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特許7467957クリーニング装置、定着装置、画像形成装置及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】クリーニング装置、定着装置、画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240409BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G03G21/00
G03G15/20 515
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020018460
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021124621
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 あずさ
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-213478(JP,A)
【文献】特開2011-221530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/20
15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上に形成された未定着トナー画像を当該用紙に定着する定着装置の定着部材に圧接して付着した汚れを清掃除去するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材の回転方向を自在に変更する第1機構部と、
前記クリーニング部材と前記定着部材とを圧接又は離間させる第2機構部と、
前記用紙のジャムの検出に応じて、前記第2機構部を制御して前記クリーニング部材を前記定着部材から離間させ、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる制御手段と、を備えるクリーニング装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記用紙のジャムの検出に応じて、前記用紙の先端が前記クリーニング部材に到達する前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記定着装置内の前記用紙のジャムの検出に応じて、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる請求項1又は2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記定着部材の回転停止に応じて、前記クリーニング部材の逆回転を停止させる請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記用紙の坪量が所定の第1の閾値以下か否かを判別し、当該用紙の坪量が前記第1の閾値以下であると判別した場合に、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記用紙に形成する画像の印字率を取得する印字率取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得された用紙の印字率が所定の第2の閾値以上か否かを判別し、当該用紙の印字率が前記第2の閾値以上であると判別した場合に、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記用紙に形成する画像の印字率を取得する印字率取得手段を備え、
前記制御手段は、前記用紙の坪量が所定の第1の閾値以下か否かを判別するとともに、前記取得された用紙の印字率が所定の第2の閾値以上か否かを判別し、
当該用紙の坪量が前記第1の閾値以下、且つ、当該用紙の印字率が前記第2の閾値以上であると判別した場合に、前記定着部材の動作の停止前に、前記クリーニング部材の回転方向を、プリント時の回転方向に対して逆回転させる請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置と、
前記定着部材と、を備える定着装置。
【請求項9】
請求項に記載の定着装置と、
前記用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【請求項10】
用紙上に形成された未定着トナー画像を当該用紙に定着する定着装置の定着部材に圧接して付着した汚れを清掃除去するクリーニング部材と、前記クリーニング部材の回転方向を自在に変更する第1機構部と、前記クリーニング部材と前記定着部材とを圧接又は離間させる第2機構部と、を備えるクリーニング装置のコンピュータを、
前記用紙のジャムの検出に応じて、前記第2機構部を制御して前記クリーニング部材を前記定着部材から離間させ、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置、定着装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体である用紙上に電子写真方式の画像形成を行うプリンターや、MFP(Multifunction Peripheral:複合機)などの画像形成装置が知られている。電子写真方式の画像形成装置として、用紙にトナー像を定着させる定着部材を有する定着装置(定着部)と、当該定着部材の表面に付着した汚れを清掃除去するクリーニング部材を有するクリーニング装置(クリーニング部)と、を備えるものが知られている。
【0003】
このクリーニング部材に用紙が巻き付くと、その用紙を除去することは非常に困難で時間が掛かるので、画像形成装置のダウンタイムが長引いてしまう。また、巻き付いた用紙によって定着部材の表面が擦られて疵付き、画像不良のおそれがある。
【0004】
このため、定着装置内でのJAM(用紙が詰まること)発生時には、トルクリミッターなどで定着ローラー及びフライホイールに負荷を掛け、定着ローラーの回転を強制停止させる画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-352820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の画像形成装置では、定着装置の定着ローラーや加圧ローラーの弾性層と芯金部との境界(接着部)に大きな負荷(せん断力)が掛かるので、弾性層が破断(破壊)し易く、定着ローラーや加圧ローラーの表面にしわや亀裂が発生し、紙しわやJAMが起きるおそれがある。
【0007】
また、定着ローラーや加圧ローラーを駆動する部品にも大きな負荷(トルク)が掛かり、破壊されるおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、クリーニング部材への用紙巻き付きを防止し、画像形成装置のダウンタイムを短縮し、定着部材の疵による画像不良を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のクリーニング装置は、
用紙上に形成された未定着トナー画像を当該用紙に定着する定着装置の定着部材に圧接して付着した汚れを清掃除去するクリーニング部材と、
前記クリーニング部材の回転方向を自在に変更する第1機構部と、
前記クリーニング部材と前記定着部材とを圧接又は離間させる第2機構部と、
前記用紙のジャムの検出に応じて、前記第2機構部を制御して前記クリーニング部材を前記定着部材から離間させ、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる制御手段と、を備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、前記用紙のジャムの検出に応じて、前記用紙の先端が前記クリーニング部材に到達する前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、前記定着装置内の前記用紙のジャムの検出に応じて、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、前記定着部材の回転停止に応じて、前記クリーニング部材の逆回転を停止させる。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記制御手段は、前記用紙の坪量が所定の第1の閾値以下か否かを判別し、当該用紙の坪量が前記第1の閾値以下であると判別した場合に、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記用紙に形成する画像の印字率を取得する印字率取得手段を備え、
前記制御手段は、前記取得された用紙の印字率が所定の第2の閾値以上か否かを判別し、当該用紙の印字率が前記第2の閾値以上であると判別した場合に、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる。
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置において、
前記用紙に形成する画像の印字率を取得する印字率取得手段を備え、
前記制御手段は、前記用紙の坪量が所定の第1の閾値以下か否かを判別するとともに、前記取得された用紙の印字率が所定の第2の閾値以上か否かを判別し、
当該用紙の坪量が前記第1の閾値以下、且つ、当該用紙の印字率が前記第2の閾値以上であると判別した場合に、前記定着部材の動作の停止前に、前記クリーニング部材の回転方向を、プリント時の回転方向に対して逆回転させる。
【0017】
請求項に記載の発明の定着装置は、
請求項1からのいずれか一項に記載のクリーニング装置と、
前記定着部材と、を備える。
【0018】
請求項に記載の発明の画像形成装置は、
請求項に記載の定着装置と、
前記用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【0019】
請求項10に記載の発明のプログラムは、
用紙上に形成された未定着トナー画像を当該用紙に定着する定着装置の定着部材に圧接して付着した汚れを清掃除去するクリーニング部材と、前記クリーニング部材の回転方向を自在に変更する第1機構部と、前記クリーニング部材と前記定着部材とを圧接又は離間させる第2機構部と、を備えるクリーニング装置のコンピュータを、
前記用紙のジャムの検出に応じて、前記第2機構部を制御して前記クリーニング部材を前記定着部材から離間させ、前記定着部材の動作の停止前に、前記第1機構部を制御して前記クリーニング部材をプリント時の回転方向に対して逆回転させる制御手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、クリーニング部材への用紙巻き付きを防止でき、画像形成装置のダウンタイムを短縮でき、定着部材の疵による画像不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態の画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】画像形成装置の主要な機能構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態の定着部の構成を示す模式図である。
図4】(a)は、実施の形態のクリーニング部の駆動手段を示す概略図であり、(b)は、実施の形態の定着部の駆動手段を示す概略図である。
図5】(a)は、実施の形態のプリント時の定着部を示す図であり、(b)は、実施の形態のJAM発生直後の定着部を示す図であり、(c)は、実施の形態のJAM発生後のクリーニング部材が逆回転する図である。
図6】実施の形態の第1のJAM時処理を示すフローチャートである。
図7】実施の形態の第2のJAM時処理を示すフローチャートである。
図8】実施の形態のクリーニング部材用紙巻き付き制御を実行する条件を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付図面を参照して、本発明に係る実施の形態及び変形例を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態)
図1図8を参照して、本発明に係る実施の形態を説明する。まず、図1及び図2を参照して、本実施の形態の画像形成装置1の全体の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態の画像形成装置1の概略構成を示す図である。図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。
【0024】
本実施の形態の画像形成装置1は、カラーの電子写真方式のMFPであるものとして説明するが、これに限定されるものではなく、モノクロの電子写真方式のMFP、電子写真方式のプリンターなど、他の画像形成装置としてもよい。
【0025】
図1及び図2に示すように、画像形成装置1は、制御手段、印字率取得手段としての制御部10、記憶部11、操作部12、表示部13、通信部14、画像読取部15、画像処理部16、画像形成部17、定着部18、給紙部20、用紙搬送部21、JAM検出部22などを備える。制御部10は、バス23を介して、記憶部11、操作部12、表示部13、通信部14、画像読取部15、画像処理部16、画像形成部17、定着部18、給紙部20、用紙搬送部21、JAM検出部22と接続されている。
【0026】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102及びROM(Read Only Memory)103を有し、CPU101が、ROM103又は記憶部11に記憶されているプログラムを読み出してRAM102に展開し、RAM102に展開されたプログラムとCPU101との協働で、各種処理を行う。RAM102は、作業用のメモリー空間(ワークエリア)を提供し、一時データを記憶する。ROM103は、CPU101により実行される各種制御用のプログラムや設定データなどを格納する。なお、ROM103に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリーなどの書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0027】
また、制御部10のROM103には、プリント処理を行うためのプリントプログラム、後述する第1のJAM時処理を行うための第1のJAM時処理などのプログラムが記憶されている。
【0028】
記憶部11は、半導体メモリーであるDRAM(Dynamic Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの記憶手段により構成され、画像読取部15により取得された画像データや、通信部14を介して外部機器から入力された画像データなどのデータが記憶される。
【0029】
操作部12は、操作キーや表示部13の画面に重ねられて配置されたタッチパネルなどの入力デバイスを備え、これらの入力デバイスに対するユーザーからの操作入力を受け付け、当該操作入力に応じた操作信号に変換して制御部10に出力する。
【0030】
表示部13は、LCD(Liquid crystal display)、EL(ElectroLuminescece)ディスプレイなどの表示パネルを有し、制御部10の制御に従い、操作画面などの各種表示情報を表示する。
【0031】
通信部14は、NIC(Network Interface Card)などで構成され、外部のPC(Personal Computer)、他の画像形成装置などの外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0032】
画像読取部15は、ADF(Auto document Feeder)、プラテンガラス、撮像素子などにより構成され、制御部10の制御により、原稿の画像を読み取り、R(赤)、G(緑)及びB(青)の色成分ごとの単色画像データを含む画像データを生成して記憶部11に記憶させる。また、制御部10は、通信部14又は画像読取部15を介して生成されたビットマップ形式の画像データが、R(赤)、G(緑)及びB(青)の3色の画素値を有する場合、Y、M、C、Kの4色の画素値を有する画像データに変換した後、記憶部11により保持する。
【0033】
画像処理部16は、例えば、ラスタライズ処理部、色変換部、階調補正部、ハーフトーン処理部などを有し、制御部10の制御により、記憶部11に記憶された画像データに各種画像処理を施して記憶部11に記憶させる。
【0034】
画像形成部17は、制御部10の制御により、記憶部11に記憶された画像データに基づき、用紙に画像(トナー像)を形成する。画像形成部17は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(黒)の色成分に各々対応する4組の帯電部170、露光部171、感光体ドラム172、現像部173及びクリーニング部174と、転写体175及び2次転写ローラー176と、を備える。
【0035】
帯電部170は、感光体ドラム172を帯電する。露光部171は、LD(Laser Diode)などの発光素子を有し、画像データに基づいて発光素子を駆動し、帯電部170により帯電された感光体ドラム172上にレーザー光を照射、露光して感光体ドラム172上に静電潜像を形成する。感光体ドラム172は、回転する導電性円筒体である。現像部173は、露光された感光体ドラム172上に帯電する現像ローラーにより所定の色(Y、M、C及びKのいずれか)のトナー(色材)を供給して、感光体ドラム172上に形成された静電潜像を現像する。
【0036】
Y、M、C及びKに対応する4つの感光体ドラム172上に各々Y、M、C及びKのトナーで形成された画像(単色画像)は、各感光体ドラム172から転写体175上に順次重ねられて転写される。これにより、転写体175上にY、M、C及びKを色成分とするカラー画像が形成される。転写体175は、複数の転写体搬送ローラーに巻き回された無端ベルトであり、各転写体搬送ローラーの回転に従って回転する。
【0037】
2次転写ローラー176は、転写体175上のカラー画像を、給紙トレイ201又は外部に設けられる給紙装置から給紙された用紙上に転写する。詳しくは、一対の2次転写ローラー176が圧接して形成された転写ニップ部において用紙及び転写体175を挟持し、2次転写ローラー176に所定の転写電圧が印加されることにより、転写体175上においてカラー画像を形成しているトナーが用紙側に引き寄せられて用紙に転写される。
【0038】
定着部18は、トナーが転写された用紙を加熱及び加圧してトナーを用紙に定着させる定着処理を行う。ここで、図3を参照して、定着部18をより詳細に説明する。図3は、定着部18の構成を示す模式図である。
【0039】
図3に示すように、定着部18は、定着ローラー181と、加熱ローラー182と、定着ローラー181及び加熱ローラー182に張架された定着ベルト183と、定着ベルト183を介して定着ローラー181に圧着される加圧ローラー184と、クリーニング部19と、を備える。定着ベルト183は、定着部材として機能する。また、図2に示すように、制御部10及び定着部18は、定着装置F1として機能する。
【0040】
定着ローラー181は、定着ベルト183を介して加圧ローラー184に圧着され、加圧ローラー184の回転に伴って軸181aを中心に従駆動(従動回転)する。なお、加圧ローラー184ではなく、定着ベルト183の張架により連動する加熱ローラー182が、制御部10による制御下で図示しないモーターなどの回転駆動部により駆動されて回転し、定着ローラー181は、定着ベルト183とともに従動回転するものとしてもよい。また、定着ローラー181は、モーターなどの回転駆動部により駆動されて回転するものとしてもよい。
【0041】
定着ローラー181は、鉄などからなる円柱状の芯金の外周面に、シリコーンゴムなどからなる弾性層が形成された構成を有する。定着ローラー181の具体的構成は、例えば、外径をφ90mmとし、外周面の弾性層を、厚さ20mm、AskerC硬度35°のシリコーンゴムとすることができるが、これに限定されない。
【0042】
加熱ローラー182は、アルミニウムなどから合成された芯金の外周面に、PFTEなどからなる樹脂層が形成された構成を有する。芯金の内部には、回転軸方向に延在する第1ヒーター182a及び軸182bを備える。第1ヒーター182aは、制御部10による制御下で通電することにより発熱し、加熱ローラー182の芯金及び樹脂層を介して定着ベルト183を加熱する。また、加熱ローラー182は、定着ローラー181とともに定着ベルト183を張架し、定着ベルト183に張力を付与する。
【0043】
定着ベルト183は、定着ローラー181と加熱ローラー182とに張架され、図中Bの方向に回転する無端状のベルト部材である。定着ローラー181及び加圧ローラー184は、定着ベルト183を介して、用紙を挟持して搬送する圧接部としての第1ニップ部NP1を構成する。
【0044】
定着ベルト183は、例えば耐熱性のポリイミドからなるフィルム基材の外周面に、シリコーンゴムからなる弾性層と、フッ素系樹脂からなる表面離型層が順に積層した構成を有する。フッ素系樹脂は、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)の何れかを含有、又は好ましくは何れかを主として構成される。これにより、トナー樹脂やトナー粒子に含まれるワックスに対する定着ベルト183の表面離型性が向上し、定着時の定着ベルト183へのトナー及びワックスの付着を抑制する。定着ベルト183の具体的構成は、例えば、外径がφ168mm、フィルム基材を厚さ70μmのポリイミド、弾性層を厚さ400μmのシリコーンゴム、表面離型層をPFAチューブとし、ベルトテンションを定着ローラー181と加熱ローラー182によってそれぞれ100N付与し、合計200Nとすることができるが、これに限定されない。
【0045】
加圧ローラー184は、荷重付与機構184bにより定着ローラー181に近づく方向に荷重が付与される。荷重付与機構184bは、例えば加圧ローラー184の軸184aを図中上方向に押し上げることにより、加圧ローラー184を、定着ベルト183を介して定着ローラー181に圧着させる。これによって、加圧ローラー184は定着ローラー181との間に第1ニップ部NP1を形成しながら、制御部10による制御下で図示しないモーターなどの回転駆動部により駆動されて回転する。なお、加圧ローラー184は、定着ローラー181の回転に伴って従動回転するものとしてもよく、また、内部にハロゲンランプヒーターなどの加熱源が内蔵されていてもよい。
【0046】
加圧ローラー184は、鉄などからなる円柱状の芯金の外周面に、シリコーンゴムなどからなる弾性層が形成され、その表面にフッ素系樹脂からなる表面離型層が形成された構成を有する。加圧ローラー184の具体的構成は、例えば、外径をφ80mmとし、外周面の弾性層を、厚さ10mm、表面離型層をPFAチューブとし、AskerC硬度30°とすることができるが、これに限定されない。
【0047】
定着ローラー181及び加圧ローラー184は、用紙Pを第1ニップ部NP1で挟持して、図中Aで示す搬送方向に搬送しながら用紙Pを加熱及び加圧し、用紙P上のトナーを溶融させて定着させる。第1ヒーター182aは、加熱ローラー182を介して定着ベルト183の温度が、例えば180℃以上200℃以下の範囲となるように、加熱ローラー182を加熱する。また、第1ニップ部NP1にかかる定着荷重は、例えば2500Nとすることができる。
【0048】
クリーニング部19は、クリーニングローラー191、押圧ローラー(ウェブバックアップローラー)192、巻き取り部193及びクリーニングウェブ194、第1機構部195、第2機構部196などを有する。クリーニング部19は、定着ベルト183の表面に付着したワックスや用紙の汚れなどの汚れWを、クリーニングローラー191に転移させ、さらにクリーニングローラー191上の汚れWを難燃性不織布からなるクリーニングウェブ194で拭き取ることにより、定着ベルト183の表面の汚れを清掃除去する機能を有する。
【0049】
なお、クリーニングローラー191は、クリーニング部材として機能する。また、図2に示すように、クリーニング部19及び制御部10は、クリーニング装置C1として機能する。
【0050】
クリーニングローラー191は、鉄などからなる円柱状の芯金の外周面に、シリコーンゴムなどからなる弾性層が形成された構成を有するローラーである。芯金の内部には、回転軸方向に延在する第2ヒーター191aと、軸191bと、を有し、表面温度を検知する温度センサーを用いて温度制御される。また、クリーニングローラー191は、第2機構部196の付勢部材1961により定着ベルト183に押圧される。第2ヒーター191aは、制御部10による制御下で通電することにより発熱し、芯金及び弾性層を介して定着ベルト183の表面の汚れを加熱する。
【0051】
クリーニングローラー191は、付勢部材1961によって定着ベルト183の表面に押圧されて第2ニップ部NP2を形成するとともに、第1機構部195により駆動されて図中Cの方向に回転する。クリーニングローラー191は、表面離型層を有する定着ベルト183に比べて離型性が低くなるように構成されているため、第2ニップ部NP2との間で定着ベルト183の表面に付着した汚れWをクリーニングローラー191の表面に転移させることができる。軸191bは、位置が固定されているものとする。
【0052】
また、クリーニングローラー191は、定着ベルト183の第1ニップ部NP1よりも下流側、かつ定着ローラー181に対応する位置に配置されている。クリーニングローラー191が第1ニップ部NP1よりも下流側に配置されているので、定着ベルト183の汚れを確実にクリーニングできる。クリーニングローラー191が定着ローラー181に対応する位置に配置されているので、クリーニングローラー191が定着ローラー181に支えられ、クリーニングローラー191の表面と定着ベルト183の表面とがより密着し、定着ベルト183の清掃効果がより高くなる。
【0053】
押圧ローラー192は、クリーニングウェブ194をクリーニングローラー191の表面に押圧させるローラーであり、図示しない付勢手段によって、クリーニングローラー191に近づく方向に付勢され、クリーニングローラー191との間で第3ニップ部NP3を形成する。なお、押圧ローラー192を付勢する付勢手段は、制御部10の制御下でその付勢力が制御され、これによって、クリーニングウェブ194のクリーニングローラー191に対する押圧量が制御される。
【0054】
巻き取り部193は、送り出し軸部193aと、巻き取り軸部193bと、を備える。クリーニングウェブ194の送り方向を、図中Dの方向、即ちクリーニングローラー191とクリーニングウェブ194の進行方向が同方向に進む方向を正方向とすると、送り出し軸部193aは正方向の上流側に、巻き取り軸部193bは正方向の下流側に配置される。送り出し軸部193a、巻き取り軸部193bは、クリーニングウェブ194の芯金部である。
【0055】
巻き取り部193は、送り出し軸部193aと巻き取り軸部193bとが同期して回転することで、クリーニングウェブ194を巻き取り、第3ニップ部NP3においてクリーニングウェブ194をクリーニングローラー191の表面に摺擦させる。送り出し軸部193a及び巻き取り軸部193bは、それぞれ図示しないモーターに接続され、当該モーターが制御部10によって制御されることで、送り出し軸部193a及び巻き取り軸部193bの回転量が制御される。
【0056】
クリーニングウェブ194は、耐熱性ポリエステル繊維やアラミド繊維などを材料とする難燃性不織布からなる長尺状のシートであり、長手方向の両端がそれぞれ送り出し軸部193a、巻き取り軸部193bに取り付けられており、予め送り出し軸部193aに巻き付けられている。送り出し軸部193a、巻き取り軸部193bの回転制御により、送り出し軸部193aから送り出されたクリーニングウェブ194が巻き取り軸部193bに巻き取られるとともに、第3ニップ部NP3において押圧ローラー192によってクリーニングローラー191の表面に押圧される。クリーニングウェブ194は、クリーニングローラー191が回転すると、クリーニングローラー191と接触する第3ニップ部NP3において、クリーニングローラー191の表面を摺擦して汚れWを拭き取る。即ち、クリーニングウェブ194は、クリーニングローラー191を介して間接的に定着ベルト183に当接し、定着ベルト183の表面の汚れWを拭き取る。
【0057】
ここで、図4を参照して、クリーニング部19、加圧ローラー184の駆動機構を説明する。図4(a)は、クリーニング部19の第1機構部195を示す概略図である。図4(b)は、加圧ローラー184の駆動機構を示す概略図である。
【0058】
第1機構部195は、図4(a)に示すように、駆動伝達ギアー1951,1952と、モーター1953と、を有する。モーター1953は、制御部10の制御により、クリーニングローラー191の回転駆動を行う。駆動伝達ギアー1951は、クリーニングローラー191の回転軸191bの軸心を共通にしてクリーニングローラー191に接続されている歯車である。駆動伝達ギアー1952は、駆動伝達ギアー1951と歯合するとともに、モーター1953のモーター軸1953aの軸心を共通にしてモーター1953に接続されている歯車である。クリーニング部19において、モーター1953の回転駆動力が、駆動伝達ギアー1952,1951を介してクリーニングローラー191に伝達され、クリーニングローラー191が回転駆動される。モーター1953は、ブラシレスモーターや、ステッピングモーター(パルスモーター)や、DCモーターなどにより構成される。
【0059】
加圧ローラー184の駆動機構は、図4(b)に示すように、駆動伝達ギアー1851,1852と、モーター1853と、を有する。モーター1853は、制御部10の制御により、加圧ローラー184の回転駆動を行う。駆動伝達ギアー1851は、加圧ローラー184の回転軸184aの軸心を共通にして加圧ローラー184に接続されている歯車である。駆動伝達ギアー1852は、駆動伝達ギアー1851と歯合するともに、モーター1853のモーター軸1853aの軸心を共通にしてモーター1853に接続されている歯車である。定着部18において、モーター1853の回転駆動力が、駆動伝達ギアー1852,1851を介して加圧ローラー184に伝達され、加圧ローラー184が回転駆動される。モーター1853は、ブラシレスモーターや、ステッピングモーター(パルスモーター)や、DCモーターなどにより構成される。
【0060】
このように、クリーニング部材(クリーニングローラー191)への用紙の巻き付きを防止するため、駆動伝達ギアー1951,1952及びモーター1953により、クリーニングローラー191を逆回転することが可能である。このクリーニングローラー191の逆回転時に、定着部材(定着ベルト183)は、JAMが発生していない場合のプリント終了時と同様に、徐々にモーターの回転速度を減速してゆき、通常に停止する。
【0061】
ここで、図2図5を参照して、第2機構部196について説明する。
第2機構部196は、クリーニングローラー191を定着ベルト183に圧接又は離間するための機構であり、制御部10の制御にしたがって、例えば、モーターの駆動力により、クリーニングローラー191を軸191bに対して平行に移動させる。
また、第2機構部196は、バネ、カム等の付勢部材1961を備え、この付勢部材1961によりクリーニングローラー191の定着ベルト183への押付力が調整される。
【0062】
図1図2に戻り、給紙部20は、例えば各種サイズ又は紙種の用紙を収納する複数の給紙トレイ201を有し、制御部10の制御により、指示された種類の用紙を給紙トレイ201から取り出して画像形成部17の2次転写ローラー176へ搬送する。
【0063】
用紙搬送部21は、用紙を挟持した状態で回転することで用紙を搬送する用紙搬送ローラーを複数備え、制御部10の制御により、所定の搬送経路で用紙を搬送する。用紙搬送部21は、定着部18により定着処理が行われた用紙の表裏を反転させて2次転写ローラー176へ搬送する反転機構211を備える。画像形成装置1では、用紙の両面に画像を形成する場合に反転機構211による用紙の表裏の反転が行われて両面に画像が形成された後に用紙が排紙トレイ24に排出される。用紙の片面にのみ画像を形成する場合には、反転機構211による用紙の表裏の反転が行われることなく片面に画像が形成された用紙が排紙トレイ24に排出される。
【0064】
JAM検出部22は、用紙を検出する光学的なセンサー、機械的なセンサー(例えばアクチュエーター)により構成され、画像形成装置1内を搬送中の用紙のJAMを検出する。JAM検出部22は、例えば、所定位置の第1のセンサーで用紙の先端を検出した後、第1の所定時間たっても、当該第1のセンサーの下流の第2のセンサーで当該用紙の先端を検出しない場合や、第1のセンサーで用紙の先端を検出した後、第2の所定時間たっても、当該用紙の後端を検出しない場合に、当該用紙のJAMを検出する。JAM検出部22のこれらのセンサーは、定着部18の内外に配置される。JAM検出部22は、少なくとも、JAMの発生と、発生場所が定着部18内か否かとを検出し、そのJAM検出情報を生成して制御部10に出力する。また、JAM検出部22は、JAM発生後に、ユーザーにより用紙が取り除かれ、画像形成装置1の扉が閉められたことを検出し、そのJAM回復検出情報を生成して制御部10に出力する。
【0065】
次に、図5を参照して、定着部18の動作を説明する。図5(a)は、プリント時の定着部18を示す図である。定着ベルト183にクリーニングローラー191が第2機構部196により圧接され、加圧ローラー184が回転することによる従駆動により定着ローラー181は時計周りに回転し、第1機構部195によりクリーニングローラー191は反時計回りに回転する。用紙は第1ニップ部NP1を通り、排紙方向に向かう。
【0066】
図5(b)は、JAM発生直後の定着部18を示す図である。JAM発生直後、加圧ローラー184を駆動するモーター1853は停止されるが、定着ベルト183は慣性により回転速度を減速しながら時計周りの回転を続ける。一方で、クリーニングローラー191はJAMが発生した用紙の先端が第2ニップ部NP2に到達する前に、第2機構部196によって定着ベルト183への押圧が解除され、離間を開始するとともに、第1機構部195によって、プリント時の回転方向に対して逆回転である時計回りの回転を開始する。逆回転とともに離間を開始するのは、クリーニングローラー191が定着ベルト183に圧接したまま逆回転を行うと定着部18に疵が付くおそれがあるためである。
【0067】
図5(c)は、JAM発生後にクリーニングローラー191が逆回転中である定着部18を示す図である。定着ベルト183は慣性により回転速度を減速しながら時計周りの回転を続けており、クリーニングローラー191は、定着ベルト183から離間を続けながら、逆回転をする。そのことによって、定着ベルト183に巻き付いた用紙を剥がしながら、排紙方向に移動させることができる。図5(c)の左側の図はクリーニングローラー191が離間中の図であり、図5(c)の右側の図がクリーニングローラー191の離間が完了する図である。
【0068】
ここで、図6を参照して、画像形成装置1の動作を説明する。図6は、第1のJAM時処理を示すフローチャートである。
【0069】
予め、画像形成装置1において、制御部10によりプリント処理が実行されているものとする。具体的には、制御部10は、プリント処理として、画像読取部15で取得された原稿の画像データ又は通信部14で外部から入力された画像データにより、画像処理部16に画像データに対する所定の画像処理を行わせて記憶部11に記憶させ、用紙搬送部21に給紙部20の用紙を搬送させ、記憶部11に記憶された画像データに基づいて画像形成部17により用紙に画像を形成させ排紙トレイ24に排紙する。
【0070】
そして、画像形成装置1において、プリント処理の実行中に、用紙のJAMが発生し、JAM検出部22からJAM発生の旨のJAM検出情報が入力されたことをトリガーとして、制御部10は、ROM103に記憶されている第1のJAM時処理プログラムに従い、第1のJAM時処理を実行する。
【0071】
図6に示すように、まず、制御部10は、JAM検出部22から入力されたJAM検出情報を参照し、発生したJAMの発生場所が定着部18内か否かを判別する(ステップS11)。JAMの発生場所が定着部18内である場合(ステップS11;YES)、制御部10は、プリント処理を中断するとともに、クリーニング部19のクリーニング部材への用紙の巻き付き防止処理と、定着部18の停止処理と、を行う(ステップS12)。
【0072】
ステップS12において、制御部10は、クリーニング部材への用紙の巻き付き防止処理として、制御部10は、第2機構部196を制御してクリーニングローラー191の定着ベルト183への押圧を解除させるとともに、定着ベルト183が停止する前、且つ、用紙先端が第2ニップ部NP2に到達する前に、第1機構部195のモーター1953を駆動してクリーニングローラー191を逆回転させる。クリーニングローラー191は定着ベルト183からの離間中にプリント時の回転方向に対して逆回転することによって、第2ニップ部NP2に入ってきた用紙を剥がしながら、排紙方向に移動させることができる。そして、クリーニングローラー191がプリント時の回転方向に対して逆回転を1回転する前に、定着ベルト183からの離間の動作は終了する。このことによって、用紙がクリーニングローラー191の全周に巻き付く前に離間が完了するので、定着ベルト183は用紙に擦られず、疵が付かない。
【0073】
また、ステップS12において、制御部10は、定着部18の停止処理として、モーター1853をPWM制御し、パルス幅を徐々に小さくすることでモーター1853の回転速度を徐々に小さくして、定着ベルト183の回転を徐々に停止するとともに、巻き取り部193(のモーター)も停止駆動する。定着部材の回転を徐々に小さくしていき停止するので、加圧部材(定着ローラー181、加圧ローラー184)に大きな負荷(剪断力、トルク)がかからず、加圧部材の弾性層破断や駆動部品の破壊が起き難い。
【0074】
また、定着ベルト183の回転の停止に応じて、クリーニングローラー191の逆回転を停止させる。定着ベルト183の回転の停止を判断する方法には、駆動モーターの停止信号が出てからの経過時間で判断する方法や光学センサー等を用い、駆動ギアーの回転を検知させる方法がある。
このように、クリーニングローラー191を逆回転することで、第2ニップ部NP2に入ってきた用紙が定着ベルト183から剥がされ(スクレープ効果)、排紙方向に移動するので、第2ニップ部NP2入口で、用紙がアコーディオン状に詰まり難くなる。また、用紙がクリーニングローラー191に巻き付くこともない。
【0075】
そして、制御部10は、JAM処理を行う(ステップS13)。制御部10は、JAM処理として、用紙のJAMの発生場所及び用紙の取り除き方法のガイダンスを表示部13に表示していき、JAM検出部22から、画像形成装置1の筐体の扉が閉められかつJAMの用紙が取り除かれた旨のJAM回復検出情報が入力されると、クリーニング部19を除く画像形成装置1内の各部のプリント再開のための復帰処理を行い、JAM処理を完了する。このとき、ユーザーは、ガイダンスを参照して、画像形成装置1の扉を開け、JAMの用紙を取り除き、画像形成装置1の扉を閉める。
【0076】
そして、制御部10は、ステップS12での用紙巻き付き防止処理からのクリーニング部19の復帰処理を行う(ステップS14)。本実施の形態において、制御部10は、クリーニング部19の復帰処理として、クリーニングローラー191を定着ベルト183に圧接する。そして、制御部10は、プリント処理を再開し(ステップS15)、第1のJAM時処理を終了する。
【0077】
JAMの発生場所が定着部18内でない場合(ステップS11;NO)、制御部10は、プリント処理を中断するとともに、クリーニングローラー191の定着ベルト183からの離間と逆回転を行わず、ステップS12の定着部18の停止処理と同様の通常の停止処理を行う(ステップS16)。
【0078】
そして、制御部10は、ステップS13と同様のJAM処理を行い(ステップS17)、ステップS15に移行する。
【0079】
以上、本実施の形態によれば、クリーニング装置C1は、用紙上に形成された未定着トナー画像を当該用紙に定着する定着部18の汚れを清掃除去する。クリーニング装置C1は、定着部18に設けられ用紙を加熱及び加圧する定着部材(定着ベルト183)に、圧接して付着した汚れを清掃除去するクリーニング部材(クリーニングローラー191)と、定着部18内の用紙のJAMの検出に応じて、定着ベルト183の動作(回転)の停止前にクリーニングローラー191を定着ベルト183から離間し、逆回転させる制御部10と、を備える。
【0080】
定着装置F1は、クリーニング装置C1と、定着ベルト183と、を備える。画像形成装置1は、定着装置F1と、用紙に画像形成する画像形成部17と、を備える。
【0081】
このため、用紙のJAM発生時に、クリーニングローラー191への用紙巻き付きを防止でき、用紙除去が容易となるので、画像形成装置1のダウンタイムを短縮できる。
【0082】
(変形例)
図7を参照して、上記実施の形態の変形例を説明する。図7は、第2のJAM時処理を示すフローチャートである。
【0083】
上記実施の形態では、画像形成装置1で第1のJAM時処理が実行される構成としたが、本変形例では、第1のJAM時処理に代えて、後述する第2のJAM時処理が実行される。このため、本変形例での装置構成として、上記実施の形態と同様に、画像形成装置1を用いる。ただし、制御部10のROM103には、第1のJAM時処理プログラムに代えて、後述する第2のJAM時処理を実行するための第2のJAM時処理プログラムが記憶されているものとする。
【0084】
ついで、図7を参照して、画像形成装置1で実行される第2のJAM時処理を説明する。予め、画像形成装置1において、プリント処理で使用される給紙部20の給紙トレイ201内に格納された用紙に関する用紙情報が、操作部12を介してユーザーから入力され、記憶部11に記憶されているものとする。この用紙情報は、普通紙などの用紙の種類と、用紙の坪量と、の情報を含む。
【0085】
そして、予め、画像形成装置1において、制御部10によりプリント処理が実行されているものとする。そして、画像形成装置1において、プリント処理の実行中に、用紙のJAMが発生し、JAM検出部22からJAM発生の旨のJAM検出情報が入力されたことをトリガーとして、制御部10は、ROM103に記憶されている第2のJAM時処理プログラムに従い、第2のJAM時処理を実行する。
【0086】
図7に示すように、まず、制御部10は、上記第1のJAM時処理のステップS11と同様のステップS21を実行する。JAMの発生場所が定着部18内である場合(ステップS21;YES)、制御部10は、発生したJAMに対応する用紙の用紙情報を記憶部11から読み出し、読み出した用紙情報の坪量が、予め設定された坪量の規定値(第1の閾値)以下であるか否かを判別する(ステップS22)。用紙の坪量が小さいと、定着部材、加圧部材やクリーニング部材(クリーニングローラー191)に用紙が巻き付きやすくなり、特に、用紙が定着部18より加熱されるとさらに巻き付きやすくなる。このため、JAM発生時に用紙がクリーニングローラー191に巻き付きやすく、クリーニング部19のクリーニング部材への用紙巻き付き防止制御を行うのが好ましいか否かの坪量の閾値を坪量の規定値とする。坪量の規定値(第1の閾値)は、例えば、普通紙で90[g/cm]とするが、これに限定されるものではない。
【0087】
JAMの用紙の坪量が規定値より大きい場合(ステップS22;NO)、制御部10は、発生したJAMに対応する用紙の画像データを記憶部11から読み出し、読み出した画像データから用紙の印字率を算出し、算出した用紙の印字率が、予め設定された印字率の規定値(第2の閾値)以上であるか否かを判別する(ステップS23)。印字率は、用紙の面積に対する印字部分の面積の割合[%]である。加熱された用紙上のトナーは、糊のようになり、クリーニング部材(クリーニングローラー191)から剥がれにくくなる。このため、JAM発生時に用紙がクリーニングローラー191に巻き付きやすく、クリーニング部19のクリーニング部材への用紙巻き付き防止制御を行うのが好ましいか否かの印字率の閾値を印字率の規定値とする。印字率の規定値(第2の閾値)は、例えば、20[%]とするが、これに限定されるものではない。
図8に、用紙坪量及び印字率に応じたクリーニング部材用紙巻き付き制御を実行する条件の例を示す。用紙坪量が90[g/cm2]より大きく、且つ、印字率が20[%]未満の場合にクリーニング部材用紙巻き付き制御は実行されない。用紙坪量が90[g/cm2]以下、且つ、印字率が20[%]未満の場合、用紙坪量が90[g/cm2]より大きく、且つ、印字率が20[%]以上の場合、及び用紙坪量が90[g/cm2]以下、且つ、印字率が20[%]以上の場合はクリーニング部材用紙巻き付き制御を実行する。
【0088】
JAMの用紙の坪量が規定値以下である場合(ステップS22;YES)、又はJAMの用紙の印字率が規定値以上である場合(ステップS23;YES)、制御部10は、ステップS24~S27を実行する。ステップS24~S27は、上記第1のJAM時処理のステップS12~S15と同様である。
【0089】
JAMの発生場所が定着部18内でない場合(ステップS21;NO)、又はJAMの用紙の印字率が規定値より小さい場合(ステップS23;NO)、制御部10は、ステップS28,S29,S27を実行する。ステップS28,S29は、上記第1のJAM時処理のステップS16,S17と同様である。
【0090】
以上、本変形例によれば、制御部10は、用紙の坪量が規定値(所定の第1の閾値)以下か否かを判別し、用紙の坪量が規定値以下である場合に、定着ベルト183の動作(回転)の停止前にクリーニングローラー191を定着ベルト183から離間し、逆回転させる。このため、坪量が小さいためクリーニングローラー191に巻き付きやすい用紙のJAM発生時に、クリーニングローラー191への用紙巻き付きを確実に防止でき、画像形成装置1のダウンタイムを確実に短縮できる。
【0091】
また、制御部10は、画像データから用紙に形成する画像の印字率を取得(算出)し、算出された用紙の印字率が規定値(所定の第2の閾値)以上か否かを判別し、用紙の印字率が規定値以上である場合に、定着ベルト183の動作(回転)の停止前にクリーニングローラー191を定着ベルト183から離間し、逆回転させる。このため、印字率が大きいためクリーニングローラー191に巻き付きやすい用紙のJAM発生時に、クリーニングローラー191への用紙巻き付きを確実に防止でき、画像形成装置1のダウンタイムを確実に短縮できる。
【0092】
なお、上記実施の形態及び変形例における記述は、本発明に係る好適なクリーニング装置、定着装置及び画像形成装置の一例であり、これに限定されるものではない。
【0093】
上記実施の形態、変形例では、加圧ローラー184、定着ベルト183の回転に対して定着ローラー181が従駆動する構成としたが、これに限定されるものではなく、加圧部材の回転に対して定着部材が独立駆動する構成としてもよい。
【0094】
また、上記実施の形態及び変形例において、定着部18が、定着部材としての定着ベルト183と、定着ローラー181、加熱ローラー182及び加圧ローラー184とを有する、ベルト式の定着器を有する構成としたが、これに限定されるものではない。定着部が、定着部材としての一対の加熱ローラー及び加圧ローラーとを有するローラー式の定着器を有する構成としてもよい。
また、上記実施の形態、変形例では、定着部18内でのJAMの発生の場合に、用紙巻き付き防止処理を行う構成としたが、JAMの発生場所は、必ずしも定着部18に限らず、定着部18以外の特定の場所でのJAM発生の際にも用紙巻き付き防止処理を行う構成としてもよいし、JAMが発生したら、発生場所に関わらず用紙巻き付き防止処理を行う構成であってもよい。
また、上記実施の形態、変形例では、用紙先端が第2ニップ部NP2に到達する前にクリーニングローラー191を逆回転させたが、用紙先端が第2ニップ部NP2に到達した後にクリーニングローラー191を逆回転させてもよい。このような構成であっても用紙巻き付きを防止することができる。
【0095】
また、上記変形例では、用紙の坪量、用紙に形成する画像の印字率によってクリーニング部材用紙巻き付き防止制御の実行を判断していたが、平滑度に係る用紙の種類によって判断してもよい。普通紙、書籍用紙、エンボス紙等の非塗工紙は平滑度が低いため、定着部材との密着性が悪く、剥がれ易いので、クリーニングローラー191への用紙巻き付きは起き難い。一方、塗工紙等は平滑度が高いため、定着部材との密着性が良く、剥がれ難いので、クリーニングローラー191への用紙巻き付きは起き易い。
【0096】
また、以上の実施の形態における画像形成装置1を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 画像形成装置
10 制御部
11 記憶部
12 操作部
13 表示部
14 通信部
15 画像読取部
16 画像処理部
17 画像形成部
170 帯電部
171 露光部
172 感光体ドラム
173 現像部
174 クリーニング部
175 転写体
176 2次転写ローラー
F1 定着装置
18 定着部
181 定着ローラー
181a 軸
182 加熱ローラー
182a 第1ヒーター
182b 軸
183 定着ベルト
184 加圧ローラー
184a 軸
184b 荷重付与機構
1851,1852 駆動伝達ギアー
1853 モーター
1853a 軸
P 用紙
W 汚れ
C1 クリーニング装置
19 クリーニング部
191 クリーニングローラー
191a 第2ヒーター
191b 軸
192 押圧ローラー
193 巻き取り部
193a 送り出し軸部
193b 巻き取り軸部
194 クリーニングウェブ
195 第1機構部
1951,1952 駆動伝達ギアー
1953 モーター
1953a 軸
196 第2機構部
1961 付勢部材
20 給紙部
201 給紙トレイ
21 用紙搬送部
22 JAM検出部
23 バス
24 排紙トレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8