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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 11/36 20060101AFI20240409BHJP
   G05B 19/05 20060101ALI20240409BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G05B11/36 U
G05B19/05 N
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019221083
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021089699
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】久保田 明
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-119910(JP,A)
【文献】特開2003-104138(JP,A)
【文献】特開2021-048545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 11/36
G05B 19/05
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する端末装置と通信可能に接続される制御装置であって、
前記端末装置との近距離無線通信に対応した通信モジュールを含む通信部と、
前記通信部によって前記端末装置から取得したコマンドに基づく制御を実行する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記端末装置から取得した、データの読込コマンドに基づく所定の条件が満たされると、前記端末装置から前記制御装置への前記データの書き込みを禁止する前記制御装置の第1モードから、前記データの書き込みを許可する前記制御装置の第2モードへと切り替え、前記第2モードにおいて前記データの書き込みが終了すると前記第1モードに切り替える第1動作状態で前記制御装置を制御する、
制御装置。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記制御部が、前記第1モードにおいて、前記端末装置から取得した前記読込コマンドで指定されたデータを前記通信部により前記端末装置に送信したことを含む、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記読込コマンドで指定されたデータに加えて、前記制御装置の識別情報を、前記通信部により前記端末装置に送信する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ユーザの入力操作を受け付ける入力部を備え、
前記所定の条件は、前記制御部が、前記第1モードから前記第2モードへと切り替えるための入力情報を前記入力部から取得したことを含む、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ユーザに対して情報を出力する出力部を備え、
前記制御部は、前記第1モードから前記第2モードに切り替わったことを示すモード情報を前記出力部により出力する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第2モードから前記第1モードに切り替わると、前記データの書き込み、及び前記端末装置による前記制御装置のデータの読み込みの両方を禁止するアクセス制限時間を設定する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1動作状態に加えて、前記データの書き込み、及び前記端末装置による前記制御装置のデータの読み込みの両方を禁止する第2動作状態、前記データの書き込みを禁止し、かつ前記データの読み込みのみを許可する第3動作状態、並びに前記端末装置から取得したコマンドに従って前記データの書き込み及び前記データの読み込みを実行する第4動作状態のいずれかで前記制御装置を制御する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記近距離無線通信の範囲内で他の制御装置と密着計装されている、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
ユーザが使用する端末装置と近距離無線通信により通信可能に接続される制御装置によって実行される制御方法であって、
前記端末装置から取得した、データの読込コマンドに基づく所定の条件が満たされたか否かを判定するステップと、
前記所定の条件が満たされたと判定すると、前記端末装置から前記制御装置への前記データの書き込みを禁止する前記制御装置の第1モードから、前記データの書き込みを許可する前記制御装置の第2モードへと切り替えるステップと、
前記第2モードにおいて前記データの書き込みが終了すると前記第1モードに切り替えるステップと、
を含む、
制御方法。
【請求項10】
ユーザが使用する端末装置と通信可能に接続される制御装置であって、
前記端末装置との近距離無線通信に対応した通信モジュールを含む通信部と、
前記通信部によって前記端末装置から取得したコマンドに基づく制御を実行する制御部と、
を備え、
前記制御部は、所定の条件が満たされると、前記端末装置から前記制御装置へのデータの書き込みを禁止する前記制御装置の第1モードから、前記データの書き込みを許可する前記制御装置の第2モードへと切り替え、前記第2モードにおいて前記データの書き込みが終了すると前記第1モードに切り替える第1動作状態で前記制御装置を制御し、
前記制御部は、前記第2モードから前記第1モードに切り替わると、前記データの書き込み、及び前記端末装置による前記制御装置のデータの読み込みの両方を禁止するアクセス制限時間を設定する、
制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記第1動作状態に加えて、前記データの書き込み、及び前記端末装置による前記制御装置のデータの読み込みの両方を禁止する第2動作状態、前記データの書き込みを禁止し、かつ前記データの読み込みのみを許可する第3動作状態、並びに前記端末装置から取得したコマンドに従って前記データの書き込み及び前記データの読み込みを実行する第4動作状態のいずれかで前記制御装置を制御する、
請求項10に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが使用する端末装置と近距離無線通信により通信可能に接続され、端末装置とデータの送受信を実行する制御装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、非接触IC(Integrated Circuit)タグの情報を、目的とする調節計にのみ設定できるようにする調節計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-045686
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近距離無線通信では近距離での通信が可能ではあるが、例えば複数の制御装置が互いに密着計装されている場合、ユーザが意図する制御装置とは異なる制御装置が反応し、ユーザが意図しない制御装置と端末装置との間でデータの送受信が実行される可能性がある。端末装置による制御装置のデータの読み込みについては、ユーザが意図しない制御装置から端末装置がデータを読み込んでも大きな問題にはならない。しかしながら、端末装置から制御装置へのデータの書き込みについては、ユーザにとって大きな問題となり得る。例えば、ユーザが意図しない設定情報が制御装置に書き込まれると、当該制御装置による正確なデータ記録が困難になったり、当該制御装置に対して再設定が必要になったりする。
【0006】
特許文献1に記載の従来技術では、上記のような誤作動を抑制するために、端末装置と制御装置との間で共通のID(Identification)が予め設定される。しかしながら、このような初期設定は、ユーザにとって手間となり、ユーザに対する制御装置の利便性が低下する。
【0007】
本開示は、ユーザに対する利便性を維持しながら誤作動を抑制可能な制御装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
幾つかの実施形態に係る制御装置は、ユーザが使用する端末装置と通信可能に接続される制御装置であって、前記端末装置との近距離無線通信に対応した通信モジュールを含む通信部と、前記通信部によって前記端末装置から取得したコマンドに基づく制御を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、所定の条件が満たされると、前記端末装置から前記制御装置へのデータの書き込みを禁止する前記制御装置の第1モードから、前記データの書き込みを許可する前記制御装置の第2モードへと切り替え、前記第2モードにおいて前記データの書き込みが終了すると前記第1モードに切り替える第1動作状態で前記制御装置を制御する。
【0009】
これにより、ユーザに対する利便性を維持しながら制御装置の誤作動を抑制可能である。例えば複数の制御装置が互いに密着計装されている場合であっても、端末装置は、ユーザが意図する制御装置と正確に近距離無線通信を実行可能である。したがって、ユーザが意図しない設定情報が制御装置に書き込まれる可能性が抑制される。これにより、制御装置による正確なデータ記録が困難になったり、制御装置に対して再設定が必要になったりする可能性が抑制される。加えて、制御装置では、特許文献1に記載の従来技術のように、端末装置と制御装置との間で共通のIDを予め設定する必要がないので、初期設定が簡略化され、ユーザの設定作業が簡便となる。したがって、ユーザに対する制御装置の利便性が維持される。
【0010】
一実施形態における制御装置では、前記所定の条件は、前記制御部が、前記第1モードにおいて、前記端末装置から取得した読込コマンドで指定されたデータを前記通信部により前記端末装置に送信したことを含んでもよい。これにより、ユーザは、端末装置を用いて、制御装置のデータに対する必要な更新作業を行った後、密着計装されている複数の制御装置のうち、第2モードに切り替わっている目的とする制御装置に正確にデータを書き込むことができる。一方で、第1モードにおいてデータを通信部により端末装置に送信していない、隣接する他の制御装置は、依然として第1モードのままであるので、仮に書込モードに設定されている端末装置と近距離無線通信により接続されたとしても、データの書き込みを禁止する。
【0011】
一実施形態における制御装置では、前記制御部は、前記読込コマンドで指定されたデータに加えて、前記制御装置の識別情報を、前記通信部により前記端末装置に送信してもよい。例えば、端末装置が制御装置から取得した制御装置の識別情報を表示することで、ユーザは、第2モードに切り替わっている制御装置をより正確に認識することが可能となる。これにより、ユーザが目的とする制御装置以外の制御装置で生じる誤作動がより効果的に抑制される。
【0012】
一実施形態における制御装置は、前記ユーザの入力操作を受け付ける入力部を備え、前記所定の条件は、前記制御部が、前記第1モードから前記第2モードへと切り替えるための入力情報を前記入力部から取得したことを含んでもよい。これにより、ユーザは、端末装置を用いて、一から制御装置のデータを作成した後、密着計装されている複数の制御装置のうち、第2モードに切り替わっている目的とする制御装置に正確にデータを書き込むことができる。一方で、第1モードから第2モードへと切り替えるための入力情報を入力部から取得していない、隣接する他の制御装置は、依然として第1モードのままであるので、仮に書込モードに設定されている端末装置と近距離無線通信により接続されたとしても、データの書き込みを禁止する。
【0013】
一実施形態における制御装置は、前記ユーザに対して情報を出力する出力部を備え、前記制御部は、前記第1モードから前記第2モードに切り替わったことを示すモード情報を前記出力部により出力してもよい。これにより、ユーザは、密着計装されている複数の制御装置のうち第2モードに切り替わっている制御装置を一見して容易に把握可能である。
【0014】
一実施形態における制御装置では、前記制御部は、前記第2モードから前記第1モードに切り替わると、前記データの書き込み、及び前記端末装置による前記制御装置のデータの読み込みの両方を禁止するアクセス制限時間を設定してもよい。例えば、密着計装されている複数の制御装置に対して、ユーザが端末装置から各制御装置へデータを連続して書き込む場合も想定される。このような場合であっても、制御部がアクセス制限時間を設定することで、直前に書き込みが終了し第2モードから第1モードへと切り替わった制御装置に対して端末装置により誤ってデータの読み込み及びデータの書き込みが実行される可能性が低減する。
【0015】
一実施形態における制御装置では、前記制御部は、前記第1動作状態に加えて、前記データの書き込み、及び前記端末装置による前記制御装置のデータの読み込みの両方を禁止する第2動作状態、前記データの書き込みを禁止し、かつ前記データの読み込みのみを許可する第3動作状態、並びに前記端末装置から取得したコマンドに従って前記データの書き込み及び前記データの読み込みを実行する第4動作状態のいずれかで前記制御装置を制御してもよい。
【0016】
例えば、制御部が第2動作状態で制御装置を制御することで、制御装置は、端末装置とのデータのやり取りを完全に禁止することができる。例えば、制御部が第3動作状態で制御装置を制御することで、制御装置は、端末装置によるデータの読み込みを許可しつつ、端末装置によるデータの書き込みを完全に禁止することができる。これにより、制御装置のデータが更新されることを抑制可能である。例えば、制御部が第4動作状態で制御装置を制御することで、ユーザは、端末装置を用いて自由に制御装置とデータをやり取りすることができる。このような第4動作状態は、例えば制御装置が密着計装ではなく単独で配置されているような場合であって、制御装置の誤作動をユーザが気にする必要がないようなときに有効である。
【0017】
幾つかの実施形態に係る制御方法は、ユーザが使用する端末装置と近距離無線通信により通信可能に接続される制御装置によって実行される制御方法であって、所定の条件が満たされたか否かを判定するステップと、前記所定の条件が満たされたと判定すると、前記端末装置から前記制御装置へのデータの書き込みを禁止する前記制御装置の第1モードから、前記データの書き込みを許可する前記制御装置の第2モードへと切り替えるステップと、前記第2モードにおいて前記データの書き込みが終了すると前記第1モードに切り替えるステップと、を含む。
【0018】
これにより、ユーザに対する利便性を維持しながら制御装置の誤作動を抑制可能である。例えば複数の制御装置が互いに密着計装されている場合であっても、端末装置は、ユーザが意図する制御装置と正確に近距離無線通信を実行可能である。したがって、ユーザが意図しない設定情報が制御装置に書き込まれる可能性が抑制される。これにより、制御装置による正確なデータ記録が困難になったり、制御装置に対して再設定が必要になったりする可能性が抑制される。加えて、制御装置では、特許文献1に記載の従来技術のように、端末装置と制御装置との間で共通のIDを予め設定する必要がないので、初期設定が簡略化され、ユーザの設定作業が簡便となる。したがって、ユーザに対する制御装置の利便性が維持される。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、ユーザに対する利便性を維持しながら誤作動を抑制可能な制御装置及び制御方法を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態に係る制御装置を含む情報処理システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図1の端末装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
図3図1の端末装置の出力部が表示する第1画面の第1例を示す模式図である。
図4図1の端末装置の出力部が表示する第1画面の第2例を示す模式図である。
図5図1の端末装置の出力部が表示する第2画面の第1例を示す模式図である。
図6図1の端末装置の出力部が表示する第2画面の第2例を示す模式図である。
図7図1の端末装置の出力部が表示する第2画面の第3例を示す模式図である。
図8図1の制御装置の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について主に説明する。
【0022】
図1は、本開示の一実施形態に係る制御装置10を含む情報処理システム1の概略構成を示すブロック図である。図1を参照しながら、本開示の一実施形態に係る制御装置10を含む情報処理システム1の概要について主に説明する。情報処理システム1は、制御装置10に加えて、端末装置20を含む。図1では説明の簡便のため、制御装置10及び端末装置20について、それぞれ1つずつ図示しているが、情報処理システム1に含まれる制御装置10及び端末装置20の数はそれぞれ2つ以上であってもよい。
【0023】
制御装置10及び端末装置20は、例えば近距離無線通信によって互いに通信可能に接続されている。本明細書において、「近距離無線通信」は、通信距離が短い任意の通信を含み、例えば、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信、及び無線LAN(Local Area Network)通信を含む。
【0024】
制御装置10は、例えば、チャートレコーダ、ペーパレスレコーダ、温調計、信号変換器、及びPLC(Programmable Logic Controller)を含む。制御装置10は、例えば制御対象となる任意の接続機器と通信可能に接続され、当該接続機器を制御する。本明細書において、「接続機器」は、例えばフィールド機器を含む。接続機器は、例えば、被測定対象に対する測定処理を実行して測定値を取得する。
【0025】
本明細書において、「被測定対象」は、例えば、接続機器が配置されているプラント設備において発生した気体及び液体を含む流体の温度、圧力、及び流量、並びにプラント設備の腐食度及び振動量を含む。これに限定されず、被測定対象は、例えば、バルブ、モータ、及びリレーを含むアクチュエータに関連する、温度、圧力、及び電圧を含む任意のパラメータを含む。
【0026】
本明細書において、「プラント設備」は、例えば、化学等の工業プラントの他、ガス田及び油田を含む井戸元、並びにその周辺を管理制御するプラントを含む。その他にも、プラント設備は、例えば、水力発電、火力発電、及び原子力発電を含む発電を管理制御するプラント、太陽光発電及び風力発電を含む環境発電を管理制御するプラント、並びに上下水及びダム等を管理制御するプラントを含んでもよい。
【0027】
端末装置20は、スマートフォン又はPC(Personal Computer)等の汎用の電子機器である。端末装置20は、例えば、プラント設備の管理等に携わっているオペレータとしてのユーザが使用する電子機器である。端末装置20は、これらに限定されず、情報処理システム1に専用の電子機器であってもよい。
【0028】
図1に示すように、制御装置10は、通信部11、記憶部12、入力部13、出力部14、及び制御部15を有する。端末装置20は、通信部21、記憶部22、入力部23、出力部24、及び制御部25を有する。
【0029】
一実施形態の概要として、制御装置10の制御部15は、第1動作状態で制御装置10を制御する。本明細書において、「第1動作状態」は、例えば、所定の条件が満たされると第1モードから第2モードへと切り替え、第2モードにおいて端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みが終了すると第1モードに切り替える、制御部15による制御に基づく動作状態を含む。
【0030】
本明細書において、「所定の条件」は、例えば、制御部15が、第1モードにおいて、端末装置20から取得した読込コマンドで指定されたデータを通信部11により端末装置20に送信したことを含む。これに限定されず、所定の条件は、例えば、制御部15が、第1モードから第2モードへと切り替えるための入力情報を入力部13から取得したことを含む。
【0031】
本明細書において、「第1モード」は、例えば、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みを禁止する制御装置10の一のモードを含む。例えば、第1モードにおいて、制御部15は、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みを許可する。本明細書において、「第2モード」は、例えば、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みを許可する制御装置10の他のモードを含む。例えば、第2モードにおいて、制御部15は、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みを禁止する。
【0032】
本明細書において、「データ」は、例えば、被測定対象に対する接続機器の測定処理に対して制御装置10において記憶される設定情報を含む。これに限定されず、データは、例えば、接続機器の測定処理によって制御装置10が取得した測定値を含んでもよい。
【0033】
通信部11は、近距離無線通信に対応した任意の通信モジュールを含む。通信部11は、さらに、近距離無線通信を制御するための通信制御モジュール、及び近距離無線通信に必要となる識別情報等の通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。一実施形態において、制御装置10は、通信部11を介して端末装置20と通信可能に接続されている。
【0034】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、ROM(Read-Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部12は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、制御装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部11によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部12は、制御装置10に内蔵されているものに限定されず、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続されている外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0035】
記憶部12は、例えば、第1モード及び第2モードに関する情報を記憶する。記憶部12は、例えば、第1動作状態を含む制御装置10の動作状態に関する情報を記憶する。記憶部12は、例えば、上述した制御装置10のデータを記憶する。
【0036】
入力部13は、ユーザの入力操作を受け付けて、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。例えば、入力部13は、物理キー、静電容量キー、出力部14のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0037】
出力部14は、ユーザに対して情報を出力し、ユーザに通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。例えば、出力部14は、情報を光の点滅によって通知するLED(Light Emitting Diode)を含んでもよいし、情報を映像の変化によって通知するLCD(Liquid Crystal Display)を含んでもよい。これに限定されず、出力部14は、情報を音で出力するスピーカ等を含んでもよい。
【0038】
制御部15は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部15は、制御装置10を構成する各構成部と通信可能に接続され、制御装置10全体の動作を制御する。例えば、制御部15は、通信部11によって端末装置20から取得したコマンドに基づく制御を実行する。本明細書において、「コマンド」は、例えば、上述した読込コマンド、及び端末装置20から取得した後述する書込コマンドを含む。
【0039】
通信部21は、近距離無線通信に対応した任意の通信モジュールを含む。通信部21は、さらに、近距離無線通信を制御するための通信制御モジュール、及び近距離無線通信に必要となる識別情報等の通信用データを記憶する記憶モジュールを含んでもよい。一実施形態において、端末装置20は、通信部21を介して制御装置10と通信可能に接続されている。
【0040】
記憶部22は、HDD、SSD、EEPROM、ROM、及びRAMを含む任意の記憶モジュールを含む。記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、端末装置20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部21によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部22は、端末装置20に内蔵されているものに限定されず、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続されている外付け型の記憶モジュールであってもよい。
【0041】
記憶部22は、例えば、端末装置20によって読み込まれた制御装置10のデータを記憶する。記憶部22は、例えば、図2を参照しながら後述する、読込コマンド、更新情報、及び書込コマンドを記憶する。
【0042】
入力部23は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。例えば、入力部23は、物理キー、静電容量キー、出力部24のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0043】
出力部24は、ユーザに対して情報を出力し、ユーザに通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。例えば、出力部24は、情報を画像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカ等であるが、これらに限定されない。
【0044】
制御部25は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部25は、端末装置20を構成する各構成部と通信可能に接続され、端末装置20全体の動作を制御する。
【0045】
図2は、図1の端末装置20の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図2を参照しながら、端末装置20の動作について主に説明する。
【0046】
ステップS101では、端末装置20の制御部25は、例えば、入力部23を用いたユーザの操作に基づき、出力部24を用いて第1画面を表示する。本明細書において、「第1画面」は、例えば、端末装置20が制御装置10からデータを読み込む前に出力部24に表示される画面を含む。
【0047】
図3は、図1の端末装置20の出力部24が表示する第1画面の第1例を示す模式図である。例えば、制御部25は、出力部24を用いて、「レンジ」、「移動平均」、及び「一次遅れフィルタ」に関する設定画面を表示する。「レンジ」は、種類、レンジ、スパン下限、スパン上限、及び演算を含む。図3では、種類は、電圧である。レンジは、2Vである。スパン下限は、-2.0000Vである。スパン上限は、2.0000Vである。演算は、Offになっている。同様に、移動平均及び一次遅れフィルタもOffになっている。
【0048】
再び図2のフローチャートを参照すると、ステップS102では、制御部25は、例えば、入力部23を用いたユーザの操作に基づいて、制御装置10からデータを読み込むための読込モードに端末装置20を設定する。
【0049】
図4は、図1の端末装置20の出力部24が表示する第1画面の第2例を示す模式図である。図4の第1画面は、例えば、図3の第1画面の右上に表示されている縦の3点リーダをユーザがタップすることで出力部24に表示される。例えば、制御部25は、入力部23を用いたユーザの操作に基づいて、図3の第1画面から、NFCモードとしてデータ読み込み及びデータ書き込みのいずれかをユーザに選択させるための図4の第1画面に変更するように出力部24を制御する。このとき、ユーザが入力部23を用いてデータ読み込みを選択すると、制御部25は、制御装置10からデータを読み込むための読込モードに端末装置20を設定する。
【0050】
再び図2のフローチャートを参照すると、ステップS103では、制御部25は、ステップS102において設定された端末装置20の読込モードに基づいて、制御装置10から読み込む対象とするデータを指定して読込コマンドを生成する。その後、ユーザが端末装置20の通信部21を制御装置10の通信部11に接近させると、制御部25は、生成された読込コマンドを、通信部21を介して制御装置10に送信する。
【0051】
ステップS104では、制御部25は、ステップS103において制御装置10に送信された読込コマンドに基づいて、制御装置10から端末装置20へのデータの読み込みが成功したか否かを判定する。制御部25は、制御装置10から端末装置20へのデータの読み込みが成功したと判定すると、ステップS105の処理を実行する。例えば、制御部25は、制御装置10から端末装置20へのデータの読み込みが成功したと判定すると、読み込んだデータを記憶部22に格納する。制御部25は、制御装置10から端末装置20へのデータの読み込みが成功していないと判定すると、ステップS103の処理を再度実行する。
【0052】
ステップS105では、制御部25は、ステップS104において制御装置10から端末装置20へのデータの読み込みが成功したと判定すると、出力部24を用いて第2画面を表示する。本明細書において、「第2画面」は、例えば、端末装置20が制御装置10からデータを読み込んだ後に出力部24に表示される画面を含む。
【0053】
図5は、図1の端末装置20の出力部24が表示する第2画面の第1例を示す模式図である。例えば、制御部25は、出力部24を用いて、第1画面と同様に「レンジ」、「移動平均」、及び「一次遅れフィルタ」に関する設定画面を表示する。「レンジ」は、種類、レンジ、スパン下限、スパン上限、及び演算を含む。図5では、種類は、温度である。レンジは、1Kである。スパン下限は、-270.0℃である。スパン上限は、1370.0℃である。演算は、Offになっている。同様に、移動平均及び一次遅れフィルタもOffになっている。図5に示す第2画面では、図3に示す第1画面から、レンジの種類、レンジ、スパン下限、及びスパン上限が変更されている。
【0054】
再び図2のフローチャートを参照すると、ステップS106では、制御部25は、例えば、入力部23を用いたユーザの操作に基づいて、ステップS104において制御装置10から端末装置20に読み込まれたデータを更新するための更新情報を取得する。
【0055】
図6は、図1の端末装置20の出力部24が表示する第2画面の第2例を示す模式図である。例えば、制御部25は、出力部24を用いて、ユーザの入力操作により入力部23から取得した更新情報を反映した第2画面を表示する。例えば、図6に示す第2画面において、図5における更新前の第2画面から、スパン下限が0.0℃に、スパン上限が800.0℃に更新されている。その他の設定情報については、図5に示す第2画面と同一である。
【0056】
再び図2のフローチャートを参照すると、ステップS107では、制御部25は、例えば、入力部23を用いたユーザの操作に基づいて、制御装置10へデータを書き込むための書込モードに端末装置20を設定する。
【0057】
図7は、図1の端末装置20の出力部24が表示する第2画面の第3例を示す模式図である。図7の第2画面は、例えば、図6の第2画面の右上に表示されている縦の3点リーダをユーザがタップすることで出力部24に表示される。例えば、制御部25は、入力部23を用いたユーザの操作に基づいて、図6の第2画面から、NFCモードとしてデータ読み込み及びデータ書き込みのいずれかをユーザに選択させるための図7の第2画面に変更するように出力部24を制御する。このとき、ユーザが入力部23を用いてデータ書き込みを選択すると、制御部25は、制御装置10へデータを書き込むための書込モードに端末装置20を設定する。
【0058】
再び図2のフローチャートを参照すると、ステップS108では、制御部25は、ステップS107において設定された端末装置20の書込モードに基づいて、制御装置10へ書き込む対象とするデータを指定して書込コマンドを生成する。その後、ユーザが端末装置20の通信部21を制御装置10の通信部11に接近させると、制御部25は、生成された書込コマンドを、通信部21を介して制御装置10に送信する。
【0059】
ステップS109では、制御部25は、ステップS108において制御装置10に送信された書込コマンドに基づいて、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みが成功したか否かを判定する。制御部25は、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みが成功したと判定すると、処理を終了する。制御部25は、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みが成功していないと判定すると、ステップS108の処理を再度実行する。
【0060】
図8は、図1の制御装置10の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図8を参照しながら、制御装置10の動作について主に説明する。
【0061】
ステップS201では、制御装置10の制御部15は、制御装置10を第1モードで動作させる。
【0062】
ステップS201の後、制御部15は、コマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。すなわち、制御装置10は、ユーザが端末装置20の通信部21を制御装置10の通信部11に接近させて、制御部25がコマンドを、通信部21を介して制御装置10に送信するまで、コマンド待ちの状態にある。
【0063】
ステップS202では、制御部15は、制御装置10の通信部11に対する端末装置20の通信部21の接近に伴って、端末装置20から通信部11を介してコマンドを取得する。
【0064】
ステップS203では、制御部15は、第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得していないか否かを判定する。すなわち、ステップS203では、制御部15は、所定の条件が満たされたか否かを判定する。制御部15は、第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得したと判定すると、ステップS204の処理を実行する。すなわち、制御部15は、所定の条件が満たされたと判定すると、ステップS204の処理を実行する。一方で、制御部15は、第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得していないと判定すると、ステップS205の処理を実行する。すなわち、制御部15は、所定の条件が満たされていないと判定すると、ステップS205の処理を実行する。
【0065】
例えば、ユーザが、記憶部12にすでに格納されている制御装置10のデータを端末装置20により更新する場合、制御部15は、ステップS203における「Yes」のフローを辿って処理を実行する。例えば、ユーザが、制御装置10のデータを端末装置20により一から作成し、端末装置20を書込モードで制御装置10へ接近させることによりデータを制御装置10へ書き込む場合、制御部15は、ステップS203における「No」のフローを辿って処理を実行する。
【0066】
ステップS204では、制御部15は、ステップS203において所定の条件が満たされたと判定すると、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みを禁止する第1モードから、データの書き込みを許可する第2モードへと制御装置10を切り替える。
【0067】
ステップS205では、制御部15は、ステップS202において取得されたコマンドが、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みに関する読込コマンドであるか否かを判定する。制御部15は、読込コマンドであると判定すると、ステップS206の処理を実行する。制御部15は、読込コマンドでないと判定すると、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。制御部15は、読込コマンドでない、すなわち書込コマンドであると判定すると、当該書込コマンドを受け付けずに、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。
【0068】
ステップS206では、制御部15は、ステップS205において読込コマンドであると判定すると、読込コマンドで指定された制御装置10のデータを例えば記憶部12から読み出して、通信部11を介して端末装置20に送信したか否かを判定する。すなわち、ステップS206では、制御部15は、所定の条件が満たされたか否かを判定する。制御部15は、ステップS202において端末装置20から取得した読込コマンドで指定された制御装置10のデータを通信部11により端末装置20に送信したと判定すると、ステップS207の処理を実行する。すなわち、制御部15は、所定の条件が満たされたと判定すると、ステップS207の処理を実行する。一方で、制御部15は、ステップS202において端末装置20から取得した読込コマンドで指定された制御装置10のデータを通信部11により端末装置20に送信していないと判定すると、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。すなわち、制御部15は、所定の条件が満たされていないと判定すると、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。
【0069】
ステップS207では、制御部15は、ステップS206において所定の条件が満たされたと判定すると、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みを禁止する第1モードから、データの書き込みを許可する第2モードへと制御装置10を切り替える。
【0070】
ステップS207の後、制御部15は、コマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。すなわち、制御装置10は、ユーザが端末装置20の通信部21を制御装置10の通信部11に接近させて、制御部25がコマンドを、通信部21を介して制御装置10に送信するまで、コマンド待ちの状態にある。
【0071】
ステップS208では、制御部15は、制御装置10の通信部11に対する端末装置20の通信部21の接近に伴って、端末装置20から通信部11を介してコマンドを取得す
る。
【0072】
ステップS209では、制御部15は、第2モードから第1モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得していないか否かを判定する。制御部15は、第2モードから第1モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得したと判定すると、ステップS210を介してステップS205の処理を再度実行する。制御部15は、第2モードから第1モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得していないと判定すると、ステップS211の処理を実行する。
【0073】
ステップS210では、制御部15は、ステップS209において、第2モードから第1モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得したと判定すると、第2モードから第1モードへと制御装置10を切り替える。
【0074】
ステップS211では、制御部15は、ステップS208において取得されたコマンドが、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込みに関する書込コマンドであるか否かを判定する。制御部15は、書込コマンドであると判定すると、ステップS212の処理を実行する。制御部15は、書込コマンドでないと判定すると、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。制御部15は、書込コマンドでない、すなわち読込コマンドであると判定すると、当該読込コマンドを受け付けずに、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。
【0075】
ステップS212では、制御部15は、ステップS211において書込コマンドであると判定すると、書込コマンドで指定されたデータの書き込みが終了したか否かを判定する。制御部15は、書込コマンドで指定されたデータの書き込みが終了したと判定すると、ステップS213の処理を実行する。例えば、制御部15は、記憶部12の指定の場所に記憶されている制御装置10のデータを、ステップS208において取得された書込コマンドに基づいて更新する。例えば、制御部15は、記憶部12の指定の場所に、ユーザによって一から作成されたデータを、ステップS202において取得された書込コマンドに基づいて格納する。一方で、制御部15は、書込コマンドで指定されたデータの書き込みが終了していないと判定すると、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。
【0076】
ステップS213では、制御部15は、ステップS212においてデータの書き込みが終了すると、第2モードから第1モードへと制御装置10を切り替える。その後、制御部15は、再びコマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御する。
【0077】
以上のような一実施形態に係る制御装置10によれば、ユーザに対する利便性を維持しながら誤作動を抑制可能である。例えば、制御装置10の制御部15は、所定の条件が満たされると第1モードから第2モードへと切り替え、第2モードにおいてデータの書き込みが終了すると第1モードに切り替える第1動作状態で制御装置10を制御する。これにより、例えば複数の制御装置10が互いに密着計装されている場合であっても、端末装置20は、ユーザが意図する制御装置10と正確に近距離無線通信を実行可能である。したがって、ユーザが意図しない設定情報が制御装置10に書き込まれる可能性が抑制される。これにより、制御装置10による正確なデータ記録が困難になったり、制御装置10に対して再設定が必要になったりする可能性が抑制される。
【0078】
加えて、制御装置10では、特許文献1に記載の従来技術のように、端末装置20と制御装置10との間で共通のIDを予め設定する必要がないので、初期設定が簡略化され、ユーザの設定作業が簡便となる。したがって、ユーザに対する制御装置10の利便性が維持される。
【0079】
例えば、制御部15は、第1モードにおいて、端末装置20から取得した読込コマンドで指定されたデータを通信部11により端末装置20に送信すると、第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替える。これにより、ユーザは、端末装置20を用いて、制御装置10のデータに対する必要な更新作業を行った後、密着計装されている複数の制御装置10のうち、第2モードに切り替わっている目的とする制御装置10に正確にデータを書き込むことができる。一方で、第1モードにおいてデータを通信部11により端末装置20に送信していない、隣接する他の制御装置10は、依然として第1モードのままであるので、仮に書込モードに設定されている端末装置20と近距離無線通信により接続されたとしても、データの書き込みを禁止する。
【0080】
例えば、制御部15は、第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得すると、第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替える。これにより、ユーザは、端末装置20を用いて、一から制御装置10のデータを作成した後、密着計装されている複数の制御装置10のうち、第2モードに切り替わっている目的とする制御装置10に正確にデータを書き込むことができる。一方で、第1モードから第2モードへと切り替えるための入力情報を入力部13から取得していない、隣接する他の制御装置10は、依然として第1モードのままであるので、仮に書込モードに設定されている端末装置20と近距離無線通信により接続されたとしても、データの書き込みを禁止する。
【0081】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0082】
例えば、本開示は、上述した情報処理システム1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得る。本開示の範囲には、これらも包含されると理解されたい。
【0083】
上記では、第1モードにおいて、制御部15は、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みを許可すると説明したが、これに限定されない。制御部15は、第1モードにおいて、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みを禁止してもよい。このとき、原則的には、ユーザが、制御装置10のデータを端末装置20により一から作成し、端末装置20を書込モードで制御装置10へ接近させることによりデータを制御装置10へ書き込む。
【0084】
上記では、第2モードにおいて、制御部15は、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みを禁止すると説明したが、これに限定されない。制御部15は、第2モードにおいて、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みを許可してもよい。この場合、制御部15は、例えば、図8のステップS211における「No」のフローを辿るときに、ステップS211の後でステップS206と同様に、ステップS208において取得された読込コマンドで指定された制御装置10のデータを例えば記憶部12から読み出して、通信部11を介して端末装置20に送信してもよい。その後、制御部15は、コマンド待ちの状態となるように制御装置10を制御してもよい。
【0085】
上記では、図8のステップS207において、制御部15は、ステップS206において所定の条件が満たされたと判定すると、第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替えると説明したが、これに限定されない。例えば、制御部15は、ステップS206において、読込コマンドで指定された制御装置10のデータを、通信部11を介して端末装置20に送信した後、ステップS203と同様に第1モードから第2モードへと制御装置10を切り替えるための入力情報を入力部13から取得した場合に、ステップS207の処理を実行してもよい。
【0086】
例えば、制御部15は、図8のステップS206において、読込コマンドで指定されたデータに加えて、制御装置10の識別情報を、通信部11により端末装置20に送信してもよい。本明細書において、「制御装置10の識別情報」は、例えば、第2モードに切り替わった制御装置10を端末装置20の出力部24上でユーザが識別可能な任意の情報を含む。制御装置10の識別情報は、例えば、タグ情報、設置情報、及びIP(Internet Protocol)アドレス等を含むネットワーク情報を含む。本明細書において、「タグ情報」は、例えば、制御装置10の用途等に関する説明及び制御装置10の製品としてのシリアル番号を含む。
【0087】
例えば、端末装置20の制御部25が、通信部21を介して制御装置10から取得した制御装置10の識別情報を出力部24の第2画面上に表示することで、ユーザは、第2モードに切り替わっている制御装置10をより正確に認識することが可能となる。これにより、ユーザが目的とする制御装置10以外の制御装置10で生じる誤作動がより効果的に抑制される。
【0088】
例えば、制御部15は、図8のステップS204又はステップS207において、第1モードから第2モードに制御装置10が切り替わったことを示すモード情報を出力部14により出力してもよい。本明細書において、「モード情報」は、例えば、LEDを点滅させるための光の点滅情報、及びLCDに映し出される映像を変化させるための映像情報を含む。これらに限定されず、モード情報は、例えば、スピーカから出力するための音情報を含んでもよい。
【0089】
これにより、ユーザは、密着計装されている複数の制御装置10のうち第2モードに切り替わっている制御装置10を一見して容易に把握可能である。例えば、図8のステップS206において、制御部15が、端末装置20による制御装置10のデータの読み込みに寄与した後、ユーザは、端末装置20の出力部24を視認しながら必要な更新作業を行う。例えば、このような更新作業が長引くと、ユーザは、端末装置20によりデータを読み込んだ、目的とする制御装置10がどれなのか区別できなくなる可能性もある。また、例えば、図8のステップS203の「No」のフローを辿って、制御装置10が第1モードから第2モードへと切り替わった場合であっても、ユーザは、何らかの事情によりその場を離れると、戻ってきてから端末装置20により書き込みを行おうとしたときに、目的とする制御装置10がどれなのか区別できなくなる可能性もある。制御部15がモード情報を出力部14により出力することで、制御装置10は、これらの可能性を抑制できる。
【0090】
例えば、制御部15は、図8のステップS213において第2モードから第1モードに制御装置10が切り替わると、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込み、及び端末装置20による制御装置10のデータの読み込みの両方を禁止するアクセス制限時間を設定してもよい。記憶部12は、例えば、このようなアクセス制限時間を記憶してもよい。アクセス制限時間は、例えば、制御装置10を入手したユーザにより適宜のタイミングで任意の値に設定されてもよいし、制御装置10を製造するときに初期設定情報として任意の値に設定されてもよい。
【0091】
例えば、密着計装されている複数の制御装置10に対して、ユーザが端末装置20から各制御装置10へデータを連続して書き込む場合も想定される。このような場合であっても、制御部15がアクセス制限時間を設定することで、直前に書き込みが終了し第2モードから第1モードへと切り替わった制御装置10に対して端末装置20により誤ってデータの読み込み及びデータの書き込みが実行される可能性が低減する。
【0092】
上記では、制御部15は、第1動作状態で制御装置10を制御すると説明したが、これに限定されない。例えば、制御部15は、第1動作状態に加えて、第2動作状態、第3動作状態、及び第4動作状態のいずれかで制御装置10を制御してもよい。記憶部12は、例えば、第1動作状態、第2動作状態、第3動作状態、及び第4動作状態を含む制御装置10の動作状態に関する情報を記憶してもよい。制御部15は、例えば、入力部13によるユーザの入力操作に基づいて、第1動作状態、第2動作状態、第3動作状態、及び第4動作状態のいずれかに切り替えてもよい。制御部15は、例えば、任意の条件が満たされたときに、第1動作状態、第2動作状態、第3動作状態、及び第4動作状態のいずれかに自動的に切り替えてもよい。
【0093】
本明細書において、「第2動作状態」は、例えば、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込み、及び端末装置20による制御装置10のデータの読み込みの両方を禁止する、制御部15による制御に基づく動作状態を含む。本明細書において、「第3動作状態」は、例えば、データの書き込みを禁止し、かつデータの読み込みのみを許可する、制御部15による制御に基づく動作状態を含む。本明細書において、「第4動作状態」は、例えば、端末装置20から取得したコマンドに従ってデータの書き込み及びデータの読み込みを実行する、制御部15による制御に基づく動作状態を含む。
【0094】
例えば、制御部15が第2動作状態で制御装置10を制御することで、制御装置10は、端末装置20とのデータのやり取りを完全に禁止することができる。例えば、制御部15が第3動作状態で制御装置10を制御することで、制御装置10は、端末装置20によるデータの読み込みを許可しつつ、端末装置20によるデータの書き込みを完全に禁止することができる。これにより、制御装置10のデータが更新されることを抑制可能である。例えば、制御部15が第4動作状態で制御装置10を制御することで、ユーザは、端末装置20を用いて自由に制御装置10とデータをやり取りすることができる。このような第4動作状態は、例えば制御装置10が密着計装ではなく単独で配置されているような場合であって、制御装置10の誤作動をユーザが気にする必要がないようなときに有効である。
【0095】
上記では、端末装置20から制御装置10へのデータの書き込み及び端末装置20による制御装置10のデータの読み込みの少なくとも一方を制御部15が決定処理として禁止すると説明したが、これに限定されない。例えば、制御部15は、データの書き込み及びデータの読み込みの少なくとも一方を禁止したい場合に、通信部11の動作を完全に停止させて、通信部11が端末装置20にそもそも反応しないように通信部11を制御してもよい。
【符号の説明】
【0096】
1 情報処理システム
10 制御装置
11 通信部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
15 制御部
20 端末装置
21 通信部
22 記憶部
23 入力部
24 出力部
25 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8