(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
G03G15/16 103
(21)【出願番号】P 2020072890
(22)【出願日】2020-04-15
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】松田 貴成
(72)【発明者】
【氏名】輻形 和幸
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真之介
(72)【発明者】
【氏名】飯島 知弘
(72)【発明者】
【氏名】星野 高志
(72)【発明者】
【氏名】田中 大輔
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-161787(JP,A)
【文献】特開2013-076948(JP,A)
【文献】特開2012-177744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられ、記録材に転写される画像を保持する像保持体と、
前記像保持体を回転駆動させる保持体駆動手段と、
回転可能に設けられ、前記像保持体上の画像の記録材への転写に用いられる転写用部材と、
前記転写用部材を回転駆動させる転写用部材駆動手段と、
前記像保持体と前記転写用部材との間に電圧を印加する印加手段と、
プロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記保持体駆動手段および前記転写用部材駆動手段の少なくとも一方の駆動手段の駆動に関する情報である駆動情報を取得し、
前記印加手段による電圧の印加がなされている第1の状態のときの前記駆動情報である第1の駆動情報と、当該印加手段による電圧の印加がなされておらず又は当該第1の状態における印加電圧よりも小さい印加電圧の印加がなされている第2の状態のときの前記駆動情報である第2の駆動情報とに基づき、前記転写用部材駆動手段の駆動条件を設定
する、
画像形成装置
であり、
前記像保持体上の画像が記録材へ転写される際、前記転写用部材は、予め定められた配置箇所に配置され、
前記転写用部材は、前記第1の状態および前記第2の状態の各々の状態のとき、前記予め定められた配置箇所よりも、前記像保持体から退避した箇所に配置される、
画像形成装置。
【請求項2】
前記退避した箇所に配置された前記転写用部材は、前記像保持体に接触した状態で配置される請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記像保持体上の画像が記録材へ転写される際、当該像保持体と前記転写用部材との間に、予め定められた値の電圧が印加され、
前記印加手段が前記第1の状態のときに印加する電圧の値が、前記予め定められた値よりも大きい請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1の駆動情報により特定される値と前記第2の駆動情報により特定される値との差が小さくなるように、前記転写用部材駆動手段の駆動条件を設定する請求項1乃至
3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記転写用部材駆動手段を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させ、当該条件毎に前記第2の駆動情報を取得して、複数の当該第2の駆動情報を取得し、
複数取得した前記第2の駆動情報のうちの、前記第1の駆動情報と予め定められた関係を有する第2の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項1乃至
4の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
複数取得された前記第2の駆動情報のうちの、前記第1の駆動情報により特定される値との差が予め定められた範囲内に収まる第2の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記転写用部材駆動手段を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させ、当該条件毎に前記第1の駆動情報を取得して、複数の当該第1の駆動情報を取得し、
複数取得した前記第1の駆動情報のうちの、前記第2の駆動情報と予め定められた関係を有する第1の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項1乃至
6の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
複数取得された前記第1の駆動情報のうちの、前記第2の駆動情報により特定される値との差が予め定められた範囲内に収まる第1の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記転写用部材駆動手段を互いに異なる前記複数の条件の各々で駆動させるにあたり、当該条件を順に変更し、
前記像保持体と前記転写用部材との間に電圧の印加がなされている前記第1の状態が維持されながら、前記条件が順に変更される請求項
7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
設定した前記駆動条件により特定される値が予め定められた値を超える場合、前記画像形成装置の故障に関する情報を出力する請求項1乃至
9の何れかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1回転体と第2回転体の静摩擦係数、第1回転体と第2回転体の当接圧、第2回転体の負荷トルク、第2駆動モータの駆動トルクを考慮して、駆動モータを制御する処理が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成装置では、像保持体により保持されている画像を、転写用部材を用いて記録材に転写して、記録材への画像形成を行うことがある。
ここで、転写用部材の駆動が適正な状態で行われず、例えば、転写用部材の回転数が大きかったり小さかったりすると、記録材に形成される画像が伸びたり縮んだりし、形成される画像の質の低下を招く。
本発明の目的は、画像の転写に用いられる転写用部材を駆動させる駆動手段の駆動条件の設定を行えない場合に比べ、転写用部材の駆動がより適正な状態で行われるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、回転可能に設けられ、記録材に転写される画像を保持する像保持体と、前記像保持体を回転駆動させる保持体駆動手段と、回転可能に設けられ、前記像保持体上の画像の記録材への転写に用いられる転写用部材と、前記転写用部材を回転駆動させる転写用部材駆動手段と、前記像保持体と前記転写用部材との間に電圧を印加する印加手段と、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記保持体駆動手段および前記転写用部材駆動手段の少なくとも一方の駆動手段の駆動に関する情報である駆動情報を取得し、前記印加手段による電圧の印加がなされている第1の状態のときの前記駆動情報である第1の駆動情報と、当該印加手段による電圧の印加がなされておらず又は当該第1の状態における印加電圧よりも小さい印加電圧の印加がなされている第2の状態のときの前記駆動情報である第2の駆動情報とに基づき、前記転写用部材駆動手段の駆動条件を設定する、画像形成装置であり、前記像保持体上の画像が記録材へ転写される際、前記転写用部材は、予め定められた配置箇所に配置され、前記転写用部材は、前記第1の状態および前記第2の状態の各々の状態のとき、前記予め定められた配置箇所よりも、前記像保持体から退避した箇所に配置される、画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記退避した箇所に配置された前記転写用部材は、前記像保持体に接触した状態で配置される請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記像保持体上の画像が記録材へ転写される際、当該像保持体と前記転写用部材との間に、予め定められた値の電圧が印加され、前記印加手段が前記第1の状態のときに印加する電圧の値が、前記予め定められた値よりも大きい請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記第1の駆動情報により特定される値と前記第2の駆動情報により特定される値との差が小さくなるように、前記転写用部材駆動手段の駆動条件を設定する請求項1乃至3の何れかに記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記転写用部材駆動手段を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させ、当該条件毎に前記第2の駆動情報を取得して、複数の当該第2の駆動情報を取得し、複数取得した前記第2の駆動情報のうちの、前記第1の駆動情報と予め定められた関係を有する第2の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項1乃至4の何れかに記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、複数取得された前記第2の駆動情報のうちの、前記第1の駆動情報により特定される値との差が予め定められた範囲内に収まる第2の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項5に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記転写用部材駆動手段を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させ、当該条件毎に前記第1の駆動情報を取得して、複数の当該第1の駆動情報を取得し、複数取得した前記第1の駆動情報のうちの、前記第2の駆動情報と予め定められた関係を有する第1の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項1乃至6の何れかに記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、複数取得された前記第1の駆動情報のうちの、前記第2の駆動情報により特定される値との差が予め定められた範囲内に収まる第1の駆動情報が得られた際の前記条件に基づき、前記転写用部材駆動手段の前記駆動条件を設定する請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記転写用部材駆動手段を互いに異なる前記複数の条件の各々で駆動させるにあたり、当該条件を順に変更し、前記像保持体と前記転写用部材との間に電圧の印加がなされている前記第1の状態が維持されながら、前記条件が順に変更される請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、設定した前記駆動条件により特定される値が予め定められた値を超える場合、前記画像形成装置の故障に関する情報を出力する請求項1乃至9の何れかに記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、画像の転写に用いられる転写用部材を駆動させる駆動手段の駆動条件の設定を行えない場合に比べ、転写用部材の駆動がより適正な状態で行われるようにすることができ、また、像保持体上の画像が記録材へ転写される際の転写用部材の配置箇所に転写用部材が配置される場合に比べ、第1駆動情報により特定される値と、第2駆動情報により特定される値との間に差を生じさせやすくなる。
請求項2の発明によれば、退避した箇所に配置された転写用部材が、像保持体から離間した状態で配置される場合に比べ、像保持体と転写用部材との間に電圧を印加した際に、像保持体に対して転写用部材をより強く押し当てることが可能となる。
請求項3の発明によれば、印加手段が第1の状態のときに印加する電圧の値が、像保持体上の画像が記録材へ転写される際に印加される電圧の値と同じである場合に比べ、第1の状態のときに、像保持体に対して転写用部材をより強く押し当てることが可能となる。
請求項4の発明によれば、第1の駆動情報により特定される値と第2の駆動情報により特定される値との差が小さくならない場合に比べ、像保持体の周速と転写用部材の周速との差を小さくできる。
請求項5の発明によれば、複数取得された第2の駆動情報の中から、第1の駆動情報が考慮されずに特定された第2の駆動情報が得られた際の条件に基づき、転写用部材駆動手段の駆動条件を設定する場合に比べ、像保持体の周速と転写用部材の周速との差をより小さくできる駆動条件を設定することが可能になる。
請求項6の発明によれば、複数取得された第2の駆動情報のうちの、第1の駆動情報により特定される値との差が予め定められた範囲内に収まらない第2の駆動情報が得られた際の条件に基づき、転写用部材駆動手段の駆動条件を設定する場合に比べ、像保持体の周速と転写用部材の周速との差をより小さくできる。
請求項7の発明によれば、複数取得された第1の駆動情報の中から、第2の駆動情報が考慮されずに特定された第1の駆動情報が得られた際の条件に基づき、転写用部材駆動手段の駆動条件を設定する場合に比べ、像保持体の周速と転写用部材の周速との差をより小さくできる駆動条件を設定することが可能になる。
請求項8の発明によれば、複数取得された第1の駆動情報のうちの、第2の駆動情報により特定される値との差が予め定められた範囲内に収まらない第1の駆動情報が得られた際の条件に基づき、転写用部材駆動手段の駆動条件を設定する場合に比べ、像保持体の周速と転写用部材の周速との差をより小さくできる。
請求項9の発明によれば、条件の変更の度に、電圧の印加が一旦停止される場合に比べ、転写用部材駆動手段の駆動条件の設定をより短い時間で行える。
請求項10の発明によれば、画像形成装置の故障に関する情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】制御装置によって実現される機能部を示した図である。
【
図3】(A)、(B)は、画像形成装置にて行われる処理の一例を説明する図である。
【
図4】中間転写ベルトと二次転写ロールとの間に電圧を印加した第1の状態にて、PWM値を変化させた場合の回転数情報を示した図である。
【
図6】(A)、(B)は、画像形成装置にて行われる処理の他の一例を説明する図である。
【
図7】(A)、(B)は、画像形成装置にて行われる処理の他の一例を説明する図である。
【
図8】制御装置のハードウェア構成の一例を説明する図である。
【
図9】中間転写ベルト、二次転写ロール等の状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1を示した図である。
本実施形態の画像形成装置1は、画像形成部10、用紙搬送部20、画像読み取り部30、制御装置40を備える。
【0009】
画像形成部10は、複数の画像形成ユニット11(11Y,11M,11C,11K)と、中間転写ベルト12と、二次転写部13と、定着器14と、冷却器15とを備える。
本実施形態では、画像形成ユニット11として、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4つの色のそれぞれに対応した4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kが設けられている。
【0010】
4つの画像形成ユニット11は、中間転写ベルト12の移動方向において並んで配置されている。また、画像形成ユニット11の各々は、感光体ドラム111、帯電装置112、露光装置113、現像装置114を有し、電子写真方式を用い、トナーにより形成された画像を中間転写ベルト12上に形成する。
付言すると、本実施形態では、画像形成ユニット11は、YMCKの各色の画像を形成する。そして、本実施形態では、形成されたこれらの画像が、中間転写ベルト12へ転写される。これにより、中間転写ベルト12上には、YMCKの各色の画像が形成される。
【0011】
感光体ドラム111は、予め定めた速度で図中矢印A方向に回転する。
また、帯電装置112によって、感光体ドラム111の表面が帯電される。さらに、露光装置113が、帯電した感光体ドラム111の表面に光を照射する。
これにより、感光体ドラム111の外周面に、形成される画像に対応した静電潜像が形成される。
【0012】
その後、現像装置114が、感光体ドラム111に対する現像を行い、感光体ドラム111の上に画像を形成する。より具体的には、現像装置114は、静電潜像が形成された感光体ドラム111の表面に対して現像剤を付着させて、感光体ドラム111の表面に画像を形成する。
画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの各々では、感光体ドラム111の表面に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の画像が形成される。
【0013】
感光体ドラム111の各々に形成される画像は、一次転写部115にて、中間転写ベルト12上に転写(一次転写)される。
これにより、中間転写ベルト12上には、複数の色により構成されたカラーの画像が形成される。言い換えると、中間転写ベルト12によって、カラーの画像が一時的に保持される。
【0014】
像保持体の一例としての中間転写ベルト12は、複数のロール状部材122によって支持されている。
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト12を回転駆動させるベルト駆動機構200が設けられている。
保持体駆動手段の一例としてのこのベルト駆動機構200は、中間転写ベルト12が予め定められた一定の速度で回転するように中間転写ベルト12の駆動制御を行う。
付言すると、ベルト駆動機構200は、中間転写ベルト12の回転速度を検出するセンサ等からの出力に基づき、中間転写ベルト12が予め定められた速度で回転するように、中間転写ベルト12の駆動制御を行う。
【0015】
本実施形態では、ベルト駆動機構200として、ベルト用モータMBと、中間転写ベルト12の内周面に接触配置されベルト用モータMBにより回転する駆動ロール121とが設けられている。また、ベルト駆動機構200には、ギア等により構成され、ベルト用モータMBから駆動ロール121へ駆動力を伝達する伝達部(不図示)が設けられている。
中間転写ベルト12は、図中矢印B方向に循環移動する。言い換えると、中間転写ベルト12は、ベルト駆動機構200によって、反時計回り方向へ回転する。
【0016】
中間転写ベルト12上に形成された画像は、中間転写ベルト12の移動に伴って二次転写部13まで移動する。そして、二次転写部13まで移動した画像は、二次転写部13にて、用紙搬送部20により搬送されてきた、記録材の一例としての用紙Pに転写される。
二次転写部13には、中間転写ベルト12の外周面に接触され、中間転写ベルト12上の画像の用紙Pへの転写に用いられる二次転写ロール134が設けられている。
さらに、二次転写部13には、中間転写ベルト12の内側に配置され二次転写ロール134の対向電極をなすバックアップロール132が設けられている。
【0017】
ここで、バックアップロール132は、中間転写ベルト12を挟み、二次転写ロール134の設置側とは反対側に設けられている。
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト12を介し、転写用部材の一例としての二次転写ロール134が、このバックアップロール132に押し当てられている。
【0018】
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧を印加する印加手段の一例としての印加装置250が設けられている。
本実施形態では、この印加装置250によって印加される電圧によって、中間転写ベルト12上の画像が、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間を通る用紙Pに転写される。
さらに、本実施形態では、二次転写ロール134に押し当てられ、二次転写ロール134の清掃を行う清掃部材であるクリーニングブレード180が設けられている。
【0019】
二次転写ロール134は、中間転写ベルト12に対する進退が可能に設けられている。さらに、二次転写ロール134は、回転可能となっている。
さらに、本実施形態では、転写用部材駆動手段の一例としてのロール駆動機構300が設けられている。このロール駆動機構300は、二次転写ロール134を回転駆動させる。
【0020】
ロール駆動機構300には、ロール用モータMRと、ギア等により構成されロール用モータMRからの駆動力を二次転写ロール134に伝達する伝達部(不図示)とが設けられている。
ここで、本実施形態では、ロール用モータMRは、PWM(Pulse Width Modulation)制御方式によって、その回転が制御されるようになっている。
【0021】
さらに、本実施形態では、二次転写ロール134およびロール駆動機構300を中間転写ベルト12に対して進退させる進退機構280が設けられている。この進退機構280は、特に限定されるものはなく公知の機構により構成される。
さらに、本実施形態では、中間転写ベルト12の移動方向において、二次転写部13よりも下流側に、二次転写後の中間転写ベルト12の外周面を清掃するベルトクリーナ124が設けられている。
【0022】
用紙搬送部20には、複数枚の用紙Pが積み重ねられた状態で収容される用紙収容部21、用紙収容部21に収容された用紙Pを送り出す送り出しロール22が設けられている。
また、用紙搬送部20には、送り出しロール22により送り出された用紙Pを搬送する搬送ロール23、搬送ロール23により搬送されてきた用紙Pを二次転写部13へ案内する案内部材24が設けられている。
さらに、用紙搬送部20には、二次転写後の用紙Pを定着器14へと搬送する搬送ベルト25、定着後の用紙Pを冷却器15へ案内する案内部材26が設けられている。
【0023】
定着器14は、用紙Pの搬送方向において、二次転写部13よりも下流側に配置されている。定着器14は、加熱源(不図示)を有する定着ロール141と、定着ロール141に押し当てられる加圧ロール142とを備える。
二次転写部13を通過した用紙Pは、定着ロール141と加圧ロール142との間を通過する。これにより、この用紙Pは、加圧および加熱され、用紙Pの上の画像が用紙Pに定着される。
なお、本実施形態では、定着器14よりも下流側に、冷却器15が設けられている。この冷却器15は、定着器14から搬送されてきた用紙Pの冷却を行う。
【0024】
画像読み取り部30は、用紙Pに形成された画像の読み取りを行う。
具体的には、画像読み取り部30は、二次転写部13にて用紙Pに転写された画像の読み取りを行う。画像読み取り部30には、用紙Pへの光を出射する光源、用紙Pからの反射光を受光するイメージセンサ、用紙Pからの反射光をイメージセンサに導く結像レンズが設けられている。
【0025】
図8は、制御装置40のハードウェア構成の一例を説明する図である。
制御装置40は、プロセッサの一例としてのCPU(=Central Processing Unit)911と、基本ソフトウェアやBIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)912と、ワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)913とを有している。制御装置40は、いわゆるコンピュータである。
本実施形態では、CPU911が、ROM912などに格納されたプログラムを実行することで、後述する各種の処理が実行される。
【0026】
ここで、CPU911によって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で、画像形成装置1へ提供しうる。
また、CPU911によって実行されるプログラムは、インターネットなどの通信手段を用いて、画像形成装置1へ提供してもよい。
【0027】
なお、本実施形態において、プロセッサとは、広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU: Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は、本実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、変更してもよい。
【0028】
図2は、制御装置40によって実現される機能部を示した図である。
本実施形態では、ROM912やHDD(Hard Disk Drive)(不図示)等に格納されたプログラムをCPU911が実行することで、駆動情報取得部41、駆動条件設定部42、出力部43の各機能部が実現される。
【0029】
駆動情報取得手段の一例としての駆動情報取得部41は、ベルト駆動機構200およびロール駆動機構300の少なくとも一方の駆動機構の駆動に関する情報である駆動情報を取得する。
設定手段の一例としての駆動条件設定部42は、ロール駆動機構300の駆動条件の設定を行う。
出力手段の一例としての出力部43は、画像形成装置1の故障に関する情報を出力する。
【0030】
本実施形態では、プロセッサの一例としてのCPU911が、ROM912やHDDに格納されたプログラムを実行することで、以下で説明する処理が実現される。
言い換えると、本実施形態では、プロセッサの一例としてのCPU911が、ROM912やHDDに格納されたプログラムを実行することで、
図2に示す各機能部が実現され、この各機能部により、以下で説明する処理が実現される。
【0031】
ここで、本実施形態の画像形成装置1(
図1参照)では、中間転写ベルト12により保持されている画像を、二次転写ロール134を用いて用紙Pに転写し、用紙Pへの画像形成を行う。
ここで、二次転写ロール134の回転数が小さかったり大きかったりすると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に位置する用紙Pが、この二次転写ロール134の影響を受け、用紙P上の画像の質の低下を招く。
【0032】
具体的には、二次転写ロール134の回転数が小さすぎると、二次転写部13にて、中間転写ベルト12に対する用紙Pの移動速度が低下し、これにより、この用紙Pに形成される画像が縮むおそれがある。
また、二次転写ロール134の回転数が大きすぎると、二次転写部13にて、中間転写ベルト12に対する用紙Pの移動速度が大きくなり、これにより、この用紙Pに形成される画像が延びるおそれがある。
そこで、本実施形態では、以下で説明する処理を行って、ロール駆動機構300の駆動条件(ロール用モータMRのPWM値)を設定する。これにより、二次転写ロール134に起因する不具合が起きにくくなる。
【0033】
図3(A)、(B)は、本実施形態の画像形成装置1にて行われる処理の一例を説明する図である。
本実施形態の処理では、印加装置250による電圧の印加がなされている第1の状態のときに(
図3(A)参照)、駆動情報取得部41(
図2参照)が、ロール駆動機構300の駆動についての情報である第1の駆動情報を得る。
また、印加装置250による電圧の印加がなされていない第2の状態のときに(
図3(B)参照)、駆動情報取得部41が、ロール駆動機構300の駆動についての情報である第2の駆動情報を得る。
【0034】
なお、第1の状態および第2の状態の各々では、二次転写ロール134は、
図9(中間転写ベルト12、二次転写ロール134等の状態を示した図)の(B)に示すように、いわゆるハーフニップの状態で配置される。
言い換えると、第1の状態および第2の状態の各々では、二次転写ロール134は、
図9(A)に示すフルニップの状態よりも、中間転写ベルト12から退避した状態で配置される。
【0035】
本実施形態では、中間転写ベルト12上の画像が用紙Pへ転写される際、
図9(A)に示すように、二次転写ロール134は、予め定められた配置箇所に配置され、中間転写ベルト12に対して強く押し当てられた状態で配置される。
このように、二次転写ロール134が中間転写ベルト12に対して強く押し当てられた状態をフルニップの状態と称する。
【0036】
これに対し、第1の状態および第2の状態の各々の状態のときには、
図9(B)に示すように、二次転写ロール134は、上記の予め定められた配置箇所よりも、中間転写ベルト12から退避した箇所に配置される。
より具体的には、第1の状態および第2の状態の各々の状態のときには、進退機構280によって、中間転写ベルト12に対する二次転写ロール134の退避が行われて、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との接触圧が小さいハーフニップの状態とされる。
【0037】
ハーフニップ状態では、二次転写ロール134は、中間転写ベルト12に接触した状態で配置される。言い換えると、フルニップの状態に比べ、中間転写ベルト12から退避した二次転写ロール134は、中間転写ベルト12に接触した状態で配置される。
本実施形態では、第1の状態および第2の状態の各々の状態のときには、二次転写ロール134は、上記のとおり、中間転写ベルト12から退避した箇所に配置される。本実施形態では、二次転写ロール134が、中間転写ベルト12から退避した箇所に配置される場合であっても、二次転写ロール134は、中間転写ベルト12に接触した状態で配置される。
【0038】
また、本実施形態では、第1の状態のときに印加装置250が印加する電圧の値が、転写時に印加装置250が印加する電圧の値よりも大きい。
より具体的には、本実施形態では、中間転写ベルト12上の画像が用紙Pへ転写される際、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に、予め定められた値の電圧が印加される。本実施形態では、第1の状態のときに印加装置250が印加する電圧の値が、この予め定められた値よりも大きい。
【0039】
制御装置40により行われる処理についてさらに説明する。
本実施形態では、
図3(A)、(B)にて示した通り、第1の駆動情報および第2の駆動情報が得られる。
第1の駆動情報および第2の駆動情報が得られると、駆動条件設定部42(
図2参照)が、この第1の駆動情報と第2の駆動情報とに基づき、ロール駆動機構300の新たな駆動条件(PWM値)を設定する。
即ち、駆動条件設定部42(
図2参照)は、印加装置250による電圧の印加がなされている第1の状態のときに得られた第1の駆動情報と、印加装置250による電圧の印加がなされていない第2の状態のときに得られた第2の駆動情報とに基づき、ロール駆動機構300の新たな駆動条件(PWM値)を設定する。
【0040】
より具体的に説明すると、本実施形態では、まず、
図3(A)に示す第1の状態のときに、駆動情報取得部41が、ロール駆動機構300の駆動に関する第1の駆動情報の一例として、ロール駆動機構300の回転数についての情報(回転数情報)を取得する。
より具体的には、駆動情報取得部41は、エンコーダからの情報やロール用モータMRからの信号などを取得して、ロール駆動機構300のうちの、二次転写ロール134に連動して回転する回転部分の回転数についての情報を取得する。
付言すると、駆動情報取得部41は、中間転写ベルト12に追従して二次転写ロール134が回転している場合における、ロール駆動機構300の回転数についての情報を取得する。
【0041】
次いで、この処理では、印加装置250による電圧の印加を停止させ、印加装置250による電圧の印加がなされていない第2の状態(
図3(B)参照)とする。この第2の状態では、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との接触圧が、第1の状態のときの接触圧に比べ小さい。
そして、駆動情報取得部41は、第2の状態(電圧の印加がなされていない状態)で、ロール用モータMRのPWM値(駆動条件)を順次変化させながら、ロール駆動機構300の回転数についての情報(第2の駆動情報)を取得する。
第2の状態の場合、即ち、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との接触圧が小さい場合、二次転写ロール134と中間転写ベルト12との相互の影響は小さくなり、二次転写ロール134は、中間転写ベルト12の影響を受けずに独立して回転する。
【0042】
ここでは、本実施形態では、PWM値(駆動条件)が変化する度に、第2の駆動情報が取得され、最終的に、複数の第2の駆動情報が取得される。
そして、本実施形態では、PWM値と、このPWM値のときに得られた第2の駆動情報とが互いに対応付けられた状態で、HDDなどの記憶装置に記憶される。
【0043】
次いで、本実施形態では、駆動条件設定部42が、第1の状態のときに得られた第1の駆動情報(回転数情報)と、第2の状態のときに得られた複数の第2の駆動情報(回転数情報)とに基づき、ロール駆動機構300の駆動条件を設定する。
具体的には、この例では、駆動条件設定部42は、第1の駆動情報と、複数の第2の駆動情報とに基づき、ロール用モータMRのPWM値を設定する。
【0044】
より具体的には、まず、駆動条件設定部42は、複数得られた第2の駆動情報(回転数情報)の中から、第1の駆動情報(回転数情報)に近い第2の駆動情報(回転数情報)を特定する。
そして、駆動条件設定部42は、この特定した第2の駆動情報が得られたときの駆動条件(PWM値)を取得する。付言すると、駆動条件設定部42は、この特定した第2の駆動情報に対応付けて記憶装置に記憶されている駆動条件(PWM値)を取得する。
そして、駆動条件設定部42は、取得したこのPWM値に基づき、最終的なPWM値(駆動条件)を設定する。
【0045】
本実施形態では、駆動情報取得部41は、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に滑りが生じておらず中間転写ベルト12に付随して二次転写ロール134が回転している上記の第1の状態にて、ロール駆動機構300の回転数についての情報(第1の駆動情報)を取得する。
本実施形態では、第1の状態では、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で相互に作用する静電吸引力によって、中間転写ベルト12に対して二次転写ロール134が押し当てられた状態となる。
この場合、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に滑りが生じないようになり、また、本実施形態では、ベルト用モータMB(
図1参照)の出力の方がロール用モータMRの出力よりも大きくなっているため、中間転写ベルト12に付随して二次転写ロール134が回転する。
第1の状態では、この滑りが生じていないときの、ロール駆動機構300の回転数についての情報を取得する。
【0046】
さらに、駆動情報取得部41は、印加装置250による電圧の印加がなされていない第2の状態にて、ロール駆動機構300を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させ、この条件毎に、第2の駆動情報を取得して、複数の第2の駆動情報を取得する。
言い換えると、中間転写ベルト12に対する二次転写ロール134の追従が生じていない第2の状態にて、ロール駆動機構300を互いに異なる複数のPWM値の各々で駆動させる。そして、このPWM値毎に、第2の駆動情報を取得して、複数の第2の駆動情報を取得する。
【0047】
このように、駆動情報取得部41は、PWM値毎に、ロール駆動機構300の回転数についての情報である第2の駆動情報を取得する。これにより、駆動情報取得部41は、複数の第2の駆動情報を取得する。
なお、複数のこの第2の駆動情報(回転数情報)の各々は、上記のとおり、この第2の駆動情報が得られたときに設定されていたPWM値に対応付けられたうえで、記憶装置に記憶される。
【0048】
次いで、駆動条件設定部42が、複数取得されたこの第2の駆動情報(回転数情報)の中から(記憶装置に記憶されている第2の駆動情報の中から)、第1の駆動情報(回転数情報)と予め定められた関係を有する第2の駆動情報を特定する。
より具体的には、駆動条件設定部42は、複数の第2の駆動情報(回転数情報)の中から、第1の駆動情報により特定される値(回転数情報)との差が予め定められた範囲内に収まる第2の駆動情報を特定する。
【0049】
そして、駆動条件設定部42は、特定したこの第2の駆動情報が得られた際の、ロール駆動機構300の駆動条件を取得する。具体的には、駆動条件設定部42は、特定したこの第2の駆動情報に対応付けられて記憶装置に記憶されているPWM値を取得する。
そして、駆動条件設定部42は、この取得したPWM値に基づき、ロール駆動機構300の最終的な駆動条件(PWM値)を設定する。
【0050】
以上の処理により、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速との差が小さくなり、この差に起因する不具合が生じにくくなる。具体的には、用紙Pに形成される画像が縮んだり延びたりすることが抑制される。
付言すると、以上の処理を行うと、中間転写ベルト12に対して二次転写ロール134が遅れて回転することや、中間転写ベルト12よりも二次転写ロール134が相対的に速く回転することが抑制される。
【0051】
言い換えると、上記の処理を行うと、第1の駆動情報(回転数情報)により特定される値と第2の駆動情報(回転数情報)により特定される値との差が小さくなるように、ロール駆動機構300の新たな駆動条件が設定される。
付言すると、上記の処理を行う前には、第1の駆動情報(回転数情報)により特定される値と第2の駆動情報(回転数情報)により特定される値との間に差が生じていたとしても、上記の処理を行うことで、この差が小さくなる。
これにより、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速との差が小さくなり、この差に起因する不具合が生じにくくなる。
【0052】
言い換えると、上記の処理を行う前において、第1の駆動情報(回転数情報)により特定される値と、第2の駆動情報(回転数情報)により特定される値との差が生じているということは、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速とが異なっているということになる。
本実施形態の処理を行うと、第1の駆動情報(回転数情報)により特定される値と、第2の駆動情報(回転数情報)により特定される値との差が小さくなり、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速とがより近いものとなる。
【0053】
ここで、上記の第2の状態のように、二次転写ロール134と中間転写ベルト12との間の接触圧を低下させるには、例えば、中間転写ベルト12から二次転写ロール134を完全に離間させる態様が考えられる。
ところで、この場合は、第1の状態と第2の状態との切り替えにあたり、二次転写ロール134を中間転写ベルト12に対して進退させる必要が生じ、この進退に起因する不具合が生じるおそれがある。
例えば、進退に起因する衝撃によってトナーが舞ったり、部材の破損が生じやすくなったりする。また、例えば、部材間のアライメントが本来の状態とは異なるようになったり、処理に時間を要するようになったりする。
【0054】
これに対し、本実施形態では、第1の状態と第2の状態との切り替えに、二次転写ロール134の進退を必要としない。
言い換えると、本実施形態では、二次転写ロール134の進退ではなく、電圧の印加、非印加の切り替えによって、第1の状態と第2の状態との切り替えを行う。
これにより、この場合、二次転写ロール134の進退に起因する上記の不具合が生じにくくなる。
【0055】
なお、上記では、第2の状態のとき、印加装置250による電圧の印加を停止する場合を説明した。
ところで、第2の状態は、これに限られない。第2の状態では、第1の状態における印加電圧の値よりも小さい値の印加電圧の印加を行ってもよい。
第2の状態にて電圧を印加する場合であっても、その値が第1の状態のときに印加される電圧よりも小さければ、第1の状態のときに比べ、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との接触圧が小さくなる。
【0056】
ここで、第1の駆動情報(回転数情報)を取得する際の処理の詳細を説明する。
本実施形態では、第1の駆動情報(回転数情報)を取得する際(
図3(A)参照)、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧を印加した第1の状態にて、ロール駆動機構300の駆動条件を変化させる(PWM値を変化させる)。
そして、駆動条件(PWM値)が互いに異なる複数の駆動条件の各々にて、ロール駆動機構300の回転数情報を取得する。
【0057】
そして、本実施形態では、複数得られるこの回転数情報に基づき、上記の1つの第1の駆動情報(回転数情報)を得る。
付言すると、本実施形態では、複数得られるこの回転数情報に基づき、中間転写ベルト12に対して二次転写ロール134が付随して回転している状況下における、第1の駆動情報を得る。
【0058】
図4は、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧を印加した第1の状態にて、PWM値を変化させた場合の回転数情報(ロール駆動機構300についての回転数情報)を示した図である。
本実施形態では、第1の状態にて、PWM値を大きくしすぎると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で滑りが生じ、
図4の符号4Aで示すように、ロール駆動機構300の回転数が上昇する。
また、第1の状態にて、PWM値を小さくしすぎると、この場合も、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で滑りが生じ、符号4Bで示すように、ロール駆動機構300の回転数が減少する。
【0059】
ここで、本実施形態のようにPWM値を変化させたうえで第1の駆動情報を取得せず、PWM値を1つの固定値としたうえで、第1の駆動情報を取得すると(例えば、符号4Cで示す1つの固定されたPWM値のときの第1の駆動情報を取得すると)、符号4Dで示す値の回転数情報が、第1の駆動情報として取得されてしまうおそれがある。
言い換えると、この場合、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で滑りが生じている状況下における回転数情報が、第1の駆動情報として取得されてしまう。
【0060】
このため、本実施形態では、上記のように、PWM値を変化させて、複数の回転数情報を得る。そして、本実施形態では、この複数の回転数情報の中から、滑りが生じていない状況下における回転数情報である第1の駆動情報を取得する。
【0061】
より具体的には、
図4に示す例では、符号4Eで示す箇所における回転数を、第1の駆動情報として取得する。
付言すると、本実施形態では、PWM値と回転数情報とをプロットしていくと、符号4Fで示す水平部分が生じるが、この水平部分に対応した回転数情報を、第1の駆動情報として取得する。
【0062】
より具体的には、第1の駆動情報の取得にあたっては、得られた複数の回転数情報の中から、出現頻度が多い回転数情報を特定し、この出願頻度が多い回転数情報に基づき、第1の駆動情報を決定する。
付言すると、滑りが生じていないときには、符号4Gで示す特定の範囲内にて、回転数情報の出現頻度が大きくなる。
言い換えると、符号4Hで示すように、回転数情報の度数分布を把握した場合に、滑りが生じていないときには、符号4Gで示す特定の範囲内にて、回転数情報の度数が大きくなる。
【0063】
本実施形態では、数多く出現する回転数情報に基づき、第1の駆動情報を決定する。
より具体的には、例えば、回転数情報の度数(出現頻度)が大きい範囲を特定し、この範囲内に含まれる複数の回転数情報(回転数)の平均を、第1の駆動情報として決定する。
なお、第1の駆動情報の決定方法としては、これに限らず、例えば、全ての回転数情報の平均を、第1の駆動情報として決定してもよい。
【0064】
ここで、本実施形態では、上記のとおり、第1の駆動情報を取得する際、PWM値を変化させる。言い換えると、本実施形態では、第1の駆動情報を取得する際、二次転写ロール134の回転数を変化させる。
ここで、二次転写ロール134の回転数を変化させるにあたっては、回転数が次第に上昇するように二次転写ロール134を駆動させる態様と、回転数が次第に減少するように二次転写ロール134を駆動させる態様とが考えられる。
この2つの態様のうち、より好ましい態様は、回転数が次第に上昇するように二次転写ロール134を駆動させる態様である。
【0065】
回転数が次第に減少するように二次転写ロール134を駆動させる態様では、回転数が大きい状況から小さい状況へ回転数を変化させることになる。
この場合、回転数を変化させる最初の段階で、回転数の大きい二次転写ロール134から中間転写ベルト12へ駆動力が与えられ、中間転写ベルト12の回転数が二次転写ロール134によって増加するおそれがある。
【0066】
そして、この場合、中間転写ベルト12の回転速度が、予め定められた許容値を超え、画像形成装置1に設けられた停止機構によって、中間転写ベルト12が停止してしまうおそれがある。
これに対して、回転数が次第に上昇するように二次転写ロール134を駆動させる態様では、回転数が小さい状況から、二次転写ロール134の駆動が開始される。
この場合、回転数が大きい状況から、二次転写ロール134の駆動が開始される場合に比べ、中間転写ベルト12の停止が生じにくくなる。
【0067】
本実施形態では、駆動情報取得部41は、第1の駆動情報の取得にあたり、二次転写ロール134の回転数が互いに異なるようになる複数の駆動条件の各々にて、二次転写ロール134を回転させる。
この際、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するように、二次転写ロール134を回転駆動させることが好ましい。
【0068】
言い換えると、本実施形態では、複数の回転数情報に基づき、1つの第1の駆動情報を得るが、この複数の回転数情報を得る際には、上記のように、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するように、ロール駆動機構300を駆動させることが好ましい。
【0069】
また、本実施形態では、駆動情報取得部41は、二次転写ロール134の回転数を次第に上昇させるにあたり、PWM値を次第に大きくする。
この際、駆動情報取得部41は、PWM値をより大きい他のPWM値とする度に、二次転写ロール134の回転数の上昇率を算出して得る。言い換えると、駆動情報取得部41は、PWM値をより大きい他のPWM値とする度に、二次転写ロール134の回転数の変化量を算出して得る。
【0070】
そして、駆動情報取得部41は、この変化量が、予め定められた閾値を超えた場合、PWM値を大きくすることを止める。
そして、駆動情報取得部41は、これ以降、二次転写ロール134の回転数が次第に減少するように、ロール駆動機構300を駆動させる。
具体的には、駆動情報取得部41は、二次転写ロール134の回転数が次第に減少するように、PWM値を次第に小さくする。
【0071】
ここで、たとえば、
図4の符号4Kで示すPWM値から符号4Cで示すPWM値へ、PWM値を変化させると、ロール駆動機構300の回転数が急激に上昇し、ロール駆動機構300の回転数の変化量が、予め定められた閾値を超えるようになる。
この場合、駆動情報取得部41は、以後、PWM値を減少させ、ロール駆動機構300の回転数を次第に減少させる。
【0072】
ここで、例えば、符号4Kで示す箇所を開始点としてPWM値を上げていくと、上記の水平部分がほとんど生じなくなってしまう。
これに対し、上記のように、途中からPWM値を減少させる処理を行うと、符号4Mで示す領域でも、回転数情報を得られるようになる。付言すると、途中からPWM値を減少させる処理を行うと、より長い水平部分を得られるようになる。
【0073】
なお、二次転写ロール134の回転数を変化させるにあたっては、上記のとおり、最初に、回転数が次第に減少するように二次転写ロール134を駆動させる態様もある。
この場合も、PWM値をより小さい他のPWM値とする度に、ロール駆動機構300の回転数の変化量を算出して得る。
【0074】
そして、駆動情報取得部41は、この変化量が、予め定められた閾値を超えた場合、PWM値を小さくすることを止める。
より具体的には、PWM値をより小さい他のPWM値とすると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に滑りが生じて、ロール駆動機構300の回転数が急減に減少し、変化量が大きくなる状況が生じうる。
この場合、駆動情報取得部41は、これ以降、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するように、ロール駆動機構300を駆動させる。
【0075】
本実施形態では、第1の駆動情報を取得する際、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧の印加がなされている第1の状態が維持されながら、PWM値が順に変更される。
付言すると、本実施形態では、第1の駆動情報が取得される際、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧の印加がなされている第1の状態が維持されながら、ロール駆動機構300の駆動条件が順に変更される。
【0076】
付言すると、本実施形態では、駆動情報取得部41は、ロール駆動機構300を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させるにあたり(第1の駆動情報を取得するにあたり)、この条件を順に変更していく。
この際に、本実施形態では、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧の印加がなされている第1の状態が維持されながら、条件が順に変更される。
【0077】
ここで、条件の変更は、印加装置250による電圧の印加を一旦停止させた後に、条件を変更し、その後、印加装置250による電圧の印加を再び行う態様も考えられる。
ところで、この場合は、処理に時間を要する。これに対し、本実施形態のように、第1の状態が維持されながら、ロール駆動機構300の条件が変更される場合、処理に要する時間がより短いものとなる。
【0078】
さらに、本実施形態では、駆動条件設定部42により駆動条件として最終的に設定された値が、予め定められた特定の値を超える場合、出力部43が、画像形成装置1の故障に関する情報を出力する。
ここで、駆動条件設定部42により設定された値が、大きく、予め定められた特定の値を超える場合、例えば、クリーニングブレード180(
図1参照)がめくれるなどして、ロール駆動機構300に作用する負荷が大きくなっていることが想定される。言い換えると、画像形成装置1の一部に不具合が生じていることが想定される。
【0079】
そこで、本実施形態では、駆動条件設定部42により設定された値が、予め定められた特定の値を超える場合は、装置に不具合が生じていると判断し、出力部43が、画像形成装置1の故障に関する情報を出力する。
これにより、故障の発生がユーザに通知される。なお、出力部43から出力された情報は、画像形成装置1に設けられた情報表示部(不図示)に表示するようにしてもよいし、電子メール等でユーザに送信するようにしてもよい。
【0080】
図5は、上記にて説明した処理の流れを示したフローチャートである。
本実施形態では、上記のとおり、まず、第1の状態にて、PWM値を変化させて、複数の回転数情報を取得する(ステップS101)。
そして、この複数の回転数情報に基づき、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に滑りが生じていない状況下における回転数情報である第1の駆動情報を取得する(ステップS102)。
なお、本実施形態では、このように、PWM値を変化させたが、予め定められた1つのPWM値を用意しておき、この1つのPWM値を使って、第1の駆動情報を取得してもよい。言い換えると、この1つのPWM値のときに得られる1つの駆動情報を、第1の駆動情報として取得してもよい。
【0081】
次いで、印加装置250による電圧の印加を停止させ、状態を、第1の状態から第2の状態へ変更する(ステップS103)。そして、この第2の状態にて、PWM値を順に変化させ、複数の第2の駆動情報を取得する(ステップS104)。
次いで、複数の第2の駆動情報の中から、第1の駆動情報と予め定められた関係を満たす第2の駆動情報を特定する(ステップS105)。そして、この第2の駆動情報が得られたときのPWM値を特定する(第2の駆動情報に対応付けられたPWM値を特定する)(ステップS106)。
【0082】
次いで、特定したこのPWM値に基づき、最終的なPWM値を決定する(ステップS107)。
ここで、本実施形態では、最終的なPWM値を決定するにあたり、ステップS106にて特定したPWM値に対して予め定められた補正処理を行い、補正処理後のPWM値を、最終的なPWM値とする。
より具体的には、本実施形態では、気温や湿度などの環境情報や搬送される用紙Pの種類などの情報に基づき、補正処理を行い、補正処理後のPWM値を、最終的なPWM値とする。
【0083】
ここで、本実施形態では、例えば、用紙Pが厚紙である場合は、PWM値が増加するようにPWM値の補正処理を行う。
例えば、用紙Pが厚紙である場合、用紙Pが搬送されにくくなり、これに起因して、用紙P上の画像が縮むおそれがある。これに対し、上記のように、PWM値が増加するようにPWM値の補正処理を行うと、用紙Pが下流側へより搬送されやすくなり、画像が縮むことが抑制される。なお、ステップS106にて特定したPWM値そのものを、最終的なPWM値として決定してもよい。
【0084】
ここで、上記では、第1の駆動情報を先に取得し、次いで、第2の駆動情報を取得する場合を説明した。但し、これに限らず、第2の駆動情報を先に取得し、次いで、第1の駆動情報を取得してもよい。
また、他の処理態様として、例えば、PWM値を変化させず、1つのPWM値の下で、第1の駆動情報、第2の駆動情報を取得するようにしてもよい。そして、この第1の駆動情報、第2の駆動情報に基づき、最終的なPWM値を設定してもよい。
1つのPWM値の下で、第1の駆動情報、第2の駆動情報を取得する態様では、第1の駆動情報よりも第2の駆動情報の方が小さい場合、PWM値を上げる。また、第1の駆動情報よりも第2の駆動情報の方が大きい場合、PWM値を下げる。
【0085】
図6(A)、(B)は、画像形成装置1にて行われる処理の他の一例を説明する図である。
この処理では、駆動情報取得部41は、第1の駆動情報および第2の駆動情報として、ベルト駆動機構200に設けられたベルト用モータMBの電流値(ベルト用モータMBに供給される電流の電流値)を取得する。
言い換えると、この処理では、第1の駆動情報および第2の駆動情報として、二次転写ロール134から中間転写ベルト12に対して作用する負荷についての情報を取得する。
【0086】
より具体的には、この処理例では、駆動情報取得部41は、まず、
図6(A)に示すように、第1の状態(電圧印加状態)にて、ロール駆動機構300を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させ、この条件毎に、第1の駆動情報(ベルト用モータMBの電流値)を取得する。
これにより、駆動情報取得部41は、複数の第1の駆動情報を取得することになる。
【0087】
より具体的には、駆動情報取得部41は、第1の状態にて、互いに異なる複数のPWM値の各々でロール用モータMRを駆動させ、互いに異なるPWM値毎に、第1の駆動情報(ベルト用モータMBの電流値)を取得する。
これにより、駆動情報取得部41は、複数の第1の駆動情報(ベルト用モータMBの電流値)を取得する。
【0088】
ここで、本実施形態では、PWM値が小さいと、中間転写ベルト12に対して二次転写ロール134が負荷を与える形となり、第1の駆動情報(ベルト用モータMBの電流値)が大きくなる。
一方で、PWM値が大きいと、二次転写ロール134から中間転写ベルト12に対して駆動力が供給される形となり、第1の駆動情報(ベルト用モータMBの電流値)が小さくなる。
【0089】
さらに、駆動情報取得部41は、印加装置250による電圧の印加を停止させ、
図6(B)に示すように、第2の状態のときの駆動情報である第2の駆動情報を取得する。
より具体的には、駆動情報取得部41は、印加装置250による電圧の印加を停止させた後、ベルト用モータMBからの電流値を取得し、この電流値を第2の駆動情報として取得する。
【0090】
そして、駆動条件設定部42が、取得された複数のこの第1の駆動情報(電流値)と、第2の駆動情報(電流値)とに基づき、ロール駆動機構300の駆動条件(PWM値)を設定する。
より具体的には、駆動条件設定部42は、取得された複数の第1の駆動情報(電流値)の中から、第2の駆動情報(電流値)と予め定められた関係を有する第1の駆動情報(電流値)を特定する。
【0091】
より具体的には、駆動条件設定部42は、取得された複数の第1の駆動情報(電流値)の中から、第2の駆動情報により特定される値(電流値)との差が予め定められた範囲内に収まる第1の駆動情報を特定する。
そして、駆動条件設定部42は、この特定した第1の駆動情報(電流値)が得られた際の、ロール駆動機構300の駆動条件(PWM値)を特定する。
【0092】
言い換えると、駆動条件設定部42は、特定したこの第1の駆動情報(電流値)に対応付けられた状態で記憶装置に記憶されている、ロール駆動機構300の駆動条件(PWM値)を特定する。
そして、駆動条件設定部42は、上記と同様、特定したこの駆動条件に基づき、ロール駆動機構300の最終的な駆動条件(PWM値)を設定する。
【0093】
ここで、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速とが等しい場合、印加装置250による電圧の印加が行われている第1の状態と、印加装置250による電圧の印加の印加が行われていない第2の状態とで、ベルト用モータMBの電流値は変化しない。
逆に、第1の状態と第2の状態とで、ベルト用モータMBの電流値が異なる場合は、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速とが異なっていることになる。
【0094】
この処理では、第1の状態にて得られるベルト用モータMBの電流値と、第2の状態にて得られるベルト用モータMBの電流値との差が小さくなり、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速との差が小さくなる。
付言すると、この処理を行う前には、第1の駆動情報(電流値)により特定される値と第2の駆動情報(電流値)により特定される値との間に差が生じていても、この処理を行うことで、この差が小さくなる。
【0095】
なお、この処理では、第1の駆動情報、第2の駆動情報として(中間転写ベルト12に作用する負荷に関する情報として)、ベルト用モータMBの電流値を取得する場合を一例に説明した。
ところで、中間転写ベルト12に作用する負荷に関する情報としては、これに限らず、例えば、ベルト駆動機構200の駆動トルクを測定し、第1の駆動情報、第2の駆動情報として、この駆動トルクの情報を取得するようにしてもよい。
この場合も、第1の駆動情報として得られる駆動トルクと、第2の駆動情報として得られる駆動トルクとの差を小さくすれば、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速との差が小さくなる。
【0096】
なお、この処理でも、上記と同様、複数の第1の駆動情報が取得される際、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧が印加された第1の状態が維持されながら、この複数の第1の駆動情報が取得される。
言い換えると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧の印加がなされている第1の状態が維持されながら、条件(PWM値)が順に変更される。
本実施形態では、ロール駆動機構300を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させるにあたり、条件を順に変更していくが、この条件の変更にあたっては、第1の状態が維持されながら、条件が順に変更される。
【0097】
また、上記と同様、第1の状態にて、二次転写ロール134の回転数を変更していく際には、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するようにロール駆動機構300を駆動させることが好ましい。
【0098】
また、上記と同様、二次転写ロール134の回転数を上昇させ他の回転数とした際の電流値の変化量が予め定められた閾値を超えた場合、これ以降は、二次転写ロール134の回転数が次第に減少するようにロール駆動機構300を駆動させることが好ましい。
付言すると、二次転写ロール134の回転数を上昇させこの回転数が過大になると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で滑りが生じ、中間転写ベルト12に作用する負荷が急減に低下して、電流値が大きく低下する。
この場合、以後、二次転写ロール134の回転数が次第に減少するように、ロール駆動機構300を駆動させることが好ましい。
【0099】
また、上記と同様、二次転写ロール134の回転数を変化させるにあたり、最初に、回転数が次第に減少するように二次転写ロール134を駆動させてもよく、この場合も、PWM値をより小さい他のPWM値とする度に、電流値の変化量を算出して得る。
この場合、二次転写ロール134の回転数を減少させ他の回転数とした際の電流値の変化量が予め定められた閾値を超えた場合、以後、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するようにロール駆動機構300を駆動させる。
【0100】
二次転写ロール134の回転数を減少させこの回転数が小さくなると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で滑りが生じ、中間転写ベルト12に作用する負荷が急減に低下して、電流値が大きく低下する。
この場合、以後、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するようにロール駆動機構300を駆動させる。
さらに、上記と同様、駆動条件設定部42により駆動条件として設定された値が、予め定められた特定の値を超える場合には、画像形成装置1の故障に関する情報を出力することが好ましい。
【0101】
また、上記と同様、PWM値を変化させず、1つのPWM値の下で、第1の駆動情報(電流値)、第2の駆動情報(電流値)を取得するようにしてもよい。
そして、この1つのPWM値の下で得られた第1の駆動情報、第2の駆動情報に基づき、新たなPWM値の設定を行ってもよい。
【0102】
1つのPWM値の下で、第1の駆動情報、第2の駆動情報を取得する態様では、第1の駆動情報(電流値)の方が第2の駆動情報(電流値)より大きい場合、PWM値を上げる。また、第1の駆動情報の方が第2の駆動情報よりも小さい場合、PWM値を下げる。
【0103】
図7(A)、(B)は、本実施形態の画像形成装置1にて行われる処理の他の一例を説明する図である。
この処理では、駆動情報取得部41は、第1の駆動情報および第2の駆動情報として、ロール駆動機構300の駆動トルクを取得する。言い換えると、この処理では、ロール駆動機構300に作用する負荷についての情報を取得する。
【0104】
具体的には、この処理では、駆動情報取得部41は、
図7(A)に示す第1の状態(電圧印加状態)にて、ロール駆動機構300を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させ、条件毎に、第1の駆動情報(駆動トルク)を取得する。これにより、駆動情報取得部41は、複数の第1の駆動情報を取得する。
言い換えると、駆動情報取得部41は、ロール駆動機構300を互いに異なる複数のPWM値の各々で駆動させ、このPWM値毎に、第1の駆動情報(駆動トルク)を取得し、複数の第1の駆動情報を得る。
【0105】
ここで、本実施形態では、PWM値を上げると、反作用として、中間転写ベルト12からロール駆動機構300に負荷が作用するようになり、駆動トルクが大きくなる。
一方、PWM値を下げると、定速で回転駆動する中間転写ベルト12からの駆動力がロール駆動機構300へ供給され、駆動トルクが小さくなる。
【0106】
さらに、この処理では、駆動情報取得部41は、印加装置250による電圧の印加を停止させ、
図7(B)に示すように、第2の状態とする。
そして、駆動情報取得部41は、この第2の状態にて、ロール駆動機構300における駆動トルクを、第2の駆動情報として取得する。
【0107】
なお、第2の駆動情報を取得する際には、PWM値を変化させてもよいし、変化させなくてもよい。
印加装置250による電圧の印加を停止した第2の状態では、ロール駆動機構300に作用する負荷は、一定であり変化しない。言い換えると、印加装置250による電圧の印加を停止した第2の状態では、ロール駆動機構300は、空回りする状態となり、ロール駆動機構300に作用する負荷は一定となる。
このため、PWM値を変化させても変化させなくても、ロール駆動機構300における駆動トルク(第2の駆動情報として得られる駆動トルク)は、一定となる(変化しない)。
【0108】
その後、本実施形態では、駆動条件設定部42が、複数取得されたこの第1の駆動情報(駆動トルク)と、第2の駆動情報(駆動トルク)とに基づき、ロール駆動機構300の新たな駆動条件(PWM値)を設定する。
具体的には、駆動条件設定部42は、複数取得された第1の駆動情報の中から、第2の駆動情報と予め定められた関係を有する第1の駆動情報を特定する。
【0109】
具体的には、駆動条件設定部42は、複数取得された第1の駆動情報(駆動トルク)の中から、第2の駆動情報により特定される値(駆動トルク)との差が予め定められた範囲内に収まる第1の駆動情報(駆動トルク)を特定する。
そして、駆動条件設定部42は、特定したこの第1の駆動情報が得られた際の駆動条件(PWM値)を特定する。そして、駆動条件設定部42は、特定したこの駆動条件(PWM値)に基づき、ロール駆動機構300の新たな駆動条件(PWM値)を設定する。
【0110】
ここで、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速とが等しい場合、印加装置250による電圧の印加がなされている第1の状態と、印加装置250による電圧の印加がなされていない第2の状態とで、ロール駆動機構300の駆動トルクは、変化しない。
このため、第1の状態と第2の状態とで、駆動トルクが異なる場合は、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速とが異なっていると言える。
【0111】
この処理では、第1の状態にて得られる駆動トルクと、第2の状態にて得られる駆動トルクとの差が小さくなり、中間転写ベルト12の周速と二次転写ロール134の周速との差が小さくなる。
言い換えると、この処理を行う前に、第1の駆動情報(駆動トルク)により特定される値と第2の駆動情報(駆動トルク)により特定される値との間に差が生じていても、この処理を行うことで、この差が小さくなる。
【0112】
なお、この処理でも、上記と同様、複数の第1の駆動情報(駆動トルク)が取得される際、印加装置250による電圧の印加がなされている第1の状態が維持されながら、この複数の第1の駆動情報が取得される。
言い換えると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間に電圧の印加がなされている第1の状態が維持されながら、条件が順に変更される。
本実施形態では、ロール駆動機構300を互いに異なる複数の条件の各々で駆動させるにあたり、条件を順に変更していくが、この条件の変更にあたっては、第1の状態が維持されながら、条件が順に変更される。
【0113】
また、上記と同様、第1の状態にて、二次転写ロール134の回転数を変更していく際には(PWM値を変更していく際には)、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するように、ロール駆動機構300を駆動させることが好ましい。
【0114】
また、上記と同様、二次転写ロール134の回転数を上げ他の回転数とした際の駆動トルクの変化量が閾値を超えた場合、以後、二次転写ロール134の回転数が次第に減少するようにロール駆動機構300を駆動させることが好ましい。
二次転写ロール134の回転数を上昇させこの回転数が過大になると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で滑りが生じ、二次転写ロール134に作用する負荷が急減に低下して、駆動トルクが大きく低下する。
この場合、以後、二次転写ロール134の回転数が次第に減少するようにロール駆動機構300を駆動させる。
【0115】
また、二次転写ロール134の回転数を変化させるにあたり、最初に、回転数が次第に減少するように二次転写ロール134を駆動させてもよく、この場合も、PWM値をより小さい他のPWM値とする度に、駆動トルクの変化量を算出して得る。
この場合も、二次転写ロール134の回転数を減少させ他の回転数とした際の駆動トルクの変化量が予め定められた閾値を超えた場合、以後、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するようにロール駆動機構300を駆動させる。
【0116】
二次転写ロール134の回転数を減少させ、この回転数が小さくなると、中間転写ベルト12と二次転写ロール134との間で滑りが生じ、二次転写ロール134に作用する負荷が増加して、駆動トルクが上昇する。
付言すると、中間転写ベルト12から二次転写ロール134への駆動力の供給が行われなくなるため、駆動トルクが上昇する。
【0117】
この場合、以後、二次転写ロール134の回転数が次第に上昇するように、ロール駆動機構300を駆動させる。
さらに、上記と同様、駆動条件設定部42により駆動条件として設定された値(PWM値)が、特定の値を超える場合には、画像形成装置1の故障に関する情報を出力することが好ましい。
【0118】
また、上記と同様、PWM値を変化させず、1つのPWM値の下で、第1の駆動情報(駆動トルク)、第2の駆動情報(駆動トルク)を取得するようにしてもよい。
そして、この第1の駆動情報、第2の駆動情報に基づき、新たなPWM値の設定を行うようにしてもよい。
【0119】
1つのPWM値の下で、第1の駆動情報、第2の駆動情報を取得する態様では、第1の駆動情報(駆動トルク)の方が第2の駆動情報(駆動トルク)より大きい場合、PWM値を下げる。また、第1の駆動情報(駆動トルク)の方が第2の駆動情報(駆動トルク)よりも小さい場合、PWM値を上げる。
また、この処理では、第1の駆動情報、第2の駆動情報として、駆動トルクを取得する場合を説明したが、これ以外に、第1の駆動情報、第2の駆動情報として、例えば、ロール用モータMRの電流値を取得してもよい。
【0120】
(その他)
上記では、ロール駆動機構300の駆動条件を設定するにあたり、ロール用モータMRのPWM値を設定する場合を一例に説明した。
ところで、ロール駆動機構300の駆動条件の設定は、PWM値の設定に限られるものではなく、二次転写ロール134の回転数を変更できるものであれば、他の要素についての設定を行うようにしてもよい。
例えば、ロール駆動機構300に、二次転写ロール134の回転数を減じるための機構(ブレーキなどの機構)がある場合は、この機構についての設定を行うようにしてもよい。
【0121】
また、上記では、中間転写ベルト12が設けられている画像形成装置1における処理を説明したが、これは一例である。
その他に、中間転写ベルト12が設けられておらず、像保持体としての感光体ドラムと、この感光体ドラムに対向配置された転写用部材とを備えた画像形成装置においても、上記にて説明した各処理を行える。
【0122】
また、上記では、第1の駆動情報として、ロール駆動機構300の回転数情報を取得する場合に(
図3(A)参照)、PWM値を変化させて、この第1の駆動情報を取得する場合を説明した。この場合、精度よく第1の駆動情報を取得することができる。
但し、これに限らず(PWM値を変化させることは必須ではなく)、滑りが生じない条件(PWM値)が予め把握できているのであれば、この予め把握できている条件(特定の1つのPWM値)で、第1の駆動情報を取得するようにしてもよい。
【0123】
また、第2の駆動情報として、ロール駆動機構300における駆動トルクを取得する際には(
図7(B)参照)、上記の通り、PWM値を変化させてもよいし、変化させなくてもよい。
PWM値を変化させずに駆動トルク(第2の駆動情報)を取得する場合は、例えば、設計時にあらかじめ採取したPWM値の中心値のように、特定のPWM値を用いる。また、PWM値を変化させて駆動トルク(第2の駆動情報)を取得する場合は、第2の駆動情報の取得をより精度よく行える。
【符号の説明】
【0124】
1…画像形成装置、12…中間転写ベルト、41…駆動情報取得部、42…駆動条件設定部、134…二次転写ロール、200…ベルト駆動機構、300…ロール駆動機構