(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】料金決済用車載器、携帯通信端末、料金決済システム、および端末制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/14 20090101AFI20240409BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240409BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240409BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20240409BHJP
H04W 4/021 20180101ALI20240409BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240409BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240409BHJP
H04B 1/3822 20150101ALI20240409BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20240409BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20240409BHJP
H04M 1/72 20210101ALI20240409BHJP
【FI】
H04W16/14
G07B15/00 510
G08G1/09 F
H04W4/44
H04W4/021
H04W64/00 110
H04W88/06
H04B1/3822
H04B1/04 E
H04M1/00 U
H04M1/72
(21)【出願番号】P 2020067742
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】山崎 徹
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-185444(JP,A)
【文献】特開2004-120081(JP,A)
【文献】特開2017-208615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0052943(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0262865(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B11/00-17/04
G08G1/00-99/00
H04B1/38-1/58
7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(C)に搭載され、前記車両が有料道路を通行する際に路側に設置された料金決済用の路側器(20)と通信する路側器用通信部(31)を備えた料金決済用車載器(30)であって、
前記路側器と通信する周波数帯とは別の周波数帯で携帯通信端末と通信する端末用通信部(32)と、
前記路側器と通信をする料金所エリアに入ったことを判断する料金所エリア判断部(35)とを備え、
前記端末用通信部は、前記料金所エリア判断部が前記料金所エリアに入ったと判断したことに基づき、干渉回避措置を依頼する依頼信号を前記携帯通信端末に送信
し、
前記路側器との通信が終了したか否かを判断する終了判断部(37)を備え、
前記端末用通信部は、前記終了判断部が前記路側器との通信が終了したと判断した場合に、前記干渉回避措置を終了してよいことを示す終了信号を前記携帯通信端末に送信する、料金決済用車載器。
【請求項2】
請求項1に記載の料金決済用車載器であって、
前記
路側器用通信部を用いて前記路側器と通信して料金決済に必要な情報の送受信をする処理である決済処理を行う決済処理部(36)を備え、
前記終了判断部は、前記決済処理が正常に終了した場合、または、前記決済処理が成功せずに終了した場合に、前記路側器との通信が終了したと判断する、料金決済用車載器。
【請求項3】
請求項
1に記載の料金決済用車載器であって、
前記
終了判断部は、前記路側器用通信部が前記路側器からの電波を受信できなくなったことに基づいて、前記路側器との通信が終了したと判断する、料金決済用車載器。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載の料金決済用車載器であって、
前記
料金所エリア判断部は、前記路側器用通信部が前記路側器からの電波を受信したことに基づいて、前記料金所エリアに入ったと判断する、料金決済用車載器。
【請求項5】
高調波が、料金決済用の路側器と料金決済用車載器との通信に用いられる周波数帯となる第1携帯通信部(41)を備えた携帯通信端末(40)であって、
前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する周波数帯とは別の周波数帯で前記料金決済用車載器と通信する第2携帯通信部(42)と、
前記第2携帯通信部が、前記料金決済用車載器から、前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する電波に対する干渉を抑制する干渉回避措置を依頼する依頼信号を受信したことに基づいて、前記第1携帯通信部に対して前記干渉回避措置を実行する端末通信制御部(46、246)と、を備える携帯通信端末。
【請求項6】
請求項5に記載の携帯通信端末であって、
前記第1携帯通信部は、前記第2携帯通信部が前記干渉回避措置を終了してよいことを示す終了信号を受信した場合、前記干渉回避措置を終了する、携帯通信端末。
【請求項7】
高調波が、料金決済用の路側器(20)と料金決済用車載器(230)との通信に用いられる周波数帯となる第1携帯通信部(41)を備えた携帯通信端末(240)であって、
現在位置が、前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する料金所エリアを含んでいる干渉エリアに位置しているかを判断する干渉エリア判断部(249、349)と、
前記干渉エリア判断部が、現在位置が前記干渉エリアに位置していると判断したことに基づいて、前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する電波に対する干渉を抑制する干渉回避措置を前記第1携帯通信部に対して実行する端末通信制御部(246)と、を備え、
前記第1携帯通信部は、
基地局(50)と通信し、
前記基地局の通信エリアが前記料金所エリアを含んでいるかどうかを、前記基地局別に示す基地局リストを取得する基地局リスト取得部(348)を備え、
前記干渉エリア判断部(349)は、前記第1携帯通信部と通信している前記基地局を特定し、特定した前記基地局と前記基地局リストとをもとに、現在位置が前記干渉エリアに位置しているかどうかを判断する、携帯通信端末。
【請求項8】
請求項7に記載の携帯通信端末であって、
前記端末通信制御部は、前記干渉回避措置を実行している状況において現在位置が前記料金所エリアから出たことに基づいて、前記干渉回避措置を終了する、携帯通信端末。
【請求項9】
請求項
7に記載の携帯通信端末であって、
前記
端末通信制御部は、前記第1携帯通信部と通信している前記基地局が前記基地局リストにない基地局になったことに基づいて、前記干渉回避措置を終了する、携帯通信端末。
【請求項10】
請求項
7~9のいずれか1項に記載の携帯通信端末
と前記料金決済用車載器とを備えた料金決済システムであって、
前記
携帯通信端末は、
前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する周波数帯とは別の周波数帯で前記料金決済用車載器と通信する第2携帯通信部(42)を備え、
前記第2携帯通信部は、前記第1携帯通信部が前記干渉回避措置を開始した後、前記第1携帯通信部が前記干渉回避措置を開始したことを示す措置開始信号を前記料金決済用車載器に送信し、
前記料金決済用車載器は、
前記路側器と通信する周波数帯とは別の周波数帯で前記携帯通信端末と通信する端末用通信部(32)と、
前記路側器と通信する路側器用通信部(31)とを備え、
前記路側器用通信部は、前記端末用通信部が前記措置開始信号を受信した場合に、前記路側器が送信する電波を受信できるかどうかを間欠的に確認する間欠起動を開始する、
料金決済システム。
【請求項11】
高調波が、料金決済用の路側器(20)と料金決済用車載器(230)との通信に用いられる周波数帯となる第1携帯通信部(41)を備えた携帯通信端末(240)であって、
現在位置が、前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する料金所エリアを含んでいる干渉エリアに位置しているかを判断する干渉エリア判断部(249、349)と、
前記干渉エリア判断部が、現在位置が前記干渉エリアに位置していると判断したことに基づいて、前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する電波に対する干渉を抑制する干渉回避措置を前記第1携帯通信部に対して実行する端末通信制御部(246)と、を備える携帯通信端末と、
前記料金決済用車載器とを備えた料金決済システムであって、
前記
携帯通信端末は、
前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する周波数帯とは別の周波数帯で前記料金決済用車載器と通信する第2携帯通信部(42)を備え、
前記第2携帯通信部は、前記第1携帯通信部が前記干渉回避措置を開始した後、前記第1携帯通信部が前記干渉回避措置を開始したことを示す措置開始信号を前記料金決済用車載器に送信し、
前記料金決済用車載器は、
前記路側器と通信する周波数帯とは別の周波数帯で前記携帯通信端末と通信する端末用通信部(32)と、
前記路側器と通信する路側器用通信部(31)とを備え、
前記路側器用通信部は、前記端末用通信部が前記措置開始信号を受信した場合に、前記路側器が送信する電波を受信できるかどうかを間欠的に確認する間欠起動を開始する、
料金決済システム。
【請求項12】
請求項10
または11に記載の
料金決済システムであって、
前記
料金決済用車載器が備える前記端末用通信部は、前記路側器用通信部と前記路側器との通信が終了した場合、前記干渉回避措置を終了してよいことを示す終了信号を送信し、
前記携帯通信端末が備える前記第1携帯通信部は、前記第2携帯通信部が前記終了信号を受信した場合、前記干渉回避措置を終了する、
料金決済システム。
【請求項13】
高調波が、料金決済用の路側器と料金決済用車載器(230)との通信に用いられる周波数帯となる第1携帯通信部(41)を備えた携帯通信端末(240)が備える制御部(244、344)が実行する端末制御プログラムであって、前記制御部を、
現在位置が、前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する料金所エリアを含んでいる干渉エリアに位置しているかを判断する干渉エリア判断部(249、349)と、
前記干渉エリア判断部が、現在位置が前記干渉エリアに位置していると判断したことに基づいて、前記路側器と前記料金決済用車載器とが通信する電波に対する干渉を抑制する干渉回避措置を前記第1携帯通信部に対して実行する端末通信制御部(246)と、
前記第1携帯通信部と通信する基地局の通信エリアが前記料金所エリアを含んでいるかどうかを、前記基地局別に示す基地局リストを取得する基地局リスト取得部(348)と、
として作動させ、
前記干渉エリア判断部(349)によって、前記第1携帯通信部と通信している前記基地局を特定し、特定した前記基地局と前記基地局リストとをもとに、現在位置が前記干渉エリアに位置しているかどうかを判断させる端末制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
料金決済用車載器、携帯通信端末、およびそれら料金決済用車載器と携帯通信端末とを備える料金決済システム、携帯通信端末が実行する端末制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、料金収受システム用の車載通信装置が開示されている。特許文献1に開示された車載通信装置は、路側器と通信するために5.8GHzの周波数により無線通信する。加えて、700MHz帯の周波数でも無線通信する。700MHz帯は車々間通信用の周波数帯である。また、車々間通信は、5.8GHz帯の周波数を使うこともできる。そして、5.8GHz帯のチャンネルを使って車々間通信をしている状態で、料金所に設置された路側器と通信するエリアに入ったと判断した場合には、車々間通信で使用する周波数チャンネルを700MHz帯に切り替える。これにより、路車間通信と車々間通信が干渉してしまうことを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術は、車載通信装置が、自装置が実施する車々間通信により、自装置が実施する路車間通信が干渉されないようにする技術である。しかし、車両には、スマートフォンなどの携帯通信端末が持ち込まれることがある。携帯通信端末が使用する周波数帯は、路車間通信で使用する周波数帯とは異なる場合が多い。携帯通信端末が使用する周波数帯が、路車間通信で使用する周波数帯と異なっていれば、基本波による干渉は生じない。しかし、携帯通信端末が使用する電波の高調波が路車間通信で用いる電波に干渉してしまう恐れがある。
【0005】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、車両に持ち込まれた携帯通信端末から干渉を受けにくい料金決済用車載器、その料金決済用車載器に電波干渉を与えにくい携帯通信端末、料金決済用車載器と携帯通信端末とを備えた料金決済システム、および、携帯通信端末が実行する端末制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するための料金決済用車載器に係る1つの開示は、
車両(C)に搭載され、車両が有料道路を通行する際に路側に設置された料金決済用の路側器(20)と通信する路側器用通信部(31)を備えた料金決済用車載器(30)であって、
路側器と通信する周波数帯とは別の周波数帯で携帯通信端末と通信する端末用通信部(32)と、
路側器と通信をする料金所エリアに入ったことを判断する料金所エリア判断部(35)とを備え、
端末用通信部は、料金所エリア判断部が料金所エリアに入ったと判断したことに基づき、干渉回避措置を依頼する依頼信号を携帯通信端末に送信し、
路側器との通信が終了したか否かを判断する終了判断部(37)を備え、
端末用通信部は、終了判断部が路側器との通信が終了したと判断した場合に、干渉回避措置を終了してよいことを示す終了信号を携帯通信端末に送信する。
【0008】
基本波による干渉は生じず、高調波により路側器用通信部の通信に干渉する恐れがある携帯通信端末は、基本波を送受信する通信部では電波干渉を検出することが困難である。また、路側器用通信部では、その携帯通信端末とは通信できない。
【0009】
そこで、この料金決済用車載器は、路側器と通信する周波数帯とは別の周波数帯で携帯通信端末と通信する端末用通信部を備えている。この端末用通信部を備えることで、高調波により路側器用通信部の通信に干渉する恐れがある携帯通信端末に干渉回避措置を依頼する依頼信号を送信することができる。
【0010】
この依頼信号を受信した携帯通信端末は、干渉回避措置を実行すると期待できる。したがって、料金決済用車載器は、車両に持ち込まれた携帯通信端末から干渉を受けにくくなる。
【0011】
上記目的を達成するための携帯通信端末に係る1つの開示は、上記料金決済用車載器と組み合わせる携帯通信端末である。その携帯通信端末は、
高調波が、料金決済用の路側器と料金決済用車載器との通信に用いられる周波数帯となる第1携帯通信部(41)を備えた携帯通信端末(40)であって、
路側器と料金決済用車載器とが通信する周波数帯とは別の周波数帯で料金決済用車載器と通信する第2携帯通信部(42)と、
第2携帯通信部が、料金決済用車載器から、路側器と料金決済用車載器とが通信する電波に対する干渉を抑制する干渉回避措置を依頼する依頼信号を受信したことに基づいて、第1携帯通信部に対して干渉回避措置を実行する端末通信制御部(46、246)と、を備える。
【0012】
この携帯通信端末は、依頼信号を受信したことに基づいて、干渉回避措置を実行する。したがって、携帯通信端末は、料金決済用の路側器と料金決済用車載器との通信に干渉を与えにくくなる。
【0013】
上記目的を達成するための携帯通信端末に係る別の開示は、
高調波が、料金決済用の路側器(20)と料金決済用車載器(230)との通信に用いられる周波数帯となる第1携帯通信部(41)を備えた携帯通信端末(240)であって、
現在位置が、路側器と料金決済用車載器とが通信する料金所エリアを含んでいる干渉エリアに位置しているかを判断する干渉エリア判断部(249、349)と、
干渉エリア判断部が、現在位置が干渉エリアに位置していると判断したことに基づいて、路側器と料金決済用車載器とが通信する電波に対する干渉を抑制する干渉回避措置を第1携帯通信部に対して実行する端末通信制御部(246)と、を備え、
第1携帯通信部は、基地局(50)と通信し、
基地局の通信エリアが料金所エリアを含んでいるかどうかを、基地局別に示す基地局リストを取得する基地局リスト取得部(348)を備え、
干渉エリア判断部(349)は、第1携帯通信部と通信している基地局を特定し、特定した基地局と基地局リストとをもとに、現在位置が干渉エリアに位置しているかどうかを判断する。
【0014】
この携帯通信端末では、干渉エリア判断部が、現在位置が干渉エリアに位置していると判断した場合、端末通信制御部は干渉回避措置を実行する。干渉エリアは料金所エリアを含んだエリアであるので、料金決済用車載器が路側器との間で決済処理を実行している間に、携帯通信端末により、料金決済用車載器と路側器との通信が干渉されてしまうことが抑制される。
【0015】
上記目的を達成するための料金決済システムに係る1つの開示は、
上記携帯通信端末と料金決済用車載器とを備えた料金決済システムであって、
携帯通信端末は、
路側器と料金決済用車載器とが通信する周波数帯とは別の周波数帯で料金決済用車載器と通信する第2携帯通信部(42)を備え、
第2携帯通信部は、第1携帯通信部が干渉回避措置を開始した後、第1携帯通信部が干渉回避措置を開始したことを示す措置開始信号を料金決済用車載器に送信し、
料金決済用車載器は、
路側器と通信する周波数帯とは別の周波数帯で携帯通信端末と通信する端末用通信部(32)と、
路側器と通信する路側器用通信部(31)とを備え、
路側器用通信部は、端末用通信部が措置開始信号を受信した場合に、路側器が送信する電波を受信できるかどうかを間欠的に確認する間欠起動を開始する。
【0016】
この料金決済システムによれば、料金決済用車載器は路側器が近くにないときに無駄に間欠起動してしまうことが抑制される。
【0017】
上記目的を達成するための端末制御プログラムに係る1つの開示は、
高調波が、料金決済用の路側器と料金決済用車載器(230)との通信に用いられる周波数帯となる第1携帯通信部(41)を備えた携帯通信端末(240)が備える制御部(244、344)が実行する端末制御プログラムであって、制御部を、
現在位置が、路側器と料金決済用車載器とが通信する料金所エリアを含んでいる干渉エリアに位置しているかを判断する干渉エリア判断部(249、349)と、
干渉エリア判断部が、現在位置が干渉エリアに位置していると判断したことに基づいて、路側器と料金決済用車載器とが通信する電波に対する干渉を抑制する干渉回避措置を第1携帯通信部に対して実行する端末通信制御部(246)と、第1携帯通信部と通信する基地局の通信エリアが料金所エリアを含んでいるかどうかを、基地局別に示す基地局リストを取得する基地局リスト取得部(348)と、として作動させ、
干渉エリア判断部(349)によって、第1携帯通信部と通信している基地局を特定し、特定した基地局と基地局リストとをもとに、現在位置が干渉エリアに位置しているかどうかを判断させる端末制御プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の料金決済システム10の構成図
【
図3】第1実施形態のスマートフォン40の構成を示す図
【
図4】料金決済に関連する車載器30とスマートフォン40の処理を示す図
【
図6】第2実施形態のスマートフォン240の構成を示す図
【
図7】料金決済に関連する車載器230とスマートフォン240の処理を示す図
【
図8】第3実施形態のスマートフォン340の構成を示す図
【
図9】料金決済に関連するスマートフォン340の処理を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
〔全体構成〕
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態の料金決済システム10の構成図である。料金決済システム10は、路側器20と、料金決済用車載器(以下、単に車載器)30と、スマートフォン40と、基地局50と、決済サーバ60を備える。
【0020】
路側器20は、有料道路の料金所に設置され、車載器30との間で無線通信により料金決済のための信号を送受信する。また、路側器20はネットワーク回線70を介して決済サーバ60と相互に通信可能に接続されている。路側器20と車載器30との間の通信は、近距離無線通信方式を用いる。料金所周辺の限られたエリアで路側器20と車載器30が通信できればよいからである。路側器20の通信エリアは、たとえば、路側器20の設置位置を基準として、道路に沿った方向に前後にそれぞれ数十メートルとすることができる。より詳しくは、路側器20の通信エリアは、道路に沿った方向において、料金所に向かう側(すなわち料金所の手前側)の方が、料金所から離れる側よりも広くなっている。決済処理を料金所の手前で実施して、料金所にゲートがある場合には、そのゲートを開放する必要があるからである。
【0021】
路側器20が送受信する電波の周波数帯には制限はない。近距離無線通信方式の一例としては、DSRC(Dedicated Short Range Communications)方式がある。DSRC方式で用いる周波数は、5.7-5.8GHzが知られている。
【0022】
車載器30は車両Cに搭載されている。車両Cは、道路上を走行する車両であれば特に限定はない。2-8人乗りの乗用車、バス、トラック、オートバイなどが車両に含まれる。車載器30は路側器20と近距離無線通信方式で通信する。また、車載器30はスマートフォン40とも通信する。車載器30の具体的構成は
図2を用いて後述する。
【0023】
スマートフォン40は携帯通信端末であり、車載器30および基地局50と無線通信する。基地局50は公衆無線通信網の一部であり、スマートフォン40がデータ通信および音声通信する際にスマートフォン40と無線通信する。決済サーバ60は、ネットワーク回線70を介して路側器20と通信を行う。決済サーバ60は、路側器20からの情報をもとに特定された課金対象者に対して有料道路の通行料を課金する。
【0024】
〔車載器30の構成〕
図2に車載器30の構成を示す。車載器30は、路側器用通信部31、端末用通信部32、制御部33を備える。路側器用通信部31は、路側器20と通信するための無線部であり、前述した近距離無線通信方式で通信する。
【0025】
端末用通信部32は、スマートフォン40と通信するための通信部である。スマートフォン40との通信には、路側器用通信部31が用いる通信方式とは別の近距離無線通信方式を用いる。本実施形態では、端末用通信部32は、BLE通信方式を用いている。BLEは、Bluetooth Low Energyの略語であり、Bluetoothは登録商標である。ただし、端末用通信部32が用いる通信方式として、BLE以外の近距離通信方式、たとえば、Bluetooth、Wi-Fi(登録商標)など、他の近距離無線通信方式を用いてもよい。BLE通信では、2.4GHz帯の周波数を用いる。また、Wi-Fiでスマートフォン40と通信する場合、2.4GHz帯に加えて5GHz帯も使用することができる。ただし、5GHz帯は、車載器30と路側器20との通信に用いる周波数帯に対する隣接干渉が懸念される。したがって、車載器30と路側器20とが通信する際には、スマートフォン40と通信するために用いるWi-Fiの周波数は、2.4GHz帯とする。
【0026】
制御部33は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、制御部33は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。不揮発性メモリには、汎用的なコンピュータを制御部33として作動させるためのプログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、不揮発性メモリに記憶されたプログラムを実行することで、制御部33は、通信制御部34、料金所エリア判断部35、決済処理部36、終了判断部37として作動する。これらの作動が実行されることは、プログラムに対応する方法が実行されることを意味する。
【0027】
通信制御部34は、路側器用通信部31と端末用通信部32を制御して、路側器20およびスマートフォン40と通信する。通信制御部34が実行する具体的処理は、
図4を用いて後述する。
【0028】
料金所エリア判断部35は、車載器30が料金所エリアに入ったか否かを判断する。料金所エリアは、料金所に設置された路側器20と通信できるエリアである。したがって、本実施形態では、料金所エリア判断部35は、路側器用通信部31が路側器20からの電波を受信した場合に、料金所エリアに入ったと判断する。
【0029】
決済処理部36は、料金決済に必要な情報を送受信する処理である決済処理行う。決済処理は、路側器用通信部31と路側器20との通信により、料金決済に必要な情報を送受信する。
【0030】
終了判断部37は、路側器20と路側器用通信部31との通信が終了したか否かを判断する。本実施形態では、決済処理部36が決済処理を終了した場合に、路側器20と路側器用通信部31との通信が終了したと判断する。決済処理の終了には、決済処理が成功した場合、すなわち、決済処理が正常に決済処理が終了した場合のみではなく、決済処理が成功せずに終了した場合も含まれる。
【0031】
〔スマートフォン40の構成〕
図3にスマートフォン40の構成を示す。スマートフォン40は、広域通信部41、BLE通信部42、メモリ43、制御部44を備えている。もちろん、スマートフォン40は、この他にも、ディスプレイ、スピーカ、タッチパネルなどを備えているが、本実施形態の説明には不要なので図示を省略している。なお、広域通信部41が第1携帯通信部であり、BLE通信部42が第2携帯通信部である。
【0032】
広域通信部41は、基地局50を介した無線通信により、種々の通信先装置と通信する。広域通信部41は複数の互いに異なる周波数のチャンネルで通信することができる。1つの通信チャンネルは1.94GHzであるとする。その他に、900MHz、2.5GHz帯など、国や地域により定められた周波数帯を使用する。広域通信部41が使用する通信方式は、4G、5Gなどと呼ばれる移動通信システムが用いる通信方式である。
【0033】
BLE通信部42は、BLE通信可能な通信部であり、車載器30が備える端末用通信部32との間で無線通信する。BLE通信部42と端末用通信部32は、事前にペアリングを済ませており、かつ、通信相手が通信範囲に位置している場合に、互いに通信相手と通信可能であることを認識する。メモリ43は、フラッシュメモリなどの書き込み可能なメモリである。
【0034】
制御部44は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。不揮発性メモリには、汎用的なコンピュータを制御部44として作動させるための端末制御プログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、不揮発性メモリに記憶された端末制御プログラムを実行することで、制御部44は、端末通信制御部46として作動する。この作動が実行されることは、端末制御プログラムに対応する方法が実行されることを意味する。
【0035】
端末通信制御部46は、広域通信部41とBLE通信部42とを制御する。端末通信制御部46が広域通信部41に対して実行する制御には、干渉回避措置が含まれる。干渉回避措置は、広域通信部41が送受信する電波が、同じ車両Cにある車載器30と路側器20が送受信する電波に干渉しないようにする措置である。
【0036】
干渉回避措置には、送信電力を、干渉が生じない予め設定されたレベルにまで低下させる措置、送受信を停止する措置、通信チャンネルを変更する措置などがある。具体的にどの干渉回避措置を実行するかは事前に決定されている。
【0037】
干渉回避措置を実行する理由は、広域通信部41が送受信する電波の周波数の1つである1.94GHzの3倍高調波が、路側器用通信部31と路側器20とが送受信する電波の周波数帯となってしまうからである。
【0038】
本実施形態では、端末通信制御部46は、BLE通信部42が車載器30から干渉回避措置を依頼する依頼信号を受信した場合に、干渉回避措置を実行する。
【0039】
〔料金決済に関連する処理〕
次に、料金決済に関連する車載器30の制御部33とスマートフォン40の制御部44の処理を、
図4を用いて説明する。第1実施形態では、車載器30の制御部33は、車載器30の電源がオンになっている間、周期的に
図4に示す処理を実行する。S1では、通信制御部34は、ウェークアップ間欠受信モードを実行する。このモードは、路側器用通信部31を間欠的に起動させるモードである。起動時にはS2を実行する。
【0040】
S2は料金所エリア判断部35が実行する。S2では、路側器20が送信する信号が路側器用通信部31により受信できるかどうかを判断する。起動後、一定時間内に路側器20が送信する信号が受信できない場合には、S2の判断結果をNOとしてS1に戻り、一旦、スリープ状態に移行する。S2の判断結果がYESであればS3に進む。
【0041】
S3では、通信制御部34は、前述した依頼信号を、端末用通信部32から、事前にペアリングができているスマートフォン40のBLE通信部42に送信する。
【0042】
S3が実行されると、スマートフォン40のBLE通信部42は、S11にて依頼信号を受信する。続くS12では、端末通信制御部46は、事前に決定されている干渉回避措置を、広域通信部41に開始させる。
【0043】
S13では、端末通信制御部46は、干渉回避措置を開始したことを意味する措置開始通知をBLE通信部42から車載器30の端末用通信部32に送信する。
【0044】
車載器30の端末用通信部32は、S4にて、この措置開始通知を受信する。続くS5では、決済処理部36が、通信制御部34と協働して決済処理を開始する。S6では、終了判断部37が、決済処理が終了したか否かを判断する。決済処理が終了したかどうかは、決済処理部36の作動が終了したかどうかにより判断する。S6の判断結果がNOであればS5に戻り、決済処理部36は決済処理を継続する。S6の判断結果がYESであればS7に進む。
【0045】
S7では、通信制御部34が、干渉回避措置を終了してよいこと示す終了信号を端末用通信部32から送信させる。
【0046】
スマートフォン40のBLE通信部42は終了信号をS14で受信する。続くS15では、端末通信制御部46は、広域通信部41に対して実行していた干渉回避措置を終了する。
【0047】
〔第1実施形態まとめ〕
以上、説明した第1実施形態では、車載器30は、路側器20と通信する周波数帯とは別の周波数帯でスマートフォン40と通信する端末用通信部32を備えている。車載器30は端末用通信部32を備えているので、通信制御部34は、料金支払エリアに入ったと判断した場合(S2:YES)、依頼信号をスマートフォン40に送信することができる(S3)。スマートフォン40はこの依頼信号を受信すると、干渉回避措置を開始する(S12)。したがって、スマートフォン40の広域通信部41が送受信する電波の3倍高調波の周波数が、路側器用通信部31と路側器20とが送受信する電波の周波数とほぼ同じであっても、車載器30は、車両Cに持ち込まれたスマートフォン40から干渉を受けにくくなる。
【0048】
また、本実施形態では、車載器30は、決済処理が終了したと判断したら終了信号をスマートフォン40に送信し(S7)、スマートフォン40はこの終了信号を受信したら(S14)、干渉回避措置を終了する(S15)。この構成により、スマートフォン40は、干渉回避措置が不必要な状態になった場合に、迅速に、干渉回避措置を終了することができる。
【0049】
また、本実施形態では、車載器30は、路側器用通信部31が路側器20からの電波を受信した場合にスマートフォン40に依頼信号を送信する(S2、S3)。この構成により、依頼信号を早く送信しすぎ、干渉回避措置が必要ないのにスマートフォン40が干渉回避措置を実行している期間を短くすることができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態を説明する。この第2実施形態以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0051】
図5に、第2実施形態の料金決済システムが備える料金決済用車載器(以下、車載器)230の構成図を示す。車載器230は、第1実施形態の車載器30と同じ路側器用通信部31、端末用通信部32を備える。また、制御部33に代えて制御部233を備える。
【0052】
制御部233のハードウェア構成は制御部33と同じである。制御部233は、制御部33が備えるものと同じ料金所エリア判断部35、決済処理部36、終了判断部37を備える。また、通信制御部34に代えて通信制御部234を備える。
【0053】
通信制御部234は、路側器用通信部31、端末用通信部32を制御する点では通信制御部34と同じである。通信制御部234が実行する処理は
図7を用いて後述する。
【0054】
図6に、第2実施形態の料金決済システムが備えるスマートフォン240の構成図を示す。スマートフォン240も携帯通信端末である。スマートフォン240は、スマートフォン40が備えるものと同じ広域通信部41、BLE通信部42、メモリ43を備える。ただし、メモリ43には地図記憶領域43aが設定されている。地図記憶領域43aには外部からダウンロードした干渉エリア地図が記憶されている。干渉エリア地図は、地図上に干渉エリアが示された地図である。干渉エリアは、料金所エリアを含んだエリアである。第2実施形態における干渉エリアは料金所エリアと同じである。
【0055】
スマートフォン240は、他に、制御部44に代えて制御部244を備え、また、GNSS受信器245を備えている。GNSS受信器245は、GNSS(Global Navigation Satellite System)が備える航法衛星が送信する航法信号を受信する。そして、GNSS受信器245は航法信号に基づいて現在位置を逐次算出する。
【0056】
制御部244は、端末通信制御部246、位置取得部247、地図取得部248、干渉エリア判断部249として作動する。端末通信制御部246は、広域通信部41とBLE通信部42とを制御する。端末通信制御部246が広域通信部41に対して実行する制御には、干渉回避措置が含まれる。
【0057】
位置取得部247はGNSS受信器245が検出した現在位置を逐次取得する。地図取得部248は、現在位置を含み、現在位置を基準として定まる範囲の干渉エリア地図を、端末通信制御部246と、BLE通信部42あるいは広域通信部41を介して外部からダウンロードさせる。そして、ダウンロードした干渉エリア地図を地図記憶領域43aに記憶する。
【0058】
干渉エリア判断部249は、位置取得部247が取得した現在位置と、地図記憶領域43aに記憶されている干渉エリア地図とを比較して、現在位置が干渉エリアに位置しているかどうかを判断する。
【0059】
〔料金決済に関連する処理〕
次に、料金決済に関連する車載器230の制御部233とスマートフォン240の制御部244の処理を、
図7を用いて説明する。車載器230の制御部233は、車載器230の電源がオンになっている間、周期的に
図7に示す処理を実行する。また、スマートフォン240の制御部244は、BLE通信部42が車載器230の端末用通信部32とペアリングしているなど、所定の実行条件が成立している場合に、
図7に示す処理を実行する。
【0060】
S21では、位置取得部247が、GNSS受信器245から現在位置を取得する。S22では、干渉エリア判断部249が、地図記憶領域43aに記憶されている干渉エリア地図とS21で取得した現在位置とを比較して、現在位置が干渉エリアに入ったか否かを判断する。S22の判断結果がNOであればS21に戻る。S22の判断結果がYESであればS23に進む。
【0061】
S23では、端末通信制御部246が、事前に決定されている干渉回避措置を広域通信部41に開始させる。S24では、端末通信制御部246が、干渉回避措置を開始したことを意味する措置開始信号をBLE通信部42から車載器230の端末用通信部32に送信する。
【0062】
車載器230の端末用通信部32は、S31にて、この措置開始信号を受信する。続くS32では、通信制御部234は、ウェークアップ間欠受信モードを実行する。このモードは、路側器用通信部31を周期的に起動させるモードである。起動時にはS33を実行する。
【0063】
S33は、料金所エリア判断部35が実行する。S33では路側器用通信部31により路側器20が送信する信号が受信できるかどうかを判断する。起動後、一定時間内に路側器20が送信する信号が受信できない場合には、S33の判断結果をNOとしてS32に戻り、一旦、スリープ状態に移行する。ただし、第2実施形態では、スマートフォン240が干渉エリアに入ったことを判断しており、かつ、干渉エリアが料金所エリアと同じエリアである。したがって、S33の判断結果がNOになることは少ない。つまり、S32とS33を繰り返す回数は多くなく、初回のS33の実行時、あるいは、それから短時間のうちにS33の判断結果がYESになる。S33の判断結果がYESであればS34に進む。
【0064】
S34では、決済処理部36が、通信制御部234と協働して決済処理を開始する。S35では、終了判断部37が、決済処理が終了したか否かを判断する。S35の判断結果がNOであればS34に戻り、決済処理部36は決済処理を継続する。S35の判断結果がYESであればS36に進む。S36では、通信制御部234が終了信号を端末用通信部32から送信させる。
【0065】
スマートフォン240のBLE通信部42は終了信号をS25で受信する。続くS26では、端末通信制御部246は、広域通信部41に対して実行していた干渉回避措置を終了する。
【0066】
〔第2実施形態のまとめ〕
この第2実施形態では、スマートフォン240は、現在位置が干渉エリアに入ったと判断した場合、干渉回避措置を開始する(S23)。干渉エリアは料金所エリアを含んだエリアであるので、車載器230が路側器20との間で決済処理を実行している間に、スマートフォン240により、車載器230と路側器20との通信が干渉されてしまうことが抑制される。
【0067】
また、第2実施形態では、スマートフォン240は、BLE通信部42を備えており、干渉回避措置を開始したことを示す措置開始信号を車載器230に送信する(S24)。車載器230は、この措置開始信号を受信したことにより、ウェークアップ間欠モードを開始する(S32)。したがって、車載器230は路側器20が近くにないときに起動してしまうことが抑制される。
【0068】
また、第2実施形態では、車載器230は、決済処理が終了したと判断したら終了信号をスマートフォン40に送信し(S36)、スマートフォン240はこの終了信号を受信したら(S25)、干渉回避措置を終了する(S26)。この構成により、スマートフォン240は、干渉回避措置が不必要な状態になった場合に、迅速に、干渉回避措置を終了することができる。
【0069】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態を説明する。第3実施形態の料金決済システムは、第2実施形態のスマートフォン240に代えて
図8に示すスマートフォン340を備える。第3実施形態の料金決済システムは、第2実施形態と同じ車載器230を備える。
【0070】
スマートフォン340の制御部344は、スマートフォン240の制御部244が備えていた地図取得部248に代えて、基地局リスト取得部348を備える。また、メモリ43には、地図記憶領域43aに代えてリスト記憶領域43bが備えられている。
【0071】
基地局リスト取得部348は、広域通信部41あるいはBLE通信部42と端末通信制御部246とを介して、外部から基地局リストを取得する。基地局リストは、基地局50の通信エリアが料金所エリアを含んでいるかどうかを、基地局別に示すリストである。基地局リストにおいて、それぞれの基地局50は基地局IDにより他の基地局50と区別されている。基地局リスト取得部348は取得した基地局リストをリスト記憶領域43bに記憶する。
【0072】
干渉エリア判断部349は、広域通信部41と通信している基地局50の基地局IDを特定する。そして、特定した基地局50とリスト記憶領域43bに記憶されている基地局リストとをもとに、現在位置が干渉エリアに位置しているかどうかを判断する。広域通信部41が現在通信している基地局50から取得した基地局IDが、基地局リストに含まれていれば、現在位置が干渉エリアに位置していると判断する。
【0073】
図9に、第3実施形態において
図7に代えて実行する処理の一部を示す。第3実施形態では、
図7のS21、S22に代えてS41、S42を実行する。その他は
図7と同じである。
【0074】
S41では、端末通信制御部246が、広域通信部41が通信している基地局50の基地局IDを広域通信部41から取得する。S42では干渉エリア判断部349が、S41で取得した基地局IDと、リスト記憶領域43bに記憶されている基地局リストとをもとに、現在位置が干渉エリアに入ったかどうかを判断する。S41で取得した基地局IDが、基地局リストにある基地局IDであれば、現在位置が干渉エリアに入ったと判断する。
【0075】
S42の判断結果がNOであればS41に戻る。S42の判断結果がYESであればS23に進む。S23以降は
図7と同じである。
【0076】
この第3実施形態では、広域通信部41が基地局50から取得した基地局IDが、事前に取得している基地局リストにある基地局IDであるかどうかにより、干渉エリアに入ったかどうかを判断する。よって、干渉エリアに入ったかどうかを判断するための演算負荷が少なくなる。
【0077】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【0078】
<変形例1>
実施形態では、決済処理が終了したと判断した場合に、路側器20との通信が終了したと判断していた。しかし、路側器用通信部31が路側器20からの電波を受信できていた状態からその電波を受信できなくなった状態になった場合に、路側器20との通信が終了したと判断してもよい。
【0079】
<変形例2>
第2実施形態では、車載器30が終了信号をスマートフォン40に送信しており(S36)、スマートフォン40は終了信号を受信した場合に干渉回避措置を終了していた(S26)。しかし、第2実施形態で説明したように、スマートフォン40は料金所エリアに位置しているかどうかを判断できる。したがって、スマートフォン40が、干渉回避措置を実行している状況において現在位置が料金所エリアから出たことを判断して、干渉回避措置を終了してもよい。
【0080】
<変形例3>
また、第3実施形態では、スマートフォン340が、現在位置が干渉エリアに入ったことを判断して干渉回避措置を開始していた。この第3実施形態の変形例として、端末通信制御部246は、広域通信部41と通信している基地局50が基地局リストにない基地局50になった場合に、現在位置が干渉エリアでなくなったと判断して、干渉回避措置を終了してもよい。
【0081】
<変形例4>
これまでの実施形態と変形例では、スマートフォン40、240、340を介して料金決済をしていた。しかし、スマートフォン40、240、340を利用せずに、車載器30、230が料金決済に関する情報を路側器20に送信するようにしてもよい。
【0082】
<変形例5>
料金所エリアに車両Cが存在している時間はそれほど長い時間ではない。そこで、料金所エリアに入ったと判断して干渉回避措置を開始する場合、一定時間経過したら干渉回避措置を終了するようにしてもよい。
【0083】
<変形例6>
車載カメラを備えた車両Cであれば、車載カメラの画像を解析して、料金所ゲートにある標識を検出することで、料金所エリアに入ったと判断してもよい。
【0084】
<変形例7>
ナビゲーション装置を備えた車両Cであれば、ナビゲーション装置が、第2実施形態のスマートフォン240と同様にして、現在位置が料金所エリアに入ったかどうかを判断してもよい。
【0085】
<変形例8>
第2実施形態では、スマートフォン240は、メモリ43に、干渉エリア地図を記憶した地図記憶領域43aを備えていた。しかし、干渉エリア地図は、所定のサーバ(以下、干渉エリアサーバ)が備えていてもよい。この場合、スマートフォン240は、現在位置を干渉エリアサーバに送信する。干渉エリアサーバは、その現在位置をもとにスマートフォン240が干渉エリアに入ったかどうかを逐次判断し、判断結果をスマートフォン240に送信する。
【0086】
<変形例9>
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部およびその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。ハードウエア論理回路は、たとえば、ASIC、FPGAである。
【0087】
また、コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体はROMに限られず、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていればよい。たとえば、フラッシュメモリに上記プログラムが記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
10:料金決済システム 20:路側器 30:車載器 31:路側器用通信部 32:端末用通信部 33:制御部 34:通信制御部 35:料金所エリア判断部 36:決済処理部 37:終了判断部 40:スマートフォン(携帯通信端末) 41:広域通信部(第1携帯通信部) 42:BLE通信部(第2携帯通信部) 43:メモリ 43a:地図記憶領域 43b:リスト記憶領域 44:制御部 46:端末通信制御部 50:基地局 60:決済サーバ 70:ネットワーク回線 230:車載器 233:制御部 234:通信制御部 240:スマートフォン(携帯通信端末) 244:制御部 245:GNSS受信器 246:端末通信制御部 247:位置取得部 248:地図取得部 249:干渉エリア判断部 340:スマートフォン(携帯通信端末) 344:制御部 348:基地局リスト取得部 349:干渉エリア判断部