(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】判定装置
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20240409BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20240409BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240409BHJP
H05B 47/125 20200101ALI20240409BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240409BHJP
G03B 15/03 20210101ALI20240409BHJP
G03B 15/05 20210101ALI20240409BHJP
H04N 23/56 20230101ALI20240409BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240409BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240409BHJP
【FI】
F21V33/00 400
F21S8/04
H05B47/165
H05B47/125
G03B15/00 S
G03B15/03 F
G03B15/05
H04N23/56
H04N23/60 500
H04N23/60 300
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020019796
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 優
(72)【発明者】
【氏名】加藤 俊也
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 昌俊
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-211571(JP,A)
【文献】特開2017-212596(JP,A)
【文献】特開平07-250317(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21V 33/00
F21S 8/04
G03B 15/00
G03B 15/03
G03B 15/05
H04N 23/56
H04N 23/60
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ユニットとカメラユニットとを有するカメラ付き照明装置の前記カメラユニットによって撮影されたカメラ画像を記憶する記憶部と;
前記記憶部に記憶された前記カメラ画像から画像特性を抽出する抽出部と;
前記抽出部によって抽出された過去の前記画像特性と現在の前記画像特性とに基づいて、前記カメラユニットのメンテナンスの要否を判定する判定部と;
前記カメラユニットで対象物を撮影可能な照明条件の出力値の推移に基づいて、前記カメラユニットの劣化状態を推定する推定部と;
を具備し、
前記判定部は、
前記推定部による劣化状態の推定結果
、および、過去の前記画像特性と現在の前記画像特性とに基づいて、前記メンテナンスの要否を判定する、判定装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記照明ユニットの点灯時間のログと、前記カメラユニットの動作時間のログとをさらに記憶する、
請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶された前記点灯時間のログと、前記動作時間のログとに基づいて、レポートを生成する生成部;
をさらに具備する、請求項2に記載の判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1つの筐体に照明ユニットと、カメラユニットとを備えたカメラ付き照明装置がある。かかるカメラ付き照明装置は、工場での生産ラインの監視やオフィス内での従業員の状態監視などの用途にも導入されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、メンテナンスを行ううえで改善の余地があった。例えば、カメラ付き照明装置が高天井に設置される場合、カメラ付き照明装置を目視で確認できないため、不具合を把握し難い。また、不具合が発生したとしても、部品の交換等が容易ではない。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、カメラ付き照明装置のメンテナンスを容易にすることができる判定装置およびカメラ付き照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る判定装置は、記憶部と、抽出部と、判定部とを備える。前記記憶部は、照明ユニットとカメラユニットとを備えるカメラ付き照明装置の前記カメラユニットによって撮影されたカメラ画像を記憶する。前記抽出部は、前記記憶部に記憶された前記カメラ画像から画像特性を抽出する。前記判定部は、前記抽出部によって抽出された過去の前記画像特性と現在の画像特性とに基づいて、前記カメラユニットのメンテナンスの要否を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カメラ付き照明装置のメンテナンスを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係るカメラ付き照明装置の側面図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係るカメラ付き照明装置の下面図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係る照明システムの模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る管理装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像情報データベースの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る劣化状態の推移の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るカメラ付き照明装置のブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る管理装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下で説明する実施形態に係る管理装置100(判定装置の一例)は、記憶部3と、抽出部4bと、判定部4dとを具備する。記憶部3は、照明ユニット20とカメラユニット30とを具備するカメラ付き照明装置10のカメラユニット30によって撮影されたカメラ画像を記憶する。抽出部4bは、記憶部3に記憶されたカメラ画像から画像特性を抽出する。判定部4dは、抽出部4bによって抽出された過去の画像特性と現在の画像特性とに基づいて、カメラユニットのメンテナンスの要否を判定する。
【0010】
また、以下で説明する実施形態に係る管理装置100において、記憶部3は、照明ユニット20の点灯時間のログと、カメラユニット30の動作時間のログとをさらに記憶する。
【0011】
また、以下で説明する実施形態に係る管理装置100は、記憶部3に記憶された点灯時間のログと、動作時間のログとに基づいて、レポートを生成する生成部4eをさらに具備する。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る管理装置100は、画像特性の時系列変化に基づいて、カメラユニットの劣化状態を推定する推定部4cをさらに具備し、判定部4dは、推定部4cによる劣化状態の推定結果に基づいて、メンテナンスの要否を判定する。
【0013】
また、以下で説明する実施形態に係る管理装置100において、推定部4cは、異なる照明条件で撮影されたカメラ画像に基づいて、カメラユニット30で対象物を撮影可能な照明条件のレンジの推移に基づいて、劣化状態を推定する。
【0014】
また、以下で説明する実施形態に係るカメラ付き照明装置10は、発光素子21bを有する照明ユニット20と、カメラユニット30と、照明ユニット20の出力レベルを制御することで、照明ユニット20とカメラユニット30との製品寿命を近づける電源ユニット40とを具備する。
【0015】
また、以下で説明する実施形態に係るカメラ付き照明装置10において、電源ユニット40は、定格電圧を超えるオーバードライブ電圧を照明ユニット20に印加する。
【0016】
また、以下で説明する実施形態に係るカメラ付き照明装置10において、カメラユニット30は、一部の部品が外側から嵌め込み式で固定される。
【0017】
(実施形態)
まず、
図1Aおよび
図1Bを用いて、実施形態に係るカメラ付き照明装置10について説明する。
図1Aは、実施形態に係るカメラ付き照明装置10の側面図である。
図1Bは、実施形態に係るカメラ付き照明装置10の下面図である。
【0018】
図1Aに示すように、実施形態に係るカメラ付き照明装置10は、照明ユニット20と、カメラユニット30と、電源ユニット40とを備える。また、照明ユニット20と、カメラユニット30とは、L字金具を介してネジ止めされ、照明ユニット20と、電源ユニット40とは、連結部12を介して連結される。
【0019】
連結部12は、さらに、取付部11と接合し、取付部11を介して、カメラ付き照明装置10が天井などの設置面に取り付けられる。
【0020】
照明ユニット20は、光源部21と、フィン25とを備える。フィン25は、光源部21の上部に設けられ、光源部21の発光による発熱を冷却する。
図1Bに示すように、光源部21は、基板21a上にLED(Light Emitting Diode)等の発光素子21bが設けられる。
【0021】
また、光源部21の出射面は、カバー22によって覆われる。なお、カバー22は、例えば、透過性のガラスや樹脂である。なお、
図1Bに示す例では、光源部21が4つの基板21aから構成される場合を示しているが、これに限定されるものではない。
【0022】
また、カメラユニット30は、撮像部31と、レンズ32とを備える。撮像部31は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像センサや、画像または映像を撮影するのに必要となる各種部品が含まれる。また、撮像部31の下面は、レンズ32によって覆われる。
【0023】
また、
図1Bに示すように、光源部21と、撮像部31との向きは、それぞれ取り付け時に同一の方向を向くことになる。これにより、光源部21によって光が照射されたエリアを撮像部31によって撮像することができるので、撮影対象の照度を確保することができるので、鮮明な画像を撮像することができる。
【0024】
また、カメラ付き照明装置10は、天井に設置されるので、天井から空間内を俯瞰した画像を撮影することができる。なお、
図1Aおよび
図1Bに示すカメラ付き照明装置10の外観形状は、一例であり、ベースライト、シーリングライトなど、その他の形状であってもよい。
【0025】
次に、
図1Cを用いて、実施形態に係る照明システムSについて説明する。
図1Cは、実施形態に係る照明システムSの概要を示す図である。なお、以下では、照明システムSが工場に導入される場合を例に挙げて説明する。
【0026】
図1Cに示すように、実施形態に係る照明システムSは、複数のカメラ付き照明装置10と、管理装置100とを備える。また、
図1Cに示す例では、各カメラ付き照明装置10が工場の作業現場(例えば、製造ライン等)に設置される場合を示す。
【0027】
管理装置100は、作業現場に設置された各カメラ付き照明装置10を管理する装置である。例えば、管理装置100は、各カメラ付き照明装置10の照明ユニット20の照明態様や、カメラユニット30の撮像向き、倍率等をネットワークNを介して遠隔で制御する。
【0028】
また、管理装置100は、各カメラユニット30で撮影された画像または映像を収集し、記憶する。例えば、管理装置100によって収集された画像または映像は、作業現場の監視等に用いられる。
【0029】
ところで、照明システムSを上述のように工場に導入する場合、カメラ付き照明装置10が高天井に取り付けられることになる。この場合、カメラ付き照明装置10のメンテナンスの要否を目視では確認し難く、不具合を把握し難い。また、カメラ付き照明装置10の目視による確認、あるいは不具合が発生し、部品の交換等を行う場合、高所での作業となるため容易ではない。また、工場に導入される場合には、粉塵や、油よごれなどによって、カバー22や、レンズ32が汚れる場合も想定される。
【0030】
そこで、実施形態に係る管理装置100では、カメラ付き照明装置10が定点を撮影する点に着目し、過去のカメラ画像と、現在のカメラ画像を比較していくことで、劣化状態を推定するとともに、劣化状態の推定結果に基づいて、メンテナンスの要否を判定する。
【0031】
図2は、実施形態に係る管理装置100のブロック図である。
図2に示すように、管理装置100は、通信部2と、記憶部3と、制御部4とを備える。通信部2は、ネットワークNを介して各カメラ付き照明装置10とデータ通信を行う通信モジュールである。
【0032】
記憶部3は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、HDD、光ディスク等の記憶装置である。
図2に示す例において、記憶部3は、画像情報データベース3a、ログ情報データベース3bおよび推定結果データベース3cを有する。
【0033】
画像情報データベース3aは、各カメラ付き照明装置10のカメラユニット30で撮影されたカメラ画像に関する情報を記憶するデータベースである。ここで、
図3を用いて、画像情報データベース3aの具体例について説明する。
図3は、実施形態に係る画像情報データベース3aの一例を示す図である。なお、以下では、画像情報データベース3aが1つのカメラユニット30に対して記憶するデータを例に挙げて説明する。
【0034】
図3に示すように、画像情報データベース3aは、「画像ID」、「撮像日時」、「照明条件」、「画像特性」などといった情報を互いに対応付けて記憶する。「画像ID」は、カメラ画像を識別する識別子であり、「撮像日時」は、対応するカメラ画像を撮影した日時を示す。「照明条件」は、対応するカメラ画像を撮影したときの照明ユニット20の光出力などの条件を示す。
【0035】
「画像特性」は、対応するカメラ画像の特性を示す。例えば、画像特性は、後述するように、初期画像と、対応するカメラ画像との差分である。
【0036】
図2の説明に戻り、ログ情報データベース3bについて説明する。ログ情報データベース3bは、照明ユニット20の点灯状態のログと、カメラユニット30の動作状態のログとをカメラ付き照明装置10ごとに記憶するデータベースである。
【0037】
すなわち、記憶部3は、照明ユニット20のログに対して、カメラユニット30のログを対応付けて記憶する。また、ログ情報データベース3bに、上記の双方のログに加えて、温度をあわせて記憶することにしてもよい。
【0038】
例えば、カメラ付き照明装置10それぞれに温度センサを設け、各カメラ付き照明装置10から温度に関する情報を取得することにしてもよいし、あるいは、カメラ付き照明装置10が設置される作業場の室温を温度することにしてもよい。
【0039】
また、その他のセンサの取り付けが必要となることを想定し、カメラ付き照明装置10にセンサを取り付けるためのコネクタを予め設置しておくことにしてもよい。
【0040】
推定結果データベース3cは、劣化状態の推定結果に関する情報を記憶するデータベースである。例えば、推定結果データベース3cには、カメラ付き照明装置10毎に推定結果が時系列順に格納される。
【0041】
次に、制御部4について説明する。制御部4は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。
【0042】
図2に示す例では、制御部4は、取得部4aと、抽出部4bと、推定部4cと、判定部4dと、生成部4eとを備える。取得部4a、抽出部4b、推定部4c、判定部4dおよび生成部4eの機能は、例えば、制御部4のCPUが制御部4のRAM、ROM、または記憶部3に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0043】
なお、取得部4a、抽出部4b、推定部4c、判定部4dおよび生成部4eは、それぞれ一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0044】
取得部4aは、カメラ付き照明装置10のカメラユニット30によって撮影されたカメラ画像を取得する。例えば、取得部4aは、メンテナンスの要否判定を行う判定周期毎に各カメラ付き照明装置10からカメラ画像を取得し、画像情報データベース3aに格納する。なお、メンテナンスの判定周期に達した場合には、照明システムSを通常の稼動モードからメンテナンス判定用のメンテナンスモードへ切り替えるものとし、以下では、メンテナンスモード中の動作について説明する。
【0045】
また、取得部4aは、照明ユニット20およびカメラユニット30のログを常時取得し、ログ情報データベース3bに格納する。この際、カメラ付き照明装置10との通信接続が途絶えた場合には、カメラ付き照明装置10の故障を検知することもできる。
【0046】
抽出部4bは、記憶部3に記憶されたカメラ画像から画像特性を抽出する。例えば、抽出部4bは、基準画像と、現在のカメラ画像とを比較することで、画像特性を抽出する。なお、基準画像とは、カメラ付き照明装置10の設置時に、各カメラユニット30によって撮影されたカメラ画像であり、カメラユニット30の初期状態を示すカメラ画像である。
【0047】
例えば、抽出部4bは、カメラユニット30ごとに基準画像と、現在のカメラ画像と比較し、基準画像と現在のカメラ画像との差分を画像特性として抽出する。ここで、差分が生じる原因としては、レンズの汚れまたは劣化(色褪せ)、画質の劣化、ピントのズレ、照明の光出力の低下などが挙げられる。
【0048】
すなわち、差分が大きくなるほど、初期状態から変化していることを示すので、メンテナンスの必要性が高くなることを示す。このため、画像特性を抽出することで、レンズ32(
図1A参照)の汚れまたは劣化(色褪せ)、画質の劣化、ピントのズレなどの不具合の度合を抽出することが可能となる。
【0049】
また、抽出部4bは、同一時期に異なるカメラユニット30によってそれぞれ撮影されたカメラ画像同士を比較することで、画像特性を抽出することにしてもよい。これにより、例えば、劣化状態のカメラ付き照明装置10毎の個体差や、設置位置に基づく個体差を把握することが可能となる。
【0050】
なお、抽出部4bは、例えば、1枚のカメラ画像から劣化に関する画像特性を抽出できる場合には、差分を用いずに、それぞれのカメラ画像から画像特性を抽出することにしてもよい。ここでの画像特性は、例えば、レンズ32に付着した付着物の有無や、付着物の付着面積などを含む。
【0051】
推定部4cは、画像特性の継時変化に基づいて、カメラユニット30の劣化状態を推定する。ここで、劣化状態とは、上述の初期画像と現在の画像との差分に対応する。すなわち、推定部4cは、上記の差分が大きくなるにしたがって、劣化状態が進行していると推定する。
【0052】
また、推定部4cは、異なる照明条件で撮影されたカメラ画像に基づいて、カメラユニット30で対象物を撮影可能な照明条件のレンジの推移に基づいて、劣化状態を推定することにしてもよい。
【0053】
ここで、
図4を用いて、推定部4cによる劣化状態の推定処理について説明する。
図4は、実施形態に係る劣化状態の推移の一例を示す図である。なお、
図4の横軸に示す「出力値」は、照明ユニット20の光出力の制御値を示し、「検出フラグ」は、カメラ画像の画像解析において、カメラ画像から対象物を解析できた場合に「ON」、対象物を解析できなかった場合に「OFF」になるフラグである。
【0054】
例えば、メンテナンスモードにおいて、照明ユニット20の光出力値を徐々に上げていき、検知フラグがONになったときの出力値を記録する。ここで、出力値は例えば照明ユニット20の調光度としてもよい。
図4の例では、破線で示すように、初期時のカメラ付き照明装置10が出力値l1で検知フラグがONになったのに対して、現在のカメラ付き照明装置10では、出力値l1よりも大きい出力値l2で検知フラグがONになったことを示す。
【0055】
つまり、この場合においては、出力値l2と出力値l1との差分がカメラ付き照明装置10の劣化状態の進行を示す。すなわち、この場合においては、出力値によって劣化状態を定量化することが可能となる。
【0056】
なお、ここでは、出力値の下限値を求める場合について説明したが、出力値の上限値を求めることにしてもよい。すなわち、推定部4cは、対象物を検知可能な照度のレンジに基づいて、劣化状態を推定することにしてもよい。また、ここでは、照明ユニット20の出力値に基づいて、劣化状態を推定する場合について説明したが、カメラユニット30または明るさを検出可能なセンサによって照度を測定するようにしてもよいし、照明ユニット20から出射する光の変化に基づいて劣化状態を推定することにしてもよい。
【0057】
その他、推定部4cは、照明ユニット20を点滅させたときのカメラ画像の挙動に基づき、劣化状態を推定することにしてもよい。この場合、例えば、照明ユニット20の点滅するタイミングと、カメラ画像内における点滅のタイミングの一致度から劣化状態を推定することができる。さらに、複数台のカメラ付き照明ユニットを設置する場合には、カメラユニット30によって他のカメラユニット30を撮像できるようにし、カメラユニット30又は撮像したデータを送信した管理装置によって劣化の可能性のあるカメラユニットを特定、もしくは劣化を診断してもよい。
【0058】
図2の説明に戻り、判定部4dについて説明する。判定部4dは、抽出部4bによって抽出された過去の画像特性と、現在の画像特性とに基づいて、カメラユニット30のメンテナンスの要否を判定する。また、判定部4dは、メンテナンスを要すると判定すると、判定結果を生成部4eへ通知する。
【0059】
例えば、判定部4dは、基準画像と現在の画像との差分が所定値を超えた場合や、推定部4cによって推定される劣化状態が所定値を超えた場合に、メンテナンスを必要と判定する。なお、定量化の観点からすると、
図4に示した出力値に基づいて、メンテナンスの要否を判定することが好ましい。
【0060】
生成部4eは、記憶部3に記憶された点灯時間のログと、動作時間のログとに基づいて、レポートを生成する。なお、ここでのレポートは、メンテナンスレポートとも称される。例えば、生成部4eは、所定周期(例えば、1週間に1回)でレポートを生成する。
【0061】
例えば、かかるレポートには、カメラ付き照明装置10毎に点灯時間のログと、動作時間のログ、劣化状態に関する情報、カメラ画像等が含まれる。また、点灯時間のログは、照度(出力レベル)などに関する情報を含む。
【0062】
なお、生成部4eによって生成されたレポートは、照明システムSの管理業者に通知される。すなわち、この場合には、管理業者が現場に行かずとも各カメラ付き照明装置10の劣化状態を把握することができる。また、生成部4eは、判定部4dによってメンテナンスが必要と判定された場合においてもレポートを生成することにしてもよい。
【0063】
次に、
図5を用いて、実施形態に係るカメラ付き照明装置10の構成例について説明する。
図5は、実施形態に係るカメラ付き照明装置10のブロック図である。
図5に示すように、カメラ付き照明装置10は、照明ユニット20と、カメラユニット30と、電源ユニット40とを備える。
【0064】
照明ユニット20は、
図1Bに示したように、基板21aや、発光素子21b等を有し、例えば、電源ユニット40の制御によって点灯する。カメラユニット30は、撮像センサなどによって構成される。また、カメラユニット30は、モータなどの動力機構によって撮像向きが変更可能であってもよい。カメラユニット30によって撮影されたカメラ画像は、例えば、電源ユニット40を介して、管理装置100へ送信される。
【0065】
電源ユニット40は、照明ユニット20およびカメラユニット30へ電力を供給する。例えば、電源ユニット40は、外部電源から供給される電力を変換したうえで、照明ユニット20およびカメラユニット30へ供給する。
【0066】
なお、電源ユニット40と外部電源とを接続する電源線にPoEケーブル(Power over Ethernet;登録商標)を用いることにしてもよい。これにより、通信機能と電源供給機能を一挙に確保することができる。
【0067】
ところで、一般的に、照明ユニット20(特に発光素子21b)と、カメラユニット30(特に、撮像センサ)との製品寿命を比較すると、照明ユニット20の製品寿命が長い。
【0068】
すなわち、照明ユニット20と、カメラユニット30とをそれぞれ使用すると、カメラユニット30が照明ユニット20に比べて交換時期が早いことになる。一方、例えば、工場などでは、天井高が高く、カメラ付き照明装置10の部品を交換するのは、容易でなく、例えば、足場を組んで作業する必要もある。
【0069】
したがって、照明ユニット20と、カメラユニット30との交換時期が一度に行えれば、交換作業の作業回数が少なくて済むことになる。このため、実施形態に係るカメラ付き照明装置10は、照明ユニット20の出力レベルを制御することで、カメラユニット30の製品寿命に近づけることにしている。
【0070】
具体的には、例えば、電源ユニット40は、照明ユニット20の定格以上の電力を光源部21に対して印加し、定格以上の電力で照明ユニット20を動作(以下、オーバードライブ動作)させる。これによって、照明ユニット20の製品寿命をカメラユニット30の製品寿命に近づけることができる。また、設置場所に必要な光束よりも低い定格値の照明ユニット20を採用することで、照明ユニット20のコストを下げることができる。
【0071】
なお、照明ユニット20と、カメラユニット30との寿命を一致させることが好ましいが、これに限定されず、例えば、照明ユニット20の取り換え回数が1回につき、カメラユニット30の取り換え回数が2回となるように製品寿命をコントロールしてもよい。
【0072】
また、部品の交換を容易にする観点からすれば、例えば、撮像センサなどのカメラユニット30の各部品(特に交換が必要となる撮像センサ)がカメラユニット30の外側から着脱可能な構成、例えばはめ込み式であることが好ましい。
【0073】
ここでのはめ込み式とは、着脱が容易であることを示し、例えば、ケージクランプなどで各部品を固定するとよい。すなわち、撮像センサをはめ込み式に固定することで、撮像センサを容易に脱着することができるので、交換作業の効率化を図ることができる。
【0074】
より好適には、撮像センサは、カメラユニット30の下側から着脱可能に固定されることが好ましい。これにより、例えば、足場を組まずとも、棒などを用いて撮像センサの取り換えが可能となる。
【0075】
その他、メンテナンスを想定し、各カメラ付き照明装置10を昇降式にしてもよいし、あるいは、レンズ32の汚れを拭うワイパーや、レンズ32に保護膜を設けることにしてもよい。
【0076】
次に、
図6を用いて、実施形態に係る管理装置100が実行する処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係る管理装置100が実行する処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理は、カメラ付き照明装置10に対して、実行される。
【0077】
図6に示すように、管理装置100は、まず、カメラ画像を取得すると(ステップS101)、画像特性を抽出する(ステップS102)。続いて、管理装置100は、画像特性等に基づいて、劣化状態を推定し(ステップS103)、メンテナンスが必要か否かを判定する(ステップS104)。
【0078】
管理装置100は、ステップS104の判定において、メンテナンスを必要と判定した場合(ステップS104,Yes)、メンテナンスレポートを生成し(ステップS105)、処理を終了する。
【0079】
また、管理装置100は、ステップS104の判定において、メンテナンスを不要と判定した場合(ステップS104,No)、ステップS105の処理を省略して、処理を終了する。
【0080】
ところで、上述した実施形態では、判定装置が管理装置100である場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、判定装置の構成をカメラ付き照明装置10に組み込むことにしてもよい。
【0081】
この場合、各カメラ付き照明装置10がそれぞれ自身の劣化状態をセルフチェックすることができる。つまり、各カメラ付き照明装置10に判定装置を組み込む場合には、1つのカメラ付き照明装置10でメンテナンス判定を完結することが可能となる。
【0082】
ところで、上述した実施形態では、設置空間が工場である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、設置空間は病院やオフィスなど、任意に変更可能である。
【0083】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0084】
4a 取得部
4b 抽出部
4c 推定部
4d 判定部
4e 生成部
10 カメラ付き照明装置
20 照明ユニット
30 カメラユニット
40 電源ユニット
100 管理装置(判定装置の一例)