(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】鱗片状亜鉛末含有組成物及び鱗片状亜鉛末の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20240409BHJP
C23F 11/00 20060101ALI20240409BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240409BHJP
C09D 5/10 20060101ALI20240409BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C09D17/00
C23F11/00 F
C09D7/61
C09D5/10
C09D201/00
(21)【出願番号】P 2019167315
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】末田 学
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 陽平
(72)【発明者】
【氏名】緒方 宏宣
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-009897(JP,A)
【文献】特開2004-002637(JP,A)
【文献】米国特許第05334631(US,A)
【文献】国際公開第14/136219(WO,A1)
【文献】特開昭61-123674(JP,A)
【文献】特開昭61-124506(JP,A)
【文献】特開昭55-122807(JP,A)
【文献】特開2015-209912(JP,A)
【文献】特開2006-348147(JP,A)
【文献】国際公開第2014/136219(WO,A1)
【文献】特開2005-272568(JP,A)
【文献】特開2001-191020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-201/10
B22F 1/00-12/90
C23F 11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鱗片状亜鉛末と分散剤とを含む組成物であって、
該分散剤は、バリウム化合
物を含み、
該組成物を分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が、該組成物と配合比が同じ鱗片状亜鉛末と該分散剤との単純混合物のL*値よりも高いことを特徴とする鱗片状亜鉛末含有組成物。
【請求項2】
前記分散剤の含有量が、鱗片状亜鉛末100質量%に対して0.001質量%以上、10質量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の鱗片状亜鉛末含有組成物。
【請求項3】
前記鱗片状亜鉛末含有組成物を分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が60以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鱗片状亜鉛末含有組成物。
【請求項4】
前記鱗片状亜鉛末含有組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜を、分光色差計で測定したときのCIELAB表色系でのL*値が、50以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の鱗片状亜鉛末含有組成物。
【請求項5】
前記鱗片状亜鉛末含有組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜を、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が、該組成物と配合比が同じ鱗片状亜鉛末と分散剤との単純混合物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜のL*値よりも高いことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の鱗片状亜鉛末含有組成物。
【請求項6】
前記鱗片状亜鉛末含有組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜の60°グロス値が、該組成物と配合比が同じ鱗片状亜鉛末と分散剤との単純混合物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜の60°グロス値よりも高いことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の鱗片状亜鉛末含有組成物。
【請求項7】
亜鉛末と分散剤とを含むスラリーを得る工程Aと、
該工程Aで得られたスラリーについて鱗片化処理を行う工程Bとを含み、
該分散剤は、バリウム化合
物を含むことを特徴とする鱗片状亜鉛末の製造方法。
【請求項8】
前記分散剤の使用量が、亜鉛末100質量%に対して0.001質量%以上、10質量%未満であることを特徴とする請求項7に記載の鱗片状亜鉛末の製造方法。
【請求項9】
前記工程Aにおけるスラリーは、更に脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項7又は8に記載の鱗片状亜鉛末の製造方法。
【請求項10】
前記工程Bは、得られる亜鉛末のメジアン径(D50)が最大となるメディア処理時間を100%としたときの、200%以下時間でメディア処理を行うことを特徴とする請求項7~9のいずれかに記載の鱗片状亜鉛末の製造方法。
【請求項11】
請求項1~6に記載の鱗片状亜鉛末含有組成物とバインダーとを含むことを特徴とする塗料。
【請求項12】
前記鱗片状亜鉛末の含有量が、塗料中の固形分100質量%に対して5~95質量%であることを特徴とする請求項11に記載の塗料。
【請求項13】
前記塗料は、防食用途に用いられることを特徴とする請求項11又は12に記載の塗料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鱗片状亜鉛末含有組成物及び鱗片状亜鉛末の製造方法に関する。より詳しくは、車、船舶、鋼構造物等の防食塗料等に有用な鱗片状亜鉛含有組成物及び鱗片状亜鉛末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛末は、車、船舶、小中型鋼構造物をはじめ、橋梁、工場プラント、タンク、鉄塔等の大型鋼構造物を腐食から守るための防食下塗り塗料等に好適に用いられている。亜鉛末が配合された樹脂層は、電気化学的特性により亜鉛が犠牲になることによって、鋼材を錆から守る防食層の働きをする。防食塗料に関して例えば特許文献1には、親水性部位を有するポリイソシアネート化合物と2級アミノ基含有アルコキシシランとの反応により得られる反応液(a)、 亜鉛含有粉末(b)、揺変剤(c)、および水(d)を含有する水系防食塗料組成物であって、前記反応において、前記2級アミノ基含有アルコキシシランの2級アミノ基に対する前記ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の当量比(NCO/NH)が1.0/0.8~1.0/1.0である水系防食塗料組成物が開示されている。特許文献2には、(A)ケイ素系無機結合剤、(B)ポリビニルブチラール樹脂、(C)有機ホウ素化合物及び(D)亜鉛末を含有する無機質ジンクリッチペイントであって、(A)と(B)の配合比が(A)成分中のSiO2成分:(B)成分=85:15~15:85(重量比)であり、且つ(C)成分の含有量が(A)及び(B)成分の合計重量に対して5~30重量%であり、(D)成分が(d1)平均粒子径10~50μmの亜鉛末及び(d2)平均粒子径10μm未満の亜鉛末からなり、両者の配合比が(d1):(d2)=5:95~70:30(重量比)であり、さらに(D)成分の含有量が乾燥塗膜固形分中に60~90重量%であることを特徴とする無機質ジンクリッチペイントが開示されている。
【0003】
また、近年、防食塗料には防食性能に優れるだけでなく、地球環境保全の観点からは鉛・クロムフリーであることが要望され、更には、人目に触れるデザイン性重視の建材用途では色調、メタリック感、ラメ感(キラキラ感)等の意匠性も要求されている。更に、亜鉛末含有塗膜において、金属系材料が本来有するメタリック感とは別の「白さ」が求められるケースもある。例えば特許文献3には、亜鉛粒子と、他の金属粒子および/ または無機顔料粒子とを、ビーズミルを使用して有機溶剤、潤滑剤と共に混合し、粉砕することにより、亜鉛粒子をフレーク化しつつ、フレーク化された亜鉛粒子の表面に他の金属粒子および/ または無機顔料粒子を付着せしめることを特徴とする異種金属含有亜鉛フレークの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-121278号公報
【文献】特開2008-31237号公報
【文献】特開2006-348147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の通り、種々の亜鉛を含む塗料組成物や亜鉛フレークの製造方法が開示されている。しかしながら、例えば、意匠性を高めるために亜鉛末に金属アルミニウムやアルミフレークを混合する方法や色調を向上させるために顔料等を混合する方法は、塗料中に占める亜鉛の割合が減少するため、防食性能が低下するという問題があった。従来の亜鉛末は防食性能と白色度との両立の点で充分ではなかった。
【0006】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、塗膜における防食性能と白色度とをともに充分に発揮することができる鱗片状亜鉛末含有組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鱗片状亜鉛について種々検討したところ、鱗片状亜鉛末と分散剤とを含む所定の組成物が塗膜における防食性能と白色度とをともに充分に発揮することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
【0008】
すなわち本発明は、鱗片状亜鉛末と分散剤とを含む組成物であって、上記分散剤は、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含み、上記組成物を分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が、該組成物と配合比が同じ鱗片状亜鉛末と上記分散剤との単純混合物のL*値よりも高い鱗片状亜鉛末含有組成物である。
【0009】
上記分散剤の含有量が、鱗片状亜鉛末100質量%に対して0.001質量%以上、10質量%未満であることが好ましい。
【0010】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物を分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が60以上であることが好ましい。
【0011】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜を、分光色差計で測定したときのCIELAB表色系でのL*値が、50以上であることが好ましい。
【0012】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜を、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が、該組成物と配合比が同じ鱗片状亜鉛末と分散剤との単純混合物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜のL*値よりも高いことが好ましい。
【0013】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜の60°グロス値が、該組成物と配合比が同じ鱗片状亜鉛末と分散剤との単純混合物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜の60°グロス値よりも高いことが好ましい。
【0014】
本発明はまた、亜鉛末と分散剤とを含むスラリーを得る工程Aと、上記工程Aで得られたスラリーについて鱗片化処理を行う工程Bとを含み、上記分散剤は、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含む鱗片状亜鉛末の製造方法でもある。
【0015】
上記分散剤の使用量が、亜鉛末100質量%に対して0.001質量%以上、10質量%未満であることが好ましい。
【0016】
工程Aにおけるスラリーは、更に脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0017】
上記工程Bは、得られる亜鉛末のメジアン径(D50)が最大となるメディア処理時間を100%としたときの、200%以下時間でメディア処理を行うことが好ましい。
【0018】
本発明は更に、上記鱗片状亜鉛末含有組成物とバインダーとを含む塗料でもある。
【0019】
上記鱗片状亜鉛末の含有量は、塗料中の固形分100質量%に対して5~95質量%であることが好ましい。
【0020】
上記塗料は、防食用途に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物は、上述の構成よりなり、塗膜における防食性能と白色度とをともに充分に発揮することができるため、車、船舶、鋼構造物等の防食下塗り塗料、防食上塗り塗料等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
【0023】
<鱗片状亜鉛末含有組成物>
本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物は、鱗片状亜鉛末と分散剤とを含み、上記分散剤は、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含み、上記組成物を分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値(L1)が、該組成物と配合比が同じ鱗片状亜鉛末と上記分散剤との単純混合物(以下、単に「鱗片状亜鉛末と分散剤との単純混合物」とも言う。)のL*値(L2)よりも高いことを特徴とする。
より好ましくはL1/L2が1.01以上であり、更に好ましくは1.02以上である。
本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物は、亜鉛末と分散剤とを含む組成物の鱗片化物であることが好ましく、亜鉛末と分散剤とを含む組成物を鱗片化処理して得られたものであることがより好ましい。
【0024】
上記鱗片状亜鉛末と上記分散剤との単純混合物は、亜鉛末を鱗片化処理した後に上記分散剤を混合したものである。
上記比較の対象となる単純混合物は、鱗片化処理された亜鉛末に分散剤を混合したこと以外の、鱗片状亜鉛末と分散剤との配合比等のその他の条件は本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物と同じである。
本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物は、亜鉛末に分散剤を添加してメディア処理により鱗片化することにより、鱗片状亜鉛末形成時に分散剤が鱗片状亜鉛末の間に入り込み、鱗片状亜鉛末同士の凝集や固着を抑制するスペーサーとしての役割を果たすことで、鱗片状亜鉛末の光の反射面積が増大し、L*値が向上すると推定される。
これに対し、鱗片状亜鉛末と分散剤とを単純に混合した場合(比較例)は、一度凝集や固着した鱗片状亜鉛末の表面に分散剤が付着するに留まるため、L*値の向上が殆ど見られないものと考えられる。
【0025】
上記分散剤は、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含むものであれば特に制限されない。
上記バリウム化合物は、バリウム元素を含むものであれば特に制限されないが、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩、脂肪酸塩、有機酸塩等が挙げられる。中でも好ましくは硫酸塩、脂肪酸塩、有機酸塩であり、更に好ましくは硫酸塩である。
上記有機酸塩における有機酸は特に制限されないが、有機酸の炭素原子数として好ましくは1~22である。より好ましくは1~20であり、更に好ましくは1~18である。
上記有機酸としては例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、サイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、ピルビン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。
【0026】
上記脂肪酸塩における脂肪酸は特に制限されないが、脂肪酸の炭素原子数として好ましくは8~24である。より好ましくは10~22であり、更に好ましくは12~20である。脂肪酸の具体例及び好ましい例は後述する鱗片状亜鉛末の製造方法に記載のとおりである。
上記バリウム化合物が硫酸バリウムである形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0027】
上記チタン化合物は、チタン元素を含むものであれば特に制限されないが、硫酸塩、硝酸塩、塩酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩、脂肪酸塩、有機酸塩等が挙げられる。中でも好ましくは酸化物、硫酸塩、水酸化物であり、更に好ましくは酸化物である。上記チタン化合物が酸化チタンである形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。上記脂肪酸塩における脂肪酸、有機酸塩における有機酸はバリウム化合物において述べたとおりである。
【0028】
上記シリカは、SiO2で表される化合物であれば特に制限されないが、疎水性の乾式法シリカ、疎水性の湿式法シリカが好ましい。より好ましくは疎水性の乾式法シリカである。
【0029】
上記分散剤として好ましくは、バリウム化合物及び/又はチタン化合物であり、より好ましくはバリウム化合物である。
【0030】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物における分散剤の含有量(すなわち添加量)は特に制限されないが、鱗片状亜鉛末100質量%に対して0.001質量%以上、10質量%未満であることが好ましい。これにより、白色度を維持しつつ、より充分な防食効果を発揮することができる。分散剤の含有量としてより好ましくは0.005~9質量%であり、更に好ましくは0.008~7質量%であり、特に好ましくは0.01~5質量%である。
上記鱗片状亜鉛末含有組成物が2種以上の分散剤を含む場合、上記含有量は分散剤の合計の含有量である。
【0031】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物は、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値が60以上であることが好ましい。L*値が60以上であれば、白色度がより充分となり、白色塗料として好適に用いることができる。L*値としてより好ましくは63以上であり、更に好ましくは65以上である。
【0032】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物は、該組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜を、分光色差計で測定したときのCIELAB表色系でのL*値が、50以上であることが好ましい。より好ましくは52以上であり、更に好ましくは54以上であり、特に好ましくは55以上である。
上記バインダーとしては後述する塗料に含まれるバインダーが挙げられる。
【0033】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物は、該組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜を、分光色差計で測定したCIELAB表色系でのL*値(L1’)が、鱗片状亜鉛末と分散剤との単純混合物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜のL*値(L2’)よりも高いことが好ましい。
より好ましくはL1’/L2’が1.01以上であり、更に好ましくは1.02以上であり、更に好ましくは1.03以上である。
【0034】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物は、該組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜の60°グロス値が20以上であることが好ましい。より好ましくは40以上であり、更に好ましくは50以上であり、一層好ましくは60以上であり、特に好ましくは70以上であり、最も好ましくは80以上である。
塗膜の60°グロス値の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
【0035】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物は、該組成物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜の60°グロス値(G1)が、鱗片状亜鉛末と分散剤との単純混合物を用いて、鱗片状亜鉛末とバインダーとの質量比(鱗片状亜鉛末/バインダー)が1.2となるように形成した塗膜の60°グロス値(G2)よりも高いことが好ましい。
より好ましくはG1/G2が1.05以上であり、更に好ましくは1.10以上であり、更に好ましくは1.15以上である。
【0036】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物中の鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)としては、1~120μmであることが好ましい。より好ましくは3~100μmであり、更に好ましくは6~80μmであり、特に好ましくは10~50μmである。
上記鱗片状亜鉛末の厚みは、0.01~10μmであることが好ましい。より好ましくは0.01~8μmであり、更に好ましくは0.05~6μmであり、特に好ましくは0.1~4μmである。
【0037】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物は更に、脂肪酸(塩)を含んでいてもよい。脂肪酸(塩)の具体例、好ましい例は、後述する鱗片状亜鉛末の製造方法に記載のとおりである。
鱗片状亜鉛末含有組成物が脂肪酸(塩)を含む場合もまた、脂肪酸(塩)は鱗片状亜鉛末に担持されていることが好ましい。
上記分散剤がバリウム及び/又はチタンの脂肪酸塩である場合、上記鱗片状亜鉛末含有組成物は、分散剤と脂肪酸塩とを含むことになる。
上記脂肪酸(塩)の含有量としては、特に制限されないが、鱗片状亜鉛末100質量%に対して0.01~5.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05~3.5質量%であり、更に好ましくは0.1~2.8質量%であり、特に好ましくは0.2~2.3質量%である。
【0038】
上記鱗片状亜鉛末含有組成物は、鱗片状亜鉛末、上記分散剤、脂肪酸(塩)以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、溶媒、脂肪酸(塩)以外のその他の滑剤(粉砕助剤)、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカ以外のその他の分散剤等が挙げられる。
これらの具体例、好ましい例は、後述する鱗片状亜鉛末の製造方法に記載のとおりである。また、これらの成分の鱗片状亜鉛末に対する含有量の好ましい範囲は、後述する鱗片状亜鉛末の製造方法における亜鉛末に対するこれらの成分の使用量、含有量の好ましい範囲と同様である。
【0039】
<鱗片状亜鉛末の製造方法>
本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物の製造方法は特に制限されないが、本発明はまた、亜鉛末と分散剤とを含むスラリーを得る工程Aと、上記工程Aで得られたスラリーについて鱗片化処理を行う工程Bとを含み、上記分散剤は、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を含む鱗片状亜鉛末の製造方法でもある。
【0040】
1.工程A
工程Aは、亜鉛末と分散剤とを含むスラリーを得る工程であり、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカからなる群より選択される少なくとも1種を分散剤として用いることにより、工程Bにおいて亜鉛末同士の凝集を防止し、鱗片化亜鉛末を充分に分散させるため、可視光の反射率を高めることができ、白色度が向上すると考えられる。特に、太陽光の反射率が高まるため、太陽光の照射下において、白色度がより向上する。
【0041】
上記分散剤の使用量は、亜鉛末100質量%に対して0.001質量%以上、10質量%未満であることが好ましい。これにより、白色度を維持しつつ、より充分な防食効果を発揮することができる。分散剤の使用量としてより好ましくは0.005~9質量%であり、更に好ましくは0.008~7質量%であり、特に好ましくは0.01~5質量%である。
【0042】
上記工程Aにおけるスラリーは更に、脂肪酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種(以下、脂肪酸(塩)ともいう。)を含むものであることが好ましい。脂肪酸(塩)を滑剤として用いることにより、亜鉛末同士が固着することを充分に抑制でき、より効率的に亜鉛末を鱗片化することができる。
上記分散剤がバリウム及び/又はチタンの脂肪酸塩である場合、上記スラリーは、分散剤と脂肪酸塩とを含むことになる。
【0043】
上記脂肪酸(塩)は、炭化水素基とカルボキシル基を有するものであればよい。また、その塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属塩;亜鉛、アルミニウム等の塩;等が挙げられる。
【0044】
上記脂肪酸(塩)の炭素原子数としては好ましくは8~24である。これにより、滑剤としての滑り性がより高まり、より効率的に鱗片化を行うことができる。炭素原子数としてより好ましくは10~22であり、更に好ましくは12~20である。
【0045】
上記脂肪酸(塩)が有する炭化水素基は、直鎖又は分岐構造を有するアルキル基であることが好ましい。アルキル基の炭素数として好ましくは7~23であり、より好ましくは9~21であり、更に好ましくは11~19である。
【0046】
直鎖アルキル基としては、特に制限されないが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基(アミル基)、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基等が挙げられる。
【0047】
直鎖の脂肪酸としては、例えば、 酪酸(ブチル酸)、吉草酸(バレリアン酸、ペンタン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、エナント酸(ヘプタン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、ペラルゴン酸(ノナン酸)、カプリン酸(デカン酸)、ラウリン酸(ドデカン酸)、ミリスチン酸(テトラデカン酸)、ペンタデシル酸(ペンタデカン酸)、パルミチン酸(ヘキサデカン酸)、マルガリン酸(ヘプタデカン酸)、ステアリン酸(オクタデカン酸)、ノナデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、ヘンイコシル酸、ヘキサコサン酸等が挙げられる。
上記脂肪酸(塩)がステアリン酸(塩)である形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
【0048】
上記分岐構造を有するアルキル基として具体的には、イソプロピル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、イソアミル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、tert-アミル基、1,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-エチル-2-メチルプロピル基、1-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,5-ジメチルヘキシル基、t-オクチル基、イソオクチル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、イソウンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル基、ネオウンデシル基、イソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基、ネオドデシル基、イソトリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル基、ネオトリデシル基、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル(イソステアリル)基、sec-オクタデシル基、tert-オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec-ノナデシル基、tert-ノナデシル基、ネオノナデシル基、イソイコシル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基、ネオイコシル基、イソヘンイコシル基、sec-ヘンイコシル基、tert-ヘンイコシル基、ネオヘンイコシル基、イソドコシル基、sec-ドコシル基、tert-ドコシル基、ネオドコシル基、イソトリコシル基、sec-トリコシル基、tert-トリコシル基、ネオトリコシル基、イソテトラコシル基、sec-テトラコシル基、tert-テトラコシル基、ネオテトラコシル基、イソペンタコシル基、sec-ペンタコシル基、tert-ペンタコシル基、ネオペンタコシル基、イソヘキサコシル基、sec-ヘキサコシル基、tert-ヘキサコシル基、ネオヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、sec-ヘプタコシル基、tert-ヘプタコシル基、ネオヘプタコシル基、イソオクタコシル基、sec-オクタコシル基、tert-オクタコシル基、ネオオクタコシル基、n-ノナコシル基、イソノナコシル基、sec-ノナコシル基、tert-ノナコシル基、ネオノナコシル基、n-トリアコンチル基、イソトリアコンチル基、sec-トリアコンチル基、tert-トリアコンチル基等が挙げられる。
【0049】
上記脂肪酸(塩)は、分岐構造を有するものであることが好ましい。
これにより脂肪酸(塩)の分岐鎖が立体障害となって亜鉛末同士が固着することをより充分に抑制し、工程Bにおいて亜鉛末をより効率的に鱗片化することができる。
その結果、防食性能と意匠性とをともに充分に発揮する鱗片状亜鉛末が得られると考えられる。また、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)を用いることにより、亜鉛末表面に分岐鎖を有する脂肪酸(塩)が担持されながら亜鉛末の鱗片化が進行すると考えられる。これにより鱗片化していく亜鉛末同士の接近を効果的に抑制することができるため、鱗片化工程においてビーズを用いる場合に、ビーズの衝突エネルギーを、亜鉛末同士を固着させる、あるいは亜鉛末同士の固着を解すエネルギーとして無駄に損失させることなく、1つ1つの亜鉛末を鱗片化するエネルギーとして効果的に利用することができると考えられる。したがって、分岐鎖を有する脂肪酸(塩)を用いることにより、従来よりもより少ないエネルギーで鱗片状亜鉛末を製造することが可能となる。
【0050】
分岐鎖を有する脂肪酸(塩)が有する好ましい分岐構造としては、下記式(1);
【0051】
【0052】
(式中、R1、R2、R3は、水素原子、又は、炭素数1~22のアルキル基を表す。ただし、R1、R2、R3のうち少なくとも2つは炭素数1~22のアルキル基である。)で表される構造である。
上記R1、R2、R3におけるアルキル基は、直鎖構造であっても分岐構造を有するものであってもよい。
【0053】
上記アルキル基の具体例としては、上述のアルキル基が挙げられる。
上記式(1)で表される化合物において、好ましくはR1、R2、R3のうち少なくとも2つのアルキル基の炭素数として好ましくは1~18である。より好ましくは2~16であり、更に好ましくは4~14であり、一層好ましくは5~12であり、特に好ましくは6~10である。
【0054】
分岐鎖を有する脂肪酸(塩)として具体的には、イソ酪酸、イソ吉草酸(イソペンタン酸)、2-エチル酪酸、エチルメチル酢酸、イソカプロン酸(イソヘキサン酸)、イソエナント酸(イソヘプタン酸)、イソカプリル酸(イソオクタン酸)、イソペラルゴン酸(イソノナン酸)、イソカプリン酸(イソデカン酸)、イソウンデカン酸、イソラウリン酸(イソドデカン酸)、イソトリデシル酸(イソトリデカン酸)、イソミリスチン酸(イソテトラデカン酸)、イソペンタデシル酸(イソペンタデカン酸)、イソパルミチン酸(イソヘキサデカン酸)、イソマルガリン酸(イソヘプタデカン酸)、イソステアリン酸(イソオクタデカン酸、2-へプチルウンデカン酸)、イソノナデシル酸(イソノナデカン酸)、イソアラキン酸(イソイコサン酸)、イソドコサン酸、イソヘキサコサン酸、2-エチルヘキサン酸、2-プロピルヘキサン酸、2-ブチルヘキサン酸、2-エチルヘプタン酸、2-プロピルヘプタン酸、2-ブチルヘプタン酸、2-エチルオクタン酸、2-プロピルオクタン酸、2-ブチルオクタン酸、2-ペンチルデカン酸、2-へプチルオクタン酸、2-ヘキシルノナン酸、2-へプチルノナン酸、2-ヘキシルデカン酸、2-ヘキシルドデカン酸、2-オクチルデカン酸、2-ヘキシルトリデカン酸、2-へプチルドデカン酸、2-オクチルウンデカン酸、13-メチルテトラデカン酸、12-メチルテトラデカン酸、15-メチルヘキサデカン酸、14-メチルヘキサデカン酸、10-メチルヘキサデカン酸、18-メチルエイコサン酸、フィタン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
中でも好ましくは、イソエナント酸、イソカプリル酸、イソペラルゴン酸、イソカプリン酸、イソウンデカン酸、イソラウリン酸、イソトリデシル酸、イソミリスチン酸、イソペンタデシル酸、イソパルミチン酸、イソマルガリン酸、イソステアリン酸、イソノナデシル酸、イソアラキン酸、及びこれらの塩であり、より好ましくは、イソラウリン酸、イソトリデシル酸、イソミリスチン酸、イソペンタデシル酸、イソパルミチン酸、イソマルガリン酸、イソステアリン酸、イソノナデシル酸、イソアラキン酸であり、特に好ましくはイソステアリン酸である。
【0055】
上記脂肪酸(塩)の使用量は特に制限されないが、亜鉛末100質量%に対して0.01~5.0質量%であることが好ましい。分岐鎖を有する脂肪酸(塩)を用いる場合、直鎖の脂肪酸を用いる場合よりも少ない使用量で滑剤としての効果を発揮させることができる。より好ましくは0.05~3.5質量%であり、更に好ましくは0.1~2.8質量%であり、特に好ましくは0.2~2.3質量%である。
【0056】
上記亜鉛末は、特に制限されないが、平均粒子径が0.1~80μmであることが好ましい。より好ましくは0.5~60μmであり、更に好ましくは1~50μmである。
上記平均粒子径は、実施例に記載の粒度分布測定装置により測定することができる。
【0057】
上記工程Aにおける水の使用量は、亜鉛末100質量%に対して10質量%以下であることが好ましい。これにより鱗片状亜鉛末同士が互いに固着することが充分に抑制され、意匠性により優れた鱗片状亜鉛末が得られる。水の使用量としてより好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、最も好ましくは0質量%である。
【0058】
上記工程Aでは、水以外の溶媒を用いてスラリーを調製することが好ましい。
溶媒としては通常使用される溶媒を用いることができ、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、ミネラルターペン、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ等の炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール、2-メチル-2-プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、メトキシブタノール、メトキシメチルブタノール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール等のアルコール類、およびこれらのアルコール類の酢酸エステル、プロピオン酸エステル等のエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール、ネオペンチルグリコール等のグリコール類、グリセリン等の3価アルコール類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールヘキシルエーテル等のグリコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等が挙げられる。好ましくは炭化水素類であり、より好ましくはキシレンである。
上記水以外の溶媒の使用量としては、亜鉛末100質量%に対して10~600質量%であることが好ましい。より好ましくは50~400質量%であり、更に好ましくは100~250質量%である。
【0059】
上記工程Aにおいて、亜鉛末と分散剤とを含むスラリーを調製する方法は特に制限されないが、亜鉛末と分散剤とを溶媒に懸濁させることが好ましい。
また、亜鉛末と分散剤とを含むスラリーは、亜鉛末を含むスラリーと分散剤を含むスラリーを別個に調製した後これらを混合してもよく、亜鉛又は分散剤のいずれか一方を含むスラリーに、もう一方を添加して調製してもよい。好ましくは別個に調製した後に混合する形態である。
上記工程Aにおけるスラリーが脂肪酸(塩)を含む場合、脂肪酸(塩)を溶媒に添加する順序や方法は特に制限されないが、脂肪酸(塩)を添加した溶媒に亜鉛末を添加する形態が好ましい。
【0060】
上記工程Aで得られるスラリーは、亜鉛末、分散剤、脂肪酸(塩)及び溶媒以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、例えば、脂肪酸(塩)以外のその他の滑剤(粉砕助剤)、バリウム化合物、チタン化合物及びシリカ以外のその他の分散剤等が挙げられる。
その他の成分の含有量としては、亜鉛末100質量%に対して0~1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.05~0.5質量%であり、更に好ましくは0.1~0.3質量%である。
【0061】
上記その他の滑剤としては、例えば、固形パラフィン、ポリエチレンワックス、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族エステル、脂肪族アルコール、グラファイト、タルク、リン酸亜鉛、タルク、マイカ等が挙げられる。
その他の滑剤の含有量としては、亜鉛末100質量%に対して0~1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0~0.5質量%であり、更に好ましくは0~0.3質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
【0062】
2.工程B
工程Bは、工程Aで得られたスラリーについて鱗片化処理する工程である。
鱗片化処理方法としては、特に制限されず通常用いられる方法により行うことができる。
例えば、遊星ミル、ビーズミル、振動ミル、メディアレス粉砕機等を用いることができる。この中でも、ビーズミルを用いる方法が好ましい。
【0063】
ビーズミルに使用するビーズとしては、ガラスビーズ、アルミナビーズ、ジルコニアビーズ、チタニアビーズ、窒化珪素ビーズ等のいずれのものを用いてもよい。好ましくはジルコニアビーズ、アルミナビーズである。
ビーズミルを用いる場合、使用するビーズの大きさは、直径0.03~0.5mmのものを用いることが好ましい。
ビーズミルを用いる場合のビーズの使用量は特に制限されないが、亜鉛末の使用量100質量%に対して、10~1000質量%である。これにより、亜鉛末とビーズとが充分に衝突し、得られる亜鉛末のメジアン径(D50)をより好適な範囲とすることができる。ビーズの使用量としてより好ましくは20~950質量%であり、更に好ましくは30~900質量%である。
ビーズミルを用いる場合、回転ディスクを用いることが好ましく、回転ディスクの回転数としては、100~10000rpmであることが好ましい。より好ましくは200~6000rpmであり、更に好ましくは250~4000rpmであり、特に好ましくは300~3500rpmである。
上記回転ディスクの周速としては、4~50m/sであることが好ましい。より好ましくは6~40m/sであり、更に好ましくは8~30m/sであり、特に好ましくは8~20m/sである。
【0064】
上記工程Bにおいて、亜鉛末の鱗片化が進むにつれて、亜鉛末のメジアン径(粒度分布のD50の値)が上昇し、ピークに達する。
本発明者は、得られる鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)を大きいものとすることにより、メタリック感により優れることを見出した。すなわち、亜鉛末のメジアン径(D50)が最大となる鱗片化処理時間を100%としたときの、25%以上、200%以下の時間で鱗片化処理を行うことが好ましい。より好ましくは30~180%の時間であり、更に好ましくは40~160%の時間であり、一層好ましくは50~150%の時間であり、より一層好ましくは60~130%の時間であり、特に好ましくは70~120%の時間であり、特に一層好ましくは80~110%の時間である。
鱗片状亜鉛末の粒度分布のメジアン径(D50)は、実施例に記載の方法により求めることができる。
【0065】
工程Bを行う温度は、特に制限されないが、5~60℃の温度で行うことができる。
【0066】
本発明の鱗片状亜鉛末の製造方法は、工程A及びB以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、工程A及び/又はBにより得られたスラリーに含まれる溶媒等を除去する工程、洗浄・乾燥する工程等が挙げられる。
【0067】
<鱗片状亜鉛末の用途>
本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物及び本発明の製造方法により得られた鱗片状亜鉛末は、車、船舶、道路、鉄道、港湾、ビル、高架、橋梁、工場設備、プラント、パイプライン、鉄塔等の鋼構造物を腐食から守るための防食下塗り塗料、防食上塗り塗料等に好適に用いることができる。
【0068】
<塗料>
本発明は更に、本発明の鱗片状亜鉛末含有組成物とバインダー(以下、樹脂ともいう)とを含む塗料でもある。本発明の製造方法により得られた鱗片状亜鉛末とバインダーとを含む塗料もまた、本発明の1つである。
上記塗料は下塗り、防食用途に用いられることが好ましい。
上記塗料は、鱗片状亜鉛末の含有量が、塗料中の固形分100質量%に対して15~95質量%であることが好ましい。より好ましくは20~95質量%であり、更に好ましくは25~95質量%であり、特に好ましくは30~95質量%である。
なお、本明細書中における「固形分」とは、溶剤や水などの揮発する成分を除いた常温で固体状又は液体状の残存物、いわゆる不揮発分を意味し、150℃で1時間乾燥させて得られた蒸発残分を測定することにより、固形分を算出することができる。
【0069】
上記塗料は、バインダーの含有量が、鱗片状亜鉛末100質量%に対して固形成分として1~99質量%であることが好ましい。より好ましくは3~90質量%であり、更に好ましくは5~80質量%である。
【0070】
上記バインダー(樹脂)としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸リチウム等の珪酸塩;アルカリシリコーン、シリコーン、シリコーンエマルジョン、水溶性シリコーン、アクリル樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、エポキシ樹脂エマルジョン、フェノール樹脂エマルジョン、シリコーン樹脂、アルキルシリケート、シランカップリング剤、ポリスチレン樹脂、塩化ゴム、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール変性アルキド樹脂、メラミン樹脂、メラミン・アルキド樹脂、アルキド樹脂、フッ素系樹脂、水性ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水性アクリル樹脂エマルション、水性メラミン樹脂、水性変性エポキシ樹脂、水性変性エポキシエステル樹脂等が挙げられる。
中でも好ましくはメラミン・アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、水性ウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水性アクリル樹脂エマルション、水性メラミン樹脂、水性変性エポキシ樹脂、水性変性エポキシエステル樹脂が好ましい。より好ましくはメラミン・アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、水性ウレタン樹脂、水性変性エポキシ樹脂であり、更に好ましくはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、水性ウレタン樹脂、水性変性エポキシ樹脂、メラミン・アルキド樹脂である。
【0071】
上記塗料は、鱗片状亜鉛末及びバインダー以外のその他の成分を含んでいてもよい。
塗料中のその他の成分の合計の含有量としては、鱗片状亜鉛末及び樹脂の合計100質量%に対して、0~5質量%であることが好ましい。より好ましくは0~1質量%であり、更に好ましくは0~0.5質量%である。
【0072】
上記その他の成分としては、溶媒、顔料、分散剤、湿潤剤、レベリング剤、チキソトロピー性付与剤、増粘剤、タレ防止剤、防かび剤、成膜助剤、安定剤等が挙げられる。
溶媒としては上述の溶媒が挙げられる。
顔料としては、例えばアルミニウム粉末、マグネシウム粉末、ニッケル粉末、コバルト粉末、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイカ、クレー、カオリン、ベントナイト、カーボンブラック、アニリンブラック、グンジョウ、ウオッチングレッド、シアニンブルー、フタロシアニングリーン等が挙げられる。
分散剤としては、例えばオクタデシルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【実施例】
【0073】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0074】
各種測定(評価)は以下のようにして行った。
<メジアン径(D50)>
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置マイクロトラックMT-3300 EXII(日機装社製)によって、体積基準のメジアン径(D50)を測定した。測定時の溶媒としてキシレンを用い、鱗片状亜鉛末の屈折率としては2.4、溶媒の屈折率としては1.5を用いた。
【0075】
<L*値の測定>
分光色差計(日本電色工業社製、SE 6000)でCIELAB表色系でのL*値を測定した。
【0076】
<塗膜の60°グロス値評価>
光沢計VG 7000(日本電色工業社製)による塗膜の60°グロスの測定を行った。
後述の実施例及び比較例において鱗片化処理時間ごとに得られた鱗片状亜鉛粉末10g、熱硬化性アルキド樹脂J-524-A(固形分濃度50%、DIC社製)9.47g、ブチル化メラミン樹脂J-820(固形分濃度75%、DIC社製)4.80g及びキシレン2.67gをペイントシェイカーで振とうして塗料を調製し、6milアプリケーターで塗膜を作成し、室温で30分間静置乾燥した後、140℃で20分間焼付けし、光沢計VG 7000(日本電色工業社製)で塗膜の光沢を測定した。
【0077】
<防食(防錆)性能評価>
後述の実施例で得られた鱗片状亜鉛末、又は、比較例の試料10g、熱硬化性アルキド樹脂J-524-A(固形分濃度50%、DIC社製)1.18g、ブチル化メラミン樹脂J-820(固形分濃度75%、DIC社製)0.40g及びキシレン21.72gをペイントシェイカーで振とうして乾燥時の亜鉛濃度が92%となる塗料を調製した。続いて、調製した塗料を、ホビー用エアブラシMX2370(アネスト岩田社製)を用いてSPCC-SB鋼板(0.8t×35×150mm)の片面に塗布し、室温で30分間静置乾燥した後、140℃で20分間焼付けして鋼板の上に塗膜を形成させ、カッター刃で塗膜表面から鋼板まで達するクロスカットを入れ、336時間に渡って屋外曝露試験を行った。試験は雨天の日に開始し、試験開始後、時間経過によりクロスカット部から発生する赤錆を目視で観察し、○、△、×の定性評価を行った。○は336時間以内において赤錆の発生なし、△は168時間以内において赤錆の発生はないが、336時間までの間に赤錆が発生、×は168時間以内において赤錆が発生、を意味する。
【0078】
<実施例1>
硫酸バリウム;バリファインBF-10(堺化学工業製)1.05g(1wt% to Zn)をキシレン13.65gにリパルプして10分間分散処理した。また、ステアリン酸2.11g(2wt% to Zn)をキシレン122.85gに添加、溶解し、続いて、亜鉛末#3(堺化学工業製)105.3gをリパルプしてスラリーとした。上記硫酸バリウムスラリーと上記亜鉛末スラリーとを混合し、該スラリーについて、回転ディスクとφ0.3mmジルコニアビーズ567gとを用いて3000rpm(周速8.6m/s)で240分間鱗片化処理を行なった後、ろ過、乾燥し、高白色度の鱗片状亜鉛末を得た。得られた鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)は、27.2μmであった。なお、上記亜鉛末のメジアン径(D50)は、鱗片化処理を240分間行ったところで最大となった。また、得られた高白色度の鱗片状亜鉛末の粉体について、分光色差計(日本電色工業社製、SE 6000)でCIELAB表色系でのL*値を測定したところ65.1であった。
更に、得られた鱗片状亜鉛粉末10g、熱硬化性アルキド樹脂J-524-A(N.V.50%)9.47g、ブチル化メラミン樹脂J-820(N.V.75%)4.80g、キシレン2.67gを用いてペイントシェイカーで10分間振とうさせることで塗料化し、6milアプリケーターで塗膜を作成し140℃で30分間焼付けすることによって塗膜を形成した。得られた塗膜中の粉体/バインダーの重量比が0.6となる塗膜について、分光色差計で塗膜のCIELAB表色系でのL*値を測定したところ57.4であった。また、塗膜の60°グロス値は、83.3であった。
【0079】
<実施例2>
表1の条件に変更した以外は、実施例1と同じ手順で鱗片状亜鉛末を調製した。チタン化合物として、酸化チタン;SA-1(堺化学工業製)を使用した。得られた鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)は、26.6μmであった。
【0080】
<実施例3>
表1の条件に変更した以外は、実施例1と同じ手順で鱗片状亜鉛末を調製した。バリウム化合物として、ステアリン酸バリウム;SB(堺化学工業製)を使用した。得られた鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)は、27.3μmであった。
【0081】
<実施例4>
表1の条件に変更した以外は、実施例1と同じ手順で鱗片状亜鉛末を調製した。バリウム化合物として、硫酸バリウム;バリファインBF-21(堺化学工業製)を使用した。得られた鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)は、27.2μmであった。
【0082】
<実施例5>
表1の条件に変更した以外は、実施例1と同じ手順で鱗片状亜鉛末を調製した。バリウム化合物として、ステアリン酸バリウム;SB(堺化学工業製)を使用した。得られた鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)は、25.6μmであった。
【0083】
<実施例6>
表1の条件に変更した以外は、実施例1と同じ手順で鱗片状亜鉛末を調製した。シリカとして、疎水性ヒュームドシリカAEROSIL R 972(日本アエロジル製)を使用した。得られた鱗片状亜鉛末のメジアン径(D50)は、26.0μmであった。
【0084】
<比較例1>
実施例1においてバリウム化合物を添加せずに鱗片状亜鉛末を調製し、得られた鱗片状亜鉛末に対し硫酸バリウム;バリファインBF-10(堺化学工業製)を1.0%添加し、鱗片状亜鉛末と硫酸バリウムとの単純混合物を調製した。
【0085】
<比較例2>
実施例2においてチタン化合物を添加せずに鱗片状亜鉛末を調製し、得られた鱗片状亜鉛末に対し酸化チタン;SA-1(堺化学工業製)を0.1%添加し、鱗片状亜鉛末と酸化チタンとの単純混合物を調製した。
【0086】
<比較例3>
実施例3においてバリウム化合物を添加せずに鱗片状亜鉛末を調製し、得られた鱗片状亜鉛末に対しステアリン酸バリウム;SB(堺化学工業製)を0.1%添加し、鱗片状亜鉛末とステアリン酸バリウムとの単純混合物を調製した。
【0087】
<比較例4>
実施例4においてバリウム化合物を添加せずに鱗片状亜鉛末を調製し、得られた鱗片状亜鉛末に対し硫酸バリウム;バリファインBF-21(堺化学工業製)を0.1%添加し、鱗片状亜鉛末と硫酸バリウムとの単純混合物を調製した。
【0088】
<比較例5>
実施例5においてバリウム化合物を添加せずに鱗片状亜鉛末を調製し、得られた鱗片状亜鉛末に対しステアリン酸バリウム;SB(堺化学工業製)を3.0%添加し、鱗片状亜鉛末とステアリン酸バリウムとの単純混合物を調製した。
【0089】
<比較例6>
実施例7においてシリカを添加せずに鱗片状亜鉛末を調製し、得られた鱗片状亜鉛末に対し、疎水性ヒュームドシリカAEROSIL R 972(日本アエロジル製)を0.1%添加し、鱗片状亜鉛末とシリカとの単純混合物を調製した。
【0090】
【0091】
表1の結果より、亜鉛末に分散剤を添加して鱗片化することにより、鱗片状亜鉛末と分散剤を単純に混合した場合よりもCIELAB表色系でのL*値が高くなる、つまり白色度が高くなることが確認された。塗膜においても亜鉛末に硫酸バリウムとステアリン酸を添加して鱗片化することにより、亜鉛末と分散剤とを単純に混合した場合よりもCIELAB表色系でのL*値が高くなる、つまり白色度が高くなることが確認され、塗膜の60°グロス値も高くなることが確認された。塗膜の60°グロス値に関して、塗料及び塗膜中における鱗片状亜鉛末の分散性が高まり、塗膜表面がより平滑に整ったことにより、60°グロス値が高くなったものと考えられる。
亜鉛末に分散剤を添加してメディア処理により鱗片化することにより、鱗片状亜鉛末形成時に分散剤が鱗片状亜鉛末間に入り込むことで鱗片状亜鉛末同士の凝集や固着を抑制するスペーサーとしての役割を果たすことで、鱗片状亜鉛末の光の反射面積が増大することでL*値が向上する。
これに対し、鱗片状亜鉛末と分散剤とを単純に混合した場合(比較例)は、一度凝集や固着した鱗片状亜鉛末の表面に分散剤が付着するに留まるため、L*値の向上が殆ど見られないものと考えられる。