(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】モータコアの製造装置
(51)【国際特許分類】
H02K 15/02 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H02K15/02 F
(21)【出願番号】P 2020044390
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 逸男
(72)【発明者】
【氏名】小泉 和則
(72)【発明者】
【氏名】諸國 昭雅
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-095475(JP,A)
【文献】特開2003-052139(JP,A)
【文献】特開2009-005556(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/00- 1/34
H02K 15/00- 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる中心軸を回転中心として回転可能な本体部と、前記本体部の外周面から前記中心軸に直交する径方向の外側に向けて突出し
て上下方向に延び且つ前記中心軸の周方向に沿って間隔をおいて並ぶ複数の突状部とを有する積層装置を備え
、
前記複数の突状部のそれぞれは、モータコアの一部である薄板状の分割コアを保持可能
であり、
前記本体部及び前記突状部を回転させながら、前記周方向に並ぶ前記突状部のそれぞれに対して前記分割コアを一つずつ挿入して保持させ、2周以上の前記突状部の回転によって、前記分割コアが前記周方向に並んだ円環状のモータコア層が上下方向に2層以上積層したモータコアが形成されるモータコアの製造装置であって、
前記複数の突状部のそれぞれは、前記径方向の外側に向けて突出し且つ前記周方向に隣接して配置される一対の第1壁部及び第2壁部を備え、前記第1壁部と前記第2壁部とは前記径方向の外側に行くに従って前記周方向の距離が大きくなり、前記第1壁部と前記第2壁部との前記周方向に沿った最大距離は第3距離であり、
前記分割コアは、前記周方向に離隔した第1のティース及び第2のティースと、前記第1のティースと前記第2のティースとを連結する連結部と、を有し、前記第1のティースと前記第2のティースとの間には前記周方向に沿った第1の間隙が設けられ、且つ、前記周方向に隣接する2つの前記分割コアの一方における前記第2のティースと他方における前記第1のティースとの間には前記周方向に沿った第2の間隙が設けられ、当該第1の間隙及び当該第2の間隙のそれぞれに前記突状部が挿入された状態で前記分割コアが前記突状部に保持され、
前記第1のティースの第1側面と前記第2のティースの第2側面とは前記第1の間隙を挟んで対向して位置し、
前記第1側面と前記第2側面との前記周方向の距離は、前記中心軸から最も遠い位置では第1距離であり、前記中心軸に最も近い位置では前記第1距離よりも小さい第2距離であり、
前記第1壁部と前記第2壁部との前記周方向に沿った前記第3距離は、前記第2距離よりも大きく且つ前記第1距離よりも小さい、
モータコアの製造装置。
【請求項2】
前記突状部は、周方向に沿って等間隔に複数配置される、
請求項
1に記載のモータコアの製造装置。
【請求項3】
前記突状部に上下方向に積層される前記分割コアの積層高さが第1高さ以上であることを検知する高さ検知装置を備える、
請求項1
又は2に記載のモータコアの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータコアの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状の電磁鋼板に孔あけ加工や打ち抜き加工を順次に行ってモータコアをプレス成形する技術が公知である(特許文献1参照)。この特許文献1に記載のモータコアは、円盤状の電磁鋼板に複数の孔が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のプレス成形では、モータコアの一部である薄板状の分割コアを大量かつ迅速に製造することが困難である。
【0005】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、モータコアの一部である薄板状の分割コアを大量かつ迅速に製造することが可能なモータコアの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本開示の一態様のモータコアの製造装置は、上下方向に延びる中心軸を回転中心として回転可能な本体部と、前記本体部の外周面から前記中心軸に直交する径方向の外側に向けて突出しモータコアの一部である薄板状の分割コアを保持可能な突状部とを有する積層装置を備える。
【0007】
これによれば、突状部に分割コアを組み付けるという簡単な作業によってモータコアを構成することができる。特に、本体部が回転可能であるため、本体部を一定角度回転させて別の突状部に分割コアを組み付けるという作業を繰り返すことにより、分割コアを円環状に並べて配置してモータコア層を形成することができる。以上より、本開示によれば、プレス成形で順次に加工する従来例よりも、大量かつ迅速にモータコアを製造することができる。
【0008】
上記のモータコアの製造装置の望ましい態様として、前記モータコアは、前記分割コアが前記中心軸の周方向に並んだ円環状の形状を有し、前記分割コアは、前記周方向に離隔した第1のティース及び第2のティースと、前記第1のティースと前記第2のティースとを連結する連結部と、を有し、前記第1のティースと前記第2のティースとの間には前記周方向に沿った間隙が設けられ、前記間隙に前記突状部が挿入された状態で、前記分割コアが前記突状部に保持されることが望ましい。このように、分割コアには間隙が設けられるため、突状部を間隙に挿入することで、突状部に分割コアを容易に組み付けることができる。
【0009】
上記のモータコアの製造装置の望ましい態様として、前記突状部は、上下方向に延びることが望ましい。従って、突状部に分割コアを順に組み付けていくと、突状部に、モータコア層を複数層に設けることができる。
【0010】
上記のモータコアの製造装置の望ましい態様として、前記突状部は、径方向の外側に向けて突出し且つ周方向に離隔する第1壁部及び第2壁部を備え、前記第1のティースの第1側面と前記第2のティースの第2側面とは前記間隙を挟んで対向して位置し、前記第1側面の各部位と前記第2側面の各部位との距離は、前記中心軸から最も遠い部位同士では第1距離であり、前記中心軸に最も近い部位同士では前記第1距離よりも小さい第2距離であり、前記第1壁部の各部位と前記第2壁部の各部位との最大距離である第3距離は、前記第2距離よりも大きく且つ前記第1距離よりも小さいことが望ましい。これによれば、分割コアが径方向の外側に移動すると、第1壁部と第1側面とが接触し、第2壁部と第2側面とが接触する。従って、分割コアが突状部から径方向の外側に抜け出ることが抑制される。
【0011】
上記のモータコアの製造装置の望ましい態様として、前記突状部は、周方向に沿って等間隔に複数配置されることが望ましい。従って、1つの突状部に分割コアを組み付けて、本体部を一定角度ずつ回転させながら、別の突状部に分割コアを組み付ける。これにより、モータコア層を容易に形成することができる。
【0012】
上記のモータコアの製造装置の望ましい態様として、前記突状部に上下方向に積層される前記分割コアの積層高さが第1高さ以上であることを検知する高さ検知装置を備えることが望ましい。従って、モータコア層を上下方向に積層させる作業において、モータコアが所定の高さである第1高さになったことが検知できる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、モータコアの一部である薄板状の分割コアを大量かつ迅速に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータコアの製造装置の一例を模式的に示す正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る搬送装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る高さ検知装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図5】
図5は、積層装置に積層されるモータコアを上方から見た模式的な平面図である。
【
図6】
図6は、分割コアの一例を模式的に示す平面図である。
【
図7】
図7は、積層装置に積層されるモータコアを側方から見た模式的な側面図である。
【
図8】
図8は、複数の分割コアを配置する2通りの位相のうちの第1位相を示すモータコア層の平面図である。
【
図9】
図9は、複数の分割コアを配置する2通りの位相のうちの第2位相を示すモータコア層の平面図である。
【
図10】
図10は、積層装置を上方から見た模式的な平面図である。
【
図11】
図11は、積層装置の本体部を模式的に見た斜視図である。
【
図12】
図12は、積層装置の本体部の突状部材を上方から見た模式的な平面図である。
【
図13】
図13は、積層装置の本体部の突状部材に分割コアを組み込んだ状態を拡大した模式的な平面図である。
【
図14】
図14は、変形例に係る積層装置の本体部の突状部材に分割コアを組み込んだ状態を拡大した模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0016】
[実施形態]
まず、実施形態に係るモータコアの製造装置100について説明する。
図1は、実施形態に係るモータコアの製造装置の一例を模式的に示す正面図である。
図2は、
図1を上方から見た模式的な平面図である。
図3は、実施形態に係る搬送装置の一例を模式的に示す側面図である。
図4は、実施形態に係る高さ検知装置の一例を模式的に示す側面図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、モータコアの製造装置100は、収納装置1と、回転装置2と、搬送装置3と、積層装置4と、ベースプレート5と、を備える。ベースプレート5は、平面視が矩形状に形成された平板であり、ベースプレート5の上に、収納装置1、回転装置2、搬送装置3及び積層装置4が搭載される。
【0018】
また、ベースプレート5の下部には、下方に向けて延びる複数の土台51(脚部)が設けられ、これらの土台51が床面FLの上に載置される。これにより、ベースプレート5を含む前記製造装置100が床面FLの上に設置される。なお、以下の説明において、
図1に示すように、収納装置1、回転装置2、搬送装置3及び積層装置4が並ぶ左右方向をX方向とし、
図1の手前側から奥側に向かう方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。ただし、これらのX方向、Y方向及びZ方向は一例であり、本発明はこれらの方向に限定されない。
【0019】
収納装置1は、支持部材11と、収納部12と、を有する。支持部材11は、Z方向に延びる支持本体111と、支持本体111の下端に設けられる下端フランジ112と、を備える。下端フランジ112は、ベースプレート5の上に固定される。
【0020】
収納部12は、支持本体111に対して、
図1の左側(+X側)に配置される。収納部12は、Z方向に延び、モータコアの一部である分割コア200を収納する。収納部12の上端は、上方支持部113を介して支持部材11の上端に固定される。収納部12の下端は、下方支持部114を介して支持部材11の下端に固定される。
【0021】
回転装置2は、第1基台21と、回転テーブル22と、を有する。第1基台21は、ベースプレート5の上に固定される。第1基台21の内部には、図示しないモータが設けられ、当該モータによって回転テーブル22が回転駆動する。モータは、例えばダイレクトドライブモータである。回転テーブル22は、平面視が円形の円盤形状を有する。回転テーブル22は、Z方向に延びる第1中心軸Ax1を中心として回転する。
【0022】
図1から
図3に示すように、搬送装置3は、第2基台31と、本体部32と、エアシリンダ33と、搬送アーム34と、高さ検知装置36と、を有する。これらの第2基台31、本体部32、エアシリンダ33、搬送アーム34及び高さ検知装置36は、Z方向に延びる。
【0023】
第2基台31は、ベースプレート5の上に固定される。第2基台31の内部には、図示しないモータが設けられ、当該モータによって本体部32、エアシリンダ33及び搬送アーム34が第2中心軸Ax2を中心として回転駆動する。モータは、例えばダイレクトドライブモータである。本体部32は、ボルトBL2を介して第2基台31に固定される。エアシリンダ33は、本体部32に固定される。
【0024】
搬送アーム34は、エアシリンダ33によって上下方向(Z方向)に移動可能となる。即ち、搬送アーム34の下端部には把持部35が設けられ、把持部35で、搬送対象となる分割コア200を把持する。また、エアシリンダ33によって搬送アーム34をZ方向に移動させることにより、把持部35の高さ位置を上下移動させることができる。また、第2基台31の内部のモータを回転駆動させて、分割コア200を把持した搬送アーム34を第2中心軸Ax2を中心として回転させることができる。
【0025】
さらに、
図3及び
図4に示すように、高さ検知装置36は、支持体361と、筒状保持部材362と、棒状体363と、バネ364と、フォトセンサ365と、を備える。支持体361には、Z方向に貫通する貫通孔361aが設けられる。棒状体363の上端部363aは、貫通孔361aを貫通する。筒状保持部材362は、Z方向に直交する方向に広がるフランジ部366と、フランジ部366から下方に延びる筒部367と、筒部367の下端に設けられた底部368と、を有する。フランジ部366は、ボルトを介して支持体361に固定される。底部368には、貫通孔368aが設けられ、当該貫通孔368aを棒状体363が貫通する。
【0026】
支持体361の上には、フォトセンサ365が設けられる。フォトセンサ365は、発光素子365aと、受光素子365bと、を有する。発光素子365aから発せられる光を受光素子365bで受けて信号とする。発光素子365aからの光を棒状体363の上端部363aが遮ると信号が変化するため、フォトセンサ365では、この信号の変化を検知する。棒状体363の下端363bが、後述する分割コア200の積層体の上端に当たると、棒状体363が上側に移動し、発光素子365aからの光を棒状体363が遮る。これにより、分割コア200の積層体の積層高さが第1高さになったことをフォトセンサ365によって検知できる。
【0027】
図1から
図3に示すように、積層装置4は、第3基台41と、本体部42と、円盤部43と、突状部421と、を有する。これらの第3基台41及び本体部42は、Z方向に延びる。第3基台41は、ベースプレート5の上に固定される。本体部42はボルトを介して円盤部43に固定される。第3基台41の内部には、図示しないモータが設けられ、当該モータによって円盤部43及び本体部42が第3中心軸Ax3を中心として回転駆動する。モータは、例えばダイレクトドライブモータである。積層装置4については、更に詳細に後述する。
【0028】
ここで、モータコア202、モータコア層201及び分割コア200について説明する。
図5は、積層装置に積層されるモータコアを上方から見た模式的な平面図である。
図6は、分割コアの一例を模式的に示す平面図である。
図7は、積層装置に積層されるモータコアを側方から見た模式的な側面図である。
図8は、複数の分割コアを配置する2通りの位相のうちの第1位相を示すモータコア層の平面図である。
図9は、複数の分割コアを配置する2通りの位相のうちの第2位相を示すモータコア層の平面図である。
【0029】
図7に示すように、モータコア202は、Z方向(上下方向)に積層される複数のモータコア層201を有する。即ち、1層のモータコア層201がZ方向に複数に積層されて積層体であるモータコア202を形成する。モータコア202の上端に、前述した棒状体363の下端363bが当たってフォトセンサ365が検知することにより、モータコア202の積層高さが第1高さ以上であることが検知できる。
【0030】
複数の分割コア200を配置する2通りの位相は、第1位相PS1及び第2位相PS2である。つまり、
図8に示す第1位相PS1のモータコア層201と、
図9に示す第2位相PS2のモータコア層201と、がZ方向に交互に積層されることにより、
図5及び
図7に示すモータコア202が構成される。
【0031】
図5に示すように、モータコア202を上方から見ると、平面視が全体として円環状の形状を有する。
図6に示す分割コア200は、電磁鋼板からなる薄板状の部材である。
図8及び
図9に示すように、1層のモータコア層201は、分割コア200を周方向に沿って複数配置することにより、平面視が全体として円環状の形状を有する。
図6に示すように、分割コア200は、平面視において第1方向DR1の長さL5が、第1方向DR1に直交する第2方向DR2の長さL6よりも長い。分割コア200は、第1のティース210及び第2のティース220と、連結部230と、を有する。
【0032】
図6に示すように、第1のティース210及び第2のティース220は、ともに矩形状の形状を有する。第1のティース210と第2のティース220とは、周方向に離隔して一対に配置される。第1のティース210及び第2のティース220は、
図5に示すように、第3中心軸Ax3に向けて延びる。第1のティース210は、第1側面211と、第3側面212と、を有する。
【0033】
第1側面211と第3側面212とは、第3中心軸Ax3に向けて延びる。第2のティース220は、第2側面221と、第4側面222と、を有する。第2側面221と第4側面222とは、第3中心軸Ax3に向けて延びる。第1側面211の各部位と第2側面221の各部位との距離は、第3中心軸Ax3に近づくに従って小さくなる。第1側面211と第2側面221とは、周方向で対向して位置する。
【0034】
ここで、第1側面211の径方向の外側の端縁と第2側面221の径方向の外側の端縁との距離を第1距離L1とする。第1側面211の径方向の内側の端縁と第2側面221の径方向の内側の端縁との距離を第2距離L2とする。第1側面211の各部位と第2側面221の各部位との距離において、第1距離L1は、第3中心軸Ax3から最も遠い部位での距離であり、第2距離L2は、第3中心軸Ax3から最も近い部位での距離である。第2距離L2は、第1距離L1よりも小さい。
【0035】
連結部230は、周方向に沿って円弧状に延びている。連結部230は、第1のティース210の径方向外側の端部と第2のティース220の径方向外側の端部とを連結する。連結部230には、切欠部240が設けられる。切欠部240は、半円状の形状を有する。
【0036】
なお、第1のティース210と第2のティース220との周方向の間には、閉スロットHSが設けられる。換言すると、閉スロットHSは、1つの分割コア200について、第1のティース210の第1側面211と第2のティース220の第2側面221との間の間隙である。第1側面211と第2側面221とは、閉スロットHS(間隙)を挟んで周方向で対向して配置される。
【0037】
一方、
図5に示すように、周方向に隣接する2つの分割コア200について、一方の分割コア200の第2のティース220と他方の分割コア200の第1のティース210との間に設けられる間隙が開スロットKSである。
図5に示すように、1層のモータコア層201について、開スロットKSと閉スロットHSとの周方向に沿った距離が同一である。
【0038】
また、1層のモータコア層201について、周方向に向かうに従って、開スロットKSと閉スロットHSとが交互に配置される。前述したように、第1位相PS1のモータコア層201と、第2位相PS2のモータコア層201と、がZ方向に交互に積層されることにより、第1位相PS1における分割コア200の第1のティース210と、第2位相PS2における分割コア200の第2のティース220と、がZ方向で重なる。このように、第1位相PS1と第2位相PS2とは、分割コア200の配置の位相が1ティース分ずれる。
【0039】
次いで、積層装置4について詳細に説明する。
図10は、積層装置を上方から見た模式的な平面図である。
図11は、積層装置の本体部を模式的に見た斜視図である。
図12は、積層装置の本体部の突状部材を上方から見た模式的な平面図である。
図13は、積層装置の本体部の突状部材に分割コアを組み込んだ状態を拡大した模式的な平面図である。
【0040】
前述のように、積層装置4は、本体部42と、円盤部43と、突状部421と、を有する。本体部42は、第3中心軸Ax3(中心軸)を中心とする円筒状の形状を有する。本体部42は、上端42aから下端42bまでZ方向に延びる。本体部42の外周面422に複数の突状部421が設けられる。
【0041】
突状部421は、Z方向に延びる。突状部421の上端421aは、本体部42の上端42aよりも下側に配置される。突状部421の下端421bは、本体部42の下端42bよりも上側に配置される。つまり、突状部421の上下高さは、本体部42の上下高さよりも短い。突状部421は、平面視において周方向に沿って等間隔に配置される。突状部421は、本体部42の外周面422から径方向の外側に向けて突出する。
【0042】
突状部421は、Z方向から見た平面視で台形の形状を有する。具体的には、突状部421は、外周壁部423と、第1壁部424と、第2壁部425と、を有する。第1壁部424及び第2壁部425は、径方向の外側に向けて延びる。第1壁部424と第2壁部425とは、径方向の外側に行くに従って、周方向に互いに遠ざかるように傾斜する。
【0043】
第1壁部424の各部位と第2壁部425の各部位との距離を説明する。最も外周面422から遠い端縁426と端縁427との距離を第3距離L3とし、最も外周面422に近い端縁428と端縁429との距離を第4距離L4とすると、第3距離L3は第4距離L4よりも大きい。
【0044】
端縁426と端縁427とは、突状部421において最も径方向の外側に位置する。端縁428と端縁429とは、突状部421において最も径方向の内側に位置する。第1壁部424の各部位と第2壁部425の各部位との距離のうち、第3距離L3が最も大きい。第3距離L3は、前述した第2距離L2よりも大きく且つ第1距離L1よりも小さい。
【0045】
突状部421が分割コア200の閉スロットHS(
図6参照)に挿入されることにより、突状部421に分割コア200が組み付けられる。
図13に示すように、突状部421に分割コア200が組み付けられた状態では、突状部421の第1壁部424と、分割コア200の第1のティース210の第1側面211と、が対向して配置される。突状部421の第2壁部425と、分割コア200の第2のティース220の第2側面221と、が対向して配置される。分割コア200が径方向の外側に移動すると、第1壁部424と第1側面211とが接触し、第2壁部425と第2側面221とが接触する。従って、分割コア200が突状部421から径方向の外側に抜けることが抑制される。
【0046】
また、1枚の分割コア200を突状部421に組み付けたのち、本体部42が一定角度ずつ第3中心軸Ax3を中心として回転すると、周方向に隣接する別の突状部421に分割コア200を組み付けることができる。このように、本体部42を1周分回転させながら突状部421に分割コア200を組み付けることにより、
図8に示す第1位相PS1のモータコア層201を1層分配置することができる。
【0047】
次いで、本体部42を一定角度ずつ第3中心軸Ax3を中心として回転させながら、突状部421に分割コア200を組み付ける。これにより、第1位相PS1のモータコア層201の上に、
図9に示す第2位相PS2のモータコア層201を1層分配置することができる。そして、第2位相PS2のモータコア層201の上に、再度、第1位相PS1のモータコア層201を1層分配置する。このように、第1位相PS1のモータコア層201と、第2位相PS2のモータコア層201と、を交互にZ方向に積層させることにより、
図7に示すモータコア202が形成される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係るモータコアの製造装置100は、積層装置4を備える。積層装置4は、上下方向に延びる第3中心軸Ax3(中心軸)を回転中心として回転可能な本体部42と、本体部42の外周面422から径方向の外側に向けて突出し分割コア200を保持可能な突状部421と、を有する。
【0049】
これによれば、突状部421に分割コア200を組み付けるという簡単な作業によってモータコア202を構成することができる。特に、本体部42が回転可能であるため、本体部42を一定角度回転させて別の突状部421に分割コア200を組み付けるという作業を繰り返すことにより、分割コア200を円環状に並べて配置してモータコア層201を形成することができる。以上より、本実施形態によれば、モータコア202の一部である薄板状の分割コア200を大量かつ迅速に製造することが可能となる。
【0050】
分割コア200は、第1のティース210及び第2のティース220を有する。第1のティース210と第2のティース220との間隙である閉スロットHSに突状部421が挿入された状態で、分割コア200が突状部421に保持される。
【0051】
このように、分割コア200には、閉スロットHSという間隙が設けられるため、突状部421を閉スロットHSに挿入することで、突状部421に分割コア200を容易に組み付けることができる。
【0052】
突状部421は、上下方向に延びる。従って、突状部421に分割コア200を順に複数枚組み付けていくと、突状部421に、モータコア層201を複数層に設けることができる。
【0053】
第1側面211と第2側面221との距離について、第1距離L1は、第3中心軸Ax3から最も遠い部位での距離であり、第2距離L2は、第3中心軸Ax3から最も近い部位での距離である。第1壁部424と第2壁部425との第3距離L3は、第2距離L2よりも大きく且つ第1距離L1よりも小さい。
【0054】
前述したように、突状部421に分割コア200が組み付けられた状態では、
図13に示すように、分割コア200が径方向の外側に移動すると、第1壁部424と第1側面211とが接触し、第2壁部425と第2側面221とが接触する。従って、分割コア200が突状部421から径方向の外側に抜けることが抑制される。
【0055】
突状部421は、第3中心軸Ax3を中心とする周方向に沿って等間隔に複数配置される。従って、1つの突状部421に分割コア200を組み付けて、本体部42を一定角度ずつ回転させながら、別の突状部421に分割コア200を組み付ける。これにより、1つのモータコア層201を形成することができる。更に、当該1つのモータコア層201の上に、更に別のモータコア層201を1層分配置することができる。このように、モータコア層201を上下方向に積層させることにより、モータコア202が形成される。
【0056】
分割コア200の積層高さが第1高さ以上であることを検知する高さ検知装置36を備える。従って、モータコア層201を上下方向に積層させる作業において、モータコア202が所定の高さになったことが検知できる。
【0057】
[変形例]
次いで、変形例に係る分割コア及び積層装置を説明する。
図14は、変形例に係る積層装置の本体部の突状部材に分割コアを組み込んだ状態を拡大した模式的な平面図である。
【0058】
前述した実施形態では、積層装置の円筒状の本体部の外周面に突状部を設け、突状部の外周側に分割コアを組み込んでモータコアを形成した。これに対して、変形例では、積層装置の円筒状の本体部の内周面に突状部を設け、突状部の内周側から分割コアを組み込む。以下に詳述する。
【0059】
図14に示すように、積層装置4Aの本体部42Aは、円筒状の形状を有する。本体部42Aの内周面420Aから径方向の内側に向けて突状部421Aが突出している。突状部421Aは、第3壁部424Aと第4壁部425Aとを有する。第3壁部424Aと第4壁部425Aとは、径方向の内側に行くに従って、周方向に互いに近づくように傾斜する。
【0060】
また、分割コア200Aは、第1のティース210A及び第2のティース220Aを有する。第1のティース210Aと第2のティース220Aとは、周方向に離隔して一対に配置される。第1のティース210Aと第2のティース220Aとは、径方向の外側に向けて放射状に広がりながら延びる。第1のティース210Aの第5側面211Aと第2のティース220Aの第6側面221Aとの距離は、第3中心軸Ax3から遠ざかるに従って大きくなる。
【0061】
図14に示すように、突状部421Aに分割コア200Aが組み付けられた状態では、突状部421Aの第3壁部424Aと、分割コア200Aの第1のティース210Aの第5側面211Aと、が対向して配置される。突状部421Aの第4壁部425Aと、分割コア200の第2のティース220Aの第6側面221Aと、が対向して配置される。
【0062】
以上説明したように、変形例に係る積層装置4Aによれば、
図14に示すように、分割コア200Aが径方向の内側に移動すると、第3壁部424Aと第5側面211Aとが接触し、第4壁部425Aと第6側面221Aとが接触する。従って、分割コア200Aが突状部421Aから径方向の内側に抜けることが抑制される。
【0063】
以上、実施形態を説明したが、前述した内容により実施形態が限定されるものではない。例えば、搬送装置3においては、エアシリンダ33の代わりにボールネジを用いてもよい。さらに、実施形態では、突状部421を周方向に等間隔な間隔をおいて配置したが、等間隔に配置することに限定されない。
【符号の説明】
【0064】
4 積層装置
36 高さ検知装置
42 本体部
100 モータコアの製造装置
200 分割コア
202 モータコア
210 第1のティース
211 第1側面
220 第2のティース
221 第2側面
421 突状部
422 外周面
424 第1壁部
425 第2壁部
Ax3 第3中心軸(中心軸)
L1 第1距離
L2 第2距離
L3 第3距離