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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20240409BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G03G15/02 102
G03G21/00 318
G03G21/00 370
G03G21/00 376
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020065722
(22)【出願日】2020-04-01
(65)【公開番号】P2021162753
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒井 淳一
【審査官】藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-164641(JP,A)
【文献】特開平10-142855(JP,A)
【文献】特開平11-024449(JP,A)
【文献】特開平07-234571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0274479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
G03G 13/14-13/16
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14-15/16
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/04
G03G 21/10-21/12
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸まわりに回転可能な感光体と、
前記感光体の表面に接するように配置されており、前記感光体の前記表面を帯電させる帯電ローラと、
前記感光体の前記表面のうち前記感光体の回転方向における前記帯電ローラの下流側に位置する露光部を露光させることによって潜像を形成する露光装置と、
前記感光体の前記回転方向における前記帯電ローラの下流側に設けられており、前記潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する現像装置と、
前記感光体の前記表面のうち前記感光体の前記回転方向における前記現像装置の下流側に位置する転写部と前記帯電ローラとの間に設けられており、前記感光体の前記表面のうち前記転写部の下流側の部位に付着した残留トナーを除去するクリーニングブレードと、
前記感光体の前記表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、
前記帯電ローラに印する帯電電圧を制御する電圧制御部と、
前記転写部に供給される用紙の大きさを判定するサイズ判定部と、を備え、
前記感光体の前記表面は、
前記現像装置によって前記トナー像が形成される現像領域と、
前記回転軸の軸方向において前記現像領域の外側に位置する外側領域と、を有し、
前記クリーニングブレードは、
前記現像領域に接する内側接触部と、
前記外側領域に接する外側接触部と、を有し、
前記潤滑剤供給部は、前記外側領域の少なくとも一部に前記潤滑剤を供給可能であり、
前記サイズ判定部は、前記用紙が前記現像領域及び前記外側領域に接する大きさであるか、あるいは、前記用紙が前記現像領域にのみ接する大きさであるかを判定し、その判定結果を前記電圧制御部に送り、
前記電圧制御部は、前記用紙が前記現像領域及び前記外側領域に接する大きさであるという判定結果を前記サイズ判定部から受けた場合に前記帯電ローラに印する帯電電圧の絶対値である印電圧値を、前記用紙が前記現像領域にのみ接する大きさであるという判定結果を前記サイズ判定部から受けた場合に前記帯電ローラに印する帯電電圧の絶対値である基準電圧値よりも大きくする、画像形成装置。
【請求項2】
前記電圧制御部は、前記転写部に供給される前記用紙が前記現像領域にのみ接する大きさであるという判定結果を前記サイズ判定部から受けた場合、前記印電圧値の制御を行わない、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記電圧制御部は、前記用紙が前記現像領域及び前記外側領域に接する大きさであるという判定結果を前記サイズ判定部から受けた場合で、かつ、前記用紙の印刷枚数の累積値、又は、前記感光体の回転数の累積値が設定値以下である場合に、前記印電圧値を、前記基準電圧値よりも大きな絶対値である設定電圧値に変更する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記電圧制御部は、前記用紙が前記現像領域及び前記外側領域に接する大きさであるという判定結果を前記サイズ判定部から受けた場合で、かつ、前記用紙の印刷枚数の累積値、又は、前記感光体の回転数の累積値が前記設定値よりも小さな規定値以下である場合に、前記印電圧値を、前記設定電圧値よりも大きな絶対値である規定電圧値に変更する、請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを備える画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、クリーニングブレードの長さが、感光体に形成される現像領域(現像装置によってトナー像が形成される領域)よりも長い場合、感光体の表面のうち現像領域の外側の領域とクリーニングブレードとの間に生じる摩擦力が増大する。そうすると、クリーニングブレードのめくれ等が発生する。
【0003】
上記の問題を解決する画像形成装置として、例えば、特開2005-181713号公報に記載の画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、現像担持体(現像ローラ)の端部からの現像剤の漏洩を防止するための現像剤シール部材が現像担持体に当接するように配置されており、この現像剤シール部材に潤滑剤が塗布されている。このため、現像担持体を介して感光体に潤滑剤が供給される。これにより、感光体の表面のうち現像領域の外側の領域とクリーニングブレードとの間に生じる摩擦力が低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-181713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2005-181713号公報に記載される画像形成装置では、特に使用初期において、感光体に過剰に潤滑剤が供給されることにより、感光体の表面の前記外側の領域に潤滑剤の被膜が形成されるおそれがある。その場合、前記外側の領域の電位が低下するため、その領域にトナーが残留する。その結果、現像領域及び外側の領域の双方に直接的に、あるいは、転写装置等を介して間接的に接する大きさの用紙が供給されることにより、外側の領域に残留したトナーが用紙に付着する懸念がある。
【0006】
本開示の目的は、感光体の表面のうち外側領域におけるトナーの残留を抑制可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示の一局面に従った画像形成装置は、回転軸まわりに回転可能な感光体と、前記感光体の表面に接するように配置されており、前記感光体の前記表面を帯電させる帯電ローラと、前記感光体の前記表面のうち前記感光体の回転方向における前記帯電ローラの下流側に位置する露光部を露光させることによって潜像を形成する露光装置と、前記感光体の前記回転方向における前記帯電ローラの下流側に設けられており、前記潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する現像装置と、前記感光体の前記表面のうち前記感光体の前記回転方向における前記現像装置の下流側に位置する転写部と前記帯電ローラとの間に設けられており、前記感光体の前記表面のうち前記転写部の下流側の部位に付着した残留トナーを除去するクリーニングブレードと、前記感光体の前記表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、前記帯電ローラに印可する帯電電圧を制御する電圧制御部と、を備え、前記感光体の前記表面は、前記現像装置によって前記トナー像が形成される現像領域と、前記回転軸の軸方向において前記現像領域の外側に位置する外側領域と、を有し、前記クリーニングブレードは、前記現像領域に接する内側接触部と、前記外側領域に接する外側接触部と、を有し、前記潤滑剤供給部は、前記外側領域の少なくとも一部に前記潤滑剤を供給可能であり、前記電圧制御部は、用紙が前記現像領域及び前記外側領域に接する大きさである場合に前記帯電ローラに印可する帯電電圧の絶対値である印可電圧値を、前記用紙が前記現像領域にのみ接する大きさである場合に前記帯電ローラに印可する帯電電圧の絶対値である基準電圧値よりも大きくする。
【0008】
この画像形成装置では、電圧制御部は、用紙が現像領域及び外側領域に接する大きさである場合に帯電ローラに印可する印可電圧値を、用紙が現像領域にのみ接する大きさである場合に帯電ローラに印可する基準電圧値よりも大きくするため、外側領域におけるトナーの残留が抑制される。
【0009】
また、前記電圧制御部は、前記転写部に供給される前記用紙が前記現像領域にのみ接する大きさである場合、前記印可電圧値の制御を行わなくてもよい。
【0010】
また、前記電圧制御部は、前記用紙が前記現像領域及び前記外側領域に接する大きさである場合で、かつ、前記用紙の印刷枚数の累積値、又は、前記感光体の回転数の累積値が設定値以下である場合に、前記印可電圧値を、前記基準電圧値よりも大きな絶対値である設定電圧値に変更することが好ましい。
【0011】
この場合において、前記電圧制御部は、前記用紙が前記現像領域及び前記外側領域に接する大きさである場合で、かつ、前記用紙の印刷枚数の累積値、又は、前記感光体の回転数の累積値が前記設定値よりも小さな規定値以下である場合に、前記印可電圧値を、前記設定電圧値よりも大きな絶対値である規定電圧値に変更することが好ましい。
【0012】
このようにすれば、画像形成装置の使用初期から累積値が比較的小さな規定値まで、つまり、比較的潤滑剤が多く供給される期間は、より大きな印可電圧値に設定されるため、外側領域におけるトナーの残留がより確実に抑制される。
【0013】
また、この開示の他の局面に従った画像形成装置は、回転軸まわりに回転可能な感光体と、前記感光体の表面に接するように配置されており、前記感光体の前記表面を帯電させる帯電ローラと、前記感光体の前記表面のうち前記感光体の回転方向における前記帯電ローラの下流側に位置する露光部を露光させることによって潜像を形成する露光装置と、前記感光体の前記回転方向における前記帯電ローラの下流側に設けられており、前記潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する現像装置と、前記感光体の前記表面のうち前記感光体の前記回転方向における前記現像装置の下流側に位置する転写部と前記帯電ローラとの間に設けられており、前記感光体の前記表面のうち前記転写部の下流側の部位に付着した残留トナーを除去するクリーニングブレードと、前記感光体の前記表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、前記感光体の駆動状態を制御する駆動制御部と、作業者により操作されることが可能な操作パネルと、を備え、前記操作パネルは、前記作業者に操作されることによって前記駆動制御部に対して前記感光体の駆動を開始する駆動信号を送信する送信部を有し、前記駆動制御部は、前記駆動信号を受けると、前記感光体を回転させる。
【0014】
この画像形成装置では、作業者が送信部を操作することにより、駆動制御部が感光体を回転させるため、クリーニングブレードの外側接触部によって外側領域に形成された被膜が除去される。よって、外側領域におけるトナーの残留が抑制される。
【0015】
また、前記駆動制御部は、前記駆動信号を受けると、前記感光体及び前記帯電ローラを駆動させることが好ましい。
【0016】
この態様では、感光体とともに帯電ローラが駆動されているため、感光体の表面が適切な電位に維持され、かつ、現像装置が停止しているため、不要なトナーが感光体に供給されることが抑制される。
【発明の効果】
【0017】
この開示によれば、感光体の表面のうち外側領域におけるトナーの残留を抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の一実施形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】画像形成部の一部を概略的に示す図である。
図3】画像形成部の断面図である。
図4】画像形成部の配置関係を示す図である。
図5】クリーニングローラと潤滑剤供給部との関係を概略的に示す図である。
図6】電圧制御部、駆動制御部、操作パネル等の構成を概略的に示す図である。
図7】用紙の印刷枚数と感光体への潤滑剤供給量との関係を示すグラフである。
図8】電圧制御部の制御内容を示すフローチャートである。
図9】潤滑剤供給部の配置の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。この画像形成装置1は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能およびスキャナ機能などの複数の機能を備えたMFP(MFP:Multifunctional Peripherals)である。
【0021】
図1に示されるように、画像形成装置1は、画像形成部10(10Y,10M,10C,10K)と、転写装置20と、給紙トレイ31と、定着装置32と、排紙トレイ33と、トナー補給装置35と、を備えている。
【0022】
画像形成部10は、転写装置20に転写するトナー像(画像)を形成するユニットである。画像形成部10Y、画像形成部10M、画像形成部10C及び画像形成部10Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の色を有するトナー像を転写装置20に形成する。画像形成部10の詳細については、後述する。
【0023】
転写装置20は、1次転写ローラ21と、中間転写ベルト22と、2次転写ローラ23と、を有している。画像形成部10により形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト22の表面上で重ね合わされる。その後、中間転写ベルト22は、中間転写ベルト22と2次転写ローラ23との間に形成される2次転写部にカラートナー像を搬送する。
【0024】
給紙トレイ31は、記録媒体としての用紙Sを格納する格納部として設けられている。給紙トレイ31には、複数枚の用紙Sが格納されている。本実施形態では、給紙トレイ31は、上下方向に2段に渡って設けられている。ただし、上下方向に1段又は3段以上の給紙トレイ31が設けられてもよい。
【0025】
給紙トレイ31に収容された用紙Sは、各種の回転ローラにより、中間転写ベルト22と2次転写ローラ23との間の2次転写部に搬送される。中間転写ベルト22に担持されているカラートナー像は、2次転写部において用紙Sの表面に転写される。カラートナー像は、定着装置32によって用紙Sの表面に定着される。以上の工程によって画像が形成された用紙Sは、排紙トレイ33に排出される。
【0026】
トナー補給装置35は、画像形成部10の現像装置150にトナー(現像剤)を供給する装置である。このトナーには、感光体110の長寿命化のために、処理剤(潤滑剤や研磨剤等)が含まれている。トナー補給装置35は、鉛直方向において、中間転写ベルト22及び排紙トレイ33間に設けられている。ただし、画像形成装置1におけるトナー補給装置35の配置は、特に限定されない。
【0027】
ここで、画像形成部10について説明する。図1図4に示されるように、画像形成部10は、ハウジング16と、感光体110と、帯電ローラ120と、クリーニングローラ130と、露光装置140と、現像装置150と、クリーニングブレード160と、潤滑剤供給部170と、を有している。
【0028】
感光体110は、回転軸112まわりに回転可能である。感光体110の表面は、回転軸112の回転に応じて回転する感光層を構成している。
【0029】
帯電ローラ120は、感光体110の表面110S(図3を参照)を所定の電位に帯電させる。帯電ローラ120は、感光体110の表面110Sに接するように配置されている。図3及び図4に示されるように、帯電ローラ120は、支持軸122と、帯電層124と、を有している。
【0030】
支持軸122は、感光体110の回転軸112と平行となる姿勢で配置されている。支持軸122は、金属等で形成されている。
【0031】
帯電層124は、支持軸122に取り付けられている。帯電層124は、感光体110の表面110Sに接するように配置されている。帯電層124は、感光体110の回転に合わせて回転する。帯電層124は、ソリッド状のゴム等からなる。
【0032】
クリーニングローラ130は、帯電ローラ120を清掃する。クリーニングローラ130は、帯電ローラ120の表面に接するように配置されている。図3及び図5に示されるように、クリーニングローラ130は、支持軸132と、クリーニング層134と、を有している。
【0033】
支持軸132は、帯電ローラ120の支持軸122と平行となる姿勢で配置されている。支持軸132は、金属等で形成されている。
【0034】
クリーニング層134は、支持軸132に取り付けられている。クリーニング層134は、帯電層124の表面に所定の圧力で接するように配置されている。クリーニング層134は、帯電層124の回転に合わせて回転する。クリーニング層134は、例えば、発泡材料(発泡ゴム等)からなる。
【0035】
図5に示されるように、クリーニングローラ130の支持軸132は、当該支持軸132の軸方向にクリーニング層134から外側に突出する突出部133を有している。突出部133は、支持軸132の一方側の端部から突出する第1突出部133aと、支持軸132の他方側の端部から突出する第2突出部133bと、を有している。
【0036】
露光装置140は、感光体110の表面110Sのうち感光体110の回転方向における帯電ローラ120の下流側に位置する露光部110S1(図1及び図3を参照)を露光させること(レーザ等を照射すること)によって潜像を形成する。本実施形態では、露光装置140は、感光体110の下方に配置されている。
【0037】
現像装置150は、感光体110の回転方向における帯電ローラ120の下流側に設けられている。現像装置150は、潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する。このトナー像は、感光体110の表面110Sのうち感光体110の回転方向における現像装置150の下流側に位置する転写部110S2(図1及び図3を参照)において転写装置20に転写される。本実施形態では、現像装置150として、現像ローラが用いられている。
【0038】
ハウジング16は、感光体110、帯電ローラ120、クリーニングローラ130、クリーニングブレード160及び潤滑剤供給部170を保持している。ハウジング16は、感光体110の露光部110S1及び転写部110S2を露出させる形状を有している。
【0039】
図4には、感光体110の表面110Sのうち現像装置150によってトナー像が形成される領域(以下、「現像領域S1」と表記する。)と、感光体110の表面110Sのうち回転軸112の軸方向において現像領域S1の外側に位置する領域(以下、「外側領域S2」と表記する。)と、が示されている。回転軸112の軸方向と平行な方向におけるクリーニング層134の幅は、同方向における現像領域S1の幅と同じかそれよりも僅かに小さく設定されている。つまり、支持軸132の突出部133は、回転軸112の軸方向と平行な方向に現像領域S1から外向きに突出している。
【0040】
クリーニングブレード160は、感光体110の回転方向における転写部110S2と帯電ローラ120との間に設けられている。クリーニングブレード160は、感光体110の表面110Sのうち転写部110S2の下流側の部位に付着した残留トナーを除去する。クリーニングブレード160は、板状に形成されている。クリーニングブレード160は、回転軸112の軸方向に沿って延びる形状を有している。クリーニングブレード160は、例えば、ウレタン等の樹脂材料により形成される。図3に示されるように、クリーニングブレード160は、支持部材166及び固定部材168によってハウジング16に固定されている。図4に示されるように、クリーニングブレード160は、内側接触部162と、外側接触部164と、を有している。
【0041】
内側接触部162は、感光体110の表面110Sにおける現像領域S1に接する部位である。外側接触部164は、感光体110の表面110Sにおける外側領域S2に接する部位である。つまり、回転軸112の軸方向におけるクリーニングブレード160の長さは、回転軸112の軸方向における現像領域S1の長さよりも長く設定されている。
【0042】
潤滑剤供給部170は、感光体110の表面110Sに潤滑剤を供給する。具体的に、潤滑剤供給部170は、感光体110の表面110Sのうち外側接触部164と接する外側領域S2の少なくとも一部に潤滑剤を供給する。
【0043】
本実施形態では、図5に示されるように、潤滑剤供給部170は、クリーニングローラ130の支持軸132における突出部133に取り付けられている。つまり、潤滑剤供給部170は、帯電ローラ120を介して外側領域S2に間接的に接するように配置されている。潤滑剤供給部170は、感光体110の回転に応じて従動回転しながら外側領域S2の一部に潤滑剤を供給する。潤滑剤供給部170は、第1突出部133aに取り付けられた第1供給部171と、第2突出部133bに取り付けられた第2供給部172と、を有している。
【0044】
図4に示されるように、潤滑剤供給部170は、回転軸112の軸方向と直交する方向に現像領域S1の外側縁部と重なる位置に配置されていることが好ましい。なお、潤滑剤供給部170は、外側領域S2の全域に潤滑剤を供給するように構成されてもよい。
【0045】
潤滑剤供給部170は、クリーニング層134とは別の部材で構成されている。潤滑剤供給部170は、保持部材と、潤滑剤と、を有している。
【0046】
保持部材は、潤滑剤を保持可能な部材である。保持部材は、発泡材料(発泡ゴムやウレタンフォーム等)や、フェルトや、植毛布などからなることが好ましい。本実施形態では、保持部材は、円筒状に形成されており、各突出部133a,133bに取り付けられている。保持部材の内径は、各突出部133a,133bの外径よりも僅かに小さく設定されることが好ましい。保持部材の外径は、クリーニング層134の外径と同じ、あるいは、帯電ローラ120に圧接された際の変形量を踏まえた寸法に設定されることが好ましい。
【0047】
なお、保持部材は、クリーニング層134と同一材料で当該クリーニング層134と一体的に形成されてもよい。この場合、潤滑剤のクリーニング層134への含浸を防止するため、クリーニング層134と潤滑剤供給部170との境界部に切り込みが設けられることが好ましい。また、その切り込みに、潤滑剤の通過を禁止するシート(ポリエステルフィルム等)が配置されることがより好ましい。
【0048】
潤滑剤は、保持部材に保持されている。潤滑剤として、フッ素油、モリブデン、グラファイト等が挙げられる。
【0049】
図6に示されるように、本実施形態の画像形成装置1は、電圧印加部41と、電圧制御部42と、記憶部43と、サイズ判定部44と、駆動制御部50と、操作パネル60と、をさらに備えている。
【0050】
電圧印加部41は、帯電ローラ120に帯電電圧を印加する。
【0051】
電圧制御部42は、帯電ローラ120に印可する帯電電圧を制御する。具体的に、電圧制御部42は、電圧印加部41が帯電ローラ120に印可する帯電電圧を制御する。すなわち、電圧印加部41は、電圧制御部42によって指示された帯電電圧を帯電ローラ120に印可する。
【0052】
電圧制御部42は、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2に接する大きさである場合に帯電ローラ120に印可する帯電電圧の絶対値である印可電圧値Vを、用紙Sが現像領域S1にのみ接する大きさである場合に帯電ローラ120に印可する帯電電圧の絶対値である基準電圧値よりも大きくする。
【0053】
具体的に、電圧制御部42は、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2に接する大きさである場合で、かつ、用紙Sの印刷枚数の累積値、又は、感光体110の回転数の累積値が設定値以下である場合に、印可電圧値Vを、基準電圧値よりも大きな絶対値である設定電圧値V1に変更する。設定値は、例えば、1000枚に設定される。設定電圧値V1は、例えば、+30Vに設定される。
【0054】
さらに、電圧制御部42は、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2に接する大きさである場合で、かつ、用紙Sの印刷枚数の累積値、又は、感光体110の回転数の累積値が設定値よりも小さな規定値以下である場合に、印可電圧値Vを、設定電圧値V1よりも大きな絶対値である規定電圧値V2に変更する。規定値は、例えば、500枚に設定される。規定電圧値V2は、例えば、+50Vに設定される。
【0055】
電圧制御部42は、用紙Sが現像領域S1にのみ接する大きさである場合、印可電圧値Vの制御を行わない。
【0056】
記憶部43は、用紙Sの印刷枚数の累積値を記憶する。記憶部43は、その累積値を電圧制御部42に送る。なお、記憶部43は、感光体110の回転数の累積値を記憶するとともに、その累積値を電圧制御部42に送ってもよい。
【0057】
サイズ判定部44は、画像形成部10に送られる用紙Sのサイズを判定する。具体的に、サイズ判定部44は、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2に接する大きさであるか、あるいは、用紙Sが現像領域S1にのみ接する大きさであるか、を判定し、その判定結果を電圧制御部42に送る。なお、用紙Sは、直接的に現像領域S1及び外側領域S2に接してもよいし、転写装置20を介して間接的に現像領域S1及び外側領域S2に接してもよい。
【0058】
ここで、図7を参照しながら、用紙Sの印刷枚数の増加に伴う潤滑剤供給部170からの潤滑剤の供給量の推移について説明する。図7に示されるように、画像形成装置1の使用初期において、潤滑剤供給量が必要量よりも多くなる。このため、特に使用初期において、外側領域S2に潤滑剤の被膜が形成される場合がある。外側領域S2に被膜が形成されると、当該外側領域S2の電位が低下するため、外側領域S2にトナーが残留する。電圧制御部42は、外側領域S2へのトナーの残留の抑制を可能にする。
【0059】
その電圧制御部42の制御フローについて、図8を参照しながら、説明する。
【0060】
用紙Sへの印刷が指示されると、まず、サイズ判定部44は、その用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2の双方に接する大きさであるか否かを判断する(ステップST11)。
【0061】
この結果、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2の双方に接する大きさではない場合(ステップST11でNOの場合)、つまり、用紙Sが現像領域S1にのみ接する大きさある場合、電圧制御部42は、印可電圧値Vの制御を行わない。
【0062】
一方、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2の双方に接する大きさである場合、電圧制御部42は、記憶部43から受信した累積値が規定値(例えば、500枚)以下であるか否かを判断する(ステップST12)。
【0063】
そして、累積値が規定値以下である場合、電圧制御部42は、印可電圧値Vを規定電圧値V2(例えば、+50V)に変更する(ステップST13)。これにより、電圧印加部41が帯電ローラ120に印可する帯電電圧の絶対値が大きくなる。
【0064】
一方、累積値が規定値よりも大きい場合(ステップST12でNOの場合)、電圧制御部42は、記憶部43から受信した累積値が規定値よりも大きな設定値(例えば、1000枚)以下であるか否かを判断する(ステップST14)。
【0065】
その結果、累積値が設定値以下である場合、電圧制御部42は、印可電圧値Vを規定電圧値V2よりも小さな設定電圧値V1(例えば、+30V)に変更する(ステップST15)。これにより、電圧印加部41が帯電ローラ120に印可する帯電電圧の絶対値が大きくなる。
【0066】
操作パネル60は、画像形成装置1の上部に設けられている。操作パネル60は、表示部61と、送信部62と、を有している。
【0067】
表示部61は、各種表示を表示する。表示部61には、「トナー改善実施」等が表示される。
【0068】
送信部62は、作業者に操作されることによって駆動制御部50に対して感光体110の駆動を開始する駆動信号を送信する。駆動信号は、画像形成部10に用紙Sを送ることなく感光体110の駆動を開始する信号である。
【0069】
駆動制御部50は、感光体110の駆動状態を制御する。駆動制御部50は、駆動信号を受けると、感光体110を回転させる。本実施形態では、駆動制御部50は、駆動信号を受けると、感光体110及び帯電ローラ120を駆動させる。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態の画像形成装置1では、電圧制御部42は、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2に接する大きさである場合に帯電ローラ120に印可する印可電圧値Vを、用紙Sが現像領域S1にのみ接する大きさである場合に帯電ローラ120に印可する基準電圧値よりも大きくするため、外側領域S2におけるトナーの残留が抑制される。
【0071】
また、電圧制御部42は、用紙Sが現像領域S1及び外側領域S2に接する大きさである場合で、かつ、用紙Sの印刷枚数の累積値が設定値よりも小さな規定値以下である場合に、印可電圧値Vを、設定電圧値V1よりも大きな絶対値である規定電圧値V2に変更する。このため、画像形成装置1の使用初期から累積値が比較的小さな規定値まで、つまり、比較的潤滑剤が多く供給される期間は、より大きな印可電圧値Vに設定されるため、外側領域S2におけるトナーの残留がより確実に抑制される。
【0072】
また、この画像形成装置1では、作業者が送信部62を操作することにより、駆動制御部50が感光体110を回転させるため、クリーニングブレード160の外側接触部164によって外側領域S2に形成された被膜が除去される。よって、外側領域S2におけるトナーの残留が抑制される。
【0073】
また、駆動制御部50は、駆動信号を受けると、感光体110及び帯電ローラ120を駆動させるため、感光体110の表面110Sが適切な電位に維持される。感光体110の表面110Sが適切な電位に維持されることにより、現像装置150内のキャリア等が流出することが抑制される。
【0074】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0075】
例えば、潤滑剤供給部170は、帯電ローラ120の支持軸122の端部に取り付けられてもよい。あるいは、図9に示されるように、潤滑剤供給部170は、感光体110の外側領域S2のうちクリーニングブレード160の上流側の部位に押し当てられるように設けられてもよい。この場合、潤滑剤供給部170は、感光体110の回転に応じて従動回転してもしなくてもよい。
【0076】
また、電圧制御部42は、印刷枚数の累積値が設定値以下である場合(ST14でNOの場合)、印可電圧値Vを、規定電圧値V2と設定電圧値V1との中間値(例えば、+40V)に変更してもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 画像形成装置、10 画像形成部、20 転写装置、21 1次転写ローラ、22 中間転写ベルト、23 2次転写ローラ、31 給紙トレイ、32 定着装置、33 排紙トレイ、35 トナー補給装置、41 電圧印加部、42 電圧制御部、43 記憶部、44 サイズ判定部、50 駆動制御部、60 操作パネル、61 表示部、62 送信部、110 感光体、110S 表面、110S1 露光部、110S2 転写部、112 回転軸、120 帯電ローラ、122 支持軸、124 帯電層、130 クリーニングローラ、132 支持軸、133 突出部、133a 第1突出部、133b 第2突出部、134 クリーニング層、140 露光装置、150 現像装置、160 クリーニングブレード、162 内側接触部、164 外側接触部、166 支持部材、168 固定部材、170 潤滑剤供給部、171 第1供給部、172 第2供給部、S1 現像領域、S2 外側領域、V 印可電圧値、V1 設定電圧値、V2 規定電圧値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9