IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図7
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図8
  • 特許-情報処理装置及びプログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0251 20230101AFI20240409BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019184823
(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公開番号】P2021060826
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】得地 賢吾
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/155354(WO,A1)
【文献】特開2016-143297(JP,A)
【文献】特開2017-072721(JP,A)
【文献】特開2011-221693(JP,A)
【文献】特開2012-128395(JP,A)
【文献】特開2013-024997(JP,A)
【文献】特開2003-345923(JP,A)
【文献】特開2015-049102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
情報を出力する出力機器が設置される場所に関する情報である場所情報を取得し、
前記場所情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所の周囲の環境についての情報を取得し、
前記環境についての情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所が属する地域の情報を取得し、
前記地域の情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所の移動を示す情報を取得し、
前記出力機器が設置される場所の移動に応じて、当該出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所の属性を示す情報を取得し、
前記属性を示す情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所にいる傾向があるとされるユーザの情報を取得し、
前記ユーザの情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
情報を出力する出力機器が設置される場所に関する情報である場所情報を取得し、
前記場所情報に基づき、前記出力機器が情報を出力する際に実行される処理の内容、又は、当該出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定し、
前記出力機器が設置される場所で禁止される処理の内容に決定しないようにし、
前記禁止される処理の内容が許可される場所の情報を通知すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容として、前記場所情報に基づき、当該出力機器の画面に対する接触により情報の入力を受け付けるように制御すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容として、前記場所情報に基づき、当該出力機器が音声により情報の入力を受け付けるように制御すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
更に、前記出力機器が設置される場所にいるユーザを検知し、
検知したユーザの情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
設置される場所に関する情報である場所情報を取得し、
前記場所情報に基づき、情報が入力される際に実行される処理の内容を決定すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
情報を出力する出力機器が設置される場所に関する情報である場所情報を取得する機能と、
前記場所情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定する機能と
を実現させるためのプログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
設置される場所に関する情報である場所情報を取得する機能と、
前記場所情報に基づき、情報が入力される際に実行される処理の内容を決定する機能と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自装置の設置位置を特定可能な位置情報を外部装置から受信し、受信した位置情報を外部の情報処理装置に通知して設置位置に対応付けられたコンテンツの配信を問合せて、問合せによって配信されたコンテンツを受信し、受信したコンテンツを再生するデジタルサイネージ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-117603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えばデジタルサイネージのようなディスプレイを用いて、情報を出力したり情報の入力を受け付けたりする場合がある。このような機器は様々な場所に設置されるが、場所によって求められる処理内容は異なると考えられる。
本発明の目的は、設置される場所に応じて、情報を出力する際に実行される処理の内容、又は、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、情報を出力する出力機器が設置される場所に関する情報である場所情報を取得し、前記場所情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所の周囲の環境についての情報を取得し、前記環境についての情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所が属する地域の情報を取得し、前記地域の情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所の移動を示す情報を取得し、前記出力機器が設置される場所の移動に応じて、当該出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所の属性を示す情報を取得し、前記属性を示す情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記場所情報として、前記出力機器が設置される場所にいる傾向があるとされるユーザの情報を取得し、前記ユーザの情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、情報を出力する出力機器が設置される場所に関する情報である場所情報を取得し、前記場所情報に基づき、前記出力機器が情報を出力する際に実行される処理の内容、又は、当該出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定し、前記出力機器が設置される場所で禁止される処理の内容に決定しないようにし、前記禁止される処理の内容が許可される場所の情報を通知することを特徴とする情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容として、前記場所情報に基づき、当該出力機器の画面に対する接触により情報の入力を受け付けるように制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容として、前記場所情報に基づき、当該出力機器が音声により情報の入力を受け付けるように制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、更に、前記出力機器が設置される場所にいるユーザを検知し、検知したユーザの情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、設置される場所に関する情報である場所情報を取得し、前記場所情報に基づき、情報が入力される際に実行される処理の内容を決定することを特徴とする情報処理装置である。
請求項12に記載の発明は、コンピュータに、情報を出力する出力機器が設置される場所に関する情報である場所情報を取得する機能と、前記場所情報に基づき、前記出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定する機能とを実現させるためのプログラムである。
請求項13に記載の発明は、コンピュータに、設置される場所に関する情報である場所情報を取得する機能と、前記場所情報に基づき、情報が入力される際に実行される処理の内容を決定する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、設置される場所に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項2記載の発明によれば、設置される場所の周囲の環境に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項3記載の発明によれば、設置される場所が属する地域に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項4記載の発明によれば、設置される場所の移動に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項5記載の発明によれば、設置される場所の属性に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項6記載の発明によれば、設置される場所にいる傾向があるとされるユーザに応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項7記載の発明によれば、設置される場所で禁止される処理を実行しないようにすることができ、禁止される処理の内容が許可される場所に誘導することができる。
請求項8記載の発明によれば、設置される場所に応じて、画面に対する接触により情報の入力を受け付けるか否かを異ならせることができる。
請求項9記載の発明によれば、設置される場所に応じて、音声により情報の入力を受け付けるか否かを異ならせることができる。
請求項10記載の発明によれば、設置される場所にいるユーザに応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項11記載の発明によれば、設置される場所に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせることができる。
請求項12記載の発明によれば、設置される場所に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせる機能を、コンピュータにより実現できる。
請求項13記載の発明によれば、設置される場所に応じて、情報が入力される際に実行される処理の内容を異ならせる機能を、コンピュータにより実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係る情報処理システムの全体構成の例を概略的に示す図である。
図2】ブース型の空間の外観構成例を説明する図である。
図3】本実施の形態に係る空間管理サーバのハードウェア構成の一例を説明する図である。
図4】本実施の形態に係る出力機器に含まれるモニタのハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】空間管理サーバの機能構成の例を説明する図である。
図6】(A)~(D)は、場所情報テーブルの一例を示す図である。
図7】(A)~(C)は、場所情報テーブルの一例を示す図である。
図8】空間管理サーバにて実施される処理の手順の一例を示したフローチャートである。
図9】(A)、(B)は、場所情報テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0009】
<情報処理システムの全体構成>
図1は、本実施の形態に係る情報処理システム1の全体構成の例を概略的に示す図である。本実施の形態に係る情報処理システム1は、クラウドネットワーク3に接続された各種の装置、空間2で構成されている。
【0010】
空間2は、ブース、宿泊施設等の客室、会社内等の会議室等を含む。また、空間2は、自動車等の移動可能な場所であってもよい。これらは、壁や間仕切り等によって周囲から区切られている空間2の一例である。また、空間2は、飲食店等でサービスの提供を受けるテーブルや座席等を含む。これらは、周囲に開放された空間の一例である。このように、本実施の形態における空間2の形態は限定されない。
また、本実施の形態における空間2には、管理上の名称や番号等が付与されている。更に、本実施の形態において、空間2は複数存在してもよいし、1つであってもよい。なお、空間2を利用する場合、有料でも無料でもよい。
【0011】
また、空間2の扉に電子錠が取り付けられている場合、空間2の利用は、事前に配布された電子鍵を有することが利用の条件になる。扉を有しない空間2の場合には、例えば、事前に配布された認証コードを用いてユーザを認証する方法、空間2の管理者が空間2を利用するユーザの氏名を確認する方法等が用いられる。
【0012】
また、図1に示す例では、クラウドネットワーク3に接続された装置の例として、ユーザが操作するユーザ端末4、空間2を管理する空間管理サーバ5が示されている。更に、クラウドネットワーク3には、空間2が接続されている。より具体的には、空間2には各種の機器が設けられ、この機器が、クラウドネットワーク3に接続されている。
【0013】
ここで、ある空間2を管理する事業者は、単独でも複数でもよい。例えば予約の管理、利用権限の管理、入退室や室内の利用状況などの管理、ユーザに対する利用料金の請求に関する管理、ユーザとして登録されている会員の管理のそれぞれを、異なる事業者が分担してもよい。また、空間2毎に異なる事業者が管理してもよい。
また、上述したように、予約の対象として管理される空間2は、同種である必要もない。例えば空間2の一部はブースであり、空間2の一部は飲食店等の座席やテーブルでもよい。
更に、1つの目的又は機能についての管理を、複数の事業者が協働で提供してもよい。
【0014】
ユーザ端末4は、ユーザが使用する装置である。本実施の形態では、ユーザ端末4として、例えば、ユーザが携帯可能なスマートフォンを想定する。もっとも、ユーザ端末4は、いわゆるウェアラブル端末でもよいし、ノート型のコンピュータやゲーム端末でもよい。
【0015】
情報処理装置の一例としての空間管理サーバ5は、空間2に関連する各種の情報を管理する。
例えば、空間管理サーバ5は、後述する出力機器24が設置される場所に関する情報(以下、「場所情報」と称する)を取得し、取得した場所情報に基づき、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容を決定する。そして、空間管理サーバ5は、決定した処理の内容にて情報が出力されるように、出力機器24を制御する。
【0016】
また、空間管理サーバ5は、空間2に関連付けられている物品やサービスの予約を管理してもよい。例えば、貸し出しや使用の許諾が可能な物品やサービス、消費される又は消耗する物品やサービスを管理してもよい。
なお、図1には、空間管理サーバ5として、1台の装置しか示していないが、複数台の装置を用意してもよい。即ち、空間管理サーバ5の機能を1台の装置で実現するのではなく、複数台の装置で空間管理サーバ5の機能を実現するようにしてもよい。
【0017】
<空間の構成>
図2は、ブース型の空間2の外観構成例を説明する図である。
図2に示すブース型の空間2は、例えば駅の構内、空港、オフィスビル、飲食店やデパート等の商業施設、銀行、図書館、美術館、博物館、公共機関や施設、連絡通路、公園等、室内外を問わずに配置される。
図2に示すブース型の空間2は、天井が取り付けられている閉鎖型のブースである。ただし、閉鎖型とは、密閉の意味ではなく、実用的な防音性能を備えていればよい。このため、通気口や小窓等の開口や隙間が、空間2を構成する躯体の一部分に設けられていてもよい。また、窓は開閉が可能でもよい。
【0018】
図2に示す空間2の躯体は、天井20Aと、床面20Bと、開閉可能な扉22が取り付けられている壁面20Cと、壁面20Cの両側に位置する2つの壁面20D及び20Eと、扉22の対面側に位置する壁面20Fとで構成される。
天井20Aには、換気口23が設けられている。換気口23には、開口面積の調整が可能なルーバ23Aが取り付けられている。図2のルーバ23Aは、全開状態にある。
本実施の形態では、扉22は、一例として、壁面20Cに沿って移動が可能な引き戸を想定する。また、図2に示す例では、扉22は、一方向にスライドされる片引き扉であるが、2枚以上の部材を行き違わせて開閉する引き違い扉でもよいし、2枚の部材を左右にスライドする引き分け扉でもよい。更に、扉22には、開閉時にユーザが掴む取手22Aが取り付けられている。また、扉22には、扉22の解錠および施錠を可能にする電子錠22Cが取り付けられている。
【0019】
また、扉22の中央部分には、秘匿性と防犯性を考慮した加工が施された部材22Bが配置されている。部材22Bは、例えば多数の孔が配列された金属製の板(例えばパンチングメタル)が内側に取り付けられた透明板でもよいし、目隠しとなる部材が隙間を空けて内側に取り付けられた透明板でもよいし、正面からは内部の確認が容易であるが斜め方向からは内部の確認が困難なフィルムが貼り付けられた透明板でもよいし、内部の視認性を低下させる加工が施された透明板でもよい。なお、当該加工は、部材22Bの一部に施されていてもよい。
もっとも、秘匿性と防犯性を考慮した加工は、扉22以外の部材にも施されることを妨げない。例えば壁面20D、20E、20Fの少なくとも一部に秘匿性と防犯性を考慮した加工が施されていてもよい。
【0020】
空間2の利用人数は、空間2の容積によっておおよそ決まる。図2に示す空間2は、基本的に1~3人の少人数が使用する個室型を想定したものである。もっとも、本実施の形態に係る空間2は、多人数を収容可能な大部屋でもよい。大部屋は、単独の部屋として構成されていてもよいが、空間2の壁面20D及び20Eの一方又は両方を取り除いた複数の空間2を連結することで形成してもよい。
【0021】
また、空間2には、各種の備品及び機器が配置される。機器としては、画像(本実施の形態の画像には、動画及び静止画を含む)を表示する表示装置であるモニタ24A、及び、音を出力する音出力装置であるスピーカ24Bが設けられている。なお、スピーカ24Bを別途設けず、モニタ24Aに設けられたスピーカから音を出力するようにしてもよい。モニタ24Aは、例えば、不図示の机の上に置かれたり、壁面20C~20Fに埋め込まれたり、天井20Aからぶら下げられたりして配置される。また、図2に示す例では、モニタ24A及びスピーカ24Bを躯体の内部に設けているが、これらを躯体の外表面に設けてもよい。躯体の外表面に設けた場合、空間2の外部の人に向けて情報が出力される。
【0022】
以下では、モニタ24A、スピーカ24Bをまとめて「出力機器24」と称する場合がある。本実施の形態において、出力機器24は、情報を出力する出力機器の一例である。
また、出力機器24が設置される場所を「出力機器設置場所」と称する場合がある。付言すると、出力機器設置場所は、空間2と捉えることもできる。ただし、机の上や躯体の外表面など、空間2にも様々な場所があるため、出力機器設置場所を、空間2における特定の場所と捉えてもよい。
【0023】
また、躯体の内部には、躯体の内部の撮影を行うカメラなどにより構成される撮影装置25、躯体の内部のユーザを検出する人感センサ26が設けられている。
更に、躯体の外表面には、空間2を利用するユーザの個々の情報を取得するための情報取得装置27が設けられる。この情報取得装置27は、例えば、ユーザに翳されるIDカードを読み取るリーダにより構成される。また、その他に、情報取得装置27は、ユーザの指紋や静脈の配置などを読み取るリーダなどであってもよい。
また、躯体の外表面には、空間2の外部の撮影を行うカメラなどにより構成される撮影装置28が設けられている。
【0024】
更に、図2には示していないが、出力機器設置場所の場所情報を収集するために、他の各種センサを設けてもよい。各種センサとしては、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して空間2や出力機器24の位置を測定するGPSセンサ、空間2の室内の音の収集に使用される集音マイク、空間2の室外の音の収集に使用される集音マイク、空間2の室内の温度の測定に使用される温度センサ、空間2の室外の温度の測定に使用される温度センサ、空間2の室内の湿度の測定に使用される湿度センサ、空間2の室外の湿度の測定に使用される湿度センサ、空間2の室内の空気に含まれる成分を検知する環境センサ、空間2の室外の空気に含まれる成分を検知する環境センサ、モノの動きを検知する加速度センサやジャイロセンサ等が例示される。なお、これらの各種センサを出力機器24自体に備え付けてもよい。
【0025】
なお、空間2を構成する躯体の形状や構造、提供される設備や性能は任意であり、図2に示す構成に限定されない。例えば、天井20Aを取り除いた構成も可能である。また、上述したように、空間2は、閉鎖型であってもよいし、外部に対して閉じられていない開放型であってもよい。
【0026】
<空間管理サーバのハードウェア構成>
図3は、本実施の形態に係る空間管理サーバ5のハードウェア構成の一例を説明する図である。
空間管理サーバ5は、装置全体の動作を制御する制御ユニット101と、管理データ等を記憶するハードディスクドライブ102と、LAN(Local Area Network)ケーブル等を介した通信を実現するネットワークインターフェース103とを有している。
【0027】
制御ユニット101は、CPU(Central Processing Unit)111と、基本ソフトウェアやBIOS(Basic Input Output System)等が記憶されたROM(Read Only Memory)112と、ワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)113とを有している。CPU111はマルチコアでもよい。また、ROM112は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。制御ユニット101は、いわゆるコンピュータである。
【0028】
ハードディスクドライブ102は、円盤状の基板表面に磁性体を塗布した不揮発性の記憶媒体にデータを読み書きする装置である。もっとも、不揮発性の記憶媒体は、半導体メモリや磁気テープでもよい。
この他、管理サーバは、必要に応じ、キーボード、マウス等の入力デバイス、液晶ディスプレイ等の表示デバイスも備える。
制御ユニット101と、ハードディスクドライブ102と、ネットワークインターフェース103とは、バス104や不図示の信号線を通じて接続されている。
【0029】
<モニタのハードウェア構成>
図4は、本実施の形態に係る出力機器24に含まれるモニタ24Aのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0030】
モニタ24Aは、装置全体の動作を制御する制御ユニット201と、各種のデータを記憶するメモリカード202と、無線通信の規格に準拠する各種の通信インターフェース203と、タッチセンサ等の入力デバイス204と、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイス205と、GPSセンサ206と、各部を接続するバス207とを有している。
【0031】
制御ユニット201は、CPU211と、ファームウェアやBIOS等が記憶されたROM212と、ワークエリアとして用いられるRAM213とを有している。CPU211はマルチコアでもよい。また、ROM212は、書き換え可能な不揮発性の半導体メモリでもよい。
【0032】
通信インターフェース203は、例えば、空間管理サーバ5との接続に使用されるインターフェース、無線LANとの接続に使用されるインターフェースである。
GPSセンサ206は、GPS衛星からの電波を受信して出力機器24の位置を測定するセンサである。GPSセンサ206から出力される緯度、経度、高度の情報は、出力機器24の現在位置を与える。なお、GPSセンサ206は、屋内用の測位システムに対応してもよい。
【0033】
<空間管理サーバの機能構成>
図5は、空間管理サーバ5の機能構成の例を説明する図である。空間管理サーバ5は、場所情報取得部51、処理内容決定部52、場所情報テーブル格納部53、出力制御部54、出力情報格納部55を備える。
【0034】
場所情報取得部51は、出力機器24が設置される出力機器設置場所の場所情報を取得する。詳細は後述するが、ここで取得される場所情報は、例えば、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報や、出力機器設置場所が属する地域の情報などである。
【0035】
付言すると、場所情報は、例えば、空間2に設けられた撮影装置25、撮影装置28、集音マイク等の各種センサにより収集されて、空間管理サーバ5に送信される。また、例えば、空間2とは別の位置に撮影装置を設け、この撮影装置により空間2又は出力機器24を撮影して得られた情報を場所情報としてもよい。更に、場所情報は、例えば、出力機器設置場所の気温や天気の情報など、インターネットを介して収集される情報であってもよい。また、場所情報は、例えば、出力機器設置場所の住所など、ユーザが空間管理サーバ5に登録する情報であってもよい。
【0036】
処理内容決定部52は、場所情報取得部51が取得した場所情報に基づき、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容を決定する。ここで、処理内容決定部52は、場所情報テーブル格納部53に格納された場所情報テーブルを参照して、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容を決定する。詳細は後述するが、ここで決定される処理の内容は、例えば、音及び画像の各々の出力の有無や、出力される音についての処理の内容、出力される画像についての処理の内容などである。
【0037】
場所情報テーブル格納部53は、場所情報テーブルを格納する。この場所情報テーブルは、場所情報と、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容とを対応付けたテーブルである。場所情報テーブルの詳細については、後述する。
【0038】
出力制御部54は、処理内容決定部52が決定した処理の内容に基づき、出力機器24における情報の出力を制御する。
【0039】
出力情報格納部55は、出力機器24により出力される情報を格納する。具体的には、出力機器24により出力されるコンテンツであり、言い換えると、動画、静止画、音などの情報が格納される。
【0040】
そして、空間管理サーバ5の各機能部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、空間管理サーバ5を、図3に示したハードウェア構成にて実現した場合、例えば、ハードディスクドライブ102等に記憶されたプログラムが、RAM113に読み込まれてCPU111に実行されることにより、場所情報取得部51、処理内容決定部52、出力制御部54等の各機能部が実現される。また、場所情報テーブル格納部53、出力情報格納部55は、例えば、ハードディスクドライブ102により実現される。
【0041】
<場所情報の説明>
次に、場所情報について、具体例を挙げて詳細に説明する。
【0042】
(出力機器設置場所の周囲の環境についての情報)
場所情報の一例として、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報が挙げられる。具体的には、例えば、出力機器設置場所の周囲の音の大小、出力機器設置場所の周囲の人通りの多さ、出力機器設置場所の日当たりや明るさ、気温、湿度、天気などの情報が例示される。また、出力機器24がユーザのいる地点からどれくらいの高さに設置されているか、例えば、空間2の床面20Bから出力機器24までの距離の情報を、場所情報として用いてもよい。
【0043】
(出力機器設置場所が属する地域の情報)
場所情報の一例として、出力機器設置場所が属する地域の情報が挙げられる。具体的には、例えば、出力機器設置場所が属する地域として、国内、国外などの情報が例示される。また、例えば、市街地、住宅地、工業地域など、出力機器設置場所が属する地域の種類を示す情報であってもよい。
【0044】
(出力機器設置場所の移動についての情報)
場所情報の一例として、出力機器設置場所の移動についての情報が挙げられる。具体的には、例えば、出力機器設置場所の移動の有無、出力機器設置場所の移動の速度などの情報が例示される。
【0045】
(出力機器設置場所の属性を示す情報)
場所情報の一例として、出力機器設置場所の属性を示す情報が挙げられる。具体的には、例えば、出力機器設置場所の住所やGPSセンサで取得される位置情報により、出力機器設置場所の属性が判断される。また、出力機器設置場所毎に(又は、空間2毎に)、出力機器設置場所の属性を予め付与してもよい。
出力機器設置場所の属性としては、例えば、オフィス、病院、学校、駅、空港、デパート等、出力機器設置場所が存在する施設の情報が例示される。また、例えば、高速道路、一般道路などの道路の情報であってもよい。
【0046】
(出力機器設置場所にいる傾向があるとされるユーザの情報)
場所情報の一例として、出力機器設置場所にいる傾向があるとされるユーザの情報が挙げられる。具体的には、例えば、会社員が多い傾向がある、高齢者が多い傾向がある、外国人が多い傾向がある等の情報が例示される。
ここで、出力機器設置場所にどのようなユーザがいる傾向があるかについては、出力機器設置場所に応じて判断される。例えば、出力機器設置場所がオフィスの場合、会社員が多い傾向があると判断される。例えば、出力機器設置場所が東京の巣鴨にある場合、高齢者が多い傾向があると判断される。例えば、出力機器設置場所が外国人向けの観光地の場合、外国人が多い傾向があると判断される。
また、例えば、撮影装置25で撮影された空間2の内部の様子や、撮影装置28で撮影された空間2の外部の様子から、出力機器設置場所にどのようなユーザがいる傾向があるかを判断してもよい。
なお、出力機器設置場所にいる傾向があるとされるユーザには、空間2に入室するユーザだけでなく、空間2の周囲にいるユーザも含まれる。
【0047】
(その他の場所情報の例)
場所情報は、出力機器設置場所の現在の情報に限られず、将来の予測により得られる情報であってもよい。将来の予測により得られる情報としては、例えば、出力機器設置場所の天気予報の情報などが例示される。
【0048】
<処理内容の説明>
次に、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容について、具体例を挙げて詳細に説明する。
【0049】
処理の内容の一例として、音及び画像の各々の出力の有無が挙げられる。具体的には、例えば、画像及び音を出力する、画像のみを出力する、音のみを出力する等である。
また、処理の内容の一例として、出力される音についての処理の内容が挙げられる。具体的には、音についての処理の内容として、例えば、音の出力の有無、出力される音の大きさ、出力される音の高さ、出力される音の再生速度等が挙げられる。また、音についての処理の内容は、日本語で出力する、日本語を異なる言語に翻訳して出力する等の言語についての処理の内容であってもよい。
【0050】
更に、処理の内容の一例として、出力される画像についての処理の内容が挙げられる。具体的には、画像についての処理の内容として、例えば、画像の出力の有無、画面(例えば、モニタ24Aの表示領域)の明るさ、画面の大きさ、画面の分割数、動画の再生速度等が挙げられる。画面の分割数とは、画面を何個に分割するかであり、例えば、2分割、4分割等である。また、画像についての処理の内容として、動画や静止画に含まれる文字の大きさを決定してもよい。更に、画像についての処理の内容として、日本語や外国語の字幕の有無を決定してもよい。
【0051】
<場所情報テーブルの説明>
図6及び図7は、場所情報テーブルの一例を示す図である。
【0052】
図6(A)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報、具体的には、出力機器設置場所の周囲の音の大小が定められている。また、処理の内容として、音及び画像の各々の出力の有無が定められている。
より具体的には、出力機器設置場所の周囲の音が非常に大きい場合、画像のみを出力し、周囲の音が大きい場合、画像及び音を出力し、周囲の音が小さい場合、音のみを出力することが定められている。付言すると、周囲の音が非常に大きい場合には、音の出力が制限されて、画像のみが出力されるようになる。また、周囲の音が小さい場合には、画像の出力が制限されて、音のみが出力されるようになる。
なお、音の大きさは、例えばdB(デシベル)を単位として、予め定めた第1の閾値を超える場合に「音が非常に大きい」とされ、予め定めた第1の閾値以下で第2の閾値を超える場合に「音が大きい」とされ、予め定めた第2の閾値以下の場合に「音が小さい」とされる。
【0053】
図6(B)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報、具体的には、出力機器設置場所の周囲の人通りの多さが定められている。
より具体的には、出力機器設置場所の周囲の人通りが多い場合、情報を出力する際の音を特定の音量より大きくして、音及び画像の再生速度を早送りにすることが定められている。一方、出力機器設置場所の周囲の人通りが少ない場合、情報を出力する際の音を特定の音量にして、音及び画像の再生速度を変更しないことが定められている。
なお、人通りの多さは、例えば撮影装置28にて得られた画像を解析して、一定時間内に撮影された人の人数が予め定めた閾値を超える場合に「人通りが多い」とされ、予め定めた閾値以下の場合に「人通りが少ない」とされる。また、再生速度の早送りは、例えば2倍速である。
【0054】
図6(C)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報、具体的には、出力機器設置場所の明るさが定められている。
より具体的には、出力機器設置場所が明るい場合、画像の出力に伴う画面の明るさを特定の輝度より高くして、出力機器設置場所が暗い場合、画像の出力に伴う画面の明るさを特定の輝度にすることが定められている。
なお、出力機器設置場所の明るさは、例えばルクスを単位として、予め定めた閾値を超える場合に「出力機器設置場所が明るい」とされ、予め定めた閾値以下の場合に「出力機器設置場所が暗い」とされる。
【0055】
図6(D)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所が属する地域の情報が定められている。
より具体的には、出力機器設置場所が属する地域が国内の場合に国内用コンテンツを出力し、外国の場合に外国用コンテンツを出力することが定められている。例えば、国内では、日本語の国内用コンテンツが出力され、外国では、国内用コンテンツの音声を日本語からその国の言語に翻訳した外国用コンテンツや、国内用コンテンツの音声に加えて、その国の言語を字幕として表示する外国用コンテンツが出力される。
【0056】
ここで、国内や外国の地域によっては、その地域の法律等により、例えば、動画の出力は許可されているが音の出力は禁止されているような場合や、出力する音の音量が制限されているような場合があり得る。そこで、出力機器設置場所が属する地域に応じて、その地域で禁止される処理の内容にしないように、場所情報テーブルを定めてもよい。例えば、X国では公共の場で音を出力することが禁止されている場合、音を出力せずに画像のみを出力するように場所情報テーブルを定めてもよい。
【0057】
図7(A)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所の移動についての情報が定められている。
より具体的には、出力機器設置場所が移動しない場合には、情報を出力する際の音を特定の音量にして、文字の大きさを変更しないことが定められている。一方、出力機器設置場所が移動する場合には、情報を出力する際の音を特定の音量より大きくして、文字を大きくすることが定められている。
なお、出力機器設置場所が移動する場合とは、例えば、出力機器24がトラックの荷台の壁面に埋め込まれている場合等が例示される。
【0058】
図7(B)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所の属性を示す情報が定められている。
より具体的には、出力機器24の属性が「オフィス」の場合には、情報を出力する際の音を特定の音量にして、文字の大きさを変更しないことが定められている。また、出力機器24の属性が「病院」の場合には、情報を出力する際の音を特定の音量より小さくして、文字を大きくすることが定められている。付言すると、例えば、病院では静かにすることが求められるため、音は小さくされる。また、病院には高齢者が多くいるため、文字は大きくされる。更に、出力機器24の属性が「空港」の場合には、画像のみを出力することが定められている。例えば、空港内のフライトのアナウンス等が聞こえないようにするのを防止するために、音は出力されずに画像のみが出力される。
【0059】
図7(C)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所にいる傾向があるとされるユーザの情報が定められている。
より具体的には、出力機器設置場所にいるユーザに会社員が多い場合には、情報を出力する際の音を特定の音量にして、文字の大きさを変更せず、画面の明るさを特定の輝度にすることが定められている。出力機器設置場所にいるユーザに高齢者が多い場合には、情報を出力する際の音を特定の音量より大きくして、文字を大きくして、画面の明るさを特定の輝度より高くすることが定められている。出力機器設置場所にいるユーザに外国人が多い場合には、音を出力せずに画像のみを出力することが定められている。
【0060】
このように、場所情報テーブルでは、場所情報と出力機器24の処理の内容とが対応付けられている。そして、場所情報テーブルを基に、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容が決定される。ただし、図6及び図7に示す例は、場所情報テーブルの一例に過ぎない。場所情報及び処理の内容には様々なものがあるため、場所情報と処理の内容との対応付けは種々の形態で実現される。
【0061】
例えば、図6(A)に示す例では、出力機器設置場所の周囲の音の大小と、音及び画像の各々の出力の有無とを対応付けたが、出力機器設置場所の周囲の音の大小と、情報を出力する際の音の音量や再生速度とを対応付けてもよい。また、例えば、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報として、出力機器設置場所の日当たり、気温、湿度、天気などの情報を用いてもよい。
【0062】
更に、図6及び図7に示す例では、複数の場所情報テーブルを示したが、場所情報テーブル格納部53には、複数の場所情報テーブルを格納してもよいし、1つの場所情報テーブルのみを格納してもよい。
なお、場所情報テーブル格納部53に複数の場所情報テーブルを格納する場合に、どの場所情報テーブルを用いるかについては、予め設定されたり、出力機器24にて情報を発信する発信者であるユーザが選択したりする。ここで、複数の場所情報テーブルのうちの2つ以上の場所情報テーブルを用いるようにしてもよいし、複数の場所情報テーブルのうちの1つの場所情報テーブルのみを用いるようにしてもよい。
【0063】
<空間管理サーバの処理手順>
図8は、空間管理サーバ5にて実施される処理の手順の一例を示したフローチャートである。図8の処理は、例えば定期的(例えば、10分毎)に行われる。
なお、以下では、処理のステップを記号の「S」と表記する。
【0064】
まず、場所情報取得部51は、情報を出力する対象となる出力機器24を決定する(S101)。例えば、場所情報取得部51は、複数の空間2の各々に配置された出力機器24の中から、情報を出力する対象となる出力機器24を決定する。
次に、場所情報取得部51は、S101で決定した出力機器24の出力機器設置場所の場所情報を取得する(S102)。例えば、場所情報を各種センサから収集する場合、S101の処理の後に各種センサから収集された場所情報を用いてもよいし、S101の処理の前に各種センサから収集済みの場所情報を用いてもよい。
【0065】
次に、処理内容決定部52は、場所情報テーブルを参照して、S102で取得された場所情報に対応する処理内容を選択する(S103)。次に、出力制御部54は、S103で選択された処理内容に基づき、出力機器24における情報の出力を制御する(S104)。そして、本処理フローは終了する。
【0066】
<空間管理サーバの処理の具体例>
次に、空間管理サーバ5の処理の具体例について説明する。
【0067】
例えば、出力機器24にて情報を発信する発信者であるユーザが、出力機器24を何れかの空間2に設置する。次に、場所情報取得部51は、出力機器24が設置された空間2から、出力機器24の出力機器設置場所の場所情報を取得する。
【0068】
ここで、1つ目の例として、図6(A)の場所情報テーブルのみを用いる場合について説明する。この場合、処理内容決定部52は、図6(A)の場所情報テーブルを参照し、空間2の集音マイクにより収集された音の情報に基づいて、出力機器設置場所の周囲の音の大きさが予め定めた第1の閾値、予め定めた第2の閾値を超えるか否かを判定する。この例では、出力機器設置場所の周囲の音の大きさが予め定めた第1の閾値を超えるものとする。この場合、処理内容決定部52は、画像のみを出力することを決定する。
【0069】
次に、出力制御部54は、出力情報格納部55から、出力する対象のコンテンツを取得する。このコンテンツは、出力機器24にて情報を発信する発信者により、出力情報格納部55に格納される。そして、出力制御部54は、出力情報格納部55から取得したコンテンツを画像のみで出力するように、出力機器24における情報の出力を制御する。付言すると、出力情報格納部55から取得したコンテンツに音が含まれていたとしても、出力機器24は、音を出力せずに、画像のみを表示する。
【0070】
次に、2つ目の例として、複数の場所情報テーブルを用いる場合について説明する。ここでは、図6(B)、図7(A)の2つの場所情報テーブルを用いるものとする。この場合、処理内容決定部52は、2つの場所情報テーブルの各々に対応する場所情報として、出力機器設置場所の周囲の人通りの情報、出力機器設置場所の移動についての情報を取得する。そして、図6(B)、図7(A)の場所情報テーブルを参照し、取得した場所情報に対応する処理の内容を選択する。
【0071】
この例では、出力機器設置場所の周囲の人通りが多く、出力機器設置場所の移動はないものとする。この場合、処理内容決定部52は、図6(B)の場所情報テーブルにより、出力する音を特定の音量より大きくして、再生速度を早送りにすることを決定する。また、図7(A)の場所情報テーブルにより、出力する音を特定の音量にして、文字の大きさを変更しないことを決定する。
【0072】
ここで、図6(B)の場所情報テーブルでは出力する音を特定の音量より大きくすることが決定され、図7(A)の場所情報テーブルでは出力する音を特定の音量にすることが決定されるため、両方を採用することはできない。そこで、予め定められた規則に従って、何れか一方が採用される。例えば、場所情報テーブルに優先度を定めておき、優先度の高い方が採用される。例えば、図7(A)の場所情報テーブルの優先度が高い場合、この場所情報テーブルが採用されて、特定の音量にすることが決定される。
【0073】
なお、ここでの予め定められた規則は、優先度に基づく規則に限定されない。例えば、ユーザの操作によって、優先させる場所情報テーブルを決定してもよい。
また、図7(A)の場所情報テーブルを採用する場合には、図6(B)の場所情報テーブルの全ての設定を採用しないこととしてもよいし、一部の設定を採用することとしてもよい。例えば、図6(B)の場所情報テーブルにおいて、「音を特定の音量より大きくする」という設定を採用しない場合であっても、「再生速度を早送りする」という設定を採用してもよい。
【0074】
この例では、処理内容決定部52は、音を特定の音量にすること、再生速度を早送りすることを決定する。次に、出力制御部54は、出力情報格納部55から出力する対象のコンテンツを取得し、取得したコンテンツを、特定の音量で、再生速度を早送りにして出力するように、出力機器24における情報の出力を制御する。
【0075】
また、この例では、ユーザが、出力機器24を設置した後に出力機器24の処理の内容を決定したが、出力機器24を設置する前に、この出力機器24の処理の内容を決定してもよい。この場合、例えば、ユーザは、出力機器設置場所として、出力機器24を設置する予定の場所についての情報を入力する。場所情報取得部51は、ユーザの入力を基に、出力機器設置場所の場所情報を取得する。そして、処理内容決定部52は、場所情報テーブルに基づき、出力機器24の処理の内容を決定する。
【0076】
<出力機器に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定する処理>
上述した例では、出力機器設置場所の場所情報に基づき、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容を決定した。ここで、本実施の形態では、出力機器設置場所の場所情報に基づき、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定してもよい。
出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容とは、例えば、出力機器24の画面に対する接触により情報の入力を受け付けるか否か、出力機器24が音声により情報の入力を受け付けるか否か等である。なお、音声により情報の入力を受け付ける場合には、例えば、出力機器24に備え付けられた集音マイクが用いられる。
【0077】
図9は、場所情報テーブルの一例を示す図である。
図9(A)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報、具体的には、出力機器設置場所の周囲の音の大小が定められている。
より具体的には、出力機器設置場所の周囲の音が大きい場合には、ユーザからの音声を正確に収集するのが難しい可能性がある。そこで、出力機器24の画面に対する接触により情報の入力を受け付ける機能をオンにすることが定められている。また、出力機器24において音声により情報の入力を受け付ける機能をオフにすることが定められている。一方、出力機器設置場所の周囲の音が小さい場合には、出力機器24の画面に対する接触により情報の入力を受け付ける機能、出力機器24において音声により情報の入力を受け付ける機能の両方をオンにすることが定められている。
【0078】
また、図9(B)に示す例では、場所情報として、出力機器設置場所の周囲の環境についての情報、具体的には、ユーザのいる地点からの高さの情報が定められている。
より具体的には、出力機器24がユーザのいる地点から1.5m以上の場所にある場合、ユーザが出力機器24を直接接触するのは難しい可能性がある。そこで、出力機器24において音声により情報の入力を受け付ける機能をオンにすることが定められている。また、出力機器24の画面に対する接触により情報の入力を受け付ける機能をオフにすることが定められている。一方、出力機器24がユーザのいる地点から1.5m未満の場所にある場合には、出力機器24において音声により情報の入力を受け付ける機能、出力機器24の画面に対する接触により情報の入力を受け付ける機能の両方をオンにすることが定められている。
【0079】
このように、出力機器設置場所の場所情報に基づき、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定してもよい。
付言すると、本実施の形態において、空間管理サーバ5は、出力機器設置場所の場所情報に基づき、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容、及び、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容の両方を決定してもよい。また、空間管理サーバ5は、出力機器設置場所の場所情報に基づき、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容、及び、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容の何れか一方を決定してもよい。
【0080】
<他の構成例>
次に、本実施の形態の他の構成例について説明する。
【0081】
(禁止される処理についての情報を取得する処理)
本実施の形態において、場所情報取得部51は、出力機器設置場所で禁止される処理についての情報を取得してもよい。そして、処理内容決定部52は、場所情報テーブルにかかわらず、出力機器設置場所で禁止される処理の内容に決定しないようにしてもよい。
なお、禁止される処理の内容には、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容が含まれる。
【0082】
例えば、特定の地域の法律により、人通りの多い場所では、交通の妨げにならないように、動画を表示することが禁止されているとする。この場合、場所情報取得部51は、特定の地域にある出力機器設置場所について、出力機器設置場所の周囲の人通りの多さの情報に基づき、出力機器設置場所の周囲の人通りが多いか否かを判断する。そして、出力機器設置場所の周囲の人通りが多いと判断された場合、処理内容決定部52は、場所情報テーブルにかかわらず、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容として、動画を出力しないように決定する。そして、出力制御部54は、出力機器24が動画を出力しないように制御する。
ここで、特定の処理を禁止する代わりに、他の処理で動作させることとしてもよい。例えば、動画を出力しないように制御する代わりに、静止画を出力するように出力機器24を制御してもよい。
【0083】
(禁止される処理が許可される場所の情報を通知する処理)
本実施の形態では、出力機器設置場所において特定の処理が禁止される場合に、その特定の処理の内容が許可される場所の情報を通知してもよい。
例えば、出力機器設置場所において動画を出力することが禁止されている場合、空間管理サーバ5は、動画を出力することが許可される場所として、例えば、出力機器設置場所の近くの場所であって、人通りが少ないと予想される場所の情報を、出力機器24にて情報を発信している発信者であるユーザに通知する。
このように、禁止される処理の内容が許可される場所の情報を通知することにより、情報を発信している発信者であるユーザが、別の場所に出力機器24を設置するように誘導されるようになる。
【0084】
(出力機器設置場所にいるユーザの情報を基に処理の内容を決定する処理)
上述した例では、場所情報に基づき、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定した。ただし、本実施の形態では、出力機器設置場所にいるユーザの情報に基づき、これらの処理の内容を決定してもよい。
例えば、場所情報取得部51は、人感センサ26、撮影装置25、撮影装置28等により、出力機器24の前にいるユーザや、出力機器24を操作したユーザ、出力機器24の音に反応したユーザ等を検知し、検知したユーザの画像を取得する。また、例えば、集音マイクにより、これらのユーザの音声を取得する。そして、処理内容決定部52は、取得されたユーザの情報に基づき、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容、又は、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容を決定する。
【0085】
例えば、取得された画像や音声により、ユーザが高齢者又は障害者と判断される場合、処理内容決定部52は、情報を出力する際の音を特定の音量より大きくして、文字を大きくして、画面の明るさを特定の輝度より高くするように決定する。また、例えば、ユーザの話す速度がゆっくりである場合、処理内容決定部52は、出力する音の速度を特定の速度より遅くするように決定する。更に、例えば、取得された画像により、ユーザが腕を怪我していると判断されたり、杖を使用していると判断されたりする場合、処理内容決定部52は、出力機器24において音声により情報の入力を受け付ける機能をオンにするように決定する。
このように、出力機器設置場所にいるユーザに応じて、出力機器24が情報を出力する際に実行される処理の内容や、出力機器24に情報が入力される際に実行される処理の内容を切り替えてもよい。
【0086】
(その他の例)
本実施の形態では、各種センサ等の機器から取得された場所情報及びユーザが登録した場所情報のうち、使用する場所情報を選択してもよい。例えば、出力機器設置場所の場所情報として、各種センサ等の機器から出力機器設置場所が属する地域の情報を取得するとともに、ユーザも地域の情報を登録する場合があり得る。このような場合、例えば、事前の設定により、何れかの情報が優先して選択される。また、例えば、両者の場所情報の違いをユーザに通知したり、何れの情報を用いるかをユーザに問い合わせたりしてもよい。また、両者の場所情報が一致する場合に、この場所情報を採用することとしてもよい。例えば、各種センサ等の機器から取得された出力機器設置場所の地域が「外国」の場合、ユーザが登録した出力機器設置場所の地域も「外国」であれば、この場所情報「外国」が採用され、場所情報テーブルを基に出力機器24の処理の内容が決定される。
【0087】
また、上述した例では、出力機器24を空間2に設置することとしたが、本実施の形態では、出力機器24を空間2に設置する構成に限られない。本実施の形態では、出力機器24を空間2に設置せずに、出力機器24を単体で設置してもよい。
更に、上述した例では、モニタ24A、スピーカ24Bをまとめて出力機器24としたが、このような構成に限られない。本実施の形態において、出力機器24は、モニタ24Aのみ、スピーカ24Bのみであってもよい。また、出力機器24は、モニタ24A及びスピーカ24B以外の機器であってもよい。例えば、出力機器24として、画像を形成した用紙を出力する画像形成装置、光を発する照明器具等を用いてもよい。
【0088】
なお、上記各実施形態において、CPU111は、プロセッサの一例である。プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、状況に応じて変更してもよい。
【0089】
更に、本実施の形態では、空間管理サーバ5の機能の一部又は全部を出力機器24で実現してもよい。付言すると、出力機器24を、情報処理装置の一例として捉えることも可能である。この場合、例えばモニタ24Aが有するCPU211が、プロセッサの一例である。
【0090】
また、本発明の実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD-ROM等の記録媒体に記憶して提供することも可能である。
【0091】
また、上記では種々の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態や変形例どうしを組み合わせて構成してももちろんよい。
更に、本開示は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…情報処理システム、2…空間、24…出力機器、24A…モニタ、24B…スピーカ、4…ユーザ端末、5…空間管理サーバ、51…場所情報取得部、52…処理内容決定部、53…場所情報テーブル格納部、54…出力制御部、55…出力情報格納部、111…CPU、211…CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9