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特許7467869制御プログラム、情報処理装置、および情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】制御プログラム、情報処理装置、および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20240409BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20240409BHJP
【FI】
G16H10/60
G16H20/00
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019183935
(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公開番号】P2021060730
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 寛
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-211774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0137938(US,A1)
【文献】特開2017-202060(JP,A)
【文献】特開2019-076689(JP,A)
【文献】特開2017-174012(JP,A)
【文献】松木 萌 MATSUKI, Moe 他,高齢者の睡眠と生活行動の相関分析のためのセンシング実験 Sensing Experiment for Correlation Analysis of Sleep and Daytime Activities for the Elderly,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2018)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ [CD-ROM] IPSJ Symposium Series,日本,一般社団法人情報処理学会,2018年06月27日,第2018巻, No.1,p.1714-1724
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態を取得するステップ(a)と、
前記第1の期間と少なくとも一部が重複する第2の期間における前記対象者への複数項目の前記ケアに関するケア記録を取得するステップ(b)と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成するステップ(c)と、
生成した前記表示データを出力するステップ(d)と、
を含む処理をコンピューターに実行させるための制御プログラムであって、
前記ケア記録は、配薬および夜間巡回の両方に関する記録を含み
前記睡眠状態は、少なくとも睡眠を含む複数の状態を含み、
前記ステップ(c)では、前記少なくとも睡眠を含む複数の状態を示すグラフに関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させて表示する前記表示データを生成し、
前記ステップ(c)では、前記少なくとも睡眠を含む複数の状態を示すグラフに関するデータに重畳させて表示される前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるように前記表示データを生成する、ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
前記表示データにおいて、前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるアイコンデータであることを特徴とする請求項に記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記表示データには、複数の日付毎の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けた表示が含まれる、請求項1、または請求項2に記載の制御プログラム。
【請求項4】
前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
さらに、日付毎のデータにおいて、前記睡眠状態、および/または前記ケア記録のケアの項目の内容が共通する、または類似する日付を抽出するステップ(e)を含み、
前記ステップ(c)では、前記ステップ(e)で抽出した日付の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示する前記表示データを生成する、請求項1から請求項のいずれかに記載の制御プログラム。
【請求項5】
前記表示データには、前記ケア記録を、前記グラフの時間軸に対応付けて表示する、請求項1から請求項4のいずれかに記載の制御プログラム。
【請求項6】
ユーザーにより設定されたケアの目標を取得するステップ(f)をさらに含み、
前記ステップ(c)で生成される前記表示データには、ケアの前記目標が含まれる、請求項1から請求項のいずれかに記載の制御プログラム。
【請求項7】
第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態を取得するステップ(a)と、
前記第1の期間と少なくとも一部が重複する第2の期間における前記対象者への複数項目の前記ケアに関するケア記録を取得するステップ(b)と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成するステップ(c)と、
生成した前記表示データを出力するステップ(d)と、
を含む処理をコンピューターに実行させるための制御プログラムであって、
前記ケア記録は、少なくとも配薬または、夜間巡回のいずれかに関する記録を含み、
前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記処理には、さらに、
前記睡眠状態、および前記ケア記録のケアの項目の内容との関連性を分析するステップ(g)を含み、
前記ステップ(c)では、前記ステップ(g)で得られた前記睡眠状態と前記項目の内容との相関関係を表示する前記表示データを生成する、ことを特徴とする制御プログラム。
【請求項8】
前記睡眠状態は、前記対象者の動きを検出する検出部の出力により判定される、請求項1から請求項のいずれかに記載の制御プログラム。
【請求項9】
第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態、および前記第1の期間と少なくとも一部が重複する第2の期間における前記対象者への複数項目の前記ケアに関するケア記録を取得する取得部と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成する制御部と、
前記表示データを出力する出力部と、を備え、
前記ケア記録は、配薬および夜間巡回の両方に関する記録を含み
前記睡眠状態は、少なくとも睡眠を含む複数の状態を含み、
前記制御部は、前記少なくとも睡眠を含む複数の状態を示すグラフに関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させて表示する前記表示データを生成し、
前記制御部は、前記少なくとも睡眠を含む複数の状態を示すグラフに関するデータに重畳させて表示される前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるように前記表示データを生成する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
前記表示データにおいて、前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるアイコンデータであることを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記表示データには、複数の日付毎の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けた表示が
含まれる、請求項9、または請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記制御部は、日付毎のデータにおいて、前記睡眠状態、および/または前記ケア記録のケアの項目の内容が共通する、または類似する日付を抽出し、抽出した日付の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示する前記表示データを生成する、請求項から請求項11のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記表示データには、前記ケア記録を、前記グラフの時間軸に対応付けて表示する、請求項9から請求項12のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記取得部は、ユーザーにより設定されたケアの目標を取得し、
前記制御部で生成される前記表示データには、ケアの前記目標が含まれる、請求項から請求項13のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項15】
第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態、および前記第1の期間と少なくとも一部が重複する第2の期間における前記対象者への複数項目の前記ケアに関するケア記録を取得する取得部と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成する制御部と、
前記表示データを出力する出力部と、を備え、
前記ケア記録は、少なくとも配薬または、夜間巡回のいずれかに関する記録を含み、
前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記制御部は、前記睡眠状態、および前記ケア記録のケアの項目の内容との関連性を分析し、分析で得られた前記睡眠状態と前記項目の内容との相関関係を表示する前記表示データを生成する、ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項16】
前記対象者の動きを検出する検出部と、
請求項から請求項15のいずれかに記載の情報処理装置と、
を備える情報処理システム。
【請求項17】
第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態、および前記第1の期間と少なくとも一部が重複する第2の期間における前記対象者への複数項目のケアに関するケア記録を取得する取得部と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成する制御部と、
前記表示データを表示する表示部と、を備え、
前記ケア記録は、配薬および夜間巡回の両方に関する記録を含み
前記睡眠状態は、少なくとも睡眠を含む複数の状態を含み、
前記制御部は、前記少なくとも睡眠を含む複数の状態を示すグラフに関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させて表示する前記表示データを生成し、
前記制御部は、前記少なくとも睡眠を含む複数の状態を示すグラフに関するデータに重畳させて表示される前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるように前記表示データを生成する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項18】
前記表示データにおいて、前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるアイコンデータであることを特徴とする請求項17に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御プログラム、情報処理装置、および情報処理システムに関し、特にケアの対象者に対する睡眠状態に関する表示データを出力する制御プログラム、情報処理装置、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢などにより、介護を必要とする被介護者等の増加が想定される。
【0003】
被介護者が増加するにつれて、介護スタッフの負担増が問題となっている。特許文献1に開示された情報処理装置では、夜間の介護スタッフの業務を効率よく行うため、被介護者の睡眠状態を生体センサーから検知し、蓄積した過去の睡眠状態から、それぞれの被介護者の睡眠の予測情報を生成するとともに、同一フロアの部屋に滞在する複数の被介護者の予測情報から担当する介護スタッフの業務情報を生成して表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-57581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された情報処理装置では、入居している被介護者の睡眠状態の予測を行えるが、被介護者の睡眠を改善したり、コントロールしたりすることはできない。被介護者の睡眠の状態は、被介護者の健康への影響だけでなく夜勤の介護スタッフの負荷にも影響する。そのため、夜勤の介護スタッフ側からも被介護者の睡眠状態を改善、コントロールしたいという要望がある。
【0006】
しかしながら、睡眠に影響する因子は多く、また、ある因子が被介護者に有効であっても同じ因子がかならずしも他の被介護者に有効であるとは限らない。そのため、それぞれの被介護者にどの因子が影響するかの判断は、担当する介護のスタッフの能力や経験に依存している。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、スタッフ等のユーザーが睡眠に影響する因子を容易に把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態を取得するステップ(a)と、
第2の期間における前記対象者への複数項目の前記ケアに関するケア記録を取得するステップ(b)と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成するステップ(c)と、
生成した前記表示データを出力するステップ(d)と、
を含む処理をコンピューターに実行させるための制御プログラムであって、
前記ケア記録は、少なくとも配薬または、夜間巡回のいずれかに関する記録を含むことを特徴とする制御プログラム。
(2)前記ステップ(c)では、前記睡眠状態に関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させて表示する表示データを生成することを特徴とする上記(1)に記載の制御プログラム。
(3)前記ステップ(d)では、前記睡眠状態に関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させた表示データを出力することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の制御プログラム。
(4)前記ケア記録には、配薬および夜間巡回の両方に関する記録が含まれ、
前記ステップ(c)において、前記睡眠状態に関するデータに重畳させて表示される前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるように前記表示データを生成する、上記(2)または3に記載の制御プログラム。
(5)前記表示データにおいて、前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるアイコンデータであることを特徴とする上記(4)に記載の制御プログラム。
【0010】
(6)前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記表示データには、複数の日付毎の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けた表示が含まれる、上記(1)から上記(5)のいずれかに記載の制御プログラム。
【0011】
)前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
さらに、日付毎のデータにおいて、前記睡眠状態、および/または前記ケア記録のケアの項目の内容が共通する、または類似する日付を抽出するステップ(e)を含み、
前記ステップ(c)では、前記ステップ(e)で抽出した日付の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示する表示データを生成する、上記(1)から上記(6)のいずれかに記載の制御プログラム。
【0012】
)前記表示データには、各時間での睡眠状態を示すグラフが含まれ、前記ケア記録と前記グラフを対応付けて表示する、上記(1)から上記(7)のいずれかに記載の制御プログラム。
【0013】
)前記表示データには、前記ケア記録を、前記グラフの時間軸に対応付けて表示する、上記(8)に記載の制御プログラム。
【0014】

10)ユーザーにより設定されたケアの目標を取得するステップ(f)をさらに含み、
前記ステップ(c)で生成される前記表示データには、ケアの前記目標が含まれる、上記(1)から上記(9)のいずれかに記載の制御プログラム。
【0015】
11)前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記睡眠状態、および前記ケア記録のケアの項目の内容との関連性を分析するステップ(g)と、
前記ステップ(c)では、前記ステップ(g)で得られた前記睡眠状態と前記項目の内容との相関関係を表示する表示データを生成する、上記(1)から上記(10)のいずれかに記載の制御プログラム。
【0016】
12)前記睡眠状態は、前記対象者の動きを検出する検出部の出力により判定される、上記(1)から上記(8)のいずれかに記載の制御プログラム。
【0017】
13)第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態、および第2の期間における前記対象者への複数項目の前記ケアに関するケア記録を取得する取得部と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成する制御部と、
前記表示データを出力する出力部と、を備え、
前記ケア記録は、少なくとも配薬または、夜間巡回のいずれかに関する記録を含むことであることを特徴とする情報処理装置。
(14)前記制御部は、前記睡眠状態に関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させて表示する表示データを生成することを特徴とする上記(13)に記載の情報処理装置。
(15)前記出力部は、前記睡眠状態に関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させた表示データを出力することを特徴とする上記(13)または上記(14)に記載の情報処理装置。
(16)前記ケア記録には、配薬および夜間巡回の両方に関する記録が含まれ、
前記制御部は、前記睡眠状態に関するデータに重畳させて表示される前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるように前記表示データを生成することを特徴とする上記(14)または15に記載の情報処理装置。
(17)前記表示データにおいて、前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるアイコンデータであることを特徴とする上記(16)に記載の情報処理装置。
【0018】

18)前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記表示データには、複数の日付毎の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けた表示が
含まれる、上記(13)から上記(17)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0019】

19)前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、

前記制御部は、日付毎のデータにおいて、前記睡眠状態、および/または前記ケア記録のケアの項目の内容が共通する、または類似する日付を抽出し、抽出した日付の前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示する表示データを生成する、上記(13)から上記(18)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0020】

20)前記表示データには、各時間での睡眠状態を示すグラフが含まれ、前記ケア記録と前記グラフを対応付けて表示する、上記(13)から上記(19)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0021】
21)前記表示データには、前記ケア記録を、前記グラフの時間軸に対応付けて表示する、上記(20)に記載の情報処理装置。
【0022】
22)前記取得部は、ユーザーにより設定されたケアの目標を取得し、
前記制御部で生成される前記表示データには、ケアの前記目標が含まれる、上記(13)から上記(21)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0023】
23)前記第1、第2の期間は、複数日に渡る期間であり、
前記制御部は、前記睡眠状態、および前記ケア記録のケアの項目の内容との関連性を分析し、分析で得られた前記睡眠状態と前記項目の内容との相関関係を表示する表示データを生成する、上記(13)から上記(22)のいずれかに記載の情報処理装置。
【0024】
24)前記対象者の動きを検出する検出部と、
上記(13から上記(23)のいずれかに記載の情報処理装置と、
を備える情報処理システム。
(25)第1の期間におけるスタッフによるケアの対象者の睡眠状態、および第2の期間における前記対象者への複数項目のケアに関するケア記録を取得する取得部と、
前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを生成する制御部と、
前記表示データを表示する表示部と、を備え、
前記ケア記録は、少なくとも配薬または、夜間巡回のいずれかに関する記録を含むことを特徴とする情報処理システム。
(26)前記制御部は、前記睡眠状態に関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させて表示する表示データを生成することを特徴とする上記(25)に記載の情報処理システム。
(27)前記表示部は、前記睡眠状態に関するデータと、前記ケア記録に関するデータとを重畳させた表示データを表示することを特徴とする上記(25)または上記(26)に記載の情報処理システム。
(28)前記ケア記録には、配薬および夜間巡回の両方に関する記録が含まれ、
前記制御部は、前記睡眠状態に関するデータに重畳させて表示される前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるように前記表示データを生成することを特徴とする上記(25)または(26)に記載の情報処理システム。
(29)前記表示データにおいて、前記配薬に関するデータと前記夜間巡回に関するデータとは互いに異なるアイコンデータであることを特徴とする上記(28)に記載の情報処理システム。
【発明の効果】
【0025】
本発明の制御プログラムの処理は、第1の所定期間におけるケアの対象者の睡眠状態を取得するステップ(a)と、第2の所定期間における前記対象者への複数項目のケアに関するケア記録を取得するステップ(b)と、前記睡眠状態と前記ケア記録を対応付けて表示するための表示データを出力するステップ(c)と、を含む。これにより、スタッフ等のユーザーは、睡眠に影響する因子を容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】情報処理システムの全体構成を示す図である。
図2】対象者の部屋に設置された検出部の例を示す図である。
図3】検出部の概略構成を示すブロック図である。
図4】撮影画像から判定したシルエットを示す模式図である。
図5】サーバーの概略構成を示すブロック図である。
図6】固定端末の概略構成を示すブロック図である。
図7】スタッフ端末の概略構成を示すブロック図である。
図8】情報処理システムのデータ蓄積処理の手順を示すフローチャートである。
図9】記憶部に記憶されるケアリストの例である。
図10】スタッフ端末に表示される操作画面の例である。
図11】ケア記録入力用の操作画面の例である。
図12】第1の実施形態に係る情報処理システムにおける表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。
図13】第1の例の表示データの表示画面である。
図14】第2の例の表示データの表示画面である。
図15】第2の実施形態に係る情報処理システムにおける表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。
図16】第3の例の表示データの表示画面である。
図17】第3の実施形態に係る情報処理システムにおける表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。
図18】変形例に係る情報処理システムにおける表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0028】
(全体構成)
図1は本実施形態に係る情報処理システム1(見守りシステムともいう)の全体構成を示す図であり、図2は対象者70の部屋のベッド60周辺に設置された検出部の例を示す図である。
【0029】
図1に示すように、情報処理システム1は、複数の検出部10、サーバー20、固定端末30、および1つ以上のスタッフ端末40を備える。これらは、有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、相互に通信可能に接続される。サーバー20は、「情報処理装置」として機能する。ネットワーク50は、通信信号を中継するリピーター、ブリッジ、ルーターまたはクロスコネクト等の中継機を備えてもよい。図1に示す例では、スタッフ端末40、検出部10、サーバー20、および固定端末30は相互に、アクセスポイント51を含む無線LAN等(例えばIEEE802.11規格に準拠したLAN)のネットワーク50によって、通信可能に接続されている。
【0030】
情報処理システム1は、対象者70に応じて適宜な場所に配設される。対象者70(被介護者、見守り対象者、またはケア対象者ともいう)は、例えば、病気や怪我等によって看護を必要とする患者、高齢による身体能力の低下等によって介護を必要とする被介護者、または一人暮らしの独居者等である。特に、早期発見および早期対処を可能にする観点から、対象者70は、例えば異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合に、その発見を必要としている者であり得る。このため、情報処理システム1は、対象者70の種類に応じて、病院、老人福祉施設および住戸等の建物に好適に配設される。図1に示す例では、情報処理システム1は、複数の対象者70が入居する複数の部屋(居室)やナースステーションを含む複数の部屋を備える施設に配置されている。
【0031】
検出部10は、対象者70の観察領域であるそれぞれの居室に配置される。図1に示す例では、4つの検出部10が対象者70であるAさん、Bさん、CさんおよびDさんの居室にそれぞれ配置されている。検出部10の観察領域(撮影領域)にはベッド60が含まれている。対象者70に対して看護または介護を行うスタッフ80(ケアスタッフ、または介護スタッフともいう)は、それぞれ携帯端末であるスタッフ端末40を持ち歩いている。ただし、情報処理システム1が備える各構成の位置や個数等は、図1に示す例に限定されない。例えば、サーバー20は、ナースステーションに配置されなくてもよく、ネットワーク50に接続されている外部のサーバーユニットであってもよい。また固定端末30を省略し、サーバー20またはスタッフ端末40がその機能を担ってもよい。
【0032】
(検出部10)
図3は検出部の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、検出部10は、制御部11、通信部12、カメラ13、ナースコール部14、および音声入出力部15を備え、これらはバスによって、相互に接続されている。
【0033】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、等のメモリにより構成され、プログラムにしたがって検出部10の各部の制御および演算処理を行う。なお、制御部11は、メモリとして、さらにHDD(Hard Disk Drive)を備えてもよい。
【0034】
通信部12は、ネットワーク50を介して、例えば、サーバー20、固定端末30またはスタッフ端末40等の、他の装置と通信するためのインターフェース回路(例えばLANカード等)である。
【0035】
カメラ13は、例えば居室の天井、または壁の上部に配置され、観察領域として真下にある対象者70のベッド60を撮影し、撮影画像(画像データ)を出力する。この撮影画像には、静止画および動画を含む。カメラ13は近赤外線カメラであるが、これに換えて可視光カメラを用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0036】
制御部11は、カメラ13が撮影した撮影画像から、対象者70の状態を判定する。なお、この判定は、撮影画像を受信したサーバー20側で行うようにしてもよい。この判定する状態情報の種類には、ベッド60から起き上がる「起床」、ベッド60から離れる「離床」、ベッド60から転落する「転落」、床面等に転倒する「転倒」、および睡眠状態が含まれる。
【0037】
図4は、撮影画像から判定したシルエットを示す模式図である。同図では、カメラ13で撮影した撮影画像の一部を示している。制御部11は、複数の撮影画像(動画像)から対象者70の全身のシルエット1A(以下、「人シルエット」と称する)を検出する。また、人シルエット1Aとともに、またはこれに代えて頭部シルエット(図示せず)を用いてもよい。人シルエット1Aは、例えば、撮影時刻が前後する画像を差分する時間差分により差分が相対的に大きい画素の範囲を抽出することで検出され得る。人シルエット1Aは、撮影画像から背景画像を差分する背景差分法により検出されてもよい。起床、離床、転倒、転落の別は、検出した人シルエット1Aから対象者70の姿勢(例えば立位、座位および横臥等)、およびベッド60等の居室内の設置物との相対的な位置から認識される。例えば、起床は、予め設定された、ベッド60の四隅を頂点とする、上方視の四角形の任意の辺を人シルエット1Aが横切る幅が増加して20cm以上となったことにより認識され得る。また、例えば、離床は、人シルエット1Aの、当該四角形の内部に対する外部の面積の割合が増加して80%以上となったことにより認識され得る。
【0038】
睡眠状態としては、少なくともベッド内で睡眠している「睡眠」の状態が含まれていればよいが、この「睡眠」に加えて、居室内には居るがベッド60から離床している「不在」、ベッド60内に居る(在床)が睡眠していない「覚醒」が含まれることが好ましい。睡眠の判定は、撮影画像により人シルエット1A、および/または頭部シルエットを検出し、その位置の変化、または変化の頻度により判定する。ベッド60内において位置の変化がほとんどない場合には、睡眠と判定し、寝返り等により位置の変化が多ければ覚醒していると判定する。
【0039】
これらの認識は、制御部11のCPUが処理するプログラムにより行ってもよく、組み込み型の処理回路により行うようにしてもよい。また、これに限られずサーバー20側でこれらの認識の全部またはほとんどの処理を行うようにし、制御部11ではサーバー20への撮影画像の送信のみを行うようにしてもよい。なお、睡眠状態の判定については、検出部10がカメラ13以外にも、体動センサー、ベッド60のマット上(または内部)に配置したシート状の圧電センサー、またはベッド60上に置いた振動検知センサーを含むようし、これらの検出データにより判定するようにしてもよい。なお振動検知センサーとしては、加速度センサー、またはジャイロセンサーを搭載したスマートフォンを用いてもよい。また、検出部10が、カメラ13を備えず、この体動センサーのみにより、下記のように睡眠状態の判定をするようにしてもよい。
【0040】
例えば、この体動センサーは、ベッド60に対してマイクロ波を送受信して対象者70の体動(例えば呼吸動)によって生じたマイクロ波のドップラシフトを検出するドップラシフト方式のセンサーである。睡眠の際は対象者70の動きは小さな、わずかな動きが見られる。このようなことから、この体動センサーを用いた睡眠状態の検知としては、例えば動きの大きさに関する大小2の閾値を設定し、大きい側の第1閾値を超えた場合には「覚醒」、小さい側の第2閾値を下回った場合には「不在」、第1閾値以下、第2閾値以上であれば「睡眠」と判定する。この体動センサーは、異常検知としても用いることができる。例えば、対象者70の呼吸動作に伴う胸部の体動(胸部の上下動)を検出し、その胸部の体動における周期の乱れや予め設定された閾値以下である前記胸部の体動における振幅を検知すると、微体動異常であると認識する。
【0041】
これらの体動センサー、圧電センサー、または振動検知センサーを、カメラ13と併用、またはこれと代えて用いることで、対象者70の各睡眠状態(不在、睡眠、覚醒)を判定できる。
【0042】
スタッフ80は、業務に応じた、対象者70への各種の対応を行う者である。業務には、医療業務、介護業務を含み得る。ここで、スタッフ80の業務が、対象者70に対する介護業務である場合に、各イベントに関する対応内容について説明する。イベントには、定期的な定期イベントと、不定期に判定された不定期イベントが含まれる。この定期イベントは、介助(ケア)とも称する。また、この不定期イベントは、以下においては、対象者70の状態を示す状態情報とも称す。イベントの種類には起床介助、食事介助、車椅子移乗介助、体位変換介助、水分摂取介助、歩行介助、入浴介助、等が含まれる。起床介助は、ケアスタッフ80によりケア対象者70が朝にベッドから起きるときに行う介助であり、食事介助、水分摂取介助は、食事、または水分補給を補助する介助である。車椅子移乗介助は、ベッドから車椅子に移動して、座る動作の介助である。体位変換介助は、褥瘡予防のためにベッドでの体位を変更するための介助である。イベントとして「起床」を判定し、その判定が所定時間内(施設で設定された起床時間(例えば午前7~8時))であれば、起床介助(起床ケア、またはモーニングケアともいう)を行う。この起床介助には、洗顔、歯磨き介助、義歯装着、着替え介助等が含まれる。また、「離床」のイベントであれば、車椅子移乗、歩行介助が必要となる場合がある。就寝前介助(就寝前ケア、またはイブニングケアともいう)には、洗顔および歯磨き介助、排泄介助、着替え介助、睡眠導入剤の投与等が含まれる。
【0043】
ナースコール部14は、押しボタン式のスイッチを含み、スイッチが対象者70によって押されることでナースコール(ケアコールともいう)を検出する。押しボタン式のスイッチに換えて、音声マイクによりナースコールを検出してもよい。ナースコール部14のスイッチが押された場合、すなわち、ナースコールを検出した場合、制御部11は、通信部12およびネットワーク50を介して、ナースコールがあった旨の通知(ナースコール通知)をサーバー20等に送信する。
【0044】
音声入出力部15は、例えばスピーカーとマイクであり、通信部12を介してスタッフ端末40等との間で音声信号を送受信することで音声通話を可能とする。なお、音声入出力部15は検出部10の外部装置として、通信部12を介して検出部10に接続されてもよい。
【0045】
本実施形態においては、ナースコール部14によるナースコール、および対象者70に関する検出部10が認識した状態の変化であって、起床、離床、転落、転倒、微体動異常、等のスタッフ80に発報(報知)を行うべき事象もイベントと称する。検出部10は、生じたイベントの情報および撮影画像をサーバー20へ送信(出力)する。
【0046】
(サーバー20)
図5は、サーバー20の概略構成を示すブロック図である。サーバー20は、制御部21、通信部22、および記憶部23を備える。この通信部22、または制御部21は、取得部として機能し、検出部10、または記憶部23から睡眠状態、ケア記録等を取得する。サーバー20は、対象者70用の居室と同じ建物内に設けられてもよく、遠隔地に設けられてネットワークを介して接続可能であってもよい。例えば、サーバー20は、インターネット等のネットワーク上に配置された複数のサーバーによって仮想的に構築されるクラウドサーバーであってもよい。各構成は、バスによって、相互に通信可能に接続されている。記憶部23は、データベースとして機能し、イベントリスト、ケア記録、および対象者70の状態情報の履歴、ならびに対象者70、およびスタッフ80に関する各種情報を記憶する。ケア記録には、後述する対象者70に行った処置内容、および測定したバイタルデータだけではなく、居室の温湿度、天候状態、レクレーションの参加状況、対象者70の家族の訪問(面会)、等の記録も含まれる。イベントリスト、ケア記録、および対象者70の状態情報の履歴についての詳細は後述する。その他の制御部21、および通信部22は、検出部10の各構成と同様の機能を有するため、詳細な説明を省略する。
【0047】
サーバー20は、検出部10が検出した、ナースコール、起床、離床、転落、転倒、等のイベントが、どの対象者70に関するものであるかを判定(識別)する。この判定は、イベントを検出した検出部10が設置されている部屋番号から、これに対応付けられている対象者70(すなわち、部屋の入居者)を検索することで行う。そして、判定したイベントの種類と対象者70とを関連付けて記憶部23のイベントリストに追加する。なお、本実施形態では、対象者70の判定は、対象者70がICタグを携帯している場合には、このICタグを各部屋に設けたRFIDリーダーで読み取ることにより、判定してもよい。なお、相部屋等で、1つの部屋に複数の対象者70が存在する場合には、ベッド60毎に検出部10を配置することで、対象者70を判定してもよい。また、これに関連し、スタッフ80が携帯するスタッフ端末40をRFIDリーダーに近づけることにより、各スタッフ80の部屋への入室を検知するようにしてもよい。
【0048】
(固定端末30)
図6は、固定端末30の概略構成を示すブロック図である。固定端末30は、いわゆるPC(Personal Computer)であり、制御部31、通信部32、表示部33、入力部34、および音声入出力部35を備え、これらはバスにより相互に接続される。制御部31は、検出部10の制御部11と同様の構成として、CPU、RAM、ROM等を備える。この固定端末30は、ナースステーションのようなケア対象者70用の居室と同じ建物内に設けられてもよく、遠隔地に設けられてネットワークを介して接続可能であってもよい。また、後述するような睡眠状態とケア記録を対応付けて示す表示データの出力として、施設責任者、ケア管理者(ケアディレクター)、スタッフリーダー、スタッフ80等(以下、単に「スタッフ等」と称す)の操作指示により、表示部に出力(表示)したり、外部のプリンター(図示せず)から用紙上に出力(印刷)させたりする。
【0049】
通信部32は、イーサネット(登録商標)等の規格による有線通信のネットワークインターフェースや、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11等の規格による無線通信のインターフェース等の各種ローカル接続向けのインターフェースであり、ネットワーク50に接続した各端末との通信を行う。
【0050】
表示部33は、例えば液晶ディスプレイであり、各種情報を表示する。表示部33は、例えば、検出部10による撮影画像、ケアイベント一覧、およびケアイベントを担当するケアスタッフ80を選択する操作画面を表示する。
【0051】
入力部34は、キーボード、テンキー、マウス等を備えており、各種情報の入力を行う。この入力部34と表示部33が協働することで「入出力部」として機能する。
【0052】
音声入出力部35は、例えばスピーカーとマイクを備えたヘッドセットである。
【0053】
また、スタッフ80または技術スタッフ等は、固定端末30を通じて、検出部10を各部屋(居室)に取り付けたときに、部屋番号と検出部10の対応付けをしたり、ベッド60等の居室内の設置物の位置情報、すなわち、天井のカメラ13による上方視の輪郭情報の校正、指定を行ったりする。また、入院または入居している対象者70の名前、ID番号等の識別情報と、各部屋番号との対応付けも行う。
【0054】
(スタッフ端末40)
図7は、スタッフ端末40の概略構成を示すブロック図である。スタッフ端末40は、制御部41、無線通信部42、表示部43、入力部44、および音声入出力部45を備え、これらはバスにより相互に接続される。制御部41は、検出部10の制御部11と同様の構成として、CPU、RAM、ROM等を備える。無線通信部42により、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の規格を用いた無線通信が可能であり、アクセスポイント51を経由して、または直接的に各装置と無線通信する。表示部43、および入力部44は、タッチパネルであり、液晶等で構成される表示部43の表示面に、入力部44としてのタッチセンサーを重畳させたものである。表示部43、入力部44によって、スタッフ80に対して、イベントリストに含まれる複数のイベントを一覧表示した各種の操作画面を表示したり、操作画面を通じて各種の操作を受け付けたりする。音声入出力部45は、例えばスピーカーとマイクであり、無線通信部42を介して他のスタッフ端末40との間でスタッフ80による音声通話を可能にする。スタッフ端末40は、情報処理システム1のユーザーインターフェースとして機能する機器であり、例えば、タブレット型コンピューター、スマートフォンまたは携帯電話等の、持ち運び可能な通信端末機器によって構成できる。
【0055】
スタッフ80は、業務開始時に、割り当てられたスタッフ端末40を通じて、ログイン認証処理を行う。スタッフ80は、スタッフ端末40のタッチパネル(表示部43、入力部44)のログイン画面(図示せず)を通じて、スタッフID、パスワードを入力し、これをサーバー20に送信する。サーバー20は、記憶部23に記憶している認証情報を突き合わせ、スタッフ80の権限に応じた認証結果をスタッフ端末40に送信することで、ログイン認証が終了する。
【0056】
(ケア記録、および状態情報のデータ蓄積処理)
図8は、情報処理システム1のデータ蓄積処理の手順を示すフローチャートである。
【0057】
(ステップS11)
情報処理システム1のサーバー20は、検出部10等の検出データを取得し、記憶部23に蓄積する。この検出データには、カメラ13による居室のベッド60を含む観察領域の撮影画像が含まれる。この撮影画像等の検出データは、例えば、24時間連続して取得される。
【0058】
(ステップS12)
サーバー20の制御部21は、ステップS11で記憶部23に蓄積された検出データから、各時刻における施設内の複数の対象者70の睡眠状態を含む各種の状態情報を判定し、その判定結果を記憶部23に蓄積する。各種の状態情報には、上述の「起床」、「離床」、「転落」、および「転倒」、ならびに睡眠状態の「睡眠」、「覚醒」、および「不在」が含まれる。
【0059】
(ステップS13)
制御部21は、施設内の複数の対象者70のケア記録を取得し、蓄積する。ケア記録には、以下に示すようにスタッフ80によりスタッフ端末40を通じた操作により入力されたデータがある。これ以外には、手書きのケア記録シートをスキャナーで読み取ってOCR処理により文字認識したデータを用いてもよく、スタッフ80が運んだセンサーにより対象者70の体温、血圧、脈拍、動脈血酸素飽和度、等のバイタルデータを測定し、これをBluetooh等の通信を経由してサーバー20へ送信するようにしてもよい。
【0060】
図9は、記憶部23に記憶されるケアリストの例である。ケアリストはケア記録の一部を構成する。このケアリストには、複数のケアイベントが含まれる。各ケアイベントは、それぞれ1つのケア処理に対応する。ケアリストは、基本データとしてのケアリスト基本情報、およびスタッフ対応情報、等が含まれる。なお、さらにケアリストには、予め設定した担当する一人または複数人のスタッフ80の名前が含まれていてもよい。ケアリスト基本情報は、ケアプランとも呼ばれるものであり、ケア計画に沿って予めスタッフ等により入力されたデータに基づいて生成されたものである。対応情報は、スタッフ80のそれぞれのケアイベントへの実際の対応状況を示す情報である。各ケアイベントのステイタスは、ケアプランの段階では未対応であり、対応した後に対応済みに変わる。
【0061】
(ケア記録の入力)
以下に示すような手順により、ケアスタッフ80のスタッフ対応情報に関する対応状況が記録される。図10は、スタッフ端末40の表示部43に表示される操作画面430の例である。図10の操作画面430には、図9のケアプランリストに含まれるケアイベントのうち、スタッフB向けのケアイベントが一覧表示されている。操作画面430の領域a01は、図9のケアID「c021」のケアイベントに対応する。ケアスタッフ80は、操作画面430のいずれかのケアイベントを操作することで、確認用の操作画面(図示せず)に遷移する。確認用の操作画面では、ケアスタッフ80は、ケアイベントの内容、特記事項(申し送り事項)等のケアイベントの詳細情報を確認できる。
【0062】
ケアスタッフ80は、ケアイベントへのケアを行った後に、ケアの処置記録を入力できる。操作画面431は、処置記録を入力するための表示部43に表示される画面例である。このケア記録入力用の操作画面431はケアイベントの種類、または内容毎に異なる。図10の排泄ケア用の操作画面431には、上から順に領域a11~a16、およびボタンb1が配置されている。領域a11は、固定バー、およびタブ領域で構成され、固定バーには、現在時刻等が表示されている。また、タブ領域は、横方向にスクロール可能である。スクロールさせることで、操作画面430等の他の操作画面に切り替わる。領域a12は、スタッフ端末40を利用している(すなわちログインした)ケアスタッフ80の情報、およびケアイベントの種類(排泄介助)を示すアイコン、ケアID、およびケア対象者70の情報が表示されている。領域a13~a15には、パッド(おむつ)、トイレ、ポータブルそれぞれの排泄容器(装置)の種類に応じた排泄物の種類、量を記入する領域が設けられている。領域a16には、実際にケアを行った時間(現在時刻に対する相対時刻)を選択する欄が設けられている。ケアスタッフ80は、各入力欄を必要に応じて、記入し、記入が終わった後にボタンb1を操作することで、入力データが、スタッフ端末40からサーバー20に送信される。なお、ケアイベントが割り当てられた担当のケアスタッフ80自身が、他の処置等で対応できない場合には、他のケアスタッフ80に振り替えることもできる。その場合には、スタッフ対応情報の対応スタッフには、担当予定スタッフとは異なるケアスタッフ80のスタッフ名が記録される。
【0063】
図11は、表示部43に表示される入力用の操作画面の他の例である。図11の操作画面435では、スタッフ80は、食事ケア、おやつケア、水分ケア、バイタルケア、服薬ケア、および口腔ケアのいずれかの入力項目を選択できる。例えば、スタッフ80が実際に食事介助、または水分摂取介助を行った際に、操作画面435で水分ケアの入力項目を選択すると、次の操作画面436に遷移する。操作画面436で、スタッフ80は、担当した対象者70が摂取した水分の種類を選択する。操作画面436ではラジオボタンにより「お茶」が選択された状態を示している。その後に表示される操作画面437では、スタッフ80は、対象者70が摂取した水分量を選択する。次の操作画面438では、ケア対象者70が摂取した時間を選択する。各項目の入力が完了した後に、送信ボタンを操作することで、摂取情報は、ケア記録としてサーバー20に送られ、記憶部23にケア記録として記録される。
【0064】
(情報処理システム1の処理の手順)
図12は、第1の実施形態に係る情報処理システム1における表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。この出力処理は、例えば管理者、スタッフ80、等の固定端末30を通じた操作指示により実行開始される。また、この出力処理の対象となる対象者70は、基本的には、施設に居る全ての対象者70であるが、対象者70の選択も管理者、スタッフ80、等により行うようにしてもよい。
【0065】
(ステップS21)
サーバー20の制御部21は、記憶部23から、一人、または複数人の対象者70の睡眠状態を含めた状態情報を取得する。この状態情報は、図8で示した処理で蓄積されたものであり、所定期間(第1の所定期間)に渡るデータである。所定期間としては、例えば、過去数日、過去1週間、過去1月、または過去数ヶ月の連続した期間である。
【0066】
(ステップS22)
制御部21は、記憶部23から、ステップS21の処理での対象者70と同じ対象者70の所定期間(第2の所定期間)に渡るケア記録を取得する。このケア記録も、図8で示した処理で蓄積されたものであり、第2の所定期間は、ステップS21の第1の所定期間と同じ所定期間に渡るデータであってもよく、一部が重複すれば完全には同じ期間でなくてもよい。
【0067】
(ステップS23)
制御部21は、ステップS21、S22で取得してデータから、日毎の睡眠状態、および日毎のケア記録の情報を抽出する。この抽出処理、および以下の処理は、個人単位で、複数人に対して繰り返し行う。
【0068】
(ステップS24、S25)
制御部21は、取得した日毎の睡眠状態、および日毎のケア記録を対応付けた、表示データを生成し、出力する。睡眠状態とケア記録との対応付けとしては、同一の画面(領域)内に睡眠状態とケア記録が表示されていればよく、この場合、これらを横方向に並べたり、あるいは縦方向に並べたりしてもよい。さらに、対応付けとして、睡眠状態のグラフとケア記録を対応づけて表示してもよく(例えば後述の図13)、その場合、さらに、同じ時間軸でグラフとケア記録とを対応付けて表示するようにしてもよい。この時間軸での対応づけも縦方向、あるいは横方向にならべてもよく、両データを重畳させて表示してもよい(例えば後述の図14)。出力先としては、例えば、固定端末30である。この表示データを受けた固定端末30は、これを表示部33に表示する。
【0069】
図13は、第1の例の表示データの表示画面331であり、図14は、第2の例の表示データの表示画面332である。
【0070】
図13の表示画面331では、対象者70として居室が101号室のAさんの3日間(7/1~7/3)の各日毎の時間毎の各睡眠状態、ケア記録を対応付けて表示している。具体的には、図13において左側の状態情報欄2Aには、前日の22時から翌6時(当日)の期間の各睡眠状態(「不在(ベッド不在)」、「覚醒」、「睡眠」)の合計時間(hour)、ならびに、ケア記録としての歩行量(距離m)、ナースコールの回数、および「起床」、「離床」、「転倒」のイベント(状態情報)の検出回数が表示されている。また中央のグラフィック欄2Bには、各時間における睡眠状態のグラフを表示している。また右側のケア記録欄2Cには、ケア記録として、イブニングケアの際の眠剤(睡眠導入剤)の配薬または与薬(以下、単に「配薬」という)の有無、夜間巡回回数(スタッフ訪室回数)、イブニングケアの際の下剤の配薬の有無、夜間排泄回数、24時間の水分摂取量(mL)、入浴介助の実施有無、施設で行われたレクレーションの参加有無が表示されている。この睡眠状態、およびケア記録の表示項目は、予めスタッフ等に設定されたものであるが、スタッフ等の設定により固定端末30を通じて表示項目の追加、削除をできるようにしてもよい。
【0071】
図14の表示画面332では、同じ対象者70として101号室のAさんの5日間(8/22~8/26)における各時間での睡眠状態のグラフに、ケア記録の各項目の実施タイミングを、同じ時間軸で対応付けて(重畳して)表示している。ケア記録の項目では、「排泄」、スタッフ80の「訪室(巡回)」、「下剤」の配薬、「入浴」、および「レクレーション」の実施タイミングを、同じ時間軸で、グラフに重畳して表示している。なお、これらの表示データには、担当したスタッフ80の名前を含ませてもよい。
【0072】
(効果)
このように第1の実施形態では、所定期間における対象者70の睡眠状態と、複数項目のケアに関するケア記録を取得し、取得した睡眠状態とケア記録を対応付けて表示する。これにより、対象者70毎の睡眠の傾向が可視化されるので、スタッフ等はどのようなケアの項目が睡眠に影響を与えるのかの判断を容易に行え、睡眠改善の対策を的確に行える。例えば、対象者70に適した睡眠時間が確保できるようにしたり、複数の対象者70が深夜の同じ時間に睡眠したりできるので、対象者70、およびスタッフ80の満足度が向上する。
【0073】
また、複数日に渡る期間の睡眠状態とケア記録を対応付けて表示するので、特定の日は睡眠状態が良好で、特定の日は良好でないことを一目で把握できるので、どのような項目が睡眠に影響を与えるのかの判断を容易に行える。例えば、(1)2日寝られず1日寝るという傾向が繰り返される、(2)家族の訪問があった日の夜の睡眠状態が悪い、(3)特定のスタッフ80が夜勤担当だと睡眠状態の傾向が変わる、等、気が付きにくかった睡眠状態の傾向を把握でき、睡眠改善のための方策の策定に役立てることができる。
【0074】
さらに、図14のように、睡眠状態のグラフと同じ時間軸で、ケア記録のケアの項目の実施タイミングを対応付けて表示することで、ケアを実施してから何時間後に効果が出たのかを把握できる。図14の表示画面332では、8月25日、26日では睡眠時間が他の日付よりも長く、その前のケア記録からどのような項目が睡眠状態の改善に役立つかを把握できる。例えば、(1)対象者70が、就寝の前に下剤を飲むと、どれくらいの時間寝られなくなるか、また、(2)睡眠導入剤を飲むと、どのくらいで薬効があらわれ、どれくらいで薬効がなくなり、覚醒、不在となるのか、(3)夕食後にイブニングケアをしてからどれくらいで睡眠となるのかを容易に把握でき、効果的な対策を取ることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
図15は、第2の実施形態に係る情報処理システム1における表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。第2の実施形態では、スタッフ等により入力されたケアの目表値を用いる。この目標は、例えば、第1の実施形態において、表示された表示データを利用して策定したケア記録のケア項目に関する対策である。この目標には、睡眠剤の配薬の有無、夜間巡回回数(訪室回数)、下剤の配薬の有無、夜間排泄介助の回数、水分摂取量、散歩の実行有無および散歩時間、入浴介助、レクレーション参加の有無の目標(予定)、等が含まれる。
【0076】
(ステップS31~S33)
制御部21は、ステップS31~S33の処理を実行する。これらの処理は、図12のステップS21~S23と同様の処理であり、説明を省略する。
【0077】
(ステップS34)
制御部21は、スタッフ等による固定端末30等を通じた入力により、対象者70毎のケアの目標を受け付ける。
【0078】
(ステップS35、S36)
制御部21は、取得した日毎の睡眠状態、および日毎のケア記録に加えて、目標値を対応付けた表示データを生成し、出力する。出力先としては、例えば、固定端末30である。この表示データを受けた固定端末30は、これを表示部33に表示する。
【0079】
図16は、第3の例の表示データの表示画面333であり、同図の状態情報欄2A、グラフィック欄2Bは、図15に対応する。図16のケア記録欄2Dでは、上段にステップS34で受け付けたケアの目標(予定)を表示し、下段には、ステップS32で取得したケアの実績(ケア記録)を表示している。図16の表示画面333では、7月2日、および3日の水分摂取量の実績、および7月2日の散歩時間が目標に対して少なく、未達であることが容易に認識できる。また、未達の項目に関しては、他の項目と色、文字の大きさ、太さ等で識別できるようにしてもよい。表示画面333の例では、未達の項目をグレイ背景で示している。
【0080】
(効果)
このように第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の処理に加えて、スタッフ等のユーザーにより設定されたケアの目標を取得し、これを表示データの表示に含ませる。仮にスタッフ等が対策を策定し、目標値を設定したとしてもそれが実行されなければ効果がでない。このような場合に、第2の実施形態においては、睡眠状態を改善できない場合に、管理者等は、目標に達しないから改善できていないのか、目標に達しているがそれでも睡眠状態が改善できない場合に、その目標の設定自体が不適切、不十分であったか否かを適切に判断できる。
【0081】
(第3の実施形態)
図17は、第3の実施形態に係る情報処理システム1における表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。第3の実施形態では、以下に説明するように日付毎のデータにおいて、睡眠状態の内容が共通、または類似する日付を抽出し、その日付の睡眠状態とケア記録を対応付けて表示する。
【0082】
(ステップS41、S42)
制御部21は、ステップS41~S42の処理を実行する。これらの処理は、図12のステップS21、S22と同様の処理であり、説明を省略する。
【0083】
(ステップS43)
制御部21は、対象者70の睡眠状態を複数の評価指標で数値化する。この評価指標には、例えば、睡眠時間(合計)、最初の睡眠(入眠)までの時間、夜間の離床回数(上述の睡眠状態が「不在」)、夜間にトイレに言った回数、1回毎の離床時間が含まれる。
【0084】
(ステップS44)
制御部21は、日付毎のデータにおいて、評価指標が共通する、または類似する日付を抽出する。例えば、睡眠時間が所定値以上長い、または入眠が所定時刻よりも前、離床回数またはトイレの回数が同じ、または、1回毎の離床時間が所定時間よりも長い、日付を抽出する。
【0085】
(ステップS45)
制御部21は、ステップS44で抽出した日付の睡眠状態と、同じ日付のケア記録の情報を取得し、これらを対応付けた表示データを生成する。なお、時間範囲は、必ずしも0~24時でなくてもよく、長さも24時間でなくてもよい。さらに、睡眠状態の日付の時間範囲と、ケア記録の日付の時間範囲とは必ずしも一致しなくてもよい。例えば、日付が7月1日であれば、睡眠状態の日付の時間範囲を7月1日の18時から翌2日の8時とし、ケア記録の日付の時間範囲を同じ1日の朝8時から翌2日の8時とする。このようにすることで、就寝時間の数時間前のケア記録との対応関係をより容易に把握できる。
【0086】
(ステップS46)
制御部21は、ステップS45で生成した表示データを出力する。出力先としては、例えば、固定端末30である。この表示データを受けた固定端末30は、これを表示部33に表示する。
【0087】
なお図17に示す例では、睡眠状態の評価指標を用いて日付を抽出する例を示したが、ケア記録の項目が共通、または類似する日付を抽出するようにしてもよい。例えば、睡眠導入剤の配薬の有無、または配薬した睡眠導入剤の種類、レクレーションの参加有無、家族の訪問の有無が共通する日付、または、散歩の実施有無、もしくは所定時間以上の散歩を実施した日付を抽出するようにしてもよい。
【0088】
このようにすることで、第3の実施形態は、睡眠状態、またはケア記録の項目の内容が共通、または類似する日付のデータのみを列挙する。このようにすることで、長期間に渡る膨大なデータを蓄積した場合に、必要なデータのみを抽出できるので、スタッフ等はどのようなケアの項目が睡眠に影響を与えるのかの判断を容易に行える。
【0089】
(変形例)
図18は、変形例に係る情報処理システムにおける表示データの出力処理の手順を示すフローチャートである。同図の処理は、図17のステップS44に続いて行われる処理である。この処理は、図17のステップS45、S46と平行して行われてもよい。
【0090】
(ステップS51)
サーバー20の制御部21は、ステップS44で抽出した睡眠状態の評価指標が共通、または類似する日付のケア記録の各項目について、関連性を分析する。具体的には、ケアの処置が行われた時刻(相対的な時間)、曜日、対応したスタッフ80の名前、環境(気候、天候、気温、温湿度)、等に関して相関度が高い項目を抽出する。この相関度の高さは、ルールベースでも、教師無し学習などの機械学習でもよい。ルールベースでは、予め関連性に関するルールを定めておいて統計的に関連性を分析できる。例えば、睡眠状態の良し悪しを睡眠時間で決めておき、睡眠時間が少ない日の前日のケア記録と睡眠時間の多い日の前日のケア記録とを比較し、差の大きい項目を抽出することや、対象者70の所定期間の平均睡眠時間から、平均睡眠時間を下回っている時のケア記録の傾向を分析する等により行える。
【0091】
(ステップS52)
制御部21は、睡眠状態の評価指標と相関度が高いケア記録の項目とを対応付けた相関関係の表示データを生成する。例えば睡眠状態の評価指標の睡眠時間と、その前の昼間の散歩時間とは相関が高いことを示す分析結果の表示データを生成する。なお、相関関係の表示データとしては、相関が低い項目も列挙するようにしてもよい。
【0092】
(ステップS53)
制御部21は、ステップS52で生成した表示データを出力する。出力先としては、例えば、固定端末30である。この表示データを受けた固定端末30は、これを表示部33に表示する。
【0093】
このように変形例では、情報処理装置側で、睡眠状態とケア記録の項目の内容との関連性を分析し、相関の高低を示す相関関係を出力する。これにより、スタッフ等は、より容易に、睡眠に影響する因子を把握できる。
【0094】
以上に説明した情報処理装置(サーバー20)、およびこれを備える情報処理システム1の構成は、上記の実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0095】
例えば、サーバー20が情報処理装置として機能する例を示したが、固定端末30が情報処理装置として機能してもよい。さらに、上述した実施形態では、検出部10、サーバー20、固定端末30およびスタッフ端末40をそれぞれ独立した別個の装置として説明した。しかしながら、これに限定されず、いくつかの構成を統合してもよい。例えばサーバー20の機能を固定端末30内に統合し、これが情報処理装置として機能してもよい。
【0096】
また、上述した実施形態に係る情報処理システム1における処理は、上述のシーケンチャート、またはフローチャートのステップ以外のステップを含んでもよく、あるいは、上述したステップのうちの一部を含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態に係る情報処理装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウエア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、一機能としてその検出部等の装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1 情報処理システム
10 検出部
11 制御部
12 通信部
13 カメラ
14 ナースコール部
15 音声入出力部
20 サーバー(情報処理装置)
21 制御部
22 通信部
23 記憶部
30 固定端末
31 制御部
32 通信部
33 表示部
34 入力部
35 音声入出力部
40 スタッフ端末
41 制御部
42 無線通信部
43 表示部
44 入力部
45 音声入出力部
50 ネットワーク
51 アクセスポイント
60 ベッド
70 対象者(被介護者)
80 スタッフ(介護者)
図1
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