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特許7467829駆動装置、ハンドおよび駆動装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】駆動装置、ハンドおよび駆動装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/14 20060101AFI20240409BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H02N2/14
B25J15/08 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019057894
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020157405
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】荒川 豊
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 孝雄
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-277983(JP,A)
【文献】特開2016-038304(JP,A)
【文献】特開平01-301018(JP,A)
【文献】特開2006-333629(JP,A)
【文献】特開平06-121554(JP,A)
【文献】特開2014-238117(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/14
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波モーターと、
前記超音波モーターから駆動力を受けて変位する被駆動部と、
前記駆動力を外部に対して出力する出力部と、
弾性を有して前記被駆動部と前記出力部とに接続し、前記駆動力を前記被駆動部から前
記出力部に伝達する伝達部と、
前記被駆動部の変位量を検出する第1エンコーダーと、
前記出力部の変位量を検出する第2エンコーダーと、
前記伝達部の弾性変形に起因して生じる前記第1エンコーダーが検出した前記変位量と
前記第2エンコーダーが検出した前記変位量との差に基づいて、前記超音波モーターの駆
動を制御する制御部と、を有し、
前記第1エンコーダーと前記第2エンコーダーとが並ぶ方向に直交する方向からの平面
視で、前記超音波モーターは前記伝達部と重なっていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、予め設定されている所定値と前記差とを比較して前記超音波モーターの
駆動を制御する請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記伝達部の弾性係数は、前記被駆動部の弾性係数よりも小さい請求項1または2に記
載の駆動装置。
【請求項4】
前記伝達部は、ばねである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記被駆動部および前記出力部は、所定の軸まわりに回転し、
前記第1エンコーダーおよび前記第2エンコーダーは、ロータリーエンコーダーである
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記被駆動部および前記出力部は、所定の方向にスライドし、
前記第1エンコーダーおよび前記第2エンコーダーは、リニアエンコーダーである請求
項1ないし4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記被駆動部と前記出力部との間に前記超音波モーターおよび前記伝達部が配置されて
いる請求項1ないし6のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
第1指部および第2指部と、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の駆動装置と、を備え、
前記駆動装置により前記第1指部と前記第2指部との近接または離間を行うことを特徴
とするハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、ハンドおよび駆動装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載されている把持装置は、超音波モーターと、超音波モーターの出力軸に設けられたピニオンと、ピニオンに噛合して互いに相反方向に移動する一対のラックと、一方のラックに固定された第1把持部と、他方のラックに固定された第2把持部と、超音波モーターの速度を調整する速度調整器を備える駆動制御回路と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-341091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の把持装置では、第1、第2把持部でワークを把持した把持状態において、超音波モーターを構成するローターと振動素子との間で滑りが生じ、ローターや振動素子の摩耗が促進されるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の駆動装置は、超音波モーターと、
前記超音波モーターから駆動力を受けて変位する被駆動部と、
前記駆動力を外部に対して出力する出力部と、
弾性を有して前記被駆動部と前記出力部とに接続し、前記駆動力を前記被駆動部から前記出力部に伝達する伝達部と、
前記被駆動部の変位量を検出する第1エンコーダーと、
前記出力部の変位量を検出する第2エンコーダーと、
前記伝達部の弾性変形に起因して生じる前記第1エンコーダーが検出した前記変位量と前記第2エンコーダーが検出した前記変位量との差に基づいて、前記超音波モーターの駆動を制御する制御部と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の第1実施形態に係るロボットを示す斜視図である。
図2】ロボットが備えるハンドを示す断面図である。
図3】ハンドの動作を示す断面図である。
図4】ハンドの動作を示す断面図である。
図5】ハンドが有する超音波モーターを示す平面図である。
図6】ハンドの制御方法を説明するためのフローチャートである。
図7】把持動作の際の回転量差Δθの推移を示すグラフである。
図8】本発明の第2実施形態に係るハンドを示す断面図である。
図9】本発明の第3実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
図11】本発明の第5実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の駆動装置、ハンドおよび駆動装置の制御方法を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0008】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボットを示す斜視図である。図2は、ロボットが備えるハンドを示す断面図である。図3および図4は、ハンドの動作を示す断面図である。図5は、ハンドが有する超音波モーターを示す平面図である。図6は、ハンドの制御方法を説明するためのフローチャートである。図7は、把持動作の際の回転量差Δθの推移を示すグラフである。なお、以下では、説明の便宜上、図2ないし図4中の上側を「上」とも言い、下側を「下」とも言う。
【0009】
図1に示すロボットシステム1は、ロボット2と、ロボット2に装着されたハンド3と、ロボット2の駆動を制御するロボット制御装置8と、ロボット制御装置8と通信可能なホストコンピューター9と、を有する。
【0010】
-ロボット-
ロボット2は、例えば、精密機器やこれを構成する部品の給材、除材、搬送および組立等の作業を行うロボットである。ただし、ロボット2の用途としては、特に限定されない。本実施形態のロボット2は、6軸ロボットであり、図1に示すように、床や天井に固定されるベース21と、ベース21に連結されたロボットアーム22と、を有する。
【0011】
ロボットアーム22は、ベース21に回動自在に連結された第1アーム221と、第1アーム221に回動自在に連結された第2アーム222と、第2アーム222に回動自在に連結された第3アーム223と、第3アーム223に回動自在に連結された第4アーム224と、第4アーム224に回動自在に連結された第5アーム225と、第5アーム225に回動自在に連結された第6アーム226と、を有する。そして、第6アーム226に、ロボット2に実行させる作業に応じたハンド3が装着される。
【0012】
また、ロボット2は、ベース21に対して第1アーム221を回動させる第1駆動装置251と、第1アーム221に対して第2アーム222を回動させる第2駆動装置252と、第2アーム222に対して第3アーム223を回動させる第3駆動装置253と、第3アーム223に対して第4アーム224を回動させる第4駆動装置254と、第4アーム224に対して第5アーム225を回動させる第5駆動装置255と、第5アーム225に対して第6アーム226を回動させる第6駆動装置256と、を有する。第1~第6駆動装置251~256は、それぞれ、例えば、駆動源としてのモーターと、モーターの駆動を制御するコントローラーと、モーターの回転量を検出するエンコーダーと、を有する。そして、第1~第6駆動装置251~256は、それぞれ、ロボット制御装置8によって独立して制御される。
【0013】
ロボット2としては、本実施形態の構成に限定されず、例えば、ロボットアーム22が有するアームの数が1本~5本であってもよいし、7本以上であってもよい。また、例えば、ロボット2の種類は、スカラロボットや、2つのロボットアーム22を有する双腕ロボットであってもよい。
【0014】
-ロボット制御装置-
ロボット制御装置8は、ホストコンピューター9からロボット2の位置指令を受け、各アーム221~226が受けた位置指令に応じた位置となるように、第1~第6駆動装置251~256の駆動をそれぞれ独立して制御する。ロボット制御装置8は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサー(CPU)と、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0015】
-ハンド-
図2に示すように、ハンド3は、駆動装置3Aを適用したものであり、基体30と、基体30に対して回転軸Jまわりに回転可能に支持された被駆動部としての第1ローター31と、第1ローター31を回転軸Jまわりに回転させる超音波モーター32と、第1ローター31と同軸的に配置され、基体30に対して回転軸Jまわりに回転可能に支持された出力部としての第2ローター33と、第1ローター31と第2ローター33との間に配置され、第1ローター31と第2ローター33とを接続する弾性を有する伝達部34と、第1ローター31の変位量すなわち回転量を検出する第1エンコーダー35と、第2ローター33の変位量すなわち回転量を検出する第2エンコーダー36と、第2ローター33に固定されたピニオン37と、基体30に対して矢印方向にスライド可能に支持されると共にピニオン37に噛合し、互いに相反方向に移動する一対のラック381、382と、ラック381に固定された第1指部391と、ラック382に固定された第2指部392と、超音波モーター32の駆動を制御する制御部300と、を有する。
【0016】
このうち、第1ローター31と、超音波モーター32と、第2ローター33と、伝達部34と、第1エンコーダー35と、第2エンコーダー36と、で駆動装置3Aが構成されている。
【0017】
また、制御部300は、例えば、コンピューターから構成され、情報を処理するプロセッサー(CPU)と、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、外部インターフェースと、を有する。メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することができる。
【0018】
このようなハンド3では、制御部300による制御によって超音波モーター32を駆動すると、第1ローター31が回転軸Jまわりに回転し、この回転が伝達部34を介して第2ローター33に伝達されて第2ローター33が回転軸Jまわりに回転する。また、第2ローター33の回転によってピニオン37が回転し、一対のラック381、382が互いに相反方向に移動することにより、第1指部391および第2指部392が離間および接近して開閉する。この第1指部391および第2指部392の開閉によって、ワークWを把持したり、把持したワークWを離脱させたりすることができる。
【0019】
第1ローター31は、ベアリング301を介して基体30に対し軸支され、回転軸Jまわりに回転可能である。第1ローター31は、円筒状の基部311と、基部311から周方向に突出した円盤状のローター本体312と、を有し、これらは一体形成されている。なお、第1ローター31の構成材料としては、特に限定されないが、硬く、耐摩耗性に優れた材料が好ましい。このような材料としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の酸化物セラミックス、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物セラミックス等の各種セラミックスが挙げられる。これにより、十分に硬く、耐摩耗性に優れた第1ローター31となる。
【0020】
このような第1ローター31の下側には第1エンコーダー35が配置され、第1エンコーダー35によって、第1ローター31の挙動、特に、回転量および角速度が検出される。第1エンコーダー35としては、特に限定されず、例えば、第1ローター31の回転時にその回転量を検出するインクリメンタル型のエンコーダーであってもよいし、第1ローター31の回転の有無に関わらず、第1ローター31の原点からの絶対位置を検出するアブソリュート型のエンコーダーであってもよい。
【0021】
第1エンコーダー35は、ロータリーエンコーダーであり、ローター本体312の下方において基部311に固定された円盤状のスケール351と、スケール351を間に挟んで配置され、基体30に固定された発光素子352および受光素子353と、を有する。また、スケール351には、その周方向に並んで配置された複数のスリットが形成されており、このスリットを通過した発光素子352からの光を受光素子353が受光する。そのため、受光素子353の受光回数に基づいてスケール351すなわち第1ローター31の回転量を検出することができ、単位時間当たりの受光回数に基づいてスケール351すなわち第1ローター31の角速度を検出することができる。ただし、第1エンコーダー35の構成としては、特に限定されず、例えば、発光素子352から出射され、スケール351で反射された光を受光素子353が受光する反射型のエンコーダーであってもよいし、スケール351に設けられたパターンを撮像素子で画像認識するテンプレートマッチング型のエンコーダーであってもよい。
【0022】
一方、第1ローター31の上側には第2ローター33が配置されている。第2ローター33は、ベアリング302を介して基体30に対し軸支され、回転軸Jまわりに回転可能である。つまり、第1ローター31および第2ローター33は、同軸的に配置され、共に回転軸Jまわりに回転可能である。なお、第2ローター33の構成材料としては、特に限定されないが、硬く、変形し難い材料が好ましい。これにより、超音波モーター32からの駆動力を効率的に第1、第2指部391、392に伝達することができる。このような材料としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア等の酸化物セラミックス、窒化珪素、窒化アルミ、窒化チタン等の窒化物セラミックス等の各種セラミックスが挙げられる。これにより、十分に硬く、変形し難い第2ローター33となる。
【0023】
このような第2ローター33には第2エンコーダー36が配置され、第2エンコーダー36によって、第2ローター33の挙動、特に、回転量および角速度が検出される。第2エンコーダー36としては、特に限定されず、例えば、第2ローター33の回転時にその回転量を検出するインクリメンタル型のエンコーダーであってもよいし、第2ローター33の回転の有無に関わらず、第2ローター33の原点からの絶対位置を検出するアブソリュート型のエンコーダーであってもよい。
【0024】
第2エンコーダー36は、前述した第1エンコーダー35と同様の構成である。すなわち、第2エンコーダー36は、ロータリーエンコーダーであり、第2ローター33に固定された円盤状のスケール361と、スケール361を間に挟んで配置され、基体30に固定された発光素子362および受光素子363と、を有する。また、スケール361には、その周方向に並んで配置された複数のスリットが形成されており、このスリットを通過した発光素子362からの光を受光素子363が受光する。そのため、受光素子363の受光回数に基づいてスケール361すなわち第2ローター33の回転量を検出することができ、単位時間当たりの受光回数に基づいてスケール361すなわち第2ローター33の角速度を検出することができる。ただし、第2エンコーダー36の構成としては、特に限定されず、例えば、発光素子362から出射され、スケール361で反射された光を受光素子363が受光する反射型のエンコーダーであってもよいし、スケール361に設けられたパターンを撮像素子で画像認識するテンプレートマッチング型のエンコーダーであってもよい。また、第1エンコーダー35と第2エンコーダー36は、互いに異なる構成のエンコーダーであってもよい。
【0025】
また、上述の第1ローター31と第2ローター33との間には、第1ローター31と第2ローター33とを接続し、第1ローター31の回転を第2ローター33に伝達する伝達部34が配置されている。伝達部34は、弾性を有し、回転軸Jまわりにねじれ変形可能となっている。伝達部34としては、上述の機能を有していれば、特に限定されず、本実施形態では、ばね、特に、回転軸Jと同軸的に配置されたコイルばね341で構成されている。これにより、伝達部34の構成が簡単となる。ただし、伝達部34の構成は、弾性変形、特に、回転軸Jまわりのねじれ変形が可能であれば、特に限定されず、例えば、板ばねであってもよいし、樹脂製のシート材、板材、ブロック材等であってもよい。
【0026】
また、コイルばね341は、第1ローター31および第2ローター33よりも回転軸Jまわりに変形し易い。つまり、コイルばね341は、第1ローター31および第2ローター33よりも弾性率、特に、せん断弾性係数(剛性率、横弾性係数)が小さい。
【0027】
また、コイルばね341は、図3に示すように、第1、第2指部391、392でワークWを把持しておらず、第1、第2指部391、392にワークWからの反力Nが加わらない状態で、第1、第2指部391、392を接近させる方向に第1ローター31を回転させても実質的に弾性変形しないが、図4に示すように、第1、第2指部391、392がワークWに接触し、第1、第2指部391、392にワークWからの反力Nが加わる状態で、第1、第2指部391、392を接近させる方向に第1ローター31を回転させると弾性変形する程度の硬さを有する。
【0028】
また、図2に示すように、第1ローター31と第2ローター33との間には、第1ローター31に駆動力を伝達して第1ローター31を回転軸Jまわりに回転させる超音波モーター32が配置されている。超音波モーター32は、回転軸Jまわりに等間隔に複数配置され、特に、本実施形態では、2つの超音波モーター32が回転軸Jまわりに180°間隔で配置されている。ただし、超音波モーター32の数や配置は、特に限定されない。
【0029】
これら2つの超音波モーター32は、圧電モーターであり、図5に示すように、振動部321と、振動部321の先端部に配置された突出部324と、振動部321を支持する支持部322と、振動部321と支持部322とを接続する梁部323と、を有する。そして、支持部322が付勢部材4を介して基体30に固定されている。また、超音波モーター32は、付勢部材4によってローター本体312に向けて付勢されており、突出部324がローター本体312の上面に押し付けられた状態で当接している。
【0030】
また、振動部321には5つの圧電素子325A、325B、325C、325D、325Eが設けられている。これら5つの圧電素子325A~325Eは、それぞれ、振動部321の長手方向に伸縮するようになっており、制御部300による制御によって、圧電素子325A~325Eをそれぞれ所定のタイミングで伸縮させることにより、振動部321がS字状に屈曲振動し、この屈曲振動が突出部324を介してローター本体312に伝達されることにより、第1ローター31が基体30に対して回転軸Jまわりに回転する。
【0031】
以上のような超音波モーター32は、例えば、電磁モーター等の他のモーターと比べて小型化が可能である。そのため、ハンド3の小型化を図ることができる。また、超音波モーター32は、電磁モーターと比べて、低速・高トルクの特性を有し、このような特性は、ハンド3の駆動に適している。そのため、より安定した駆動が可能なハンド3となる。
【0032】
ここで、各超音波モーター32は、回転軸Jに対して直交する方向、すなわち、図2の横方向から見て、伝達部34と重なって配置されている。言い換えると、各超音波モーター32と伝達部34とが図2の横方向に並んで配置されている。そのため、第1ローター31と第2ローター33とを接続する伝達部34によって形成された、第1ローター31と第2ローター33との間のスペースを、超音波モーター32を配置するスペースとして有効活用することができる。したがって、ハンド3の小型化を図ることができる。ただし、各超音波モーター32の配置としては、これに限定されず、例えば、ローター本体312の下側に配置されており、ローター本体312の下面に突出部324が当接していてもよい。
【0033】
図2に示すように、第2ローター33の上端部にはピニオン37が固定されており、このピニオン37は、第2ローター33と共に回転軸Jまわりに回転する。また、ピニオン37には、一対のラック381、382が噛合している。ラック381、382は、それぞれ、ガイド303を介して基体30に支持され、基体30に対して回転軸Jに直交する方向に移動可能である。また、ラック381、382は、ピニオン37を間に挟んで配置されており、ピニオン37が回転すると、互いに相反方向に移動する。そして、ラック381には第1指部391が固定されており、ラック382には第2指部392が固定されている。そのため、ピニオン37を回転させてラック381、382を相反方向にスライドさせることにより、第1、第2指部391、392を離間および接近して開閉することができる。
【0034】
以上、ハンド3の構成について説明した。次に、制御部300によるハンド3の制御方法について説明する。
【0035】
前述したが、図3に示すように、第1、第2指部391、392でワークWを把持していない状態で第1、第2指部391、392を接近させる方向に超音波モーター32を駆動しても、第1、第2指部391、392にワークWからの反力Nが加わらず、コイルばね341が実質的に弾性変形しない。そのため、第1ローター31の回転量θ1と第2ローター33の回転量θ2とが等しくなる。これに対して、図4に示すように、第1、第2指部391、392がワークWと接触した状態で、第1、第2指部391、392を接近させる方向つまりワークWの把持力を高める方向に超音波モーター32を駆動すると、第1、第2指部391、392にワークWからの反力Nが加わり、反力Nによってコイルばね341が捩じれる方向に弾性変形し、すなわち、コイルばね341の上端と下端とで回転軸Jを中心とする回転量が異なり、その分、第1ローター31の回転量θ1よりも第2ローター33の回転量θ2が小さくなる。つまり、第1ローター31の回転量θ1と第2ローター33の回転量θ2との間に回転量差Δθ(=θ1-θ2)が生じ、この回転量差Δθは、ワークWの把持力と比例する。つまり、ワークWの把持力が大きくなる程、回転量差Δθが大きくなる。
【0036】
そこで、制御部300は、前述の回転量差Δθに基づいて超音波モーター32の駆動を制御する。これにより、所望の把持力でワークWを把持することができる。特に、ワークWの把持力を検出する力覚センサー等を別途設けることなく、ワークWの把持力を制御することができるため、ハンド3の構成がより簡単なものとなる。また、把持力を制御することにより、把持状態のときの超音波モーター32の過度な駆動を抑制でき、超音波モーター32の突出部324と第1ローター31のローター本体312とがスリップして、これらが摩耗するのを効果的に抑制することができる。そのため、長期に亘って優れた駆動特性を有するハンド3が得られる。
【0037】
制御部300による制御方法を図6のフローチャートおよび図7の回転量差Δθの推移を示すグラフに基づいて説明すると、制御部300は、まず、ステップS1として、第1エンコーダー35および第2エンコーダー36を初期化し、回転量差Δθ=0とする。次に、制御部300は、ステップS2として、ロボット制御装置8からの指令に基づいて超音波モーター32を駆動してワークWの把持動作を行う。図7に示すように、第1、第2指部391、392がワークWに接触していない状態ではコイルばね341が弾性変形しないため、第1、第2ローター31、33の回転量θ1、θ2が等しく、回転量差Δθ=0である。
【0038】
超音波モーター32の駆動を続け、第1、第2指部391、392がさらに接近してワークWに接触すると、ワークWからの反力Nが生じ、この反力Nによってコイルばね341が回転軸Jまわりにねじれ変形する。そのため、コイルばね341のねじれ変形の分だけ、第2ローター33の回転量θ2が第1ローター31の回転量θ1よりも小さくなり、回転量差Δθ>0となる。超音波モーター32の駆動をさらに続けるとワークWの把持力が徐々に増加し、それに伴って回転量差Δθも徐々に増加する。
【0039】
ここで、制御部300には、ワークWを把持するのに適した把持力のときに生じる回転量差Δθが基準回転量差Δθaとして記憶されている。そこで、図6に示すように、制御部300は、ステップS3として、回転量差Δθを基準回転量差Δθaと比較する。なお、回転量差Δθは、第1エンコーダー35で検出される第1ローター31の回転量θ1と、第2エンコーダー36で検出される第2ローター33の回転量θ2と、に基づいて算出することができる。
【0040】
そして、制御部300は、回転量差Δθ<基準回転量差Δθaであれば、そのまま超音波モーター32の駆動を続けてワークWの把持力を高め、反対に、回転量差Δθ≧基準回転量差Δθaであれば、ステップS4として、超音波モーター32の駆動を停止して、その把持力を維持する。なお、前述したように、超音波モーター32の停止時には突出部324がローター本体312に押し付けられており、これらの間に高い摩擦力が生じているため、第1ローター31の回転が阻止される。そのため、超音波モーター32の駆動を停止してもワークWの把持力を維持し続けることができる。
【0041】
このような制御方法によれば、予め設定された把持力でワークWを適切に把持することができる。そのため、把持力が強すぎてワークWが破損したり、把持力が弱すぎてワークWが不本意に離脱したりするのを効果的に抑制することができる。そして、十分な把持力でワークWを把持したら、超音波モーター32を停止するため、それ以上超音波モーター32を過度に駆動することがない。
【0042】
以上、ハンド3について説明した。このハンド3に適用された駆動装置3Aは、前述したように、超音波モーター32と、超音波モーター32から駆動力を受けて変位する被駆動部としての第1ローター31と、駆動力を外部に対して出力する出力部としての第2ローター33と、弾性を有して第1ローター31と第2ローター33とに接続し、超音波モーター32の駆動力を第1ローター31から第2ローター33に伝達する伝達部34と、第1ローター31の変位量を検出する第1エンコーダー35と、第2ローター33の変位量を検出する第2エンコーダー36と、伝達部34の弾性変形に起因して生じる第1エンコーダー35が検出した変位量である回転量θ1と第2エンコーダー36が検出した変位量である回転量θ2との差である回転量差Δθに基づいて、超音波モーター32の駆動を制御する制御部300と、を有する。
【0043】
このように、制御部300が、回転量差Δθに基づいて超音波モーター32の駆動を制御することにより、第2ローター33から外部に対して所望の外力、本実施形態では、ワークWの把持力を出力することができる。そのため、超音波モーター32の過度な駆動が抑制され、超音波モーター32や第1ローター31の摩耗を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、前述したように、制御部300は、予め設定されている所定値としての基準回転量差Δθaと回転量差Δθとを比較して超音波モーター32の駆動を制御する。これにより、第2ローター33から所定の大きさの外力、本実施形態では、ワークWの把持力を出力することができる。
【0045】
また、前述したように、伝達部34の弾性係数は、第1ローター31の弾性係数よりも小さい。これにより、第2ローター33に外力、本実施形態ではワークWからの反力Nが加わったときに、より確実に、伝達部34を弾性変形させることができる。また、第1ローター31の変形が抑制され、第2ローター33に加わった外力が効率的に伝達部34に伝わる。つまり、第2ローター33に加わった外力の一部が効率的に第1ローター31の変形によって吸収されるのを抑制することができる。そのため、第2ローター33に加わった外力の大きさと回転量差Δθとの関係がより正確なものとなる。
【0046】
また、前述したように、伝達部34は、ばね、特にコイルばね341である。これにより、伝達部34の構成が簡単なものとなる。
【0047】
また、前述したように、第1ローター31および第2ローター33は、所定の軸である回転軸Jまわりに回転する。そして、第1エンコーダー35および第2エンコーダー36は、ロータリーエンコーダーである。これにより、第1ローター31および第2ローター33の変位量を簡単に検出することができる。
【0048】
また、前述したように、第1ローター31と第2ローター33との間に超音波モーター32および伝達部34が配置されている。これにより、伝達部34の配置が簡単となると共に、第1ローター31と第2ローター33との間のスペースを、超音波モーター32を配置するスペースとして有効活用することができる。
【0049】
また、前述したように、第1ローター31と第2ローター33とが並ぶ方向に直交する方向すなわち回転軸Jに直交する方向からの平面視で、超音波モーター32とコイルばね341とが重なっている。これにより、第1ローター31と第2ローター33とをより接近させて配置することができ、その分、ハンド3の小型化を図ることができる。具体的には、ハンド3の回転軸Jに沿う方向の全長を短くすることができる。
【0050】
また、前述したように、超音波モーター32と、超音波モーター32から駆動力を受けて変位する被駆動部としての第1ローター31と、駆動力を外部に対して出力する出力部としての第2ローター33と、弾性を有して第1ローター31と第2ローター33とに接続し、超音波モーター32の駆動力を第1ローター31から第2ローター33に伝達する伝達部34と、第1ローター31の変位量を検出する第1エンコーダー35と、第2ローター33の変位量を検出する第2エンコーダー36と、を有する駆動装置3Aの制御方法は、伝達部34の弾性変形に起因して生じる第1エンコーダー35が検出した変位量である回転量θ1と第2エンコーダー36が検出した変位量である回転量θ2との差である回転量差Δθに基づいて、超音波モーター32の駆動を制御する。
【0051】
このように、回転量差Δθに基づいて超音波モーター32の駆動を制御することにより、第2ローター33から外部に対して所望の外力、本実施形態では、ワークWの把持力を出力することができる。そのため、超音波モーター32の過度な駆動が抑制され、超音波モーター32や第1ローター31の摩耗を効果的に抑制することができる。
【0052】
また、前述したように、ハンド3は、第1指部391および第2指部392と、駆動装置3Aと、を備え、駆動装置3Aにより第1指部391と第2指部392との近接または離間を行う。前述した駆動装置3Aの効果を発揮でき、所望の把持力でワークWを把持することができる。そのため、超音波モーター32の過度な駆動が抑制され、超音波モーター32や第1ローター31の摩耗を効果的に抑制することができる。
【0053】
<第2実施形態>
図8は、本発明の第2実施形態に係るハンドを示す断面図である。
【0054】
本実施形態に係るハンド3は、リニア型のハンドであること以外は、前述した第1実施形態と同様である。以下の説明では、第2実施形態のハンド3に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図8では、前述した第1実施形態と同様の構成について同一符号を付している。
【0055】
図8に示すように、本実施形態のハンド3は、基体30と、基体30に対してX軸方向にスライド可能に支持された被駆動部としての第1スライダー310と、第1スライダー310をX転方向にスライドさせる超音波モーター32と、第1スライダー310と平行な方向すなわちX軸方向にスライド可能に基体30に支持された出力部としての第2スライダー330と、第1スライダー310と第2スライダー330との間に配置され、第1スライダー310と第2スライダー330とを接続する弾性を有する伝達部34と、第1スライダー310の変位量を検出する第1エンコーダー350と、第2スライダー330の変位量を検出する第2エンコーダー360と、第2スライダー330に固定された第1指部391と、基体30に固定された第2指部392と、超音波モーター32の駆動を制御する制御部300と、を有する。
【0056】
このようなハンド3では、制御部300の制御によって超音波モーター32を駆動すると、第1スライダー310がX軸方向にスライドし、このスライドが伝達部34を介して第2スライダー330に伝達されて第2スライダー330がX軸方向にスライドすることにより、第1指部391が第2指部392に対して接近または離間し、第1指部391および第2指部392が開閉する。この第1指部391および第2指部392の開閉によって、ワークWを把持したり、把持したワークWを離脱させたりすることができる。
【0057】
伝達部34は、弾性を有し、X軸方向に伸縮変形可能である。本実施形態の伝達部34は、ばね、特に、コイルばね341で構成されている。また、コイルばね341は、第1スライダー310および第2スライダー330よりもX軸方向に変形し易い。つまり、コイルばね341は、第1スライダー310および第2スライダー330よりも弾性率、特に、縦弾性係数(ヤング率)が小さい。
【0058】
また、コイルばね341は、第1、第2指部391、392でワークWを把持しておらず、第1、第2指部391、392にワークWからの反力が加わらない状態で、第1指部391を第2指部392に接近させる方向に第1スライダー310をスライドさせても実質的に弾性変形しないが、第1、第2指部391、392がワークWに接触し、第1指部391にワークWからの反力Nが加わる状態で、第1指部391を第2指部392に接近させる方向に第1スライダー310をスライドさせると弾性変形する程度の硬さを有する。
【0059】
制御部300には、前述した回転量差Δθに相当する基準変位量ΔDaが予め記憶されている。そして、制御部300は、第1スライダー310の変位量D1と、第2スライダー330の変位量D2との差である変位量差ΔD(=D1-D2)と基準変位量ΔDaとに基づいて超音波モーター32の駆動を前記図6に示すのと同様の手順で制御する。これにより、前述した第1実施形態と同様の原理で、所望の把持力でワークWを把持することができる。
【0060】
また、第1エンコーダー350は、リニアエンコーダーであり、第1スライダー310に固定された長尺なスケール351と、スケール351の下方に配置され、基体30に固定された発光素子352および受光素子353と、を有する。そして、スケール351で反射した発光素子352からの光を受光素子353が受光することにより、第1スライダー310の変位量を検出する。
【0061】
また、第2エンコーダー360は、第1エンコーダー350と同様の構成である。すなわち、第2エンコーダー360は、リニアエンコーダーであり、第2スライダー330に固定された長尺なスケール361と、スケール361の下方に配置され、基体30に固定された発光素子362および受光素子363と、を有する。そして、スケール361で反射した発光素子362からの光を受光素子363が受光することにより、第2スライダー330の変位量を検出する。
【0062】
このように、本実施形態のハンド3に適用されている駆動装置3Aでは、被駆動部としての第1スライダー310および出力部としての第2スライダー330は、所定の方向であるX軸方向にスライドする。そして、第1エンコーダー350および第2エンコーダー360は、リニアエンコーダーである。これにより、第1スライダー310および第2スライダー330の変位量を簡単に検出することができる。
【0063】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0064】
<第3実施形態>
図9は、本発明の第3実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
【0065】
本実施形態に係る駆動装置3Aは、第2ローター33よりも先端側の部分の構成が異なること以外は、前述した第1実施形態と同様である。以下の説明では、第3実施形態の駆動装置3Aに関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図9では、前述した第1実施形態と同様の構成について同一符号を付している。
【0066】
図9に示すように、本実施形態の駆動装置3Aは、基体30と、基体30に対して回転軸Jまわりに回転可能に支持された第1ローター31と、第1ローター31を回転軸Jまわりに回転させる超音波モーター32と、第1ローター31と同軸的に配置され、基体30に対して回転軸Jまわりに回転可能に支持された第2ローター33と、第1ローター31と第2ローター33とを接続する伝達部34と、第1ローター31の回転量を検出する第1エンコーダー35と、第2ローター33の回転量を検出する第2エンコーダー36と、第2ローター33に固定された工具5と、を有する。工具5としては、特に限定されず、本実施形態では、ねじ締めに用いるドライバー51を用いている。このような構成の駆動装置3Aによれば、所定のトルクでねじを締め付けることができる。
【0067】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0068】
<第4実施形態>
図10は、本発明の第4実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
【0069】
本実施形態に係る駆動装置3Aは、第2スライダー330よりも先端側の部分の構成が異なること以外は、前述した第2実施形態と同様である。以下の説明では、第4実施形態の駆動装置3Aに関し、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図10では、前述した第2実施形態と同様の構成について同一符号を付している。
【0070】
図10に示すように、本実施形態の駆動装置3Aは、基体30と、基体30に対してX軸方向にスライド可能な第1スライダー310と、第1スライダー310をX転方向にスライドさせる超音波モーター32と、基体30に対してX軸方向にスライド可能な第2スライダー330と、第1スライダー310と第2スライダー330とを接続する伝達部34と、第1スライダー310の変位量を検出する第1エンコーダー350と、第2スライダー330の変位量を検出する第2エンコーダー360と、第2スライダー330に固定されたピストン61と、ピストン61が収納されたシリンダー62と、を有する。このような構成によれば、前記第2実施形態の駆動装置3Aと同様の作動制御を伴いながら、ピストン61によって、シリンダー62内のオイルOを所定の圧力で押し出すことができる。
【0071】
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0072】
<第5実施形態>
図11は、本発明の第5実施形態に係る駆動装置を示す断面図である。
【0073】
本実施形態に係る駆動装置3Aは、第2スライダー330よりも先端側の部分の構成が異なること以外は、前述した第2実施形態と同様である。以下の説明では、第5実施形態の駆動装置3Aに関し、前述した第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11では、前述した第2実施形態と同様の構成について同一符号を付している。
【0074】
図11に示すように、本実施形態の駆動装置3Aは、基体30と、基体30に対してX軸方向にスライド可能な第1スライダー310と、第1スライダー310をX転方向にスライドさせる超音波モーター32と、基体30に対してX軸方向にスライド可能な第2スライダー330と、第1スライダー310と第2スライダー330とを接続する伝達部34と、第1スライダー310の変位量を検出する第1エンコーダー350と、第2スライダー330の変位量を検出する第2エンコーダー360と、第2スライダー330に固定された押圧部材71と、押圧部材71との間にワークWを挟み込んでワークWを押圧する基台72と、を有する。このような構成によれば、前記第2実施形態の駆動装置3Aと同様の作動制御を伴いながら、所定の押圧力でワークWを押圧することができる。
【0075】
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0076】
以上、本発明の駆動装置、ハンドおよび駆動装置の制御方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1…ロボットシステム、2…ロボット、21…ベース、22…ロボットアーム、221…第1アーム、222…第2アーム、223…第3アーム、224…第4アーム、225…第5アーム、226…第6アーム、251…第1駆動装置、252…第2駆動装置、253…第3駆動装置、254…第4駆動装置、255…第5駆動装置、256…第6駆動装置、3…ハンド、3A…駆動装置、30…基体、300…制御部、301、302…ベアリング、303…ガイド、31…第1ローター、310…第1スライダー、311…基部、312…ローター本体、32…超音波モーター、321…振動部、322…支持部、323…梁部、324…突出部、325A、325B、325C、325D、325E…圧電素子、33…第2ローター、330…第2スライダー、34…伝達部、341…コイルばね、35、350…第1エンコーダー、351…スケール、352…発光素子、353…受光素子、36、360…第2エンコーダー、361…スケール、362…発光素子、363…受光素子、37…ピニオン、381、382…ラック、391…第1指部、392…第2指部、4…付勢部材、5…工具、51…ドライバー、61…ピストン、62…シリンダー、71…押圧部材、72…基台、8…ロボット制御装置、9…ホストコンピューター、D1、D2…変位量、J…回転軸、N…反力、O…オイル、S1、S2、S3、S4…ステップ、W…ワーク、Δθ…回転量差、Δθa…基準回転量差、θ1…回転量、θ2…回転量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11