも短いことを特徴としている。
本発明のさらなる目的は、請求項11に記載の1つの布ロールの発明によって達成される。すなわち、この発明の布ロールは、同軸であるか、又は実質的に同軸に整列され、互いに間隔を置いて配置された少なくとも2個のリールを含むことを特徴とする。
前述したように、1つの布ロール内において、従来技術では単一であったリールが、本発明によれば複数(少なくとも2個)のリールに置き換えられる。
本発明に適したリールの数は、少なくとも2個であり、この数はロールの幅、つまり従来技術で使用されていた1個のリールの長さ(この長さは、布の幅やロールの幅に対応している)に依存する。
【0006】
本発明の一実施形態では、2個のリールが、布ロールの両端面を支持するために、少なくともロール幅の両端に配置される。これにより、布ロールの両端に支持がないことで布が容易に損傷する可能性をなくしている。
より具体的には、リールの外側のエッジは、約10cmだけ布ロールの端面からオフセットされている。すなわち、リールの外側のエッジ又は先端が、布ロールの端面から約10cm離れている。このオフセットは外側方向、つまり、リールがロールから突き出ていても良く、あるいは、ロールの内側方向、つまり、リールの外側のエッジが布ロールの内側に収納されていても良い。
一つの実施形態では、さらに1個のリールが、布ロールの幅の中央に配置されている。この実施形態では、ロールの軸線の両端部(すなわち、両端面)に2個のリールがあり、さらに、これらの両端部のリールの間に、好ましくは布ロールの軸線の中央に配置された、1個のリールがある。
【0007】
一般に、n個のリール(例えば、3個のリール、n=1~3)がある場合、このn個のリールの夫々の長さL1~Lnの合計(例えば、L1+L2+L3)は、布ロールの横方向の長さ、つまり、布ロールの幅Wよりも短くなる。上記の関係は、次の式で要約できる。ここで、Liは各リールの長さであり、nはリールの個数である。
【0008】
【数1】
【0009】
n個のリールの長ささL1~Lnの合計は、次の式に示すとおりである。つまり、n個のリールの長さL1~Lnの合計は、布ロールの幅Wrよりも短い。
【0010】
【数2】
【0011】
一つの実施形態では、上記の式で表わされるn個のリールの長さL1~Lnの合計は、ロールの幅Wrの少なくとも13%、好ましくは、ロールの幅Wrの少なくとも40%である。好ましい1つの実施形態では、上記式で示したn個のリールの長さL1~Lnの合計の最大値は、布の幅Wrの91%、好ましくは60%である。すなわち、一般的に、これらの関係は次の式の通りである。
【0012】
【数3】
【0013】
一つの実施形態では、この方法は、布に折り目やしわが生ずるのを避けるようにして、布の端面が少なくとも2個のリールに取り付けられる開始ステップを含む。この開始ステップにおいて、布の端面は、これらのリールに取り付けられたままであり、これらのリールに対する布の最初の巻き付けの段階での変形を避けるために、この布の幅の全体にわたって張力がかけられていることが好ましい。同様の実施形態として、開始ステップにおいて、折り目やしわが形成されるのを避けるために、手で、これらのリールの周りに布を巻き付ける、好ましくは、張力をかけて巻き付けても良い。
【0014】
これらのリールに適した素材は、この目的に使用される伝統的な素材である。好ましくは、これらのリールは、ボール紙(セルロース等の天然繊維)と人工又は合成材料(PP、PE、PET、ABS、ゴム、PU等)でできている。これらの材料はその比重を考慮して選択され、軽い材料が好まれる。リールをより軽くするために、リールの表面には、多孔質構造、すなわち、複数の穴、又はリールの残りの部分に対して厚さが薄い複数の領域(すなわち、リールの部分)が存在していても良い。実施形態では、リール表面の穴又は薄い厚さの部分の総面積は、リールの表面の面積の40%から80%、好ましくは少なくとも60%である。但し、この比率、は0%~90%の間としても良い。
【0015】
好ましくは、巻き付けリールは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する。
リールの内径は、40~50mmの間である。
リールの外径は45~57mmである。
リールの厚さの好ましい範囲は3~4mmである。
平均して、1個のリールの線重量はcm当たり3グラム(3グラム/cm)である。
【0016】
高品質の布ロールを提供するには、複数の短いリールを揃える必要があり、巻き付け中にこれらのリールは、布ロールと同じ円運動をする必要がある。そうでない場合、布ロールの表面に品質の欠陥が生じる。スムーズな巻き付けを行うために、複数の短いリールを配置するときに巻き付け装置が使用される。本発明の巻き付けに使用することができる、いくつかの市販製品が存在する。以下において、好ましい機器及び方法が開示され、請求項8~10に記載されている。
【0017】
使用するリールの数は、布の幅によって異なる。本発明は、最低2個のリールを使用する。これは、例えば、700mmの幅を有する1枚の布の場合に、適切である。より大きな布、例えば、幅が2200mmの1枚の布では、3個又は4個のリールを使用するのが良い。従って、本発明の一実施形態では、使用されるリールの個数は2~4の範囲である。
前述のように、本発明では、複数のリールが互いに間隔を置いて配置されている、すなわち、2個の隣接するリールが互いに間隔をおいて配置されている。隣接する2個のリール間の距離は、布の幅Wr、リールの個数n、及び各リールの長さLiに依存する。
例えば、1枚の布の幅Wrが1000mm、各リールの長さが200mmで、2個のリールを使用し、各リールはロールの端面に±10cmだけ位置している実施形態を想定する。この実施形態では、ギャップ、すなわち隣接する2個のリール間の距離は、1000-(200+200)=600mmである。リールエッジの布の側面に対する可能なオフセットは、リール間の距離から加算又は減算するために±20cmである。
布幅Wrが2200mmであり、各リールの長さが200mmで、3個のリールが使用される実施形態では、総ギャップは、2200-(200×3)=1600mmであり、隣接する2つのリール間の距離は1600/2=800mmである。
【0018】
本発明は、従来技術に対して優れたいくつかの利点をもたらす。
本発明の第1の利点は、リールに巻かれる布の幅に応じて2個あるいはそれ以上のリールを使用できるので、長さの異なるリールの種類の数を減らすことができることである。長さの異なるリールの種類の数の削減により、様々な幅の布ロール用の複数種の巻き付けリールをストックするための在庫コストが大幅に削減される。
さらに、各リールが短いため、布ロールの重量は軽くなる。従って、パッケージ化された布ロールの輸送コストも削減できる。最後に、リールが短いほど廃棄物の量が少なくなるため、包装プロセスの品質を変えることなく、持続可能性(sustainability)が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】従来のリールと置き換え可能な、本発明の実施例による3個のリールの上面図である。
図2図1に示した布の一部の上にある3個のリールの、透視図である。
図3】オフセットした1個のリールを含む、1つの布ロールの部分斜視図である。
図4】多孔質構造を有するリールの斜視図である。
図5】空気圧位置合わせ軸に各リールを配置するステップを示す、概略図である。
図6】空気圧位置合わせ軸に各リールを配置するステップを示す、概略図である。
図7】空気圧位置合わせ軸に各リールを配置するステップを示す、概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の概略図を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
図1を参照すると、1枚の幅Wrの布に使用するのに適した、長さがLの、従来例の1個のリールTが概略的に示されている。このリールTは、布地4の片側端面又は端面から延びることができる一体型リールであり、このリールTの長さは、1枚の布地4の幅Wrと同一又は実質的に同一である。
図1には、上記リールTの下に、さらに、本発明によるリールシステムが示されている。図1に示すリールシステムは、3個のリール1~3を有しており、各リールの夫々の長さはL、L、Lである。容易にわかるように、長さL+L+Lの合計は、リールTの長さLよりも短く、またL+L+Lの長さの合計は、中央に3個のリール1~3を有する1つの布ロールとして巻かれる、布地4の幅Wrよりも短かい。
【0021】
図2は、本発明の製造方法の第1のステップにおける、布地4上に配置された図1のリール1~3を概略的に示している。これらのリール1~3は、布地4の両側面5、6と整列され、又は僅かにオフセットされた2個の外側のリール1、3と、布地4の幅の中央に配置された第3のリール2とを有するように整列される。好ましくは、布の長手方向の軸線A-Aに対するこれらのリールの配置は、この軸線に対して対称的又は実質的に対称的である。これらのリールは、布ロール11の軸線B-Bに沿って、同軸又は実質的に同軸に整列されている(図2及び図3参照)。
使用するリールの数は、布の幅によって異なる。本発明では、最低2個のリールを提供する。図2に示されているように、本実施形態では、互いに間隔を置いて配置された3個のリール1、2及び3を有し、2個の隣接するリールは、リール1~2に関してはD1の距離、リール2~3に関してはD2の距離だけ間隔が空けられている。隣接する2個のリール間の距離は、布の幅Wr、リールの数n、及びリールの長さLiに依存する。
【0022】
上記のように、本発明による方法の好ましい実施形態では、1枚の布地4の前縁の端面7が複数のリール1~3に取り付けられる1つのステップがある。これは、1枚の布の端面7を複数のリールに手動で巻き付けるか、あるいは、布の端面7をリール1~3に取り付けることによって行われる。この目的のために、リール1~3は、適切な取り付け手段、好ましくは両面粘着テープ140の帯を備えている。
【0023】
図2に示されている実施形態では、2個のリール1、3は、少なくともロール幅の端に配置されており、布ロールの端面を支持し、布が容易に損傷する可能性があるロールの端面に支持がないことを回避している。但し、図3に示すように、リール1、3のエッジ10を、布ロール11の端面9から、最大約10cmの値の距離8だけオフセットさせることも可能である。言い換えれば、リール1の外側のエッジ又は末端10は、布ロールの端面又は側面9から約10cmの間隔を空けることができる。このオフセットは、外側に向かっている、つまり、図3に示すように、リールがロールから突き出ていても良く、逆に、リールがロール11の内側に向かっている、すなわち、リール1の外側のエッジ10が、ロール11の内部に収容されていても良い。
【0024】
このリールに適した材料は、段ボール又はセルロース繊維等の天然繊維や同様の材料、及びPP、PE、PET、ABS、ゴム、PU等の人工又は合成材料である。軽い材料が好ましい。リールを軽くするために、リールの表面を、図4に示すように多孔質構造にしても良い。すなわち、複数の穴、又はリールの残りの部分に対して薄い厚さを有する複数の領域(すなわちリールの減厚部分)が、リール上に存在しても良い。
図4の実施形態では、リール1には、複数の貫通穴12が設けられている。これらの穴の総面積、又はリール表面の減厚部分の総面積は、リール1の外面13の総面積の40%~80%の範囲、好ましくは少なくとも60%である。この比率は、0%~90%の範囲にすることができる。
【0025】
他の実施形態によれば、本発明の方法には、最適な条件を保証するための1つの位置合わせ軸の使用、及び、各布ロールに使用される複数のリールの必要な位置決め及び間隔を容易にするための複数のリール間の同軸位置合わせを含むことができる。この位置合わせ軸は、軸がリール内に挿入されることを可能にするために、複数のリールの内径よりも小さい断面の直径を有している。
この位置合わせ軸の外面の少なくとも一部は、半径方向に拡張してその外径を大きくし、従って、各リールの内面と係合してそれらを必要な位置に保持するように構成されている。この位置合わせ軸は、好ましくは、その表面の少なくとも一部又は表面上に配置された要素が、この位置合わせ軸への加圧空気の供給により、要求された半径方向の拡張を提供することができる、空気圧軸である。
【0026】
図5に示すように、1つの空気圧軸14は、前記したように、リール1及び3を1つの布11の2つの端面に配置するために、特に最も外側の2個のリール1及び3(軸14の両端に各1個)を基準にして、リール1、2及び3を互いに同軸に離間して配置することを可能にする。
【0027】
この空気圧軸14は、その円周外面に長手方向の要素又はタブを備え、その長手方向軸線に平行に縦方向に延びる管状のような本体を有する(図5図6参照)。好ましくは、この空気圧軸14は、加圧された空気がその中空コア内に供給されると、この空気圧軸14が半径方向に膨張することを可能にする手段を有する、円周壁を備えた気密の中空コアを有する。
【0028】
従って、この空気圧軸14の使用を含む方法は、複数のリール1~3を取り付けるための、以下のステップを含んでいる。
-加圧された空気を使用して空気圧軸14を加圧し、この軸を半径方向に拡張させる。好ましくは、空気圧軸14の長手方向要素15に対して半径方向の拡張を可能にする。それにより、予めこの軸に取り付けられていたリール1~3を所定の位置でブロックする。
これに関して、リール1、2及び3と軸14との間の円周方向の滑りは、軸14の要素15とリール1~3との間の円周方向の接触によって最小化されることに留意されたい。同様に、リール1~3の縦方向の動きは、各リールコアの剛性により防止される。
-布ロール製造のプロセスの準備ができている布巻き機の巻き付けモジュールに、空気圧軸14を挿入する。
【0029】
次に、この方法は、以下のステップに従って、布11の巻き付けを含む第2の段階を有する。
-空気圧軸14に取り付けられたリール1、2、及び3で、布11の巻き付けを開始し、必要な長さの布11を、5~25メートル/分の速度、推奨値は約10メートル/分、で巻き付ける。
-巻き付け操作を終了し、空気圧軸14の中空コアの内側から空気を排出する。
-ロール布11のコアから(公称直径に復帰した)空気圧軸14を引き抜く。
【0030】
プロセスの最後に、各リールは布ロールのコアに残る。つまり、空気圧軸で選択された位置に保持される。これは、実際には、布ロールの幅に対して各リールに必要な位置である。各リールは同軸に整列されており、ロールの全体的な構造の剛性によって、この整列された間隔のある位置に保持される。
【符号の説明】
【0031】
1 リール
2 リール
3 リール
4 布(布地)
5 布の側面
6 布の側面
7 布の端面
8 布ロールの端面からリールのエッジまでの距離
9 布ロールの端面
10 リールのエッジ
11 布ロール
12 貫通穴
13 リールの外面
14 空気圧軸
140 両面粘着テープ
15 長手方向要素
D 隣接するリール間の距離
リールの長さ
T リール
Wr 布ロールの幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7