(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240409BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240409BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240409BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G03G21/00 500
G03G21/00 386
B41J29/42 F
H04N1/00 002A
H04N1/00 567M
H04N1/04 106A
(21)【出願番号】P 2019221154
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石堂 紘平
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-126326(JP,A)
【文献】特開2006-262285(JP,A)
【文献】特開2013-132042(JP,A)
【文献】特開2017-088265(JP,A)
【文献】特開平02-277038(JP,A)
【文献】特開2005-202071(JP,A)
【文献】特開2002-152507(JP,A)
【文献】特開平7-191580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/42
H04N 1/00
H04N 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送部と、
画像を形成する画像形成部と、
ランプと、搬送用紙を読み取るラインセンサーと、を含み、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流側に設けられる読取ユニットと、
前記ラインセンサーが出力するアナログ画像信号に基づき、第1異物検知信号を生成する異物検知信号生成回路と、
前記第1異物検知信号が入力され、前記第1異物検知信号のレベルに基づき前記読取ユニットでの異物の有無を認識する異物検知制御回路と、を含み、
異物検知処理では、
前記異物検知信号生成回路は、
前記ラインセンサーが出力する各画素の前記アナログ画像信号に基づく信号において、異物を読み取った画素が予め定められた第1連続数以上続いたとき、前記第1異物検知信号のレベルを、異物ありを示すレベルとし、
前記ラインセンサーが出力する各画素の前記アナログ画像信号に基づく信号において、異物を読み取った画素があっても、異物を読み取った画素が前記第1連続数以上続かないとき、前記第1異物検知信号のレベルを、異物なしを示すレベルと
し、
読取クロック信号に基づき、前記読取ユニットは1画素ずつ画素の並び順で前記アナログ画像信号を出力し、
前記異物検知信号生成回路は、前記第1連続数と同数のDフリップフロップを含み、
それぞれの前記Dフリップフロップは入力される前記読取クロック信号に基づきラッチし、
初段の前記Dフリップフロップの入力端子は、前記アナログ画像信号に基づく信号が入力され、
前段の前記Dフリップフロップの出力端子は、次段の前記Dフリップフロップの入力端子と接続され、
前記異物検知信号生成回路は、全ての前記Dフリップフロップの出力が異物ありを示すレベルになったとき、前記第1異物検知信号のレベルを、異物ありを示すレベルとすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
各画素の前記アナログ画像信号が入力される二値化回路を含み、
初段の前記Dフリップフロップの入力端子は、前記二値化回路が前記アナログ画像信号を二値化した二値化信号が入力されることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
用紙を搬送する用紙搬送部と、
画像を形成する画像形成部と、
ランプと、搬送用紙を読み取るラインセンサーと、を含み、前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流側に設けられる読取ユニットと、
前記ラインセンサーが出力するアナログ画像信号に基づき、第1異物検知信号を生成する異物検知信号生成回路と、
前記第1異物検知信号が入力され、前記第1異物検知信号のレベルに基づき前記読取ユニットでの異物の有無を認識する異物検知制御回路と、を含み、
異物検知処理では、
前記異物検知信号生成回路は、
前記ラインセンサーが出力する各画素の前記アナログ画像信号に基づく信号において、異物を読み取った画素が予め定められた第1連続数以上続いたとき、前記第1異物検知信号のレベルを、異物ありを示すレベルとし、
前記ラインセンサーが出力する各画素の前記アナログ画像信号に基づく信号において、異物を読み取った画素があっても、異物を読み取った画素が前記第1連続数以上続かないとき、前記第1異物検知信号のレベルを、異物なしを示すレベルと
し、
前記異物検知処理では
前記異物検知信号生成回路は、
第2異物検知信号を生成し、
入力された前記アナログ画像信号において、異物を読み取った画素が予め定められた第2連続数以上続いたとき、前記第2異物検知信号のレベルを、異物ありを示すレベルとし、
入力された前記アナログ画像信号において、異物を読み取った画素があっても、異物を読み取った画素が前記第2連続数以上続かないとき、前記第2異物検知信号のレベルを異物なしを示すレベルとし、
前記第2連続数は前記第1連続数よりも少ないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記第2異物検知信号のレベルが異物ありを示すレベルになったとき、前記読取ユニットの清掃を求めるメッセージを表示する表示パネルを含むことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷中に前記第2異物検知信号のレベルが異物ありを示すレベルになっても、
前記画像形成部は画像形成を継続し、
前記用紙搬送部は用紙搬送を継続し、
印刷していないときに前記第2異物検知信号のレベルが異物ありを示すレベルになっても、
前記画像形成部は画像形成を新たに開始し、
前記用紙搬送部は用紙搬送を新たに開始することを特徴とする請求項
3又は
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
第1AND回路を含み、
前記読取ユニットは読取クロック信号に基づき、1画素ずつ画素の並び順で前記アナログ画像信号を出力し、
前記異物検知信号生成回路は、前記第1連続数と同数のDフリップフロップを含み、
それぞれの前記Dフリップフロップは入力される前記読取クロック信号に基づきラッチし、
初段の前記Dフリップフロップの入力端子は、前記アナログ画像信号に基づく信号が入力され、
前段の前記Dフリップフロップの出力端子は、次段の前記Dフリップフロップの入力端子と接続され、
前記第1AND回路は初段から順番に前記第2連続数と同じ個数の前記Dフリップフロップのそれぞれの出力が入力され、
前記第1AND回路が出力する信号が前記第2異物検知信号であることを特徴とする請求項
3乃至
5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
第2AND回路と第3AND回路を含み、
前記第2AND回路は出力端子が前記第1AND回路と接続されない前記Dフリップフロップのそれぞれの出力が入力され、
前記第3AND回路は前記第1AND回路の出力と、前記第2AND回路の出力が入力され、
前記第3AND回路が出力する信号が前記第1異物検知信号であることを特徴とする請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1異物検知信号のレベルが異物ありを示すレベルになったとき、前記読取ユニットの清掃を求めるメッセージを表示する表示パネルを含むことを特徴とする請求項1
乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷中に前記第1異物検知信号のレベルが異物ありを示すレベルになったとき、
前記画像形成部は画像形成を停止し、
前記用紙搬送部は用紙搬送を停止し、
印刷していないときに前記第1異物検知信号のレベルが異物ありを示すレベルになったとき、
前記画像形成部は画像形成を新たに開始せず、
前記用紙搬送部は用紙搬送を新たに開始しないことを特徴とする請求項1
乃至8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流側かつ前記読取ユニットよりも用紙搬送方向下流側に設けられたレジストレスユニットと、ユニット制御回路と、を備え、
前記レジストレスユニットは、
前記用紙を前記画像形成部に向けて送るレジストレスローラー対と、
前記レジストレスローラー対を回転させるレジストレスモーターと、
前記レジストレスローラー対を収容し
、主走査方向の一端側に設けられた支点を有するケースと、
前記支点を中心に前記ケースの他端側を用紙搬送方向で移動させる移動機構を含み、
前記ユニット制御回路は、
前記アナログ画像信号に基づき生成された搬送読取画像データを用いて、前記搬送用紙の傾き角度を認識し、
スキュー矯正のために前記レジストレスユニットを前記移動機構に移動させることを特徴とする請求項1乃至
9の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙を搬送し、搬送する用紙を読み取る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の機内にイメージセンサーを設けることがある。例えば、プリンターや複合機のような画像形成装置にイメージセンサーが設けられる。各色のトナー像の位置のずれ量を測るため、イメージセンサーを用いて、搬送ベルト、又は中間転写体を読み取る画像形成装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には画像信号に応じて記録媒体上に画像を形成し、トナー像の形成位置ずれを検出するためのセンサーをn個(n≧1)配置し、印刷用紙の搬送方向に対して直交する方向にセンサーを設置し、前記被検出対象の表面に所定の周期で繰り返し検出用トナーパターン画像を形成し、検出用トナーパターン画像はトナー像の形成位置ずれを検出するための画像であり、複数の検出用トナーパターン画像から画像の形成位置のずれを検出し、センサーからの検出結果に基づいて、画像の書き出し位置を補正する画像形成装置が記載されている(特許文献1:請求項1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置は機内で用紙を搬送し、搬送する用紙に画像を形成する。搬送される用紙の姿勢、位置にずれがあると、画像が適切に印刷されないことがある。そこで、搬送用紙を読み取るイメージセンサーを機内に設けることがある。イメージセンサーの読み取りで得られた画像データから、用紙の搬送状態を確認することができる。
【0006】
イメージセンサー自体は読取用ユニットの筐体内に格納される。格納することにより、ホコリがイメージセンサーに直接的に付くことを防ぐことができる。この筐体の一面がガラス板のような透光板とされる。イメージセンサーは透光板を透過する光を受光し、読取対象(搬送用紙)を読み取る。
【0007】
透光板に異物が付着する場合がある。異物は用紙の搬送状態の誤検知を引き起こすおそれがある。例えば、異物はゴミ、紙粉、トナー粒子である。異物を読み取った画素(受光素子)と異物のない部分を読み取った画素では、イメージセンサーが出力するアナログ画像信号のレベルに差が出る。アナログ画像信号のレベルに基づき、異物を読み取った画素を検出できる。例えば、CPUのような制御回路にイメージセンサーのアナログ画像信号を入力する。制御回路がアナログ画像信号の変化を監視し、異物の有無を判定する。異物ありと判定したとき、例えば、制御回路は清掃を促すメッセージの表示を行わせる。
【0008】
近年、イメージセンサーの解像度は高くなっている。そのため、微小な異物を検出できる。その結果、レベルが何度も大きく変化するアナログ画像信号が制御回路に入力される場合がある。入力される信号のレベル変化の回数が多すぎると、監視を行う制御回路の処理負担が大きくなる場合がある。アナログ画像信号を監視しても処理の遅延が生じないように、処理速度が速く、高価な制御回路を用いる必要がある。
【0009】
また、1画素分程度の微小な異物の存在を検知したとき、清掃作業を使用者に要求する必要すべきか否かの判断は難しい。異物が微小であれば、印刷に影響がない場合もある。微小な異物を検知しただけで清掃作業を要求すると、清掃作業の要求頻度が高くなりすぎる場合がある。必要以上の作業負担を使用者に強いるおそれがある。
【0010】
なお、コンデンサーと抵抗を用いた安価なフィルター回路でアナログ画像信号のレベル変化を鈍らせることが考えられる。これにより、アナログ画像信号の大きなレベル変化の回数を減らすことができる。しかし、このようなフィルター回路を用いた場合、読取対象である用紙の検出が遅れる。また、コンデンサーの静電容量のばらつき、抵抗の抵抗値のばらつきを考慮しなくてはならない。
【0011】
特許文献1記載の画像形成装置ではカウント値に基づき、センサーの受光面の汚れについて判定する記載がある(特許文献1の段落[0044])。しかし、特許文献1では何をどのようにカウントするかが明確ではない。実際に何かをカウントした値と、所定値との差に所定以上の差があるとき、汚れ有りと判定する。誤りなく検知できるか否か不明である。従って、特許文献1記載の技術では、上記の問題を解決することは難しいと考えられる。
【0012】
本発明は上記問題点を鑑み、異物の有無を判定する制御回路の処理負担を減らしつつ、清掃作業の要求頻度が高くなりすぎないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る画像形成装置は、用紙搬送部、画像形成部、読取ユニット、異物検知信号生成回路、異物検知制御回路を含む。前記用紙搬送部は用紙を搬送する。前記画像形成部は画像を形成する。前記読取ユニットはランプと、搬送用紙を読み取るラインセンサーと、を含む。前記読取ユニットは前記画像形成部よりも用紙搬送方向上流側に設けられる。前記ラインセンサーが出力するアナログ画像信号に基づき、前記異物検知信号生成回路は、第1異物検知信号を生成する。前記異物検知制御回路は、前記第1異物検知信号が入力される。前記第1異物検知信号のレベルに基づき、前記異物検知制御回路は、前記読取ユニットでの異物の有無を認識する。異物検知処理では、前記ラインセンサーが出力する各画素の前記アナログ画像信号に基づく信号において、異物を読み取った画素が予め定められた第1連続数以上続いたとき、前記異物検知信号生成回路は、前記第1異物検知信号のレベルを、異物ありを示すレベルとする。前記ラインセンサーが出力する各画素の前記アナログ画像信号に基づく信号において、異物を読み取った画素があっても、異物を読み取った画素が前記第1連続数以上続かないとき、前記異物検知信号生成回路は、前記第1異物検知信号のレベルを、異物なしを示すレベルとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、異物の有無を判定する制御回路の処理負担を減らすことができる。しかも、清掃作業の要求頻度が高くなりすぎないようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る画像形成部の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る画像形成部の用紙搬送方向上流側の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る読取ユニットの一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るレジストレスユニットの一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る複合機の構成の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る複合機が含む回路の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る二値化回路の一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る読取ユニットが用紙を読み取ったときの各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る異物検知信号生成回路の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る複合機での異物検知時の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図12を用い、実施形態に係る画像形成装置を説明する。画像形成装置として、複合機100を例に挙げて説明する。複合機100は画像データに基づく印刷や送信を行える。本実施形態の説明に記載されている構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
【0017】
(複合機100)
図1~
図3を用いて、実施形態に係る複合機100を説明する。
図1、
図2は実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
図3は実施形態に係る画像形成部5cの一例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、複合機100は制御部1、記憶部2、画像読取部3、操作パネル4、印刷部5を含む。
【0019】
制御部1は複合機100の動作を制御する。制御部1はコピーや送信のようなジョブでの動作を制御する。制御部1は制御回路11、画像データ生成回路12、画像処理回路13、通信回路14を含む。例えば、制御回路11はCPUである。制御回路11はジョブに関する処理、演算を行う。例えば、画像データ生成回路12はA/D変換回路を含む。画像データ生成回路12は、画像読取部3が原稿を読み取って出力したアナログ画像信号A1を処理して原稿画像データを生成する。画像処理回路13は画像処理用の集積回路(例えば、ASIC)である。画像処理回路13は原稿画像データの画像処理を行う。
【0020】
例えば、通信回路14は通信制御回路と通信メモリーを含む。通信制御回路は通信を制御する。通信メモリーは通信用ソフトウェアを記憶する。通信回路14はコンピューター200と通信する。例えば、コンピューター200はPCやサーバーである。操作パネル4は宛先の設定を受け付ける。設定された宛先に向けて、制御部1は原稿の読み取りに基づく画像データを通信回路14に送信させる(スキャン送信)。また、通信回路14はコンピューター200からの印刷用データを受信する。制御部1は受信した印刷用データに基づき印刷部5に印刷させる(プリントジョブ)。
【0021】
記憶部2はRAM、ROM、ストレージを含む。例えば、ストレージはHDD又はSSDである。記憶部2のプログラムやデータに基づき、制御部1は各部を制御する。画像読取部3は光源、イメージセンサーを含む。画像読取部3は原稿を読み取る。
【0022】
操作パネル4は使用者の設定を受け付ける。操作パネル4は表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。制御部1はメッセージや、設定用画面を表示パネル41に表示させる。制御部1は操作用画像を表示パネル41に表示させる。例えば、操作用画像はボタン、キー、タブである。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。ハードキー43はスタートキーやテンキーを含む。タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。例えば、操作パネル4は原稿の読取のモードの設定を受け付ける。制御部1は操作パネル4の出力に基づき、設定内容を認識する。
【0023】
複合機100は印刷部5を含む。印刷部5はエンジン制御部50、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、中間転写部5d、定着部5eを含む。エンジン制御部50はエンジン制御回路50a(エンジンCPU)とエンジンメモリー50bを含む(
図7参照)。エンジンメモリー50bは印刷制御用のプログラムとデータを記憶する。制御部1の印刷指示に基づき、エンジン制御部50は給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、中間転写部5d、定着部5eの動作を制御する。エンジンメモリー50bが記憶するプログラムとデータに基づき、エンジン制御回路50aが制御を行う。
【0024】
例えば、給紙部5aは用紙をセットする用紙カセット、用紙を送り出す給紙ローラーを含む。印刷時、エンジン制御部50は給紙部5aに用紙を供給させる。例えば、用紙搬送部5bはモーター、搬送ローラー対、用紙搬送路を含む。エンジン制御部50は給紙部5aから送り出された用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。用紙搬送部5bは機内で用紙を搬送する(用紙搬送路を通過させる)。
【0025】
画像形成部5cは画像(トナー像)を形成する。
図2、
図3に示すように、画像形成部5cは4色分の画像形成ユニット51と露光装置52を含む。複合機100はブラックの画像を形成する画像形成ユニット51Bkと、イエローの画像を形成する画像形成ユニット51Yと、シアンの画像を形成する画像形成ユニット51Cと、マゼンタの画像を形成する画像形成ユニット51Mを含む。尚、各画像形成ユニット51Bk~51Mは、形成するトナー像の色が異なる。しかし、各画像形成ユニット51Bk~51Mの構成は基本的に同じである。そこで、以下の説明では各画像形成ユニット51のBk、Y、C、Mの符号は特に説明する場合を除き省略する。
【0026】
各画像形成ユニット51は、感光体ドラム53、帯電装置54、現像装置55を含む。印刷のとき、エンジン制御部50はドラムモーター(不図示)を回転させ、感光体ドラム53を回転させる。また、エンジン制御部50は感光体ドラム53を帯電装置54に帯電させる。また、画像データに基づき、エンジン制御部50は感光体ドラム53を露光装置52に露光させる。現像装置55はトナーを含む現像剤を収容する。エンジン制御部50は感光体ドラム53の静電潜像のトナーによる現像を現像装置55に行わせる。
【0027】
中間転写部5dは中間転写ベルト56、2次転写ローラー57、駆動ローラー58、1次転写ローラー59Bk、59Y、59C、59M、従動ローラー510、511を含む。各張架用ローラーの軸線方向は平行である。中間転写ベルト56は無端状である。中間転写ベルト56は張架用ローラーにかけ回される。中間転写部5d(中間転写ベルト56)は感光体ドラム53からトナー像の1次転写を受ける。また、中間転写部5dは用紙にトナー像を2次転写する。
【0028】
例えば、定着部5eはヒーター、定着用ローラーを含む。エンジン制御部50はトナー像が転写された用紙を定着用ローラーに加熱・加圧させる。エンジン制御部50はトナー像の定着を定着部5eに行わせる。用紙搬送部5bは定着後の用紙を機外(排出トレイ)に排出する。
【0029】
(読取ユニット6とレジストレスユニット7)
次に、
図4~
図7を用いて、実施形態に係る読取ユニット6とレジストレスユニット7の一例を説明する。
図4は実施形態に係る画像形成部5cの用紙搬送方向上流側部分の一例を示す図である。
図5は実施形態に係る読取ユニット6の一例を示す図である。
図6は実施形態に係るレジストレスユニット7の一例を示す図である。
図7は実施形態に係る複合機100の構成の一例を示す図である。
【0030】
複合機100は読取ユニット6とレジストレスユニット7を含む。読取ユニット6は用紙搬送経路上に設けられる。読取ユニット6は画像形成部5c(中間転写部5d、トナー像の用紙への転写位置、2次転写ローラー57)よりも用紙搬送方向上流側に設けられる(
図2参照)。
図5に示すように、読取ユニット6は一面が開口した筐体6aを含む。透光板6bが開口部分に取り付けられる。透光板6bはガラス板、又は、透光性樹脂板である。筐体6aと透光板6bによる密閉空間内にランプ6cとラインセンサー6dが配置される。読取ユニット6はランプ6cと、ラインセンサー6dを含む。読取ユニット6はランプ6cと、ラインセンサー6dを内蔵してもよい。読取ユニット6はCIS方式で搬送される用紙を読み取るユニットである。
【0031】
図7に示すように、ユニット制御回路70(異物検知制御回路に相当)が複合機100に設けられる。例えば、ユニット制御回路70は、CPU、マイコンのような制御を行う集積回路である。ユニット制御回路70は、レジストレスユニット7の動作を制御する。以下では、ユニット制御回路70が読取ユニット6の動作も制御する例を説明する。なお、エンジン制御部50が読取ユニット6の動作を制御してもよい。ユニット制御回路70の代わりに、エンジン制御部50が以下の読取ユニット6に関する処理を行ってもよい。
【0032】
図5は読取ユニット6が設置された部分の一例を示す。
図5は用紙搬送路を用紙搬送方向に対して垂直な方向から見た図である。用紙搬送時(印刷ジョブのとき)、ユニット制御回路70は、ランプ6cに電流を供給し、ランプ6cを点灯させる。
図5は読取ユニット6が2本のランプ6cを含む例を示す。ランプ6cはラインセンサー6dの読み取り範囲に向けて光を照射する。ランプ6cは主走査方向に沿って光を照射する。例えば、ランプ6cはLEDランプである。
【0033】
ラインセンサー6dは画素(受光素子)を複数含む。画素(受光素子)は主走査方向に並べられる。
図5に示すように、ランプ6cから放たれ、原稿で反射した光がラインセンサー6dの各画素に入射する。用紙搬送時(印刷ジョブのとき)、ユニット制御回路70は、ラインセンサー6dに読み取りを行わせる。
【0034】
ラインセンサー6dは3ブロックに分割されている。各ブロックが画素(受光素子)を含む。便宜上、主走査方向の一方側(
図4の右側)から順に、第1ブロック61、第2ブロック62、第3ブロック63と称する。複合機100では、中央通紙方式で用紙が搬送される。用紙搬送路の主走査方向の中央と、用紙の主走査方向の中央が一致するように、用紙搬送部5bは用紙を搬送する。
図4の破線は主走査方向での用紙及び用紙搬送路のセンターを示すラインである。
【0035】
第3ブロック63は用紙の主走査方向の中央を読み取る位置に設けられる。第1ブロック61は印刷可能な用紙のうち、主走査方向幅が最大の用紙が用いられた場合に、主走査方向の一方側の端を読み取る位置に設けられる。
図4に示すように、ラインセンサー6dの読取幅は印刷可能な主走査方向の幅が最も広い用紙の主走査方向の幅よりも短い。
【0036】
ユニット制御回路70は、ラインセンサー6dにトリガー信号TRと読取クロック信号CLKを入力する。ラインセンサー6dは電荷転送回路(シフトレジスター、転送用CCD)を含む。例えば、トリガー信号TRにあわせて、各画素が蓄えた電荷が電荷転送回路に移される。電荷転送回路は電荷を電圧に変換しつつ、1つの読取クロック信号CLKにつき、1画素分のアナログ画像信号A1を出力する。
【0037】
従来の画像形成装置でのレジストローラー対の設置位置にレジストレスユニット7が設けられる。従来、用紙の到達当初、レジストローラー対は停止している。停止しているレジストローラー対に用紙を突き当てることで、用紙の斜行を調整している。しかし、レジストローラー対を用いると、用紙の搬送が一時中断する。レジストレスユニット7は、斜行は矯正するが、用紙を止めず、下流に向けて用紙を搬送する。
【0038】
図2に示すように、レジストレスユニット7は、画像形成部5c(中間転写部5d、トナー像の転写位置)よりも用紙搬送方向上流側に設けられる。そして、レジストレスユニット7は、読取ユニット6よりも用紙搬送方向下流側に設けられる。そのため、読取ユニット6は用紙がレジストレスユニット7に到達したことを検知するセンサーとしても用いることができる。
【0039】
図6に示すように、レジストレスユニット7は、ケース7aを含む。
図6の例では、ケース7aは直方体であり、主走査方向を長手方向とする。レジストレスユニット7(ケース7a)は、レジストレスローラー対7b、レジストレスモーター7cを含む。レジストレスローラー対7bは駆動ローラー7dと従動ローラー7eを含む。駆動ローラー7dと従動ローラー7eは、軸線方向が並行である。駆動ローラー7dの周面と従動ローラー7eの周面が接する。
【0040】
ギアが駆動ローラー7dの回転軸の他方側の端部に設けられる。このギアはレジストレスモーター7cのシャフトに設けられたギアと噛み合う。レジストレスモーター7cを回転させると、駆動ローラー7dと従動ローラー7eも回転する。
【0041】
支点7f(支点軸、回動軸)が主走査方向(用紙搬送方向と垂直な方向)での一方側の端部に設けられる。支点7fによって、他方側の端部を振るように、レジストレスユニット7を回動させることができる。
図4に示すように、他方側の端部を、用紙搬送方向下流側、又は、上流側に振ることができる。
【0042】
複合機100は移動機構71を含む。用紙のスキュー(斜行)を矯正するため、移動機構71はレジストレスユニット7(ケース7a)の他方側の端部を用紙搬送方向で移動させる。移動機構71は他方側の端部を移動させる部材を含む。例えば、移動機構71は、移動モーター72、駆動プーリー(不図示)、従動プーリー(不図示)、ベルト73を含む。例えば、移動機構71は、カーブコンベア装置である。
【0043】
移動モーター72は正方向と逆方向の両方に回転可能である。ユニット制御回路70は、移動モーター72の回転を制御する。ベルト73は駆動プーリーと従動プーリーにかけ回される。移動モーター72は駆動プーリーを回転させる。例えば、移動機構71は、レジストレスユニット7の下側に設けられる。レジストレスユニット7のケース7aの下面は、移動機構71のベルト73の上面に取り付けられる(接続される)。ベルト73の一部とレジストレスユニット7(ケース7a)の他方側の端部が接続される。移動モーター72と駆動プーリーを回転させることにより、カーブしつつ、ベルト73が周回する。ベルト73の移動にあわせて、レジストレスユニット7(ケース7a)の他方側の端部も移動させることができる。なお、スキュー矯正でのレジストレスユニット7の移動量は大きくない(例えば、数ミリ程度)。ベルト73を用いてレジストレスユニット7の他方側の端部を移動させることで、用紙の搬送を続けつつ、スキューを矯正することができる。
【0044】
読取ユニット6(ラインセンサー6d)の各画素が出力するアナログ画像信号A1に基づき、搬送読取画像データが生成される(詳細は後述)。搬送読取画像データを用いて、ユニット制御回路70は、搬送用紙の傾き角度を認識する。
【0045】
(1)主走査方向の他方側の隅が一方側の隅よりも用紙搬送方向下流側にある状態で用紙が斜行している場合
ユニット制御回路70は、用紙の到達前に、レジストレスユニット7の主走査方向の他方側端部を用紙搬送方向下流側に移動させる。用紙がレジストレスユニット7(駆動ローラー7dと従動ローラー7eのニップ)に進入すると、ユニット制御回路70は、レジストレスユニット7の主走査方向の他方側端部を用紙搬送方向上流側に移動させる。斜行がなくなるように、ユニット制御回路70は、レジストレスユニット7を移動させる。
【0046】
(2)主走査方向の他方側の隅が一方側の隅よりも用紙搬送方向上流側にある状態で用紙が斜行している場合
ユニット制御回路70は、用紙の到達前に、レジストレスユニット7の主走査方向の他方側端部を用紙搬送方向上流側に移動させる。用紙がレジストレスユニット7(駆動ローラー7dと従動ローラー7eのニップ)に進入すると、ユニット制御回路70は、レジストレスユニット7の主走査方向の他方側端部を用紙搬送方向下流側に移動させる。斜行がなくなるように、ユニット制御回路70は、レジストレスユニット7を移動させる。
【0047】
(二値化回路8とスキューに関する演算)
次に、
図8~
図10を用いて、実施形態にかかる二値化回路8とスキューに関する演算の一例を説明する。
図8は実施形態に係る複合機100が含む回路の一例を示す図である。
図9は実施形態に係る二値化回路8の一例を示す図である。
図10は実施形態に係る読取ユニット6が用紙を読み取ったときの各信号のタイミングチャートの一例を示す図である。
【0048】
複合機100は二値化回路8を含む。二値化回路8はラインセンサー6dが出力するアナログ画像信号A1を処理する回路である。二値化回路8は、1画素分のアナログ画像信号A1ごと(画素ごと)に、アナログ画像信号A1の電圧値が予め定められた閾値Vrefよりも大きいとき、Highレベルを出力する。二値化回路8は、アナログ画像信号A1の電圧値が閾値Vref以下のとき、Lowレベルを出力する。二値化によって、モノクロ(1画素1ビット)の画像データを得ることができる。
【0049】
上述のように、ラインセンサー6dは3つのブロックを含む(第1ブロック61、第2ブロック62、第3ブロック63)。二値化回路8がブロックごとに設けられる。第1ブロック61の各画素のアナログ画像信号A1が1つめの二値化回路8に入力される。第2ブロック62の各画素のアナログ画像信号A1が2つめの二値化回路8に入力される。第3ブロック63の各画素のアナログ画像信号A1が3つめの二値化回路8に入力される。
【0050】
それぞれの二値化回路8は同様の構成である。
図9は二値化回路8の一例を示す。二値化回路8はコンパレーター80と複数の抵抗を含む。ラインセンサー6dの出力(アナログ画像信号A1)が、1画素ずつ順番にコンパレーター80の一方の入力端子に入力される。コンパレーター80の他方の入力端子には、第1抵抗81と第2抵抗82の分圧で生成した参照電圧(閾値Vref)が入力される。
【0051】
用紙はランプ6cの光を反射し、ラインセンサー6dは反射光を受光する。用紙が無い部分では、ランプ6cの光は反射されない。そのため、用紙を読み取った画素の受光量は多くなり、画素が蓄える電荷が多くなる。その結果、用紙を読み取った画素のアナログ画像信号A1の電圧値が大きくなる。アナログ画像信号A1の電圧値が大きいほど、画素が読み取ったものが明るい(白い、色が薄い)ことを示す。反対に、用紙を読み取っていない画素のアナログ画像信号A1の電圧値が小さくなる。つまり、用紙を読み取った画素のアナログ画像信号A1の電圧値は、用紙を読み取っていない画素のアナログ画像信号A1の電圧値よりも大きくなる。
【0052】
コンパレーター80がアナログ画像信号A1の二値化を行う。アナログ画像信号A1の電圧値が参照電圧よりも大きいとき、コンパレーター80はHighレベルを出力する。アナログ画像信号A1の電圧値が参照電圧以下のとき、コンパレーター80はLowレベルを出力する。用紙を読み取ってHighレベルとなった画素は用紙を読み取ったことを意味する。
【0053】
各二値化回路8の出力(二値化信号B1)は、ユニット制御回路70に入力される。ユニット制御回路70は、二値化回路8が生成した二値の画像データ(モノクロ画像データ、搬送読取画像データ)を得る。ユニット制御回路70は、各ブロックの何番目の画素がHighレベルであり、各ブロックの何番目の画素がLowレベルであるかを認識できる。搬送読取画像データに基づき、ユニット制御回路70は、搬送用紙の傾きの方向と傾き角度を認識する(求める)ことができる。
【0054】
図10は用紙のあるラインを読み取ったときの各二値化回路8が出力する信号の一例を示す。
図10のうち、最上段のチャートは読取クロック信号CLKを示す。例えば、読取クロック信号CLKの周波数は数MHz以上である。
図10のうち、上から2段目のチャートは、トリガー信号TRの一例を示す。
図10のうち、上から3段目のチャートは、第1ブロック61からのアナログ画像信号A1の二値化信号B1の波形の一例を示す。
図10のうち、上から4段目のチャートは第2ブロック62からのアナログ画像信号A1の二値化信号B1の波形の一例を示す。
図10のうち、上から5段目のチャートは第3ブロック63からのアナログ画像信号A1の二値化信号B1の波形の一例を示す。上から5段目のチャートの破線は、主走査方向での用紙と用紙搬送路のセンターの画素の位置を示す。
【0055】
例えば、ユニット制御回路70は、3段目のチャートのHighレベルの画素数(読取クロック信号CLKの数)と、4段目のチャートのHighレベルの画素数と、5段目のチャートのセンターから主走査方向で外側の(一方側の)Highレベルの画素数の合計値を求める。ユニット制御回路70は、合計値に1画素のピッチを乗じた乗算値を求める。乗算値は用紙の主走査方向の長さの1/2を示す。ユニット制御回路70は、乗算値を2倍して、用紙の主走査方向のサイズを求め得る。
【0056】
また、ユニット制御回路70は、搬送用紙の傾き角度を求めることもできる。例えば、傾きを求めるための2点の画素(基準点画素)が予め定められる。基準点画素は印刷に使用できる最小の用紙を読み取れる画素である。例えば、基準点画素間の主走査方向の距離は、印刷に使用できる最小の用紙の主走査方向のサイズの1/2よりも大きくする。
【0057】
2つの基準点画素が同じラインでHighレベルとなったとき、ユニット制御回路70は、傾き角度をゼロと認識する。2点のうち、何れか一方が早くHighレベルとなったとき、ユニット制御回路70は、搬送用紙が傾いていると認識する。主走査方向で一方側の基準点画素の方が早くHighレベルとなったとき、ユニット制御回路70は、主走査方向の一方側が下流側となる方向で傾いていると認識する。主走査方向で他方側の画素の方が早くHighレベルとなったとき、ユニット制御回路70は、主走査方向の他方側が下流側となる方向で傾いていると認識する。
【0058】
搬送用紙が傾いているとき、ユニット制御回路70は、アークタンジェント(tan-1)の演算を行って、傾き角度を求める。具体的に、ユニット制御回路70は、以下の演算を行う。
傾き角度=tan-1(A/B)
ここで、Aは一方の基準点画素素がHighレベルとなってから他方の基準点画素がHighレベルとなるまでの用紙の搬送距離である。例えば、ユニット制御回路70は、一方の基準点画素がHighレベルとなってから他方の基準点画素がHighレベルとなるまでのライン数と、1ラインの周期と、単位時間あたりの用紙搬送速度を乗じて、Aを求める。Bは2つの基準点画素の距離である。一方の基準点画素から他方の基準点画素までの画素数に1画素のピッチを乗ずることにより、Bを求めることができる。Aを高さとし、Bを底辺とする直角三角形に基づき、傾き角度を求める。
【0059】
ユニット制御回路70は、傾きの方向、傾き角度を認識すると、用紙の到達前に、傾き方向と同じ方向に向けて、レジストレスユニット7を移動機構71に移動させる。また、ユニット制御回路70は、基準位置から傾き角度と同じ角度、レジストレスユニット7を移動させる。基準位置は、レジストレスユニット7を傾けていない角度である。基準位置は、レジストレスユニット7が、主走査方向(用紙搬送方向と垂直な方向)と、レジストレスローラー対7bの回転軸の軸線方向が平行となる位置である。レジストレスユニット7に用紙が進入し、通過しきる前に、ユニット制御回路70は、レジストレスユニット7を傾きゼロ(基準位置)に戻す。これにより、用紙を止めることなく、スキューを矯正することができる。
【0060】
(異物検知信号生成回路9)
次に、
図8、
図11を用いて、実施形態にかかる異物検知信号生成回路9の一例を説明する。
図11は実施形態に係る異物検知信号生成回路9の一例を示す図である。
【0061】
読取ユニット6(透光板6b)に、異物が付着することがある。例えば、異物は紙粉やトナーである。用紙には紙粉が付着している。トナーを用いて印刷する。そのため、紙粉やトナーが透光板6bに付着することがある。用紙の繊維が絡まり、複数の紙粉が固まって、異物が大きくなることもある。紙粉にトナーが絡みつく可能性もある。
【0062】
読取ユニット6のラインセンサー6dは反射光を受光する。紙粉のような異物もランプ6cの光を反射する。異物のせいで、用紙の無い部分を用紙ありと誤って認識するおそれがある。また、傾き角度を誤認識するおそれもある。特に、異物が大きいと、誤認識が生じやすくなる。
【0063】
読取ユニット6(透光板6b)への異物の付着を検知することが好ましい。そこで、複合機100は異物検知信号生成回路9を含む。異物検知信号生成回路9は、ラインセンサー6dが出力するアナログ画像信号A1に基づき、第1異物検知信号S1と第2異物検知信号S2を生成する。具体的には二値化回路8(コンパレーター80)の二値化信号B1が異物検知信号生成回路9に入力される。第1異物検知信号S1と第2異物検知信号S2はラインセンサー6dの読み取り位置の異物の有無を示す信号である。
【0064】
上述のように、ラインセンサー6dは3つのブロックを含む(第1ブロック61、第2ブロック62、第3ブロック63)。二値化回路8ごとに、異物検知信号生成回路9が設けられる。第1ブロック61の二値化回路8の出力信号が1つめの異物検知信号生成回路9に入力される。第2ブロック62の二値化回路8の出力信号が2つめの異物検知信号生成回路9に入力される。第3ブロック63の二値化回路8の出力信号が3つめの異物検知信号生成回路9に入力される。
【0065】
各異物検知信号生成回路9が出力する信号はユニット制御回路70に入力される。ユニット制御回路70は、異物が存在するブロックを認識できる。
【0066】
読取ユニット6の読み取りライン上に用紙がないとき(用紙を読み取っていないとき)、ランプ6cの光は異物が無い部分では反射されない。そのため、異物を読み取っていない画素(異物のない部分に位置する画素)のアナログ画像信号A1の電圧値は小さくなる。異物を読み取っていない画素のアナログ画像信号A1の電圧値は、暗い(黒い、濃い)ことを示す。一方、異物を読み取った画素(異物がある部分に位置する画素)のアナログ画像信号A1の電圧値は大きくなる。異物を読み取った画素のアナログ画像信号A1の電圧値は、明るい(白い、色が薄い)ことを示す値となる。
【0067】
異物を読み取った画素(受光素子)は、受光量が多くなる。画素に蓄えられる電荷が多くなる。異物を読み取っていない画素(受光素子)は受光量が少なくなる。画素に蓄えられる電荷が少なくなる。異物を読み取った画素のアナログ画像信号A1のレベル(電圧値)は異物を読み取った画素のアナログ画像信号A1のレベルよりも大きくなる。コンパレーター80はアナログ画像信号A1の二値化を行う。用紙を読み取っていないときにHighレベルが出力された場合、Highレベルは異物を読み取ったことを意味する。
【0068】
図11は1つの異物検知信号生成回路9の一例を示す。異物検知信号生成回路9は、複数のDフリップフロップ90を含む。
図11は異物検知信号生成回路9が16個のDフリップフロップ90を含む例を示す。Dフリップフロップ90は多段接続される。以下の説明では1つの異物検知信号生成回路9が含むDフリップフロップ90の個数を第1連続数と称する。
【0069】
初段のDフリップフロップ90には二値化信号B1(アナログ画像信号A1に基づく信号)が入力される。具体的に、第1ブロック61に対応する二値化回路8のコンパレーター80の出力端子は、第1ブロック61用の異物検知信号生成回路9の初段のDフリップフロップ90のデータ入力端子と接続される。第2ブロック62に対応する二値化回路8のコンパレーター80の出力端子は、第2ブロック62用の異物検知信号生成回路9の初段のDフリップフロップ90のデータ入力端子と接続される。第3ブロック63に対応する二値化回路8のコンパレーター80の出力端子は、第3ブロック63用の異物検知信号生成回路9の初段のDフリップフロップ90のデータ入力端子と接続される。初段のDフリップフロップ90は搬送読取画像データをラッチする(記憶する)回路といえる。
【0070】
そして、前段のDフリップフロップ90の出力が次段のDフリップフロップ90に入力される。言い換えると、次段(n段)のDフリップフロップ90のデータ入力端子は、前段(n-1)のDフリップフロップ90の出力端子と接続される。2段目以降のDフリップフロップ90は、前段が出力するデータをラッチする(記憶する)回路といえる。
図11はDフリップフロップ90の総数(第1連続数)が16の異物検知信号生成回路9を示す。なお、Dフリップフロップ90の数は、16個に限られない。ラインセンサー6dの解像度によって、個数は調整される。つまり、
図11は16個のDフリップフロップ90を多段接続したシフトレジスター回路の一例を示す。
【0071】
ユニット制御回路70は、読取クロック信号CLKを各Dフリップフロップ90に入力する。読取クロック信号CLKはラインセンサー6dでのアナログ画像信号A1の転送(出力)に用いられる信号である。それぞれのDフリップフロップ90は、読取クロック信号CLKに基づきデータをラッチする。それぞれのDフリップフロップ90は、読取クロック信号CLKの立ち上がり、又は、立ち下がり時のデータ入力端子の信号レベル(Highレベル又はLowレベル)を記憶する。
【0072】
各Dフリップフロップ90の出力端子(/Q端子、反転出力端子)から出力される信号のレベルは、記憶した信号レベル(ラッチしたデータ)の論理を反転したレベルとなる。各Dフリップフロップ90の出力端子には、1つのNOT回路94が接続される。出力端子がHighレベルのとき、NOT回路94はLowレベルを出力する。出力端子がLowレベルのとき、NOT回路94はHighレベルを出力する。反転出力端子による論理反転と、NOT回路94による論理反転がなされる。最終的に、次段のDフリップフロップ90に入力される信号のレベルは、前段のDフリップフロップ90が記憶したレベルと同じレベルとなる。
【0073】
そのため、Dフリップフロップ90が記憶するレベルがLowレベルのとき、Lowレベルの信号が、次段のDフリップフロップ90の入力端子に入力される。Dフリップフロップ90が記憶するレベルがHighレベルのとき、Highレベルが次段のDフリップフロップ90の入力端子に入力される。なお、各Dフリップフロップ90の出力端子にQ端子(非反転出力端子)を用いてもよい。この場合、NOT回路94は不要である。
【0074】
それぞれのNOT回路94にはゲート制御信号C1が入力される。例えば、ユニット制御回路70がゲート制御信号C1を入力する。ゲート制御信号C1はNOT回路94の動作のON/OFFを切り替えるための信号である。異物を検知するとき、ユニット制御回路70は、ゲート制御信号C1のレベルをNOT回路94が動作するレベルとする。
【0075】
具体的に、ユニット制御回路70は、予め定められたときに、異物検知を行う。例えば、ユニット制御回路70が新たに起動したとき、ユニット制御回路70は、異物検知を行う。例えば、複合機100の主電源が新たに投入されたとき、ユニット制御回路70が新たに起動する。また、複合機100のモードが省電力モードからアクティブモード(通常モード)に復帰したとき、ユニット制御回路70が新たに起動する。
【0076】
また、複合機100は読取ユニット6を清掃するときに開けられる清掃用カバーを備える。清掃のとき、使用者は清掃用カバーを開ける。清掃用カバーを開けた状態で、使用者は清掃作業を行う。例えば、使用者は清掃作業にて読取ユニット6の透光板6bの表面の異物を布やブラシで拭き取る。清掃作業後、使用者は清掃用カバーを閉じる。複合機100は清掃用カバーが開いているか、閉じているかを検知する開閉検知センサー64を含んでもよい(
図7参照)。開閉検知センサー64の出力は、ユニット制御回路70に入力されてもよい。この場合、ユニット制御回路70は、清掃用カバーの開閉を認識できる。清掃用カバーの開閉がなされたとき、ユニット制御回路70は、異物検知を行ってもよい。
【0077】
また、ユニット制御回路70は、印刷ジョブの開始前に異物検知を行ってもよい。また、ユニット制御回路70は、印刷ジョブ中、紙間(読取ユニット6が用紙と向かい合っていない間)に、異物検知を行ってもよい。
【0078】
異物検知処理では、例えば、ユニット制御回路70は、1ラインの読み取りを読取ユニット6に行わせる(数ラインでもよい)。異物検知用の読取で得られたアナログ画像信号A1に基づく信号(二値化信号B1)が異物検知信号生成回路9に入力される。最初の画素の二値化信号B1を異物検知信号生成回路9に入力してから、最後の画素の二値化信号B1を異物検知信号生成回路9に入力するまで、ユニット制御回路70は、第1異物検知信号S1と第2異物検知信号S2のレベルを監視する。この場合、ユニット制御回路70は、1ラインの読取期間中のみ、各異物検知信号のレベルを監視するだけでよい。
【0079】
異物検知信号生成回路9は、第1AND回路91を含む。第1AND回路91は初段から連続する第2連続数と同じ個数のDフリップフロップ90のそれぞれの出力が入力される。
図11の例では第2連続数が8である。つまり、初段から8段目までの各Dフリップフロップ90の出力が第1AND回路91に入力される。
【0080】
第2連続数は8に限られない。第2連続数の値は適宜定められる。第2連続数は第1連続数よりも小さい整数とされる。
図11は第1連続数の1/2を第2連続数とする例を示す。第2連続数は第1連続数の1/2より大きくてもよい。第2連続数は第1連続数の1/2より小さくてもよい。
【0081】
第1AND回路91が出力する信号が第2異物検知信号S2として、ユニット制御回路70に入力される。第1AND回路91と接続されるDフリップフロップ90(第2連続数のDフリップフロップ90)の全てがHighレベルを出力すると、第1AND回路91の出力端子のレベルがHighレベルとなる。言い換えると、異物を読み取った画素が第2連続数続くと、異物検知信号生成回路9は、第2異物検知信号S2のレベルをHighレベルとする。
図11の場合、異物を読み取って受光量が多くなった画素が8画素続くと、第2異物検知信号S2のレベルはHighレベルになる。
【0082】
一方、異物を読み取っても、異物を読み取った画素の連続数が第2連続数に満たないとき、異物検知信号生成回路9は、第2異物検知信号S2のレベルをLowレベルで維持する。
図11の場合、読み取った異物の主走査方向のサイズが8画素分のピッチ未満のとき、第2異物検知信号S2のレベルはLowレベルで維持される。
【0083】
用紙を読み取っていないとき、1画素程度の大きさの紙粉に反応して、二値化信号B1のレベルがHighレベルとなることがある。1画素程度の大きさの異物が、清掃が必要なほどの異物か判断することは難しい。異物検知の読み取りで1画素分の期間だけ瞬間的に二値化信号B1のレベルがHighレベルになっただけで使用者に清掃を要求すると、清掃要求の頻度が高くなりすぎる場合がある。異物検知の感度が高すぎて、使用者に何度も清掃作業を強いるおそれがある。
【0084】
そこで、第2連続数の画素だけ連続して二値化信号B1のレベルがHighレベルとなったとき、第2異物検知信号S2のレベルをHighレベルとする。異物検知の感度を下げ、高頻度で清掃要求を出さないようにすることができる。
【0085】
異物検知信号生成回路9は、第2AND回路92と第3AND回路93を含む。第2AND回路92は出力端子が第1AND回路91と接続されないDフリップフロップ90のそれぞれの出力が入力される。第2AND回路92は第2連続数よりも1つ後段のDフリップフロップ90から最終段までのDフリップフロップ90のそれぞれの出力が入力される。
図11の例では9段目から16段目までの各Dフリップフロップ90の出力が第2AND回路92に入力される。
【0086】
第3AND回路93は2つの入力端子を有する。一方の入力端子は第1AND回路91の出力端子と接続される。また、他方の入力端子は第2AND回路92の出力端子と接続される。つまり、第3AND回路93には第1AND回路91と第2AND回路92の出力が入力される。第3AND回路93が出力する信号のレベルは、第1AND回路91の出力と第2AND回路92の出力の論理積となる。第3AND回路93の出力が第1異物検知信号S1としてユニット制御回路70に入力される。
【0087】
つまり、1つの異物検知信号生成回路9が含むDフリップフロップ90(第1連続数のDフリップフロップ90)の全てがHighレベルを記憶すると、第3AND回路93の出力端子のレベル(第1異物検知信号S1)がHighレベルとなる。言い換えると、異物を読み取った画素が第1連続数続くと、異物検知信号生成回路9は、第1異物検知信号S1のレベルをHighレベルとする。
図11の場合、異物を読み取って受光量が多くなった画素が16画素続くと、第1異物検知信号S1のレベルは、Highレベルになる。異物検知の感度を下げ、かつ、ある程度、大きい異物の存在を検知することもできる。
【0088】
一方、異物を読み取っても、異物を読み取った画素の連続数が第1連続数に満たないとき、異物検知信号生成回路9は、第1異物検知信号S1のレベルをLowレベルで維持する。
図11の場合、読み取った異物の主走査方向のサイズが1画素のピッチの16倍の長さよりも短いとき、第1異物検知信号S1のレベルは、Lowレベルで維持される。
【0089】
(異物検知時の処理)
図12を用いて、実施形態に係る複合機100での異物検知時の処理の一例を説明する。
図12は実施形態に係る複合機100での異物検知時の処理の一例を示す図である。
【0090】
図12のスタートは、ユニット制御回路70が異物検知のための読み取りを読取ユニット6(ラインセンサー6d)に開始させた時点である。ユニット制御回路70は、第1異物検知信号S1と第2異物検知信号S2のレベルの変化の監視を開始する(ステップ♯1)。例えば、読取ユニット6の1ラインの読み取りで得られたアナログ画像信号A1に基づく二値化信号B1の出力にあわせて監視を開始する。ユニット制御回路70は、それぞれの異物検知信号生成回路9が出力する第1異物検知信号S1と第2異物検知信号S2のレベルを監視する。複合機100ではユニット制御回路70は、6本の信号線のレベルを監視する。
【0091】
やがて、ユニット制御回路70は、第1異物検知信号S1と第2異物検知信号S2のレベル変化の監視を終了する(ステップ♯2)。例えば、異物検知のための1ラインの読み取りで得られたアナログ画像信号A1に基づく二値化信号B1の全てが異物検知信号生成回路9に入力されると、ユニット制御回路70は、監視を終了する。
【0092】
ユニット制御回路70は、何れか1つでも、第1異物検知信号S1がHighレベルになったか否かを確認する(ステップ♯3)。ユニット制御回路70は、第1異物検知信号S1がHighレベルになった異物検知信号生成回路9に対応するブロックに異物が付着していると認識する。
【0093】
1つでも第1異物検知信号S1がHighレベルになったとき(ステップ♯3のYes)、ユニット制御回路70は、読取ユニット6の清掃メッセージを表示パネル41に表示させる(ステップ♯4)。例えば、ユニット制御回路70は、表示パネル41での清掃メッセージの表示要求を制御部1に送信する。表示要求を受けたとき、制御部1は表示パネル41に清掃メッセージを表示させる。例えば、制御部1は「カバーを開けて、読取ユニット6を清掃して下さい。」のような清掃メッセージを表示させる。ユニット制御回路70は、第1異物検知信号S1がHighレベルとなったラインセンサー6dのブロックを制御部1に通知してもよい。この場合、制御部1は、ラインセンサー6dのどのブロックに異物があるかを表示パネル41に表示させてもよい。
【0094】
また、ユニット制御回路70は、印刷禁止要求をエンジン制御部50と制御部1に通知する(ステップ♯5)。印刷禁止要求を受けたとき、制御部1とエンジン制御部50は印刷を禁止する(ステップ♯6→エンド)。制御部1とエンジン制御部50は、複合機100を印刷禁止状態とする。
【0095】
印刷ジョブの実行中に印刷禁止要求を受けたとき、制御部1とエンジン制御部50は印刷部5の動作を停止させる。印刷ジョブを行っていない間に印刷禁止要求を受けたとき、制御部1とエンジン制御部50は新たな印刷ジョブを印刷部5に実行させない。異物が大きいため、印刷物の画質低下のおそれがあるためである。
【0096】
制御部1とエンジン制御部50は、後述の通知を受けるまで、印刷部5及び複合機100の印刷禁止状態を維持する。印刷禁止状態を解除したいとき、使用者は読取ユニット6の清掃を行う。清掃用カバーの開閉後、異物検知が再実行される。再実行で第1異物検知信号S1がHighレベルとならなければ、制御部1とエンジン制御部50は、印刷禁止状態を解除する。
【0097】
具体的に、どの第1異物検知信号S1もHighレベルにならなかったとき(ステップ♯3のNo)、ユニット制御回路70は、印刷禁止の解除可能をエンジン制御部50と制御部1に通知する(ステップ♯7)。この通知を受けた時点で印刷禁止状態のとき、制御部1とエンジン制御部50は、印刷部5及び複合機100の印刷禁止状態を解除する。新たな印刷ジョブの要求があると、制御部1とエンジン制御部50は、新たな印刷ジョブを印刷部5に実行させる。
【0098】
そして、ユニット制御回路70は、何れか1つでも、第2異物検知信号S2がHighレベルになったか否かを確認する(ステップ♯8)。1つでも第2異物検知信号S2がHighレベルになったとき(ステップ♯8のYes)、ユニット制御回路70は、読取ユニット6の清掃メッセージを表示パネル41に表示させる(ステップ♯9)。ある程度大きい異物が読取ユニット6の透光板6bに付着しているためである。
【0099】
例えば、ユニット制御回路70は、表示パネル41での清掃メッセージの表示要求を制御部1に送信する。表示要求を受けたとき、制御部1は表示パネル41に清掃メッセージを表示させる。清掃メッセージは読取ユニット6の清掃を求めるメッセージである。例えば、制御部1は「カバーを開けて、読取ユニット6を清掃して下さい。」のようなメッセージを清掃メッセージとして表示させる。なお、ユニット制御回路70は、第2異物検知信号S2がHighレベルとなったラインセンサー6dのブロックを制御部1に通知してもよい。この場合、制御部1は、ラインセンサー6dのどのブロックに異物があるかを表示パネル41に表示させてもよい。
【0100】
1つも第2異物検知信号S2がHighレベルにならなったとき(ステップ♯8のNo)、又は、ステップ♯9の後、ユニット制御回路70は、本フローチャートを終了する(エンド)。第2異物検知信号S2がHighレベルになっても、第1異物検知信号S1がHighレベルにならなければ、ユニット制御回路70は、複合機100を印刷禁止状態にしない。使用者の使い勝手を考慮し、第2異物検知信号S2のみがHighレベルの段階では、印刷を禁止しないようにする。
【0101】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、用紙搬送部5b、画像形成部5c、読取ユニット6、異物検知信号生成回路9、異物検知制御回路(ユニット制御回路70)を含む。用紙搬送部5bは用紙を搬送する。画像形成部5cは画像を形成する。読取ユニット6はランプ6cと、搬送用紙を読み取るラインセンサー6dと、を含む。読取ユニット6は画像形成部5cよりも用紙搬送方向上流側に設けられる。ラインセンサー6dが出力するアナログ画像信号A1に基づき、異物検知信号生成回路9は、第1異物検知信号S1を生成する。異物検知制御回路は、第1異物検知信号S1が入力される。第1異物検知信号S1のレベルに基づき、異物検知制御回路は、読取ユニット6での異物の有無を認識する。異物検知処理では、ラインセンサー6dが出力する各画素のアナログ画像信号A1に基づく信号において、異物を読み取った画素が予め定められた第1連続数以上続いたとき、異物検知信号生成回路9は、第1異物検知信号S1のレベルを、異物ありを示すレベルとする。ラインセンサー6dが出力する各画素のアナログ画像信号A1に基づく信号において、異物を読み取った画素があっても、異物を読み取った画素が第1連続数以上続かないとき、異物検知信号生成回路9は、第1異物検知信号S1のレベルを、異物なしを示すレベルとする。
【0102】
単発的に異物を読み取った画素があっても、連続しないかぎり、第1異物検知信号S1のレベルは異物なしを示すレベルで維持される。従って、第1異物検知信号S1のレベルの変化回数を減らすことができる。これにより、異物検知制御回路の処理負担を減らすことができる。高速、高価格の異物検知制御回路を採用しなくてすむ。異物検知制御回路の選択肢を広げることができる。画像形成装置の製造コストを抑えることができる。
【0103】
異物を読み取った画素の連続数が第1連続数を超えると、第1異物検知信号S1のレベルを、異物ありを示すレベルに変化させることができる。用紙の搬送状態の誤検知を引き起こす可能性が高い異物(大きな異物)の存在を正確に検出することができる。一方で、用紙の搬送状態の誤検知を引き起こす可能性が少ない微小な異物を無視することができる。従って、異物が小さいとき、清掃作業を要求しないようすることができる。清掃作業の要求頻度が高くなりすぎることを防ぐことができる。
【0104】
画像形成装置は、第1異物検知信号S1のレベルが異物ありを示すレベルになったときに、読取ユニット6の清掃を求めるメッセージを表示する表示パネル41を含む。読取ユニット6(透光板6b)に付着する大きな異物の除去を使用者に促すことができる。
【0105】
印刷中に第1異物検知信号S1のレベルが異物ありを示すレベルになったとき、画像形成部5cは画像形成を停止する。用紙搬送部5bは用紙搬送を停止する。印刷していないときに第1異物検知信号S1のレベルが異物ありを示すレベルになったとき、画像形成部5cは画像形成を新たに開始しない。用紙搬送部5bは用紙搬送を新たに開始しない。大きな異物で画質低下のおそれがあるとき、印刷を行わないようにすることができる。
【0106】
読取クロック信号CLKに基づき、読取ユニット6は1画素ずつ画素の並び順でアナログ画像信号A1を出力する。異物検知信号生成回路9は、第1連続数と同数のDフリップフロップ90を含む。それぞれのDフリップフロップ90は、入力される読取クロック信号CLKに基づきラッチする。初段のDフリップフロップ90の入力端子は、アナログ画像信号A1に基づく信号が入力される。前段のDフリップフロップ90の出力端子は、次段のDフリップフロップ90の入力端子と接続される。全てのDフリップフロップ90の出力が異物ありを示すレベルになったとき、異物検知信号生成回路9は、第1異物検知信号S1のレベルを、異物ありを示すレベルとする。複数のDフリップフロップ90を用いて、微小な異物を読み取っただけでは第1異物検知信号S1のレベルが変化しないようにすることができる。第1異物検知信号S1の大きなレベル変化の回数を減らすことができる。入手容易な部材を用いて、異物検知信号生成回路9を実現することができる。
【0107】
画像形成装置は各画素のアナログ画像信号A1が入力される二値化回路8を含む。初段のDフリップフロップ90の入力端子は、二値化回路8がアナログ画像信号A1を二値化した二値化信号B1が入力される。アナログ画像信号A1を二値化することができる。二値化により、初段のDフリップフロップ90は、入力値を正確にラッチできる。異物を読み取った画素の連続数が第1連続数を超えたことを正確に検出することができる。
【0108】
異物検知処理では、異物検知信号生成回路9は、第2異物検知信号S2を生成する。入力されたアナログ画像信号A1において、異物を読み取った画素が予め定められた第2連続数以上続いたとき、異物検知信号生成回路9は、第2異物検知信号S2のレベルを、異物ありを示すレベルとする。入力されたアナログ画像信号A1において、異物を読み取った画素があっても、異物を読み取った画素が予め定められた第2連続数以上続かないとき、異物検知信号生成回路9は、第2異物検知信号S2のレベルを、異物なしを示すレベルとする。第2連続数は第1連続数よりも少ない。第1異物検知信号S1のレベルが変化するほどではないが、ある程度大きい異物の付着を検出することができる。清掃作業を要求した方が好ましい大きさの異物が付着していることを検出することができる。
【0109】
画像形成装置は、第2異物検知信号S2のレベルが異物ありを示すレベルになったとき、読取ユニット6の清掃を求めるメッセージを表示する表示パネル41を含む。読取ユニット6に付着した異物であり、ある程度大きい異物の除去を使用者に促すことができる。
【0110】
印刷中に第2異物検知信号S2のレベルが異物ありを示すレベルになっても、画像形成部5cは画像形成を継続する。用紙搬送部5bは用紙搬送を継続する。印刷していないときに第2異物検知信号S2のレベルが異物ありを示すレベルになっても、画像形成部5cは画像形成を新たに開始する。用紙搬送部5bは用紙搬送を新たに開始する。異物が第1異物検知信号S1のレベルが変化するほど大きくない場合、印刷を行えるようにすることができる。異物がそれほど大きくなければ、画像形成装置を使い続けることができる。使い勝手のよい画像形成装置を提供することができる。
【0111】
異物検知信号生成回路9は、第1AND回路91を含む。読取ユニット6は読取クロック信号CLKに基づき、1画素ずつ画素の並び順でアナログ画像信号A1を出力する。異物検知信号生成回路9は、第1連続数と同数のDフリップフロップ90を含む。それぞれのDフリップフロップ90は、入力される読取クロック信号CLKに基づきラッチする。初段のDフリップフロップ90の入力端子は、アナログ画像信号A1に基づく信号が入力される。前段のDフリップフロップ90の出力端子は、次段のDフリップフロップ90の入力端子と接続される。第1AND回路91は初段から順番に第2連続数と同じ個数のDフリップフロップ90のそれぞれの出力が入力される。第1AND回路91が出力する信号が第2異物検知信号S2である。Dフリップフロップ90とAND回路だけで第2異物検知信号S2を生成する回路を実現することができる。
【0112】
異物検知信号生成回路9は、第2AND回路92と第3AND回路93を含む。第2AND回路92は出力端子が第1AND回路91と接続されないDフリップフロップ90のそれぞれの出力が入力される。第3AND回路93は第1AND回路91の出力と、第2AND回路92の出力が入力される。第3AND回路93が出力する信号が第1異物検知信号S1である。Dフリップフロップ90と3つのAND回路だけで2種の異物検知信号を生成する回路を実現することができる。
【0113】
画像形成装置(複合機100)は、画像形成部5cよりも用紙搬送方向上流側かつ読取ユニット6よりも用紙搬送方向下流側に設けられたレジストレスユニット7と、ユニット制御回路70と、を備える。レジストレスユニット7は、レジストレスローラー対7b、レジストレスモーター7c、ケース7a、移動機構71を含む。レジストレスローラー対7bは用紙を画像形成部5cに向けて送る。レジストレスモーター7cはレジストレスローラー対7bを回転させる。ケース7aは、レジストレスローラー対7bを収容し、主走査方向の一端側に設けられた支点7fを有する。移動機構71は、支点7fを中心にケース7aの他端側を用紙搬送方向で移動させる。ユニット制御回路70は、アナログ画像信号A1に基づき生成された搬送読取画像データを用いて、搬送用紙の傾き角度を認識する。ユニット制御回路70は、スキュー矯正のためにレジストレスユニット7を移動機構71に移動させる。搬送用紙のスキューを、読取ユニット6の読み取りで得られた搬送読取画像データに基づき、スキューを矯正することができる。正確なスキューの矯正の妨げになる異物を検知することができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は搬送用紙を読み取る読取ユニットを含む画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 複合機(画像形成装置) 41 表示パネル
5b 用紙搬送部 5c 画像形成部
6 読取ユニット 6c ランプ
6d ラインセンサー 7 レジストレスユニット
70 ユニット制御回路(異物検知制御回路)
8 二値化回路 9 異物検知信号生成回路
90 Dフリップフロップ 91 第1AND回路
92 第2AND回路 93 第3AND回路
A1 アナログ画像信号 B1 二値化信号
CLK 読取クロック信号 S1 第1異物検知信号
S2 第2異物検知信号