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特許7468133投写光学装置、プロジェクター、および投写光学装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】投写光学装置、プロジェクター、および投写光学装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240409BHJP
   G02B 7/14 20210101ALI20240409BHJP
   G02B 7/02 20210101ALI20240409BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G02B7/14 A
G02B7/02 Z
H04N5/74 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020086630
(22)【出願日】2020-05-18
(65)【公開番号】P2021182036
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 果歩
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-207168(JP,A)
【文献】特開2015-152722(JP,A)
【文献】特開2011-209394(JP,A)
【文献】特開2018-066958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0063852(US,A1)
【文献】中国特許第107203086(CN,B)
【文献】特開2018-045121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G02B 7/14
G02B 7/02
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの樹脂レンズを有し、被投写面に投写画像を投写する投写光学系と、
前記樹脂レンズの劣化を抑制する劣化抑制部と、
前記劣化抑制部を制御する投写制御部と、を備え
前記劣化抑制部は、前記投写光学系の光軸に沿う回転軸を中心として前記樹脂レンズを回転させる回転駆動部を有する、投写光学装置。
【請求項2】
前記樹脂レンズの劣化状態を検出する検出部をさらに備え、
前記投写制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項1に記載の投写光学装置。
【請求項3】
前記回転駆動部は、前記検出部による検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズを所定の角度で回転させる、請求項2に記載の投写光学装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記被投写面上の前記投写画像を撮像する撮像部を有し、
前記投写制御部は、前記撮像部が撮像した前記投写画像の輝度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項2または請求項に記載の投写光学装置。
【請求項5】
前記検出部は、前記樹脂レンズの温度を検出する温度検出部を有し、
前記投写制御部は、前記温度検出部が検出した温度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項2または請求項に記載の投写光学装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記樹脂レンズからの漏れ光を検出する漏れ光検出部を有し、
前記投写制御部は、前記漏れ光検出部が検出した前記漏れ光の強度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項2または請求項に記載の投写光学装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記樹脂レンズの光軸方向の厚さを検出する厚さ検出部を有し、
前記投写制御部は、前記厚さ検出部が検出した前記樹脂レンズの厚さ情報に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項2または請求項に記載の投写光学装置。
【請求項8】
前記回転駆動部は、電源投入時に前記樹脂レンズを所定の速度で回転させる、請求項1に記載の投写光学装置。
【請求項9】
光源と、
前記光源から射出される光を画像情報に基づいて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって変調される光を投写する、請求項1から請求項までのいずれか一項に記載の投写光学装置と、
を備える、プロジェクター。
【請求項10】
前記プロジェクターは、前記光源の点灯時間を検出する点灯時間検出部を有し、
前記点灯時間検出部が検出した点灯時間情報に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項に記載のプロジェクター。
【請求項11】
前記プロジェクターは、前記光源の発光強度を検出する発光強度検出部を有し、
前記発光強度検出部が検出した発光強度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項に記載のプロジェクター。
【請求項12】
前記プロジェクターは、前記画像情報から得られる輝度情報を検出する輝度情報検出部を有し、
前記輝度情報検出部が検出した輝度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御する、請求項に記載のプロジェクター。
【請求項13】
少なくとも一つの樹脂レンズを有し、被投写面に投写画像を投写する投写光学系を備える投写光学装置の制御方法であって、
前記樹脂レンズの劣化状態を検出する工程と、
前記劣化状態の検出結果に基づいて前記樹脂レンズの劣化を抑制する動作を行う工程と、を備え、
前記樹脂レンズの劣化を抑制する動作として、前記検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズを所定の角度だけ回転させる、投写光学装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投写光学装置、プロジェクター、および投写光学装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターの投写光学系として、以下の構成が知られている。例えば、下記の特許文献1に、像面湾曲調整群からなる光学ユニットと、光学ユニットの位置を検出する位置検出手段と、光学ユニットの温度を計測する計測手段と、計測手段の計測結果および位置検出手段の検出結果に基づいて像面湾曲を調整するように光学ユニットを移動させる移動手段と、を有するレンズ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-109823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、レンズ製作時の利便性等の観点から、投写光学系を構成するレンズ材料として、有機材料が用いられる場合がある。しかしながら、有機材料からなるレンズ、いわゆる、樹脂レンズを用いた場合、樹脂レンズの劣化に起因して投写光学系の光学性能が低下するおそれがある。
【0005】
特許文献1のレンズ装置においては、光学ユニットの温度変化を検出し、光学ユニットを光軸に沿って移動させることにより、像面湾曲を低減させている。ところが、特許文献1のレンズ装置は、樹脂レンズの使用を想定していないため、この種の問題に対応することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一つの態様の投写光学装置は、少なくとも一つの樹脂レンズを有し、被投写面に投写画像を投写する投写光学系と、前記樹脂レンズの劣化を抑制する劣化抑制部と、前記劣化抑制部を制御する投写制御部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一つの態様のプロジェクターは、光源と、前記光源から射出される光を画像情報に基づいて変調する光変調装置と、前記光変調装置によって変調される光を投写する、本発明の一つの態様の投写光学装置と、を備える。
【0008】
また、本発明の一つの態様の投写光学装置の制御方法は、少なくとも一つの樹脂レンズを有し、被投写面に投写画像を投写する投写光学系を備える投写光学装置の制御方法であって、前記樹脂レンズの劣化状態を検出する工程と、前記劣化状態の検出結果に基づいて前記樹脂レンズの劣化を抑制する動作を行う工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のプロジェクターの概略構成図である。
図2】第1実施形態の投写光学装置の概略構成図である。
図3】第1実施形態の投写光学装置の制御方法を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態の投写光学装置の概略構成図である。
図5】第2実施形態の投写光学装置の制御方法を示すフローチャートである。
図6】第3実施形態の投写光学装置の概略構成図である。
図7】第3実施形態の投写光学装置の制御方法を示すフローチャートである。
図8】第4実施形態の投写光学装置の概略構成図である。
図9】第4実施形態の投写光学装置の制御方法を示すフローチャートである。
図10】第5実施形態の投写光学装置の制御方法を示すフローチャートである。
図11】第6実施形態の投写光学装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1図3を用いて説明する。
以下の各図面においては各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0011】
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1の概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンS(被投写面)上にカラー映像を表示する投写型画像表示装置である。プロジェクター1は、照明装置2と、色分離光学系3と、光変調装置18Rと、光変調装置18Gと、光変調装置18Bと、色合成光学系19と、投写光学装置5と、制御部4と、を備える。
【0012】
照明装置2は、光源10と、第1インテグレーターレンズ11と、第2インテグレーターレンズ12と、偏光変換素子13と、重畳レンズ14と、を備える。
【0013】
光源10は、例えば超高圧水銀ランプ等の放電ランプ、蛍光体等の波長変換素子と励起光源とを有する光源、半導体レーザー等の固体光源などで構成されている。光源10は、白色の光LWを射出する。
【0014】
第1インテグレーターレンズ11および第2インテグレーターレンズ12のそれぞれは、アレイ状に配列された複数のレンズを有する。第1インテグレーターレンズ11は、光源10から射出される光LWを複数の光束に分割する。第1インテグレーターレンズ11を構成する各レンズは、分割された複数の光束を第2インテグレーターレンズ12の各レンズの近傍に集光させる。
【0015】
偏光変換素子13は、第2インテグレーターレンズ12から射出される光を特定の偏光方向を有する直線偏光に変換する。重畳レンズ14は、第1インテグレーターレンズ11の各レンズの像を、第2インテグレーターレンズ12を介して、光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bを構成する各液晶パネルの画像形成領域上で重畳させる。
【0016】
色分離光学系3は、第1ダイクロイックミラー15と、第2ダイクロイックミラー21と、第1反射ミラー16と、第2反射ミラー23と、第3反射ミラー25と、第1リレーレンズ22と、第2リレーレンズ24と、を備える。色分離光学系3は、照明装置2から射出された光LWを赤色光LRと緑色光LGと青色光LBとに分離し、赤色光LRを光変調装置18Rに導き、緑色光LGを光変調装置18Gに導き、青色光LBを光変調装置18Bに導く。
【0017】
フィールドレンズ17Rは、色分離光学系3と光変調装置18Rとの間に配置され、入射した光を略平行化して光変調装置18Rに向けて射出する。フィールドレンズ17Gは、色分離光学系3と光変調装置18Gとの間に配置され、入射した光を略平行化して光変調装置18Gに向けて射出する。フィールドレンズ17Bは、色分離光学系3と光変調装置18Bとの間に配置され、入射した光を略平行化して光変調装置18Bに向けて射出する。
【0018】
第1ダイクロイックミラー15は、赤色光成分を反射させ、緑色光成分および青色光成分を透過させる。第2ダイクロイックミラー21は、緑色光成分を反射させ、青色光成分を透過させる。第1反射ミラー16は、赤色光成分を反射させる。第2反射ミラー23および第3反射ミラー25は、青色光成分を反射させる。
【0019】
第1ダイクロイックミラー15で反射した赤色光LRは、第1反射ミラー16で反射し、フィールドレンズ17Rを透過して赤色光用の光変調装置18Rの画像形成領域に入射する。第1ダイクロイックミラー15を透過した緑色光LGは、第2ダイクロイックミラー21で反射し、フィールドレンズ17Gを透過して緑色光用の光変調装置18Gの画像形成領域に入射する。第2ダイクロイックミラー21を透過した青色光LBは、第1リレーレンズ22、第2反射ミラー23、第2リレーレンズ24、第3反射ミラー25、およびフィールドレンズ17Bを経て青色光用の光変調装置18Bの画像形成領域に入射する。
【0020】
光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bのそれぞれは、入射された色光を画像情報に応じて変調し、画像光を形成する。光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bのそれぞれは、液晶パネルを有する。図示を省略するが、光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bの各液晶パネルの光入射側に、入射側偏光板がそれぞれ配置されている。また、各液晶パネルの光射出側に、射出側偏光板がそれぞれ配置されている。
【0021】
色合成光学系19は、光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bから射出された各色の画像光を合成し、フルカラーの画像光を形成する。色合成光学系19は、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視で略正方形状をなすクロスダイクロイックプリズムで構成されている。直角プリズム同士を貼り合わせた略X字状の界面には、誘電体多層膜が形成されている。
【0022】
色合成光学系19から射出された画像光は、投写光学装置5によって拡大投写され、スクリーンS上で画像を形成する。すなわち、投写光学装置5は、光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bによって変調された光をスクリーンS上に投写する。
【0023】
制御部4は、画像処理部6と、表示駆動部7と、を備える。画像処理部6には、ビデオ信号等の外部画像信号が入力される。表示駆動部7は、画像処理部6から出力される画像信号に基づいて光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bを駆動する。
【0024】
画像処理部6は、外部機器から入力されるビデオ信号等の外部画像信号を各色の階調等を含む画像情報に変換する。表示駆動部7は、画像処理部6から出力される画像情報に基づいて光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bを動作させる。これにより、制御部4は、画像情報に対応した投写画像を形成する各色の画像光を、光変調装置18R、光変調装置18G、および光変調装置18Bに生成させる。
【0025】
以下、投写光学装置5の構成について説明する。
図2は、本実施形態の投写光学装置5の概略構成図である。なお、光変調装置18R、光変調装置18G、光変調装置18Bは同一の構成を有しているため、図2においては、光変調装置18と記載する。また、スクリーンSの図示を省略する。
【0026】
図2に示すように、投写光学装置5は、少なくとも一つの樹脂レンズを有し、スクリーンSに投写画像を投写する投写光学系27と、後述する第1光学素子33の劣化を抑制する劣化抑制部28と、劣化抑制部28を制御する投写制御部29と、を備える。
【0027】
投写光学系27は、複数枚のレンズを含む2つの光学系で構成されている。具体的に、投写光学装置5は、縮小側から拡大側に向かって順に、第1光学系31と、第2光学系32と、を備える。本実施形態の投写光学装置5は、広角投影が可能である。すなわち、投写光学装置5においては、像高が最も低い位置に到達する光束と、像高が最も高い位置に到達する光束と、がなす角度、いわゆる、投写角度が広い。
【0028】
第1光学系31は、複数枚のレンズを備える屈折光学系である。第2光学系32は、反射型のレンズからなる第1光学素子33から構成されている。すなわち、本実施形態の投写光学装置5は、反射屈折型の投写光学装置で構成されている。
【0029】
第1光学素子33は、縮小側から順に、第1入射面41、第1反射面42、および第1射出面43を有する。第1入射面41は、縮小側に突出する凸形状を有する。第1反射面42は、凹形状を有する。第1射出面43は、拡大側に突出する凸形状を有する。第2光学系32を構成する第1光学素子33は、第1光学系31の第1光軸N上に配置されている。本実施形態では、第1光学系31の第1光軸Nと、第1光学素子33の第1反射面42の第2光軸Mと、は一致しており、第1光軸Nと第2光軸Mとからなる直線は、投写光学系27の光軸となる。
【0030】
投写光学装置5の縮小側結像面には、光変調装置18が配置されている。光変調装置18は、第1光学系31の第1光軸Nに垂直な面内において、第1光軸Nに対して一方側に投写画像を形成する。投写光学装置5の拡大側結像面には、スクリーンSが配置されている。第1光学系31と第1光学素子33の第1反射面42との間には、縮小側結像面と共役な中間像35が結像される。中間像35は拡大側結像面とも共役である。本実施形態では、中間像35は、第1光学素子33の内部に形成される。すなわち、中間像35は、第1光学素子33の第1入射面41と第1反射面42との間に形成される。
【0031】
以下、説明の都合上、互いに直交する3つの軸をX軸、Y軸、およびZ軸とする。また、拡大側結像面であるスクリーンSの幅方向をX軸方向とし、スクリーンSの上下方向をY軸方向とし、スクリーンSと垂直な方向をZ軸方向とする。また、第1光学系31の第1光軸Nと第1光学素子の第1反射面42の第2光軸Mとを含む平面をYZ平面とする。
【0032】
本実施形態では、第1光学系31の第1光軸N、および第1光学素子33の第1反射面42の第2光軸Mは、Z軸方向に延びている。したがって、図2は、YZ平面上の光線図である。光変調装置18は、第1光学系31の第1光軸Nの上方に投写画像を形成する。
【0033】
第1光学系31は、14枚のレンズL1~L14を有する。レンズL1~レンズL14は、縮小側から拡大側に向かってこの順に配置されている。本実施形態では、レンズL2とレンズL3とは、互いに接合された第1接合レンズL21である。レンズL4とレンズL5とは、互いに接合された第2接合レンズL22である。レンズL9とレンズL10とは、互いに接合された第3接合レンズL23である。また、レンズL7とレンズL8との間には、絞りOが配置されている。
【0034】
第1光学素子33は、第1反射面42の第2光軸Mを設計軸として設計されている。言い換えると、第2光軸Mは、第1入射面41、第1射出面43および第1反射面42の設計上の光軸である。第1入射面41および第1反射面42は、第1反射面42の第2光軸Mの下方に位置し、第1射出面43は、第1反射面42の第2光軸Mの上方に位置する。第1光学素子33は、図示しない任意の支持機構によって回転可能に支持されている。
【0035】
本実施形態では、第1光学素子33の第1入射面41、第1反射面42、および第1射出面43は、いずれも非球面である。また、第1入射面41、第1反射面42、および第1射出面43を含む面は、第1反射面42の第2光軸Mを回転軸として回転対称の形状を有する。したがって、第1入射面41と第1射出面43とは、回転対称の形状を有する。第1反射面42は、第1光学素子33の第1入射面41とは反対側の面に設けられた反射コーティング層で構成されている。なお、各非球面は、自由曲面であってもよい。この場合であっても、自由曲面は、第2光軸Mを設計軸として設計されている。
【0036】
本実施形態において、第2光学系32を構成する第1光学素子33は、樹脂レンズで構成されている。したがって、本実施形態の第1光学素子33は、特許請求の範囲の樹脂レンズに対応する。一方、第1光学系31を構成する14枚のレンズL1~L14は、いずれもガラスレンズで構成されている。なお、14枚のレンズL1~L14のうち、少なくとも一部のレンズは、樹脂レンズで構成されていてもよい。すなわち、投写光学系27は、少なくとも一つの樹脂レンズを有する。
【0037】
プロジェクター1の使用時において、仮に第1光学素子33を回転させなかったとすると、第1光学素子33内の光密度が高い個所に、局所的な発熱が生じる場合がある。本実施形態の場合、光密度が高い個所の一例として第2光学系32の射出瞳P1が挙げられ、射出瞳P1は、第1光学素子33の内部に形成される。図2において、射出瞳P1は、上端光束Jの一番上の光線JUと下端光束Kの一番上の光線KUの交点C1と、上端光束Jの一番下の光線JDと下端光束Kの一番下の光線KDの交点C2と、を結んだ個所と定義する。この場合、プロジェクター1の使用時において、第1光学素子33を回転させなかったとすると、第1光学素子33内の射出瞳P1とその近傍の領域に光が集中し、局所的な発熱が生じる場合がある。
【0038】
劣化抑制部28は、第1反射面42の第2光軸M、すなわち、投写光学系27の光軸に沿う回転軸を中心として第1光学素子33を回転させる回転駆動部37から構成されている。具体的には、回転駆動部37は、例えばモーターから構成されている。モーターの形態は、特に限定されない。回転駆動部37は、第1反射面42の第2光軸Mに沿う回転軸38を有し、回転軸38に第1光学素子33が接合されている。なお、接合の具体的な形態としては、例えば第1光学素子33が図示しないベース部材を介して接合されていてもよい。第1光学素子33は、上述したように回転対称の形状を有するため、回転対称形の中心軸が回転軸38と同軸上に位置するように、回転軸38に接合されている。回転駆動部37は、第1反射面42に対して第1入射面41および第1射出面43とは反対側に配置されている。本実施形態の場合、第1光学素子33が反射屈折型の光学素子であるため、回転駆動部37が第2光軸M上に配置されていても、第1入射面41および第1射出面43とは反対側であれば、光学的に支障がない。回転駆動部37は、電源投入時に第1光学素子33を所定の速度で回転させる。
【0039】
投写制御部29は、本実施形態の劣化抑制部28を構成する回転駆動部37を制御する。投写制御部29は、例えば投写光学装置5の制御基板に設けられたCPU(Central Processing Unit)により構成され、以下に示す各種の処理を実行する。なお、投写制御部29は、プロジェクター1に設けられていてもよい。投写制御部29の動作については、次に説明する。
【0040】
以下、本実施形態の投写光学装置5の制御方法について説明する。
図3は、本実施形態の投写光学装置5の制御方法を示すフローチャートである。
最初に、プロジェクター1の使用開始時には、使用者により電源が投入され、オン状態となる(ステップS11)。
【0041】
次に、投写制御部29は、制御部4からの電源投入信号を受けて回転駆動部37に駆動信号を出力し、モーターを駆動させる(ステップS12)。
このとき、第1光学素子33は、所定の速度、具体的には一定の角速度で連続的に回転する(ステップS13)。本実施形態の場合、第1光学素子33は、プロジェクター1の使用時に常に回転し続ける構成を有する。これにより、第1光学素子33の温度上昇が抑えられ、劣化が抑制される。
【0042】
次に、プロジェクター1の使用終了時に、使用者により電源が遮断されてオフ状態となる(ステップS14)。
次に、投写制御部29は、制御部4からの電源遮断信号を受けて回転駆動部37に駆動信号の出力を停止し、モーターを停止させる(ステップS15)。
これにより、第1光学素子33の回転が停止する(ステップS16)。
【0043】
上述したように、本実施形態の投写光学装置5において、第1光学素子33の第1入射面41、第1反射面42および第1射出面43は、いずれも非球面である。この種の非球面レンズを投写光学装置5に適用する場合、例えば金型を用いて非球面形状を形成できる等、レンズ製作が簡便にできることから、非球面レンズの材料として有機材料が用いられる場合がある。しかしながら、有機材料からなる樹脂レンズは、プロジェクターの高光束化、光源の高輝度化に伴って劣化が生じるおそれがある。ただし、樹脂レンズの劣化を抑制する方法は、従来から提供されていなかった。
【0044】
本発明者は、樹脂レンズの劣化の原因について鋭意検討した結果、例えば本実施形態の第1光学素子33に樹脂レンズを適用した場合、第1光学素子33の内部に射出瞳P1等の光密度が高い個所が生成され、光密度が高い個所およびその近傍において局所的な発熱が生じることが樹脂レンズの劣化につながっていることを見出した。
【0045】
そこで、本実施形態の投写光学装置5においては、プロジェクター1の使用時に回転駆動部37によって第1光学素子33を等角速度で回転させるため、射出瞳P1の位置が回転軸38を中心とする周方向に沿って時間的に移動する。これにより、第1光学素子33における光強度分布が周方向に均一化されるため、第1光学素子33の局所的な発熱に伴う急激な温度上昇が抑制される。これにより、本実施形態の投写光学装置5は、第1光学素子33の劣化を抑制することができ、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置5の光学性能の低下を抑制することができる。なお、第1光学素子33が回転軸38を中心として回転対称の形状を有するため、プロジェクター1の使用時に第1光学素子33を回転させても、光学的な影響はほとんどない。
【0046】
また、本実施形態の投写光学装置5は、プロジェクター1の使用時に第1光学素子33を常時回転させる構成を有するため、第1光学素子33の劣化状態を検出するための検出部が不要である。そのため、本実施形態の投写光学装置5は、使用者が特別な操作を行うことなく、簡易な装置構成で、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置5の光学性能の低下を抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態のプロジェクター1は、上記の投写光学装置5を備えているため、投写性能に優れる。
【0048】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図4および図5を用いて説明する。
第2実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、投写光学装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図4は、第2実施形態の投写光学装置51の概略構成図である。
図4において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0049】
図4に示すように、本実施形態の投写光学装置51は、スクリーンSに投写画像を投写する投写光学系27と、第1光学素子33の劣化を抑制する劣化抑制部28と、検出部53による検出結果に基づいて劣化抑制部28を制御する投写制御部52と、第1光学素子33の劣化状態を検出する検出部53と、を備える。
【0050】
検出部53としては、以下に示す種々の形態の検出部を用いることができる。
第1例の検出部は、スクリーンS上に投写される投写画像を撮像する撮像部を有する。撮像部として、例えばCCDカメラ等の撮像素子を用いることができる。この場合、投写制御部52は、例えば撮像部が撮像したスクリーンS上の投写画像の輝度情報の積分値を累積することにより、第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。投写制御部52は、撮像部が撮像したスクリーンS上の投写画像の輝度情報に基づいて劣化抑制部28を制御する。
【0051】
第2例の検出部は、第1光学素子33の温度を検出する温度検出部を有する。温度検出部として、例えば赤外線等を用いた非接触型の温度センサーを用いることができる。この場合、投写制御部52は、温度検出部が検出した第1光学素子33の温度測定値から、第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。このとき、投写制御部52は、当該1回の使用時における温度測定値から劣化状態を検出してもよいし、出荷時から現在までの温度変化の履歴を加味した温度測定値から劣化状態を検出してもよい。投写制御部52は、温度検出部が検出した第1光学素子33の温度情報に基づいて劣化抑制部28を制御する。
【0052】
第3例の検出部は、第1光学素子33からの漏れ光を検出する漏れ光検出部を有する。漏れ光検出部として、例えばフォトセンサーを用いることができる。樹脂レンズは、劣化が進むにつれて漏れ光の強度が大きくなる特性を有している。したがって、投写制御部52は、フォトセンサーが検出した漏れ光の強度に基づいて、第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。投写制御部52は、漏れ光検出部が検出した漏れ光の強度情報に基づいて劣化抑制部28を制御する。
【0053】
第4例の検出部は、第1光学素子33の光軸方向の厚さを検出する厚さ検出部を有する。厚さ検出部として、例えば非接触型の変位センサーを用いることができる。樹脂レンズは、使用が進むにつれて温度上昇によって光軸方向の厚さが増加しやすい特性を有する。したがって、投写制御部52は、変位センサーによる第1光学素子33の第1入射面41および第1射出面43の位置の変化に基づいて、第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。投写制御部52は、厚さ検出部が検出した第1光学素子33の厚さ情報に基づいて劣化抑制部28を制御する。なお、検出部は、第1反射面42の位置の変化を検出し、第1反射面42の位置の変化に基づいて、第1光学素子33の劣化状態を検出してもよい。
【0054】
第5例の検出部は、プロジェクター1の光源10の点灯時間を検出する点灯時間検出部を有する。点灯時間検出部は、プロジェクター1の出荷時を初期値として累積点灯時間を検出してもよいし、当該1回の使用時の使用開始時点を初期値として使用点灯時間を検出してもよい。投写制御部52は、点灯時間検出部が検出した点灯時間情報に基づいて劣化抑制部28を制御する。
【0055】
第6例の検出部は、プロジェクター1の光源10の発光強度を検出する発光強度検出部を有する。発光強度検出部は、例えば光源10の発光強度の積分値を検出することによって、第1光学素子33が晒された光の強度を把握できるため、第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。投写制御部52は、発光強度検出部が検出した発光強度情報に基づいて劣化抑制部28を制御する。
【0056】
第7例の検出部は、制御部4が有する画像情報から得られる輝度情報を検出する輝度情報検出部を有する。輝度情報検出部は、画像情報から得られる輝度の積分値を検出することにより、第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。投写制御部52は、輝度情報検出部が検出した輝度情報に基づいて劣化抑制部28を制御する。
【0057】
劣化抑制部28は、第1実施形態と同様、第1光学素子33を回転させる回転駆動部37で構成されている。また、本実施形態の投写制御部52は、上述したように、検出部53による第1光学素子33の劣化状態の検出結果に基づいて劣化抑制部28を制御する。
【0058】
ただし、本実施形態の劣化抑制部28の動作は、第1実施形態とは異なる。すなわち、第1実施形態のプロジェクター1は、検出部53を有しておらず、プロジェクター1の電源投入時に第1光学素子33を連続的に回転させていたのに対し、本実施形態のプロジェクターは、検出部53を有しており、検出部53による検出結果が所定の閾値を超えた場合に、第1光学素子33を所定の角度だけ回転させる。
投写光学装置51のその他の構成は、第1実施形態の投写光学装置5と同様である。
【0059】
以下、本実施形態の投写光学装置51の制御方法について説明する。
図5は、本実施形態の投写光学装置51の制御方法を示すフローチャートである。
最初に、プロジェクターの使用開始時には、使用者により電源が投入され、オン状態となる(ステップS21)。
【0060】
次に、検出部53は、上記の各種の手段を用いて第1光学素子33の劣化パラメーターを検出する(ステップS22)。劣化パラメーターは、上記第1例~第7例の検出部による第1光学素子33の劣化状態を示す検出項目である。
【0061】
具体的には、第1例の検出部においては、スクリーンS上の投写画像の輝度情報が劣化パラメーターに相当する。第2例の検出部においては、温度検出部が検出した第1光学素子33の温度測定値が劣化パラメーターに相当する。第3例の検出部においては、フォトセンサーが検出した漏れ光の強度が劣化パラメーターに相当する。第4例の検出部においては、厚さ検出部が検出した第1光学素子33の厚さ情報が劣化パラメーターに相当する。第5例の検出部においては、点灯時間検出部が検出した点灯時間が劣化パラメーターに相当する。第6例の検出部においては、発光強度検出部が検出した光源の発光強度が劣化パラメーターに相当する。第7例の検出部においては、輝度情報検出部が検出した画像情報の輝度情報が劣化パラメーターに相当する。
【0062】
次に、投写制御部52は、検出部53により得られた劣化パラメーターが所定の閾値を超えているか否か、すなわち、劣化パラメーターが許容範囲外であるか否かを判断する(ステップS23)。
【0063】
その結果、劣化パラメーターが許容範囲内である場合(Noの場合)には、投写制御部52は、プロジェクターの使用を続けるか否かを判断する(ステップS24)。
プロジェクターの使用を続ける場合(Yesの場合)には、所定時間経過後、検出部53による劣化パラメーターの検出が再度行われる。一方、プロジェクターの使用を続けない場合(Noの場合)には、プロジェクターの電源が遮断されてオフ状態となる(ステップS25)。
【0064】
一方、劣化パラメーターが許容範囲外である場合(Yesの場合)には、投写制御部52は、回転駆動部37に駆動信号を出力してモーターを駆動させ、第1光学素子33を所定の角度だけ回転させる(ステップS26)。具体的には、回転軸38を中心として第1光学素子33を例えば90°だけ回転させる。
その後、劣化パラメーターが一旦初期化され、プロジェクターの使用が続行される。
その後、所定時間が経過すると、検出部53による劣化パラメーターの検出が再度行われる。
【0065】
したがって、投写制御部52は、閾値を予め記憶しており、検出部53が検出した劣化パラメーターが閾値を超えた場合に第1光学素子33を所定の角度、例えば90°回転させた後、劣化パラメーターを一旦初期値に戻してプロジェクターの使用を続け、次に、検出部53が検出した劣化パラメーターが閾値を再度超えた場合に第1光学素子33をさらに90°回転させる、という動作を繰り返す。なお、投写制御部52は、複数の閾値を予め記憶していてもよい。この場合、投写制御部52は、検出部53が検出した劣化パラメーターが第1の閾値を超えた場合に第1光学素子33を所定の角度、例えば90°回転させた後、その状態でプロジェクターの使用を続け、次に、検出部53による検出結果が第2の閾値を超えた場合に第1光学素子33をさらに90°回転させる、という動作を繰り返してもよい。
【0066】
すなわち、本実施形態の投写光学装置51の制御方法は、少なくとも一つの樹脂レンズを有し、スクリーンSに投写画像を投写する投写光学系27を備える投写光学装置51の制御方法であって、樹脂レンズからなる第1光学素子33の劣化状態を検出する工程と、劣化状態の検出結果に基づいて樹脂レンズからなる第1光学素子33の劣化を抑制する動作を行う工程と、を備える。第1光学素子33の劣化を抑制する動作として、検出結果が所定の閾値を超えた場合に第1光学素子33を所定の角度だけ回転させる。
【0067】
本実施形態の投写光学装置51においては、検出部53が検出した劣化パラメーターが所定の閾値を超えた場合に回転駆動部37によって第1光学素子33を所定の角度だけ回転させるため、射出瞳P1の位置が回転軸38を中心とする周方向に沿って時間的に移動する。これにより、第1光学素子33における光強度分布が周方向に均一化されるため、第1光学素子33の局所的な発熱に伴う急激な温度上昇が抑制される。これにより、本実施形態の投写光学装置51においても、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置51の光学性能の低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0068】
また、本実施形態の投写光学装置51においては、検出部53が第1光学素子33の劣化状態を自動的に検出するため、使用者が特別な操作を行うことなく、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置51の光学性能の低下を抑制することができる。
【0069】
また、検出部として撮像部を用いた場合、安価かつ簡便な方法で第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。特に内蔵カメラ付きのプロジェクターであれば、検出用の新たな部品を追加することなく、既存の構成で第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置51の光学性能の低下を抑制することができる。
【0070】
また、検出部として温度検出部を用いた場合、投写性能に対する影響が最も大きい第1光学素子33の温度を直接検出できるため、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置51の光学性能の低下を的確に抑制することができる。
【0071】
また、検出部として漏れ光検出部を用いた場合、投写光学系が反射屈折型の光学系であるときに有効であり、安価な方法で第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。
【0072】
また、検出部として厚さ検出部を用いた場合、第1光学素子33の変形を直接検出することができるため、安全性が高い。
【0073】
また、検出部として点灯時間検出部を用いた場合、簡易な方法で第1光学素子33の劣化状態を検出することができ、計算コストが不要である。特に1回の使用時の使用開始時点を初期値として点灯時間を検出する方法を採用する場合、プロジェクターを連続使用する際に安全性が高い。
【0074】
また、検出部として発光強度検出部を用いた場合、的確かつ簡易な方法で第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。
【0075】
また、検出部として輝度情報検出部を用いた場合、制御部4が元々持っている画像情報を処理すればよいため、簡易かつ的確な方法で第1光学素子33の劣化状態を検出することができる。
【0076】
また、本実施形態のプロジェクターは、上記の投写光学装置51を備えているため、投写性能に優れる。
【0077】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について、図6および図7を用いて説明する。
第3実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、投写光学装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図6は、第3実施形態の投写光学装置55の概略構成図である。
図6において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
図6に示すように、本実施形態の投写光学装置55は、スクリーンSに投写画像を投写する投写光学系27と、第1光学素子33の劣化を抑制する劣化抑制部56と、劣化抑制部56を制御する投写制御部52と、第1光学素子33の劣化状態を検出する検出部53と、を備える。
【0079】
劣化抑制部56は、第1光学素子33を冷却する冷却部57で構成されている。冷却部57として、例えば第1光学素子33を空冷によって冷却するファンを用いることができる。なお、冷却部57として、熱電素子等の冷却手段が用いられてもよいし、液冷が用いられてもよい。
【0080】
検出部53として、第2実施形態で例示した種々の検出部を用いることができる。投写制御部52は、検出部53による第1光学素子33の劣化状態の検出結果に基づいて劣化抑制部56を制御する。
投写光学装置55のその他の構成は、第1実施形態の投写光学装置5と同様である。
【0081】
以下、本実施形態の投写光学装置55の制御方法について説明する。
図7は、本実施形態の投写光学装置55の制御方法を示すフローチャートである。
最初に、プロジェクターの使用開始時には、使用者により電源が投入され、オン状態となる(ステップS31)。
【0082】
次に、検出部53は、種々の手段を用いて第1光学素子33の劣化パラメーターを検出する(ステップS32)。
【0083】
次に、投写制御部52は、検出部53による検出結果としての劣化パラメーターが所定の閾値を超えているか否か、すなわち、劣化パラメーターが許容範囲外であるか否かを判断する(ステップS33)。
【0084】
その結果、劣化パラメーターが許容範囲内である場合(Noの場合)には、投写制御部52は、プロジェクターの使用を続けるか否かを判断する(ステップS34)。
プロジェクターの使用を続ける場合(Yesの場合)には、所定時間経過後、検出部53による劣化パラメーターの検出が再度行われる。一方、プロジェクターの使用を続けない場合(Noの場合)には、プロジェクターの電源が遮断されてオフ状態となる(ステップS37)。
【0085】
一方、劣化パラメーターが許容範囲外である場合(Yesの場合)には、投写制御部52は、冷却部57であるファンを回転させることによって、第1光学素子33を冷却する(ステップS35)。
【0086】
次に、投写制御部52は、プロジェクターの使用を続けるか否かを判断する(ステップS36)。プロジェクターの使用を続ける場合(Yesの場合)には、所定時間経過後、検出部53による劣化パラメーターの検出が再度行われる。一方、プロジェクターの使用を続けない場合(Noの場合)には、電源が遮断されてオフ状態となる(ステップS37)。
【0087】
すなわち、本実施形態の投写光学装置55の制御方法においては、第1光学素子33の劣化を抑制する動作として、検出結果が所定の閾値を超えた場合に第1光学素子33を冷却する。
【0088】
本実施形態の投写光学装置55においては、検出部53が検出した劣化パラメーターが所定の閾値を超えた際に冷却部57によって第1光学素子33が冷却されるため、第1光学素子33の発熱に伴う急激な温度上昇が抑制される。これにより、本実施形態の投写光学装置55においても、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置55の光学性能の低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
特に本実施形態の場合、第1実施形態のように第1光学素子33を回転させないため、スクリーンS上の投写画像の揺れを少なくすることができる。また、第1光学素子33の形状が回転対称でなくてもよいため、第1光学素子33の形状の自由度を高めることができる。
【0090】
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態について、図8および図9を用いて説明する。
第4実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、投写光学装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図8は、第4実施形態の投写光学装置59の概略構成図である。
図8において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0091】
図8に示すように、本実施形態の投写光学装置59は、スクリーンSに投写画像を投写する投写光学系27と、第1光学素子33の劣化を抑制する劣化抑制部60と、劣化抑制部60を制御する投写制御部52と、第1光学素子33の劣化状態を検出する検出部53と、を備える。
【0092】
本実施形態の投写光学系27において、第1光学素子33は、使用者が必要に応じて交換できるように構成されている。劣化抑制部60は、使用者に対して第1光学素子33の交換を促すための報知を行う報知部61で構成されている。報知部61として、例えば交換が必要な際に点灯するLEDインジケーターを用いることができる。なお、報知部61は、スクリーンSに例えば「投写レンズの交換時期です。交換して下さい。」等の表示を行う構成を有していてもよい。あるいは、報知部61は、音声によって交換時期を知らせる構成を有していてもよい。
【0093】
検出部53は、第2実施形態で例示した種々の検出部を用いることができる。投写制御部52は、検出部53による第1光学素子33の劣化状態の検出結果に基づいて劣化抑制部60を制御する。報知部61は、検出部53による検出結果が所定の閾値を超えた場合に、第1光学素子33の交換を促すための報知を行う。
投写光学装置59のその他の構成は、第1実施形態の投写光学装置5と同様である。
【0094】
以下、本実施形態の投写光学装置59の制御方法について説明する。
図9は、本実施形態の投写光学装置59の制御方法を示すフローチャートである。
最初に、プロジェクターの使用開始時には、使用者により電源が投入され、オン状態となる(ステップS41)。
【0095】
次に、検出部53は、種々の手段を用いて第1光学素子33の劣化パラメーターを検出する(ステップS42)。
【0096】
次に、投写制御部52は、検出部53による検出結果である劣化パラメーターが所定の閾値を超えているか否か、すなわち、劣化パラメーターが許容範囲外であるか否かを判断する(ステップS43)。
【0097】
その結果、劣化パラメーターが許容範囲内である場合(Noの場合)には、投写制御部52は、プロジェクターの使用を続けるか否かを判断する(ステップS44)。
プロジェクターの使用を続ける場合(Yesの場合)には、所定時間経過後、検出部による劣化パラメーターの検出が再度行われる。一方、プロジェクターの使用を続けない場合(Noの場合)には、電源が遮断されてオフ状態となる(ステップS45)。
【0098】
一方、劣化パラメーターが許容範囲外である場合(Yesの場合)には、投写制御部52は、報知部61に制御信号を出力し、報知部61は、第1光学素子33の交換を促すための報知を行う(ステップS46)。このとき、報知部61は、一定時間だけ報知を行ってもよいし、使用者が交換作業を完了するまで報知を続けてもよい。
【0099】
次に、使用者が第1光学素子33の交換を行う(ステップS47)。
その後、劣化パラメーターが一旦初期化され、プロジェクターの使用が続行される。その後、所定時間が経過すると、検出部53による劣化パラメーターの検出が再度行われる。
【0100】
すなわち、本実施形態の投写光学装置59の制御方法においては、第1光学素子33の劣化を抑制する動作として、検出結果が所定の閾値を超えた場合に第1光学素子33の交換を促すための報知を行う。
【0101】
本実施形態の投写光学装置59においては、検出部53が検出した劣化パラメーターが所定の閾値を超えた場合に報知部61によって第1光学素子33の交換を促す報知が行われ、使用者によって新しい第1光学素子33と交換される。これにより、本実施形態の投写光学装置59においても、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置59の光学性能の低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0102】
特に本実施形態の場合、第1光学素子33の交換によって劣化が抑制されるため、投写制御部52による劣化抑制部60の複雑な制御が不要である。また、第1実施形態のように第1光学素子33を回転させないため、スクリーンS上の投写画像の揺れを少なくすることができる。また、第1光学素子33の形状が回転対称でなくてもよく、第1光学素子33の形状の自由度を高めることができる。
【0103】
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態について、図10を用いて説明する。
第5実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、投写光学装置の構成および制御方法が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図10は、本実施形態の投写光学装置の制御方法を示すフローチャートである。本実施形態では、投写光学装置の概略構成の図示は省略する。
【0104】
本実施形態の投写光学装置は、第1~第4実施形態と同様、スクリーンSに投写画像を投写する投写光学系27と、第1光学素子33の劣化を抑制する劣化抑制部と、劣化抑制部を制御する投写制御部52と、第1光学素子33の劣化状態を検出する検出部53と、を備える。ただし、本実施形態の場合、投写光学装置は、第1~第4実施形態で例示した劣化抑制部のうち、互いに種類が異なる2つの劣化抑制部を備えている。
【0105】
以下、本実施形態の投写光学装置の制御方法について説明する。
最初に、プロジェクターの使用開始時には、使用者により電源が投入され、オン状態となる(ステップS51)。
【0106】
次に、検出部53は、第1光学素子33の劣化パラメーターの1回目の検出を行う(ステップS52)。
【0107】
次に、投写制御部52は、検出部53による1回目の検出結果である劣化パラメーターが所定の閾値を超えているか否か、すなわち、劣化パラメーターが許容範囲外であるか否かを判断する(ステップS53)。
【0108】
その結果、劣化パラメーターが許容範囲内である場合(Noの場合)には、投写制御部52は、プロジェクターの使用を続けるか否かを判断する(ステップS54)。
プロジェクターの使用を続ける場合(Yesの場合)には、所定時間経過後、検出部53による劣化パラメーターの1回目の検出が再度行われる。一方、プロジェクターの使用を続けない場合(Noの場合)には、電源が遮断されてオフ状態となる(ステップS60)。
【0109】
一方、劣化パラメーターが許容範囲外である場合(Yesの場合)には、投写制御部52は、2種類の劣化抑制部のうちの一方に制御信号を出力し、劣化抑制部は、第1光学素子33の劣化を抑制するための1回目の動作を行う(ステップS55)。
【0110】
次に、所定時間経過後、検出部53は、第1光学素子33の劣化パラメーターの2回目の検出を行う(ステップS56)。
【0111】
次に、投写制御部52は、検出部53による2回目の検出結果である劣化パラメーターが所定の閾値を超えているか否か、すなわち、劣化パラメーターが許容範囲外であるか否かを判断する(ステップS57)。
【0112】
その結果、劣化パラメーターが許容範囲内である場合(Noの場合)には、投写制御部52は、プロジェクターの使用を続けるか否かを判断する(ステップS58)。
プロジェクターの使用を続ける場合(Yesの場合)には、所定時間経過後、検出部53による劣化パラメーターの2回目の検出が再度行われる。一方、プロジェクターの使用を続けない場合(Noの場合)には、電源が遮断されてオフ状態となる(ステップS60)。
【0113】
一方、劣化パラメーターが許容範囲外である場合(Yesの場合)には、投写制御部52は、2種類の劣化抑制部のうちの他方に制御信号を出力し、劣化抑制部は、第1光学素子33の劣化を抑制するための2回目の動作を行う(ステップS59)。
【0114】
第1光学素子33の劣化を抑制するための1回目の動作と2回目の動作とは、第1~第4実施形態で例示した劣化抑制部のいずれを組み合わせてもよい。例えば、1回目の動作として、第1光学素子33の回転または冷却が行われ、2回目の動作として、第1光学素子33の交換を促すための報知が行われる。
【0115】
本実施形態の投写光学装置においては、検出部53が検出した劣化パラメーターが所定の閾値を超えた場合に、第1光学素子33の劣化抑制のための所定の動作が行われる。これにより、本実施形態の投写光学装置においても、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置の光学性能の低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。特に本実施形態の場合、第1光学素子33の劣化を抑制するための2種類の動作を組み合わせているため、第1光学素子33の劣化に起因する投写光学装置の光学性能の低下をより確実に抑制できる。
【0116】
なお、本実施形態では、第1光学素子33の劣化を抑制するための動作を2回行う例を挙げたが、劣化抑制のための動作を複数回行う場合、動作の回数は特に限定されることはない。例えば第1光学素子33の回転→冷却→交換というように、劣化抑制のための動作を3回以上行ってもよい。
【0117】
[第6実施形態]
以下、本発明の第6実施形態について、図11を用いて説明する。
第6実施形態のプロジェクターの構成は第1実施形態と同様であり、投写光学装置の構成が第1実施形態と異なる。そのため、プロジェクターの全体構成の説明は省略する。
図11は、第6実施形態の投写光学装置63の概略構成図である。
図11において、第1実施形態で用いた図面と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0118】
図11に示すように、本実施形態の投写光学装置63は、スクリーンSに投写画像を投写する投写光学系64と、後述するレンズL36の劣化を抑制する劣化抑制部56と、劣化抑制部56を制御する投写制御部52と、レンズL36の劣化状態を検出する検出部53と、を備える。
【0119】
第1~第5実施形態の投写光学系27は、反射屈折光学系であったのに対し、本実施形態の投写光学系64は、複数枚のレンズからなる透過屈折光学系である。すなわち、本実施形態の投写光学装置63は、透過屈折型の投写光学装置で構成されている。そのため、本実施形態では、光変調装置18から画像光が射出される方向に図示しないスクリーンSが設置され、投写画像が投写される。
【0120】
投写光学系64は、6枚のレンズL31~L36を有する。レンズL31~レンズL36は、縮小側から拡大側に向かってこの順に配置されている。本実施形態では、最も拡大側に配置されたレンズL36は、樹脂レンズで構成されている。したがって、投写光学装置63は、レンズL36を冷却する冷却部57からなる劣化抑制部56を備えている。
【0121】
本実施形態の投写光学装置63においても、レンズL36の劣化に起因する投写光学装置の光学性能の低下を抑制できる、といった第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0122】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、検出部を備えていない投写光学装置の例として、上記第1実施形態は、電源投入時に回転駆動部によって樹脂レンズを回転させる構成を有していたが、この構成に代えて、電源投入時にファンを連続運転し、冷却部によって樹脂レンズを連続的に冷却する構成を有していてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、本発明による投写光学装置を、液晶ライトバルブを用いたプロジェクターに搭載した例を示したが、これに限られない。本発明による投写光学装置を光変調装置としてデジタルマイクロミラーデバイスを用いたプロジェクターに適用してもよい。また、プロジェクターは、複数の光変調装置を有していなくてもよく、1つの光変調装置のみを有していてもよい。
【0124】
その他、投写光学装置およびプロジェクターを構成する各種構成要素の数、配置、形状および材料等の具体的な構成は、上記実施形態に限らず、適宜変更が可能である。
【0125】
なお、本発明の一つの態様の投写光学装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の投写光学装置は、前記樹脂レンズの劣化状態を検出する検出部をさらに備えていてもよく、前記制御部は、前記検出部による検出結果に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0126】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記劣化抑制部は、前記投写光学系の光軸に沿う回転軸を中心として前記樹脂レンズを回転させる回転駆動部を有し、前記回転駆動部は、前記検出部による検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズを所定の角度で回転させてもよい。
【0127】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記劣化抑制部は、前記樹脂レンズを冷却する冷却部を有し、前記冷却部は、前記検出部による検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズを冷却してもよい。
【0128】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記樹脂レンズは、交換可能に設けられ、前記劣化抑制部は、使用者に対して報知を行う報知部を有し、前記報知部は、前記検出部による検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズの交換を促すための報知を行ってもよい。
【0129】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記検出部は、前記被投写面上の前記投写画像を撮像する撮像部を有し、前記制御部は、前記撮像部が撮像した前記投写画像の輝度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0130】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記検出部は、前記樹脂レンズの温度を検出する温度検出部を有し、前記制御部は、前記温度検出部が検出した温度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0131】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記検出部は、前記樹脂レンズからの漏れ光を検出する漏れ光検出部を有し、前記制御部は、前記漏れ光検出部が検出した前記漏れ光の強度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0132】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記検出部は、前記樹脂レンズの光軸方向の厚さを検出する厚さ検出部を有し、前記制御部は、前記厚さ検出部が検出した前記樹脂レンズの厚さ情報に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0133】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記劣化抑制部は、前記投写光学系の光軸に沿う回転軸を中心として前記樹脂レンズを回転させる回転駆動部を有し、前記回転駆動部は、電源投入時に前記樹脂レンズを所定の速度で回転させてもよい。
【0134】
本発明の一つの態様の投写光学装置において、前記劣化抑制部は、前記樹脂レンズを冷却する冷却部を有し、前記冷却部は、電源投入時に前記樹脂レンズを冷却してもよい。
【0135】
なお、本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、前記プロジェクターは、前記光源の点灯時間を検出する点灯時間検出部を有し、前記点灯時間検出部が検出した点灯時間情報に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0136】
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、前記プロジェクターは、前記光源の発光強度を検出する発光強度検出部を有し、前記発光強度検出部が検出した発光強度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0137】
本発明の一つの態様のプロジェクターにおいて、前記プロジェクターは、前記画像情報から得られる輝度情報を検出する輝度情報検出部を有し、前記輝度情報検出部が検出した輝度情報に基づいて前記劣化抑制部を制御してもよい。
【0138】
なお、本発明の一つの態様の投写光学装置の制御方法は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の投写光学装置の制御方法において、前記樹脂レンズの劣化を抑制する動作として、前記検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズを所定の角度だけ回転させてもよい。
【0139】
本発明の一つの態様の投写光学装置の制御方法において、前記樹脂レンズの劣化を抑制する動作として、前記検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズを冷却してもよい。
【0140】
本発明の一つの態様の投写光学装置の制御方法において、前記樹脂レンズの劣化を抑制する動作として、前記検出結果が所定の閾値を超えた場合に、前記樹脂レンズの交換を促すための報知を行ってもよい。
【符号の説明】
【0141】
1…プロジェクター、5,51,55,59,63…投写光学装置、10…光源、18,18B,18G,18R…光変調装置、27,64…投写光学系、28,56,60…劣化抑制部、29,52…投写制御部、33…第1光学素子(樹脂レンズ)、37…回転駆動部、38…回転軸、53…検出部、57…冷却部、61…報知部、L36…レンズ(樹脂レンズ)、S…スクリーン。
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