(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】安全領域出力装置および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B25J 19/06 20060101AFI20240409BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B25J19/06
B25J5/00 E
(21)【出願番号】P 2019179839
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】築山 和成
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144542(JP,A)
【文献】特開2015-138489(JP,A)
【文献】特開2009-123045(JP,A)
【文献】特開2012-236244(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106956261(CN,A)
【文献】特開2019-058990(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
G05D 1/00- 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームを備え、動作指令に従った移動およびアーム動作を行う移動式ロボットの今後の動作予定を示す動作予定情報を取得する取得部と、
前記動作予定情報から前記移動式ロボットの動作範囲を特定する動作範囲特定部と、
作業者の作業空間において前記動作範囲を含まない領域を安全領域として特定する安全領域特定部と、
特定された前記安全領域に関する情報を出力する出力部と、
複数の前記移動式ロボットのなかから、前記動作指令を受けていない移動式ロボットを特定する移動式ロボット特定部と、を備え、
前記安全領域特定部は、
特定された移動式ロボットの周囲の所定の領域を、前記安全領域に含めず、
前記動作予定情報を用いて、前記移動式ロボット特定部により特定された前記移動式ロボットのうち、所定期間に渡って前記動作指令を受ける予定のない前記移動式ロボットを特定し、特定した移動式ロボットの周囲の所定の領域を、前記安全領域に含める安全領域出力装置。
【請求項2】
前記動作範囲特定部は、複数の前記移動式ロボットの動作範囲をそれぞれ特定し、
前記安全領域特定部は、特定された複数の動作範囲を含まない領域を、前記安全領域として特定する請求項1に記載の安全領域出力装置。
【請求項3】
前記取得部は、複数の前記移動式ロボットから各々の動作予定情報を取得し、
前記動作範囲特定部は、複数の前記移動式ロボットの各々の動作予定情報から各移動式ロボットの動作範囲をそれぞれ特定し、
前記出力部は、前記安全領域に関する情報を、前記移動式ロボットに設けられた出力装置および前記作業空間に設けられた出力装置の少なくともいずれか一方に出力する
請求項2に記載の安全領域出力装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記安全領域を表す画像データを、前記移動式ロボットに設けられた表示装置および前記作業空間に設けられた表示装置の少なくともいずれか一方に出力する、または、
前記移動式ロボットに設けられた発光装置および前記作業空間に設けられた発光装置の少なくともいずれか一方に、前記安全領域に対応する発光態様で発光させる制御信号を出力する
請求項1から3までのいずれか1項に記載の安全領域出力装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の安全領域出力装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、
前記取得部、前記動作範囲特定部、前記安全領域特定部、前記出力部
、および移動式ロボット特定部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全領域出力装置および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
作業者とロボットとが同じ空間内で作業する環境が知られている。そのような環境において、作業者がロボットの動作範囲を認識できない場合がある。その場合、作業者がロボットとの衝突の危険性を危惧することによる心理的なストレスが生じてしまう場合があった。これに対し、ロボットの動作領域を作業者に知らせる技術が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ロボットの動作に伴う危険の状況を適切に提示するためのデータを生成する危険提示装置が開示されている。特許文献1に記載の危険提示装置は、動作計画部により決定された動作計画に基づいて危険領域を形成し、ロボットの可動部を動作計画に従って移動させた場合に可動部が通過する領域を算出することにより、危険領域を生成する。
【0004】
特許文献2には、ロボットの実際の動作に従った動作領域をユーザに示すシステムが記載されている。特許文献2に記載のシステムは、ロボットの動作を制御するプログラムに基づいてロボットの三次元的な動作領域を示すパラメータを取得し、パラメータを用いてロボットの動作領域の三次元的な形状データを作成し、ロボットの位置を特定するためのマーカの画像に基づいてロボットの実機の画像と形状データとを重ね合わせて拡張実現空間を生成し、拡張実現空間を表示する。
【0005】
特許文献3には、動作領域予測部により予測された動作領域に基づいて、照明装置を点灯または消灯させることにより、動作領域を表示するロボットシステムが記載されている。特許文献4には、ロボットの動作範囲の境界位置を示す仮想的な画像であってロボットまでの距離に応じてその表示態様が変化する柵画像を生成し、ユーザが装着するメガネ型表示器に作画像を表示するシステムが記載されている。特許文献5には、ロボットが所定作業において動作する空間が床面を占める領域を、床面に視認可能に表示するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2011/089885号(2011年7月28日公開)
【文献】特開2018-8347号公報(2018年1月18日公開)
【文献】特開2017-148905号公報(2017年8月31日公開)
【文献】特開2017-94450号公報(2017年6月1日公開)
【文献】特開2017-13203号公報(2017年1月19日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような従来技術では、ロボットが動作する危険領域を作業者に提示することができるものの、作業者は、どこで作業すれば安全であるかを、提示された内容からは容易に把握できない場合があった。特に、ロボットアームを備えた移動式ロボットが作業者と同じ空間内で作業する場合、移動式ロボットの移動範囲およびロボットアームの動作範囲が時間の経過に伴い変化するため、作業者は安全な領域をより把握し難い場合があった。
【0008】
本発明の一態様は、ロボットアームを備えた移動式ロボットおよび作業者が作業する作業空間において、作業者が安全な領域を容易に認識することができる安全領域出力装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0010】
本発明の一側面に係る安全領域出力装置は、ロボットアームを備え、動作指令に従った移動およびアーム動作を行う移動式ロボットの今後の動作予定を示す動作予定情報を取得する取得部と、前記動作予定情報から前記移動式ロボットの動作範囲を特定する動作範囲特定部と、作業者の作業空間において前記動作範囲を含まない領域を安全領域として特定する安全領域特定部と、特定された前記安全領域に関する情報を出力する出力部と、を備える安全領域出力装置する構成を備える。
【0011】
上記構成によれば、今後の動作予定に基づく安全領域を作業者に対して提示することができる。よって、移動式ロボットおよび作業者が作業する作業空間において、作業者が安全な領域を容易に認識することができる。よって、作業者の心理的なストレスが軽減される。
【0012】
上記一側面に係る安全領域出力装置において、前記動作範囲特定部は、複数の前記移動式ロボットの動作範囲をそれぞれ特定し、前記安全領域特定部は、特定された複数の動作範囲を含まない領域を、前記安全領域として特定する構成を備えていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、作業空間内に複数の移動式ロボットが作業(動作)する場合に、各移動式ロボットの今後の動作予定を統合して特定される安全領域を作業者に提示することができる。すなわち、作業空間内に複数の移動式ロボットが作業(動作)する場合であっても、適切に安全領域を作業者に対して提示することができる。
【0014】
上記一側面に係る安全領域出力装置において、前記取得部は、複数の前記移動式ロボットから各々の動作予定情報を取得し、前記動作範囲特定部は、複数の前記移動式ロボットの各々の動作予定情報から各移動式ロボットの動作範囲をそれぞれ特定し、前記出力部は、前記安全領域に関する情報を、前記移動式ロボットに設けられた出力装置および前記作業空間に設けられた出力装置の少なくともいずれか一方に出力してもよい。
【0015】
上記構成によれば、複数の移動式ロボットが作業(動作)する作業空間において、作業者が移動式ロボットの近傍にいる場合には、その移動式ロボットの出力装置から安全領域を確認することができる。また、作業者が作業空間に設けられた出力装置の近傍にいる場合には、その出力装置から安全領域を確認することができる。すなわち、作業者の認識しやすい態様で作業者に対して安全領域を提示することができる。
【0016】
上記一側面に係る安全領域出力装置において、複数の前記移動式ロボットのなかから、前記動作指令を受けていない移動式ロボットを特定する移動式ロボット特定部を更に有し、前記安全領域特定部は、特定された移動式ロボットからの距離が所定条件を満たす領域を、前記安全領域に含めない構成を備えていてもよい。
【0017】
移動式ロボットは、安全動作を目的として、動作開始するタイミングで周囲に作業者などの物体がないか確認し、物体がない場合に動作を開始するようになっているものがある。ここで、動作指令を受けていない移動式ロボットに関して、基本的にその周囲は安全領域となるが、その周囲に作業者が存在すると、動作指令を受けたタイミングで該移動式ロボットは動作開始できないことになる。これに対して、上記構成によれば、動作指令を受けていない移動式ロボットの周囲を安全領域としないため、該移動式ロボットが、動作指令を受けたときに動作を開始できなくなってしまうことが防止される。
【0018】
上記一側面に係る安全領域出力装置において、前記安全領域特定部は、前記動作予定情報を用いて、前記移動式ロボット特定部により特定された前記移動式ロボットのうち、所定期間に渡って前記動作指令を受ける予定のない前記移動式ロボットを特定し、特定した移動式ロボットからの距離が所定条件を満たす領域を、前記安全領域に含める構成を備えていてもよい。
【0019】
上記構成によれば、所定期間に渡って動作指令を受ける予定がない移動式ロボットの周囲を安全領域とすることができる。よって、安全領域が実状よりも狭くなってしまうことを防ぐことができる。
【0020】
上記一側面に係る安全領域出力装置において、前記出力部は、前記安全領域を表す画像データを、前記移動式ロボットに設けられた表示装置および前記作業空間に設けられた表示装置の少なくともいずれか一方に出力する、または、前記移動式ロボットに設けられた発光装置および前記作業空間に設けられた発光装置の少なくともいずれか一方に、前記安全領域に対応する発光態様で発光させる制御信号を出力する構成を備えていてもよい。
【0021】
上記構成によれば、作業者は、安全領域を画像または発光装置の発光により視覚的に容易に認識することができる。
【0022】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、上記一側面に係る安全領域出力装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記取得部、前記動作範囲特定部、前記安全領域特定部、および前記出力部としてコンピュータを機能させるための構成を備える。
【0023】
上記構成によれば、移動式ロボットおよび作業者が作業する作業空間において、作業者が安全な領域を容易に認識することができる。よって、作業者の心理的なストレスが軽減される。
【0024】
本発明の各態様に係る安全領域出力装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記安全領域出力装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記安全領域出力装置をコンピュータにて実現させる安全領域出力装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、移動式ロボットおよび作業者が作業する作業空間において、作業者は安全な領域を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態1に係る作業支援システムの構成を例示するブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る作業支援システムの概略を例示する図である。
【
図3】本発明の実施形態1に係る作業支援システムが実行する処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図7】上位システムにより表示される画面を例示する図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る作業支援システムの構成を例示するブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る作業支援システムが実行する処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態3に係る作業支援システムの構成を例示するブロック図である。
【
図11】本発明の実施形態3に係る作業支援システムが実行する処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施形態(以下、「本実施形態」とも表記する)が説明される。
【0028】
§1 適用例
まず、
図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。
【0029】
図1は、実施形態1に係る作業支援システム1の構成を例示するブロック図である。作業支援システム1は、移動式ロボットと作業者とが作業を行う空間において作業者の作業を支援するためのシステムである。作業支援システム1は、移動式ロボット10_1、10_2、10_3、上位システム30、および表示装置40を備える。移動式ロボット10_1、10_2、10_3、および表示装置40は、有線または無線により上位システム30と通信できる。
【0030】
移動式ロボット10_1~10_3は、ロボットアームを備え、動作指令に従った移動およびアーム動作を行うロボットである。上位システム30は、移動式ロボット10を制御するシステムである。上位システム30は、移動式ロボット10に動作指令を行う。上位システム30は、例えば1または複数のサーバを含む。表示装置40(出力装置の一例)は、供給されるデータに応じた画面を表示する表示装置、または発光装置であり、例えば液晶ディスプレイ、プロジェクタ、LEDランプである。表示装置40は作業者の作業空間に設けられている。なお、
図1には、3つの移動式ロボット10_1~10_3が示されているが、移動式ロボットの数はこれに限定されず、これより多くても少なくてもよい。また、以下では、移動式ロボット10_1~10_3を区別して説明する必要がない場合には、これらを単に「移動式ロボット10」と称する。
【0031】
移動式ロボット10は、ロボットアーム11、移動機構12、表示装置13、および安全領域出力装置20を備える。ロボットアーム11は、人間の腕に似た働きをするメカニカルアームである。ロボットアーム11のアーム動作により作業空間において各種の作業が行われる。移動機構12は、移動式ロボット10を移動させる移動機構であり、例えば車輪または履帯である。表示装置13(出力装置の一例)は、供給されるデータに応じた画面を表示する表示装置、または発光装置であり、例えば液晶ディスプレイ、プロジェクタ、LEDランプである。表示装置13は移動式ロボット10に設けられている。
【0032】
安全領域出力装置20は、作業者にとって安全な領域である安全領域に関する情報を出力する装置である。安全領域出力装置20は、取得部21、動作範囲特定部22、安全領域特定部23、および出力部24を備える。
【0033】
取得部21は、移動式ロボット10の今後の動作予定を示す動作予定情報を取得する。動作予定情報の取得は例えば、自装置の動作制御部から取得されたり、上位システム30から取得されたりすることにより行われる。今後の動作予定には、移動式ロボット10の移動の予定およびアーム動作の予定が含まれる。動作範囲特定部22は、取得部21が取得した動作予定情報から移動式ロボット10の動作範囲を特定する。
【0034】
安全領域特定部23は、作業者の作業空間において、動作範囲特定部22が特定した動作範囲を含まない領域を安全領域として特定する。出力部24は、安全領域特定部23が特定した安全領域に関する情報を出力する。安全領域に関する情報の出力は例えば、自装置の表示装置へ出力されたり、上位システム30へ出力されたりすることにより行われる。
【0035】
上位システム30は、安全領域出力装置50を備える。安全領域出力装置50は、作業者にとって安全な領域である安全領域に関する情報を出力する装置である。安全領域出力装置50は、取得部51、動作範囲特定部52、安全領域特定部53、出力部54、および移動式ロボット特定部55を備える。取得部51、動作範囲特定部52、安全領域特定部53、および出力部54はそれぞれ、上述の安全領域出力装置20の取得部21、動作範囲特定部22、安全領域特定部23、および出力部24と同様である。すなわち、取得部51は、各移動式ロボット10の今後の動作予定を示す動作予定情報を取得する。動作予定情報の取得は例えば、移動式ロボット10から通信によって取得されることにより行われる。今後の動作予定には、移動式ロボット10の移動の予定およびアーム動作の予定が含まれる。動作範囲特定部52は、取得部51が取得した動作予定情報から移動式ロボット10の動作範囲を特定する。
【0036】
安全領域特定部53は、作業者の作業空間において、動作範囲特定部52が特定した動作範囲を含まない領域を安全領域として特定する。出力部54は、安全領域特定部53が特定した安全領域に関する情報を出力する。安全領域に関する情報の出力は例えば、表示装置40へ出力されたり、移動式ロボット10へ出力されたりすることにより行われる。移動式ロボット特定部55は、複数の移動式ロボット10のなかから、動作指令を受けていない移動式ロボット10を特定する。動作指令を受けていない移動式ロボット10とは、移動もアーム動作も行う予定のない移動式ロボット10である。
【0037】
安全領域出力装置20は、上記構成をとることにより、今後の動作予定に基づく安全領域を作業者に対して提示することができる。よって、ロボットアームを備えた移動式ロボットおよび作業者が作業する作業空間において、作業者に安全な領域を認識させ易くすることができる。よって、作業者の心理的なストレスが軽減される。
【0038】
§2 構成例
以下に、図面を参照しつつ、本発明が適用される場面のより具体的な例が説明される。
【0039】
図2は、作業支援システム1の概観を例示する図である。
図2の例では、ひとつの作業空間において、作業者U1、U2およびU3が作業を行うとともに、移動式ロボット10_1、10_2および10_3が動作を行う場合が示されている。
【0040】
本実施形態において、上位システム30は、生産現場におけるFA(Factory Automation)において各種機器の制御およびデータの収集を実行するプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller:PLC)によって構成される。なお、上位システム30としては、PLCに限定されるものではなく、例えばIPC(Industrial PC)や各種サーバなど任意の制御装置であってもよい。
【0041】
移動式ロボット10は、上位システム30により制御される。また、移動式ロボット10は、周囲の状況に応じて自律的に動作したり、作業者等の直接指示によって動作したりしてもよい。なお、仮に誤作動により規定される範囲外での動作が行われた場合、上位システム30がその動作を検知し、移動式ロボット10の動作を停止させることで、作業空間の安全を実現する。このように、上位システム30の監視により作業空間における作業者の安全が守られている。
【0042】
図2において、領域A1~A3は、作業空間において移動式ロボット10の動作範囲を含まない、作業者にとって安全な領域である。領域A1~A3は、安全領域出力装置20または安全領域出力装置50により特定される。同図では、領域A1~A3が床面上にプロジェクタによって提示されている例を示している。プロジェクタは、作業空間に固定されていてもよいし、移動式ロボット10に備えられていてもよい。また、安全領域を床面に示す手法としては、LEDランプなどの発光装置が床面などに配置されており、発光装置の発光によって安全領域が示される形態などであってもよい。
【0043】
表示装置40は、安全領域を示す画面を表示する表示装置であり、同図では作業空間に設けられた液晶ディスプレイの例が示されている。なお、安全領域を示す表示装置は、移動式ロボット10に備えられていてもよい。
【0044】
§3 動作例
図3は、作業支援システム1が行う、安全領域に関する情報の出力処理の流れを例示するフローチャートである。
図3の例では、移動式ロボット10、上位システム30、および表示装置40のそれぞれが実行する処理の流れが示されている。作業支援システム1に複数の移動式ロボット10が含まれる場合、複数の移動式ロボット10の各々が
図3に示す処理を実行する。なお、一部のステップは並行して、または、順序を替えて実行されてもよい。
図3に示される処理は、例えば予め定められた条件が満たされる場合に開始される。予め定められた条件が満たされる場合とは例えば、予め定められたタイミングに到達した場合、または、ユーザ操作により処理の開始を指示された場合である。
【0045】
まず、ステップS201において、上位システム30は、移動式ロボット10に動作開始指示(動作指令の一例)を送信する。この動作開始指示には、移動式ロボット10の今後の動作予定を示す動作予定情報が含まれる。ステップS201の処理を終えると、上位システム30は、ステップS202において、移動式ロボット10の動作状況のモニタリングを開始する。
【0046】
ステップS101において、移動式ロボット10の取得部21は、上位システム30から送信された、移動式ロボット10の動作開始指示を受け付ける。この動作開始指示には、移動式ロボット10の今後の動作予定を示す動作予定情報が含まれる。すなわち、移動式ロボット10の取得部21は、上位システム30から移動式ロボット10の動作予定情報を取得する。
【0047】
ステップS102において、移動式ロボット10は、受け付けた動作開始指示に従い、自装置の動作を開始する。すなわち、移動式ロボット10は、次のステップS103による条件判定後から、自装置の動作予定情報に従って自装置を移動させながら、ロボットアーム11により各種作業を実行していくことになる。
【0048】
ステップS103において、移動式ロボット10は、条件が整っているかを判定する。この条件は例えば、上位システム30による制御状態、移動式ロボット10の安全状態、および移動式ロボット10の制御状態に問題がないかを確認する条件などである。上位システム30が行う制御状態の確認としては、上位システムから受けた動作開始指示に含まれる動作予定情報が、当該移動式ロボット10によって実行可能であるものか否かの確認などが挙げられる。移動式ロボット10の安全状態の確認としては、移動式ロボット10の周囲に作業者が存在するか否かの確認などが挙げられる。移動式ロボット10の制御状態の確認としては、当該移動式ロボット10が正常に制御に従って動作可能であるか否かの確認などが挙げられる。条件が整っている場合(ステップS103;YES)、移動式ロボット10はステップS104の処理に進む。一方、条件が整っていない場合(ステップS103;NO)、条件が整うまで待機する。
【0049】
ステップS104において、動作範囲特定部22は、取得された動作予定情報から移動式ロボット10の動作範囲を特定する。この例で、移動式ロボット10は、上述したように、上位システム30からの動作指令に基づき、移動機構12により移動しながら、ロボットアーム11を動作させて各種の作業を行う。または、移動式ロボット10は、上位システム30からの動作指令に基づき、移動機構12により移動してから、ロボットアーム11を動作させて各種の作業を行う。このとき、移動式ロボット10は、周囲の環境を読み取り、指定された場所に障害物がないことを確認しながら自動的に経路を決定して指定された場所に移動する。移動式ロボット10の動作範囲は、移動機構12の移動範囲およびロボットアーム11の動作範囲により特定される。例えば、動作範囲特定部22は、現在地から所定の位置に移動する経路を決定し、移動機構12の移動範囲およびロボットアーム11の動作範囲を特定し、特定した移動範囲および動作範囲から移動式ロボット10の動作範囲を特定する。
【0050】
ステップS105において、安全領域特定部23は、安全領域を移動式ロボット10の表示装置13で表示する(すなわち自装置で表示する)か、上位システム30への通知を行うかを選択する。この選択は例えば、システム管理者等により設定される所定の設定情報を参照することにより行われる。表示装置13で表示する場合(ステップS105;YES)、安全領域特定部23はステップS106の処理に進む。一方、上位システム30への通知を行う場合(ステップS105;NO)、安全領域特定部23はステップS108の処理に進む。
【0051】
ステップS106において、安全領域特定部23は、作業者の作業空間において、ステップS104で特定された動作範囲を含まない領域を安全領域として特定する。例えば、安全領域特定部23は、特定された動作領域(移動式ロボット10の最大可動範囲あるいは規定された動作範囲)の周囲に所定の幅のマージン領域を加えた領域を作業空間から除いた領域を、安全領域として特定する。
【0052】
また、安全領域特定部23は、自装置が動作指令を受けていない場合に、当該移動式ロボット10からの距離が所定条件を満たす領域を安全領域に含めないように、安全領域を特定してもよい。これにより、周囲の所定の領域に作業者がいないようにすることができるので、動作指令を受けたタイミングで移動式ロボット10は動作開始することが可能となる。
【0053】
また、安全領域特定部23は、今後自装置が動作する予定がない場合に、当該移動式ロボット10の周囲を安全領域に含める処理を行ってもよい。この場合、安全領域特定部23は、当該移動式ロボット10からの距離が所定条件を満たす領域が安全領域に含まれるよう、安全領域を特定する。これにより、安全領域を実状に合わせて広くすることができる。
【0054】
ステップS107において、出力部24は、特定された安全領域に関する情報を表示装置13に出力する。この例で、出力部24は、特定された安全領域を表す画像データを出力する。表示装置13は、出力部24から供給される画像データに従い、安全領域を示す画像を、例えば表示装置13が備える液晶ディスプレイに表示する。これにより、
図4~
図6に例示される画像(詳細は後述する)が液晶ディスプレイに表示される。
【0055】
また、表示装置13がプロジェクタである場合、安全領域を表す画像が作業空間の床面等に投影される。例えば、
図2に例示される作業空間において、安全領域を示す領域A1等が、プロジェクタにより床面に投影される。
【0056】
一方、自装置での表示を行わない場合(ステップS105;NO)、ステップS108において、安全領域特定部23は、動作範囲を上位システム30に通知する。
【0057】
ステップS109において、出力部24は、移動式ロボット10が指示された動作を完了するまで待機する(ステップS109;NO)。指示された動作を完了した場合(ステップS109;YES)、出力部24は、ステップS110の処理に進む。
【0058】
ステップS110において、出力部24は、表示装置13の表示を消去する。ステップS111において、出力部24は、動作の完了を上位システム30に通知する。
【0059】
移動式ロボット10から動作範囲を通知されると(ステップS108)、上位システム30の安全領域特定部53は、ステップS203において、通知された動作範囲を含まない領域を安全領域として特定する。このとき、複数の移動式ロボットのそれぞれについて動作範囲が特定されている場合、上位システム30の安全領域特定部53は、それら複数の動作範囲を含まない領域を、安全領域として特定する。例えば、安全領域特定部53は、特定された複数の動作領域を合成した領域の周囲に所定の幅のマージン領域を加えた領域を作業空間から除いた領域を、安全領域として特定する。
図2の例では、安全領域として、領域A1、A2、およびA3が特定される。
【0060】
また、安全領域は、例えば以下の処理により特定される。この例では、作業空間にある複数の移動式ロボット10のうち、動作指令を受けていない移動式ロボット10の周囲の領域が安全領域に含まれないように、安全領域が特定される。この場合、上位システム30の移動式ロボット特定部55は、作業空間にある複数の移動式ロボット10のなかから、動作指令を受けていない移動式ロボット10を特定する。次いで、安全領域特定部53は、特定された移動式ロボット10からの距離が所定条件を満たす領域を安全領域に含めないように、安全領域を特定する。これにより、周囲の所定の領域に作業者がいないようにすることができるので、動作指令を受けたタイミングで移動式ロボット10は動作開始することが可能となる。
【0061】
また、安全領域特定部53は、動作指令を受けていない全ての移動式ロボット10の周囲を安全領域に含めないのではなく、今後動作する予定のない移動式ロボット10の周囲は安全領域に含める処理を行ってもよい。この場合、安全領域特定部53は、移動式ロボット特定部55により特定された移動式ロボット10のうち、所定期間に渡って動作指令を受ける予定のない移動式ロボット10を、動作予定情報を用いて特定する。次いで、安全領域特定部53は、特定した移動式ロボット10からの距離が所定条件を満たす領域が安全領域に含まれるよう、安全領域を特定する。これにより、安全領域を実状に合わせて広くすることができる。
【0062】
ステップS204において、上位システム30の出力部54は、安全領域に関する情報を表示装置40に出力し、安全領域の表示を指示する。この例で、出力部54は、安全領域を表す画像データを生成し、生成した画像データを表示装置40に出力する。
【0063】
表示装置40は、ステップS301において、上位システム30が出力した画像データを用いて、安全領域を示す画像を表示する。
【0064】
ステップS205において、上位システム30の出力部54は、安全領域の表示の消去を表示装置40に指示する。ステップS302において、表示装置40は、安全領域の表示を消去する。
【0065】
なお、上記の処理では、ステップS105において、安全領域特定部23は、安全領域を自装置で表示するか、上位システム30への通知を行うかを選択しているが、これに限定されるものではない。すなわち、安全領域の自装置での表示と、上位システム30への通知の両方を行うようにしてもよい。これによれば、移動式ロボット10における表示装置13、および、上位システム30経由で表示される表示装置40の双方において、安全領域の表示が行われる。
【0066】
図4、
図5および
図6は、安全領域を例示する図である。
図4~
図6の例では、移動式ロボット10の動作状態がそれぞれ異なっており、それぞれの動作情報に応じて安全領域が変化している。
【0067】
図4の例では、移動式ロボット10は、自装置に載置されている搬送対象物を所定の載置位置にロボットアーム11によって移動させる動作を行っている。すなわち、移動式ロボット10は、その位置を移動することなく、ロボットアーム11のみが動作することになる。この場合、ロボットアーム11が動作する可能性がある範囲以外の領域として安全領域A11が特定される。
【0068】
その後、搬送対象物を移動させる動作が完了すると、移動式ロボット10が次の動作指令を受領後に即座に動作を開始できるように、安全領域特定部23は、自装置の周囲に安全領域を設定しない(
図5)。さらにその後、上位システム30が、移動式ロボット10に対して動作指令としての動作予定情報を送信すると、それに応じて動作範囲特定部22が動作範囲を特定し、安全領域特定部23が新たな安全領域A12を設定する(
図6)。
【0069】
図7は、表示装置40に表示される画像を例示する図である。
図7の例では、作業空間S1が表示されるとともに、作業空間S1内にある移動式ロボット10_1、10_2、および10_3を表す画像R1、R2およびR3、並びに安全領域A21~A24が表示される。
【0070】
また、表示装置40がプロジェクタである場合、安全領域を表す画像が作業空間の床面等に投影される。例えば、
図2に例示される作業空間において、安全領域を示す領域A1~A3が、プロジェクタにより床面に投影される。
【0071】
§4 効果
従来では、作業者がロボットに接近して作業することが困難であることにより、生産性が低下してしまう場合があった。また、作業者はロボットの動作範囲を認識することができず心理的なストレスとなる場合があった。
【0072】
この実施形態では、作業者の作業空間において、移動式ロボット10の動作範囲を含まない領域を安全領域として特定し、特定した安全領域に関する情報を出力する。これにより、作業空間において作業者が安全な領域を容易に認識することができる。これにより、作業者の作業効率を向上させるとともに、心理的ストレスを低減させることができる。
【0073】
また、この実施形態では、複数の移動式ロボットが作業者と共存する環境において、作業者のストレスを低減させることができる。
【0074】
また、移動式ロボット10のなかには、動作指令を受けた場合であっても、周囲に人がいる場合には危険回避のため動作を開始しないよう制御されるものがある。そのような移動式ロボット10の場合、移動式ロボット10の周囲を安全領域として設定してしまうと、作業者がその周囲で作業を行うことにより、移動式ロボット10が動作指令を受けても動作を開始できない状況が発生する場合がある。この動作例では、安全領域特定部23または安全領域特定部53が、動作指令を受けていない移動式ロボットの周囲の領域が安全領域に含まれないよう、安全領域を特定する。そのため、移動式ロボット10が動作指令を受けたにも関わらず動作を開始できない、といった状況を回避することができる。
【0075】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0076】
図8は、実施形態2に係る作業支援システム2の構成を例示するブロック図である。
図8に示す作業支援システム2が上述した
図1の作業支援システム1と異なる点は、移動式ロボット10_1~10_3に代えて、移動式ロボット10_4~10_6を備えている点である。また、移動式ロボット10_4~10_6が、移動式ロボット10_1~10_3と異なる点は、安全領域出力装置20および表示装置13を備えていない点である。なお、
図8には、3つの移動式ロボット10_4~10_6が示されているが、移動式ロボットの数はこれに限定されず、これより多くても少なくてもよい。また、以下では、移動式ロボット10_4~10_6を区別して説明する必要がない場合には、これらについても、移動式ロボット10_1~10_3と同様に「移動式ロボット10」と称する。
【0077】
図9は、作業支援システム2が行う、安全領域の出力処理の流れを例示するフローチャートである。なお、一部のステップは並行して、または、順序を替えて実行されてもよい。
図9に示される処理は、例えば予め定められた条件が満たされる場合に開始される。予め定められた条件が満たされる場合とは例えば、予め定められたタイミングに到達した場合、または、ユーザ操作により処理の開始を指示された場合である。
【0078】
図9に示される処理が実施形態1における
図3の処理と異なる点は、移動式ロボット10がステップS103~S108およびS110の処理を行わない点、および、上位システム30がステップS202の後にステップS211~S212の処理を行う点である。
【0079】
この実施形態では、上位システム30が移動式ロボット10の動作範囲の特定処理を行う。ステップS211において、上位システム30の取得部51は、移動式ロボット10の動作予定情報を取得する。この取得は例えば、予め定められた記憶領域(例えば、上位システム30が備える記憶装置)から動作予定情報を取得することにより行われる。移動式ロボット10が複数ある場合、取得部51は、複数の移動式ロボット10の各々の動作予定情報を取得する。
【0080】
ステップS212において、上位システム30の動作範囲特定部52は、取得された動作予定情報から移動式ロボット10の各々の動作範囲を特定する。特定された動作範囲は、後段のステップS203において安全領域が特定される際に参照される。ステップS204において、出力部54は、ステップS203で特定された安全領域を表す画像データを生成し、生成した画像データを表示装置40に出力し、安全領域の表示を指示する。表示装置40は、安全領域を表す画像を液晶ディスプレイ等に表示させる。
【0081】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0082】
図10は、実施形態3に係る作業支援システム3の構成を例示するブロック図である。
図10に示す作業支援システム3が上述した
図1の作業支援システム1と異なる点は、上位システム30および表示装置40を備えていない点である。なお、
図10には、3つの移動式ロボット10_1~10_3が示されているが、移動式ロボットの数はこれに限定されず、これより多くても少なくてもよい。
【0083】
図11は、作業支援システム3が行う、安全領域の出力処理の流れを例示するフローチャートである。なお、一部のステップは並行して、または、順序を替えて実行されてもよい。
図11に示される処理は、例えば予め定められた条件が満たされる場合に開始される。予め定められた条件が満たされる場合とは例えば、予め定められたタイミングに到達した場合、または、ユーザ操作により処理の開始を指示された場合である。
【0084】
図11に示される処理が、実施形態1における
図3の処理と異なる点は、ステップS101の処理に代えてステップS121およびS122の処理が行われる点、ステップS105、S108およびS111の処理が行われない点、並びに、上位システム30および表示装置40の処理が行われない点である。
【0085】
ステップS121において、移動式ロボット10の取得部21は、移動式ロボット10の動作開始指示を受け付ける。例えば、作業者により動作を開始するための操作が移動式ロボット10の操作子を用いて行われることにより、動作開始指示が受け付けられる。ステップS122において、取得部21は、移動式ロボット10の動作予定情報を取得する。この取得は例えば、安全領域出力装置20に設けられた記憶領域から情報を読み出すことにより行われる。ステップS102以降の処理において、読み出された動作予定情報を用いて安全領域の特定が行われ、安全領域を表す画像が表示装置13に表示される。
【0086】
〔ソフトウェアによる実現例〕
安全領域出力装置20の制御ブロック(特に取得部21、動作範囲特定部22、安全領域特定部23、および出力部24)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。また、安全領域出力装置50の制御ブロック(特に取得部51、動作範囲特定部52、安全領域特定部53、出力部54、および移動式ロボット特定部55)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0087】
後者の場合、安全領域出力装置20および安全領域出力装置50は、各機能を実現するソフトウェアである制御プログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記制御プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記制御プログラムは、該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0088】
〔変形例〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
上述の実施形態1では、安全領域出力装置20を備える移動式ロボット10を例示し、また、第2実施形態では、安全領域出力装置20を備えない移動式ロボット10を例示した。本開示に係る作業支援システムは上述した実施形態で示したものに限られない。例えば、作業支援システムが、安全領域出力装置20を備える移動式ロボット10と、安全領域出力装置20を備えない移動式ロボット10との両方を含んでいてもよい。この場合、安全領域の表示は、移動式ロボット10の表示装置13および/または表示装置40により行われる。
【0090】
上述の実施形態では、出力部24および出力部54は、安全領域を表す画像データを、移動式ロボット10に設けられた表示装置13および作業者の作業空間に設けられた表示装置40の少なくともいずれか一方に出力した(
図3のステップS107、204、等)。出力部24および出力部54が出力するデータは、上述した実施形態で示したものに限られない。例えば、出力部24および出力部54は、移動式ロボット10に設けられた発光装置および作業空間に設けられた発光装置の少なくともいずれか一方に、安全領域に対応する発光態様で発光させる制御信号を出力してもよい。この場合、作業者は、発光装置に発光態様により安全領域を容易に把握することができる。
【0091】
上述の実施形態では、出力部24および出力部54は、安全領域に関する情報(画像データ)を表示装置13および/または表示装置40に出力した。出力部24および出力部54による情報の出力先は、上述した実施形態で示したものに限られない。例えば、出力部24および出力部54は、作業者が携帯しているデバイス(ハンドヘルド端末、スマートフォン、等)に対し、作業許可を示す信号および/または進入許可を示す信号を出力してもよい。作業者が所持する固有のデバイスに対して通知することで、表示の見落としや見誤りが防止され易くなる。
【0092】
上述の各実施形態において、安全領域の特定処理および安全領域の表示の更新処理が定期的に行われてもよい。移動式ロボット10の移動およびロボットアームの動作により、安全領域は時間の経過に伴って変化する。そのため、所定の条件が満たされた場合に、安全領域特定部23または安全領域特定部53が、安全領域の更新処理を行い、更新された安全領域を表す情報を出力装置(表示装置13および/または表示装置40)に出力してもよい。所定の条件が満たされた場合とは、例えば、予め定められた単位時間が経過した場合、予め定められたタイミングに到達した場合、または前回安全領域を更新したときから移動式ロボット10の移動量が所定の閾値を超えた場合である。また、所定の条件が満たされた場合とは例えば、ユーザ操作により更新を指示された場合、または、作業領域にある他の移動式ロボット10(自装置の付近にある移動式ロボット10)の少なくともひとつが動作を開始した場合、である。
【0093】
上述の実施形態1および2では、上位システム30と表示装置40とがそれぞれ別体の装置として記載されていたが、これらが一体の装置として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1、2、3 作業支援システム
10、10_1、10_2、10_3、10_4、10_5、10_6 移動式ロボット
11 ロボットアーム
12 移動機構
13 表示装置
20 安全領域出力装置
21 取得部
22 動作範囲特定部
23 安全領域特定部
24 出力部
30 上位システム
40 表示装置
50 安全領域出力装置
51 取得部
52 動作範囲特定部
53 安全領域特定部
54 出力部
55 移動式ロボット特定部