(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】用紙搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/32 20060101AFI20240409BHJP
B65H 31/24 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B65H31/32
B65H31/24
(21)【出願番号】P 2020017153
(22)【出願日】2020-02-04
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤枝 元幸
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-180177(JP,A)
【文献】特開2002-096963(JP,A)
【文献】実開平05-072855(JP,U)
【文献】特開平06-263309(JP,A)
【文献】実開昭60-114156(JP,U)
【文献】特開2006-124153(JP,A)
【文献】特開2006-130610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 31/00- 31/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された用紙を排出する排紙部と、
前記排紙部の下方に設けられ、前記排紙部により排出された用紙を積載する第1用紙積載部と、
第1用紙積載部の下方に設けられ、第1用紙積載部の底部から落下した用紙を受け容れ積載する第2用紙積載部と、
を備え、
前記第1用紙積載部には、前記第1用紙積載部の底部に配置されて用紙を下支えする支持部材を、用紙を下支えする閉位置と、当該下支えを解除して用紙を落下させる開位置との間で動作させる底部開閉装置が設けられ
、
前記第1用紙積載部と前記第2用紙積載部との間に相当する中間部には、用紙の側縁を規制して前記第1用紙積載部から前記第2用紙積載部へ用紙を案内する案内部材が設けられ、
前記第2用紙積載部に、前記案内部材が規制する用紙の側縁と同じ側縁を規制する規制部材が設けられ、
前記案内部材と前記規制部材とは、別部材であり、
前記第2用紙積載部は、取り出し可能にされている用紙搬送装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記第1用紙積載部の底部の相対する両側部に、互いに平行に配置された支軸回りに回動する2つの支持部材で構成されている請求項1に記載の用紙搬送装置。
【請求項3】
前記両側部は、前記搬送部による用紙の搬送方向に相対する請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記底部開閉装置は、前記2つの支持部材の開度を1対1に保って、前記2つの支持部材を動作させる請求項2又は請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
鉛直視で、前記開位置にあるときの前記支持部材は、前記第1用紙積載部に積載される用紙の鉛直下範囲から退避している請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
鉛直視で、前記開位置にあるときの前記支持部材の開口幅は、前記第2用紙積載部の上端開口より小さく、当該上端開口内に収まっている請求項5に記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
前記底部開閉装置は、前記支持部材を前記開位置に保持する固定手段を有する請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載の用紙搬送装置。
【請求項8】
前記底部開閉装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記第1用紙積載部に所定枚数の用紙が積載されたら、前記支持部材を開位置に制御する請求項1から請求項
7のうちいずれか一に記載の用紙搬送装置。
【請求項9】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を搬送する請求項1から請求項
8のいずれか一に記載の用紙搬送装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙上に画像を形成する画像形成装置が知られている。上記の画像形成装置において、排紙トレイ等の用紙積載部上に積載される用紙は、用紙の片寄り等により、揃い性(整列性)が悪化したり、JAMが発生したりすることがある。
【0003】
特に、本体部により画像が形成された用紙PAをFD方向やCD方向にカットして、名刺やカードなどの小さいサイズの成果物Pを作成する断裁処理(
図13参照)を施す後処理装置においては、1列につき複数枚(
図13では4枚)の成果物Pが作成されるため、用紙積載部は全ての成果物Pを収容可能である必要がある。また、用紙積載部は、ユーザビリティの観点からある程度の整列性の確保と隣り合う成果物P同士の混合を防止する必要がある。そこで、用紙積載部23に、成果物Pの幅方向を仕切るための仕切り板232が設けられた構成が用いられる(
図14参照)。
【0004】
そこで、成果物と仕切り板の接触面積を低減して摩擦力を軽減するために、仕切り板にリブを設けた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では成果物の生産を中断することなく、ユーザーが成果物を用紙積載部から取り出すこと、特に成果物の束を整然とさせたまま用紙積載部から取り出すことが難しかった。
ユーザーが成果物を用紙積載部から取り出すために、成果物の生産を中断すると生産性が低下するおそれがある。
また、用紙積載部の積載量が決まっているため、用紙積載部から成果物を排出することなく、用紙積載部への成果物の排紙、積載を永続させることはできないから、成果物の生産を中断せざるを得ず、生産性が低下する。
用紙積載部に積載した成果物の束を、当該用紙積載部から排出する場合には、整列性を維持してユーザーに引き渡すことを望まれる。
【0007】
本発明は、積載される成果物の品質、整列性を維持しつつ、生産性を向上することが可能な用紙搬送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の用紙搬送装置は、用紙を搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された用紙を排出する排紙部と、前記排紙部の下方に設けられ、前記排紙部により排出された用紙を積載する第1用紙積載部と、第1用紙積載部の下方に設けられ、第1用紙積載部の底部から落下した用紙を受け容れ積載する第2用紙積載部と、を備え、前記第1用紙積載部には、前記第1用紙積載部の底部に配置されて用紙を下支えする支持部材を、用紙を下支えする閉位置と、当該下支えを解除して用紙を落下させる開位置との間で動作させる底部開閉装置が設けられ、前記第1用紙積載部と前記第2用紙積載部との間に相当する中間部には、用紙の側縁を規制して前記第1用紙積載部から前記第2用紙積載部へ用紙を案内する案内部材が設けられ、前記第2用紙積載部に、前記案内部材が規制する用紙の側縁と同じ側縁を規制する規制部材が設けられ、前記案内部材と前記規制部材とは、別部材であり、前記第2用紙積載部は、取り出し可能にされている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、積載される成果物の品質、整列性を維持しつつ、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置の制御構造を示す機能ブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る第1、第2用紙積載部を含む構成部分の正面視断面図である。
【
図4】本実施形態に係る第1、第2用紙積載部を含む構成部分の正面視断面図であり、
図3に続く場面を示す。
【
図5】本実施形態に係る第1、第2用紙積載部を含む構成部分の正面視断面図であり、
図4に続く場面を示す。
【
図6】本実施形態に係る第1、第2用紙積載部を含む構成部分の正面視断面図であり、
図5に続く場面を示す。
【
図7】本実施形態に係る第1、第2用紙積載部を含む構成部分の正面視断面図であり、
図6に続く場面を示す。
【
図8】本実施形態に係る第1、第2用紙積載部を含む構成部分の正面視断面図であり、
図7に続く場面を示す。
【
図9】本実施形態に係る第2用紙積載部の平面模式図である。
【
図10】本実施形態に係り、2つのシャッター間の伝動機構の一例を示す模式図である。
【
図11】排紙処理とシャッター開閉の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【
図12】案内部材の下端部から規制部材の上端部にかけて部分をX方向に見た部分断面図である。
【
図13】用紙に断裁処理が施された様子の一例を示す平面図である。
【
図14】用紙積載部に仕切り板が設けられた構成の一例を示す平面図である。また、本実施形態に係る第1用紙積載部の平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
〔画像形成装置の概要〕
本実施形態に係る画像形成装置1は、
図1及び
図2に示すように、本体部10と、リレーユニットRUと、用紙搬送装置としての後処理装置20と、フィニッシャーFSと、を備えて構成されている。
【0013】
本体部10は、原稿から画像を読み取って得られた画像データ、又は、外部装置から受信した画像データに基づいて、電子写真方式によりカラー画像を形成する。画像形成された用紙は、排紙ローラーR1によりリレーユニットRUへと排出される。
本体部10は、
図1及び
図2に示すように、操作部11と、表示部12と、原稿読取ユニット13と、画像形成部14と、給紙部15と、画像形成制御部16と、記憶部17と、コントローラーIF(Inter Face)18と、画像処理部19と、を備えて構成されている。
【0014】
操作部11は、表示部12の表示画面上を覆うように形成されたタッチパネルや、数字ボタン、スタートボタン等の各種操作ボタンを備え、ユーザーの操作に基づく操作信号を画像形成制御部16に出力する。
【0015】
表示部12は、LCD(Liquid Crystal Display)により構成され、画像形成制御部16から入力される表示信号の指示に従って各種画面を表示する。
【0016】
原稿読取ユニット13は、ADF(自動原稿給紙装置)、スキャナー等を備え、原稿の画像を読み取って得られた画像データを画像形成制御部16に出力する。
【0017】
画像形成部14は、画像処理部19により画像処理が行われた画像データに基づいて、給紙部15から供給された用紙上に画像を形成する。
画像形成部14は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する感光体ドラム141Y,141M,141C,141K、中間転写ベルト142、2次転写ローラー143、定着部144等を備えて構成されている。
【0018】
感光体ドラム141Yは、一様に帯電された後、イエロー色の画像データに基づいてレーザービームにより走査露光され、静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム141Y上の静電潜像にイエロー色のトナーが付着され、現像が行われる。
感光体ドラム141M,141C,141Kについても、扱う色が異なることを除いて、感光体ドラム141Yと同様であるため、説明を省略する。
【0019】
感光体ドラム141Y,141M,141C,141K上に形成された各色のトナー像は、回転する中間転写ベルト142上に逐次転写される(1次転写)。すなわち、中間転写ベルト142上には、4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
中間転写ベルト142上のカラートナー像は、2次転写ローラー143により、用紙上に一括して転写される(2次転写)。
【0020】
定着部144は、カラートナー像が転写された用紙を加熱する加熱ローラー、当該用紙を加圧する加圧ローラーを備え、加熱・加圧によりカラートナー像を用紙に定着させる。
【0021】
給紙部15は、給紙トレイT11~T13を備え、画像形成部14に用紙を供給する。各給紙トレイT11~T13には、給紙トレイごとに予め定められた紙種やサイズの用紙が収納されている。
【0022】
画像形成制御部16は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、本体部10の各部の動作を集中制御する。また、CPUは、出力された用紙に対して後処理を行う場合には、後処理装置20に所定の後処理を実行する指示を出す。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種画像処理に係る画像データ等の各種データを一時的に記憶する。
【0023】
記憶部17は、プログラムや画像データ等の各種データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリー等の不揮発性の記憶装置である。記憶部17には、プログラムデータや各種設定データ等のデータを画像形成制御部16から読み書き可能に記憶する。
【0024】
コントローラーIF18は、外部装置から入力される画像データを受信する。
【0025】
画像処理部19は、記憶部17に記憶された画像データ、原稿読取ユニット13により原稿から画像を読み取って得られた画像データ、外部装置から入力された画像データに必要な画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部14に送信する。画像処理には、階調処理、中間調処理、色変換処理等が含まれる。階調処理は、画像データの各画素の階調値を、用紙上に形成された画像の濃度特性が目標の濃度特性と一致するように補正された階調値に変換する処理である。中間調処理は、誤差拡散処理、組織的ディザ法を用いたスクリーン処理等である。色変換処理は、RGBの各階調値をCMYKの各階調値に変換する処理である。
【0026】
リレーユニットRUは、本体部10と後処理装置20との間に設置され、本体部10から搬送されてくる用紙の搬送スピードと同期をとる機能を備える。
【0027】
後処理装置20は、リレーユニットRUから出力された用紙に、必要に応じて後処理を行う装置である。後処理としては、例えば、スリッター処理、ドブスリッター処理、CD断裁処理、クリース処理、FD/CDミシン処理等が挙げられる。後処理は必須ではなく、後処理装置20は、本体部10から指示された場合のみ実行する。後処理がない場合、後処理装置20は搬送された用紙をそのままフィニッシャーFSに搬送する。
【0028】
後処理装置20は、
図1及び
図2に示すように、搬送部21と、後処理モジュールM1~M4と、後処理モジュールM1~M4で名刺/カードのサイズに断裁された成果物(以降、単に用紙と称する)をバッファ23に排出する排紙ローラー(排紙部)22と、排紙ローラー22の下方に設けられ、排紙ローラー22により排出された用紙を一時的に積載するバッファ(第1用紙積載部)23と、バッファ23の下方に設けられ、バッファ23に一時的に積載された用紙が受け渡されるトレイ(第2用紙積載部)24と、後処理装置20からパージする用紙を積載するパージトレイ25と、後処理制御部26と、底部開閉装置27を備えて構成されている。
【0029】
搬送部21は、リレーユニットRUから搬送された用紙を後処理モジュールM1~M4に搬送し、後処理モジュールM1~M4で後処理が行われた用紙を各種トレイ(トレイ24、パージトレイ25)又はフィニッシャーFSに搬送する。
【0030】
後処理モジュールM1~M4は、搬送されてきた用紙に後処理を行う。
本実施形態において、最上流の後処理モジュールM1は、スリッターであり、後処理モジュールM2は、用紙にクリース(筋付)処理を行うためのクリーサーであり、後処理モジュールM3は、用紙をCD方向(幅方向)中央部で断裁(ドブ断ち)するためのドブスリッターであり、最下流の後処理モジュールM4は、CD断裁用のCDカッターである。
本実施形態では、特に、スリッター(後処理モジュールM1)、ドブスリッター(後処理モジュールM3)及びCDカッター(後処理モジュールM4)が、本発明の断裁部として機能する。排紙ローラー22は、搬送方向の最下流の断裁部(後処理モジュールM4)の直後に配置されている。
【0031】
〔用紙積載の詳細〕
図1,
図2に加え
図3から
図12を参照してバッファ(第1用紙積載部)23、さらにトレイ(第2用紙積載部)24への用紙積載につき説明する。搬送部21による用紙Pの搬送方向をX、鉛直方向をZ、X及びZ方向に垂直な方向をYとして図中に直交3軸を示した。
バッファ23は、後処理装置20で名刺/カードのサイズに断裁された用紙Pを一時的に積載する第1用紙積載部である。バッファ23の底面には、用紙Pの搬送方向Xの上流側と下流側に開放される観音開き式のシャッター231a,231bが設けられており、このシャッター231a,231bが開放されることで、用紙Pがバッファ23の底部から落下する。トレイ24は、バッファ23の底部から落下した用紙Pを受け容れ積載する第2用紙積載部である。
図3から
図8によって排紙ローラー22からトレイ24までの用紙積載の一連の動作が示される。バッファ23とトレイ24の間には、落下時の用紙PのY方向の移動を規制して、用紙をトレイ24に案内する案内板G1が設けられている。
【0032】
バッファ23は、上端開口を用紙Pの受け入れ口とし、底部にシャッター231a,231bを配置した構造である。搬送方向Xに沿った用紙Pの2側縁を規制する規制部材が仕切り板232である。仕切り板232は、排紙部(22)から排紙される際にY方向に並ぶ用紙Pの数に1を加えた数だけ、幅方向Yに複数設けられている。仕切り板232同士の対向する面には、鉛直方向Zのみに延在する複数のリブ233が一部領域に設けられている。
【0033】
案内板G1は、バッファ23とトレイ24との間に相当する中間部Gに設けられ、用紙Pの側縁を規制してバッファ23からトレイ24へ用紙Pを案内する案内部材である。案内板G1は、搬送方向Xに沿った用紙Pの2側縁を規制する。
【0034】
トレイ24は、上端開口を用紙Pの受け入れ口とし、底面部材241を有した構造であり、取り出し可能である。搬送方向Xに沿った用紙Pの2側縁を規制する規制部材として規制板242が設けられている。規制板242も、排紙部(22)から排紙される際にY方向に並ぶ用紙Pの数に1を加えた数だけ、幅方向Yに複数設けられている。
図14のバッファ23の平面模式図に対応したトレイ24の平面模式図を
図9に示す。上段のバッファ23の用紙収容部の位置と、下段のトレイ24の用紙収容部の位置とが上下に一致している。
【0035】
排紙部(22)から排紙される際にY方向に並ぶ用紙Pの用紙間の領域直下に、上から仕切り板232、案内板G1、規制板242の順で配置されている。仕切り板232と案内板G1とは一体の板状に形成されている。仕切り板232のリブ233の一部は、案内板G1のリブG1aに連続している。案内板G1と規制板242とは、トレイ24を取り出し可能とするために、別体に分かれている。規制板242同士の対向する面にも、鉛直方向Zのみに延在する複数のリブ243が一部領域に設けられている。
排紙部(22)から排紙された用紙Pの落下移動において、仕切り板232、案内板G1、規制板242が搬送方向Xに沿った用紙Pの2側縁を規制する部材となっている。
排紙部(22)から排紙された用紙Pの落下移動において、用紙PのY方向に沿った用紙Pの2側縁を規制する部材は、バッファ23のX方向に対向配置された2つの側面部材236、トレイ24のX方向に対向配置された2つの側面部材246であり、さらに中間部Gにおいては、開動作するシャッター231a,231bである。
【0036】
(底部開閉装置の詳細)
シャッター231a,231bを開閉動作させる底部開閉装置27の詳細につき説明する。
シャッター231a,231bは、バッファ23の底部に配置されて用紙Pを下支えする支持部材に相当する。シャッター231a,231bは用紙Pを下支えできればよいので、バッファ23の底面全体を閉塞できるだけの面積を要さない。
底部開閉装置27はシャッター231a,231bを、用紙Pを下支えする閉位置(
図3、
図8)と、当該下支えを解除して用紙Pを落下させる開位置(
図7)との間で動作させる。
【0037】
本実施形態において第1用紙積載部の底部の支持部材は、バッファ23の底部の搬送方向Xに相対する両側部に、互いに平行に配置された支軸234a,234b回りに回動する2つの支持部材、すなわち、2枚のシャッター231a,231bで構成されている。
したがって、中間部Gにおいて、開動作するシャッター231a,231bにより、Y方向に沿った用紙Pの2側縁を規制することができ、用紙PのX方向の位置を所定範囲に保持して、用紙Pをバッファ23からトレイ24へ移送することができる。
【0038】
シャッター231aは、搬送方向Xの上流側に配置される。シャッター231bは、搬送方向Xの下流側に配置される。支軸234aは、搬送方向Xの上流側の側部に配置され、Y方向に平行である。支軸234bは、搬送方向Xの下流側の側部に配置され、Y方向に平行である。シャッター231aは、支軸234aに固定されており、支軸234aの回動により開閉動作する。シャッター231bは、支軸234bに固定されており、支軸234bの回動により開閉動作する。開閉動作における支軸234aと支軸234bの回転方向は、互いに逆方向である。
【0039】
支軸234aと支軸234bとは、例えば
図10に示すような伝動機構235により1対1の回転比で動力連結されている。支軸234a及び支軸234bの一方にステッピングモーターの動力が伝達され、伝動機構235を介して1対1の回転比で他方に動力伝達される。
以上のような機構により底部開閉装置27は、2つのシャッター231a,231bの開度を1対1に保って、2つのシャッター231a,231bを動作させる。
したがって、開動作するシャッター231a,231bにより、Y方向に沿った用紙Pの2側縁を均等に規制することができ、落下時の用紙PのY軸回りの傾きを抑制できる。
【0040】
図7に示すように開位置にあるときのシャッター231a,231bは、鉛直視(Z方向視)でバッファ23に積載される用紙Pの鉛直下範囲から退避している。
したがって、用紙Pを水平にした状態でトレイ24まで落下させることが可能な開口が確保される。
【0041】
図7に示すように開位置にあるときのシャッター231a,231bの開口幅WXaは、鉛直視(Z方向視)でトレイ24の上端開口のX方向幅WXbより小さく、当該上端開口のX方向幅WXb内に収まっている。
したがって、開位置のシャッター231a,231bの下端から離れて落下する用紙PにX方向の位置ずれがあっても、トレイ24の上端開口内に捉えやすく、トレイ24に用紙Pを収容、積載する確実性が向上する。
【0042】
底部開閉装置27は、シャッター231a,231bを開位置に保持する固定手段を有する。当該固定手段としては、例えば、シャッター231aの外面に当接して係止するマグネットキャッチ237である。他の固定手段としては、シャッター231a,231bを駆動するステッピングモーターの電磁ブレーキを、シャッター231a,231bの開位置に相当するステップ数で作動させることでもよい。
このような固定手段があることで、トレイ24への用紙Pの落下時の規制部材(案内部材)としてのシャッター231a,231bの位置を、繰り返し精度よく保持することができ、用紙Pをトレイ24へ安定して案内することができる。
【0043】
本実施形態では後処理制御部26が底部開閉装置27を制御する。
後処理制御部26は、バッファ23に所定枚数の用紙Pが積載されたら、シャッター231a,231bを開位置に制御する。具体的には、
図11のフローチャートを参照して説明する。動作状態は
図3から
図8を参照する。
後処理制御部26は、
図3に示すようにシャッター231a,231bを閉位置の状態に維持にして、排紙部(22)からバッファ23への排紙処理を実行するとともに、その排紙枚数をカウントする(ステップS1)。
後処理制御部26は、カウント数が所定枚数となったら(ステップS2でYES)、排紙部(22)からバッファ23への排紙を禁止して、シャッター231a,231bを開位置にし、用紙Pをバッファ23からトレイ24に移動させる(
図4→
図5→
図6→
図7)とともに、カウントをリセットする(ステップS3)。用紙Pがトレイ24に落下したら、シャッター231a,231bを閉位置にする(
図8、ステップS4)。
さらに排紙があれば(ステップS5でNO)、ステップS1に戻って以上の処理を繰り返す。なお、トレイ24に用紙Pがあるか否か、さらにはその積載量を検出するセンサーを用いて、ステップS4前にシャッター231a,231bを開けるか否か判断して制御するようにしてもよい。
【0044】
(バッファ通過後の案内部材(規制部材)の詳細)
さらに、バッファ通過後の案内部材(規制部材)である案内板G1、規制板242につき説明する。
上述したように案内板G1は、バッファ23とトレイ24との間に相当する中間部Gに設けられ、用紙Pの側縁を規制してバッファ23からトレイ24へ用紙Pを案内する案内部材である。案内板G1は、搬送方向Xに沿った用紙Pの2側縁を規制する。
この案内板G1により、用紙Pをバッファ23からトレイ24へと、Y方向位置の揃い性を維持しつつ案内することができる。
【0045】
案内板G1は、搬送方向Xに沿った用紙Pの側縁の、当該搬送方向Xの上流側部位P11と下流側部位P13の間の中央部位P12に対応する中央領域G12にのみ部材を有する(
図6参照)。中間部Gは、当該上流側部位P11と下流側部位G13に対応する領域G11,G13が開放構造とされている。
したがって、用紙Pの上流側部位P11又は下流側部位P13が案内板G1に接触して、用紙PがY軸回りに傾くことが抑制され、案内板G1によりY方向位置の揃い性良く用紙Pをトレイ24へと案内できる。
【0046】
図3に示すようにトレイ24の規制板242の最大幅WX2は、案内板G1の最大幅WX1より広い。
したがって、案内板G1の最大幅WX1に拘束されることなく規制板242を幅広にして、トレイ24内での用紙Pの整列性を良好に保持できる。
【0047】
上述したように案内板G1と規制板242とは、別部材である。
したがって、案内板G1を仕切り板232と一体にする一方で、規制板242とトレイ24に一体にしたまま、トレイ24を取り出し可能にできる。
【0048】
案内板G1の下端と規制板242の上端とは、上下に離間されている。
したがって、ユーザー等はトレイ24の取り外し、取り付け動作を容易に行うことができる。
【0049】
案内板G1の下端の幅WX1より、規制板242の上端が狭い。
したがって、案内板G1の下端から離れて落下する用紙Pのトレイ24への突入、規制板242への接触を緩和することできる。本実施形態では、規制板242の上端は上に向かって尖っており、幅WX1より十分に狭くされている。なお、本実施形態では、案内板G1の幅(X方向寸法)は一定である。
【0050】
鉛直視(Z方向視)で、案内板G1の下端の幅WX1範囲下に、規制板242の上端が収まっている。
したがって、X方向について、規制板242の上端を案内板G1と重なる範囲内に配置することができ、案内板G1と同様に、規制板242に接触する用紙PのY軸回りの傾きを抑制できる。
【0051】
規制板242は、上端から下方に向かって次第に幅広となる形状を有する。
規制板242は、上端から下方に向かって次第に幅広となり、下端部で最大幅WX2となる。用紙Pの落下に伴い、用紙Pと規制板242との接触面が次第に多くなっていく。
したがって、用紙Pがトレイ24内に円滑に落下するとともに、トレイ24内での用紙Pの整列性を確保できる。なお、最大幅WX2となる位置は最下端でなくてもよい。
【0052】
図12に示すように案内板G1の下端の厚さTY1より、規制板242の上端の厚さTY2が小さい。
Z方向に見て、案内板G1の下端範囲内に規制板242の上端を収めることができ、案内板G1の下端から離れて落下する用紙Pが規制板242の上端に衝突し難くなり、トレイ24内に円滑に収容されやすい。
なお、厚さは、リブがある場合はこれを含める。本実施形態では、案内板G1の厚さ(Y方向寸法)は一定である。
【0053】
図12に示すように規制板242の上端部には、用紙Pの幅を規制する寸法(WY2、WY3)を下位置ほど狭くする案内勾配αが付けられている。
隣り合う案内板G1,G1による規制幅WY1と、隣り合う規制板242の上端による規制幅WY2と、規制板242による最小規制幅WY3との関係は以下の通りである。
WY1<WY2,WY3<WY2
規制板242は、上端の厚みTY2が最小厚みである。規制板242を上端から下方へ観察すると、板状部分が次第に厚くなり最大厚に達すると、リブ243が隆起しだし、リブ243が次第に高くなってリブ243の最大隆起量の位置で規制板242は最大厚TY3となる。その下は最大厚TY3で一定である。
規制板242が以上のような案内勾配αを有することで、案内板G1の下端から離れて落下する用紙Pが、トレイ24内に捉えられ円滑に落下し、再び狭い範囲WY3に規制されるので用紙Pのトレイ24内での整列性を確保できる。
図12では案内勾配αにおける傾斜角が高さ位置によらず一定であるが、用紙Pの幅を規制する寸法(WY2、WY3)を下位置ほど狭くする傾向があれば、傾斜角一定である必要はなく、曲線的なものなど傾斜角が変化する案内勾配にしてもよい。
【0054】
〔効果のまとめ、その他〕
以上の実施形態の用紙搬送装置によれば、成果物(P)の生産を中断することなく、ユーザー等が成果物(P)をトレイ24ごと取り出すこと、特に成果物(P)の束をトレイ24内に整然とさせたまま取り出すことができる。
ユーザー等が成果物(P)をトレイ24ごと取り出すために、成果物(P)の生産を中断する必要がなく、生産性が低下するおそれがない。
ユーザー又は機械が成果物(P)をトレイ24ごと取り出し、空のトレイ24をセットすることにより、バッファ23への成果物の排紙、積載を永続させることも可能であり、成果物(P)の生産性が向上する。
トレイ24内に成果物(P)の束を保持することにより、成果物(P)の整列性を維持してユーザー等に引き渡すことができる。
上述したシャッター、案内板、規制板等の作用によりトレイ24内に成果物(P)の束を整列性良く積載することができる。成果物(P)が不正な姿勢や位置で積載がされることがないため、成果物(P)の品質が保たれる。落下する成果物(P)の角部への案内板G1、規制板242の接触は極力避けられており、成果物(P)の品質が保たれる。
したがって、本実施形態の用紙搬送装置によれば、積載される成果物(P)の品質、整列性を維持しつつ、生産性を向上することできる。
【0055】
上記実施形態では、用紙搬送装置として、後処理装置20を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置1が、本体部10のみ(後処理装置20、リレーユニットRU、フィニッシャーFSを含まない)の構成の場合、排紙ローラーR1を排紙部とし、排紙ローラーR1の下方に実施形態と同様の構成である第1、第2用紙積載部(23、24)を新たに設けることで、画像形成装置1(本体部10)を、本発明の用紙搬送装置とすることも可能である。
【0056】
その他、画像形成装置を構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 画像形成装置
10 本体部
11 操作部
12 表示部
13 原稿読取ユニット
14 画像形成部
15 給紙部
16 画像形成制御部
17 記憶部
18 コントローラーIF
19 画像処理部
20 後処理装置(用紙搬送装置)
21 搬送部
22 排紙ローラー(排紙部)
23 バッファ(第1用紙積載部)
231a,231b シャッター
232 仕切り板(規制部材)
233 リブ
24 トレイ(第2用紙積載部)
242 規制板(規制部材)
25 パージトレイ
26 後処理制御部(回動制御部)
27 底部開閉装置
M1、M3、M4 後処理モジュール(断裁部)
M2 後処理モジュール
G1 案内板(案内部材)
RU リレーユニット
FS フィニッシャー