(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】通報管理装置、システム、通報管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240409BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240409BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2020012399
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】西山 健太
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-023468(JP,A)
【文献】特開2019-200546(JP,A)
【文献】特開2002-169907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0221370(US,A1)
【文献】総務省,平成27年度版情報通信白書,「世界のウェブアーカイブ|スマートフォンアプリを使った市民参加型のインフラ管理(千葉県千葉市「ちばレポ」)」,[online],2019年11月17日,[令和5年10月27日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20191117205521/https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h27/html/nc233220.html>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 ー 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備の不具合に関する通報を収集する通報収集手段と、
前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別する主管組織判別手段と、
前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する出力手段とを備え
、
前記主管組織判別手段は、前記通報の内容から、テキストデータを抽出して、当該テキストデータを解析することによって、前記設備の前記主管組織を判別する
通報管理装置。
【請求項2】
前記主管組織判別手段は、
前記主管組織の判別結果の確からしさを示すスコア値を計算し、
前記出力手段は、前記通報情報および前記スコア値を、前記出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の通報管理装置。
【請求項3】
情報提供者が前記通報を行うインセンティブとなる評価を付与する評価付与手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通報管理装置。
【請求項4】
前記主管組織の端末により、前記通報情報の確認結果が登録された後、前記評価付与手段は、前記情報提供者に評価を付与する
ことを特徴とする請求項3に記載の通報管理装置。
【請求項5】
前記通報情報の確認結果は、前記通報情報が有用か否かを示す情報を含み、
前記評価付与手段は、前記通報情報が有用である場合に、そうでない場合よりも、前記情報提供者に高い評価を付与する
ことを特徴とする請求項4に記載の通報管理装置。
【請求項6】
第三者からの要求に応じて、前記通報情報を提供する情報提供手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通報管理装置。
【請求項7】
設備の不具合に関する通報を行うための1または複数の第1の端末と、
前記第1の端末から、設備の不具合に関する通報を収集する通報収集手段と、前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別する主管組織判別手段と、前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する出力手段とを備えた通報管理装置と、
出力された前記通報情報を確認するための1または複数の第2の端末と、
を含
み、
前記主管組織判別手段は、前記通報の内容から、テキストデータを抽出して、当該テキストデータを解析することによって、前記設備の前記主管組織を判別する
システム。
【請求項8】
コンピュータが、
設備の不具合に関する通報を収集し、
前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別し、
前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する
ことを含
み、
前記設備の主管組織を判別するとき、前記通報の内容から、テキストデータを抽出して、当該テキストデータを解析することによって、前記設備の前記主管組織を判別する
通報管理方法。
【請求項9】
設備の不具合に関する通報を収集することと、
前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別することと、
前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力することと
をコンピュータに実行させ
、
前記設備の主管組織を判別するとき、前記通報の内容から、テキストデータを抽出して、当該テキストデータを解析することによって、前記設備の前記主管組織を判別することを、前記コンピュータに実行させる
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通報管理装置、通報管理方法、およびプログラムに関し、特に、設備の不具合に関する通報を管理する通報管理装置、通報管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気、ガス、通信、水道、交通などの社会インフラ設備の経年劣化が進行していることが深刻な問題となっている。設備の保全に係る労働力の不足も問題視されている。
【0003】
設備の巡回点検に加えて、市民が設備の状況を監視するための仕組みが、社会インフラ業界において検討されている。具体的には、道路の陥没や公園遊具の故障を発見した市民が、自治体(行政)へ通報するためのスマートフォン用アプリケーション(通報アプリと呼ぶ)が、一部の自治体において提供されている(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-134119号公報
【文献】特開2006-235901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、関連する通報アプリでは、玉石混合の通報の中から、設備の管理主体(主管組織と呼ぶ)にとって有用な通報を抽出する手段がないため、通報を必ずしも有効利用できていない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、通報を有効利用しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係わる通報管理装置は、設備の不具合に関する通報を収集する通報収集手段と、前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別する主管組織判別手段と、前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する出力手段とを備えている。
【0008】
本発明の一態様に係わる通報管理方法は、設備の不具合に関する通報を収集し、前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別し、前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力することを含む。
【0009】
本発明の一態様に係わるプログラムは、設備の不具合に関する通報を収集することと、前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別することと、前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、通報を有効利用されやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1に係わる通報管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係わる通報管理装置および情報提供者の端末の動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図3】実施形態2に係わる通報管理サーバを含むシステムの概略図である。
【
図4】実施形態2に係わる通報管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態2に係わる通報管理サーバを含むシステムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図6】実施形態3に係わる通報管理サーバを含むシステムの概略図である。
【
図7】実施形態3に係わる通報管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図8】実施形態3に係わる通報管理サーバを含むシステムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【
図9】実施形態3の一変形例に係わる通報管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図10】実施形態1から3に係わる通報管理装置または通報管理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
図1~
図3を参照して、実施形態1について説明する。
【0013】
(通報管理装置100)
図1は、本実施形態1に係わる通報管理装置100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、通報管理装置100は、通報収集部110、主管組織判別部120、および出力部130を備えている。
【0014】
通報の対象は、行政が管理するインフラ設備(道路、街路灯、または不法投棄など)であってよいが、それに限定されない。別の例では、火事または水害等の災害による被害を受けた物、人里に現れた害獣、もしくは、倒壊の恐れがある空き家が、通報の対象である。
【0015】
市民等の情報提供者は、端末にインストールされた通報用アプリを起動する。そして、情報提供者は、端末のカメラを用いて、上述したような不具合のある設備を撮影し、画像データを生成する。情報提供者は、通報の詳細(例えば、不具合が発生した理由および日時、並びに、設備の状況および周辺環境)を端末に入力する。
【0016】
情報提供者の端末は、設備の不具合に関する通報を行うための1または複数の第1の端末の一例である。情報提供者の端末は、通報用アプリのプログラムにしたがって、所定の手順で、生成された画像データを含む通報の内容を、クラウドネットワークへアップロードする。このとき、情報提供者の端末は、クラウドネットワーク上に通報の内容をアップロードしたことを、通報管理装置100へ通報する。この通報には、情報提供者の端末に入力された通報の詳細が添付されている。また、通報には、通報が入力された日時および場所を示す情報のほか、情報提供者を識別する情報、アップロードされた通報の内容を識別する情報も添付されていてもよい。
【0017】
通報収集部110は、設備の不具合に関する通報を収集する。具体的には、通報収集部110は、情報提供者の端末から通報を受信したとき、通報の内容を識別する情報に基づいて、通報の内容をクラウドネットワーク上で収集する。
【0018】
通報収集部110は、通報の内容および通報の詳細を、主管組織判別部120へ出力する。また、通報収集部110は、通報の内容および通報の詳細を、出力部130へ出力する。したがって、通報の内容に応じた主管組織に、通報を人手で振り分ける必要がない。
【0019】
主管組織判別部120は、通報の内容から、設備の主管組織を判別する。具体的には、主管組織判別部120は、通報収集部110から、通報の内容および通報の詳細を受信する。主管組織判別部120は、通報の内容から画像データを抽出する。主管組織判別部120は、AI(Artificial Intelligence)を用いた画像解析技術によって、画像データに基づいて、設備の主管組織を判別する。
【0020】
例えば、主管組織判別部120は、判別された主管組織の確からしさ(すなわち、判別結果の確からしさ)を示すスコア値を計算する。より詳細には、主管組織判別部120は、通報の内容に含まれる画像データに対し、画像分析を実行することにより、主管組織の確からしさを示すスコア値を算出する。主管組織が複数ある場合、主管組織判別部120は、主管組織ごとにスコア値を計算する。主管組織判別部120は、通報の詳細に基づいて、スコア値を重み付けしてもよい。
【0021】
例えば、主管組織が電力会社または行政である一方、通報の対象は電柱であることが通報の詳細に記載されている場合、主管組織判別部120は、主管組織が電力会社である場合のスコア値に1を超える重みを乗算する。主管組織判別部120は、主管組織が行政である場合のスコア値に1より小さい重みを乗算してもよい。
【0022】
主管組織判別部120は、重み付けられたスコア値そのものを、主管組織の判別結果として、出力部130へ出力してもよい。あるいは、主管組織判別部120は、重み付けられたスコア値が最も高い主管組織を選択し、主管組織の判別結果として、選択した主管組織のみを出力部130へ通知してもよい。
【0023】
あるいは、通報の内容がテキストデータを含む場合、主管組織判別部120は、テキストデータを解析することによって、設備の主管組織を判別してもよい。例えば、通報の内容に、「電柱に異物が付着しています」という一文のテキストデータが含まれる場合、主管組織判別部120は、「電柱」、「異物」、および「付着」というテキストデータ中の用語に基づいて、設備の主管組織が電力会社であると判別する。
【0024】
出力部130は、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する。例えば、出力部130は、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、図示しないデータベースに登録する。一例では、出力部130は、通報情報およびスコア値を、図示しないデータベースに登録する。
【0025】
具体的には、出力部130は、通報収集部110から、通報の内容および通報の詳細を受信する。出力部130は、通報の内容および通報の詳細を含む通報情報を生成する。あるいは、出力部130は、通報の内容および通報の詳細の一部のみを通報情報としてもよい。加えて、出力部130は、主管組織判別部120による主管組織の判別結果が示す一または複数の主管組織の端末へ、通報情報を配信する。出力部130は、通報の内容および通報の詳細以外も、通報情報に含めてもよい。例えば、出力部130は、通報に添付された情報を通報情報に含める。具体的には、通報情報は、通報が入力された日時および場所を示す情報のほか、情報提供者を識別する情報、アップロードされた通報の内容を識別する情報のうち、少なくともいずれかをさらに含んでいてもよい。これにより、通報管理装置100は、主管組織等に対し、より有用な通報情報を提供することができる。
【0026】
主管組織の端末は、定期的または非定期的に、図示しないデータベース上の通報情報にアクセスする。例えば、主管組織の端末は、スコア値を基準として、自組織が管理する設備に関する通報情報を検索する。あるいは、主管組織の端末は、通報管理装置100から配信される通報情報を受信する。これにより、主管組織は、通報情報に基づいて、設備の状況を容易に把握できるので、設備を保全するためのコスト及び労力を削減することができる。
【0027】
(通報管理装置100の動作)
図2を参照して、本実施形態1に係わる通報管理装置100の動作、および、情報提供者の端末の動作を示すシーケンス図である。
図2に示すように、情報提供者の端末は、通報用アプリのプログラムにしたがい、設備の不具合を通報する(S101)。ステップS101において、情報提供者の端末は、モバイルネットワークおよびインターネット等を介して、通報の内容を、クラウドネットワーク上へアップロードするとともに、通報の詳細を、通報管理装置100へ送信する。
【0028】
通報管理装置100の通報収集部110は、情報提供者の端末から、通報が入力された日時および場所を示す情報のほか、情報提供者を識別する情報、アップロードされた通報の内容を識別する情報、および、通報の詳細を受信する。通報収集部110は、クラウドネットワーク上から、通報の内容を収集する(S102)。通報収集部110は、通報の内容および通報の詳細を、主管組織判別部120および出力部130の各々へ出力する。
【0029】
主管組織判別部120は、通報の内容に含まれる画像データに対し、画像解析を行い、主管組織を判別する(S103)。主管組織判別部120は、主管組織の判別結果を、出力部130へ出力する。
【0030】
出力部130は、通報収集部110から、通報の内容および通報の詳細を受信する。また、出力部130は、主管組織判別部120から、主管組織の判別結果を受信する。出力部130は、通報情報と、主管組織の判別結果とを、出力する。例えば、出力部130は、通報情報と、主管組織の判別結果とを、図示しないデータベースに格納してもよい(S104)。また、出力部130は、データベースに通報情報を登録したことを、メールまたはその他の手段によって、主管組織の端末へ通知してもよい。このようにして、一つの通報に対応して、通報情報および主管組織の判別結果の組が、データベースに格納される。
【0031】
以上で、本実施形態1に係わる通報管理装置100の動作は終了する。
【0032】
ここまで説明した通報管理装置100の各構成要素の一部または全部の機能は、情報提供者の端末にインストールされたアプリケーションプログラムによって実現されてもよい。
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、通報収集部110は、設備の不具合に関する通報を収集する。主管組織判別部120 は、通報の内容から、設備の主管組織を判別する。出力部130は、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する。
【0033】
通報が単に収集されて記録される構成と異なり、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とが出力されるので、通報に対応すべき主管組織を容易に理解できる。したがって、通報を有効利用されやすくすることができる。
【0034】
〔実施形態2〕
図3から
図5を参照して、実施形態2について説明する。本実施形態2では、通報の対象を管理する主管組織は電力会社のみである。本実施形態2において、前記実施形態1と同じ機能を備えた同一の符号の部材に関して、説明を省略する。
【0035】
(システム)
図3は、本実施形態2に係わる通報管理サーバ200を含むシステムの構成を概略的に示す図である。通報管理サーバ200は、通報管理装置の一例である。
図3に示すように、本実施形態2に係わるシステムは、通報管理サーバ200に加え、情報提供者の端末および電力会社の端末を少なくとも含む。電力会社の端末は、データベース800に登録された通報情報を確認するための1または複数の第2の端末の一例である。
【0036】
本実施形態2では、通報管理装置の一例である通報管理サーバ200は、情報提供者に対し、通報のインセンティブを与える。
【0037】
(通報管理サーバ200)
図4は、本実施形態2に係わる通報管理サーバ200の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、通報管理サーバ200は、通報収集部110、主管組織判別部120、および出力部130を備えている。また通報管理サーバ200は、評価付与部140をさらに備えている。通報管理サーバ200は、通報管理装置の一例である。
【0038】
評価付与部140は、情報提供者が通報を行うインセンティブとなる評価を付与する。評価付与部140は、評価付与手段の一例である。
【0039】
例えば、評価付与部140は、1回の通報ごとに、情報提供者に対して、いくらかのポイント(評価)を与える。具体的には、評価付与部140は、情報提供者に付与されたポイントを示す情報を、情報提供者を識別する情報と紐付けて、データベース800に格納する。
【0040】
さらに、評価付与部140は、通報情報が有用である場合に、そうでない場合よりも、情報提供者に高い評価を付与してもよい。具体的には、主管組織である電力会社により通報情報が有用であると認められた場合、評価付与部140は、所定のボーナスポイントを、情報提供者にさらに付与してもよい。電力会社のオペレータは、有用であると判断した通報情報に対し、通報情報が有用か否かを示すフラグを付与する。評価付与部140は、このフラグを参照することによって、所定のボーナスポイントを、情報提供者にさらに付与する。
【0041】
ポイントは換金可能であってもよい。あるいは、情報提供者は、貯まったポイントを、商品価格の購入または割引のために利用することが可能であってもよい。これにより、インセンティブを目的とした通報の数が増加することを期待できる。
【0042】
なお、評価付与部140が情報提供者に与える評価はポイントに限定されない。他の例では、評価付与部140は、情報提供者に対し、具体的な物品またはサービスを提供してもよいし、抽象的な名誉(称号またはランク)を提供してもよい。
【0043】
(通報管理サーバ200の動作)
図5を参照して、本実施形態2に係わる通報管理サーバ200の動作、情報提供者の端末の動作、および、電力会社の端末の動作を示すシーケンス図である。
【0044】
図5に示すように、通報管理サーバ200の出力部130は、電力会社の端末に対して、通報情報を配信する(S201)。あるいは、前記実施形態1で説明したように、出力部130は、データベース800に通報情報を登録したことを、メールまたはその他の手段によって、主管組織の端末へ通知してもよい。
【0045】
電力会社のオペレータは、電力会社の端末を用いて、通報情報を確認する(S202)。その後、電力会社の端末は、通報管理サーバ200へ、通報情報の確認結果を送信する(S203)。
【0046】
通報管理サーバ200の評価付与部140は、確認された通報情報の元となった通報を行った情報提供者に対し、情報提供者が通報を行うインセンティブとなる評価を付与する。(S204)。具体的には、評価付与部140は、情報提供者に付与されたポイントの情報を、情報提供者を識別する情報と紐付けて、データベース800に格納する。
【0047】
評価付与部140は、ポイントを付与したことを、メールまたはその他の手段によって、情報提供者の端末へ通知する(S205)。情報提供者は、情報提供者の端末を用いて、データベース800にアクセスし、自分を識別する情報と紐付けられたポイントを参照する。
【0048】
以上で、本実施形態2に係わる通報管理サーバ200の動作、および、電力会社の端末の動作は終了する。
【0049】
ここまで説明した通報管理サーバ200の各構成要素の一部または全部の機能は、情報提供者の端末にインストールされたアプリケーションプログラムによって実現されてもよい。
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、通報収集部110は、設備の不具合に関する通報を収集する。主管組織判別部120 は、通報の内容から、設備の主管組織を判別する。出力部130は、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する。
【0050】
通報が単に収集されて記録される構成と異なり、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とが出力されるので、通報に対応すべき主管組織を容易に理解できる。したがって、通報を有効利用されやすくすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態の構成によれば、通報管理サーバ200は、情報提供者が通報を行うインセンティブとなる評価を付与する評価付与部140をさらに備える。これにより、インセンティブを目的とした通報の数が増加することを期待できる。
【0052】
〔実施形態3〕
図6から
図9を参照して、実施形態3について説明する。本実施形態3では、通報の対象を管理する主管組織ではない第三者に対し、データベース800に格納された通報情報を提供する。本実施形態3において、前記実施形態1または前記実施形態2と同じ機能を備えた同一の符号の部材に関して、説明を省略する。本実施形態3では、第三者に対して、通報情報が提供されたとき、評価付与部140は、情報提供者に対して、報酬となる評価を付与する。通報情報を提供される第三者を、以下では情報利用者と呼ぶ。
【0053】
(システム)
図6は、本実施形態3に係わる通報管理サーバ300を含むシステムの構成を概略的に示す図である。通報管理サーバ300は、通報管理装置の一例である。
図6に示すように、本実施形態3に係わるシステムは、通報管理サーバ300に加え、情報提供者の端末および情報利用者の端末を少なくとも含む。
【0054】
本実施形態3では、通報管理装置の一例である通報管理サーバ300は、情報提供者に対し、通報のインセンティブを与える。
【0055】
(通報管理サーバ300)
図7は、本実施形態3に係わる通報管理サーバ300の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、通報管理サーバ300は、通報収集部110、主管組織判別部120、および出力部130を備えている。また通報管理サーバ300は、情報提供部150をさらに備えている。通報管理サーバ300は、通報管理装置の一例である。
【0056】
情報提供部150は、第三者からの要求に応じて、データベース800に登録された通報情報を提供する。情報提供部150は、情報提供手段の一例である。
【0057】
具体的には、情報提供部150は、情報利用者から、通報情報を閲覧することの要求(以下では、閲覧要求と呼ぶ)を受信する。閲覧要求は、データベース800に格納された通報情報を指定する情報を含む。例えば、情報利用者の端末は、スコア値を基準として、ある特定の主管組織が管理する設備に関する通報情報を検索する。この場合、閲覧要求には、主管組織を指定する情報を含む。情報提供部150は、情報利用者から受信した閲覧要求に基づいて、データベース800において、指定された主管組織の判別結果と対応する通報情報を、情報利用者の端末へ送信する。
【0058】
また、情報提供部150は、情報利用者に対して課金する。具体的には、情報利用者の端末から閲覧要求を受信したとき、情報提供部150は、情報利用者に対して課金してもよい。あるいは、情報提供部150は、情報利用者に対し、サブスクリプションの方式で継続的に課金してもよい。
【0059】
(通報管理サーバ300の動作)
図8を参照して、本実施形態3に係わる通報管理サーバ300の動作、情報提供者の端末の動作、および、情報利用者の端末の動作を示すシーケンス図である。
【0060】
図8に示すように、情報利用者(例えば、ガス会社、通信会社、鉄道会社、自治体)の端末は、通報情報の閲覧を要求する閲覧要求を、通報管理サーバ300へ送信する(S301)。
【0061】
通報管理サーバ300の情報提供部150は、情報利用者からの要求に応じて、データベース800に登録された通報情報を提供する(S302)。具体的には、情報提供部150は、閲覧要求に含まれる、通報情報を指定する情報に基づいて、データベース800に登録された通報情報を選択し、提供する。情報提供部150は、情報利用者に通報情報を提供したことを、評価付与部140へ通知する。
【0062】
評価付与部140は、情報提供部150が提供した通報情報の元となった通報に関する情報提供者に対し、ポイント(評価)を付与する(S303)。具体的には、評価付与部140は、情報提供者に付与するポイントを示す情報を、情報提供者を識別する情報と紐付けて、データベース800に格納する。
【0063】
評価付与部140は、ポイントを付与したことを、メールまたはその他の手段によって、情報提供者の端末へ通知する(S304)。
【0064】
以上で、本実施形態3に係わる通報管理サーバ300の動作および情報利用者の端末の動作は終了する。
【0065】
(変形例)
図9は、本実施形態3の一変形例に係わる通報管理サーバ300aの構成を示すブロック図である。
図9に示すように、本変形例に係わる通報管理サーバ300aは、上述した構成要素に加えて、評価付与部140をさらに備えている。前記実施形態2において説明したように、評価付与部140は、情報提供者が通報を行うインセンティブとなる評価を付与する。
【0066】
すなわち、本変形例では、第三者(情報利用者)が通報情報の閲覧を要求したとき、情報提供部150が、情報提供者にポイントを付与する。さらに、主管組織(前記実施形態2では電力会社)のオペレータが通報情報を確認し、主管組織の端末が確認結果を通報管理サーバ300aへ送信したとき、評価付与部140が、情報提供者に追加のポイントを付与する。
【0067】
これにより、情報提供者に対し、通報のインセンティブをさらに与えることができる。
【0068】
ここまで説明した通報管理サーバ300、300aの各構成要素の一部または全部の機能は、情報提供者の端末にインストールされたアプリケーションプログラムによって実現されてもよい。
【0069】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、通報収集部110は、設備の不具合に関する通報を収集する。主管組織判別部120 は、通報の内容から、設備の主管組織を判別する。出力部130は、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する。
【0070】
通報が単に収集されて記録される構成と異なり、通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とが出力されるので、通報に対応すべき主管組織を容易に理解できる。したがって、通報が有効利用されやすくなる。
【0071】
さらに、本実施形態の構成によれば、通報管理サーバ300は、第三者からの要求に応じて、データベースに登録された通報情報を提供する情報提供手段をさらに備えている。これにより、通報情報が広く利用されるので、社会問題の迅速な解決を期待できる。さらに、通報管理サーバ300のユーザは、通報情報を要求する第三者に対して課金することで、収益源を得ることができる。
【0072】
(ハードウェア構成について)
前記実施形態1~3で説明した通報管理装置100および通報管理サーバ20、300、300aの各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば
図10に示すような情報処理装置900により実現される。
図10は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0073】
図10に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0074】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~3で説明した通報管理装置100および通報管理サーバ20、300、300aの各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0075】
上記の構成によれば、前記実施形態1~3において説明した通報管理装置100および通報管理サーバ20、300、300aが、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0076】
〔付記〕
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0077】
(付記1)
設備の不具合に関する通報を収集する通報収集手段と、
前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別する主管組織判別手段と、
前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する出力手段とを備えた
通報管理装置。
【0078】
(付記2)
前記主管組織判別手段は、
前記主管組織の判別結果の確からしさを示すスコア値を計算し、
前記出力手段は、前記通報情報および前記スコア値を、前記出力する
ことを特徴とする付記1に記載の通報管理装置。
【0079】
(付記3)
情報提供者が前記通報を行うインセンティブとなる評価を付与する評価付与手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記1または2に記載の通報管理装置。
【0080】
(付記4)
前記主管組織の端末により、前記通報情報の確認結果が登録された後、前記評価付与手段は、前記情報提供者に評価を付与する
ことを特徴とする付記3に記載の通報管理装置。
【0081】
(付記5)
前記通報情報の確認結果は、前記通報情報が有用か否かを示す情報を含み、
前記評価付与手段は、前記通報情報が有用である場合に、そうでない場合よりも、前記情報提供者に高い評価を付与する
ことを特徴とする付記4に記載の通報管理装置。
【0082】
(付記6)
第三者からの要求に応じて、前記通報情報を提供する情報提供手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記1または2に記載の通報管理装置。
【0083】
(付記7)
情報提供者が前記通報を行うインセンティブとなる評価を付与する評価付与手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記6に記載の通報管理装置。
【0084】
(付記8)
前記第三者に対して、前記通報情報が提供されたとき、前記評価付与手段は、前記情報提供者に対して、報酬となる評価を付与する
ことを特徴とする付記7に記載の通報管理装置。
【0085】
(付記9)
設備の不具合に関する通報を行うための1または複数の第1の端末と、
前記第1の端末から、設備の不具合に関する通報を収集する通報収集手段と、前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別する主管組織判別手段と、前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する出力手段とを備えた通報管理装置と、
出力された前記通報情報を確認するための1または複数の第2の端末と、
を含むシステム。
【0086】
(付記10)
設備の不具合に関する通報を収集し、
前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別し、
前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力する
ことを含む通報管理方法。
【0087】
(付記11)
設備の不具合に関する通報を収集することと、
前記通報の内容から、前記設備の主管組織を判別することと、
前記通報に関する通報情報と主管組織の判別結果とを、出力することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、例えば、電線網、道路、ガス管、通信ケーブル、鉄道レール等の社会インフラ設備の保守管理および点検のために利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
100 通報管理装置
110 通報収集部
120 主管組織判別部
130 出力部
140 評価付与部
150 情報提供部
200 通報管理サーバ
300、300a 通報管理サーバ
800 データベース