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特許7467896眼鏡レンズ周縁加工用装置、眼鏡レンズ周縁加工用プログラム、及び、眼鏡レンズ加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】眼鏡レンズ周縁加工用装置、眼鏡レンズ周縁加工用プログラム、及び、眼鏡レンズ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 9/14 20060101AFI20240409BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240409BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240409BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B24B9/14 A
B24B49/10
B24B49/12
G02C13/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019218391
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088014
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】作田 隆真
【審査官】マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-036083(JP,A)
【文献】特開2003-106938(JP,A)
【文献】特開2019-098484(JP,A)
【文献】特開2002-122828(JP,A)
【文献】特開2018-202582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 9/14
B24B 49/10
B24B 49/12
G02C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置であって、
前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得手段と、
前記眼鏡レンズの屈折率であって、前記操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得される屈折率を取得する屈折率取得手段と、
前記アッベ数及び前記屈折率に基づいて、前記眼鏡レンズの質情報を取得する材質情報取得手段と、
前記材質情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工用装置。
【請求項2】
請求項1の眼鏡レンズ周縁加工用装置において、
前記眼鏡レンズのレンズ面に関するレンズ面情報であって、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるレンズ面情報を取得するレンズ面情報取得手段と、
前記眼鏡レンズの厚みに関するレンズ厚情報であって、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるレンズ厚情報を取得するレンズ厚情報取得手段と、
を備え、
前記屈折率取得手段は、前記レンズ面情報と、前記レンズ厚情報と、に基づいて、前記眼鏡レンズの前記屈折率を取得することを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工用装置。
【請求項3】
請求項2の眼鏡レンズ周縁加工用装置において、
前記眼鏡レンズをレンズチャック軸で保持するレンズ保持手段と、
前記眼鏡レンズが前記レンズチャック軸に保持された状態で、前記眼鏡レンズの前記レンズ面を測定するレンズ面測定手段と、
前記眼鏡レンズが前記レンズチャック軸に保持された状態で、前記眼鏡レンズの前記厚みを測定するレンズ厚測定手段と、
を備え、
前記レンズ面情報取得手段は、前記レンズ面測定手段の測定結果に基づいて、前記レンズ面情報を取得し、
前記レンズ厚情報取得手段は、前記レンズ厚測定手段の測定結果に基づいて、前記レンズ厚情報を取得することを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工用装置。
【請求項4】
眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置であって、
前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得手段と、
前記アッベ数取得手段により取得された前記アッベ数に基づいて、前記眼鏡レンズの周縁を加工するための加工制御データを取得する加工制御データ取得手段と、
を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工用装置。
【請求項5】
眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置にて用いる眼鏡レンズ周縁加工用プログラムであって、
前記眼鏡レンズ周縁加工用装置のプロセッサに実行されることで、
前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得ステップと、
前記眼鏡レンズの屈折率であって、前記操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得される屈折率を取得する屈折率取得ステップと、
前記アッベ数及び前記屈折率に基づいて、前記眼鏡レンズの材質情報を取得する材質情報取得ステップと、
前記材質情報を出力する出力ステップと、
を前記眼鏡レンズ周縁加工用装置に実行させることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工用プログラム。
【請求項6】
眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置にて用いる眼鏡レンズ周縁加工用プログラムであって、
前記眼鏡レンズ周縁加工用装置のプロセッサに実行されることで、
前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得ステップと、
前記アッベ数取得ステップにより取得された前記アッベ数に基づいて、前記眼鏡レンズの周縁を加工するための加工制御データを取得する加工制御データ取得ステップと、
を前記眼鏡レンズ周縁加工用装置に実行させることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工用プログラム。
【請求項7】
眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工方法であって、
前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得ステップと、
前記眼鏡レンズの屈折率であって、前記操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得される屈折率を取得する屈折率取得ステップと、
前記アッベ数及び前記屈折率に基づいて、前記眼鏡レンズの材質情報を取得する材質情報取得ステップと、
前記材質情報を出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする眼鏡レンズ周縁加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡レンズの周縁を加工するための、眼鏡レンズ周縁加工用装置、眼鏡レンズ周縁加工用プログラム、及び、眼鏡レンズ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼鏡レンズ周縁加工用装置として、眼鏡レンズの周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置が知られている。この装置では、眼鏡レンズに、粗加工、ヤゲン加工、溝堀加工、等の様々な加工を施すための加工制御データが取得される。眼鏡レンズは、加工制御データに基づいて、所望の形状に研削される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-136969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼鏡レンズに適切な加工を施すため、眼鏡レンズの加工制御データは、眼鏡レンズの材質に応じて、適宜変更される。一例として、眼鏡レンズを研削する際の回転数、眼鏡レンズを砥石に接触させた際の切り込み量、冷却水の使用、等が、眼鏡レンズの材質に応じて、適宜変更される。
【0005】
しかし、従来は、操作者が眼鏡レンズを保管する袋やカタログ等を確認して材質を入力しており、手間が発生していた。また、このために操作者が誤入力した場合、眼鏡レンズは適切に研削されず、眼鏡レンズの破損や装置の故障に繋がっていた。
【0006】
本開示は、上記従来技術に鑑み、眼鏡レンズを適切に加工できる眼鏡レンズ周縁加工用装置、眼鏡レンズ周縁加工用プログラム、及び、眼鏡レンズ加工方法を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を備えることを特徴とする。
【0008】
本開示の第1態様に係る眼鏡レンズ周縁加工用装置は、眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置であって、前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得手段と、前記眼鏡レンズの屈折率であって、前記操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得される屈折率を取得する屈折率取得手段と、前記アッベ数及び前記屈折率に基づいて、前記眼鏡レンズの質情報を取得する材質情報取得手段と、前記材質情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本開示の第2態様に係る眼鏡レンズ周縁加工用装置は、眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置であって、前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得手段と、前記アッベ数取得手段により取得された前記アッベ数に基づいて、前記眼鏡レンズの周縁を加工するための加工制御データを取得する加工制御データ取得手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本開示の第3態様に係る眼鏡レンズ周縁加工用プログラムは、眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置にて用いる眼鏡レンズ周縁加工用プログラムであって、前記眼鏡レンズ周縁加工用装置のプロセッサに実行されることで、前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得ステップと、前記眼鏡レンズの屈折率であって、前記操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得される屈折率を取得する屈折率取得ステップと、前記アッベ数及び前記屈折率に基づいて、前記眼鏡レンズの質情報を取得する材質情報取得ステップと、前記材質情報を出力する出力ステップと、を前記眼鏡レンズ周縁加工用装置に実行させることを特徴とする。
【0011】
本開示の第4態様に係る眼鏡レンズ周縁加工用プログラムは、眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工用装置にて用いる眼鏡レンズ周縁加工用プログラムであって、前記眼鏡レンズ周縁加工用装置のプロセッサに実行されることで、前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得ステップと、前記アッベ数取得ステップにより取得された前記アッベ数に基づいて、前記眼鏡レンズの周縁を加工するための加工制御データを取得する加工制御データ取得ステップと、を前記眼鏡レンズ周縁加工用装置に実行させることを特徴とする。
【0012】
本開示の第5態様に係る眼鏡レンズ周縁加工方法は、眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工方法であって、前記眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数であって、操作者による操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得されるアッベ数を取得するアッベ数取得ステップと、前記眼鏡レンズの屈折率であって、前記操作手段からの操作信号の入力、または、前記眼鏡レンズの測定によって取得される屈折率を取得する屈折率取得ステップと、前記アッベ数及び前記屈折率に基づいて、前記眼鏡レンズの質情報を取得する材質情報取得ステップと、前記材質情報を出力する出力ステップと、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】眼鏡レンズ周縁加工装置の外観図である。
図2】レンズ加工機構部の概略図である。
図3】レンズ形状測定ユニットの概略図である。
図4】ブロッカーユニットの概略図である。
図5】レンズ測定機構の概略図である。
図6】眼鏡レンズ周縁加工装置の制御系を示す図である。
図7】メモリに記憶されたテーブルの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<概要>
本開示の実施形態に関わる眼鏡枠形状測定装置の概要を説明する。なお、以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
【0015】
<眼鏡レンズの材質>
従来、眼鏡レンズとしては標準的にガラスが用いられてきたが、最近ではプラスチックが多く用いられている。眼鏡レンズにおけるプラスチック材質には、高屈折プラスチック、ポリカーボネイト、トライベックス、ウレタン、等の種類が存在している。なお、眼鏡レンズの材質の違いは、眼鏡レンズを作製するために用いる原料の違いにより決定される。
【0016】
例えば、眼鏡レンズの材質によって眼鏡レンズの屈折率は異なるため、眼鏡レンズがガラス材質であるか、あるいはプラスチック材質であるかは、その屈折率から特定することができる。しかし、一部のガラス材質の眼鏡レンズと、一部のプラスチック材質の眼鏡レンズと、では互いの屈折率が近似することがあり、いずれであるかを特定することは難しい場合があった。また、プラスチック材質の眼鏡レンズは、その種類が様々であるために屈折率が近似することも多く、いずれであるかを特定することは難しい場合があった。
【0017】
そこで、本実施形態では、眼鏡レンズの材質によって、眼鏡レンズを通過する光の分散の程度が異なることに注目し、眼鏡レンズの評価に用いられているアッベ数を、眼鏡レンズの材質の特定に用いることを考えた。例えば、眼鏡レンズの材質がプラスチックであっても、その種類毎に光の分散は異なる傾向にあるため、後述する材質情報の取得にアッベ数を用いれば、眼鏡レンズの材質を適切に特定することができる。
【0018】
<アッベ数取得手段>
本実施形態の眼鏡レンズ周縁加工用装置は、アッベ数取得手段(例えば、制御部80)を備える。アッベ数取得手段は、眼鏡レンズにおける光の色分散を表すアッベ数を取得する。例えば、眼鏡レンズのアッベ数は、眼鏡レンズの色収差の程度を示す指標として利用される値である。一例として、眼鏡レンズのアッベ数が大きいほど、眼鏡レンズの色収差は小さく、物の輪郭が鮮明に見える。また、一例として、眼鏡レンズのアッベ数が小さいほど、眼鏡レンズの色収差は大きく、物の輪郭がにじむように見える。
【0019】
アッベ数取得手段は、操作者による操作手段(例えば、スイッチ部6)からの操作信号の入力に基づいて、眼鏡レンズのアッベ数を取得してもよい。また、アッベ数取得手段は、眼鏡レンズのアッベ数を測定することが可能なアッベ数測定手段(例えば、レンズ測定機構60)を用いることで、眼鏡レンズのアッベ数を取得してもよい。例えば、この場合、アッベ数取得手段は、アッベ数測定手段により測定された複数の光の波長の分散値に基づき、眼鏡レンズのアッベ数を算出することによって、眼鏡レンズのアッベ数を取得してもよい。また、アッベ数取得手段は、眼鏡レンズ周縁加工用装置とは異なる装置(例えば、アッベ数測定装置、等)を用いることで、眼鏡レンズのアッベ数を取得してもよい。例えば、この場合、アッベ数取得手段は、眼鏡レンズ周縁加工用装置とは異なる装置から眼鏡レンズのアッベ数を受信することによって、眼鏡レンズのアッベ数を取得してもよい。
【0020】
<屈折率取得手段>
本実施形態の眼鏡レンズ周縁加工用装置は、屈折率取得手段(例えば、制御部80)を備える。屈折率取得手段は、眼鏡レンズの屈折率を取得する。例えば、眼鏡レンズの屈折率は、眼鏡レンズの厚みを示す指標として利用される値である。例えば、眼鏡レンズの屈折率が大きいほど眼鏡レンズは薄く、眼鏡レンズの屈折率が小さいほど眼鏡レンズは厚くなる。
【0021】
屈折率取得手段は、操作者による操作手段(例えば、スイッチ部6)からの操作信号の入力に基づいて、眼鏡レンズの屈折率を取得してもよい。また、屈折率取得手段は、眼鏡レンズの屈折率を測定することが可能な屈折率測定手段(例えば、レンズ形状測定ユニット400)を用いることで、眼鏡レンズの屈折率を取得してもよい。また、屈折率取得手段は、眼鏡レンズ周縁加工用装置とは異なる装置(例えば、屈折率測定装置、等)を用いることで、眼鏡レンズの屈折率を取得してもよい。例えば、この場合、屈折率取得手段は、眼鏡レンズ周縁加工用装置とは異なる装置から眼鏡レンズの屈折率を受信することによって、眼鏡レンズの屈折率を取得してもよい。
【0022】
なお、屈折率取得手段は、眼鏡レンズにおける後述のレンズ面情報とレンズ厚情報とに基づいて、眼鏡レンズの屈折率を取得してもよい。一例として、屈折率取得手段は、眼鏡レンズのレンズ面情報として、眼鏡レンズの曲率半径を取得するとともに、眼鏡レンズのレンズ厚情報として、眼鏡レンズの厚みを取得し、これらの情報に基づいて眼鏡レンズの屈折率を算出することで、眼鏡レンズの屈折率を取得してもよい。
【0023】
<レンズ面情報取得手段>
本実施形態の眼鏡レンズ周縁加工用装置は、レンズ面情報取得手段(例えば、制御部80)を備える。レンズ面情報取得手段は、眼鏡レンズのレンズ面に関するレンズ面情報を取得する。例えば、眼鏡レンズのレンズ面情報は、眼鏡レンズの前面(表面)または後面(裏面)の少なくともいずれかの面に関する情報であればよい。一例として、眼鏡レンズの前面に関する情報は、眼鏡レンズの前面における、曲率、曲率半径、カーブ値、コバ位置、等の少なくともいずれかを含んでいてもよい。また、一例として、眼鏡レンズの後面に関する情報は、眼鏡レンズの後面における、曲率、曲率半径、カーブ値、コバ位置、等の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0024】
レンズ面情報取得手段は、眼鏡レンズのレンズ面を測定するレンズ面測定手段(例えば、レンズ形状測定ユニット400)を用いることで、眼鏡レンズのレンズ面情報を取得してもよい。例えば、この場合、レンズ面測定手段により、眼鏡レンズは、眼鏡レンズをレンズチャック軸(例えば、レンズチャック軸202)で保持するレンズ保持手段に保持された状態で、そのレンズ面が測定される。なお、レンズ面測定手段は、眼鏡レンズのレンズ面に接触される測定子と、測定子の位置を検出する検出器と、を有した接触式の構成を備えてもよい。また、レンズ面測定手段は、眼鏡レンズのレンズ面に測定光束を投光する投光光学系、及び、測定光束の反射光束を受光する受光光学系を有した非接触式の構成を備えてもよい。例えば、レンズ面情報取得手段は、このようなレンズ面測定手段による測定を制御し、レンズ面測定手段の測定結果に基づいて、眼鏡レンズのレンズ面情報を取得してもよい。
【0025】
<レンズ厚情報取得手段>
本実施形態の眼鏡レンズ周縁加工用装置は、レンズ厚情報取得手段(例えば、制御部80)を備える。レンズ厚情報取得手段は、眼鏡レンズの厚みに関するレンズ厚情報を取得する。一例として、眼鏡レンズのレンズ厚情報は、眼鏡レンズの前面におけるコバ位置、眼鏡レンズの後面におけるコバ位置、眼鏡レンズのコバ厚、等の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0026】
レンズ厚情報取得手段は、眼鏡レンズの厚みを測定するレンズ厚測定手段(例えば、レンズ形状測定ユニット400)を用いることで、眼鏡レンズのレンズ厚情報を取得してもよい。例えば、この場合、レンズ厚測定手段により、眼鏡レンズは、眼鏡レンズをレンズチャック軸で保持するレンズ保持手段に保持された状態で、その厚みが測定される。なお、レンズ厚測定手段は、眼鏡レンズのレンズ面に接触される測定子と、測定子の位置を検出する検出器と、を有した接触式の構成を備えてもよい。また、レンズ厚測定手段は、眼鏡レンズのレンズ面に測定光束を投光する投光光学系、及び、測定光束の反射光束を受光する受光光学系を有した非接触式の構成を備えてもよい。例えば、レンズ厚情報取得手段は、このようなレンズ厚測定手段による測定を制御し、レンズ厚測定手段の測定結果に基づいて、眼鏡レンズのレンズ厚情報を取得してもよい。
【0027】
例えば、本実施形態においては、眼鏡レンズ周縁用加工装置が、前述のレンズ面測定手段と、レンズ厚測定手段と、を各々に備える構成としてもよい。また、例えば、本実施形態においては、眼鏡レンズ周縁加工用装置が、前述のレンズ面測定手段と、レンズ厚測定手段と、を兼用する構成としてもよい。例えば、眼鏡レンズ周縁加工用装置がレンズ面測定手段とレンズ厚測定手段とを備えることで、これらに測定されて得られるレンズ面情報とレンズ厚情報とを、眼鏡レンズの屈折率の取得及び眼鏡レンズの取得のいずれにも用いることができる。眼鏡レンズの屈折率を別の装置等から取得する必要がないため、眼鏡レンズを加工するための工程を効率的に進めることができる。
【0028】
<材質情報取得手段>
本実施形態の眼鏡レンズ周縁加工用装置は、材質情報取得手段(例えば、制御部80)を備える。材質情報取得手段は、アッベ数取得手段により取得されたアッベ数に基づいて、眼鏡レンズの材質に関する材質情報を取得する。例えば、眼鏡レンズの材質情報は、高屈折プラスチック、ポリカーボネイト、トライベックス、ウレタン、ガラス、等の情報であってもよい。例えば、眼鏡レンズの材質によってアッベ数は様々であり、眼鏡レンズの材質をアッベ数から特定することで、操作者の手間や誤入力の発生を抑えることができる。
【0029】
本実施形態において、材質情報取得手段は、眼鏡レンズの性質に関する複数の物性情報であって、眼鏡レンズのアッベ数を少なくとも含む物性情報を利用して、眼鏡レンズの材質情報を取得してもよい。例えば、眼鏡レンズの物性情報とは、眼鏡レンズのアッベ数、眼鏡レンズの屈折率、眼鏡レンズの比重、等を示す情報であってもよいし、これらとは異なる情報であってもよい。なお、眼鏡レンズの比重は、眼鏡レンズの重さを示す指標として利用される値である。例えば、眼鏡レンズの比重が大きいほど眼鏡レンズは重く、眼鏡レンズの比重が小さいほど眼鏡レンズは軽くなる。
【0030】
例えば、材質情報取得手段は、眼鏡レンズのアッベ数と、眼鏡レンズのアッベ数とは異なる値(すなわち、眼鏡レンズの屈折率、眼鏡レンズの比重、等)と、に基づいて、眼鏡レンズの材質情報を取得してもよい。一例として、本実施形態では、眼鏡レンズのアッベ数と屈折率とを用いて、眼鏡レンズの材質情報が取得される。例えば、眼鏡レンズの屈折率は、レンズ面測定手段及びレンズ厚測定手段により測定できる。もちろん、眼鏡レンズのアッベ数と比重とを用いて、眼鏡レンズの材質情報が取得されてもよいし、眼鏡レンズのアッベ数と屈折率と比重とを用いて、眼鏡レンズの材質情報が取得されてもよい。例えば、この場合には、眼鏡レンズの比重を測定するための測定手段を新たに設けてもよい。これによって、各々の情報の組み合わせから、眼鏡レンズの材質をより容易に、かつ、より正確に、特定することができる。
【0031】
例えば、材質情報取得手段は、眼鏡レンズのアッベ数に眼鏡レンズの材質を対応付けたテーブル等を利用して、眼鏡レンズの材質情報を取得する構成であってもよい。また、例えば、材質情報取得手段は、眼鏡レンズのアッベ数と、眼鏡レンズのアッベ数とは異なる値と、に眼鏡レンズの材質を対応付けたテーブル等を利用して、眼鏡レンズの材質情報を取得する構成であってもよい。例えば、眼鏡レンズのアッベ数と屈折率に眼鏡レンズの材質を対応付けたテーブル、眼鏡レンズのアッベ数と比重に眼鏡レンズの材質を対応付けたテーブル、眼鏡レンズのアッベ数と屈折率と比重に眼鏡レンズの材質を対応付けたテーブル、等を利用して、眼鏡レンズの材質情報を取得する構成であってもよい。なお、これらのテーブルは、実験やシミュレーションの結果等から予め設定されていてもよい。
【0032】
なお、本実施形態では、眼鏡レンズ周縁加工用装置を用いて加工される眼鏡レンズが、高屈折レンズ及びポリカーボネイトレンズの少なくともいずれかである際に、材質情報取得手段による眼鏡レンズの材質情報が、特に有効となる。例えば、高屈折プラスチックレンズとポリカーボネイトレンズのアッベ数が大きく異なる場合は、眼鏡レンズの材質情報をアッベ数に基づいて特定することができる。
【0033】
しかし、一例として、高屈折プラスチックレンズは、その材質が同一であってもアッベ数は異なるものがあり、このために、高屈折プラスチックレンズのアッベ数が、ポリカーボネイトレンズのアッベ数に近似することがある。すなわち、高屈折プラスチックレンズとポリカーボネイトレンズは、場合によって、アッベ数のみから材質情報を特定しづらいことがある。そこで、本実施形態のように、眼鏡レンズのアッベ数とともに、眼鏡レンズの屈折率を用いることで、これらレンズのアッベ数及び屈折率の違いから、眼鏡レンズの材質情報を特定することができる。
【0034】
また、一例として、高屈折プラスチックレンズとポリカーボネイトレンズは、その屈折率が互いに近似し、屈折率のみから材質情報を特定しづらいことがある。このような場合であっても、眼鏡レンズのアッベ数とともに屈折率を用いることで、これらレンズのアッベ数及び屈折率の違いから、眼鏡レンズの材質情報を特定することができる。
【0035】
例えば、眼鏡レンズは多様な材質からなり、眼鏡レンズの材質情報を自動で特定することが困難であったために、操作者によってその材質情報が手動で入力されてきた。しかし、眼鏡レンズのアッベ数を利用することで、または、眼鏡レンズのアッベ数と、眼鏡レンズのアッベ数とは異なる値(一例として、本実施形態では眼鏡レンズの屈折率)を利用することで、眼鏡レンズの多様な材質を特定し、眼鏡レンズの材質情報を自動で取得することを可能とした。このため、操作者が眼鏡レンズの材質を入力する際の手間や誤りの発生を軽減させることができる。
【0036】
<出力手段>
本実施形態の眼鏡レンズ周縁加工用装置は、出力手段(例えば、制御部80)を備える。出力手段は、眼鏡レンズの材質情報を出力する。つまり、出力手段は、材質情報取得手段により取得された材質情報を出力する。例えば、出力手段は、眼鏡レンズの材質情報を、表示手段(例えば、モニタ5)への表示による出力、音声ガイドの発生による出力、メモリやサーバ等への送信による出力、プリンタ等への印刷による出力、等の少なくともいずれかによって出力してもよい。
【0037】
例えば、眼鏡レンズの材質情報が出力されることで、操作者は、眼鏡レンズの材質を容易に確認することができる。また、例えば、眼鏡レンズの材質情報が出力されることで、眼鏡レンズへ材質情報に基づく適切な加工を施すことが可能になる。
【0038】
<加工制御データ取得手段>
本実施形態の眼鏡レンズ周縁加工用装置は、加工制御データ取得手段(例えば、制御部80)を備える。加工制御データ取得手段は、眼鏡レンズの少なくとも材質情報に基づいて、眼鏡レンズの周縁を加工するための加工制御データを取得する。もちろん、加工制御データ取得手段は、眼鏡レンズの材質情報とともに、レンズ面情報、レンズ厚情報、眼鏡レンズの玉型に関する玉型情報、眼鏡レンズのレイアウトに関するレイアウト情報、等の少なくともいずれかの情報に基づいて、加工制御データを取得してもよい。
【0039】
例えば、眼鏡レンズの周縁を加工するための加工具(例えば、砥石群100)は、このような加工制御データに基づいて制御される。これによって、眼鏡レンズの材質に応じて、眼鏡レンズの周縁に適切な加工を施すことができる。一例としては、眼鏡レンズを研削する際の回転数、眼鏡レンズを砥石に接触させた際の切り込み量、冷却水の使用、等が、眼鏡レンズの材質に応じて適宜変更されることによって、眼鏡レンズの周縁に適切な加工を施すことができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、アッベ数取得手段により眼鏡レンズのアッベ数が取得され、材質情報取得手段によりアッベ数から眼鏡レンズの材質情報が特定されることによって、加工制御データ取得手段が材質情報を用いて加工制御データを取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施形態では、眼鏡レンズのアッベ数に基づいて、眼鏡レンズの加工制御データが取得される構成であればよい。例えば、この場合には、加工制御データ取得手段が、眼鏡レンズのアッベ数に基づいて、加工制御データを取得するようにしてもよい。すなわち、例えば、アッベ数取得手段により眼鏡レンズのアッベ数が取得され、加工制御データ取得手段がアッベ数を用いて直接的に加工制御データを取得してもよい。一例として、加工制御データ取得手段は、眼鏡レンズのアッベ数と、眼鏡レンズの加工制御データと、を予め対応付けたテーブル等を利用して、加工制御データを取得してもよい。例えば、眼鏡レンズのアッベ数を用いることによって、眼鏡レンズに応じた加工制御データを容易に選択することができるため、眼鏡レンズをこのような加工制御データに基づいて制御することで、眼鏡レンズに適切な加工を施すことができる。
【0041】
また、本実施形態においては、アッベ数取得手段により眼鏡レンズのアッベ数が取得され、屈折率取得手段により眼鏡レンズの屈折率が取得され、材質情報取得手段によりこれらのアッベ数及び屈折率から材質情報が特定されることによって、加工制御データ取得手段が材質情報を用いて加工制御データを取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施形態では、眼鏡レンズのアッベ数と屈折率とに基づいて、眼鏡レンズの加工制御データが取得される構成であればよい。例えば、この場合には、加工制御データ取得手段が、眼鏡レンズのアッベ数と屈折率とに基づいて、加工制御データを取得するようにしてもよい。すなわち、例えば、アッベ数取得手段により眼鏡レンズのアッベ数が取得され、屈折率取得手段により眼鏡レンズの屈折率が取得され、加工制御データ取得手段がアッベ数と屈折率とを用いて直接的に加工制御データを取得してもよい。一例として、加工制御データ取得手段は、眼鏡レンズのアッベ数と、眼鏡レンズの屈折率と、眼鏡レンズの加工制御データと、を予め対応付けたテーブル等を利用して、加工制御データを取得してもよい。例えば、眼鏡レンズのアッベ数及び屈折率を用いることによって、眼鏡レンズにより適切な加工を施すことができる。
【0042】
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介してシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
【0043】
また、例えば、眼鏡レンズ周縁加工用装置を用いて、眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ周縁加工方法が実施されてもよい。この場合、眼鏡レンズ周縁加工用装置を用いて、眼鏡レンズのアッベ数を取得するアッベ数取得ステップと、眼鏡レンズの材質情報をアッベ数に基づいて取得する材質情報取得ステップと、眼鏡レンズの材質情報を出力する出力ステップと、を行う方法が実施されてもよい。例えば、この場合、眼鏡レンズ周縁加工用装置として、レンズメータ、カップ取付装置、眼鏡レンズ周縁加工装置、の少なくともいずれかを用いて、各ステップを行う方法が実施されてもよい。
【0044】
また、例えば、複数の眼鏡レンズ周縁加工用装置を用いた眼鏡レンズ加工システムを構築してもよい。この場合、眼鏡レンズのアッベ数を取得するアッベ数取得手段と、眼鏡レンズのアッベ数を第2眼鏡レンズ周縁加工装置へ送信する送信手段と、を備えた第1眼鏡レンズ周縁加工用装置と、第1の眼鏡レンズ周縁加工用装置の送信手段から送信された眼鏡レンズのアッベ数を受信する受信手段と、眼鏡レンズのアッベ数に基づいて眼鏡レンズの材質情報を取得する材質情報取得手段と、眼鏡レンズの材質情報を出力する出力手段と、少なくとも眼鏡レンズの材質情報に基づいて眼鏡レンズの加工制御データを取得する加工制御データ取得手段と、を有し、加工具を加工制御データに基づいて制御することで、眼鏡レンズの周縁を加工する第2眼鏡レンズ周縁加工装置と、を用いた眼鏡レンズ加工システムを構築してもよい。
【0045】
さらに、このような眼鏡レンズ加工システムにおいて、第2眼鏡レンズ周縁加工装置は、眼鏡レンズの屈折率を取得する屈折率取得手段を備えてもよく、この場合には、材質情報取得手段が、眼鏡レンズのアッベ数と眼鏡レンズの屈折率とに基づいて、眼鏡レンズの材質情報を取得してもよい。
【0046】
<実施例>
本実施形態における眼鏡レンズ周縁加工用装置の一実施例について、眼鏡レンズの周縁を加工する眼鏡レンズ周縁加工装置(以下、加工装置)を例に挙げて説明する。本実施例では、加工装置1の左右方向をX方向、上下方向(鉛直方向)をY方向、前後方向をZ方向、として表す。
【0047】
図1は、加工装置1の外観図である。例えば、加工装置1は、ベース2、筐体3、窓4、モニタ5、レンズ加工機構部10、眼鏡枠形状測定ユニット20、ブロッカーユニット30、等を備える。
【0048】
窓4は、開閉可能である。窓4は、眼鏡レンズ(以下、レンズ)を後述のレンズ加工機構部10へ出し入れする際に用いる。モニタ5は、各種の情報(例えば、レンズの材質情報、レイアウトデータ、等)を表示する。モニタ5は、タッチパネルであり、モニタ5がスイッチ部6の機能を兼ねてもよい。スイッチ部6は、各種の設定(例えば、測定の開始、等)を行うために用いる。モニタ5及びスイッチ部6から入力された操作指示に応じた信号は、後述の制御部80に出力される。
【0049】
<レンズ加工機構部>
図2はレンズ加工機構部10の概略図である。レンズ加工機構部10は、ベース2に取り付けられており、筐体3の内部に配置される。例えば、レンズ加工機構部10は、砥石群100、キャリッジ部200、レンズ形状測定ユニット400、レンズ加工ユニット500、等を備える。
【0050】
<砥石群>
例えば、砥石群100は、プラスチック用の粗砥石100a、高カーブレンズの仕上げ用砥石100b、平鏡面仕上げ用砥石100c、ヤゲン加工用及び平加工用の仕上げ砥石100d、ガラス用の粗砥石100e、等を備える。砥石群100は、砥石回転軸101に取り付けられている。砥石回転軸101は、モータ102により回転される。後述するレンズチャック軸202に挟持されたレンズの周縁は、モータ102の駆動により回転する砥石群100に圧接されることで加工される。
【0051】
<キャリッジ部>
例えば、キャリッジ部200は、キャリッジ201、レンズチャック軸202、移動支基203、モータ(モータ210及び220)、等を備える。キャリッジ201は、レンズチャック軸(レンズ回転軸)202を保持する。キャリッジ201は、左腕201Lと右腕201Rからなる。レンズチャック軸202は、レンズを保持する。レンズチャック軸202は、左チャック軸202L及び右チャック軸202Rからなる。
【0052】
キャリッジ201の左腕201Lには、左チャック軸202Lが回転可能かつ同軸に保持される。キャリッジ201の右腕201Rには、右チャック軸202Rが回転可能かつ同軸に保持される。右腕201Rにはモータ220が取り付けられており、モータ220を駆動させると、図示なきギヤ等の回転伝達機構が回転する。左右の左チャック軸202L及び202Rは、この回転伝達機構を介すことで、互いに同期して回転する。また、右腕201Rにはモータ210が取り付けられており、モータ210を駆動させると、右チャック軸202Rが左チャック軸202L側に移動する。これにより、レンズは左右の左チャック軸202L及び102Rに保持される。
【0053】
キャリッジ201は、移動支基203上に搭載される。移動支基203は、レンズチャック軸202と、砥石回転軸101に平行なシャフト(シャフト208及び209)と、に沿ってキャリッジ201を移動させる。移動支基203の後部には、シャフト208と平行に延びる図示なきボールネジが取り付けられている。このボールネジは、モータ230の回転軸に取り付けられている。モータ230が駆動すると、キャリッジ201は移動支基203とともにX軸方向(すなわち、レンズチャック軸202の軸方向)に直線移動する。モータ230の回転軸には、キャリッジ201のX軸方向の移動を検出する図示なきエンコーダが設けられる。また、移動支基203には、Y軸方向(すなわち、左チャック軸202L及び右チャック軸202Rと、砥石回転軸101と、の軸間距離を変動する方向)に延びるシャフト205が固定される。移動支基203にはモータ240が固定され、モータ240の駆動がY軸方向に延びるボールネジ207に伝達される。キャリッジ201は、ボールネジ207の回転によって、Y軸方向に移動する。モータ240の回転軸には、キャリッジ201のY軸方向の移動を検出する図示なきエンコーダが設けられる。
【0054】
<レンズ形状測定ユニット>
図3は、レンズ形状測定ユニット400の概略図である。例えば、レンズ形状測定ユニット400は、測定子410、センサ401、センサ402、等を備える。測定子410は、測定子411と測定子412を有する。測定子411は、レンズの前面に接触される。測定子412は円筒状であり、その底面412aがレンズの後面に接触され、その側面412bがレンズの周縁に接触される。センサ401は、アーム403と支柱404を介して、測定子410及び測定子412のX軸方向の移動位置を検知する。センサ402は、アーム403と支柱404を介して、測定子412の後方向(すなわち、測定子412がレンズチャック軸202から離れる方向)の移動位置を検知する。
【0055】
測定子410は、X軸方向に移動可能なアーム403に保持される。アーム403はU字上の形状を有し、支柱404に取り付けられている。支柱404は、ブロック405によって、X軸方向へ移動可能に保持される。本実施例において、支柱404は、図示なきバネ(付勢部材)により、図2に示す状態を中立位置として、レンズの前面側方向と後面側方向にそれぞれ付勢される。また、支柱404は、ブロック405によって、X軸方向に延びる軸線S1を中心として後方向へ傾斜可能に保持される。本実施例において、支柱404は、図示なきバネ(付勢部材)により、常時、前方向(すなわち、測定子412がレンズチャック軸202に近づく方向))に付勢される。なお、支柱404の傾斜は、図示なき制限部材により、図2の状態で制限される。
【0056】
例えば、レンズ形状測定ユニット400は、レンズLEの玉型形状(この場合は、デモレンズの外形形状)を測定することができる。この場合、レンズチャック軸202でデモレンズを挟持し、測定子412の側面412bにデモレンズの周縁を接触させた状態で、デモレンズを回転させる。デモレンズの外形形状に応じて、測定子412は後方向に移動される。すなわち、デモレンズの外形形状に応じて、測定子412が取り付けられた支柱404が、軸線S1を中心に傾斜される。測定子412の移動位置をセンサ402が検知することで、デモレンズの外形形状が測定される。
【0057】
また、例えば、レンズ形状測定ユニット400は、レンズLEのレンズ面形状及び厚みを測定することができる。この場合、レンズチャック軸202でレンズLEを挟持し、測定子411にレンズLEの前面を接触させた状態で、レンズLEを回転させる。このとき、レンズチャック軸202のY軸方向の移動は、レンズLEの玉型形状に基づいて制御される。レンズLEの前面について、レンズLEの玉型形状に対応したX軸方向の位置をセンサ401が検知することで、レンズLEの前面のレンズ面形状(例えば、レンズ前面のカーブ値、レンズ前面のコバの位置、レンズ前面のコバ面の傾斜角度、等)が測定される。
【0058】
同様に、この場合、レンズチャック軸202でレンズLEを挟持し、測定子412の底面412aにレンズLEの後面を接触させた状態で、レンズLEを回転させる。このとき、レンズチャック軸202のY軸方向の移動は、レンズLEの玉型形状に基づいて制御される。レンズLEの後面について、レンズLEの玉型形状に対応したX軸方向の位置をセンサ401が検知することで、レンズLEの後面のレンズ面形状(例えば、レンズ後面のカーブ値、レンズ後面のコバの位置、レンズ後面のコバ面の傾斜角度、等)が測定される。
【0059】
なお、例えば、レンズLEにおけるレンズ前面のコバの位置情報と、レンズLEにおけるレンズ後面のコバの位置情報と、に基づいて、レンズLEにおけるコバの厚みを算出することができる。
【0060】
<レンズ加工ユニット>
レンズ加工ユニット500は、レンズに穴加工、溝掘加工、及び面取加工の少なくともいずれかを施す際に用いる。レンズ加工ユニット500には、レンズに穴加工を施す加工具としてのエンドミルと、レンズに溝掘りを施す加工具としての溝掘カッターと、レンズに面取りを施す加工具としての面取砥石と、が備えられてもよい。なお、レンズ加工ユニットの詳細な構成については、例えば、特開2017-177234号公報を参照されたい。
【0061】
<眼鏡枠形状測定ユニット>
眼鏡枠形状測定ユニット20は、眼鏡フレームのリムに測定子を接触させて移動させることで、レンズLEの玉型形状(この場合は、リムの内形形状)を測定する接触式の構成を備えてもよい(詳細は、例えば、特開2014-52222号公報を参照)。また、眼鏡枠形状測定ユニット20は、眼鏡フレームのリムを撮像することで、玉型形状を測定する非接触式の構成を備えてもよい(詳細は、例えば、国際公開2019/026416号公報を参照)。なお、眼鏡枠形状測定ユニット20は、接触式の構成と、非接触式の構成と、のいずれか一方の構成を備えてもよいし、双方の構成を備えてもよい。
【0062】
<ブロッカーユニット>
図4は、ブロッカーユニット30の概略図である。例えば、ブロッカーユニット30は、レンズ支持機構40、カップ取付機構50、レンズ測定機構60、等を備える。レンズ支持機構40は、レンズLEの前面を上にして、レンズLEを載置するために用いる。カップ取付機構50は、レンズLEの前面に加工冶具(カップCU)を固定するために用いる。レンズ測定機構60は、レンズLEの光学特性を測定するために用いる。
【0063】
<レンズ支持機構>
例えば、レンズ支持機構40は、円筒ベース41、保護カバー42、支持ピン43、等を備える。円筒ベース41上には、保護カバー42が設置される。円筒ベース41内には、後述の指標板67等が配置される。保護カバー42上には、カップCUを取り付ける基準軸L1(光軸L1)を中心に、3つの支持ピン43が、等距離かつ等角度で配置される。支持ピン43は、レンズLEの後面に当接することで、レンズLEを保持する。
【0064】
<カップ取付機構>
例えば、カップ取付機構50は、移動支基51、支持アーム52、移動アーム53、シャフト54、カップ装着部55、等を備える。円筒ベース41には2本の支柱56が固定され、支柱56はその上端でブロック57を支える。支柱56には、移動アーム53が一体的に設けられた移動支基51が、上下方向に移動可能に取り付けられる。移動支基51の内部には、移動支基51を常時上方向に付勢するための図示なきバネが配置される。移動アーム53は、移動支基51の前方に延びるように、移動支基51に取り付けられる。移動アーム53にはシャフト54が取り付けられる。シャフト54の軸は、光軸L1に対して左右の直交方向に延びる軸N1と同軸である。移動アーム53は支持アーム52を保持し、支持アーム52はカップ装着部55を支持する。支持アーム52は、シャフト54(すなわち、軸N1)を中心として、カップ装着部55が前側(操作者側)を向く方向と、下側に向く方向と、に回転可能となっている。支持アーム52には、操作者が支持アーム52を回転させるためのレバー58が固定される。シャフト54には、カップ装着部55が下方向から前方向を向くように付勢力を与える図示なきコイルバネが設けられる。操作者がレバー58を操作していない状態では、カップ装着部55が常に前方向を向くようになっている。カップ装着部55には、レンズLEをレンズチャック軸202に挟持させるための治具であるカップCUが装着される。
【0065】
<レンズ測定機構>
図5は、レンズ測定機構60の概略図である。レンズ測定機構60は、レンズLEの光学特性を取得するための測定光学系と、レンズLEの光学特性とは異なる情報(例えば、レンズLEの外形形状、レンズLEに付された印点、レンズLEに形成された隠しマーク、等)を取得するための測定光学系と、を兼ねている。なお、レンズLEの光学特性を取得するための測定光学系と、レンズLEの光学特性とは異なる情報を取得するための測定光学系と、を別に設ける構成としてもよい。
【0066】
例えば、レンズ測定機構60は、照明光学系61、受光光学系62、撮像光学系63、等を備える。例えば、照明光学系61は、光源64、フィルタ73、ハーフミラー65、凹面ミラー66、等を備える。光源64は、測定光束を照射する。フィルタ73は、モータ等の駆動機構74により、光軸L3上へ挿抜可能に配置される。フィルタ73は、光源64から照射された測定光束のうち、特定の波長(波長域)の測定光束を通過させる。例えば、フィルタ73は、波長486nm(すなわち、F線)の測定光束を通過させる第1フィルタ73a、波長589nm(すなわち、D線)の測定光束を通過させる第2フィルタ73b、波長656nm(すなわち、C線)の測定光束を通過させる第3フィルタ73c、を備えていてもよい。例えば、駆動機構74は、第1フィルタ73a、第2フィルタ73b、及び第3フィルタ73cの各々を独立に挿抜可能とする。
【0067】
光源64から照射されて光軸L3を通過した測定光束は、ハーフミラー65により光軸L2方向へ反射され、さらに、凹面ミラー66により光軸L1方向へ反射されるとともに、レンズLEよりも大きな径の平行光束(略平行光束)に整形される。なお、フィルタ73が光軸L3上に挿入されていた場合、光源64から照射された測定光束は、特定の波長の測定光束にされた状態で、ハーフミラー65及び凹面ミラー66に反射され、平行光束(略平行光束)に整形される。
【0068】
例えば、受光光学系62は、指標板67、撮像素子68、等を備える。例えば、指標板67は、レンズLEの光学中心等を検出するために用いる。指標板67には、多数の開口(光束の通過口)が所定のパターンで形成される。本実施例では、所定のパターン以外の領域に再帰性反射部材69を貼り付けることによって、所定のパターンが形成されている。撮像素子68は、光源64から照射され、レンズLE及び指標板67を通過した測定光束を撮像する。なお、フィルタ73が光軸L3上に挿入されていた場合、光源64から照射された測定光束が特定の波長とされるため、撮像素子68は、レンズLE及び指標板67を通過した特定の波長の測定光束を撮像する。
【0069】
例えば、撮像光学系63は、凹面ミラー66、絞り70、撮像レンズ71、撮像素子72、等を備える。撮像光学系63の撮像倍率は、撮像素子72によってレンズLEの全体が撮像される倍率となっている。撮像光学系63における凹面ミラー66は、照明光学系61における凹面ミラー66と共用される。絞り70は、凹面ミラー66の焦点位置(略焦点位置)に配置される。絞り70は、光源64と共役(略共役)な位置関係である。撮像素子72は、光源64から照射され、再帰性反射部材69により反射された反射光束を撮像する。撮像素子72のピント位置は、撮像レンズ71及び凹面ミラー66によって、レンズLEの前面付近に合わされている。これにより、レンズに付された印点、レンズに形成された隠しマーク、等をほぼ焦点の合った状態で撮像することができる。
【0070】
<制御部>
図6は、加工装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部80には、モニタ5、スイッチ部6、光源64、各エンコーダ、各モータ(モータ102、210、110、230、240、305、321、416F、等)、各撮像素子(撮像素子68、撮像素子72、等)不揮発性メモリ85(以下、メモリ85)、等が電気的に接続されている。
【0071】
例えば、制御部80は、一般的なCPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等で実現される。例えば、CPUは、加工装置1における各部の駆動を制御する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、CPUが実行する各種プログラムが記憶されている。なお、制御部80は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0072】
メモリ85は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体であってもよい。例えば、メモリ85としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。
【0073】
例えば、制御部80は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、加工装置1における各部材の制御を司る。また、例えば、CPUは、各種の演算処理を行う演算部として機能する。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、CPUが実行する各種のプログラム等が記憶されている。なお、制御部80は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0074】
例えば、メモリ75は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ75としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。
【0075】
<制御動作>
本実施例における加工装置1は、レンズLEのアッベ数に基づいて、レンズLEの材質を特定することができる。また、本実施例における加工装置1は、レンズLEのアッベ数と屈折率とに基づいて、レンズLEの材質を特定することができる。以下、レンズLEの材質の特定について説明する。
【0076】
<レンズのアッベ数に基づく材質の特定>
まず、レンズLEのアッベ数からレンズLEの材質を特定する場合について説明する。
【0077】
<レンズのアッベ数の取得>
操作者は、ブロッカーユニット30が備えるレンズ支持機構40に、レンズLEを保持させる。操作者は、支持ピン43にレンズLEを載置し、支持ピン43の先端とレンズLEの後面とを当接させる。
【0078】
このとき、例えば、制御部80は、光源64を点灯させ、撮像素子72に撮像された画像(すなわち、レンズLEの像)を取得する。また、例えば、制御部80は、モニタ5に、レンズLEの像と、レンズLEを位置合わせするためのガイドマークと、を表示する。例えば、操作者は、レンズLEの像とガイドマークとを確認しながら、支持ピン43上のレンズLEを移動させることで、基準軸L1にレンズLEを位置合わせしてもよい。
【0079】
続いて、操作者は、スイッチ部6を操作し、レンズLEのアッベ数の測定を開始するためのスイッチを選択する。制御部80は、スイッチ部6からの入力信号に応じ、レンズ測定機構60を制御する。例えば、制御部80は、フィルタ73を光軸L3上に挿入する。これによって、光源64からの測定光束がフィルタ73を通過し、特定の波長の測定光束となってレンズLEに照射されるようになる。
【0080】
制御部80が第1フィルタ73aを光軸L3上に挿入すると、F線に対応する波長の測定光束が、レンズLEと指標板67とを通過し、撮像素子68に撮像される。制御部80は、撮像素子68が撮像した画像(すなわち、指標板67の像)を取得する。例えば、制御部80は、支持ピン43上にレンズLEを載置した状態で撮像された指標板67の像と、支持ピン43上にレンズLEを載置していない状態で撮像された指標板67の像と、の変化量に基づいて、レンズLEにおけるF線の屈折力dFを演算する。
【0081】
同様に、制御部80が第2フィルタ73bを光軸L3上に挿入すると、D線に対応する波長の測定光束がレンズLEと指標板67とを通過して撮像素子68に撮像され、レンズLEにおけるD線の屈折力dDが演算される。また、制御部80が第3フィルタ73cを光軸L3上に挿入すると、C線に対応する波長の測定光束がレンズLEと指標板67とを通過して撮像素子68に撮像され、レンズLEにおけるC線の屈折力dDが演算される。
【0082】
例えば、制御部80は、レンズLEにおいて、F線、D線、及びC線、の各屈折力を算出することで、これらに基づいて、レンズLEのアッベ数νを求めることができる。例えば、レンズLEのアッベ数νは、以下の式にて取得される。
【0083】
【数1】
【0084】
<レンズLEの材質の特定>
制御部80は、レンズLEのアッベ数νに基づいて、レンズLEの材質を特定する。例えば、制御部80は、メモリ85に記憶されたテーブルを用いて、レンズLEの材質を特定する。なお、このようなテーブルは、実験やシミュレーションにより、レンズのアッベ数νと、レンズの材質と、を予め対応付けることで作成されてもよい。
【0085】
図7は、メモリ85に記憶されたテーブルの一例である。一例として、制御部80は、レンズLEのアッベ数νが58であった場合、レンズLEの材質をガラスAと特定する。また、一例として、制御部80は、レンズLEのアッベ数νが43であった場合、レンズLEの材質をトライベックスと特定する。また、一例として、制御部80は、レンズLEのアッベ数νが40であった場合、レンズLEの材質をウレタンと特定する。
【0086】
<レンズのアッベ数と屈折率に基づく材質の特定>
次に、レンズLEのアッベ数と屈折率からレンズLEの材質を特定する場合について説明する。
【0087】
レンズLEのアッベ数νは、レンズLEによって値が同一または近似し、材質を特定し難いことがある。例えば、レンズLEのアッベ数νが同一なガラスBと高屈折プラスチックC、レンズLEのアッベ数νが近似する高屈折プラスチックDとポリカーボネイト、等が存在するため、レンズLEのアッベ数νから互いを特定し難いことがある。そこで、本実施例では、レンズLEのアッベ数νとともにレンズLEの屈折率nを用いることで、このようにレンズLEのアッベ数νが同一または近似しても、レンズLEの材質を容易に特定することができる。
【0088】
<レンズのアッベ数の取得>
操作者は、前述のように、支持ピン43にレンズLEを載置し、レンズLEを位置合わせした後、レンズLEのアッベ数の測定を開始するためのスイッチを選択する。制御部80は、スイッチ部6からの入力信号に応じて、フィルタ73を光軸L3上に挿入し、F線、D線、及びC線、の各屈折力に基づいて、レンズLEのアッベ数νを取得する。さらに、制御部80は、フィルタ73を光軸L3上から退避させ、レンズLEの光学特性(例えば、レンズLEの屈折力D’v)を取得する。
【0089】
操作者は、カップ取付機構50を操作し、レンズLEにカップCUを取り付ける。操作者は、カップ装着部55にカップCUを装着し、レバー58を回転及び下降させる。これによって、支持ピン43上のレンズLEに、カップCUが固定される。
【0090】
<レンズの屈折率の取得>
操作者は、キャリッジ部200が備えるレンズチャック軸202に、レンズLEを挟持させる。操作者は、レンズLEに固定したカップCUを、左チャック軸202Lに設けられた図示なきカップホルダに取り付ける。また、操作者は、スイッチ部6を操作し、レンズLEを挟持するためのスイッチを選択する。制御部80は、スイッチ部6からの入力信号に応じ、右チャック軸202RをX軸方向へ移動させる。これによって、レンズLEが、レンズチャック軸202に所定の状態で挟持される。
【0091】
続いて、操作者は、スイッチ部6を操作し、レンズLEのレンズ形状(例えば、レンズ面形状及び厚み)の測定を開始するためのスイッチを選択する。制御部80は、スイッチ部6からの入力信号に応じ、レンズ形状測定ユニット400を制御する。
【0092】
例えば、制御部80は、レンズLEの前面における2点の測定位置に、測定子411が接触するように、レンズチャック軸202の相対的な移動を制御する。例えば、制御部80は、レンズLEの前面における2点のX軸方向の位置と、レンズチャック軸202のX方向の位置(設計上既知である)と、レンズチャック軸202のチャック中心軸から各測定位置までの距離と、に基づいて、レンズLEの前面のカーブ値を算出する。また、例えば、制御部80は、レンズLEの玉型形状に基づいて、レンズチャック軸202を回転させるとともにY軸方向へ移動させ、レンズLEの前面におけるコバの位置を取得する。
【0093】
同様に、制御部80は、レンズLEの後面における2点の測定位置に、測定子412の底面412aが接触するように、レンズチャック軸202の相対的な移動を制御する。例えば、制御部80は、レンズLEの後面における2点のX軸方向の位置と、レンズチャック軸202のX方向の位置(設計上既知である)と、レンズチャック軸202のチャック中心軸から各測定位置までの距離と、に基づいて、レンズLEの後面のカーブ値を算出する。また、制御部80は、レンズLEの玉型形状に基づいて、レンズチャック軸202を回転させるとともにY軸方向へ移動させ、レンズLEの後面におけるコバの位置を取得する。
【0094】
例えば、制御部80は、レンズLEの前面のカーブ値に基づいて、レンズLEの前面の曲率半径(前面曲率半径r1)を算出する。また、例えば、制御部80は、レンズLEの後面のカーブ値に基づいて、レンズLEの後面の曲率半径(後面曲率半径r2)を算出する。さらに、例えば、制御部80は、レンズLEの前面におけるコバの位置と、レンズLEの後面におけるコバの位置と、に基づいて、レンズLEのコバの厚み(コバ厚t)を算出する。
【0095】
例えば、制御部80は、レンズLEの、前面曲率半径r1、後面曲率半径r2、及びコバ厚t、を算出することで、これらに基づいて、レンズLEの屈折率nを求めることができる。例えば、レンズLEの屈折率nは、以下の式にて取得される。
【0096】
【数2】
【0097】
<レンズLEの材質の特定>
制御部80は、レンズLEのアッベ数ν及び屈折率nに基づいて、レンズLEの材質を特定する。一例として、制御部80は、レンズLEのアッベ数νが41であったとき、レンズLEの材質がガラスBであるか、あるいは高屈折プラスチックCであるか、を特定することは難しい。しかし、制御部80は、そのレンズLEの屈折率nが1.70であれば、レンズLEの材質をガラスBと特定し、そのレンズLEの屈折率nが1.60であれば、レンズLEの材質を高屈折プラスチックCと特定することができる。
【0098】
また、一例として、制御部80は、レンズLEのアッベ数νが32であったとき、レンズLEの材質が高屈折プラスチックDである可能性と、レンズLEの材質がポリカーボネイトである可能性と、が予測されるために、これらを特定することが難しい。しかし、制御部80は、そのレンズLEの屈折率nが1.67であれば、レンズLEの材質を高屈折プラスチックDと特定し、そのレンズLEの屈折率nが1.59であれば、レンズLEの材質をポリカーボネイトと特定することができる。
【0099】
すなわち、制御部80は、レンズLEのアッベ数νが同一または近似しているような場合であっても、レンズLEのアッベ数νにレンズLEの屈折率nを組み合わせることによって、レンズLEの材質を容易に特定することができる。
【0100】
本実施例における加工装置1は、このように、レンズLEの材質を、レンズLEのアッベ数ν、または、レンズLEのアッベ数νと屈折率n、に基づいて特定することで、レンズLEにその材質を考慮した適切な加工を施すことができる。以下、レンズLEの材質をアッベ数ν及び屈折率nから特定して、レンズLEを加工する一連の流れを説明する。
【0101】
<レンズの玉型形状の取得>
操作者は、眼鏡フレームのリムの内形形状を、レンズLEの玉型形状として測定する。この場合、操作者は、眼鏡枠形状測定ユニット20に、眼鏡フレームを保持させる。制御部80は、眼鏡フレームのリムに測定子を接触させ、眼鏡フレームのリムの内形形状を測定する。これによって、制御部80は、眼鏡フレームのリムの内形形状を取得する。
【0102】
<レンズの加工条件とレイアウトの取得>
操作者は、レンズLEの加工条件と、レンズLEのレイアウトデータと、を設定する。操作者は、スイッチ部6を操作し、レンズLEの加工条件として、レンズLEに対するカップCUの取付位置(例えば、レンズLEの光学中心位置、レンズLEの玉型形状における幾何学中心位置、等)、面取加工や鏡面加工の有無、等を入力する。また、操作者は、スイッチ部6を操作し、レンズLEのレイアウトデータとして、レンズLEの玉型形状とレンズLEの光学中心との位置関係、眼鏡装用者の瞳孔間距離、眼鏡装用者の乱視軸角度、等を入力する。これによって、レンズLEの加工条件及びレイアウトデータが取得される。
【0103】
<レンズの光学特性とアッベ数の取得>
操作者は、レンズ支持機構40にレンズLEを保持させ、基準軸L1にレンズLEを位置合わせした後、スイッチ部6を操作して、レンズLEの光学特性の測定を開始するためのスイッチを選択する。制御部80は、スイッチ部6からの入力信号に応じ、フィルタ73を光軸L3上に挿入あるいは退避させ、レンズLEの屈折力D’v、F線の屈折力dF、D線の屈折力dD、及びC線の屈折力dC、を取得する。また、制御部80は、レンズLEのアッベ数νを、F線の屈折力dF、D線の屈折力dD、及びC線の屈折力dC、に基づいて算出し、メモリ85に記憶させる。
【0104】
<レンズのレンズ形状と屈折率の取得>
操作者は、カップ取付機構50を操作してレンズLEにカップCUを取り付け、キャリッジ部200が備えるレンズチャック軸202にレンズLEを挟持させる。また、操作者は、スイッチ部6を操作し、レンズLEのレンズ形状(例えば、レンズ面形状及び厚み)の測定を開始するためのスイッチを選択する。制御部80は、スイッチ部6からの入力信号に応じ、レンズ形状測定ユニット400を制御して、レンズLEの前面及び後面におけるカーブ値やコバの位置を取得する。また、制御部80は、レンズLEの前面及び後面のカーブ値から前面曲率半径r1と後面曲率半径r2を求め、レンズLEの前面及び後面のコバの位置からコバ厚tを求める。さらに、制御部80は、レンズLEの屈折率nを、屈折力D’v、前面曲率半径r1と、後面曲率半径r2、及びコバ厚t、に基づいて求め、メモリ85に記憶させる。
【0105】
<レンズの材質の取得>
制御部80は、レンズLEのアッベ数ν及び屈折率nに基づき、レンズLEの材質を前述のように特定することで、レンズLEの材質を取得する。
【0106】
<レンズの加工>
例えば、制御部80は、レンズLEの材質に応じて、レンズLEを研削する際の回転数、レンズLEを砥石に接触させる際の切り込み量、冷却水の使用、等を変更する。また、例えば、制御部80は、レンズLEの材質に応じたレンズLEの回転数や切り込み量、レンズLEの玉型形状、レンズLEの加工条件、レンズLEのレイアウトデータ、レンズLEのレンズ形状(レンズ面形状及び厚み)、等を考慮して、レンズチャック軸202の回転、レンズチャック軸202の移動、等を制御する加工制御データを演算する。
【0107】
制御部80は、レンズLEの加工制御データに基づいて、レンズLEの周縁を加工する。例えば、制御部80は、レンズLEを挟持したレンズチャック軸202を、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向、の少なくともいずれかに移動させることで、砥石群100に対するレンズLEの相対的な位置関係を調整する。これによって、例えば、レンズLEの不要な部分を切除するための粗加工、レンズLEの周縁にヤゲンを形成するためのヤゲン加工、レンズLEの周縁を滑らかにするための仕上げ加工、等が行われ、レンズLEの周縁が適切に加工される。
【0108】
以上、説明したように、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工用装置は、眼鏡レンズのアッベ数を取得し、眼鏡レンズのアッベ数に基づいて眼鏡レンズの材質情報を取得し、材質情報を出力する。例えば、眼鏡レンズの材質によって、眼鏡レンズの色分散の程度は異なる傾向にあるため、色分散を表すアッベ数を利用して眼鏡レンズの材質を特定することで、従来のような操作者が材質を入力する際の手間や誤りの発生を抑えることができる。
【0109】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工用装置は、さらに眼鏡レンズの屈折率を取得し、眼鏡レンズのアッベ数及び屈折率に基づいて、眼鏡レンズの材質に関する材質情報を取得する。例えば、眼鏡レンズは、大別してガラスレンズとプラスチックレンズに分けられる。プラスチックレンズは種類が多く存在しており、その種類が同一であってもアッベ数が異なっていたり、その種類が異なっていてもアッベ数が同一または近似していたりすることがある。特に、後者の場合は、眼鏡レンズの材質(種類)をアッベ数から特定することが難しい。
【0110】
なお、眼鏡レンズの屈折率から眼鏡レンズの材質(種類)を特定することも可能ではあるが、眼鏡レンズの材質(種類)が同一であっても屈折率が異なっていたり、眼鏡レンズの材質(種類)が異なっていても屈折率が同一または近似していたりすることがある。このため、眼鏡レンズの材質(種類)を屈折率から特定することも難しい場合がある。
【0111】
そこで、本実施例のように、眼鏡レンズのアッベ数と、眼鏡レンズの屈折率と、をともに用いることで、これらの組み合わせから、眼鏡レンズの材質を容易かつ正確に特定することができる。つまり、眼鏡レンズのアッベ数が同一または近似するものに対して、さらに屈折率を用いることで、眼鏡レンズの材質がより特定されやすくなる。また、眼鏡レンズの屈折率が同一または近似するものに対して、さらにアッベ数を用いることで、眼鏡レンズの材質がより特定されやすくなる。
【0112】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工用装置は、眼鏡レンズをレンズチャック軸で保持した状態で、眼鏡レンズのレンズ面を測定してレンズ面情報を取得するとともに、眼鏡レンズの厚みを測定してレンズ厚情報を取得する。眼鏡レンズの加工には、眼鏡レンズのレンズ面情報及びレンズ厚情報が用いられるが、眼鏡レンズの屈折率は、これらの情報に基づいて取得することができる。そのため、例えば、眼鏡レンズ周縁加工用装置とは異なる装置を用いて眼鏡レンズの屈折率を取得する必要がなく、眼鏡レンズを加工するための工程を効率的に進めることができる。
【0113】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工用装置は、眼鏡レンズが高屈折プラスチック及びポリカーボネイトの少なくともいずれかの材質のレンズであるとき、特に効果的である。一例として、高屈折プラスチックレンズとポリカーボネイトレンズは、アッベ数が大きく異なるが屈折率は近似する場合と、アッベ数は近似するが屈折率が大きく異なる場合と、がある。そこで、本実施例のように、眼鏡レンズのアッベ数及び屈折率を用いることで、高屈折プラスチックレンズとポリカーボネイトレンズとを区別し、いずれの材質であるかを容易に特定することができる。
【0114】
また、例えば、本実施例における眼鏡レンズ周縁加工用装置は、加工具と、眼鏡レンズの少なくとも材質情報に基づいた加工制御データと、を取得し、加工具を加工制御データに基づいて制御することによって、眼鏡レンズの周縁を加工する。これによって、眼鏡レンズの材質に応じた適切な加工を施すことができる。
【0115】
<変容例>
なお、本実施例では、眼鏡フレームのリムの内形形状を、レンズLEの玉型形状として取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、加工装置1において、眼鏡フレームのリムに枠入れされていたデモレンズ(または型板)の外形形状を、レンズLEの玉型形状として取得してもよい。この場合、ブロッカーユニット30が備えるレンズ測定機構60を用いて、レンズLEの外形形状を撮像してもよい。また、この場合、ブロッカーユニット30が備えるカップ取付機構50を用いてデモレンズにカップCUを固定するとともに、レンズチャック軸202へデモレンズを挟持させ、レンズ形状測定ユニット400における測定子412の側面412bにデモレンズの周縁(すなわち、コバ)を押し当て、デモレンズの外形形状を測定してもよい。
【0116】
なお、本実施例では、レンズ形状測定ユニット400を用いて、レンズLEの前面及び後面におけるコバの位置からレンズLEのコバ厚tを取得し、レンズLEの屈折率nの算出にコバ厚tを用いる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、本実施例では、レンズLEをレンズチャック軸202で挟持する際、右チャック軸202Rが左チャック軸202L側に移動する移動量に基づいて、レンズLEの中心の厚み(中心厚)を取得し、レンズLEの屈折率nの算出に中心厚を用いる構成としてもよい。この場合、制御部80は、右チャック軸202RのX軸方向の位置(設計上既知)と、モータ210の駆動量に基づいて検出される左チャック軸202LのX軸方向の位置と、からレンズLEの中心厚を求めてもよい。
【0117】
なお、本実施例では、レンズLEの少なくともアッベ数νを含む物性情報を用いて、レンズLEの材質を特定する構成としてもよい。例えば、前述のように、レンズLEのアッベ数νを用いてレンズLEの材質を特定してもよいし、レンズLEのアッベ数νと屈折率nとを用いてレンズLEの材質を特定してもよい。しかし、レンズLEの材質をアッベ数νのみから特定することが場合によっては難しいため、好ましくは、本実施例のようにレンズLEのアッベ数νとともに屈折率nに基づいて、レンズLEの材質を正確に特定するとよい。
【0118】
もちろん、本実施例では、レンズLEのアッベ数νと、アッベ数ν及び屈折率nとは異なる物性情報(例えば、レンズの比重、等)と、を用いてレンズLEの材質を特定してもよい。また、本実施例では、レンズLEのアッベ数ν、屈折率n、アッベ数ν及び屈折率nとは異なる物性情報、を用いてレンズLEの材質をより正確に特定してもよい。
【0119】
なお、本実施例では、レンズLEの材質を取得した後に、レンズLEの材質の特定が適切か否かを判定してもよい。例えば、制御部80は、レンズLEの周縁を砥石群100が備えるいずれかの砥石に接触させ、砥石にかかる負荷量を検出することによって、レンズLEの材質の特定が適切か否かを判定することができる。
【0120】
この場合、制御部80は、レンズLEを挟持したレンズチャック軸202を、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向、の少なくともいずれかに移動させる。例えば、レンズLEがプラスチック材質(高屈折プラスチック、ポリカーボネイト、トライベックス、ウレタン、等)と特定された際には、レンズLEの周縁を粗砥石100aに接触させる。また、レンズLEがガラス材質と特定された際には、レンズLEの周縁を粗砥石100eに接触させる。このとき、制御部80は、各々の砥石にかかる負荷量を検出し、レンズの材質毎に予め設定された許容範囲に負荷量が収まるか否かに基づいて、レンズLEの材質の特定が適切か否かを判定してもよい。一例として、砥石にかかる負荷量が許容範囲内であれば、レンズLEの材質の特定が適切と判定してもよい。また、一例として、砥石にかかる負荷量が許容範囲外であれば、レンズLEの材質の特定が不適切と判定してもよい。
【0121】
なお、本実施例では、レンズLEのアッベ数νに基づいて、レンズLEの材質を特定し、レンズLEの材質に応じたレンズLEの加工制御データを取得する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、レンズLEのアッベ数νに基づいて、直接的に、レンズLEの加工制御データを取得する構成としてもよい。例えば、この場合、レンズのアッベ数νに、レンズの回転数、レンズの切り込み量、冷却水の使用の有無、等の少なくともいずれかを予め対応付けたテーブルを、メモリ85に記憶しておいてもよい。制御部80は、レンズLEのアッベ数νを取得すると、アッベ数νに対応付けられた、回転数、切り込み量、冷却水の使用の有無、等を選択して、レンズLEの加工制御データを演算する。例えば、本実施例における加工装置1は、このように得られたレンズLEの加工制御データに基づき、レンズLEの周縁を適切に加工することもできる。
【0122】
もちろん、レンズLEのアッベ数νに加え、レンズの屈折率nに基づいて、直接的に、レンズLEの加工制御データを取得する構成としてもよい。この場合、レンズのアッベ数νと屈折率nとに、レンズの回転数、レンズの切り込み量、冷却水の使用の有無、等の少なくともいずれかを予め対応付けたテーブルを、メモリ85に記憶しておいてもよい。制御部80は、レンズLEのアッベ数ν及び屈折率nをそれぞれ取得すると、アッベ数ν及び屈折率nに対応付けられた、回転数、切り込み量、冷却水の使用の有無、等を選択して、レンズLEの加工制御データを演算する。例えば、レンズLEのアッベ数νと屈折率nとを用いることで、レンズLEの加工制御データをより好適に得ることができる。
【符号の説明】
【0123】
1 眼鏡レンズ周縁加工装置
10 レンズ加工機構部
20 眼鏡枠形状測定ユニット
30 ブロッカーユニット
40 レンズ支持機構
50 カップ取付機構
60 レンズ測定機構
80 制御部
85 メモリ
100 砥石群
200 キャリッジ部
400 レンズ形状測定ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7