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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】車両用バッテリ制御システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/633 20140101AFI20240409BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240409BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240409BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240409BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240409BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240409BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20240409BHJP
   B60L 53/66 20190101ALI20240409BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20240409BHJP
【FI】
H01M10/633
H02J7/00 P
H02J7/02 B
H01M10/615
H01M10/6571
H01M10/625
H01M10/48 P
H01M10/48 301
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
B60L58/27
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020073904
(22)【出願日】2020-04-17
(65)【公開番号】P2021170514
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100133916
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 興
(72)【発明者】
【氏名】尾石 元気
(72)【発明者】
【氏名】林 秉譽
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/124489(WO,A1)
【文献】特開2018-026300(JP,A)
【文献】特開2011-238428(JP,A)
【文献】特開2012-085505(JP,A)
【文献】特開2021-175207(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045776(WO,A1)
【文献】特開2017-076544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/633
H02J 7/00
H02J 7/02
H01M 10/615
H01M 10/6571
H01M 10/625
H01M 10/48
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/66
B60L 58/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリの充電量の目標値である目標充電量および前記バッテリの充電を行う時間帯である予約充電時間帯を利用者が設定可能な車両のバッテリ制御システムにおいて、
前記バッテリを昇温可能なバッテリヒータと、
前記バッテリヒータを制御するバッテリヒータ制御手段と、
前記予約充電時間帯の開始時刻における前記バッテリの温度に基づいて、前記バッテリヒータを駆動させずに前記バッテリの充電量を前記目標充電量にするのに必要な充電期間である必要充電期間を算出する算出手段と、
前記車両の外部の利用者に対する情報の通知および当該利用者が行う操作の受付けが可能な操作端末とを備え、
前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻における前記バッテリの温度が所定の判定温度未満で、且つ、算出された前記必要充電期間が前記予約充電時間帯の期間よりも長い場合に、前記バッテリヒータを駆動することを推奨する旨を通知するヒータ駆動推奨通知を行い、
前記バッテリヒータ制御手段は、前記ヒータ駆動推奨通知に従う旨を入力する操作が前記操作端末に対して行われた場合、前記バッテリの充電時に前記バッテリヒータを駆動させる、ことを特徴とする車両用バッテリ制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用バッテリ制御システムにおいて、
前記算出手段は、前記バッテリヒータを駆動させた状態で前記バッテリを充電したときに前記バッテリの充電量を前記目標充電量にするのに必要な充電期間であるヒータ駆動時必要充電期間を算出するとともに、前記バッテリヒータを駆動させずに前記バッテリを充電することで生じる消費電力量であるヒータ停止時消費電力量と前記バッテリヒータを駆動させ且つ前記バッテリを充電することで生じる消費電力量であるヒータ駆動時消費電力量を算出し、
前記操作端末は、前記ヒータ駆動推奨通知を行う際に、算出された前記必要充電期間、前記ヒータ駆動時必要充電期間、前記ヒータ停止時消費電力量および前記ヒータ駆動時消費電力量を、利用者に通知する、ことを特徴とする車両用バッテリ制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用バッテリ制御システムにおいて、
前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻よりも前の時刻に前記ヒータ駆動推奨通知を行う、ことを特徴とする車両用バッテリ制御システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両用バッテリ制御システムにおいて、
前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻における前記バッテリの温度が前記判定温度未満で、且つ、算出された前記必要充電期間が前記予約充電時間帯の期間以下の場合に、前記バッテリヒータを駆動させないことを推奨する旨を通知するヒータ停止推奨通知を行い、
前記バッテリヒータ制御手段は、前記ヒータ停止推奨通知に従う旨を入力する操作が前記操作端末に対して行われた場合、前記バッテリの充電時の前記バッテリヒータの駆動を禁止する、ことを特徴とする車両用バッテリ制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用バッテリ制御システムにおいて、
前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻よりも前の時刻に前記ヒータ停止推奨通知を行う、ことを特徴とする車両用バッテリ制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの充電量の目標値である目標充電量およびバッテリの充電を行う時間帯である予約充電時間帯を利用者が設定可能に構成された車両のバッテリ制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、各種の電気機器に電力を供給するためにバッテリが搭載されている。また、バッテリにより駆動源であるモータが駆動される電気自動車等では、車外の電源からの電力供給によってバッテリの充電が行われるようになっている。
【0003】
ここで、バッテリの温度が低いときはバッテリの充電効率が低く、バッテリの充電時間が長くなる。これに対して、バッテリを昇温させるためのバッテリヒータを車両に搭載して、バッテリヒータによるバッテリの昇温によってバッテリの充電時間を短縮することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1には、バッテリおよびバッテリヒータが搭載された電気自動車であって、外部電源によるバッテリの充電時においてバッテリの温度が低い場合はバッテリヒータを駆動させるようにした自動車が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-29491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の自動車のように、バッテリの充電時にバッテリヒータを駆動させればバッテリの充電速度を早めてこれを適切に充電できる。しかし、特許文献1の自動車では、バッテリの温度が低いことに伴って、利用者の意図とは無関係に自動的にバッテリヒータが駆動される。バッテリヒータが駆動されれば、バッテリヒータが駆動されないときに比べてバッテリの充電中に消費される電力が増大する。そのため、前記の自動車では、利用者が予期せぬ電力消費が発生してしまい、利用者が違和感を覚えるという問題がある。
【0007】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、バッテリを適切に充電しつつ、バッテリ充電時の消費電力に関して利用者が違和感を覚えるのを防止できる車両用バッテリ制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、バッテリの充電量の目標値である目標充電量および前記バッテリの充電を行う時間帯である予約充電時間帯を利用者が設定可能な車両のバッテリ制御システムにおいて、前記バッテリを昇温可能なバッテリヒータと、前記バッテリヒータを制御するバッテリヒータ制御手段と、前記予約充電時間帯の開始時刻における前記バッテリの温度に基づいて、前記バッテリヒータを駆動させずに前記バッテリの充電量を前記目標充電量にするのに必要な充電期間である必要充電期間を算出する算出手段と、前記車両の外部の利用者に対する情報の通知および当該利用者が行う操作の受付けが可能な操作端末とを備え、前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻における前記バッテリの温度が所定の判定温度未満で、且つ、算出された前記必要充電期間が前記予約充電時間帯の期間よりも長い場合に、前記バッテリヒータを駆動することを推奨する旨を通知するヒータ駆動推奨通知を行い、前記バッテリヒータ制御手段は、前記ヒータ駆動推奨通知に従う旨を入力する操作が前記操作端末に対して行われた場合、前記バッテリの充電時に前記バッテリヒータを駆動させる(請求項1)。
【0009】
本発明では、バッテリの温度が低いためにバッテリヒータを駆動させないと予約充電時間帯内でバッテリの充電を完了できない場合に、バッテリヒータを駆動することを推奨する旨の通知(ヒータ駆動推奨通知)が利用者に行われて、この通知後において、利用者によりバッテリヒータを駆動する操作が行われるのに伴ってバッテリヒータが駆動される。そのため、利用者の意図に反してバッテリヒータが駆動されて、利用者の予期せぬ電力消費が発生することを防止できる。また、バッテリヒータが駆動されないことで予約充電時間帯内にバッテリの充電が完了しない場合においても、このことに利用者が違和感を覚えるのを防止できる。
【0010】
前記構成において、好ましくは、前記算出手段は、前記バッテリヒータを駆動させた状態で前記バッテリを充電したときに前記バッテリの充電量を前記目標充電量にするのに必要な充電期間であるヒータ駆動時必要充電期間を算出するとともに、前記バッテリヒータを駆動させずに前記バッテリを充電することで生じる消費電力量であるヒータ停止時消費電力量と前記バッテリヒータを駆動させ且つ前記バッテリを充電することで生じる消費電力量であるヒータ駆動時消費電力量を算出し、前記操作端末は、前記ヒータ駆動推奨通知を行う際に、算出された前記必要充電期間、前記ヒータ駆動時必要充電期間、前記ヒータ駆動時消費電力量および前記ヒータ停止時消費電力量を、利用者に通知する(請求項2)。
【0011】
この構成によれば、利用者に対して、バッテリヒータを駆動させるか否かの判断材料として、バッテリヒータを駆動させるときと停止させるときの各充電時間と各消費電力量とが提示される。そのため、利用者は、自身の意図により合致した判断を行うことができ、利便性が向上する。
【0012】
前記構成において、好ましくは、前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻よりも前の時刻に前記ヒータ駆動推奨通知を行う(請求項3)。
【0013】
この構成によれば、予約充電時間帯の開始時刻からバッテリヒータを駆動させて充電終了時のバッテリの充電量を確実に目標充電量にすること、あるいは、予約充電時間帯の開始時刻からバッテリヒータ停止させて利用者の予期せぬ電力消費が生じるのを確実に防止できる。
【0014】
前記構成において、好ましくは、前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻における前記バッテリの温度が前記判定温度未満で、且つ、算出された前記必要充電期間が前記予約充電時間帯の期間以下の場合に、前記バッテリヒータを駆動させないことを推奨する旨を通知するヒータ停止推奨通知を行い、前記バッテリヒータ制御手段は、前記ヒータ停止推奨通知に従う旨を入力する操作が前記操作端末に対して行われた場合、前記バッテリの充電時の前記バッテリヒータの駆動を禁止する(請求項4)。
【0015】
この構成では、バッテリの温度が低いことからバッテリヒータを駆動した方が充電時間を確実に短くできる一方、バッテリヒータを駆動させなくても設定された予約充電時間帯内にバッテリの充電を完了できる場合に、バッテリヒータを駆動させないことを推奨する旨の通知(ヒータ停止推奨通知)が利用者に行われて、この通知後における利用者の操作によって、バッテリヒータの駆動と停止とが切り替えられる。そのため、前記の場合においても、バッテリヒータの駆動状態を利用者の意図に合致した適切な状態にできる。
【0016】
前記構成において、好ましくは、前記操作端末は、前記予約充電時間帯の開始時刻よりも前の時刻に前記ヒータ停止推奨通知を行う(請求項5)。
【0017】
この構成によれば、予約充電時間帯の開始時刻からバッテリヒータを駆動させて充電終了時のバッテリの充電量を確実に目標充電量にすること、あるいは、予約充電時間帯の開始時刻からバッテリヒータ停止させて利用者の予期せぬ電力消費が生じるのを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明の車両用バッテリ制御システムによれば、バッテリを適切に充電しつつ、利用者の予期せぬ電力消費や充電不足が生じるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る車両用バッテリ制御システムの概略構成を示す図である。
図2】車両用バッテリ制御システムの制御系統を示したブロック図である。
図3】バッテリの充電制御の手順の前半を示したフローチャートである。
図4】バッテリの充電制御の手順の後半を示したフローチャートである。
図5】バッテリの温度と充電速度との関係を示したグラフである。
図6】操作端末のモニタの表示例を示した図である。
図7】ヒータ駆動推奨通知実施時の操作端末のモニタの表示例を示した図である。
図8】ヒータ停止推奨通知実施時の操作端末のモニタの表示例を示した図である。
図9】バッテリ充電時の各パラメータの時間変化を示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(車両用バッテリ制御システムの概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る車両用バッテリ制御システム1の概略構成を示す図である。図2は、車両用バッテリ制御システム1の制御系統を示すブロック図である。以下では、車両用バッテリ制御システム1を、バッテリ制御システム1という。バッテリ制御システム1は、車両100の外部に設けられたセンター装置20と、操作端末30と、車両100にそれぞれ搭載されたバッテリ10、バッテリヒータ12およびバッテリ制御ユニット14を備える。
【0021】
本実施形態の車両100は、四輪自動車であり、車体101と、車体101を支持する複数(4つ)の車輪103と、車輪103を回転駆動するための駆動源104を備える。また、車両100は電気自動車であり、車両100には、駆動源104としてモータ104が搭載されている。車両100には、モータ104のオン/オフを切り替えるパワースイッチSW1が設けられており、パワースイッチSW1がオン操作されるとモータ104は駆動され、パワースイッチSW1がオフ操作されるとモータ104の駆動は停止される。
【0022】
バッテリ10は、モータ104を含む車両100に搭載された各種の電気機器に電力を供給する。バッテリ10には、バッテリ10の温度を検出するためのバッテリ温度センサSN1が内蔵されている。バッテリ10の具体的な種類は限定されるものではないが、例えば、バッテリ10としてリチウムイオンバッテリが用いられる。
【0023】
バッテリ10は、パワースイッチSW1がオフされている状態において、車外に設けられた電源(以下、適宜、外部電源という)から充電されるようになっている。外部電源によって車両100内のバッテリ10を充電させる構成としては、従来の構成が用いられればよく、ここでは簡単に説明する。車両100には、バッテリ10と接続されるとともに、充電ケーブル302を介して外部電源301と接続される充電器17が設けられている。また、車両100には、充電器17とバッテリ10との間の通電状態を通電可能状態と通電不能状態とに切り替える通電切替装置18が設けられている。充電ケーブル302が外部電源301および充電器17に接続されている状態で、通電切替装置18によって前記の通電状態が通電可能状態とされると外部電源301からバッテリ10に電力が供給され、バッテリ10が充電される。
【0024】
バッテリヒータ12は、バッテリ10を昇温させるための装置である。バッテリヒータ12は、バッテリ10からの電力供給によりバッテリ10を昇温させる。なお、バッテリ10の充電時は、外部電源301からバッテリ10に電力が供給されており、バッテリ10を介して外部電源301からバッテリヒータ12に電力が供給されることになる。
【0025】
バッテリ制御ユニット14は、バッテリヒータ12および通電切替装置18を制御する装置であり、CPU、メモリ等を備える。バッテリヒータ12はバッテリ制御ユニット14からの指令を受けて駆動あるいは駆動停止する。通電切替装置18はバッテリ制御ユニット14からの指令を受けて、充電器17とバッテリ10との間の通電状態を通電可能状態と通電不能状態との間で切り替える。このバッテリ制御ユニット14は、請求項の「バッテリヒータ制御手段」に相当する。
【0026】
バッテリ制御ユニット14は、バッテリ10を流れる電流および電圧をそれぞれ検出するためのセンサ(不図示)と電気的に接続されており、バッテリ制御ユニット14には、これらセンサにより検出されたバッテリ10の電流・電圧の情報が入力される。バッテリ制御ユニット14は、このバッテリ10の電流・電圧の情報に基づいて、バッテリ10の充電量を算出する。本実施形態では、劣化していないバッテリ10が満充電されているときのバッテリ10の容量に対する現在のバッテリ10の容量の割合(%)が、バッテリ10の充電量として算出される。
【0027】
本実施形態の車両100では、バッテリ10を充電する時間帯である予約充電時間帯を利用者が設定(予約)できるようになっている。また、バッテリ10の充電量の目標値である目標充電量を利用者が設定できるようになっている。具体的には、車両100に設けられた操作装置(不図示)に対して利用者が予約充電時間帯および目標充電量を入力するようになっている。バッテリ制御ユニット14は、利用者により入力された予約充電時間帯および目標充電量をこの操作装置から受け取って記憶する。
【0028】
バッテリ制御ユニット14は、予約充電時間帯に突入すると、つまり、設定された予約充電時間帯の開始時刻になると、通電切替装置18に、前記の通電状態を通電不能状態から通電可能状態に切り替えさせる。これより、予約充電時間帯に突入すると、外部電源301によるバッテリ10の充電が開始される。なお、バッテリ制御ユニット14は、時計機能を有している。
【0029】
そして、バッテリ制御ユニット14は、バッテリ10の電流・電圧の情報に基づいて算出したバッテリ10の充電量が目標充電量に到達すると、通電切替装置18に、前記の通電状態を通電可能状態から通電不能状態に切り替えさせる。また、バッテリ制御ユニット14は、バッテリ10の充電量が目標充電量に到達していない場合であっても、設定された予約充電時間帯の終了時刻になると、通電切替装置18に、前記の通電状態を通電可能状態から通電不能状態に切り替えさせる。これより、バッテリ10の充電量が目標充電量に到達する、あるいは、予約充電時間帯の終了時刻になると、外部電源301によるバッテリ10の充電は停止する。
【0030】
また、バッテリ制御ユニット14は、バッテリ温度センサSN1と電気的に接続されており、バッテリ制御ユニット14には、バッテリ温度センサSN1により検出されたバッテリ10の温度の情報が入力される。以下では、適宜、バッテリ温度センサSN1により検出されたバッテリ10の温度を、バッテリ温度という。さらに、バッテリ制御ユニット14は、パワースイッチSW1とも電気的に接続されており、バッテリ制御ユニット14にはパワースイッチSW1の操作状況の情報も入力される。
【0031】
センター装置20は、車両100と無線による相互通信が可能な装置である。具体的には、車両100には、センター装置20と無線による相互通信が可能な車両側通信ユニット16が設けられており、車両側通信ユニット16とセンター装置20とが電気通信回線200を介して互いに無線通信する。
【0032】
センター装置20は、CPU、メモリ等を備えるサーバを備え、車両100から送信された車両100に係る各種の情報を記憶するとともに、各種の演算を行って車両100に指令を出す。本実施形態では、少なくとも、パワースイッチSW1の操作状況、バッテリ温度センサSN1により検出されたバッテリ温度、バッテリ制御ユニット14により算出されたバッテリ10の充電量およびバッテリ制御ユニット14が記憶している予約充電時間帯が、車両100から定期的にセンター装置20に送信される。また、充電器17と外部電源301との接続状況もセンター装置20に送信される。詳細には、車両側通信ユニット16とバッテリ制御ユニット14とが電気的に接続されており、バッテリ制御ユニット14と車両側通信ユニット16とを介して、前記の各情報がセンター装置20に送信される。また、車両側通信ユニット16を介してセンター装置20からバッテリ制御ユニット14にも各種の信号が送信される。このセンター装置20は、請求項の「算出手段」に相当する。
【0033】
操作端末30は、センター装置20と無線による相互通信が可能な装置であって、利用者に対して各種情報の通知が可能、且つ、利用者による車両100に対する操作を含む各種の操作が可能な(つまり、利用者が行う操作の受付けが可能な)装置である。操作端末30も、電気通信回線200を介してセンター装置20と無線通信する。前記のように、センター装置20は車両100(車両側通信ユニット16)と相互通信可能であり、操作端末30は、センター装置20を介して車両100と通信可能となっている。操作端末30は、各種の表示が可能なモニタ31を有しており、このモニタ31に、各種の通知が表示されるとともに操作スイッチ等が表示される。本実施形態では、操作端末30として、利用者が携帯可能なスマートフォンが用いられている。この操作端末30は、請求項の「操作端末」に相当する。
【0034】
電気通信回線200は、車両100とセンター装置20、および、センター装置20と操作端末30とを無線通信させることができる回線であればよく、その種類は限定されるものではないが、本実施形態では、電気通信回線200として、電気通信事業者(通信キャリア)が提供する公衆移動体通信網、インターネット、WAN(Wide Area Network)、およびLAN(Local Area Network)等が用いられる。つまり、車両側通信ユニット16、センター装置20、操作端末30は、それぞれ、3G、4G、5G、LTE、GSM(Global System for Mobile communication)などのキャリア通信機能を有している。
【0035】
(バッテリ充電制御)
次に、本実施形態の特徴的な構成であるバッテリ10の充電制御ついて説明する。図3は、この制御手順の前半部分を示したフローチャートであり、図4は、この制御手順の後半部分を示したフローチャートである。この充電制御は、バッテリ制御ユニット14、センター装置20および操作端末30との連携によって実施されるが、図3図4のフローチャートは主としてセンター装置20が実施する内容を示している。
【0036】
まず、ステップS1にて、センター装置20は、パワースイッチSW1がオフであり、且つ、外部電源301と充電器17とが接続されているという条件を含む外部充電許可条件が成立しているか否かを判定する。ステップS1の判定がNOであって外部充電許可条件が非成立の場合は、センター装置20は再びステップS1を実施する。一方、ステップS1の判定がYESであって外部充電許可条件が成立している場合は、センター装置20は、ステップS2に進む。
【0037】
センター装置20は、ステップS2にて、利用者による予約充電時間帯の設定がなされているという条件、および、予約充電時間帯までの時間が所定の演算期間よりも長いという条件がともに成立しているか否かを判定する。演算期間は、予め設定されてセンター装置20に記憶されている。例えば、演算期間は1時間30分に設定されている。
【0038】
具体的には、センター装置20は、予約充電時間帯がバッテリ制御ユニット14から送信されていない場合は、予約充電時間帯の設定がなされていないと判定する。また、センター装置20は、現在時刻から予約充電時間帯の開始時刻までの時間を算出し、この算出時間が演算期間よりも長いか否かを判定する。なお、センター装置20は時計機能を有している。
【0039】
ステップS2の判定がNOであって、予約充電時間帯の設定がなされていない、あるいは、予約充電時間帯までの時間が演算期間以下の場合は、センター装置20は、ステップS1に戻る。一方、ステップS2の判定がYESであって予約充電時間帯の設定がなされており、且つ、予約充電時間帯までの時間が演算期間よりも長い場合は、センター装置20は、ステップS3に進む。なお、予約充電時間帯までの時間が演算期間以下の場合は、センター装置20は、予約充電時間帯に突入するのに伴ってバッテリヒータ12を駆動することなくバッテリ10を充電する等の他の処理を行う。
【0040】
ステップS3にて、センター装置20は、バッテリ温度が所定の判定温度未満であるか否かを判定する。判定温度は、予め設定されてセンター装置20に記憶されている。例えば、判定温度は、0℃に設定されている。
【0041】
ステップS3の判定がNOであってバッテリ温度が判定温度以上の場合、センター装置20は、ステップS20に進み、ヒータ駆動・停止フラグを0に設定する。ヒータ駆動・停止フラグについては後述する。
【0042】
一方、ステップS3の判定がYESであってバッテリ温度が判定温度未満の場合、ステップS4にて、センター装置20は、必要充電期間とヒータ駆動時必要充電期間を算出する。
【0043】
必要充電期間は、バッテリヒータ12を駆動させずにバッテリ10の充電量を目標充電量にするのに必要なバッテリ10の充電期間である。センター装置20は、予約充電時間帯の開始時刻におけるバッテリ10の温度に基づいて必要充電期間を算出する。以下では、適宜、予約充電時間帯の開始時刻におけるバッテリ10の温度を、充電開始バッテリ温度という。
【0044】
本実施形態では、センター装置20は、まず、現在のバッテリ温度と、気象予報機関から入手した気象条件であって今後予想される気象条件に基づいて充電開始バッテリ温度を推定する。
【0045】
次に、センター装置20は、充電開始バッテリ温度に基づいてバッテリ10の充電速度を算出する。具体的には、図5に示すように、バッテリ10の温度が低い方がバッテリ10の充電速度は遅くなる。センター装置20には、図5に示すマップであって予め設定されたバッテリ10の温度に対するバッテリ10の充電速度が記憶されている。センター装置20は、このマップから、充電開始バッテリ温度に対応するバッテリ10の充電速度を抽出し、抽出した充電速度と、バッテリ10の現在の充電量と目標充電量との差とに基づいて必要充電期間を算出する。詳細には、センター装置20は、バッテリ10の現在の充電量と目標充電量との差を、抽出した充電速度で割った値を必要充電期間として算出する。
【0046】
ヒータ駆動時必要充電期間は、バッテリヒータ12を駆動させた状態でバッテリ10の充電量を目標充電量にするのに必要な充電期間である。バッテリヒータ12は、バッテリ10の温度を基準温度Tb以上の温度まで高めるようになっており、バッテリヒータ12を駆動させれば、バッテリ10の温度は図5に示す基準温度Tb以上まで上昇する。バッテリ10の温度が基準温度Tb以上では、バッテリ10の充電速度はほぼ一定の速度になる。センター装置20には、バッテリ10の温度が基準温度Tb以上のときのバッテリ10の充電速度が予め設定されて記憶されている。センター装置20は、目標充電量から、バッテリ10の現在の充電量と目標充電量の差と、バッテリヒータ12の駆動により消費されるバッテリ10の充電量(バッテリヒータ12によってバッテリ10を基準温度Tb以上まで昇温させるのに消費されるバッテリ10の充電量)との合計量を、記憶しているバッテリ10の温度が基準温度Tb以上の充電速度で割った値を、ヒータ駆動時必要充電期間として算出する。なお、センター装置20は、バッテリヒータ12の駆動により消費されるバッテリ10の充電量を、バッテリ10の温度が低いときの方が高いときよりも多くなるように算出する。また、基準温度Tbは判定温度よりも高く、判定温度未満のときのバッテリ10の充電速度に比べて、基準温度Tb以上のときのバッテリ10の充電速度は十分に高い。これより、充電開始バッテリ温度が判定温度未満で、且つ、バッテリ10の現在の充電量と目標充電量との差が同じ場合、ヒータ駆動時必要充電期間は必要充電期間よりも短くなる。
【0047】
ステップS4の後はステップS5にて、センター装置20は、ヒータ駆動時消費電力量とヒータ停止時消費電力量を算出する。ヒータ停止時消費電力量は、バッテリヒータ12を駆動させずにバッテリ10を充電することで生じる消費電力量である。ヒータ駆動時消費電力量は、バッテリヒータ12を駆動させ且つバッテリ10を充電することで生じる消費電力量である。
【0048】
バッテリ10の温度が低い方が、バッテリ10の内部抵抗が大きくなることで、バッテリ10の充電に消費される電力量は小さくなる。これより、センター装置20は、充電開始バッテリ温度が低いときの方が高いときよりもヒータ停止時消費電力量が小さくなるように、ヒータ停止時消費電力量を算出する。
【0049】
また、センター装置20は、バッテリ10の充電のみによって生じる消費電力量と、バッテリヒータ12の駆動によって生じる消費電力量との合計量を、ヒータ駆動時消費電力量として算出する。前記のように、バッテリヒータ12を駆動させた場合は、バッテリ10の温度が基準温度Tb以上まで高められることで、バッテリ10の充電に消費される電力量は充電開始バッテリ温度に関わらずほぼ一定となる。これより、ヒータ駆動時消費電力量の計算では、センター装置20は、バッテリ10の充電に消費される電力量として、予め設定されて記憶している基準電力量を用いる。一方、バッテリヒータ12は、前記のようにバッテリ10の温度を基準温度Tb以上の温度まで高めるようになっており、バッテリ10の温度が低いときの方が高いときよりも高い電力を消費する。これより、センター装置20は、充電開始バッテリ温度が低いときの方が高いときよりもバッテリヒータ12の駆動によって生じる消費電力量が大きくなるようにこれを算出する。そして、センター装置20は、算出したバッテリヒータ12の駆動に伴う消費電力量と基準電力量との合計量を、ヒータ駆動時消費電力量として算出する。
【0050】
ステップS5の後はステップS6にて、センター装置20は、通知時刻になったか否かを判定する。通知時刻は、予約充電時間帯の開始時刻の所定時間前の時刻である。所定時間は、予め設定されてセンター装置20に記憶されている。センター装置20は、充予約充電時間帯の開始時刻の所定時間前の時刻を演算し、得られた時刻を通知時刻として記憶する。そして、ステップS6にて、センター装置20は、現在時刻が通知時刻になったか否かを判定する。前記の所定時間は、前記の演算時間よりも短い時間に設定されており、例えば、1時間に設定されている。
【0051】
ステップS6の判定がNOであって通知時刻になっていない場合は、センター装置20は、ステップS6を繰り返す。そして、センター装置20は、通知時刻なってステップS6の判定がYESになると、ステップS7に進む。
【0052】
ステップS7にて、センター装置20は、ステップS4で算出した必要充電期間が、予約充電時間帯の期間である充電予定期間(つまり予約充電時間帯の開始時刻から終了時刻までの期間)よりも長いか否かを判定する。
【0053】
ステップS7の判定がYESであって、センター装置20により、必要充電期間が充電予定期間よりも長いと判定された場合(バッテリヒータ12を停止したままでは予約充電時間帯内でバッテリ10の充電量を目標充電量にできないと判定された場合)は、ステップS8にて、操作端末30は、利用者に対して、バッテリヒータ12を駆動することを推奨する旨の通知であるヒータ駆動推奨通知を行う。また、ステップS8にて、操作端末30は、利用者に対して、ステップS4で算出された必要充電期間およびヒータ駆動時必要充電期間、ステップS5で算出されたヒータ停止時消費電力量およびヒータ駆動時消費電力量を通知する。具体的には、必要充電期間が充電予定期間よりも長いと判定すると、センター装置20は、操作端末30に、ヒータ駆動推奨通知を行うように指令を出すとともに、算出した必要充電期間、ヒータ駆動時必要充電期間、ヒータ停止時消費電力量およびヒータ駆動時消費電力量を操作端末30に送信してこれらを通知するように指令を出す。操作端末30は、これらの指令を受けてヒータ駆動推奨通知を行うとともに前記の各情報を利用者に通知する。
【0054】
本実施形態では、前記の指令を受けると、まず、図6に示すように、操作端末30は、センター装置20から通知がある旨を表す言葉や図形からなる第1表示X1をモニタ31上に表示する。図6の例では、第1表示X1は、「センター通知あり」という文言からなる。
【0055】
そして、第1表示X1の表示箇所が押圧操作されるの伴って、図7に示すように、操作端末30は、バッテリヒータ12を駆動することを推奨する旨を表す文言等からなる第2表示X2をモニタ31に表示する。本実施形態では、この第2表示X2のモニタ31への表示が、ヒータ駆動推奨通知に相当する。図7の例では、第2表示X2は、「バッテリヒータONでの充電をお勧めします」という文言からなる。
【0056】
また、操作端末30は、必要充電期間およびヒータ駆動時必要充電期間を表す第3表示X3と、ヒータ停止時消費電力量およびヒータ駆動時消費電力量を表す第4表示X4とを、モニタ31上に表示する。図7の例では、第3表示X3として、「充電時間」という文言の下に、「バッテリヒータON」という文言とヒータ駆動時必要充電期間(図7の例では1時間)とが関連付けて表示されるとともに、「バッテリヒータOFF」という文言と必要充電期間(図7の例では7時間)とが関連付けて表示される。また、図7の例では、第4表示X4として、「消費電力量」という文言の下に、「バッテリヒータON」という文言とヒータ駆動時消費電力量(図7の例では39W/h)とが関連付けて表示されるとともに、「バッテリヒータOFF」という文言とヒータ停止時消費電力量(図7の例では37W/h)とが関連付けて表示される。
【0057】
また、操作端末30は、第2表示X2~第4表示X4とともに、バッテリヒータ12の駆動させるためのスイッチとして機能する第5表示X5と、バッテリヒータ12を駆動させないためのスイッチとして機能する第6表示X6とを、モニタ31に表示する。図7の例では、第5表示X5は、所定の枠内に「OK バッテリヒータ駆動」という文言が記された表示からなる。第6表示X6は、所定の枠内に「NO バッテリヒータ停止」という文言が記された表示からなる。
【0058】
さらに、本実施形態では、第2表示X2~第6表示X6とともに、モニタ31上に、バッテリ10に係る情報として、現在のバッテリ10の温度、バッテリ残量(バッテリ10の充電量)、目標充電量および充電時間帯(予約充電時間帯)を表す第7表示X7もモニタ31上に表示される。
【0059】
一方、ステップS7の判定がNOであって、センター装置20により、必要充電期間が充電予定期間以下であると判定された場合(バッテリヒータ12を停止した状態であっても予約充電時間帯内でバッテリ10の充電量を目標充電量にできると判定された場合)は、ステップS9にて、操作端末30は、利用者に対して、バッテリヒータ12を停止する(バッテリヒータ12の駆動停止を維持する)ことを推奨する旨の通知であるヒータ停止推奨通知を行う。具体的には、必要充電期間が充電予定期間以下であると判定すると、センター装置20は、操作端末30に、ヒータ停止推奨通知を行うように指令を出す。この指令を受けて操作端末30はヒータ停止推奨通知を行う。また、ステップS9にて、操作端末30は、ステップS8と同様に、利用者に対して、必要充電期間、ヒータ駆動時必要充電期間、ヒータ停止時消費電力量およびヒータ駆動時消費電力量を通知する。
【0060】
ステップS8と同様にステップS9においても、操作端末30は、前記の指令を受けると、まず、図6に示す第1表示X1をモニタ31上に表示する。一方、ステップS9では、第1表示X1の表示箇所が押圧操作されるの伴って、図8に示すように、操作端末30は、バッテリヒータ12を停止することを推奨する旨を表す文言等からなる第10表示X10をモニタ31に表示する。本実施形態では、この第10表示X10のモニタ31への表示が、ヒータ停止推奨通知に相当する。図8の例では、第10表示X10は、「バッテリヒータOFFでの充電をお勧めします」という文言からなる。
【0061】
また、ステップS8と同様にステップS9においても、操作端末30は、必要充電期間およびヒータ駆動時必要充電期間を表す第3表示X3と、ヒータ停止時消費電力量およびヒータ駆動時消費電力量を表す第4表示X4とを、モニタ31上に表示する。さらに、操作端末30は、図7と同様に、バッテリ10に係る情報を表す第7表示X7を表示するとともに、バッテリヒータ12の駆動させるためのスイッチとして機能する第5表示X5と、バッテリヒータ12を駆動させないためのスイッチとして機能する第6表示X6とを、モニタ31に表示する。
【0062】
ステップS8あるいはステップS9の後はステップS10にて、センター装置20は、利用者によってバッテリヒータ12を駆動するための操作が行われたか否かを判定する。具体的には、操作端末30は、第5表示X5が押圧操作されたか否かを判定して、その判定結果をセンター装置20に送信し、センター装置20は受け取った判定結果を用いてステップS10の判定を行う。
【0063】
ここで、第5表示X5はバッテリヒータ12の駆動させるためのスイッチとして機能する。ステップS8ではヒータ駆動推奨通知が行われている。これより、ステップS8でのヒータ駆動推奨通知の後に行われる第5表示X5の押圧操作は、利用者によりヒータ駆動推奨通知に従う旨の入力操作が行われたことを意味する。一方、ステップS8でのヒータ駆動推奨通知の後に行われる第6表示X6の押圧操作は、利用者によりヒータ駆動推奨通知に従わない旨の入力操作が行われたことを意味する。
【0064】
また、ステップS9ではヒータ停止推奨通知が行われている。これより、ステップS9でのヒータ停止推奨通知の後に行われる第5表示X5の押圧操作は、利用者によりヒータ停止推奨通知に従わない旨の入力操作が行われたことを意味し、ステップS9でのヒータ停止推奨通知の後に行われる第6表示X6の押圧操作は、利用者によりヒータ停止推奨通知に従う旨の入力操作が行われたことを意味する。
【0065】
センター装置20は、操作端末30から、第5表示X5が押圧操作されたとの判定結果を受け取ると、ステップS10の判定がYESであってバッテリヒータ12を駆動するための操作が行われたと判定する。そして、この場合は、センター装置20は、ステップS11にて、ヒータ駆動・停止フラグを1に設定する。
【0066】
一方、センター装置20は、第5表示X5が押圧操作されたとの判定結果が操作端末30から送信されなかった場合(第5表示X5ではなく第6表示X6が押圧操作された場合を含む)は、ステップS10の判定がNOであってバッテリヒータ12を駆動するための操作が行われなかったと判定する。そして、この場合は、センター装置20は、ステップS12にて、ヒータ駆動・停止フラグを0に設定する。
【0067】
このように、ヒータ駆動・停止フラグは、バッテリヒータ12を駆動させるための操作があったか否かを表すフラグであり、利用者により第5表示X5が押圧操作されてバッテリヒータ12を駆動させるための操作が行われた場合に1となり、その他の場合には0となる。
【0068】
ステップS11、ステップS12またはステップS20の後はステップS13にて、センター装置20は、予約充電時間帯に突入したか否かを判定する。ステップS13の判定がNOであってまだ予約充電時間帯に突入していない場合は、センター装置20はステップS13を繰り返し、予約充電時間帯に突入するのを待つ。そして、ステップS13の判定がYESとなって予約充電時間帯に突入すると、センター装置20は、ステップS14に進み、ヒータ駆動・停止フラグが1であるか否かを判定する。
【0069】
ステップS14の判定がYESであってヒータ駆動・停止フラグが1の場合、センター装置20は、ステップS15にて、バッテリヒータ12を駆動させる。具体的には、センター装置20は、車両側通信ユニット16を介してバッテリ制御ユニット14に、バッテリヒータ12の駆動を開始させるように指令を出す。この指令を受けて、バッテリ制御ユニット14は、バッテリヒータ12の駆動を開始する。ここで、前記のように、予約充電時間帯に突入するとバッテリ制御ユニット14はバッテリ10の充電を開始させるようになっている。これより、ステップS15では、バッテリヒータ12が駆動されつつバッテリ10の充電が行われることになる。
【0070】
一方、ステップS14の判定がNOであってヒータ駆動・停止フラグが1ではない場合、つまり、ヒータ駆動・停止フラグが0の場合、センター装置20は、ステップS16にて、バッテリヒータ12の停止を維持する。具体的には、センター装置20は、バッテリ制御ユニット14に、バッテリヒータ12の駆動を禁止するように指令を出す。この指令を受けて、バッテリ制御ユニット14は、バッテリヒータ12の停止を維持する。前記のように、予約充電時間帯に突入するのに伴ってバッテリ10の充電は開始するようになっており、ステップS16では、バッテリヒータ12の駆動が停止した状態でバッテリ10の充電が行われることになる。
【0071】
ステップS15、ステップS16の後の処理の図示は省略するが、前記のように、バッテリ10の充電量が目標充電量に到達する、あるいは、予約充電時間帯の終了時刻になると、外部電源301によるバッテリ10の充電は停止され、これとともにバッテリヒータ12の駆動も停止される。また、ヒータ駆動・停止フラグも0にリセットされる。
【0072】
(作用等)
以上のように、本実施形態では、バッテリ温度が判定温度未満で、且つ、必要充電期間が充電予定期間よりも長い場合、つまり、バッテリヒータ12を駆動しないと予約充電時間帯内でバッテリ10の充電量を目標充電量に到達させるのが不可能と考えられる場合に、利用者に対してバッテリヒータ12を駆動することを推奨する旨を通知するヒータ駆動推奨通知が行われる。そのため、利用者に対してバッテリヒータ12を駆動しないとバッテリ10の充電量を目標充電量に到達させることができないことを認識させること、および、利用者によるバッテリヒータ12の駆動を促進できる。そして、このヒータ駆動推奨通知の後に、利用者によりバッテリヒータ12を駆動するか否かの判断が行われて、その判断結果に基づいてバッテリヒータ12が駆動あるいは駆動停止される。そのため、バッテリヒータ12の駆動に伴って利用者の予期せぬ電力消費が生じることを防止できるとともに、バッテリヒータ12が駆動されないことで予約充電時間帯内にバッテリ10の充電が完了しない場合に利用者が違和感を覚えるのを防止できる。
【0073】
図9を用いて具体的に説明する。図9は、バッテリ温度が判定温度未満で、且つ、必要充電期間が充電予定期間よりも長い場合に前記のバッテリ充電制御を実施したときの各パラメータの時間変化を模式的に示したタイムチャートである。時刻t1にてパワースイッチSW1がオフにされた後、予約充電時間帯の開始時刻t3よりも演算時間前の時刻になると、センター装置20によって前記のステップS3~S6が実施される。前記のように、バッテリ温度が判定温度未満で、且つ、必要充電期間が充電予定期間よりも長い場合は、通知時刻t2になると、ヒータ駆動推奨通知が操作端末30によって利用者に通知される。
【0074】
ここで、利用者が、バッテリヒータ12の駆動に伴う消費電力量の増大よりもバッテリ10の充電量を多くすることを優先する場合、利用者は、バッテリヒータ12を駆動することを選択すればよい(前記の第5表示X5を押圧操作すればよい)。この選択が行われると、時刻t2にて、図9の実線に示すようにヒータ駆動・停止フラグが1となり、予約充電時間帯の開始時刻t3にてバッテリヒータ12が駆動されるとともにバッテリ10の充電が開始される。そして、この場合には、バッテリ10の充電速度が高められて、予約充電時間帯の終了時刻t5での充電量が確保される。図例では、予約充電時間帯の終了時刻t5よりも前の時刻t4にてバッテリ10の充電量が目標充電量に到達することになる。ただし、この場合は、バッテリヒータ12の駆動によって消費電力量は大きくなる。しかし前記のようにヒータ駆動推奨通知が通知され、且つ、その後の利用者の操作によって、バッテリヒータ12が駆動されていることで、利用者がこの消費電力量の増大に対して違和感を覚えるのが抑制される。
【0075】
一方、利用者が、バッテリ10の充電量を多くすることよりもバッテリヒータ12の駆動に伴う消費電力量の増大回避を優先する場合、利用者は、バッテリヒータ12を駆動しないことを選択すればよい(前記の第6表示X6を押圧操作すればよい)。この選択が行われると、図9の鎖線に示すようにヒータ駆動・停止フラグは0のままとされ、予約充電時間帯の開始時刻t3にてバッテリヒータ12が駆動されることなくバッテリ10の充電が開始される。バッテリヒータ12が駆動されないことで、図9の実線との比較から明らかなように、消費電力量は小さく抑えられる。ただし、この場合は、予約充電時間帯の終了時刻t5において、バッテリ10の充電量が目標充電量に到達しないままバッテリ10の充電が終了してしまう。しかし、前記のようにヒータ駆動推奨通知が通知され、且つ、その後の利用者の操作によってバッテリヒータ12の駆動が停止されていることで、バッテリ10の充電量が目標充電量に到達していないことについて利用者が違和感を覚えるのが抑制される。
【0076】
また、前記実施形態では、前記のヒータ駆動推奨通知を行う際に、合わせて、必要充電期間、ヒータ駆動時必要充電期間、ヒータ駆動時消費電力量およびヒータ停止時消費電力量、つまり、バッテリヒータ駆動時と停止時の各パターンについてのバッテリ10の充電時間およびバッテリ10の充電時に生じる消費電力量が、利用者に通知される。そのため、利用者は、バッテリヒータ12を駆動させるか否かの判断を行う際に、自身の車両利用状況や自身の意図に合致した判断を行うことができ、利便性が高められる。
【0077】
また、前記実施形態では、バッテリ温度が判定温度未満で、且つ、必要充電期間が充電予定期間未満の場合、つまり、バッテリヒータ12を停止したままでも予約充電時間帯内にバッテリ10の充電量を目標充電量に到達させるのが可能と考えられる場合に、利用者に対してバッテリヒータ12を停止することを推奨する旨を通知するヒータ停止推奨通知が行われる。そのため、利用者に対してバッテリヒータ12を駆動しなくてもバッテリ10の充電量を目標充電量に到達させることができることを認識させること、および、利用者によるバッテリヒータ12の停止を促進できる。そして、利用者により、バッテリヒータ12を駆動するか否かの判断が行われ、その判断結果に基づいてバッテリヒータ12が駆動あるいは駆動停止される。そのため、バッテリヒータ12を停止したままでも予約充電時間帯内にバッテリ10の充電量を目標充電量に到達させることが可能であることを利用者に認識させつつ、バッテリ10の状態を利用者の車両利用状況や利用者の意図に合致した状態にすることができる。
【0078】
例えば、予約充電時間帯の途中に車両100を走行させる可能性があってバッテリ10の充電量が早期に増大されることを利用者が望み、必要充電期間が充電予定期間未満であってもバッテリ温度が判定温度未満であることからバッテリ10を昇温させることが望ましい場合がある。前記実施形態によれば、このような場合において、利用者がバッテリヒータ12の駆動を選択することができる。そのため、前記のように、バッテリヒータ12の駆動状態を利用者の車両利用状況や利用者の意図に合致した状態にできる。
【0079】
また、前記実施形態では、予約充電時間帯の開始時刻よりも所定時間前の通知時刻に、前記のヒータ駆動推奨通知およびヒータ停止推奨通知が利用者に通知される。これより、予約充電時間帯に突入するよりも前に、バッテリヒータ12を駆動させるか否かの決定が可能となる。従って、予約充電時間帯の開始時刻からバッテリヒータ12を駆動させて確実に充電終了時のバッテリ10の充電量を多くすること、あるいは、予約充電時間帯の開始時刻からバッテリヒータ12を停止させて利用者の予期せぬ電力消費を確実に少なく抑えることができる。
【0080】
(変形例)
前記実施形態では、操作端末30としてスマートフォンが用いられる場合を説明したが、操作端末30は、センター装置20と無線による相互通信が可能な装置であって、利用者に対して各種の通知が可能、且つ、利用者による車両100に対する操作を含む各種の操作が可能な装置であればよい。例えば、操作端末30として、携帯電話機、タブレット端末、ノートPC等が用いられてもよい。また、操作端末30は、利用者が携帯可能な装置に限らず、利用者が居住する建物に設置された装置であってもよい。
【0081】
また、センター装置20を省略して、センター装置20が行う各種の演算処理を操作端末30が直接行ってもよい。また、バッテリ制御ユニット14等の車両100に搭載された装置が、センター装置20が行う各種の演算処理を行うように構成してもよい。
【0082】
また、操作端末30のモニタ31に表示される具体的な内容は前記に限らない。
【0083】
また、前記実施形態では、判定温度と比較する(ステップS3の判定に用いる)予約充電時間帯の開始時刻におけるバッテリ10の温度として、バッテリ温度センサSN1で検出されたバッテリ10の温度に基づく推定値を用いた場合を説明したが、前記の予約充電時間帯の開始時刻におけるバッテリ10の温度として、バッテリ温度センサSN1で検出されたバッテリ10の温度そのものを用いてもよい。また、予約充電時間帯の開始時刻におけるバッテリ10の温度として、車両100に別途設けられた外気温センサにより検出された外気温を用いてもよい。また、車外に設けられた気象予測を行ってその予測結果を送信する装置から発せられた予約充電時間帯の開始時刻における外気温の予測値を、センター装置20や操作端末30に取得させて、この取得した外気温の予測値を予約充電時間帯の開始時刻におけるバッテリ10の温度として用いてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 バッテリ制御システム(車両用バッテリ制御システム)
10 バッテリ
12 バッテリヒータ
14 バッテリ制御ユニット(バッテリヒータ制御手段)
20 センター装置(算出手段)
30 操作端末
100 車両
SN1 バッテリ温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9