(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/09 20120101AFI20240409BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20240409BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240409BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W40/04
B60W50/14
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2020096200
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 整
(72)【発明者】
【氏名】秋田 晃
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121321(JP,A)
【文献】特開2008-247330(JP,A)
【文献】特開2008-030541(JP,A)
【文献】特開2018-081363(JP,A)
【文献】特開2018-092505(JP,A)
【文献】特開2019-021152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 50/16
G08G 1/00 ~ 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の周辺に位置する他車両を検出する他車両検出部と、
所定の支援実行条件が成立した場合に前記自車両の周辺の状況を報知して前記他車両とのすれ違いを支援する支援部と、を備え、
前記支援部が、
前記自車両の前記他車両側の端部と前記他車両の前記自車両側の端部との車両幅方向における距離である幅方向相対量に少なくとも基づいて前記支援実行条件の成立の有無を判断する運転支援装置であって、
前記支援実行条件の成立範囲は、前記自車両の進行方向に応じて異なっていることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
自車両の周辺に位置する他車両を検出する他車両検出部と、
所定の支援実行条件が成立した場合に前記自車両の周辺の状況を報知して前記他車両とのすれ違いを支援する支援部と、を備え、
前記支援部が、
前記自車両の前記他車両側の端部と前記他車両の前記自車両側の端部との車両幅方向における距離である幅方向相対量に少なくとも基づいて前記支援実行条件の成立の有無を判断する運転支援装置であって、
前記自車両の前進時の前記支援実行条件の成立範囲よりも、前記自車両の後退時の前記支援実行条件の成立範囲の方が大きく設定されていることを特徴とする運転支援装置。
【請求項3】
自車両の周辺に位置する他車両を検出する他車両検出部と、
所定の支援実行条件が成立した場合に前記自車両の周辺の状況を報知して前記他車両とのすれ違いを支援する支援部と、を備え、
前記支援部が、
前記自車両の前記他車両側の端部と前記他車両の前記自車両側の端部との車両幅方向における距離である幅方向相対量に少なくとも基づいて前記支援実行条件の成立の有無を判断する運転支援装置であって、
前記自車両と前記他車両との距離である車間距離が大きいほど、前記支援実行条件の成立範囲が大きく設定されていることを特徴とする運転支援装置。
【請求項4】
前記支援実行条件の成立範囲は、前記幅方向相対量の上限閾値と下限閾値とによって定められていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
対向車とのすれ違いを支援する従来の運転支援装置として、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載のものは、道路幅を含む自車両の周辺状況を取得する周辺状況取得手段と、周辺状況取得手段が取得した自車両の周辺状況に基づいて対向車とのすれ違いが可能か否かを判定するすれ違い可否判定手段と、対向車とのすれ違いが可能な自車両後方の位置をすれ違い可能位置として特定すると共に設定したすれ違い可能位置に自車両を誘導する誘導制御を行なう誘導制御手段と、を備えている。そして、特許文献1に記載のものは、すれ違い可否判定手段により対向車とのすれ違いが不可能であると判定され、且つ所定の開始条件を満たす場合に、誘導制御手段による誘導制御を開始する。特許文献1に記載の技術によれば、自車両をすれ違い可能な位置に誘導するための制御を適切に行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、自車両の後退中に対向車とのすれ違いが可能になると前進による運転支援を実施するようにした場合、自車両の後退中の対向車両の移動によって自車両と他車両との位置関係が複雑に変化し、支援実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わるハンチングが発生してしまうことがあった。このようなハンチングが発生すると、運転支援の動作が開始と終了とに頻繁に切り替わり、運転支援を適切に行うことができないという問題が引き起こされる。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、自車両の後退中の他車両の移動によりすれ違い支援の実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わることを抑制できる運転支援装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自車両の周辺に位置する他車両を検出する他車両検出部と、所定の支援実行条件が成立した場合に前記自車両の周辺の状況を報知して前記他車両とのすれ違いを支援する支援部と、を備え、前記支援部が、前記自車両の前記他車両側の端部と前記他車両の前記自車両側の端部との車両幅方向における距離である幅方向相対量に少なくとも基づいて前記支援実行条件の成立の有無を判断する運転支援装置であって、前記支援実行条件の成立範囲は、前記自車両の進行方向に応じて異なっていることを特徴とする運転支援装置。
【発明の効果】
【0007】
このように上記の本発明によれば、自車両の後退中の他車両の移動によりすれ違い支援の実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置を備える車両の構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置が搭載された車両の、他車両とのすれ違い状況を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、すれ違い支援の対象となるすれ違い状況を示す平面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、すれ違い支援の実行条件の成立が維持される場合の自車両と他車両との位置関係を示す平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、すれ違い支援の実行条件の成立が維持されない場合の自車両と他車両との位置関係を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、車両後退中にすれ違い支援の実行条件が成立する場合の自車両と他車両との位置関係を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置において実行されるすれ違い支援の動作を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8の(A)から(D)は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、すれ違い支援の実行の可否の対象となるすれ違い状況を示す平面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、前進時と後退時すれ違い支援条件の成立範囲を示す平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、前進時と後退時のすれ違い支援条件の成立範囲を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、前進時のすれ違い支援条件の成立範囲の上限値を示す平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第1実施例に係る運転支援装置における、後退時のすれ違い支援条件の成立範囲の下限値を示す平面図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施例に係る運転支援装置における、すれ違い支援条件の成立範囲を示す平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2実施例に係る運転支援装置における、車間距離に応じたすれ違い支援条件の成立範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る運転支援装置は、自車両の周辺に位置する他車両を検出する他車両検出部と、所定の支援実行条件が成立した場合に自車両の周辺の状況を報知して他車両とのすれ違いを支援する支援部と、を備え、支援部が、自車両の他車両側の端部と他車両の自車両側の端部との車両幅方向における距離である幅方向相対量に少なくとも基づいて支援実行条件の成立の有無を判断する運転支援装置であって、支援実行条件の成立範囲は、自車両の進行方向に応じて異なっていることを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係る運転支援装置は、自車両の後退中の他車両の移動によりすれ違い支援の実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わることを抑制できる。
【実施例】
【0010】
(第1実施例)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施例に係る運転支援装置について説明する。
【0011】
図1において、車両1は、撮像装置2と、報知装置4と、ECU(Electronic Control Unit)5とを含んで構成される運転支援装置を備えている。撮像装置2は、自車両としての車両1以外の他車両を含む車両1の周辺を撮影する前方カメラを含む。
【0012】
本実施例において、前方カメラとしての撮像装置2は、車両1の進行方向を撮影するように設けられている。具体的には、撮像装置2は、車両1の対向車を撮影できるように設けられている。
【0013】
撮像装置2は、対向車両の検出だけでなく、対向車両の車両幅、移動方向、速度等の情報を取得することができる。なお、これらの情報を取得するために、撮像装置2として、単眼カメラ、ステレオカメラ、LIDAR(light detection and ranging)、レーダ等の何れかまたは組み合わせを用いてもよい。
【0014】
また、撮像装置2は、運転席から視認させることができない車両1の周辺の画像を撮影する側方カメラを含む。具体的には、側方カメラとしての撮像装置2は、他車両とのすれ違い走行を支援する支援画像を撮影する。
【0015】
側方カメラとしての撮像装置2は、車両1の運転席側と反対側、すなわち、助手席側のドアミラーに少なくともレンズが下前方に露出するように埋め込まれている。この撮像装置2は、車両1の助手席側の側方を一部に含む周辺の路面、例えば、左前輪のフロントフェンダーの付近を撮影する。
【0016】
例えば、幅が狭い道路で車両1が他車両とすれ違い走行を行う場合には、電信柱、電柱、ガードレール、側溝及び縁石などの助手席側の障害物に車両1を当てることなく、他車両を避ける必要がある。撮像装置2は、車両1と助手席側の障害物との位置関係をドライバに視認させる画像を撮影する。
【0017】
本実施例において、報知装置4は、撮像装置2によって撮影された車両1の側方の画像などを表示する表示装置6を含んで構成される。例えば、表示装置6は、設定された目的地までの経路を案内するナビゲーションシステムの表示装置によって構成される。
【0018】
表示装置6は、ナビゲーションシステムの表示装置以外の表示装置によって構成してもよい。すなわち、表示装置6は、運転席に着座しているドライバが視認できるものであればいかなるものでもよく、例えば、運転席とフロントガラスとの間に移動させることができるように設けられた透光性を有する表示パネルや、画像を表示することが可能なフロントミラーやサイドミラーによって構成されてもよい。
【0019】
また、表示装置6は、2次元的に画像を表示したり投影したりするものでなくでも、例えば3Dホログラムのように3次元的に像を再生するものによって構成されてもよい。これらに限らず、報知装置4の報知内容としては、ドライバへの警告・音声メッセージ、カメラ映像、ナビ映像、文字メッセージ等が含まれる。
【0020】
図2は、道路で自車両が他車両25(対向車両)とすれ違い走行を行っている状態を示している。すれ違い走行時に自車両が通行可能な幅は、通行中の道路の幅から対向車両の幅等を除いて得た幅である。
図2において、すれ違い走行時に自車両が通行可能な幅は、通行中の道路の幅のうち、自車両から見て他車両25の左側に残された幅Eである。したがって、自車両から見て他車両25の右側に残された幅Fは、すれ違い走行に利用することはできない。以下、すれ違い走行時に自車両が通行可能な幅を、利用可能幅ともいう。
【0021】
図3から
図6は、幅が狭い道路で車両1(自車両)が他車両25(対向車両)とすれ違い走行を行っている状態を示している。この場合、表示装置6には、ECU5の制御により、車両1の助手席側の側方の画像等を含む支援画像が表示される。この支援画像には車両1が接触を避けるべき電柱や側溝が映されている。
【0022】
以下、車両1がすれ違い走行をする際に支援画像の表示等をする運転支援動作をすれ違い支援という。このすれ違い支援は、所定の実行条件が成立している場合に実行される。本実施例では、例えば、車両1の前方の領域Sに他車両25が存在し、かつ、自車両に対して他車両25が所定の位置関係にある場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。本実施例におけるすれ違い支援の実行条件は、本発明における支援実行条件に相当する。以下、すれ違い支援の実行条件を、支援実行条件ともいう。
【0023】
図3において、車両1の前方の領域Sに他車両25が存在している。また、自車両に対して他車両25が所定の位置関係にあるものとする。このため、すれ違い支援の実行条件が成立している。
【0024】
図4は、
図3の状態において成立したすれ違い実行条件の成立が維持される場合を示している。
図4において、車両1の前方の領域Sに他車両25が存在している。また、自車両に対して他車両25が所定の位置関係にあるものとする。このため、すれ違い支援の実行条件の成立が維持される。
【0025】
図5は、
図3の状態において成立したすれ違い実行条件が維持されない場合を示している。
図5において、車両1の前方の領域Sに他車両25が存在していない。このため、すれ違い支援の実行条件の成立が維持されない。
【0026】
図6は、すれ違いの準備のための車両1の後退中に所定の前進条件が成立している場合を示している。前進条件とは、前進によるすれ違いが可能な条件をいう。前進条件は、領域Sに対向車が存在せず、かつ、道路に対する車両1(自車両)姿勢が所定の状態にある場合に成立する。所定の状態とは、例えば、道路に対して車両1が平行に位置している状態であることを含む。なお、道路と車両1とが平行であるか否かは、車両1の側端1a(
図3参照)と道路端15との間の角度に基づいて判断される。
【0027】
ECU5は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0028】
コンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU5として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、当該コンピュータユニットにおいて、CPUがROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、本実施例におけるECU5として機能する。
【0029】
ECU5の入力ポートには、撮像装置2に加えて、車速を検出する車速センサ等の車両情報取得装置20が接続されている。ECU5の出力ポートには、報知装置4を含む各種制御対象類が接続されている。車両情報取得装置20は、車速だけでなく、操舵輪舵角、ブレーキスイッチの状態、アクセル開度、シフトポジション、ウインカスイッチの状態、等を取得するようになっていてもよい。
【0030】
ECU5は、各種センサ類から得られる情報に基づいて、各種制御対象類を制御する。例えば、ECU5は、車両1の周辺に位置する他車両25を検出する他車両検出部30としての機能を有する。例えば、ECU5は、撮像装置2によって撮影された周辺画像(領域Sに相当する画像)からエッジ検出及びパターンマッチングなどによって、車両1に最も位置が近い他車両25の画像を検出する。
【0031】
ECU5は、他車両25の情報に基づいて車両1の周辺の状況を乗員に報知して他車両25(
図2参照)とのすれ違いを支援する支援部31としての機能を有する。ECU5は、報知装置4を制御することにより、車両1の周辺の状況を乗員に報知する。
【0032】
具体的には、ECU5は、撮像装置2によって撮影された周辺画像から検出した他車両25の画像に基づいて、撮像装置2によって撮影された画像を表示装置6に表示させる。
【0033】
ECU5は、車両1の他車両25側の端部と他車両25の車両1側の端部との車両幅方向における距離である幅方向相対量Lに少なくとも応じて、すれ違い支援の実行条件の成立の可否を判断し、すれ違い支援の実行条件が成立した場合は、車両1の周辺の状況を乗員に報知する。
【0034】
ここで、幅方向相対量Lは、車両1と他車両25とが車両幅方向に重なり合う場合には正の値で表し、車両1と他車両25とが車両幅方向に離れている場合には負の値で表す。なお、すれ違い支援の実行条件の成立の可否は、幅方向相対量Lだけに限らず、さらに利用可能幅に基づいて判断してもよい。利用可能幅とは、
図2における幅Eであり、他車両25とのすれ違いのために自車両が通行可能な幅であり、道路の幅員から対向車両の車両幅等を減算した残りの幅をいう。
【0035】
車両1の他車両25側の端部とは、車両1のなかで車両幅方向において最も他車両25側に位置する端のことをいう。他車両25の車両1側の端部とは、他車両25のなかで車両幅方向において最も車両1側に位置する端のことをいう。
【0036】
ECU5は、車両1と他車両とが車両幅方向に重なり合う場合には幅方向相対量Lが所定の上限閾値以下で、かつ、所定の下限閾値以上であることを条件としてすれ違い支援を実行する。ECU5は、車両1の周辺の状況を報知装置4に報知させる態様ですれ違い支援を実行する。幅方向相対量Lの上限閾値および下限閾値は、予め実験的に定められた適合値である。本実施例では、車両1と他車両25とが車両幅方向に重なり幅方向相対量Lが正の値の場合に上限閾値が適用されるため、上限閾値は正の値である。また、車両1と他車両25とが車両幅方向に離隔し幅方向相対量Lが負の値の場合に下限閾値が適用されるため、下限閾値は負の値である。
【0037】
ECU5は、撮像装置2によって撮影された周辺画像を取得し、この周辺画像から幅方向相対量Lを算出する。
【0038】
なお、幅方向相対量Lの上限閾値は、車両1の前方を走行している先行車を対向車として検出しないように考慮された値に設定される。本実施例においては、例えば、車両(自車両)と他車両(対向車)とが幅方向に重なる場合の幅方向相対量Lが車両1の車両幅の半分の値が上限閾値に設定されている。一方、幅方向相対量Lの下限閾値は、車両1が他車両25とすれ違い走行をするときの余裕が考慮された値に設定される。本実施例においては、例えば、下限閾値は、車両幅の25%の負の値に設定されている。例えば、車両幅が200cmの場合、下限閾値は-50cmとなる。
【0039】
すれ違い支援の実行条件は、幅方向相対量Lが所定の上限閾値以下、かつ、所定の下限閾値以上であることに加えて、車両情報取得装置20によって検出された車速が所定車速Vth以下であること、及び、車両1と他車両25との間の距離である車間距離Dが所定値Dth以下であることを含む。
【0040】
所定車速Vthは、他車両25とすれ違い走行をするときの一般的な速度の上限として、本実施例においては、5km/hに設定されている。所定値Dthは、他車両25とすれ違い走行を開始するときの一般的な車間距離として、本実施例においては、例えば10mに設定されている。
【0041】
車間距離Dは、撮像装置2をステレオカメラによって構成することで、ECU5が測定できるようにしてもよく、レーザーレーダやミリ波レーダ等の測距センサを車両1に設けることで、ECU5が測定できるようにしてもよい。
【0042】
ECU5は、対向する右折車両及び左折する先行車両をすれ違い走行をする他車両25として検出しないように、また、車両1が右折及び左折する場合に他車両25が検出されることで報知が行われないように、車両1の周辺の状況を乗員に報知する報知条件が成立した状態が所定時間Tth以上継続したことを契機として、車両1の周辺の状況を乗員に報知する。ここで、所定時間Tthは、実験や適合により設定されるものであり、対向する右折車両及び左折する先行車両に対して報知条件が成立する時間より長い時間が設定されればよい。
【0043】
本実施例において、支援部31は、自車両の他車両側の端部と他車両の自車両側の端部との車両幅方向における距離である幅方向相対量Lに少なくとも基づいて支援実行条件の成立の有無を判断する。また、支援実行条件は、自車両のシフトレンジに応じて異なっている。
【0044】
支援部31は、幅方向相対量Lが所定の成立範囲内の場合に支援実行条件を成立させる。支援実行条件の成立範囲は、幅方向相対量Lの上限閾値以下、かつ、下限閾値以上の範囲である。また、シフトレンジが前進レンジのときに適用される成立範囲よりも、シフトレンジが後退レンジのときに適用される成立範囲の方が大きく設定されている。
【0045】
また、車間距離Dが大きいほど支援実行条件の成立範囲が大きく設定されている。
【0046】
また、支援部31は、シフトレンジが後退レンジである場合も、支援実行条件の成立の有無を判断し、支援実行条件が成立したときは、自車両が他車両とすれ違い可能であることを報知する。
【0047】
ここで、すれ違い支援の態様には、対向車とのすれ違いに注意を要することを報知すること、車速を落とすようにドライバへ報知すること、道路端15へ自車両を寄せる必要があることを報知すること、左側通行の道路であれば車両1を道路の左端へ寄せるよう報知すること、車両1が後退する必要性があることを報知すること、等を含めてもよい。
【0048】
また、すれ違い支援の動作としては、車両1の側方を撮影および表示すること、車両1の側方に配置したソナーセンサを起動して道路端15との距離を報知すること、車両1を道路の端へ寄せる際に障害物との接触を回避するように操舵アシストを行うこと、等を含めてもよい。
【0049】
さらに、車両1の後退時の運転支援の態様には、車両後方の道路幅を認識して後退可能か否かを報知すること、車両1が後退する際のすれ違い可能領域を報知すること、自車両の後方を走行する他車両へハザードランプの点滅等により後退することを報知すること、等を含めてもよい。
【0050】
車両1は図示しない通信装置を備えていてもよい。この通信装置は、ECU5から出力されたすれ違い支援の情報を、対向車両、周囲の車両、道路設備等と通信する。車両1は、自車両の状況を各通信相手に知らせる一方、各通信相手から周囲の情報を受信して自車両におけるすれ違い支援に利用してもよい。
【0051】
次に、すれ違い支援の具体例を説明する。ECU5は、自車両および対向車両が道路端15に寄る操舵操作を必要としない場合、または速度を落とさずに通過できるほど十分な余裕がある場合は、運転支援が必要ないと判断して、報知等の支援動作を実施しない。
【0052】
ECU5は、自車両および対向車両が道路端15に寄る動作をすれば通行が可能となるが道路幅に十分な余裕がない場合は運転支援が必要と判断し、運転支援のための報知動作を実施する。例えば、ECU5は、報知動作として、「注意して通行してください」、「速度を落として左に寄ってください」等の音声案内や、ドライバから死角になる車両左前方の周囲の映像をモニタに表示させる。
【0053】
ECU5は、自車両および対向車が道路端15に寄る動作をしても通行できる道路幅を確保できない場合は、通行不可能と判断し、車両の後退による回避をドライバに勧める音声案内や表示を行う。
【0054】
自車両がすれ違い可能な場所まで後退する際は、ECU5は、自車両の後退中の対向車両の位置、方向を絶えず検出し続ける。ECU5は、通行中の道路の幅(以下、道路幅という)と、自車両の車両幅と、の比較によりすれ違いの可否を判断する処理を自車両の後退中も継続する。そして、ECU5は、後退の途中ですれ違いが可能な状態になった場合は、前進を促す音声案内等を行う。ECU5は、音声案内だけでなく、リヤガラスに設置した表示装置に、「前進できます」、「すれ違いできます」等の文字メッセージを表示させてもよい。
【0055】
このように、本実施例では、自車両の後退時にすれ違いの可否を判断するようにした。これにより、車両1の後退を中断して前進によるすれ違いを促す態様の支援ができるようになった。
【0056】
ECU5は、道路幅と車両幅とを比較し、自車両の前進中はすれ違い支援が不要(通常走行が可能)か、すれ違い支援が必要かを判定する。すれ違い支援が必要と判定した場合、ECU5は、さらに回避操作により前進可能かまたは後退が必要かを判定する。このように、自車両が後退中であっても、ECU5は、前方の状況の監視、検出を継続し、前進可能か後退を継続するかを判定する。
【0057】
ECU5は、各種の情報に基づいてすれ違い支援の動作を制御する。ECU5は、すれ違い支援の実行条件(開始条件)が成立していない場合は通常走行を継続し、実行条件が成立している場合はすれ違い支援を開始する。
【0058】
ECU5は、回避操作による前進が可能と判定された場合は、「注意して通行してください」、「速度を落として左に寄ってください」等の音声案内や、ドライバから死角になる車両左前方のボディやタイヤ周囲の映像をモニタに表示する等の態様で、すれ違い支援を実施する。
【0059】
ECU5は、車両1の後退が必要と判断した場合、「前進できません」、「後退してください」等の音声案内または表示により、ドライバに後退による回避を促す。
【0060】
そして、ECU5は、シフトポジションがDレンジやLレンジ等の前進レンジからRレンジ等の後退レンジに切り替わった場合、すれ違い可能な場所までの残り距離またはルートを音声または表示により報知する態様で、ドライバに後退を促す。
【0061】
その後、ECU5は、シフトポジションが後退レンジから前進レンジに切り替わった場合、「注意して通行してください」、「速度を落として左に寄ってください」等の旨を報知する態様で、すれ違い支援を行う。また、ECU5は、ドライバから死角になる車両の左前方のボディやタイヤ周囲の映像をモニタに表示させる態様ですれ違い支援を実施する。
【0062】
ECU5は、自車両または対向車両の前進により、所定のすれ違い支援完了条件が成立した場合、ECU5はすれ違い支援を完了する。
【0063】
ここで、利用可能幅の閾値を道路幅Aおよび道路幅Bとしたとき、本実施例では、前進によるすれ違いが不可能なため後退が必要であると前進中に判定する道路幅(道路幅A)と、前進によるすれ違いが可能であると後退中に判定する道路幅(道路幅B)を、道路幅A<道路幅Bに設定している。
【0064】
このようにすることで、前進中に実施される運転支援と後退中に実施される運転支援とが、頻繁に切り替わることを防止できる。
【0065】
ここで、自車両を後退させる場合、ドライバは後方の安全確認のために直接後方を振り返ったり周囲を目視したりするので、前方の状況確認の頻度が低下する。そのため、ドライバは、後退中の対向車両の動きや道路幅などの状況の変化により前進によるすれ違いが可能になったことに気付かずに後退を継続してしまうことがあり得る。
【0066】
そこで、ECU5は、自車両の後退中においても、前方の状況の監視を継続し、前進によるすれ違いを支援するか、または後退後の前進によるすれ違いを支援するかを判断することが好ましい。これにより、前進によるすれ違いが可能になったことを後退中にドライバに報知でき、不要な車両1の後退を防止できる。
【0067】
以上のように構成された本実施例の運転支援装置によるすれ違い支援の動作について
図7のフローチャートを参照して説明する。なお、以下に説明するすれ違い支援の動作は、ECU5が作動している間、繰り返し実行される。
【0068】
まず、ステップS1において、ECU5は、すれ違い支援の実行条件が成立しているか否かを判断する。この処理において、ECU5は、所定の実行条件を満たす場合にすれ違い支援の実行条件が成立していると判断する。ステップS1は、実行条件が成立していると判断されるまで繰り返される。
【0069】
ステップS1ですれ違い支援の実行条件が成立していると判断した場合、ECU5は、ステップS2に進んですれ違い支援制御を実行する。
【0070】
次いで、ステップ3において、ECU5は、車両進行方向が後退方向であるか否かを判断する。ここでは、シフトレンジが後退レンジ(Rレンジ)である場合に車両進行方向が後退方向であると判断する。
【0071】
車両進行方向が後退方向であると判断した場合には、ECU5は、ステップS4の処理を実行する。車両進行方向が後退方向ではないと判断した場合には、ECU5は、ステップS7の処理を実行する。
【0072】
ステップS4において、ECU5は、対向車両をロストしたか否かを判断する。ここで、ロストとは、他車両検出部30が領域S内に対向車両を検出できなくなることをいう。対向車両をロストしていないと判断した場合、ECU5は、ステップS5の処理を実行する。対向車両をロストしたと判断した場合、ECU5は、ステップS7の処理を実行する。
【0073】
ステップS5において、ECU5は、前進条件が成立しているか否かを判断する。前進条件の成立とは、前進によるすれ違いが可能な条件が成立していることをいう。
【0074】
前進条件が成立していると判断した場合は、ECU5は、ステップS6の処理を実行する。前進条件が成立していないと判断した場合は、ECU5は、ステップS4の処理に戻る。
【0075】
ステップS6において、ECU5は、前進切替要求処理を実施する。この処理は、自車両が対向車両とすれ違い可能であることをドライバに報知する動作と、シフトレンジを後退レンジ(Rレンジ)から前進レンジ(Dレンジ等)へ切り替えることをドライバに要求する動作と、からなる。
【0076】
このように、前進走行に切り替えてすれ違いが可能であることをドライバに報知することにより、自車両が後退している状態で対向車両が自車両に向かって走行していることによる、すれ違い不可状態の継続を防止できる。また、自車両と対向車両との距離が拡大し、すれ違い支援の条件が不成立となることを防止できる。また、すれ違い支援の開始条件の成立と終了条件の成立とが頻繁に繰り返されること(いわゆるハンチング)を防止できる。また、車両が後退状態である場合にもすれ違い支援が継続されるので、後退後の前進によるすれ違いが完了するまでドライバへのすれ違い支援を継続することができる。
【0077】
ステップS7において、ECU5は、すれ違い支援の実行条件が不成立であるか否かを判断する。すれ違い支援の実行条件が成立している場合は、ECU5は、ステップS3の処理に戻る。すれ違い支援の実行条件が不成立の場合は、ECU5は、今回の動作(本図のフローチャートの1回の動作)を終了する。
【0078】
図8(A)において、車両1(自車両)と他車両25とが車両幅方向に重なり合い、かつ、幅方向相対量Lが所定の上限閾値以上となっている。言い換えれば、すれ違いが不可能なほどに車両相互の重なりが大きい。以下、この条件を条件Aという。条件Aの場合、支援部31は、幅方向相対量Lがすれ違い支援条件の成立範囲外にあるため、すれ違い支援条件が成立しないと判定し、すれ違い支援を実行しない。
【0079】
図8(B)において、車両1と他車両25とが車両幅方向に重なり合い、かつ、幅方向相対量Lが所定の上限閾値以下となっている。以下、この条件を条件Bという。条件Bの場合、支援部31は、幅方向相対量Lがすれ違い支援条件の成立範囲内にあるため、すれ違い支援条件が成立すると判定し、すれ違い支援を実行する。
【0080】
図8(C)において、車両1と他車両25とが車両幅方向に重なり合っておらず、かつ、幅方向相対量Lが所定の下限閾値以上となっている。以下、この条件を条件Cという。条件Cの場合、支援部31は、幅方向相対量Lがすれ違い支援条件の成立範囲内にあるため、すれ違い支援条件が成立すると判定し、すれ違い支援を実行する。
【0081】
図8(D)において、車両1と他車両25とが車両幅方向に重なり合っておらず、かつ、幅方向相対量Lが所定の下限値以下となっている。以下、この条件を条件Dという。条件Dの場合、支援部31は、幅方向相対量Lがすれ違い支援条件の成立範囲外にあるため、すれ違い支援条件が成立しないと判定し、すれ違い支援を実行しない。
【0082】
図9において、すれ違い支援の実行条件の成立範囲は、幅方向相対量L(図中、単に「幅方向相対量」と記す)の閾値によって定められている。また、この成立範囲は、前述の条件Aから条件Dごとに定められている。車両1の前進時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は、第1上限閾値として設定されている。車両1の前進時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの下限閾値は、第1下限閾値として設定されている。また、車両1の後退時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は、第2上限閾値として設定されている。車両1の後退時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの下限閾値は、第2下限閾値として設定されている。また、第2上限閾値の方が第1上限閾値よりも大きく設定され、第2下限閾値の方が第1下限閾値よりも小さく設定されている。このため、車両1の前進時にすれ違い支援が成立する幅方向相対量Lの範囲よりも、車両1の後退時にすれ違い支援が成立する幅方向相対量Lの範囲の方が大きく設定されている。
【0083】
このように、すれ違い支援の実行条件の成立範囲は、車両1(自車両)の進行方向に応じて異なっている。そして、車両1の前進時のすれ違い支援の実行条件の成立範囲よりも、後退時のすれ違い支援の実行条件の成立範囲の方が大きく設定されている。
【0084】
図10において、車両1の前進時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は、50cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが50cm以下の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する(
図11参照)。また、車両1の前進時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの下限閾値は、-50cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが-50cm以上の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する(
図12参照)。また、車両1の後退時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は、70cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが70cm以下の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。また、車両1の後退時にすれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの下限閾値は、-70cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが-70cm以上の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。なお、本実施例において、車間距離Dはすれ違い支援の実行条件に含まれていない。
【0085】
以上のように、本実施例において、すれ違い支援の実行条件の成立範囲は、自車両の進行方向に応じて異なっている。
【0086】
これにより、自車両の進行方向に応じてすれ違い支援の実行条件の成立範囲が異なっているので、自車両の後退に伴う回避操作に起因してすれ違い支援の実行条件が不成立となることを抑制できる。また、自車両の後退中の他車両25の移動によりすれ違い支援の実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わること(ハンチング)を抑制できる。
【0087】
また、本実施例において、自車両の前進時のすれ違い支援の実行条件の成立範囲よりも、自車両の後退時のすれ違い支援の実行条件の成立範囲の方が大きく設定されている。
【0088】
これにより、自車両の前進時のすれ違い支援の実行条件の成立範囲よりも、自車両の後退時のすれ違い支援の実行条件の成立範囲の方が大きく設定されているので、自車両の後退に伴う回避操作に起因して支援実行条件が不成立となることを抑制できる。また、自車両の後退中の他車両25の移動によりすれ違い支援の実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わること(ハンチング)を抑制できる。
【0089】
本実施例において、すれ違い支援の実行条件の成立範囲は、幅方向相対量の上限閾値と下限閾値とによって定められる。
【0090】
これにより、幅方向相対量Lが下限閾値以下の場合のように、車両1(自車両)と他車両25とが車両幅方向に十分に離れている場合は、不要なすれ違い支援が実行されることを防止できる。
【0091】
(第2実施例)
本発明の第2実施例に係る運転支援装置について説明する。第2実施例に係る運転支援装置は、すれ違い支援の実行条件の成立範囲を、車両1の進行方向(前進または後退)に代わって車間距離Dに応じて異ならせている点において第1実施例と異なっている。以下、第1実施例と異なる部分について説明する。
【0092】
図13において、すれ違い支援の実行条件の成立範囲は、幅方向相対量L(図中、単に「幅方向相対量」と記す)の閾値によって定められている。
図13に示す条件Aから条件Dは、
図9における条件Aから条件Dと共通である。幅方向相対量Lの範囲、上限閾値および下限閾値は、車間距離DがD≦10mの場合と、20m>D>10mの場合と、D≧20mの場合とで異なっている。
【0093】
車間距離DがD≦10mの場合は、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は、第4上限閾値として設定されている。幅方向相対量Lの下限閾値は、第4下限閾値として設定されている。また、車間距離Dが20m>D>10mの場合は、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は、第5上限閾値として設定されている。幅方向相対量Lの下限閾値は、第5下限閾値として設定されている。また、車間距離DがD≧20mの場合は、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は、第6上限閾値として設定されている。幅方向相対量Lの下限閾値は、第6下限閾値として設定されている。本実施例において、第4上限閾値よりも第5上限閾値の方が大きく設定されており、第5上限閾値よりも第6上限閾値の方が大きく設定されている。また、第4下限閾値よりも第5下限閾値の方が小さく設定されており、第5下限閾値よりも第6下限閾値の方が小さく設定されている。このように、車間距離Dが大きくなるほど、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの範囲は大きくなる。
【0094】
図14において、車間距離DがD≦10mの場合は、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は50cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが50cm以下の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。また、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの下限閾値は、-50cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが-50cm以上の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。車間距離Dが20m>D>10mの場合は、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は70cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが70cm以下の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。また、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの下限閾値は、-70cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが-70cm以上の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。車間距離DがD≧20mの場合は、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値は100cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが100cm以下の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。また、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの下限閾値は、-100cmに定められている。このため、幅方向相対量Lが-100cm以上の場合にすれ違い支援の実行条件が成立する。なお、第1実施例に本実施例を組み合わせてもよい。つまり、すれ違い支援の実行条件が成立する幅方向相対量Lの上限閾値および下限閾値を、車両1の進行方向(前進または後退)と、車間距離Dと、の両方に応じて設定してもよい。
【0095】
以上のように、本実施例において、自車両と他車両25との距離である車間距離が大きいほど、すれ違い支援の実行条件の成立範囲が大きく設定されている。
【0096】
これにより、車間距離Dが大きいほど、すれ違い支援の実行条件の成立範囲が大きく設定されているので、車間距離Dが大きいうちに速やかに支援実行条件を成立させ、すれ違いの支援を開始できる。また、自車両の後退中に他車両25が移動することによりすれ違い支援の実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わること(ハンチング)を抑制できる。また、自車両の後退に伴い車間距離が増加した場合であっても、すれ違い支援の実行条件が成立と非成立とに頻繁に切り替わることを抑制できる。
【0097】
本実施例において、すれ違い支援の実行条件の成立範囲は、幅方向相対量の上限閾値と下限閾値とによって定められる。
【0098】
これにより、幅方向相対量Lが下限閾値以下の場合のように、車両1(自車両)と他車両25とが車両幅方向に十分に離れている場合は、不要なすれ違い支援が実行されることを防止できる。
【0099】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0100】
1 車両(自車両)
20 車両情報取得装置
25 他車両
30 他車両検出部
31 支援部
D 車間距離
L 幅方向相対量