(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】動作設定選択装置、画像形成装置、動作設定選択方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240409BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240409BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B41J29/38 204
G03G21/00 500
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2019153377
(22)【出願日】2019-08-26
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 直人
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-075153(JP,A)
【文献】特開2016-071169(JP,A)
【文献】特開2012-101518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が形成される記録媒体の物性情報を取得する物性取得部と、
前記物性取得部により取得された物性情報に対応する記録媒体による画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時の画像形成に係る動作設定と、を取得する情報取得部と、
取得された前記物性情報、前記動作設定及び前記動作不良情報に基づいて、前記記録媒体への画像形成動作に係る動作設定の選択に係る動作を行う設定動作部と、
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶部と、
を備え
、
前記情報取得部は、画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時に利用された記録媒体の前記物性情報及び画像形成に係る動作設定と、を対応付けた第1情報から、前記動作不良情報及び前記動作設定を取得し、
前記設定動作部は、取得された前記物性情報に前記第2情報において対応する複数の前記動作設定の中から前記選択に係る動作を行う
ことを特徴とする動作設定選択装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記第1情報を記憶することを特徴とする請求項
1記載の動作設定選択装置。
【請求項3】
前記設定動作部は、前記物性取得部により取得された前記物性情報と所定の基準以上類似する物性情報に対応付けられた動作設定を前記第2情報から抽出することにより、前記選択の対象を絞り込むことを特徴とする請求項
1又は2記載の動作設定選択装置。
【請求項4】
操作受付部を備え、
前記設定動作部は、複数の前記選択の対象とされている前記動作設定から1つを選択する操作を前記操作受付部により受け付ける
ことを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載の動作設定選択装置。
【請求項5】
前記設定動作部は、設定された選択基準に基づいて、複数の前記選択の対象となる前記動作設定の中から1つを選択することを特徴とする請求項
1~3のいずれか一項に記載の動作設定選択装置。
【請求項6】
操作受付部を備え、
前記設定動作部は、前記操作受付部が受け付けた操作内容に応じて前記選択基準を定める
ことを特徴とする請求項
5記載の動作設定選択装置。
【請求項7】
前記設定動作部は、前記操作内容に基づいて定められた前記選択基準を継続利用可能であることを特徴とする請求項
6記載の動作設定選択装置。
【請求項8】
表示部を備え、
前記設定動作部は、前記選択の対象とされる複数の前記動作設定の各々と前記物性取得部により取得された前記物性情報との組み合わせによる画像形成動作時における動作不良の発生頻度に係る情報を前記第1情報に基づいて取得して、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項
1~7のいずれか一項に記載の動作設定選択装置。
【請求項9】
前記第1情報は、画像形成の動作命令ごとに生成されたものであり、
前記設定動作部は、取得した前記第1情報のうち同一の前記動作設定に係る複数の前記動作不良情報を統合して前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項
8記載の動作設定選択装置。
【請求項10】
画像形成の動作命令を取得する命令取得部を備え、
前記動作命令には、画像を形成する記録媒体の枚数に係る情報が含まれ、
前記設定動作部は、前記選択の対象とされる複数の前記動作設定について、前記動作不良の発生頻度に係る情報に基づいて前記記録媒体の損失枚数を予測して前記表示部により表示させる
ことを特徴とする請求項
8又は9記載の動作設定選択装置。
【請求項11】
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶部を備え、
当該第2情報には、前記記録媒体の単価に係る情報が含まれ、
前記設定動作部は、前記選択の対象とされる複数の前記動作設定について、前記動作不良の発生頻度に係る情報に基づいて前記記録媒体の損失費用を予測して、前記表示部により表示させる
ことを特徴とする請求項
8~10のいずれか一項に記載の動作設定選択装置。
【請求項12】
前記設定動作部は、1つの前記動作設定が選択された場合に、当該動作設定による画像形成動作に対して予測される前記記録媒体の損失が前記選択の対象とされた前記複数の動作設定の中で最小であるか否かを判別し、前記表示部により前記判別の結果を表示させることを特徴とする請求項
8~11のいずれか一項に記載の動作設定選択装置。
【請求項13】
前記動作不良には、ジャムの発生、画像不良の発生及び画像形成動作の中断のうち少なくとも一つが含まれることを特徴とする請求項1~
12のいずれか一項に記載の動作設定選択装置。
【請求項14】
前記物性情報として所定の物性値を計測する計測部を備えることを特徴とする請求項1~
13のいずれか一項に記載の動作設定選択装置。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の動作設定選択装置と、
前記記録媒体に選択された前記動作設定で画像形成を行う形成動作部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
画像が形成される記録媒体に応じた画像形成装置の動作設定を選択する動作設定選択方法であって、
前記記録媒体の物性情報を取得する物性取得ステップ、
前記物性取得ステップで取得された物性情報に対応する記録媒体による画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時の画像形成に係る動作設定と、を取得する情報取得ステップ、
取得された前記物性情報、前記動作設定及び前記動作不良情報に基づいて、前記記録媒体への画像形成動作に係る動作設定の選択に係る動作を行う設定動作ステップ、
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶ステップ、
を含み
、
前記情報取得ステップでは、画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時に利用された記録媒体の前記物性情報及び画像形成に係る動作設定と、を対応付けた第1情報から、前記動作不良情報及び前記動作設定を取得し、
前記設定動作ステップでは、取得された前記物性情報に前記第2情報において対応する複数の前記動作設定の中から前記選択に係る動作を行う
ことを特徴とする動作設定選択方法。
【請求項17】
コンピュータ
ーを、
画像が形成される記録媒体の物性情報を取得する物性取得手段、
前記物性取得手段により取得された物性情報に対応する記録媒体による画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時の画像形成に係る動作設定と、を取得する情報取得手段、
取得された前記物性情報、前記動作設定及び前記動作不良情報に基づいて、前記記録媒体への画像形成動作に係る動作設定の選択に係る動作を行う設定動作手段、
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶手段、
として機能させ
、
前記情報取得手段は、画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時に利用された記録媒体の前記物性情報及び画像形成に係る動作設定と、を対応付けた第1情報から、前記動作不良情報及び前記動作設定を取得し、
前記設定動作手段は、取得された前記物性情報に前記第2情報において対応する複数の前記動作設定の中から前記選択に係る動作を行う
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、動作設定選択装置、画像形成装置、動作設定選択方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体(メディア)に対して色材を付与して画像を形成する画像形成装置がある。色材の記録媒体への浸透、広がり、定着といった状態は、記録媒体の特性に応じて異なり、不適切な動作設定(動作プロファイル)で画像形成が行われると、画質が低下するだけでなく、記録媒体が適切に搬送されずに搬送ローラーに巻き付いたり詰まり(ジャム)を生じたりするといったトラブルが生じる場合がある。したがって、画像形成時には、記録媒体の特性に応じた動作設定がなされる。
【0003】
また、これらの巻き付きや詰まりには、湿度が影響する。特許文献1には、予め保持される動作プロファイルに対し、記録媒体の詰まりの発生回数を記憶させておくことで、トラブルが発生している動作プロファイルの場合には、除湿を行うことでトラブルを抑制させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、記録媒体には多様なものがあり、特に新製品や改良品がしばしば用いられる。このような場合に、全ての記録媒体に対する動作設定を保持するのは難しく、類似の動作設定で代用される。このような場合に、若干の特性の違いにより、同一の動作設定がなされていても代替する実際の記録媒体に応じてトラブルの発生状況が大きく異なる場合があり、適切にトラブルの発生を抑制することができない場合があるという課題がある。
【0006】
この発明の目的は、より効果的に記録媒体に係るトラブルの発生を抑制することのできる動作設定選択装置、画像形成装置、動作設定選択方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
画像が形成される記録媒体の物性情報を取得する物性取得部と、
前記物性取得部により取得された物性情報に対応する記録媒体による画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時の画像形成に係る動作設定と、を取得する情報取得部と、
取得された前記物性情報、前記動作設定及び前記動作不良情報に基づいて、前記記録媒体への画像形成動作に係る動作設定の選択に係る動作を行う設定動作部と、
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記情報取得部は、画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時に利用された記録媒体の前記物性情報及び画像形成に係る動作設定と、を対応付けた第1情報から、前記動作不良情報及び前記動作設定を取得し、
前記設定動作部は、取得された前記物性情報に前記第2情報において対応する複数の前記動作設定の中から前記選択に係る動作を行う
ことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の動作設定選択装置において、
前記記憶部は、前記第1情報を記憶することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の動作設定選択装置において、
前記設定動作部は、前記物性取得部により取得された前記物性情報と所定の基準以上類似する物性情報に対応付けられた動作設定を前記第2情報から抽出することにより、前記選択の対象を絞り込むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の動作設定選択装置において、
操作受付部を備え、
前記設定動作部は、複数の前記選択の対象とされている前記動作設定から1つを選択する操作を前記操作受付部により受け付ける
ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の動作設定選択装置において、
前記設定動作部は、設定された選択基準に基づいて、複数の前記選択の対象となる前記動作設定の中から1つを選択することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の動作設定選択装置において、
操作受付部を備え、
前記設定動作部は、前記操作受付部が受け付けた操作内容に応じて前記選択基準を定める
ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の動作設定選択装置において、
前記設定動作部は、前記操作内容に基づいて定められた前記選択基準を継続利用可能であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8記載の発明は、請求項1~7のいずれか一項に記載の動作設定選択装置において、
表示部を備え、
前記設定動作部は、前記選択の対象とされる複数の前記動作設定の各々と前記物性取得部により取得された前記物性情報との組み合わせによる画像形成動作時における動作不良の発生頻度に係る情報を前記第1情報に基づいて取得して、前記表示部に表示させる
ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項9記載の発明は、請求項8記載の動作設定選択装置において、
前記第1情報は、画像形成の動作命令ごとに生成されたものであり、
前記設定動作部は、取得した前記第1情報のうち同一の前記動作設定に係る複数の前記動作不良情報を統合して前記表示部に表示させる
ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項10記載の発明は、請求項8又は9記載の動作設定選択装置において、
画像形成の動作命令を取得する命令取得部を備え、
前記動作命令には、画像を形成する記録媒体の枚数に係る情報が含まれ、
前記設定動作部は、前記選択の対象とされる複数の前記動作設定について、前記動作不良の発生頻度に係る情報に基づいて前記記録媒体の損失枚数を予測して前記表示部により表示させる
ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項11記載の発明は、請求項8~10のいずれか一項に記載の動作設定選択装置において、
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶部を備え、
当該第2情報には、前記記録媒体の単価に係る情報が含まれ、
前記設定動作部は、前記選択の対象とされる複数の前記動作設定について、前記動作不良の発生頻度に係る情報に基づいて前記記録媒体の損失費用を予測して、前記表示部により表示させる
ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項12記載の発明は、請求項8~11のいずれか一項に記載の動作設定選択装置において、
前記設定動作部は、1つの前記動作設定が選択された場合に、当該動作設定による画像形成動作に対して予測される前記記録媒体の損失が前記選択の対象とされた前記複数の動作設定の中で最小であるか否かを判別し、前記表示部により前記判別の結果を表示させることを特徴とする。
【0020】
また、請求項13記載の発明は、請求項1~12のいずれか一項に記載の動作設定選択装置において、
前記動作不良には、ジャムの発生、画像不良の発生及び画像形成動作の中断のうち少なくとも一つが含まれることを特徴とする。
【0021】
また、請求項14記載の発明は、請求項1~13のいずれか一項に記載の動作設定選択装置において、
前記物性情報として所定の物性値を計測する計測部を備えることを特徴とする。
【0022】
また、請求項15記載の発明は、
請求項1~14のいずれか一項に記載の動作設定選択装置と、
前記記録媒体に選択された前記動作設定で画像形成を行う形成動作部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0023】
また、請求項16記載の発明は、
画像が形成される記録媒体に応じた画像形成装置の動作設定を選択する動作設定選択方法であって、
前記記録媒体の物性情報を取得する物性取得ステップ、
前記物性取得ステップで取得された物性情報に対応する記録媒体による画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時の画像形成に係る動作設定と、を取得する情報取得ステップ、
取得された前記物性情報、前記動作設定及び前記動作不良情報に基づいて、前記記録媒体への画像形成動作に係る動作設定の選択に係る動作を行う設定動作ステップ、
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶ステップ、
を含み、
前記情報取得ステップでは、画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時に利用された記録媒体の前記物性情報及び画像形成に係る動作設定と、を対応付けた第1情報から、前記動作不良情報及び前記動作設定を取得し、
前記設定動作ステップでは、取得された前記物性情報に前記第2情報において対応する複数の前記動作設定の中から前記選択に係る動作を行う
ことを特徴とする。
また、請求項17記載の発明は、
コンピューターを、
画像が形成される記録媒体の物性情報を取得する物性取得手段、
前記物性取得手段により取得された物性情報に対応する記録媒体による画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時の画像形成に係る動作設定と、を取得する情報取得手段、
取得された前記物性情報、前記動作設定及び前記動作不良情報に基づいて、前記記録媒体への画像形成動作に係る動作設定の選択に係る動作を行う設定動作手段、
所定の記録媒体の物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けた第2情報を記憶する記憶手段、
として機能させ、
前記情報取得手段は、画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時に利用された記録媒体の前記物性情報及び画像形成に係る動作設定と、を対応付けた第1情報から、前記動作不良情報及び前記動作設定を取得し、
前記設定動作手段は、取得された前記物性情報に前記第2情報において対応する複数の前記動作設定の中から前記選択に係る動作を行う
ことを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に従うと、より効果的に画像形成装置における記録媒体に係るトラブルの発生を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【
図2】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】動作設定に係る表示画面の例を示す図である。
【
図5】画像形成装置で実行される動作設定処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】動作設定に係る最初の表示画面の変形例を示す図である。
【
図7】メディア種別の絞り込み後における表示画面の変形例を示す図である。
【
図8】メディア種別の絞り込み後における表示画面の変形例を示す図である。
【
図9】メディア種別が選択された場合の実行確認画面の例を示す図である。
【
図10】表示画面の表示内容の変形例に応じた動作設定処理の変形例の制御手順を示すフローチャートである。
【
図11】画像形成装置の機能構成の変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置1(動作設定選択装置としても動作する)の全体構成を示す概略図である。
【0027】
画像形成装置1は、メディアM(記録媒体)に色材を付与して画像を形成するものであり、例えば、電子写真方式でメディアMにトナーを付着、定着させる。画像形成装置1は、メディア供給部11と、メディア検出部12と、物性計測部13(計測部、物性取得部)と、画像形成動作部14(形成動作部)と、制御部15(
図2参照)と、搬送部16と、排出トレイ18などを備える。
【0028】
メディア供給部11は、トレイなどを有して画像形成対象とされるメディアMを保持し、制御部15の制御に応じて適宜なタイミングでメディアMを搬送経路Rに送り出す。トレイは、複数設けられて、動作設定の処理で指定されたトレイから選択的にメディアMが供給される構成であってよい。搬送部16がこの搬送経路Rに沿ってメディアMを設定速度で移動させる。搬送部16は、メディアMを挟持して進めるローラーや、このローラーを回転動作させる回転モーターなどを有する。また、搬送部16は、一方の面に画像が形成されたメディアMの表裏を反転させて再度画像形成させるための反転部を有する。
【0029】
メディア検出部12は、搬送部16による搬送経路R上を移動するメディアMを所定位置、ここでは、画像形成動作部14による画像形成位置の所定距離手前の位置で検知する。メディア検出部12としては、例えば、メディアMにより光が遮られることでメディアMの有無を検知したり、あるいは、メディアMの有無による反射光の検出強度の変化に応じてメディアMの当該所定位置への到達を検知したりする光センサー(フォトダイオードなど)などが用いられる。このメディアMの先頭がメディア検出部12により検出されたタイミングと搬送部16による搬送速度とに基づいて、画像形成動作部14による画像形成タイミングが制御されて、メディアM上の適切な位置に画像が形成される。
【0030】
物性計測部13は、メディアMの物性に係る所定の物理量(物性値)を計測(取得)する。計測対象の取得可能な物性としては、例えば、坪量、紙厚及び表面の平滑度などがある。紙厚は、例えば、メディアMの厚さに応じて当該厚さ方向に移動可能な2つのローラーの軸間間隔を検出する変位ローラーにより計測される。また、平滑度は、例えば、照射された光(例えば、赤外光と所定の波長の可視光とを混合したもの)の正反射光と散乱反射光の強度及び/又はその強度比率を出力する反射センサーを用いて、当該強度比率に基づいて求められる。坪量の検知には、直接メディアの重量を計測する重量センサーの結果が用いられてもよい。また、物性計測部13は、例えば、密度、透気度、摩擦係数、白色度、剛度や電気抵抗などの物性値のうち一部又は全部の計測が可能であってもよい。これらの計測値を組み合わせることでも坪量などが求められ得る。
【0031】
物性計測部13による計測動作は、例えば、メディアMの移動を所定距離ごとに一時停止させながらメディアMの複数個所で行われ、得られた複数の値の平均など、演算処理された結果が最終的に物性値として用いられる。
【0032】
物性計測部13は、画像形成装置1が内蔵しているものに限られず、必要に応じて外部に取り付け配置されて動作が可能なものであってもよい。この場合、画像形成装置1には、物性計測部13への電力供給及び信号の送受信に係る配線の接続部が設けられていてもよい。制御部15が接続部の動作制御に係るドライバーを有し、制御部15がこの場合の物性取得部として機能する。
【0033】
画像形成動作部14は、トナーやインクなどの色材をメディアMに付着、定着させることで、当該メディアMに対して画像を形成する画像形成エンジン(プリントエンジン)を有する。画像形成動作部14は、特には限られないが、例えば、電子写真方式によりCMYK4色などのトナー像を感光体上に形成(現像)し、これをメディアMに、ここでは、転写体を介して転写してカラー画像の画像形成を行う。
【0034】
メディア供給部11から送出されて、搬送経路Rを移動したメディアMは、排出トレイ18に排出される。また、排出トレイ18の前に、乾燥、裁断やソートなどの各種後処理を行う後処理装置などが接続されていてもよい。
【0035】
図2は、本実施形態の画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、上述のメディア検出部12、物性計測部13及び画像形成動作部14に加えて、制御部15(情報取得部、設定動作部)と、搬送駆動部16aと、記憶部17と、通信部41(命令取得部)と、操作受付部42と、表示部43などを備える。
【0036】
物性計測部13は、メディアMの物性、上述のように、例えば、坪量、紙厚及び表面の平滑性(平滑度)などの検知を行う。
【0037】
制御部15は、画像形成装置1の各種動作を統括制御する。制御部15は、CPU(Central Processing Unit、プロセッサー)及びRAM(Random Access Memory)などを備える。制御部15は、記憶部17に格納された制御プログラムを読み出してCPUが実行することで、画像形成動作部14による画像形成動作やそのキャリブレーション及び設定などの制御を行う。また、制御部15は、後述のように、動作設定処理を実行することで、画像を形成する対象のメディアM(メディア種別)に応じた動作設定の候補を抽出、特定し、当該特定の結果に基づいて画像形成動作に係る設定(動作設定の選択に係る動作)を行う。
【0038】
搬送駆動部16aは、制御部15の制御に基づいて搬送部16のモーターの回転動作や、メディア供給部11における供給動作を行わせる駆動信号を出力し、メディアMの搬送動作の有無や搬送速度の調整などを行う。
【0039】
記憶部17は、制御部15が実行するプログラム171、当該プログラムなどで利用される設定データや画像形成動作部14により形成される対象の画像に係る画像データなどを記憶する。記憶部17には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリーなどの不揮発性の記憶媒体が用いられる。また、記憶部17は、RAMを備え、当該RAMは、一部のデータを一時的に記憶、処理するのに用いられてもよい。
【0040】
記憶部17には、設定データとして、メディア種別情報172(第2情報)及び動作不良発生データ173(第1情報)が記憶されている。
【0041】
メディア種別情報172は、画像形成の対象とされ得る所定のメディアの種別に係る情報として、製品(銘柄)名、その特性情報(物性情報)及び対応する(対応付けられた)動作設定とを示すリストを含む。対象とされるメディアの特性情報には、例えば、普通紙、上質紙、グロス紙、マット紙、光沢紙などの分類情報及びそのサイズの情報が含まれ得る。これらは、グロス紙及びマット紙などの塗工紙、並びに普通紙及び上質紙などの非塗工紙、というような、制御パラメーターの大きく異なる範囲でまとめたより簡易な分類であってもよい。サイズは、特には限られない場合には特定、保持されなくてもよい。特性情報は、物性計測部13による計測対象となる各パラメーター(物性値)の一部又は全部を含む。また、特性情報には、メディアMの物性情報、すなわち、上記の坪量、紙厚及び表面の平滑度などの値(代表値)が含まれている。
【0042】
なお、メディアMの物性値のカタログ値などが予め保持されていない場合には、画像形成時に当該メディアMに対して物性計測部13により計測が行われて、1枚に対する計測値又は複数枚に対する計測値の平均値などがメディア種別情報172に追加されてもよい。連続的な画像形成時に複数枚の平均値を取得する場合には、連続動作の最初の頃、中間、終了間際などに分散させて各々計測を行わせてもよい。後述のように、メディア種別に対応する動作設定は、メディア種別情報172で規定されている銘柄と同一の銘柄のメディアM以外にも使われ得るので、メディアMの物性値として追加計測及び設定がなされるのは、同一の銘柄のメディアMに限られるように設定が可能であってよい。
【0043】
また、メディア種別情報172に記憶されるメディアには、各種の樹脂フィルム、ストーンペーパーや、複数種類の材質が積層された媒体などが含まれていてもよい。これらの媒体は、通常の紙媒体などと比較して特性が大きく異なる。
【0044】
メディア種別に対応付けられる動作設定には、例えば、駆動電圧(又は基準となる駆動電圧の値からのずれ量)や定着温度(又は基準となる定着温度からのずれ量)などが含まれ得る。画像形成動作部14は、選択設定されたメディア種別に対応付けられた制御パラメーター(動作設定)に基づいて、画像形成に係る動作を行う。また、画像形成に係る動作設定データ(制御パラメーター)には、画像形成動作部14の動作だけではなく、メディア供給部11及び後処理装置の動作に係る動作設定パラメーターが含まれていてよい。メディアMの厚さ、硬さ及び/又は表面の平滑度などに応じてメディアMの送出、ソート、折り曲げ、裁断及びステイプルなどの各種処理における加圧の度合や制限など、各種動作の設定がなされてよい。
【0045】
動作不良発生データ173は、画像形成動作時に生じた動作不良の内容(動作不良情報)と、当該動作不良の発生時に利用されていたメディアの特性情報(物性情報)及び利用された動作設定とを対応付けたリストを含む。動作不良は、ここでは、画像不良及びメディアMのトラブル(ジャム、詰まり)に分類され、画像形成ジョブ(画像形成の動作命令)ごとに画像形成枚数と各動作不良の発生回数とが各々計数されて、データが保持される。同一のメディア特性及び動作設定の組み合わせについては、画像形成ジョブごとではなく、当該組み合わせごとに画像形成枚数及び各動作不良の発生回数が合算されて保持されてもよい。
【0046】
図3は、動作不良発生データ173の例を示す図表である。
【0047】
動作不良の履歴データは、ジョブIDごとに生成されて記憶されている。ジョブIDは、画像形成ジョブごとに割り当てられた番号である。設定IDは、画像形成に対してメディア種別情報172に基づいて設定された動作設定(動作プロファイル)のIDである。特性情報は、物性計測部13により測定された実際の物性値の配列であり、例えば、ここでは、紙厚、平滑度、坪量及び透過率の4つである。出力枚数は、ジョブIDで設定された画像を形成するメディアMの枚数である。ジャム回数及び画像不良回数は、出力枚数の正常な画像を出力するまでに生じたジャムの回数及び不良画像の発生回数をそれぞれ示している。上述のように、画像形成に用いられるメディアの物性値の組み合わせは、必ずしも設定IDに対応付けられてメディア種別情報172に記憶されているものと同一とは限られず、特にこのような場合にジャム回数や画像不良回数が増加する場合があり得る。
【0048】
通信部41は、所定の通信規格に基づいて外部機器との間で行う通信の制御を行う。通信規格としては、例えば、LAN(Local Area Network)を介したTCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)による通信などが挙げられ、通信部41は、LANによる通信制御を行うためのネットワークカードなどを備える。通信部41は、外部機器から画像形成ジョブ(画像形成の動作命令)のデータを受信(取得)して、制御部15に送る。
【0049】
操作受付部42は、ユーザーなど外部からの入力操作を受け付けて、受付内容を入力信号として制御部15に出力する。操作受付部42は、例えば、表示部43の表示画面と重ねて設けられたタッチパネルや、押しボタンスイッチなどを有する。入力信号には、押しボタンスイッチの押下操作、タッチパネルへの接触動作や接触位置の情報が含まれる。
【0050】
表示部43は、制御部15の制御に基づいて表示画面に表示を行わせる。表示内容には、画像形成動作に係るステータスや、ユーザーからの入力操作を受け付けるための設定メニューなどが含まれる。表示画面としては、特には限られないが、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)や有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイなどが挙げられる。また、表示部43は、LEDランプなどを有し、電力供給状態や動作エラー状態の報知を行ってもよい。
本実施形態の動作設定判別装置は、上記各構成のうち、少なくとも制御部15及び記憶部17により構成される。また、動作設定判別装置は、物性計測部13を有していてもよい。
【0051】
次に、本実施形態の画像形成装置1における画像形成に係る設定動作について説明する。
【0052】
画像形成装置1では、画像形成ジョブに基づいて画像形成動作が行われる。画像形成ジョブには、形成対象の画像データのほか、画像を形成する枚数に係る情報、メディアサイズ、両面形成の有無、割り付け印刷の配置、マージンの設定など、画像形成に係る各種設定が含まれる。
【0053】
また、画像形成装置1で画像を形成する場合、形成される対象のメディアの種別及びその特性ごとに色材のメディアへの浸透、定着の度合や広がり(にじみ)の度合などが異なる。これにより、画一的な動作設定で画像が形成されると、形成画像の画質がメディアMによって異なったり、また、適正な動作設定時よりも劣化したりする。さらに、不適切な動作設定によりメディアMが搬送部16のローラーに粘着してジャムを生じたり、メディアM上に付与された色材が確実に定着せずに周囲に付着したりするといったトラブルが生じ得る。したがって、同一の画像データに基づく画像を形成する場合であっても、適正な色材の付与量及び定着温度など、種々の条件を変更する必要がある。画像データに基づく最適な画像を形成するために、画像形成装置1では、メディアMの種別及び/又はメディアMの特性ごとに画像処理や画像形成動作の制御パラメーターが好ましい値に変更される。
【0054】
画像形成装置1では、これに加えて、過去に選択された制御パラメーターにより実際に生じた動作不良の頻度に係るデータを記憶しておくことで、メディアMの種別に対応する明示設定がなされていない場合に、特性上近い設定の中からトラブルが生じにくい設定を選択することができる。
【0055】
図4は、動作設定に係る表示画面の例を示す図である。
図4(a)に示すように、メディア(用紙)に応じた動作設定を行う(すなわち、メディア種別の選択を行う)場合、当初では、選択され得る(選択の対象とされる)メディア(用紙)の一覧表示画面B1に全て(複数)のメディアが一覧表示される。用紙トレイ選択画面B2は、設定対象のメディアMが収められているトレイを選択する画面である。表示選択画面B3は、メディアMの設定を決定又はキャンセルする画面であり、一覧表示画面に全てのメディア種別を表示できない場合の表示の切り替えも受け付ける。
【0056】
一覧表示画面B1には、メディアの物性計測を促す画面が重ねて表示されており、「OK」を選択して(例えば、ポインティングデバイスにより所定の選択操作、すなわち、マウスによる該当メディア種別の行へのカーソルの位置合わせ及びクリック、タッチパネルの該当メディア種別の行へのタッチなどが行われて)、計測動作に移行するか、又は「キャンセル」を選択して計測動作を行わずに直接リストの中からいずれかのメディア種別が選択されてもよい。「OK」の選択から物性計測部13(メディアセンサー)により計測が行われることで、メディア種別情報172として保持されている全てのメディアの種別のうちから、
図4(b)に示すように、物性の計測結果が所定の基準以上類似するものに表示(すなわち、選択の対象)が絞り込まれた(ここでは、例えば4種類(複数))一覧表示画面B4となる。メディアの製品(銘柄)の名称が既知の場合であっても、一度絞り込むことで、選択操作が容易になる。一覧表示画面B4におけるいずれか1つのメディア種別と、用紙トレイ選択画面B2におけるいずれかのトレイが選択された状態で、表示選択画面B3で「OK」が選択されることで、選択操作が確定される。なお、絞り込みの結果、類似するものが1種類のみの場合、当該1種類のみを表示させてもよいし、2番目に類似度合が高いものまで表示させるようにしてもよい。
【0057】
製品名が未知の場合や既知であっても当該製品の動作設定が保持されていない場合は、リスト表示された候補の中から最も近いものが選択されればよい。絞り込みは、いずれが選択されても、画質に大きな差異は生じないような基準で行われる。このとき、絞り込まれてリスト表示されるメディア種別の動作設定を用いて画像形成動作がなされた履歴が動作不良発生データ173に含まれている場合には、当該メディア種別について、動作不良の発生頻度に係る情報、例えば、ジャムの発生率、画像不良の発生率やこれらを原因としたものを含む画像形成動作の中断発生率などの情報をリスト表示に含めることができる。
【0058】
図5は、本実施形態の画像形成装置1で実行される動作設定処理の制御部15による制御手順を示すフローチャートである。この動作設定処理は、本実施形態の動作設定選択方法を含み、画像形成ジョブが取得された場合に、当該画像形成ジョブに対応する設定動作の一部として実行される。
【0059】
動作設定処理が開始されると、制御部15は、メディア種別情報172を参照して、全てのメディア種別をリスト表示する(ステップS101)。制御部15は、メディアの物性計測を要求する表示を行わせる(ステップS102)。
【0060】
制御部15は、計測を行わない取消操作がなされて、直接メディア種別の選択操作がなされたか否かを選別する(ステップS103)。直接メディア種別の選択操作がなされたと判別された場合には(ステップS103で“YES”)、制御部15の処理は、ステップS110に移行し、選択されたメディア種別に応じた画像形成動作の設定を行う(ステップS110)。そして、制御部15は、動作設定処理を終了する。
【0061】
取消操作がなされておらず、計測が承認された場合には、制御部15は、物性計測部13に計測動作命令を出力する。制御部15は、物性計測部13から計測結果を取得する(ステップS104;物性取得ステップ)。物性値の計測は、メディアM1枚のみに対して行われてもよいし、複数枚に対して行われて平均値などが取得されてもよい。
【0062】
制御部15は、メディア種別情報172を参照して、計測結果に所定の基準以上類似するメディア種別を抽出する(ステップS105)。制御部15は、動作不良発生データ173を参照して、抽出されたメディア種別と、計測結果とにそれぞれ所定の基準以上類似するジョブの不良履歴データを抽出する(ステップS106;情報取得ステップ)。
【0063】
制御部15は、抽出された不良履歴データのうち、同一のメディア種別の動作設定を用いたジョブが複数ある場合には合算(統合)したうえで、各メディア種別の動作設定について、それぞれ動作不良(画像不良及びジャム発生のそれぞれ)の発生率を算出する(ステップS107)。制御部15は、抽出されているメディア種別を算出された動作不良発生率の値とともに表示部43にリスト表示(絞り込み表示)させる(ステップS108)。
【0064】
制御部15は、操作受付部42が選択操作を受け付けたか(操作があったか)否かを判別する(ステップS109)。受け付けていないと判別された場合には(ステップS109で“NO”)、制御部15は、ステップS109の処理を繰り返す。選択操作を受け付けたと判別された場合には(ステップS109で“YES”)、制御部15は、選択されたメディア種別に応じた動作設定を行う(ステップS110)。そして、制御部15は、動作設定処理を終了する。ここでは、制御部15は、動作設定(メディア種別の選択)の完了に引き続いて、画像形成動作部14に画像形成動作を開始させる処理を行ってよい。あるいは、制御部15は、動作設定と実際の動作開始とは別個の入力操作に基づいて各々行ってもよい。
ステップS107~S110の処理のうち少なくとも一部が本実施形態の動作設定選択方法における設定動作ステップに含まれる。
【0065】
図6は、動作設定に係る最初の表示画面の変形例を示す図である。
この変形例では、物性計測値が計測されていなくても、一覧表示画面B1aにおいて、全メディア種別について過去に実行された画像形成動作における動作不良の発生率に係る表示が行われる。この場合は、今回画像形成に用いられるメディアMの物性とは関係なく、一般的に動作不良が生じやすいか否かを示す情報となる。
【0066】
図7及び
図8は、物性計測値に基づいてメディア種別の絞り込みがなされた場合の表示画面の変形例を示す図である。ここでは、一覧表示画面B4から所定の基準(設定された選択基準)に基づいて自動選択を行わせるための自動選択画面B5が表示されている。
【0067】
自動選択画面B5には、例えば、「品質優先」、「効率優先」及び「推奨設定」の3種類が含まれる。
図7(a)では、「品質優先」を選択する操作がなされることで、一覧表示されているメディア種別のうち画像不良率が最小の設定IDが「0003」のものが選択対象となるものとしてハイライト表示されている。
図7(b)では、「効率優先」を選択する操作がなされることで、一覧表示されているメディア種別のうち設定IDが「0012」のものが選択対象となるものとしてハイライト表示されている。効率に基づく自動選択の基準は適宜定められてよく、単純に1枚当たりの単価であってもよいし、各種スペックや形成対象の画像の種別(文章、カラー図形、画像など)に応じて定められてもよい。
【0068】
図8では、「推奨設定」を選択する操作がなされることで、一覧表示されているメディア種別のうち設定IDが「0104」のものが選択対象となるものとしてハイライト表示されている。また、ハイライト表示されている設定IDに係る動作設定により画像形成ジョブで設定されている枚数(出力枚数)の画像を形成した場合に、過去の履歴から予想される動作不良の発生頻度に基づいて生じるメディアMの損失枚数及び当該損失枚数に応じた費用(損失費用)の予測を示す損失予測画面B6が併せて表示される。損失枚数は、動作不良の発生頻度と今回の画像形成ジョブにおける出力枚数とを乗じて得られる。損失費用は、この損失枚数に対してさらにメディアの1枚当たりの費用(単価)を乗じることで求められる。推奨設定は、例えば、この損失の費用が最小となるものを選択するものであってもよい。
【0069】
操作受付部42が受け付けた操作内容に応じて選択された自動選択の基準が記憶部17に記憶されて、次回以降の動作設定時にデフォルト設定として用いられて(継続利用可能であって)もよいし、毎回設定が必要とされてもよい。ユーザーが毎回同一の基準で自動選択を行わせる場合には、デフォルト設定がなされることで、自動選択画面B5での選択操作が行われる必要がなくなり、他の基準で自動選択を行わせる場合には、改めて自動選択画面B5で他の項目を選択する操作を行えばよい。
【0070】
図9は、メディア種別が絞り込まれた動作設定画面でメディア種別が選択された場合の実行確認画面の例を示す図である。表示選択画面B3で「OK」が選択されると、確認内容画面B7において選択されたメディア種別(動作設定)に係る情報と、画像形成ジョブの設定内容とが一覧表示される。選択画面B9で「ジョブ実行」を選択することで、画像形成ジョブを実行する処理が開始される。この実行確認画面において、選択されたメディア種別よりも上記予測される損失費用が小さい候補があるか否か(最小か否か)が判別され、損失費用の小さい候補がある場合には、最小の費用となるメディア種別がある旨を示す注意表示B8(判別の結果の表示)がなされてもよい。ここでは、設定ID「0003」のメディア種別に係る動作設定が選択された場合に、設定ID「0104」を選択した場合の方が損失費用を小さくすることができると予測されるので、その旨と、当該設定ID「0104」に設定を変更するための表示ボタンとが示されている。
【0071】
設定変更の表示ボタンが選択された場合には、変更先の設定IDに基づく動作設定の確認画面に切り替えられてよい。あるいは、選択画面B9の「キャンセル」が選択されることで、絞り込みがなされた一覧表示画面B4の表示に戻されてもよい。
【0072】
図10は、上記表示画面の変形例に応じた動作設定処理の変形例の制御手順を示すフローチャートである。
この動作設定処理では、上記実施の形態における動作設定処理に対し、ステップS121~S128の処理が追加されている。その他、上記実施の形態と同一の処理内容には同一の符号を用いることとして説明を省略する。なお、ステップS101の処理では、
図6に示したように表示される内容が変更されていてもよい。
【0073】
ステップS103の判別処理で、計測を取り消して直接一覧表示されたメディア種別から1つを選択する操作があったと判別された場合には(ステップS103で“YES”)、制御部15の処理は、ステップS123に移行する。
【0074】
ステップS109の判別処理で、メディア種別の選択操作がないと判別された場合には(ステップS109で“NO”)、制御部15は、自動選択のいずれかを選択する操作があったか又は自動選択設定があるか否かを判別する(ステップS121)。選択されておらず、設定もなされていないと判別された場合には(ステップS121で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS109に戻る。いずれかが選択される操作があったか又は自動選択設定があると判別された場合には(ステップS121で“YES”)、制御部15は、選択された操作に応じた基準で最良のメディア種別を選択対象として決定し、当該メディア種別の表示をハイライト表示させる(ステップS122)。制御部15は、自動選択操作があった場合には、当該自動選択の種別を自動選択設定として記憶部17に保持してよい。それから、制御部15の処理は、ステップS109に戻る。
【0075】
ステップS109の判別処理で、メディア種別の選択操作があったと判別された場合には(ステップS109で“YES”)、制御部15は、表示部43により実行確認画面の表示を行わせる(ステップS123)。制御部15は、選択されたメディア種別により見込まれる動作不良によるメディアの損失費用が絞り込まれた候補の中で最小であるか否かを判別する(ステップS124)。最小であると判別された場合には(ステップS124で“YES”)、制御部15の処理は、ステップS128に移行する。なお、ステップS103の判別処理で絞りこみを行わずにステップS123の処理に移行した場合や、絞り込まれたメディア種別が1つしかなかった場合などには、選択されていない他のメディア種別について考慮せずにステップS124の処理で自動的に“YES”に分岐してよい。
【0076】
損失費用が最小ではないと判別された場合には(ステップS124で“NO”)、制御部15は、損失費用が最小ではない可能性を示す注意表示B8を表示部43により表示画面に表示させる(ステップS125)。制御部15は、設定変更を行う操作が受け付けられたか否かを判別する(ステップS126)。変更操作がないと判別された場合には(ステップS126で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS128に移行する。
【0077】
設定変更を行う操作が受け付けられたと判別された場合には(ステップS126で“YES”)、制御部15は、設定されているメディア種別を変更する(ステップS127)。制御部15、処理をステップS123に戻して改めて実行確認画面を表示させる。
【0078】
ステップS124、S126の処理からステップS128の処理に移行すると、制御部15は、画像形成ジョブの実行を承認する操作(「ジョブ実行」ボタンの選択)が行われたか否かを判別する(ステップS128)。画像形成ジョブの実行を承認する操作が受け付けられていないと判別された場合には(ステップS128で“NO”)、制御部15の処理は、ステップS123に戻る。画像形成ジョブの実行を承認する操作が受け付けられたと判別された場合には(ステップS128で“YES”)、制御部15の処理は、ステップS110に移行する。上記実施の形態と同様に、ステップS110の処理が行われて動作設定処理が終了したのちに、引き続いて制御部15は、画像形成動作部14に画像形成動作を開始させてよい。
【0079】
図11は、画像形成装置の機能構成の変形例を示すブロック図である。
この変形例の画像形成装置1aでは、動作不良発生データ173を自機の記憶部17に保持せずに、ネットワークを介してアクセスされる外部サーバー5の記憶部51に動作不良発生データ511として保持させる。外部サーバー5は、画像形成装置1aの管理会社などのサーバーであってよく、例えば、クラウドサーバーであってもよい。この場合、各所に存在する同一種類の画像形成装置で発生した動作不良の情報は、当該外部サーバー5に送信されて、一元的に管理される。各々の画像形成装置1aにおいてメディア種別の設定を行う際には、メディア種別の絞り込み時に外部サーバーにアクセスして、絞り込まれたメディア種別に係る動作不良の情報を取得する。すなわち、各画像形成装置1aは、自機で使用したことのないメディア種別と動作設定の組み合わせについても外部サーバー5から取得して、動作設定に係る情報として用いることが可能である。
【0080】
なお、動作不良発生データ511は、画像形成装置1aでメディア種別の設定を行う場合に毎回リアルタイムで必要な部分のみが取得されるのではなくてもよい。画像形成動作の中断、待機時間などに適宜又は定期的に全データを取得して、上記実施形態と同様に動作不良発生データ173として記憶部17に保持されて利用されてもよい。
【0081】
また、画像形成装置1aで画像形成に係るジョブが完了するごとに動作不良発生に係るデータが外部サーバー5に送られて適宜処理の上、他の画像形成装置への公開データとして追加されてよい。
【0082】
以上のように、本実施形態の画像形成装置1は、画像が形成されるメディアMの物性情報を取得する物性計測部13と、制御部15と、を備える。制御部15は、情報取得部として、画像形成動作時に生じた動作不良の内容に係る動作不良情報と、当該動作不良時に利用されたメディアの物性情報及び画像形成に係る動作設定と、を対応付けた動作不良発生データ173から、物性計測部13により取得された物性情報に対応する動作設定及び動作不良情報とを取得する。また、制御部15は、設定動作部として、取得された物性情報、動作設定及び動作不良情報に基づいて、メディアMへの画像形成動作に係る動作設定の選択に係る動作を行う。
このように、過去の動作不良の発生情報を動作設定に反映可能とすることができるので、使用されるメディアMに対応するオフィシャルな動作設定がない又は不明の場合などに、過去の画像形成動作の履歴から経験的により好ましい動作設定を選択しやすくすることができる。これにより、画像形成装置1では、より効果的に画像形成時におけるメディアMに係る不要な動作のトラブルの発生を抑制することができ、また、これに伴うメディアMの損失を抑制することができる。
【0083】
また、画像形成装置1は、所定のメディアの物性情報と、画像形成に係る動作設定とを対応付けたメディア種別情報172を記憶する記憶部17を備える。制御部15は、設定動作部として、物性計測部13により取得された物性情報にメディア種別情報172において対応する複数の動作設定の中から選択に係る動作を行う。すなわち、画像形成に用いられるメディアMの実際の物性に近い既知の複数のメディア種別の中から、動作トラブルの履歴を参照しつつより好ましい動作設定を選択することができるので、より効果的に動作トラブルの発生を抑制し、適正な画質で画像を形成することが可能となる。
【0084】
また、画像形成装置1では、動作不良発生データ173が記憶部17に記憶されている。この動作不良発生データ173は、上記変形例のように、他の画像形成装置と共用の外部サーバー5から適宜取得されて更新されたものであってもよい。このようにデータを自機で保持しておくことで、通信のタイムラグなどを考慮せずに速やかに取得された物性値に基づいて抽出されるメディア種別の候補に係る動作不良情報を取得して、当該候補について、動作不良に係る情報を含む一覧表示を行うことができる。
【0085】
また、制御部15は、設定動作部として、物性計測部13により取得された物性情報と所定の基準以上類似する物性情報に対応付けられた動作設定(メディア種別)をメディア種別情報172から抽出することにより、選択の対象を絞り込む。メディア種別情報172には、多数のメディアについての動作設定が保持され得るが、実際の物性の計測値に基づいてまず類似する動作設定が機械的に抽出されるので、ありえない動作設定が容易に除外される。また、この抽出処理により、動作トラブルの履歴データの参照に係る手間を軽減させることができる。
【0086】
また、画像形成装置1、1aは操作受付部42を備える。制御部15は、設定動作部として、複数の選択の対象とされている動作設定(メディア種別)から1つを選択する操作を操作受付部42により受け付ける。このように最終的な決定をユーザーなどに委ねることで、動作トラブルの発生度合を考慮しつつも画質やメディアの単価などを考慮した設定を適切に行うことができる。
【0087】
あるいは、制御部15は、設定動作部として、画質や費用などに係る設定された選択基準に基づいて、複数の選択の対象となる動作設定(メディア種別)の中から1つを選択する。すなわち、選択基準を設定しておくことで、上記のようにユーザーが手動選択しなくとも、特に損失費用などについては容易に客観的に最適な選択を得ることができる。
【0088】
また、制御部15は、設定動作部として、操作受付部42が受け付けた操作内容に応じて選択基準を定める。このように、ユーザーが操作受付部42を介して入力操作を行うことで、容易に好ましい選択基準を設定することが可能である。
【0089】
また、制御部15は、設定動作部として、操作内容に基づいて定められた選択基準を継続利用可能である。毎回同一の選択基準を用いることが多い場合には、一度設定すれば再設定が不要となるので、ユーザーの入力操作の手間を省き、設定の誤りなどを防ぐことができる。
【0090】
また、画像形成装置1、1aは表示部43を備える。制御部15は、設定動作部として、選択の対象とされる複数の動作設定(メディア種別)の各々と物性計測部13により取得された物性情報との組み合わせによる画像形成動作時における動作不良の発生頻度に係る情報を動作不良発生データ173に基づいて取得して、表示部43に表示させる。このように、選択候補の動作設定について一覧表示させ、この一覧表示に動作不良の発生頻度情報を含めることで、ユーザーが容易に動作不良の発生度合を考慮しながら好ましいメディア種別(動作設定)を選択することができる。
【0091】
また、動作不良発生データ173は、画像形成の動作命令(ジョブ)ごとに保持され、制御部15は、設定動作部として、取得した動作不良発生データ173のうち同一の動作設定に係る複数の動作不良情報を統合して表示部43に表示させる。すなわち、同一のメディアに対し、同一の動作設定で過去に複数回画像形成を行っている場合には、それらの累積的な動作不良の発生情報を表示させることで、より精度の高い平均的な動作不良情報をユーザーが知得することができる。また、繰り返し多数回同一設定で画像形成が行われていることが知得可能に総出力枚数の情報なども含まれている場合には、当該動作設定の信頼性が高いことが容易に知得される。
【0092】
また、制御部15は、命令取得部として、画像形成の動作命令(ジョブデータ)を取得する。このジョブデータには、画像を形成するメディアの枚数に係る情報が含まれ、制御部15は、設定動作部として、選択の対象とされる複数の動作設定について、動作不良の発生頻度に係る情報に基づいてメディアMの損失枚数を予測して表示部43により表示させる。すなわち、実際にどのくらいの枚数のメディアMが動作不良により損失となるのかが具体的に推測可能となるので、動作設定の選択が妥当か否かを判断しやすくなる。
【0093】
また、メディア種別情報172には、メディアMの単価に係る情報が含まれ、制御部15は、設定動作部として、選択の対象とされる複数の動作設定(メディア種別)について、動作不良の発生頻度に係る情報に基づいてメディアMの損失費用を予測して、表示部43により表示させる。このように、動作不良によるメディアMの損失に係るコストを動作設定の判断時にユーザーが容易に考慮可能となるので、動作設定の選択をより適切に行いやすくなる。
【0094】
また、制御部15は、設定動作部として、1つの動作設定(メディア種別)が選択された場合に、当該動作設定による画像形成動作に対して予測されるメディアMの損失が複数の選択対象の中で最小であるか否かを判別し、表示部43により判別の結果を表示させる。これにより、実際の画像形成動作の開始前に、コスト上最適な動作設定がなされているか否かをユーザーが判別することができるので、容易に設定を見直したり、あるいはコストにかかわらず画質などの基準により選択が行われたのかを確認したりすることができる。
【0095】
また、動作不良には、ジャムの発生、画像不良の発生及び画像形成動作の中断のうち少なくとも一つが含まれる。動作不良の原因は複数存在し得るので、画像形成装置1、1aに応じて、又はユーザーに応じて、これらに応じて又はこれらを統合して表示することで、ユーザーの利便性を高めることができる。
【0096】
また、画像形成装置1、1aは、物性情報として所定の物性値を計測する物性計測部13を備える。このように画像形成装置1、1aが備える物性計測部13によりインラインで計測が行われることで、ユーザーはメディアMをセットして計測命令を送ることだけで容易にメディアMの物性情報を取得することができる。
【0097】
また、画像形成装置1、1aは、上記各構成に加えて、メディアMに対して選択された動作設定で画像形成を行う画像形成動作部14を備える。すなわち、画像形成装置1、1aにおいて自機にとって好ましい動作設定を容易に選択、設定することができるので、動作トラブルの発生度合を考慮しながら適切に各種メディアMに対して画像を形成させることができる。
【0098】
また、本実施形態の動作設定選択方法は、メディアMの物性情報を取得する物性取得ステップ、取得された物性情報と、記憶部17に記憶された動作不良発生データ173において当該物性情報に対応する動作設定及び動作不良情報と、に基づいて、動作設定の選択に係る動作を行う設定動作ステップ、を含む。このような動作設定選択方法により、特に最適な動作設定が未知のメディアMを用いる場合に過去に実際に生じた動作トラブルを考慮しながら適切な動作設定を容易に選択することが可能になる。これにより、より効果的に画像形成時におけるメディアMに係る不要な動作のトラブルの発生を抑制することができ、また、これに伴うメディアMの損失を抑制することができる。また、変形例のように、動作不良発生データ173を画像形成装置1内で保持しなくてもよく、複数の画像形成装置で異常発生履歴を共用とすることで、効率よく多くの画像形成動作に係るデータを収集し、各画像形成装置1での設定に反映させることができる。
【0099】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上記実施の形態では、画像形成対象のメディアMの物性情報を物性計測部13又は外付けの物性計測部などから取得するものとして説明したが、外部機器を介して物性情報のデータが通信部41へ入力されてもよいし、ユーザーが操作受付部42を介して物性データを入力してもよい。これらの場合、通信部41及び/又は操作受付部42が物性取得部として機能する。
【0100】
また、上記実施の形態では、画像不良の動作トラブルとジャムなどのメディアMの搬送に係るトラブルとをそれぞれ計数して保持、出力することとしたが、画像不良は画像形成動作部14の状態などにも依存するので、搬送に係るトラブルのみを計数して、損失枚数を予測してもよい。また、上述の画像形成動作の中断発生率を表示させ、これに基づいて損失枚数を予測してもよい。
【0101】
また、片面のみへの画像形成時におけるジャムなどのトラブル発生と、両面への画像形成時におけるトラブルの発生とを分けて計数、表示させてもよい。
【0102】
また、上記実施の形態では、損失枚数及び損失費用の両方を算出し、損失費用を最小にするように自動選択する場合について説明したが、損失枚数のみを予測して、損失枚数を最小にするように自動選択(推奨設定)がなされてもよい。
【0103】
また、上記実施の形態では、品質優先、効率優先及び推奨設定の3種類の自動設定基準が選択可能とされたが、これら以外の基準で自動設定がなされてもよい。また、自動設定基準は、メディア種別の選択時に定めるものに限られず、予め別途設定画面で設定がなされていてもよい。
【0104】
また、確認表示画面における損失枚数及び/又は損失費用の表示は、手動でメディア種別(動作設定)の選択を行った場合にのみ表示し、自動設定の場合には省略することとしてもよい。
【0105】
あるいは、メディア種別(動作設定)の自動選択を行わせる設定を予め行っておくことにより、動作不良や損失の発生率などを一覧表示させずにそのまま設定に係る処理を完了させてもよい。この場合には、上記と反対に、確認表示画面でのみ損失枚数及び/又は損失費用の表示がなされてもよい。
【0106】
また、手動選択の場合でも、候補の一覧表示では動作不良の発生率を表示させず、選択された候補についてのみ、これらの表示を行わせてもよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、メディア1枚当たりの値段を保持することとしたが、任意の単位枚数(例えば、100枚)当たりの値段であってもよい。
【0108】
また、上記実施の形態では、メディア種別と1対1で対応して動作設定が保持されているものとして説明したが、必ずしも1対1でなくてもよい。複数のメディア種別に対して同一の動作設定が対応付けられていてもよいし、1つのメディア種別に対して複数種類の動作設定の候補が含まれていてもよい。
【0109】
また、上記実施の形態では、画像形成装置1の制御部15が動作設定を行うこととしたが、画像形成装置1の外部のコンピューターなどで動作設定が決定されて、決定情報が画像形成装置に送られてもよい。
その他、上記実施の形態で示した構成、処理内容、処理手順などの具体的な細部は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0110】
1、1a 画像形成装置
11 メディア供給部
12 メディア検出部
13 物性計測部
14 画像形成動作部
15 制御部
16 搬送部
16a 搬送駆動部
17 記憶部
171 プログラム
172 メディア種別情報
173 動作不良発生データ
18 排出トレイ
41 通信部
42 操作受付部
43 表示部
5 外部サーバー
51 記憶部
511 動作不良発生データ
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