(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 3/18 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
H02K3/18 J
H02K3/18 P
(21)【出願番号】P 2020093559
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐司
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-147630(JP,A)
【文献】特開2009-11152(JP,A)
【文献】特開2015-133787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持されていると共にマグネット(32)を備えたロータ(22)と、
前記ロータと回転径方向に対向して配置され、導電性の導線(86)が環状に巻回されることにより形成されていると共に回転周方向に沿って配列された複数のコイル(28)を有し、前記コイルを形成する導線の第1の端末部(86A)が該コイルの内周部から回転径方向に突出されかつ前記コイルを形成する導線の第2の端末部(86B)が該コイルの外周部から回転径方向に突出されたステータ(20)と、
を備えたモータ(10)。
【請求項2】
前記ステータは、環状に形成されたステータコア(24)を備え、
各々の前記コイルが、前記ステータコアの内周面又は外周面に沿って配置され、
前記第1の端末部が、前記ステータコアの回転軸方向の端部と前記コイルとの間の隙間から回転径方向に突出されている請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1の端末部が前記コイルの内周部から前記ステータコア側に突出され、
前記第2の端末部が前記コイルの外周部から前記ステータコア側に突出された請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
各々の前記コイルの前記第1の端末部間及び前記第2の端末部間の少なくとも一方が、前記ステータコアと回転軸方向に重ねられて配置された結線部材(88C、88U、88V、88W)を介して結線されている請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
各々の前記コイルの前記第1の端末部間が、前記ステータコアに対して回転軸方向の一方側に配置された前記結線部材を介して結線され、
各々の前記コイルの前記第2の端末部間が、前記ステータコアに対して回転軸方向の他方側に配置された前記結線部材を介して結線されている請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記第1の端末部が前記コイルの内周部から回転径方向の一方側に突出され、
前記第2の端末部が前記コイルの外周部から回転径方向の他方側に突出された請求項2に記載のモータ。
【請求項7】
各々の前記コイルの前記第1の端末部間及び前記第2の端末部間の一方が、前記ステータコアと回転軸方向に重ねられて配置された結線部材を介して結線され
各々の前記コイルの前記第1の端末部間及び前記第2の端末部間の他方が、各々のコイルにおける前記ステータコアとは反対側に沿って配置された結線部材を介して結線されている請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
各々の前記コイルは、
第1系統(90A)のU相の前記コイル、V相の前記コイル及びW相の前記コイルと、
第2系統(90B)のU相の前記コイル、V相の前記コイル及びW相の前記コイルと、
を備え、
第1系統のU相の前記コイル、V相の前記コイル及びW相の前記コイル間の結線が、前記ステータコアに対して回転軸方向一方側でなされ、
第2系統のU相の前記コイル、V相の前記コイル及びW相の前記コイル間の結線が、前記ステータコアに対して回転軸方向他方側でなされている請求項2~請求項4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項9】
複数の前記コイルの前記第2の端末部が、他の前記コイルの前記第2の端末部に対して軸方向の反対側に配置されている請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
各々の前記コイルは、前記導線が巻回される巻回部(30B)と、前記コイルと前記ステータコアとの間に配置される介在部(30D)と、該介在部と一体に形成されていると共に前記ステータコアに係止される係止部(30A)と、を有する各々のインシュレータ(30)のまわりにそれぞれ形成されている請求項2、請求項2を引用する請求項3~請求項9のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項11】
前記係止部において前記ステータコアと接触する側とは反対側には、導電性のターミナル部材(92)が固定されている請求項10に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、コイルを形成する導線が巻回されるスロットを備えていないスロットレスブラシレスモータが開示されている。この文献に記載されたスロットレスブラシレスモータでは、U相のコイル、V相のコイル及びW相のコイルの隣接するもの同士が、各コイルの半分ほど周方向において互いに径方向に重なるように配置されている。これにより、スロットレスブラシレスモータのコギングトルクの低減等を図ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された構成では、隣接するコイルを重ね合わせるために、各々のコイルの周方向の中間部に径方向への段差を形成する等の形状加工が必要となり、各々のコイルの形状が複雑化する。
【0005】
本開示は上記事実を考慮し、各々のコイルの形状が複雑化することを抑制することができるモータを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するモータ(10)は、回転可能に支持されていると共にマグネット(32)を備えたロータ(22)と、前記ロータと回転径方向に対向して配置され、導電性の導線(86)が環状に巻回されることにより形成されていると共に回転周方向に沿って配列された複数のコイル(28)を有し、前記コイルを形成する導線の第1の端末部(86A)が該コイルの内周部から回転径方向に突出されかつ前記コイルを形成する導線の第2の端末部(86B)が該コイルの外周部から回転径方向に突出されたステータ(20)と、を備えている。
【0007】
この様に構成することで、各々のコイルの形状が複雑化することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の減速機付モータを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示された2-2線に沿って切断した減速機付モータを示す断面斜視図である。
【
図3】
図1に示された減速機付モータを軸方向に沿って切断した断面を示す側断面図である。
【
図4】
図1に示された減速機付モータを分解して示す分解斜視図である。
【
図7】マグネット及びマグネット被覆部材を示す分解斜視図である。
【
図8】ステータコア及びステータコアの内周面に沿って配置された複数のコイルを示す斜視図である。
【
図10】ステータコア及びステータコアにインシュレータを介して取付けられた複数のコイルを示す斜視図である。
【
図11】インシュレータのまわりに形成されたコイルを径方向外側から見た斜視図である。
【
図12】インシュレータのまわりに形成されたコイルを径方向内側から見た斜視図である。
【
図13】各々のコイル間の結線を模式的に示す図である。
【
図14】各々のコイル間の結線部材を介した結線を模式的に示す図である。
【
図15】コイルの径方向外側における各結線部材の配置を模式的に示す模式図である。
【
図16】第2実施形態のモータの一部を構成するコイル及びインシュレータを示す
図11に対応する斜視図である。
【
図17】第2実施形態のモータの各結線部材の配置を模式的に示す
図15に対応する模式図である。
【
図18】第3実施形態のモータの一部を構成するコイル及びインシュレータを示す
図12に対応する斜視図である。
【
図19】第3実施形態のモータの各結線部材の配置を模式的に示す
図15に対応する模式図である。
【
図20】第4実施形態のモータの一部を構成するコイル及びインシュレータを示す
図12に対応する斜視図である。
【
図21】第4実施形態のモータの各結線部材の配置を模式的に示す
図15に対応する模式図である。
【
図22】第5実施形態のモータにおける第1系統の各々のコイル間の結線を模式的に示す
図13に対応する図である。
【
図23】第5実施形態のモータにおける第1系統の各々のコイル間の結線を模式的に示す
図13に対応する図である。
【
図24】第5実施形態のモータの各結線部材の配置を模式的に示す
図15に対応する模式図である。
【
図25】第6実施形態のモータの一部を構成するコイル及びインシュレータ等を示す拡大斜視図である。
【
図26】第7実施形態のモータの一部を構成するコイル及びインシュレータを示す
図11に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1~
図7を用いて第1実施形態に係る減速機付モータ10について説明する。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、出力軸12の回転軸方向一方側、回転径方向外側及び回転周方向一方側をそれぞれ示すものとする。また以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、出力軸12の回転軸方向、回転径方向、回転周方向を示すものとする。
【0010】
図1~
図4に示されるように、本実施形態の減速機付モータ10は、減速機14が内蔵された3相8極12スロットの減速機付モータである。この減速機付モータ10は、モータケース16及びモータカバー18と、モータケース16内に配置されたステータ20、ロータ22及びロータ22の回転を減速する減速機14と、モータカバー18から突出する出力軸12と、を備えている。なお、
図3においては、断面部分のみを図示している。
【0011】
図2、
図3及び
図5に示されるように、モータケース16は、軸方向一方側が開放されていると共に軸方向他方側が閉止された有底円筒状に形成されている。このモータケース16は、円板状に形成された底壁部16Aと、底壁部16Aの径方向外側の端から軸方向一方側へ向けて屈曲して延びる側壁部16Bと、を備えている。
【0012】
図2、
図3及び
図4に示されるように、モータカバー18は、円板状に形成された蓋部18Aを備えている。この蓋部18Aの径方向の中心部には、後述する出力軸12が挿入される挿入孔18Bが形成されている。また、モータカバー18は、挿入孔18Bの縁部からは軸方向一方側へ向けて突出する環状の第1フランジ部18Cを備えている。第1フランジ部18Cの内周部には、出力軸12を支持するベアリング19が圧入等により固定されている。そして、出力軸12が挿入孔18Bに挿入された状態で、モータカバー18がモータケース16に取付けられることで、出力軸12がモータカバー18から軸方向一方側へ突出した状態でモータケース16の開放端側(軸方向一方側)が蓋部18Aによって閉止されるようになっている。
図2及び
図3に示されるように、モータカバー18は、蓋部18Aの軸方向他方側の径方向の中間部から軸方向他方側へ向けて突出する環状の第2フランジ部18Dを備えている、この第2フランジ部18Dの内周部には、後述する減速機14の一部を構成するリングギヤ60を支持するシールベアリング21が圧入等により固定されている。
【0013】
図4に示されるように、ステータ20は、モータケース16の側壁部16Bの径方向内側の面に固定されている。
図4及び
図5に示されるように、ステータ20は、環状に形成されたステータコア24と、ステータコア24の内周面に固定された複数のコイル体26と、を備えている。
図5に示されるように、本実施形態では、12個のコイル体26が周方向に並んで配列されている。
【0014】
ここで、コイル体26は、導線が巻回されることによって形成されたコイル28と、当該コイル28の形状を保持すると共にステータコア24に係止される係止部30Aを有するインシュレータ30と、を含んで構成されている。また、コイル28を構成する導線は、導電性の素線が束ねられることで形成された素線集合体である。また、束ねられた素線間の抵抗値は、素線そのものの抵抗値よりも大きくなっている。これにより、うず電流損が低減されている。また、各々のコイル体26のコイル28の端末部は、後に詳述するような状態で結線されている。本実施形態では、コイル28の内部にステータコア24の一部が配置されないティースレス構造となっている。
【0015】
図4及び
図7に示されるように、ロータ22は、環状のマグネット32が後述する減速機14の一部を構成するリングギヤ60の外周面に取付けられることによって構成されている。
図7に示されるように、本実施形態のマグネット32は、N極とS極とが周方向に交互に配列された8極の極異方配向のマグネットである。なお、
図7においては、一部のマグネット32内の磁束の向きを矢印Wで模式的に示している。なお、マグネット32は、ハルバッハ配向等の他の配向のマグネットであってもよい。また、本実施形態のマグネット32は、保持力Hcが400[kA/m]以上かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上の磁性化合物を用いて形成されている。一例として、本実施形態のマグネット32は、NdFe
11TiN、Nd
2Fe
14B、Sm
2Fe
17N
3、FeNi等の磁性化合物を用いて形成されている。
【0016】
ここで、本実施形態のマグネット32では、径方向外側の面である外周面32Aにおける磁束密度を周方向に沿って測定した際の磁束密度が、N極及びS極の磁極中心においてピーク値となるようにマグネット32内の磁束の配向が設定されている。これに加えて、本実施形態のマグネット32では、径方向内側の面である内周面32Bにおける磁束密度を周方向に沿って測定した際の磁束密度が、周方向の各位置でほぼゼロとなるようにマグネット32内の磁束の配向が設定されている。これにより、マグネット32が固定されるリングギヤ60が磁路である磁気回路の一部とはならない構成となっている。なお、リングギヤ60の外周面に取付けられたマグネット32の外周面32A、軸方向一方側の面及び軸方向他方側の面は、それぞれマグネット被覆部材33によって覆われるようになっている。
【0017】
図6に示されるように、減速機14は、前述のロータ22の一部を構成する筒状に形成されたリングギヤ60を備えている。また、減速機14は、リングギヤ60の内部における軸方向他方側に配置された第1プラネタリギヤ62、第1キャリヤ64及び第1サンギヤ66を備えている。さらに、減速機14は、リングギヤ60の内部における軸方向一方側に配置された第2プラネタリギヤ68、第2キャリヤ70及び第2サンギヤ72を備えている。
【0018】
図2、
図3及び
図6に示されるように、リングギヤ60は、金属材料を用いて筒状に形成されている。なお、本実施形態では、減速機14を構成する各部品は、金属製となっている。このリングギヤ60の軸方向他方側の径方向内側の面には、複数の第1内歯60Aが周方向に沿って形成されている。また、リングギヤ60の軸方向一方側の径方向内側の面には、複数の第2内歯60Bが周方向に沿って形成されている。ここで、本実施形態では、リングギヤ60の内周部において第1内歯60Aが形成されている部分の内径が、第2内歯60Bが形成されている部分の内径と比べて大きな内径となっている。また、リングギヤ60の内周部における第1内歯60Aが形成されている部分と第2内歯60Bが形成されている部分との境目には、径方向内側へ向けて突出する縮径部60Cが形成されている。さらに、リングギヤ60の外周部には、径方向に高さの差を有する3つの段差部が形成されている。なお、この3つの段差部を軸方向一方側から順番に第1段差部60D、第2段差部60E及び第3段差部60Fと呼ぶ。そして、本実施形態では、リングギヤ60の外周部における第2段差部60Eと第1段差部60Dとの間の部分の外径が、第1段差部60Dよりも軸方向一方側の部分の外径よりも大きな外径となっている。また、リングギヤ60の外周部における第3段差部60Fと第2段差部60Eとの間の部分の外径が、第2段差部60Eと第1段差部60Dとの間の部分の外径よりも大きな外径となっている。さらに、リングギヤ60の外周部における第3段差部60Fよりも軸方向他方側の部分の外径が、第3段差部60Fと第2段差部60Eとの間の部分の外径よりも大きな外径となっている。また、第2段差部60Eは、縮径部60Cと軸方向の同じ位置に形成されている。そして、前述のマグネット32における軸方向他方側の内周端が、第2段差部60Eに係止された状態で、マグネット32がリングギヤ60の外周面に固定されている。また、リングギヤ60の軸方向一方側の端部である第1段差部60Dよりも軸方向一方側の部分は、モータカバー18に固定された第1シールベアリング21に支持されている。また、リングギヤ60の軸方向他方側の端部である第3段差部60Fよりも軸方向他方側の部分の内周部には、シールベアリング21が圧入等により固定されている。
【0019】
第1プラネタリギヤ62は、リングギヤ60の軸方向他方側の部分の径方向内側に配置されている。本実施形態では、3つの第1プラネタリギヤ62が、周方向に沿って等間隔に配置されている。また、3つの第1プラネタリギヤ62は、リングギヤ60の第1内歯60Aとそれぞれ噛み合っている。
【0020】
第1キャリヤ64は、円板状に形成された基板部64Aと、基板部64Aから軸方向一方側へ向けて突出すると共に周方向に等間隔に配置された3つの軸部64Bと、を備えている。3つの軸部64Bは、3つの第1プラネタリギヤ62をそれぞれ回転可能に支持している。なお、3つの第1プラネタリギヤ62がリングギヤ60の縮径部60Cと近接して配置されることで、3つの第1プラネタリギヤ62の軸部64Bから抜け出す方向への移動が規制されている。また、基板部64Aの軸中心には、円形の開口64Cが形成されており、この開口64Cの内周部には、後述する軸部材74の軸方向他方側の端部を支持するベアリング76が圧入等により固定されている。また、本実施形態では、基板部64Aは、モータケース16の底壁部16Aに固定されている。さらに、第1キャリヤ64の基板部64Aの外周部には、シールベアリング21のインナレースが係止されている。
【0021】
第1サンギヤ66は、3つの第1プラネタリギヤ62の径方向内側に配置された状態で、これら3つの第1プラネタリギヤ62と噛み合っている。この第1サンギヤ66は、出力軸12と同軸上に配置された円柱状の軸部材74に圧入等により固定されている。また、本実施形態では、第1サンギヤ66のモジュール及びピッチ円直径が、後述する第2サンギヤ72のモジュール及びピッチ円直径よりも大きなモジュール及びピッチ円直径に設定されている。
【0022】
第2プラネタリギヤ68は、リングギヤ60の軸方向一方側の部分の径方向内側に配置されている。本実施形態では、3つの第2プラネタリギヤ68が、周方向に沿って等間隔に配置されている。また、3つの第2プラネタリギヤ68は、リングギヤ60の第2内歯60Bとそれぞれ噛み合っている。さらに、本実施形態では、3つの第2プラネタリギヤ68が、前述の第1プラネタリギヤ62とリングギヤ60の縮径部60Cを介して軸方向に対向している。
【0023】
第2キャリヤ70は、円板状に形成された基板部70Aと、基板部70Aから軸方向他方側へ向けて突出すると共に周方向に等間隔に配置された3つの軸部70Bと、を備えている。3つの軸部70Bは、3つの第2プラネタリギヤ68をそれぞれ回転可能に支持している。なお、3つの第2プラネタリギヤ68がリングギヤ60の縮径部60Cと近接して配置されることで、3つの第2プラネタリギヤ68の軸部70Bから抜け出す方向への移動が規制されている。また、基板部70Aの軸中心には、軸方向他方側が開放された窪み70Cが形成されており、この窪み70Cの内周部には、前述の軸部材74の軸方向一方側の端部を支持するベアリング76が圧入等により固定されている。また、基板部70Aの径方向の中心部からは、出力軸12が軸方向一方側へ向けて突出している。すなわち、第2キャリヤ70が出力軸12と一体の構成となっている。
【0024】
第2サンギヤ72は、3つの第2プラネタリギヤ68の径方向内側に配置された状態で、これら3つの第2プラネタリギヤ68と噛み合っている。この第2サンギヤ72は、軸部材74に圧入等により固定されている。これにより、第2サンギヤ72、第1サンギヤ66及び軸部材74によってサンギヤ組立体78が構成されて、第2サンギヤ72が第1サンギヤ66と共に一体回転可能となっている。
【0025】
(ステータ20の細部の構成)
次に、ステータ20の細部の構成について説明する。
【0026】
図8には、インシュレータ30の図示が省略されたステータ20(
図2参照)の各々のコイル28と、ステータコア24と、が示されている。また、
図9には、インシュレータ30の図示が省略されたコイル28単体の斜視図が示されている。そして、
図10、
図11及び
図12に示されるように、各々のコイル28は、各々のインシュレータ30のまわりにそれぞれ形成されている。また、各々のコイル28は、各々のインシュレータ30を介してステータコア24の内周面に沿って取付けられている。すなわち、各々のコイル体26は、ステータコア24の内周面に沿って取付けられている。
【0027】
図8に示されるように、ステータコア24は、鉄や鋼等の磁性材料を用いて環状に形成されている。このステータ20を軸方向に沿って切断した断面の形状は、上下方向を長手方向とする矩形状断面となっている。また、ステータコア24の内周面である径方向内側の面は、周方向及び軸方向に平滑な円筒面状に形成されている。また、ステータコア24の径方向外側の部分である外周部には、複数の係止溝24Aが軸方向に途切れなく形成されている。この複数の係止溝24Aは、ステータコア24の径方向内側へ向けて窪んだ形状となっている。また、複数の係止溝24Aは、周方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。
【0028】
図11及び
図12に示されるように、インシュレータ30は、樹脂材料等の絶縁性の材料を用いて形成されている。インシュレータ30は、コイル28を形成する導線86がそのまわりに巻回される巻回部30Bを備えている。また、インシュレータ30は、ロータ22(
図4参照)と径方向に対向して配置されると共に径方向外側の面における軸方向及び周方向の中央部が巻回部30Bの径方向内側の端に接続された内側延在部30Cを備えている。さらに、インシュレータ30は、ステータコア24(
図10参照)と径方向に対向して配置されると共に径方向内側の面における軸方向及び周方向の中央部が巻回部30Bの径方向外側の端に接続された介在部30Dを備えている。内側延在部30C及び介在部30Dは、周方向に沿う形状に湾曲された薄肉の板状に形成されている。また、インシュレータ30は、介在部30Dの周方向の中央部から径方向外側へ向けて突出する一対の係止部30Aを備えている。一対の係止部30Aは、軸方向に間隔をあけて配置されている。そして、
図10に示されるように、一対の係止部30Aの間にステータコア24が配置された状態で、一対の係止部30Aにおける径方向外側の端部が係止溝24Aに係止されることで、コイル28がインシュレータ30を介してステータコア24に取付けられるようになっている。また、
図11及び
図12に示されるように、介在部30Dにおける一対の係止部30Aの周方向の両側には、コイル28の内周部側と連通された開口30Eが形成されている。さらに、内側延在部30Cにおいて介在部30Dに形成された開口30Eと周方向及び軸方向に対応する位置には、コイル28の内周部側と連通された開口30Fが形成されている。なお、本実施形態においては、この開口30Fは形成されていなくてもよい。
【0029】
図9、
図11及び
図12に示されるように、コイル28は、導線86がインシュレータ30の巻回部30Bのまわりに巻回されることによって形成されている。このコイル28を形成する導線86の一方側の端末部である第1の端末部86Aは、コイル28の内周部からインシュレータ30の介在部30Dに形成された軸方向一方側の開口30Eを通じて径方向外側に突出されている。これにより、第1の端末部86Aが、径方向外側から見てステータコア24の軸方向一方側の端部とコイル28との間の隙間から回転径方向に突出されている。また、コイル28を形成する導線86の他方側の端末部である第2の端末部86Bは、コイル28の外周部における軸方向一方側からインシュレータ30の介在部30Dの外縁に沿って径方向外側に突出されている。なお、複数のコイル28の巻数や形状は、減速機付モータ10に要求されるトルク特性等を考慮して適宜設定すればよい。
【0030】
図10に示されるように、本実施形態では、U相を構成するコイル28と、V相を構成するコイル28と、W相を構成するコイル28と、が周方向に沿ってこの順番で配置されている。なお、U相を構成する4つのコイル28には、周方向に沿って順番にU1、U2、U3、U4の符号を付している。また、V相を構成する4つのコイル28には、周方向に沿って順番にV1、V2、V3、V4の符号を付している。さらに、W相を構成する4つのコイル28には、周方向に沿って順番にW1、W2、W3、W4の符号を付している。そして、
図13に示されるように、本実施形態では、各々のコイル28が、スター結線で結線されている。
【0031】
詳述すると、
図14に示されるように、各々のコイル28の第1の端末部86Aが、環状に形成された結線部材としての中性点結線部材88Cを介して互いに接続されている。また、U相を構成する4つのコイル28が、軸方向から見てC字状に湾曲された結線部材としてのU相結線部材88Uを介して互いに接続されている。さらに、V相を構成する4つのコイル28が、軸方向から見てC字状に湾曲された結線部材としてのV相結線部材88Vを介して互いに接続されている。また、W相を構成する4つのコイル28が、軸方向から見てC字状に湾曲された結線部材としてのW相結線部材88Wを介して互いに接続されている。なお、U相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88W間を流れる電流は、図示しない制御部によって制御されるようになっている。
【0032】
図15に示されるように、本実施形態では、中性点結線部材88C、U相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wが、ステータコア24に対して軸方向一方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。なお、積層される順序は、どのような順序でもよいが、本実施形態では、軸方向一方側から他方側にかけてW相結線部材88W、V相結線部材88V、U相結線部材88U、中性点結線部材88Cの順で積層されている。なお、
図14においては、図面の見やすさを考慮して、中性点結線部材88Cが各々のコイル28の径方向内側に配置されているように描いているが、この中性点結線部材88Cは、
図15に示されるように、各々のコイル28の径方向外側に配置されている。
【0033】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0034】
図1~
図7に示されるように、以上説明した本実施形態の減速機付モータ10によれば、ステータ20を構成する各々のコイル体26のコイル28への通電が図示しない制御回路によって切り替えられることにより、ステータ20が回転磁界を発生させる。これにより、ロータ22が回転する。すなわち、リングギヤ60がマグネット32と共に回転する。
【0035】
リングギヤ60が回転すると、リングギヤ60の第1内歯60Aと噛み合う3つの第1プラネタリギヤ62が回転する。
【0036】
3つの第1プラネタリギヤ62が回転すると、3つの第1プラネタリギヤ62と噛み合う第1サンギヤ66が第2サンギヤ72と共に回転する。
【0037】
第2サンギヤ72が回転すると、第2サンギヤ72と噛み合う3つの第2プラネタリギヤ68が回転する。ここで、3つの第2プラネタリギヤ68は、リングギヤ60とも噛み合っている。そのため、3つの第2プラネタリギヤ68は、第2サンギヤ72の回転数及びリングギヤ60の回転数と対応する回転数で第2サンギヤ72のまわりを公転する。これにより、3つの第2プラネタリギヤ68を支持する第2キャリヤ70が出力軸12と共に、3つの第2プラネタリギヤ68の公転と対応する回転数で回転する。
【0038】
ここで、本実施形態の減速機付モータ10では、
図9に示されるように、コイル28を形成する導線86の第1の端末部86Aが、コイル28の内周部から径方向外側に突出されていると共に、コイル28を形成する導線86の他方側の端末部である第2の端末部86Bが、コイル28の外周部における軸方向一方側から径方向外側に突出されている。これに加えて、本実施形態の減速機付モータ10では、各々のコイル28が周方向に沿って並んで配置された構成となっている。これにより、各々のコイル28の一部を径方向に重ねて配置する場合のような各々のコイル28の形状加工や第1の端末部86A及び第2の端末部86Bを避けるための各々のコイル28の形状加工を不要にすることができる。その結果、各々のコイル28の形状が複雑化することを抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態では、
図10に示されるように、インシュレータ30の一対の係止部30Aにおける径方向外側の端部を係止溝24Aに係止することにより、各々のコイル28を各々のインシュレータ30を介してステータコア24に容易に取付けることができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、
図14及び
図15に示されるように、各々のコイル28の第1の端末部86A及び第2の端末部86Bが、ステータコア24に対して軸方向一方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置された中性点結線部材88C、U相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wを介して結線されるようになっている。これにより、ステータコア24の軸方向一方側かつ各々のコイル28とモータケース16の側壁部16B(
図2参照)との間の空間を有効に活用することができ、減速機付モータ10の軸方向及び径方向への体格の大型化を抑制することができる。また、中性点結線部材88C、U相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wと各々のコイル28との径方向への距離が近くなることにより、配線距離を短くすることができる。また、中性点結線部材88C、U相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wと各々のコイル28との間にインシュレータ30の介在部30Dが有ることにより、両者の絶縁性を容易に確保することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、
図16及び
図17を用いて本開示の第2実施形態に係るモータの構成について説明する。なお、第2実施形態に係るモータにおいて前述の第1実施形態に係る減速機付モータ10と対応する部材及び部分には、第1実施形態に係る減速機付モータ10と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0042】
図16及び
図17に示されるように、本実施形態のモータでは、コイル28を形成する導線86の第1の端末部86Aが当該コイル28の内周部からインシュレータ30の介在部30Dに形成された軸方向他方側の開口30Eを通じて径方向外側に突出された複数のコイル体26を用いてステータ20が構成されている。そして、本実施形態では、各々のコイル28の第1の端末部86Aが互いに接続された中性点結線部材88Cが、ステータコア24に対して軸方向他方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。また、各々のコイル28の第2の端末部86Bが所定の結線で接続されたU相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wが、ステータコア24に対して軸方向一方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。
【0043】
以上説明した本実施形態では、中性点結線部材88Cが上記の位置に配置されていることにより、ステータコア24の軸方向他方側かつ各々のコイル28とモータケース16の側壁部16B(
図2参照)との間の空間を有効に活用することができ、減速機付モータ10の軸方向及び径方向への体格の大型化を抑制することができる。また、本実施形態では、中性点結線部材88C、U相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wが上記の位置に配置されていることにより、パワー線側であるU相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wと中性点側である中性点結線部材88Cとの間の絶縁性を容易に確保することができる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、
図18及び
図19を用いて本開示の第3実施形態に係るモータの構成について説明する。なお、第3実施形態に係るモータにおいて前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分には、前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0045】
図18及び
図19に示されるように、本実施形態のモータでは、コイル28を形成する導線86の第1の端末部86Aが当該コイル28の内周部からインシュレータ30の内側延在部30Cに形成された軸方向一方側の開口30Fを通じて径方向内側に突出された複数のコイル体26を用いてステータ20が構成されている。そして、本実施形態では、各々のコイル28の第1の端末部86Aが互いに接続された中性点結線部材88Cが、インシュレータ30の内側延在部30Cの径方向内側の面に沿って配置されている。また、各々のコイル28の第2の端末部86Bが所定の結線で接続されたU相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wが、ステータコア24に対して軸方向一方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。
【0046】
以上説明した本実施形態では、中性点結線部材88Cが上記の位置に配置されていることにより、各々のコイル体26の径方向内側かつロータ22のマグネット32(
図2参照)に対して軸方向一方側の空間を有効に活用することができ、減速機付モータ10の軸方向及び径方向への体格の大型化を抑制することができる。また、本実施形態では、中性点結線部材88C、U相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wが上記の位置に配置されていることにより、パワー線側であるU相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wと中性点側である中性点結線部材88Cとの間の絶縁性を容易に確保することができる。また、上記構成のコイル体26を用いることにより、ステータ20の軸方向一方側に各々の結線部材を集約させることができる。これにより、各々のコイル体26の第1の端末部86A及び第2の端末部86Bの結線をステータ20の軸方向一方側において行うことができる。
【0047】
(第4実施形態)
次に、
図20及び
図21を用いて本開示の第4実施形態に係るモータの構成について説明する。なお、第4実施形態に係るモータにおいて前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分には、前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0048】
図20及び
図21に示されるように、本実施形態のモータでは、コイル28を形成する導線86の第2の端末部86Bがコイル28の外周部における軸方向他方側からインシュレータ30の介在部30Dの外縁に沿って径方向外側に突出された複数のコイル体26と、
図18に示されたタイプの複数のコイル体26と、を用いてステータ20が構成されている。なお、
図18に示されたタイプの複数のコイル体26のコイル28は、U相のコイル28及びV相のコイル28を構成している。また、
図20に示されたタイプの複数のコイル体26のコイル28は、W相のコイル28を構成している。そして、本実施形態では、各々のコイル28の第1の端末部86Aが互いに接続された中性点結線部材88Cが、インシュレータ30の内側延在部30Cの径方向内側の面に沿って配置されている。また、各々のコイル28の第2の端末部86Bが所定の結線で接続されたU相結線部材88U及びV相結線部材88Vが、ステータコア24に対して軸方向一方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。さらに、各々のコイル28の第2の端末部86Bが所定の結線で接続されたW相結線部材88Wが、ステータコア24に対して軸方向他方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。
【0049】
以上説明した本実施形態では、中性点結線部材88Cと、U相結線部材88U及びV相結線部材88Vと、W相結線部材88Wとを、上記の3か所に分散して配置することができる。これにより、各々結線部材が配置されるスペースを前述の第3実施形態のモータに対して容易に確保することができる。
【0050】
(第5実施形態)
次に、
図22、
図23及び
図24を用いて本開示の第5実施形態に係るモータの構成について説明する。なお、第5実施形態に係るモータにおいて前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分には、前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0051】
図22、
図23及び
図24に示されるように、本実施形態では、スター結線で結線された第1系統90AのU相のコイル28、V相のコイル28及びW相のコイル28と、スター結線で結線された第2系統90BのU相のコイル28、V相のコイル28及びW相のコイル28と、によってステータ20が構成されている。なお、本実施形態のステータ20は、
図11に示されたタイプのコイル体26及び
図11に示されたタイプのコイル体26を軸方向に反転させたタイプのコイル体26を用いて構成されている。
図11に示されたタイプのコイル体26のコイル28は第1系統90Aを構成し、11に示されたタイプのコイル体26を軸方向に反転させたタイプのコイル体26のコイル28は第2系統90Bを構成している。そして、第1系統90Aの各々のコイル28の第1の端末部86Aが互いに接続された中性点結線部材88C、第1系統90Aの各々のコイル28の第2の端末部86Bが所定の結線で接続されたU相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wが、ステータコア24に対して軸方向一方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。また、第2系統90Bの各々のコイル28の第1の端末部86Aが互いに接続された中性点結線部材88C、第2系統90Bの各々のコイル28の第2の端末部86Bが所定の結線で接続されたU相結線部材88U、V相結線部材88V及びW相結線部材88Wが、ステータコア24に対して軸方向他方側において当該ステータコア24と回転軸方向に積層するように重ねられて配置されている。
【0052】
以上説明した本実施形態の構成では、第1系統90Aの各々のコイル28間の結線を行う各結線部材と、第2系統90Bの各々のコイル28間の結線を行う各結線部材と、をステータコア24を介して軸方向に分けることができる。
【0053】
また、本実施形態のステータ20を含んで構成されたモータでは、第1系統90A及び第2系統90Bの一方の系統のコイル28に通電ができなくなったとしても、第1系統90A及び第2系統90Bの他方の系統のコイル28への通電を確保することができる。なお、第1系統90Aを構成するコイル28と第2系統90Bを構成するコイル28とは、一例として、周方向の180°毎に配置してもよいし、周方向の180°毎に配置してもよいし、スロット毎に周方向に交互に配置してもよい。
【0054】
(第6実施形態)
次に、
図25を用いて本開示の第6実施形態に係るモータの構成について説明する。なお、第6実施形態に係るモータにおいて前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分には、前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0055】
図25に示されるように、本実施形態のモータは、係止部30Aにおいてステータコア24(
図8参照)と接触する側とは反対側に導電性のターミナル部材92が固定されたインシュレータ30を用いて構成されている。
【0056】
以上説明した構成によれば、各々のコイル28の第1の端末部86Aを各々のインシュレータ30の係止部30Aに固定されたターミナル部材92にそれぞれ接続することができる。また、各々のインシュレータ30の係止部30Aに固定されたターミナル部材92間を中性点結線部材88Cを介して周方向に接続することにより、各々のコイル28の第1の端末部86A間を結線することができる。
【0057】
(第7実施形態)
次に、
図26を用いて本開示の第7実施形態に係るモータの構成について説明する。なお、第7実施形態に係るモータにおいて前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分には、前述の各実施形態に係る減速機付モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0058】
図26に示されるように、本実施形態のモータは、軸方向他方側の係止部30Aの周方向への幅寸法W1が、軸方向一方側の係止部30Aの周方向への幅寸法W2よりも大きな寸法に設定されたインシュレータ30を用いて構成されている。
【0059】
以上説明した本実施形態の構成では、一対の係止部30Aの幅寸法W1、W2が上記のように設定されていることにより、一対の係止部30Aをステータコア24(
図8参照)に係止させる際のコイル体26の軸方向への姿勢を一対の係止部30Aにより容易に把握することができる。これにより、各々のコイル体26のステータコア24への誤組付けを抑制することができる。
【0060】
なお、以上説明した各例では、各々のコイル28をスター結線で結線した例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、各々のコイル28をデルタ結線で結線してもよい。
【0061】
また、以上説明した各例では、各々のコイル28の第1の端末部86Aを中性点として結線した例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、各々のコイル28の第2の端末部86Bを中性点として結線してもよい。
【0062】
また、以上説明した各例の構成を互いに組み合わせてもよいし、減速機14を備えていないモータに本開示の構成を適用してもよい。
【0063】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0064】
10 モータ、20 ステータ、22 ロータ、24 ステータコア、28 コイル、30 インシュレータ、30A 係止部、30B 巻回部、30D 介在部、32 マグネット、86 導線、86A 第1の端末部、86B 第2の端末部、88C 結線部材、88U 結線部材、88V 結線部材、88W 結線部材、90A 第1系統、90B 第2系統、92 ターミナル部材