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特許7467812流量の均一な分配が可能な冷却部を含む電池充放電システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】流量の均一な分配が可能な冷却部を含む電池充放電システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/617 20140101AFI20240409BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240409BHJP
【FI】
H01M10/617
H01M10/613
H01M10/6563
H01M10/647
H01M10/6556
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022540944
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 KR2021013189
(87)【国際公開番号】W WO2022075646
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2022-07-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0129940
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グ、ジャ エオン
(72)【発明者】
【氏名】コン、ジン ハク
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0034945(KR,A)
【文献】特開2006-156382(JP,A)
【文献】特開2010-114989(JP,A)
【文献】国際公開第2015/190077(WO,A1)
【文献】特開2013-054884(JP,A)
【文献】特開2004-055487(JP,A)
【文献】特許第7309877(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/52-10/667
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを収容するトレイと、
前記トレイに収容された複数の電池セルに形成された第1電極リード及び第2電極リードと電気的に接続された充放電部と、
前記トレイに収容された前記複数の電池セルを冷却する冷却部とを含み、
前記冷却部は、前記トレイの上部に位置するエア供給部、および前記エア供給部によって形成される送風流路上に位置し、かつ積層構造を成すn個の穴アキ板(nは2以上の整数)を含み、
前記穴アキ板は複数のホールが形成された構造であり、前記複数のホールは前記穴アキ板の中心領域に形成される、電池充放電システム。
【請求項2】
複数の電池セルを収容するトレイと、
前記トレイに収容された複数の電池セルに形成された第1電極リード及び第2電極リードと電気的に接続された充放電部と、
前記トレイに収容された前記複数の電池セルを冷却する冷却部とを含み、
前記冷却部は、前記トレイの上部に位置するエア供給部、および前記エア供給部によって形成される送風流路上に位置し、かつ積層構造を成すn個の穴アキ板(nは2以上の整数)を含み、
前記穴アキ板は多数のホールが形成された構造であり、
前記穴アキ板の中央領域に形成されたホールの直径が、前記穴アキ板の縁領域に形成されたホールの直径よりも大きい、電池充放電システム。
【請求項3】
前記冷却部は、2~5個の前記穴アキ板が積層された構造を含む、請求項1または2に記載の電池充放電システム。
【請求項4】
前記冷却部は、複数のエア供給部を含み、かつ前記エア供給部が前記トレイの上部に均等に分割されて配置された構造である、請求項1からのいずれか一項に記載の電池充放電システム。
【請求項5】
前記エア供給部は送風ファンである、請求項1からのいずれか一項に記載の電池充放電システム。
【請求項6】
前記トレイに収容された前記複数の電池セルは垂直に配列された構造であり、
前記冷却部は、前記トレイの上部に位置する送風ファンを介して、下方気流のエアを送風する、請求項1からのいずれか一項に記載の電池充放電システム。
【請求項7】
前記トレイに収容された前記複数の電池セルは、パウチ型の電池セルである、請求項1からのいずれか一項に記載の電池充放電システム。
【請求項8】
前記トレイは側面が開放された構造であり、
前記冷却部は、前記トレイの側面から前記複数の電池セルの方に冷却エアを送風するサブエア供給部をさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電池充放電システム。
【請求項9】
前記トレイに収容された前記複数の電池セルの温度を測定する温度センサーをさらに含む、請求項1からのいずれか一項に記載の電池充放電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流量の均一な分配が可能な冷却部を含む電池充放電システムに関するものである。本出願は、2020年10月08日付の韓国特許出願第10-2020-0129940号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【背景技術】
【0002】
最近、モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれて、エネルギー源として二次電池の需要が急激に増している。
【0003】
二次電池は、外部機器の種類に応じて、単一の電池セルの形態で使用されたり、複数の単位電池を電気的に連結した電池モジュールの形態で使用されたりする。例えば、携帯電話のような小型デバイスは電池セル1個の出力と容量で所定の時間に作動が可能であるのに対し、ノートパソコン、ポータブルDVD、小型PC、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの中型または大型デバイスは出力および容量の問題で、複数の電池セルを含む電池モジュールの使用が要求される。
【0004】
一方、二次電池は、電池セルを組み立てる工程と電池を活性化する工程とを経て製造される。このとき、電池活性化工程は、通常に、正極、負極端子を保持した充放電用の装置が充放電対象である電池セルに必要な電流を印加することで行われる。
【0005】
図1は、従来の二次電池充放電システムを示す図面である。図1に図示されたように、従来の二次電池充放電用システム10は、複数個の電池セル1が収容されるトレイ11と、上記トレイ11に収容された電池セル1から突出された正極と負極に、電気的に接触可能な構造の充放電部12と、上記電池セル1が繰り返し充放電されて活性化される過程で、上記電池セル1から発生する熱を放出できるように設けられた冷却部13とを含んで構成される。
【0006】
図2は、従来の二次電池充放電システムにおける冷却部を模式的に示す図面である。図2に示すように、従来の二次電池充放電システム10の冷却部13は、複数個の電池セル1が収容されたトレイ11に向かって複数の送風ファン13'を含んで構成される。しかし、従来の冷却部13は、上記トレイ11に収容された電池セル1の全体的な熱を放出するための用途で使用されているため、電池セル1が収容された位置によって温度バラツキが発生され得る。
【0007】
このように、電池セル1の充放電過程において複数個の電池セル1で温度バラツキが存在する場合は、電池セル1の容量バラツキが発生し得る。このため、充放電過程で電池セル1の容量に対する測定値を基準にして、不良か否かを区別する必要がある場合は、電池セル1の不良有無の区分に対する選別力が落ちるという問題が発生し得る。
【0008】
したがって、電池セルを充放電することができ、かつ電池セルから発生する熱を冷却し得るように、流量の均一な分配を可能とする冷却部を含む電池充放電システムに対する技術開発が必要であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
韓国公開特許第10-2015-0034945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためのものであって、流量の均一な分配を可能とする冷却部を含む電池充放電システムを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電池充放電システムを提供する。一例において、本発明に係る電池充放電システムは、複数の電池セルを収容するトレイと、トレイに収容された複数の電池セルに形成された第1電極リードおよび第2電極リードと電気的に接続された充放電部と、トレイに収容された複数の電池セルを冷却する冷却部とを含む。このとき、上記冷却部は、トレイの上部に位置するエア供給部、および上記エア供給部によって形成される送風流路上に位置し、積層構造を成すn個の穴アキ板(nは2以上の整数)を含むことを特徴とする。
【0012】
一例において、上記穴アキ板は複数のホールが形成された構造であり、上記ホールは穴アキ板の中心領域に形成される構造である。
【0013】
他の一例において、上記穴アキ板は複数のホールが形成された構造であり、穴アキ板の中心領域に形成されたホールの直径が穴アキ板の縁領域に形成されたホールの直径よりも大きい構造である。
【0014】
別の一例において、複数の平行なスリットが形成された構造であり、上記スリットは穴アキ板の中心領域に形成された構造である。
【0015】
別の一例において、上記穴アキ板は複数の平行なスリットが形成された構造であり、穴アキ板の中心領域に形成されたスリットの幅が穴アキ板の端領域に形成されたスリットの幅よりも大きい構造である。
【0016】
一例において、上記冷却部は、2~5個の穴アキ板が積層された構造を含む。
【0017】
具体的な例において、上記冷却部は複数のエア供給部を含み、かつ上記エア供給部はトレイの上部に均等に分割されて配置された構造である。一方、上記エア供給部は送風ファンであり得る。
【0018】
一例において、上記トレイに収容された複数の電池セルは垂直に配列された構造であり、上記冷却部はトレイの上部に位置する送風ファンを介して下方気流のエアを送風することを特徴とする。このとき、上記トレイに収容された複数の電池セルは、パウチ型電池セルであり得る。
【0019】
他の一例において、上記トレイは側面が開放された構造であり、上記冷却部はトレイの側面から電池セルの方に冷却空気を送風するサブエア供給部をさらに含む構造である。
【0020】
一例において、本発明に係る電池充放電システムは、トレイに収容された電池セルの温度を測定する温度センサーをさらに含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明の流量の均一な分配を可能とする冷却部を含む電池充放電システムによると、複数の電池セル間の温度バラツキを最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】従来の二次電池充放電システムを示す図面である。
図2】従来の二次電池充放電システムにおける冷却部を模式的に示す図面である。
図3】本発明の一実施形態に係る電池充放電システムの模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る電池充放電システムの冷却部を模式的に示す図面である。
図5】本発明の第1実施形態に係る冷却部を含む電池充放電システムと従来の充放電システムにおける、トレイに収容された電池セルの位置に応じた温度を測定したグラフである。
図6】他の一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムにおける冷却部の穴アキ板を模式的に示す図面である。
図7】別の一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムにおける冷却部の穴アキ板を模式的に示す図面である。
図8】別の一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムにおける冷却部の穴アキ板を模式的に示す図面である。
図9】本発明の他の一実施形態に係る電池充放電システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。その前に、本明細書および特許請求の範囲で使用された用語または単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が彼自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適切に定義し得るという原則に立脚して、本発明の技術的思想に合致する意味と概念として解釈されるべきである。
【0024】
本出願において、「含む」や「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品またはそれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものとして理解されるべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」にあるとする場合、これは他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるとする場合、これは他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に別の部分がある場合も含む。また、本出願において「上に」配置されるということは、上部のみならず下部に配置される場合も含むものであり得る。
【0025】
本発明は、流量の均一な分配を可能とする冷却部を含む電池充放電システムに関するものである。
【0026】
従来の電池充放電システムにおける冷却部は、トレイに収容された電池セルの全体的な熱を放出するための用途で使用されてきた。そのため、トレイに収容された複数の電池セルは、収容される位置に応じて温度のバラツキがあった。このような場合、電池セルの容量バラツキも発生し得るので、電池セルの充放電過程における電池セルの容量値を基準にして不良か否かを区分する場合の選別力が落ちるという問題が発生し得る。
【0027】
そこで、本発明では、流量の均一な分配を可能とする冷却部を含む電池充放電システムを提供する。特に、本発明に係る電池充放電システムは、冷却部の送風流路上に積層構造を成すn個の穴アキ板を含むことで、上記穴アキ板のホールを通過する流速を均一に維持させることができる。これにより、本発明に係る電池充放電システムは、上記トレイに配置された複数の電池セル間の温度バラツキを最小限に抑えることができる。
【0028】
以下、本発明に係る流量の均一な分配を可能とする冷却部を備える電池充放電システムについて詳細に説明する。
【0029】
一例において、本発明に係る電池充放電システムは、複数の電池セルを収容するトレイと、トレイに収容された複数の電池セルに形成された第1電極リードおよび第2電極リードと電気的に接続された充放電部と、トレイに収容された複数の電池セルを冷却する冷却部とを含む。一実施形態において、上記冷却部は、トレイの上部に位置するエア供給部、および上記エア供給部によって形成される送風流路上に位置し、かつ積層構造を成すn個の穴アキ板(nは2以上の整数)を含む。
【0030】
一実施形態において、上記トレイは、上部が開口されたほぼ四角形の箱状の部材であって、内部に複数個の電池セルがマトリックス状で配列装着される。このとき、上記トレイの高さは、ほぼ電池セルの高さに対応されるように形成される。さらに、上記トレイは、収容される電池セルの第1電極リードおよび第2電極リードが突出され得るように、両側面が穿孔された構造である。具体的な例において、上記トレイの両側面が穿孔されているので、上記トレイに収容された電池セルの第1電極リード及び第2電極リードは外部との連結が可能となる。例えば、上記トレイに収容される電池セルの第1電極リード及び第2電極リードは、後述する充放電部と電気的に接続される。
【0031】
一実施形態において、上記充放電部はトレイの両側面に配置し、トレイに収容された複数の電池セルの第1電極リードおよび第2電極リードと電気的に接続される。具体的な例において、上記充放電部は、上記トレイに収容された複数の電池セルに電源を供給するように結合して、電池セルを設定された充放電時間、電圧、回数などで充放電し得る。さらに、上記電池セルの充放電過程中に充放電の状態をモニタリングし、作業を完了した後に元の位置に移動するなどの各種作業を行い、制御し得る制御部(図示せず)を含む。それに対する具体的な説明は省略する。
【0032】
一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムは、トレイに収容された複数の電池セルを冷却する冷却部を含む。具体的な例において、電池の充放電システムにおいて、電池セルの充放電中に電池セルの温度が、例えば50℃以上になると、電池セルの効率や性能が低下し、耐久性が減少するのみならず、熱に対するリスク(例えば、部分焼損、爆発など)が増加され得る。そこで、電池セルの充放電過程で発生した熱を放出して、電池の温度を本発明に係る冷却部で低下させることが好ましい。また、このような電池セルの充放電過程における熱を放出する過程で、同じ電池セル積層体内の電池セルから均一または同一に熱が放熱され、温度バラツキを最小限に抑えることが好ましい。それは、温度バラツキが多い場合は電池セルの効率、安定性、耐久性に影響を及ぼす可能性があるからである。
【0033】
一実施形態において、冷却部は、トレイに収容される複数の電池セルが配置される方向と対応する方向に空気を誘導して、上記複数の電池セルを冷却し得る。具体的な例において、上記冷却部は、トレイの上部に位置するエア供給部、および上記エア供給部によって形成される送風流路上に位置し、かつ積層構造と成すn個の穴アキ板を含んで構成される。ここで、nは2以上の整数である。
【0034】
一実施形態において、エア供給部は、広範囲に使用されるプロペラ形式の送風ファンであって、トレイの上部に位置する。そして、後述するn個の穴アキ板の上部に設置されて、下部に空気を送風することになる。上記のように下部に送風される空気は、上記穴アキ板に穿孔された空気流動路を介してトレイの内部に流入され得る。また、上記エア供給部は複数個を含み、トレイの上部に均等に分割されて配置される。上記冷却部は、2~5個の穴アキ板が積層された構造を含み得る。または3~5個の穴アキ板が積層された構造を含み得る。例えば、上記穴アキ板は3個が積層され得る。
【0035】
一実施形態において、上記n個の穴アキ板は、エア供給部によって送風される空気をトレイの内部に流入させる役割を果たす。例えば、上記冷却部は3個の穴アキ板を含むことで、エア供給部によって送風される空気が上記3個の穴アキ板に形成されたホールを通過することで、流速が徐々に均一になり得る。
【0036】
一実施形態において、上記穴アキ板は、上述したように複数のホールが形成された構造であり、上記ホールは穴アキ板の中心領域に形成されたことを特徴とする。特に、このような構成により、トレイの最外郭に収容された電池セルが位置した方向に、従来と比べて空気の供給が少なくなることで、上記トレイに収容された電池セルの温度バラツキの均衡を合わせることができる。これにより、流量の均一な分配が可能となり、複数の電池セル間の温度バラツキを最小限に抑えることができる。
【0037】
他の一実施形態において、上記穴アキ板は、上述したように複数のホールが形成された構造であり、穴アキ板の中心領域に形成されたホールの直径は、穴アキ板の縁領域に形成されたホールの直径よりも大きい構造である。具体的には、穴アキ板に形成されたホールは、中心領域から縁領域に行くほど、徐々にその直径が小さく形成される。上記構造は、複数の電池セルが収容されたトレイにエア供給部の空気を供給し、かつトレイの縁領域に供給される空気の量を減らすためである。
【0038】
別の一実施形態において、上記穴アキ板は、複数の平行なスリットが形成された構造である。上記穴アキ板に形成された複数のスリットを介してエア供給部から供給される空気をトレイの内部に流入され得る。具体的な例において、上記スリットはトレイに収容される電池セルの収容方向と平行な方向に形成された構造であり、特に、スリットは穴アキ板の中心領域に形成され得る。
【0039】
一方、上記穴アキ板の中心領域に形成されたスリットの幅は、穴アキ板の縁領域に形成されたスリットの幅より大きい構造である。例えば、上記穴アキ板に形成されたホールは、中心領域から端部領域に行くほど徐々に、その幅が小さく形成され得る。上記構造は、複数の電池セルが収容されたトレイにエア供給部の空気を供給し、かつトレイの縁領域に供給される空気の量を減らすためである。
【0040】
他の一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムは、複数の電池セルを収容するトレイと、トレイに収容された複数の電池セルに形成された第1電極リードおよび第2電極リードと電気的に接続された充放電部と、トレイに収容された複数の電池セルを冷却する冷却部とを含む構造である。
【0041】
他の一例において、上記冷却部は、トレイに収容された複数の電池セルが配置される方向と対応する方向に空気を誘導して上記複数の電池セルを冷却し得る。具体的には、上記冷却部は、トレイの上部に位置するエア供給部、および上記エア供給部によって形成される送風流路上に位置し、かつ積層構造を成すn個の穴アキ板を含んで構成される。ここで、nは2以上の整数である。
【0042】
一方、上記n個の穴アキ板に形成されたホールは、その層ごとに大きさおよび形状が相違に形成され得る。具体的な例において、最上段に位置した穴アキ板は複数のホールが形成され、かつ穴アキ板の中心領域にホールが形成され、最下端に位置した穴アキ板は複数のホールが形成され、かつ穴アキ板の全体領域に形成された構造であり得る。一方、最上段から最下段に行くほど、穴アキ板のホールの大きさは徐々に小さくなる構造であり得る。
【0043】
特に、このような構成により、トレイの最外郭に収容された電池セルが位置した方向には従来と比べて供給される空気が少なくなり、そのため、上記トレイに収容された電池セルの温度バラツキの均衡を取ることができる。これにより、流量の均一な分配が可能となり、複数の電池セル間の温度バラツキを最小限に抑えることができる。
【0044】
さらに、本発明に係る電池充放電システムは、サブエア供給部を含み得る。具体的な例において、上記サブエア供給部は、トレイ側面から電池セルの方に冷却空気を送風する。上記サブエア供給部は、上記複数の電池セルが配置される方向と対応する方向に空気を誘導し得るように、トレイの両側に対向して設置され得る。
【0045】
一実施形態において、トレイに収容された複数の電池セルは垂直に配列された構造であり、冷却部はトレイの上部に位置する送風ファンを介して、下方気流のエアを送風する。一方、上記電池セルは、2~30個、5~20個、または10~16個の電池セルが積層された電池セル積層体を意味し得る。
【0046】
一実施形態において、上記トレイに収容された複数の電池セルは、パウチ型電池セルであり得る。具体的な例において、上記電池セルはパウチタイプの単位セルであって、ラミネートシート外装材に正極/分離膜/負極構造の電極組立体が、上記外装材の外部に形成された電極リードと連結された状態で、内蔵されている。上記電極リードはシートの外側に引出され、かつ互いに同じ方向または反対方向に延長され得る。
【0047】
本発明の図面においては、図面の図示の便宜上、一対の電極リードが互いに反対方向に引出された形態を有するパウチ型の電池セルに対してのみに図示しているが、本発明に係る電池モジュールに適用される電池セルは、必ずしもこれに限定されるのではなく、一対の電極リードを互いに同じ方向に引出される場合も可能である。
【0048】
さらに、本発明に係る電池充放電システムは、電池セルの温度を測定する温度センサーをさらに含み得る。具体的な例において、温度センサーによって冷却部の故障の有無などを判断し得る。例えば、温度センサーの急激な温度変化などを制御部が自動的に判断し、警告を発生させるように制御し得る。
【0049】
以下、図面等を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、本明細書に記載された図面に記載された構成は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代用するものではないので、これらを代替し得る多様な均等物と変形例があり得ることを理解する必要がある。
【0050】
(第1実施形態)
図3は、本発明の一実施形態に係る電池充放電システムの模式図である。図3を参照すると、本発明に係る電池充放電システム100は、複数の電池セル111を収容するトレイ110と、トレイ110に収容された複数の電池セル111に形成された第1電極リード及び第2電極リードと電気的に接続された充放電部120と、トレイ110に収容された複数の電池セル111を冷却する冷却部130とを含む構造である。
【0051】
まず、トレイ110は、上部が開口されたほぼ四角い箱状の部材であって、内部に複数個の電池セル111がマトリックス状に配列装着される。このとき、上記トレイ110の高さは、ほぼ電池セル111の高さに対応されるように形成される。また、上記トレイ110は、収容される電池セルの第1電極リード及び第2電極リードが突出され得るように両側面が穿孔された構造である。具体的には、上記トレイ110の両側面が穿孔されているので、上記トレイ110に収容される電池セル111の第1電極リード及び第2電極リードは外部との連結が可能となる。例えば、上記トレイ110に収容される電池セル111の第1電極リード及び第2電極リードは、後述する充放電部120と電気的に連結される。
【0052】
また、充放電部120は、トレイ110の両側面に位置し、トレイ110に収容された複数の電池セル111の第1電極リード及び第2電極リードと電気的に接続される。具体的には、上記充放電部120は、上記トレイ110に収容された複数の電池セル111に電源を供給するように結合して、上記電池セル111を設定された充放電時間、電圧、回数などに充放電し得る。さらに、上記電池セル111の充放電過程中の充放電状態をモニタリングし、作業を完了した後に元の位置に移動するなどの各種作業を行い、制御し得る制御部(図示せず)を含む。それについての具体的な説明は省略する。
【0053】
冷却部130は、トレイ110に収容された複数の電池セル111が配置される方向と対応する方向に空気を誘導して、上記複数の電池セル111を冷却し得る。具体的には、上記冷却部130は、トレイ110の上部に位置するエア供給部131、及び上記エア供給部131によって形成される送風流路上に位置し、かつ積層構造を成すn個の穴アキ板132を含んで構成される。ここで、nは2以上の整数である。
【0054】
エア供給部131は、広範囲に使用されるプロペラ形式の送風ファンであって、トレイ110の上部に位置する。そして、後述するn個の穴アキ板132の上部に設置されて、下部に空気を送風することになる。上記のように、下部に送風される空気は、上記穴アキ板に穿孔された空気流動路を介してトレイの内部に流入され得る。また、上記エア供給部131は複数個を含み、トレイ110の上部に均等に分割されて配置される。図3では、6個の送風ファンを含むように示されているが、これに制限されない。
【0055】
本発明に係る冷却部130は、上述したように、n個の穴アキ板132を含んで構成される。図3には3個の穴アキ板132が示されているが、これに制限されない。
【0056】
さらに、本発明に係る電池充放電システム100は、サブエア供給部140を含む。上記サブエア供給部140は、トレイ110の側面から電池セル111の方に、冷却空気を送風する。上記サブエア供給部140は、上記複数の電池セルが配置される方向と対応する方向に空気を誘導し得るように、トレイの両側に対向されるように設置される。
【0057】
図4は、本発明の一実施形態に係る電池充放電システムの冷却部を模式的に示す図面である。図4を参照すると、上記3個の穴アキ板132は、エア供給部によって送風される空気をトレイ110の内部に流入させる役割を果す。特に、上記冷却部130は3個の穴アキ板132を含むことで、エア供給部131によって送風される空気が3個の穴アキ板に形成されたホールを通過することになり、流速が徐々に均一になり得る。
【0058】
一方、上記穴アキ板132は、上述したように複数のホール1321が形成された構造であり、上記ホール1321は、穴アキ板132の中心領域に形成されることを特徴とする。特に、このような構造によって、トレイ110の最外郭に収容された電池セル111が位置した方向に、従来と比べて少ない空気が供給されることで、上記トレイ110に収容された電池セルの温度バラツキの均衡を取ることができる。これにより、流量の均一な分配が可能となり、複数の電池セル間の温度バラツキを最小限に抑えることができる。
【0059】
それと関連して、本発明の第1実施形態における冷却部を含む電池充放電システムと、従来の電池充放電システムとをそれぞれ適用したときの、トレイに収容された電池セルの位置に応じた温度を測定する。そして、その結果を図5に示した。
【0060】
図5は、本発明の第1実施形態に係る冷却部を含む電池充放電システムと従来の充放電システムを適用したときの、トレイに収容された電池セルの位置に応じた温度を測定したグラフである。
【0061】
図5を参照すると、従来の電池充放電システムの場合、トレイの最外郭に位置した電池セルの測定温度は31℃であり、中心領域に位置した電池セルの温度は41℃であった。すなわち、トレイの位置によって電池セルの温度が異なり、温度バラツキが大きく現れた。一方、本発明の電池充放電システムによると、トレイに収容された16個の電池セルの温度差が少なかった。これは、冷却部が3個の穴アキ板を含むことで、流量の均一な分配が可能となり、複数の電池セル間の温度バラツキを最小限に抑えると判断される。
【0062】
(第2実施形態)
図6は、他の一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムにおける冷却部の穴アキ板を模式的に示す図面である。図6を参照すると、本発明に係る穴アキ板232は、複数のホール2321が形成された構造である。上記穴アキ板232に形成された複数のホール2321を介してエア供給部から供給される空気がトレイの内部に流入され得る。
【0063】
一方、穴アキ板232の中心領域に形成されたホール2321の直径は、穴アキ板232の縁領域に形成されたホール2321の直径より大きい構造である。具体的には、穴アキ板232に形成されたホール2321は、中心領域から縁領域に行くほど徐々に、その直径が小さく形成される。
【0064】
上記構成は、複数の電池セルが収容されたトレイにエア供給部の空気を供給し、かつトレイの縁領域に供給される空気の量を減らすためである。
【0065】
各構成に対する説明は上述したので、各構成に対する具体的な説明は省略する。
【0066】
(第3実施形態)
図7は、別の一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムにおける冷却部の穴アキ板を模式的に示す図面である。図7を参照すると、本発明による穴アキ板332は、複数の平行なスリット3322が形成された構造である。上記穴アキ板332に形成された複数のスリット3322を介してエア供給部から供給される空気がトレイの内部に流入され得る。
【0067】
上記スリット3322は、トレイに収容される電池セルの収容方向と平行な方向に形成された構造であり、特に、上記スリット3322は穴アキ板332の中心領域に形成された構造である。
【0068】
上記構造は、複数の電池セルが収容されたトレイにエア供給部の空気を供給し、かつトレイの縁領域に供給される空気の量を減らすためである。
【0069】
各構成に対する説明は上述したので、各構成に対する具体的な説明は省略する。
【0070】
(第4実施形態)
図8は、別の一実施形態において、本発明に係る電池充放電システムにおける冷却部の穴アキ板を模式的に示す図面である。図8を参照すると、本発明に係る穴アキ板432は、複数の平行なスリット4322が形成された構造である。上記穴アキ板432に形成された複数のスリット4322を介してエア供給部から供給される空気をトレイの内部に流入され得る。
【0071】
上記スリット4322は、トレイに収容される電池セルの収容方向と平行な方向に形成された構造である。一方、上記穴アキ板432の中心領域に形成されたスリット4322の幅は、穴アキ板432の縁領域に形成されたスリット4322の幅より大きい構造である。具体的には、穴アキ板432に形成されたホール4321は、中心領域から縁領域に行くほど徐々に、その幅が小さく形成される。
【0072】
上記構造は、複数の電池セルが収容されたトレイにエア供給部の空気を供給し、かつトレイの縁領域に供給される空気の量を減らすためである。
【0073】
各構成に対する説明は上述したので、各構成に対する具体的な説明は省略する。
【0074】
(第5実施形態)
図9は、本発明の他の実施形態に係る電池充放電システムの模式図である。
【0075】
図9を参照すると、本発明に係る電池充放電システム500は、複数の電池セル511を収容するトレイ510と、トレイ510に収容された複数の電池セル511に形成された第1電極リード及び第2電極リードと電気的に接続された充放電部(図示せず)と、トレイ510に収容された複数の電池セル511を冷却する冷却部530とを含む構造である。
【0076】
上記冷却部530は、トレイ510に収容された複数の電池セル511が配置される方向と対応する方向に空気を誘導して、上記複数の電池セル511を冷却し得る。具体的には、上記冷却部530は、トレイ510の上部に位置するエア供給部531、及び上記エア供給部531によって形成される送風流路上に位置し、かつ積層構造を成すn個の穴アキ板532を含んで構成される。ここで、nは2以上の整数である。図9には3個の穴アキ板532が示されているが、これに制限されない。
【0077】
上記3個の穴アキ板532は、エア供給部531によって送風される空気をトレイ510の内部に流入させる役割を果す。特に、上記冷却部530は、3個の穴アキ板532を含み、エア供給部531によって送風される空気が上記3個の穴アキ板532に形成されたホール5321を通過することで、流速が徐々に均一になり得る。
【0078】
一方、上記3個の穴アキ板に形成されたホール5321は、その層ごとに大きさ及び形が相違に形成される。具体的には、最上段に位置した穴アキ板532には多数のホール5321が形成され、かつ穴アキ板532の中心領域にホール5321が形成される。また、最下端に位置した穴アキ板532は複数のホール5321に形成され、かつ穴アキ板の全体領域に形成された構造である。一方、最上端から最下端に行くほど、穴アキ板532のホール5321の大きさは徐々に小さくなる構造である。
【0079】
特に、このような構造によって、トレイ510の最外郭に収容された電池セル511が位置した方向には、従来と比べて供給される空気が少なくなる。そのため、上記トレイ510に収容された電池セルの温度バラツキの均衡を合わせることができる。これにより、流量の均一な分配が可能となり、複数の電池セル511間の温度バラツキを最小限に抑えることができる。
【0080】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野での通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。したがって、本発明に開示された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであり、このような図面によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものとして解釈されるべきである。
【0081】
一方、本明細書では上、下、左、右、前、後のような方向を示す用語が使用されているが、このような用語は説明の便宜のためのものであるだけで、対象となる物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは自明である。
【符号の説明】
【0082】
1:電池セル
10、100:電池充放電システム
11、110:トレイ
111、511:電池セル
12、120:充放電部
13、130:冷却部
131、531:エア供給部
132、232、332、432、532:穴アキ板
1321、2321、5321:ホール
3322、4322:スリット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9