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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】生体情報検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20240409BHJP
   A61B 5/0245 20060101ALI20240409BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20240409BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/0245 100A
A61B5/0245 C
A61B5/113
A61B5/08
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020096329
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021186397
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 領
(72)【発明者】
【氏名】郭 暁琳
(72)【発明者】
【氏名】柴田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】上田 吾朗
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-153783(JP,A)
【文献】特開2005-294583(JP,A)
【文献】特開平11-037955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0327774(US,A1)
【文献】特開2014-048049(JP,A)
【文献】特開2011-108209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号を送信する送信機(11)と、
前記送信機から送信された前記送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ(12)と、
前記測定対象者の前記身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナを介して受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
前記送信アンテナおよび前記受信アンテナのいずれか一方と前記測定対象者の前記身体とのアンテナ身体間距離を推定する距離推定部(S102)と、
前記距離推定部により推定された前記アンテナ身体間距離に基づいて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する補正部(S106)と、
前記補正部により補正された前記受信信号に基づいて前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部(S110)と、を備えた生体情報検出装置。
【請求項2】
前記受信機は、前記測定対象者の前記身体へ電波を送信するとともに該電波が前記測定対象者の前記身体反射した反射波を受信する送受信機(141)を有し、
前記距離推定部は、前記送受信機が前記電波を送信してから前記測定対象者の前記身体反射した前記反射波を受信するまでの時間、または前記送受信機が前記電波を送信して前記測定対象者の前記身体反射した前記反射波が前記送受信機により受信される前記反射波の受信レベルに基づいて前記受信機と前記測定対象者の前記身体との前記アンテナ身体間距離を推定する請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項3】
前記送信機は、前記測定対象者の前記身体へ送信した前記無線周波信号が前記測定対象者の前記身体で反射した反射波を受信する反射波受信機(111)を有し、
前記距離推定部は、さらに、前記送信機から前記無線周波信号を送信してから該無線周波信号が前記測定対象者の前記身体で反射した前記反射波が前記反射波受信機によって受信されるまでの時間、または前記送信機が前記無線周波信号を送信して前記測定対象者の前記身体反射した前記反射波が前記反射波受信機によって受信される前記反射波の受信レベルに基づいて前記送信アンテナと前記測定対象者の前記身体とのアンテナ身体間距離を推定する請求項1に記載の生体情報検出装置。
【請求項4】
前記送受信機から前記測定対象者の前記身体へ前記電波を送信している期間と前記送信機から前記測定対象者の前記身体へ前記無線周波信号を送信している期間とが交互となるよう前記送受信機および前記送信機を制御する制御部(44)を備えた請求項2に記載の生体情報検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記送受信機から前記測定対象者の前記身体へ送信する前記電波のレベルと前記送信機から前記測定対象者の前記身体へ送信する前記無線周波信号のレベルのいずれか一方を低下させることにより前記送受信機から前記測定対象者の前記身体へ前記電波を送信している期間と前記送信機から前記測定対象者の前記身体へ前記無線周波信号を送信している期間とが交互となるようにする請求項4に記載の生体情報検出装置。
【請求項6】
送信信号を送信する送信機(11)と、
前記送信機から送信された前記送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ(12)と、
前記送信アンテナから送信され前記測定対象者の前記身体を通過した前記無線周波信号を受信する第1受信アンテナ(13a)と、
前記第1受信アンテナと所定距離離れて配置され前記送信アンテナから送信された前記無線周波信号を受信する第2受信アンテナ(13b)と、
前記第1受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた第1受信信号および前記第2受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた第2受信信号を出力する受信機(14)と、
前記第1受信信号と前記第2受信信号の位相差に基づいて前記測定対象者の前記身体の位置を推定する身体位置推定部(S202)と、
前記身体位置推定部により推定された前記測定対象者の前記身体の位置に基づいて前記第1受信信号の振幅を補正する補正部(S206)と、
前記補正部により補正された前記第1受信信号に基づいて前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部(S110)と、を備えた生体情報検出装置。
【請求項7】
前記第2受信アンテナは、前記第1受信アンテナよりも前記送信アンテナから離れた位置に配置されている請求項6に記載の生体情報検出装置。
【請求項8】
前記第1受信アンテナは、前記送信アンテナから送信された前記無線周波信号を受信する第3受信アンテナ(13c)を有し、
前記受信機は、さらに、前記第3受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた第3受信信号を出力し、
前記身体位置推定部は、前記第2受信信号と前記第3受信信号の前記位相差に基づいて前記測定対象者の前記身体の位置を推定し、
前記第3受信アンテナは、前記第2受信アンテナよりも前記送信アンテナから離れた位置に配置されている請求項6に記載の生体情報検出装置。
【請求項9】
前記第1受信アンテナは、前記送信アンテナから送信された前記無線周波信号を受信する第3受信アンテナ(13c)を有し、
前記受信機は、さらに、前記第3受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた第3受信信号を出力し、
前記身体位置推定部は、前記第2受信信号と前記第3受信信号の前記位相差に基づいて前記測定対象者の前記身体の位置を推定し、
前記第3受信アンテナは、前記第2受信アンテナよりも前記送信アンテナに近い位置に配置されている請求項に記載の生体情報検出装置。
【請求項10】
車両に搭載され、送信信号を送信する送信機(11)と、
前記送信機から送信された前記送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ(12)と、
前記送信アンテナから送信され前記測定対象者の前記身体を通過した前記無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、
前記受信アンテナによって受信された前記無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、
前記車両に装備され前記測定対象者により装着されるシートベルトの巻き取り量に基づいて前記測定対象者の前記身体の位置を推定する身体位置推定部(S302)と、
前記身体位置推定部によって推定された前記測定対象者の前記身体の位置に基づいて前記受信機から出力される前記受信信号の振幅を補正する補正部(S306)と、
前記補正部により補正された前記受信信号に基づいて前記測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部(S110)と、を備えた生体情報検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動運転車両においては、特に乗員の心理的不安が減り、走行中の覚醒度が低下することが考えられる。そこで、乗員の心拍数や呼吸数等の生体情報を検出し、その検出結果に応じて警告表示等を行うシステムの開発が進められている。
【0003】
特許文献1には、心拍数を検出する装置が記載されている。この装置は、測定対象者の所定の部位に無線周波信号を送信する無線送信手段と、測定対象者の体内を透過した無線周波信号を受信する無線受信手段と、を備えている。
【0004】
さらに、この装置は、受信した無線周波信号を位相もしくは振幅によって検波する検波手段と、検波された信号から測定対象者の心拍を検出する心拍検知手段と、を備えている。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-153783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように乗員の心拍数や呼吸数等を検出する場合、運転の妨げにならないようにしたり常時計測することが求められる。そこで、例えば、車両側に送信アンテナを、運転者が着座するシートに受信アンテナを配置し、送信アンテナから測定対象者の身体に無線周波信号を送信し、測定対象者の身体内を透過した無線周波信号を受信アンテナで受信するといったことが考えられる。
【0007】
このような構成において、走行中に運転者が身体の位置を移動させると、送信アンテナと乗員の身体との距離、あるいは、受信アンテナと乗員の身体との距離が変化する。この場合、心拍数や呼吸数等の生体情報の検出誤差が大きくなるといった問題がある。
【0008】
本発明は上記点に鑑みたもので、生体情報の検出誤差を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、送信信号を送信する送信機(11)と、送信機から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ(12)と、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、受信アンテナを介して受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する距離推定部(S102)と、距離推定部により推定されたアンテナ身体間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部(S106)と、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部(S110)と、を備えている。
【0010】
このような構成によれば、距離推定部は、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。そして、補正部は、距離推定部により推定されたアンテナ身体間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。したがって、受信アンテナと乗員の身体との距離が変化しても、アンテナ身体間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅が補正されるので、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0011】
上記目的を達成するため、請求項6に記載の発明は、送信信号を送信する送信機(11)と、送信機から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ(12)と、送信アンテナから送信され測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する第1受信アンテナ(13a)と、第1受信アンテナと所定距離離れて配置され送信アンテナから送信された無線周波信号を受信する第2受信アンテナ(13b)と、第1受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号および第2受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号を出力する受信機(14)と、第1受信信号と第2受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する身体位置推定部(S202)と、身体位置推定部により推定された測定対象者の身体の位置に基づいて第1受信信号の振幅を補正する補正部(S206)と、補正部により補正された第1受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部(S110)と、を備えている。
【0012】
このような構成によれば、身体位置推定部は、第1受信信号と第2受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する。そして、補正部は、身体位置推定部により推定された測定対象者の身体の位置に基づいて第1受信信号の振幅を補正する。すなわち、受信アンテナと乗員の身体との距離が変化しても、第1受信信号と第2受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置が推定され、測定対象者の身体の位置に基づいて第1受信信号の振幅を補正される。したがって、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0013】
上記目的を達成するため、請求項10に記載の発明は、車両に搭載され、送信信号を送信する送信機(11)と、送信機から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ(12)と、送信アンテナから送信され測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、車両に装備され測定対象者により装着されるシートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する身体位置推定部(S302)と、身体位置推定部によって推定された測定対象者の身体の位置に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部(S306)と、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部(S110)と、を備えている。
【0014】
このような構成によれば、身体位置推定部は、車両に装備され測定対象者により装着されるシートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する。そして、補正部は、身体位置推定部によって推定された測定対象者の身体の位置に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。すなわち、受信アンテナと乗員の身体との距離が変化しても、シートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置が推定され、この測定対象者の身体の位置に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅が補正される。したがって、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0015】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】生体情報検出装置の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
図2】生体情報検出装置の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図であって、図1の配置図を鉛直方向から見下ろした図である。
図3】第1実施形態に係る生体情報検出装置のブロック図である。
図4】受信機から出力される受信信号に基づいて心拍数を特定するアルゴリズムについて説明するための図である。
図5】体動による影響がFFT処理の結果に表れた様子を示した図である。
図6】第1実施形態の生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
図7】通過特性とアンテナ身体間距離の関係を表した図である。
図8】体動による影響が
図9】体動による影響が受信機から出力される受信信号の信号波形に現れた様子を示した図と体動による影響が取り消された受信信号の信号波形を示した図である。
図10】第2実施形態の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
図11】第3実施形態に係る生体情報検出装置のブロック図である。
図12】第4実施形態の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
図13】第4実施形態の生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
図14】第5実施形態の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
図15】第6実施形態の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
図16】第7実施形態の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
図17】第8実施形態の送信アンテナと受信アンテナの配置を示した図である。
図18】第8実施形態の生体情報検出装置の制御部のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る生体情報検出装置について図1図8を用いて説明する。図1図2に示すように、本生体情報検出装置は、車両に搭載され、車両の運転席のシート60に着座した乗員の心拍数を生体情報として検出する。なお、シート60に着座した乗員は、被測定者に相当する。図3に示すように、本生体情報検出装置は、送信機11、送信アンテナ12、受信アンテナ13、送受信アンテナ131、受信機14および生体情報検知部4を備えている。
【0019】
送信機11は、所定の周波数(例えば900MHz帯の周波数)の送信信号を送信アンテナ12に出力する。本実施形態の送信アンテナ12は、車両の車室内に固定されている。具体的には、送信アンテナ12は、車両のステアリングコラムの上部カバー51に固定されている。なお、上部カバー51は、車両のステアリング50が回転しても移動しないよう車両の車室内に固定されている。送信アンテナ12は、車両のシート60に対して車両進行方向前側に配置されている。送信アンテナ12は、車両のシート60に着座した乗員の身体へ送信機11からの送信信号に応じた無線周波信号を送信する。
【0020】
受信アンテナ13は、乗員を挟んで送信アンテナ12と対向して配置されている。具体的には、受信アンテナ13は、送信アンテナ12から送信された無線周波信号を受信できる構成となっている。受信アンテナ13は、送信アンテナ12から乗員の身体を直進して透過する透過波だけでなく、送信アンテナ12から乗員の身体をまわり込むように進む回折波も受信することが可能となっている。
【0021】
送受信アンテナ131は、乗員の身体に向けて電波を送信するとともにこの電波が乗員の身体に反射した反射波を受信する。
【0022】
送受信機141は、送受信アンテナ131から電波を送信させるとともに、送受信アンテナ131によって受信された反射波に応じた反射波信号を生体情報検知部4に出力する。
【0023】
車両のシート60は、図1に示したように、シートクッション61、シートバック62およびヘッドレスト63を有している。シート60は、図示しない操作部を操作することにより変動する電動シートとなっている。シート60は、図示しないアクチュエータにより車両前後方向に移動可能となっている。シート60は、さらに、図示しないアクチュエータによりシートバック62の角度を調整可能となっている。シート60は、シートクッション61の車両前後方向の位置およびシートバック62のシート角度を含む位置情報を生体情報検知部4に出力する。本実施形態においては、シートクッション61の車両前後方向の位置およびシートバック62のシート角度は、電圧信号として出力される。本実施形態の受信アンテナ13および送受信アンテナ131は、車両のシートバック62に埋設されている。このように、受信アンテナ13はシートバック62に埋設されているので、シート60に着座した乗員の身体に近い位置に受信アンテナ13を配置することができる。また、受信アンテナ13がシートバック62に埋め込まれているので、運転の妨げにならないように受信アンテナ13を配置することができる。
【0024】
受信機14は、受信アンテナ13が受信した無線周波信号を増幅し、この増幅した無線周波信号に応じた受信信号を出力する。また、受信機14は、送受信機141を有している。
【0025】
受信機14は、受信アンテナ13によって受信された無線周波信号に応じた受信信号を生体情報検知部4の制御部44に出力する。
【0026】
送受信機141は、送受信アンテナ131を介して測定対象者の身体へ電波を送信させるとともに、この電波が測定対象者の身体に反射した反射波を送受信アンテナ131に受信させる。送受信機141は、送受信アンテナ131によって受信された反射波に応じた反射波信号を生体情報検知部4の制御部44に出力する。なお、送受信アンテナ131から送受信される電波の周波数は、送信アンテナ12から送信される無線周波信号と異なっている。
【0027】
生体情報検知部4は、入力部41、記憶部42、出力部43、制御部44を含んでいる。入力部41は、受信機14から入力されたアナログ信号である受信信号をバンドパスフィルタに通過させた後、デジタル信号に変換して制御部44に出力する。記憶部42は、RAM、ROM、書き込み可能な不揮発性記憶媒体等を含む。RAM、ROM、書き込み可能な不揮発性記憶媒体は、いずれも非遷移的実体的記憶媒体である。出力部43は、制御部44から入力された信号を生体情報検知部4の外部の装置に出力する。出力先の外部の装置は、例えば、経路案内等を行う車載ナビゲーション装置でもよいし、車両の外部と通信を行う車載データ通信モジュールでもよいし、乗員が携帯する携帯通信端末でもよい。
【0028】
制御部44は、記憶部42のROMまたは書き込み可能な不揮発性記憶媒体に記録されたプログラムに従った処理を実行する装置であり、実行の際には、記憶部42のRAMを作業領域として使用する。
【0029】
以下、上記した生体情報検出装置における受信アンテナ13から出力される受信信号に基づいて心拍数を特定するアルゴリズムについて説明する。
【0030】
送信機11は、所定の送信信号を送信アンテナ12に出力する。すると、送信アンテナ12は、送信機11からの送信信号に応じた無線周波信号をシート60および乗員の身体に向けて送信する。
【0031】
この無線周波信号のうち一部は、乗員の身体を直進する直進波として受信アンテナ13に受信される。この無線周波信号のうち他の一部は、乗員の身体をまわり込む回折波として受信アンテナ13に受信される。
【0032】
受信アンテナ13から出力される受信信号は、図4(a)に示すようなアナログ信号の時間波形となる。また、このアナログ信号は、入力部41の内部のバンドパスフィルタを通過すると、図4(b)に示すような波形となる。
【0033】
バンドパスフィルタを通過した信号は、入力部41内でデジタル信号に変換された後、制御部44によってFFT(Fast Fourier Transform)処理される。FFTは、高速フーリエ変換のことである。具体的には、制御部44は、所定期間(例えば、2秒)分の受信信号をサンプリングタイム毎にFFT処理する。このFFT処理により、図4(c)に示すような振幅を縦軸、周波数を横軸とするFFT処理の結果を得ることができる。
【0034】
制御部44は、図4(d)に示すように、振幅の最も大きなピークの周波数を特定し、この周波数の逆数を1秒当たりの心拍数として特定する。さらに、制御部44は、図4(e)に示すように、1秒当たりの心拍数に60を乗算して1分当たりの心拍数を特定する。
【0035】
ここで、例えば、走行中に運転者がシート60を車両前後方向に移動させると、送信アンテナ12と乗員の身体との距離および受信アンテナ13と乗員の身体との距離が変化する。この際、特に、送信アンテナ12から乗員の身体をまわり込むように進む回折波の受信レベルが大きく変動する。
【0036】
そして、図5に示すように、体動による影響がFFT処理の結果に表れ、体動によるピークが心拍によるピークよりも大きくなると心拍数を誤って算出してしまう。
【0037】
そこで、本実施形態の生体情報検出装置は、受信アンテナ13と乗員の身体とのアンテナ身体間距離に応じて受信アンテナ13から出力される受信信号を補正し、この補正した受信信号に基づいて乗員の心拍数を検出する処理を実施する。
【0038】
次に、本生体情報検出装置の制御部44の処理について図4に示すフローチャートを用いて説明する。本生体情報検出装置は、車両のイグニッションスイッチがオンすると動作状態となり、制御部44は、図6に示す処理を周期的に実施する。
【0039】
まず、制御部44は、S100にて、受信機14から所定期間(例えば、2秒)分の受信信号の時間波形を取得する。具体的には、制御部44は、送信機11から送信アンテナ12に送信信号を出力させる。本実施形態では、送信機11から継続的に送信アンテナ12に送信信号を出力させる。これにより、図2に示したように、送信アンテナ12から乗員の身体に向けて無線周波信号が送信される。また、この無線周波信号は、乗員の身体を透過して受信アンテナ13によって受信され、受信機14から受信アンテナ13によって受信された無線周波信号に応じた受信信号が出力される。制御部44は、この受信機14から出力される受信信号の時間波形を所定期間分取得する。
【0040】
次に、制御部44は、S102にて、受信アンテナ13と乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。本実施形態では、制御部44は、図2に示したように、送受信アンテナ131から乗員の身体へ向けて電波を送信させる。すると、この電波が乗員の身体に反射した反射波は送受信アンテナ131によって受信され、送受信機141から反射波に応じた反射波信号が出力される。
【0041】
制御部44は、送受信機141からの反射波信号のレベルに基づいて受信アンテナ13と乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0042】
次に、制御部44は、S104にて、先のS102で推定したアンテナ身体間距離に基づいて受信機14から出力される受信信号の補正量を補正する。図7に、アンテナ身体間距離変化量と無線周波信号の通過特性の関係を示す。この図に示すように、アンテナ身体間距離の変化量に応じて無線周波信号の通過特性も変化する。
【0043】
本実施形態の生体情報検出装置は、アンテナ身体間距離と受信信号の補正量の関係を示す補正量マップを記憶した記憶部42を有している。制御部44は、記憶部42に記憶された補正量マップを参照してアンテナ身体間距離に対応する受信信号の補正量を特定する。例えば、アンテナ間距離が比較的長い場合には、無線周波信号が減衰するため、受信信号の補正量は大きくなるよう特定される。また、アンテナ間距離が比較的短い場合には、無線周波信号の減衰量が少ないため、通過特性の補正量が小さくなるよう特定される。
【0044】
次に、制御部44は、S106にて、受信信号の補正量を用いて受信機14から出力される受信信号の振幅を補正する。具体的には、制御部44は、特定した受信信号の補正量を受信信号の振幅に加算する。
【0045】
図8(a)は、受信機14から出力された受信信号の波形を示している。乗員が身体を車両前方に移動させた後、元の位置に戻したことによる影響が受信信号波形のCH1、CH2に現れている。さらに、その後、乗員が身体を再度車両前方に移動させた後、元の位置に戻したことによる影響が受信信号波形のCH3、CH4に現れている。
【0046】
このように、乗員の身体の位置が変動すると、図5に示したように、シート変動による影響がFFT処理の結果に表れる。そして、FFT処理の結果においてシート変動による影響が振幅の最も大きなピークとして現れると心拍数を誤って算出してしまう。
【0047】
図8(b)は、先のS106にて、受信信号の補正量を用いて補正された受信信号の波形を示している。図8(b)に示すように、(a)におけるCH1とCH2の間と、CH3とCH4の間の時間で受信信号が補正され、体動による影響が取り消される。
【0048】
次に、制御部44は、S108にて、先のS106で補正された受信信号に対してFFT(Fast Fourier Transform)処理を行う。FFTは、高速フーリエ変換のことである。具体的には、制御部44は、所定期間(例えば、2秒)分の受信信号をサンプリングタイム毎にFFT処理する。このFFT処理により振幅を縦軸、周波数を横軸とするFFT処理の結果を得ることができる。
【0049】
次に、制御部44は、S110にて、心拍数を特定する。具体的には、制御部44は、振幅の最も大きなピークの周波数を特定し、この周波数の逆数を1秒当たりの心拍数として特定する。さらに、1秒当たりの心拍数に60を乗算して1分当たりの心拍数を特定する。
【0050】
次に、制御部44は、S112にて、先のS110にて特定した心拍数を生体情報として出力部43から出力する。
【0051】
以上、説明したように、本実施形態の生体情報検出装置は、送信信号を送信する送信機11と、送信機11から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ12と、を備えている。また、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナ13と、受信アンテナ13を介して受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機14と、を備えている。また、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する距離推定部と、距離推定部により推定されたアンテナ身体間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部と、を備えている。さらに、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部を備えている。
【0052】
このような構成によれば、距離推定部は、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。そして、補正部は、距離推定部により推定されたアンテナ身体間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。したがって、受信アンテナと乗員の身体との距離が変化しても、アンテナ身体間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅が補正されるので、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0053】
また、受信機14は、測定対象者の身体へ電波を送信するとともに該電波が測定対象者の身体に反射した反射波を受信する送受信機141を有している。そして、距離推定部は、送受信機141が電波を送信して測定対象者の身体に反射した反射波が送受信機141により受信される反射波の受信レベルに基づいて受信機と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0054】
このように、送受信機141により受信される反射波の受信レベルに基づいて受信機と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定することができる。
【0055】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る生体情報検出装置について図9図10を用いて説明する。本実施形態の生体情報検出装置の構成は、上記第1実施形態の生体情報検出装置に対し、さらに、受信アンテナ121を備えている点と、送信機11が受信機111を有している点が異なる。
【0056】
受信アンテナ121は、送信アンテナ12と並んで、車両のステアリングコラムの上部カバー51に固定されている。受信アンテナ121は、送信アンテナ12から乗員の身体へ向けて送信された無線周波信号が乗員の身体に反射した反射波を受信する。
【0057】
受信機111は、受信アンテナ121によって受信された反射波に応じた反射波信号を生体情報検知部4に出力する。
【0058】
本実施形態の生体情報検出装置の制御部44は、第1実施形態の処理と比較して、図6のS102、S104の処理が異なる。
【0059】
本実施形態の制御部44は、図6のS102にて、送受信アンテナ131から車両前方の乗員の身体へ向けて電波を送信させる。すると、この電波が乗員の身体に反射した反射波が送受信アンテナ131によって受信され、送受信機141から生体情報検知部4に反射波に応じた反射波信号が入力される。
【0060】
制御部44は、送受信機141から出力される反射波信号のレベルに基づいて受信アンテナ13と乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0061】
本実施形態の制御部44は、S102にて、さらに、送信アンテナ12から車両後方の乗員の身体へ向けて無線周波信号を送信させる。すると、この無線周波信号が乗員の身体に反射した反射波が受信アンテナ121によって受信され、受信機111から生体情報検知部4に反射波に応じた反射波信号が入力される。制御部44は、受信機111から出力される反射波に応じた反射波信号のレベルに基づいて送信アンテナ12と乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0062】
次に、制御部44は、S104にて、乗員の身体の車両側から送信された電波の反射波に基づいて推定したアンテナ身体間距離により受信機14から出力される受信信号を補正する。さらに、制御部44は、車両後方側から送信された電波の反射波に基づいて推定したアンテナ身体間距離により受信機14から出力される受信信号を補正する。
【0063】
本実施形態の制御部44は、このように乗員の身体の車両側から送信された電波の反射波と車両後方側から送信された電波の反射波に基づいて2つのアンテナ身体間距離を推定する。
【0064】
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
【0065】
また、送信機11は、測定対象者の身体へ送信した無線周波信号が測定対象者の身体で反射した反射波を受信する反射波受信機111を有している。
【0066】
また、距離推定部は、送受信機141が電波を送信して測定対象者の身体に反射した反射波が送受信機141により受信される反射波の受信レベルに基づいて受信機と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0067】
距離推定部は、さらに、送信機11が無線周波信号を送信して測定対象者の身体に反射した反射波が反射波受信機111によって受信される反射波の受信レベルに基づいて送信アンテナと測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0068】
したがって、2つのアンテナ身体間距離を用いて精度よく受信機14から出力される受信信号を別々に補正することが可能である。
【0069】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る生体情報検出装置について図11を用いて説明する。上記第1実施形態の生体情報検出装置は、無線周波信号を送信する送信アンテナ12と、無線周波信号が乗員に身体に反射した反射波を検出する受信アンテナ121が別々に設けられている。これに対し、本実施形態の生体情報検出装置は、送信アンテナ12が受信アンテナ121としての機能を有する送受信アンテナとして構成されている。なお、本実施形態の生体情報検出装置は、受信アンテナ121を有していない。
【0070】
また、送信機11の内部に設けられた受信機112は、送信アンテナ12によって乗員の身体に反射した反射波を受信する。また、上記第2実施形態の生体情報検出装置は、送信機11の内部に受信機111が設けられているが、本実施形態では、送信機11の内部に受信機112が設けられている。
【0071】
本実施形態の生体情報検出装置の制御部44は、第2実施形態の処理と比較して、図6のS100~S104の処理が異なる。
【0072】
制御部44は、図6のS100にて、送信アンテナ12から車両前方の乗員の身体へ向けて電波を所定期間(例えば、2秒)送信させる。すると、この電波が乗員の身体に透過した無線周波信号が受信アンテナ13によって受信され、受信機14から生体情報検知部4に無線周波信号に応じた受信信号が入力される。
【0073】
次に、制御部44は、図6のS102にて、送受信アンテナ131から車両前方の乗員の身体へ向けて電波を送信させる。すると、この電波が乗員の身体に反射した反射波が送受信アンテナ131によって受信され、送受信機141から生体情報検知部4に反射波に応じた反射波信号が入力される。なお、送受信アンテナ131から電波を送受している期間、送信アンテナ12から無線周波信号は送信されていない。
【0074】
制御部44は、送受信機141から出力される反射波信号のレベルに基づいて受信アンテナ13と乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0075】
次に、制御部44は、S104にて、車両後方側から送信された電波の反射波に基づいて推定したアンテナ身体間距離により受信機14から出力される受信信号を補正する。
【0076】
本実施形態の制御部44は、このように送信アンテナ12から無線周波信号を送信する期間と送受信アンテナ131から乗員の身体へ向けて電波を送信する期間とが交互となるよう送受信機141および送信機11を制御する。
【0077】
これにより、受信アンテナ13によって受信される無線周波信号と送受信アンテナ131によって受信される電波の混信を防止することができ、精度よく生体情報を検出することができる。
【0078】
また、制御部44は、送受信機141から測定対象者の身体へ送信する電波のレベルと送信機11から測定対象者の身体へ送信する無線周波信号のレベルのいずれか一方を低下させる。これにより送受信機141から測定対象者の身体へ電波を送信している期間と送信機11から測定対象者の身体へ無線周波信号を送信している期間とが交互となるようにする。
【0079】
したがって、例えば、送受信機141から測定対象者の身体へ送信する電波と送信機11から測定対象者の身体へ送信する無線周波信号を断続的に切り替える場合と比較してノイズを低減することができる。
【0080】
本実施形態では、上記第1実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
【0081】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る生体情報検出装置について図12図13を用いて説明する。上記各実施形態の生体情報検出装置は、アンテナと乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定し、このアンテナ身体間距離に基づいて受信機14から出力される受信信号を補正するようにした。これに対し、本実施形態の生体情報検出装置は、アンテナ身体間距離を推定することなく受信機14から出力される受信信号を補正する。
【0082】
本実施形態の生体情報検出装置の構成は、上記第1実施形態の生体情報検出装置に対し、送受信アンテナ131に代えて受信アンテナ13bを備えている点が異なる。
【0083】
本実施形態では、上記第1実施形態の受信アンテナ13に相当するアンテナを第1受信アンテナ13a、送受信アンテナ131に代わる受信アンテナを第2受信アンテナ13bと呼ぶ。
【0084】
第1受信アンテナ13aは、送信アンテナ12から送信された無線周波信号を受信する。なお、送信アンテナ12からは一定周波数でAM変調された無線周波信号が送信される。第1受信アンテナ13aは、車両のシートバック62の車幅方向の中央に埋設されている。
【0085】
第2受信アンテナ13bは、送信アンテナ12から送信された無線周波信号を受信する。第2受信アンテナ13bは、車両のシートバック62の車幅方向の一方側に埋設されている。第2受信アンテナ13bは、第1受信アンテナ13aと所定距離離れて配置されている。
【0086】
受信機14は、第1受信アンテナ13aによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号および第2受信アンテナ13bによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号を生体情報検知部4の制御部44に出力する。
【0087】
次に、本実施液体の生体情報検出装置の制御部44の処理について図13に示すフローチャートを用いて説明する。本生体情報検出装置は、車両のイグニッションスイッチがオンすると動作状態となり、制御部44は、図13に示す処理を周期的に実施する。
【0088】
まず、制御部44は、S100にて、受信機14から所定期間(例えば、2秒)分の受信信号の時間波形を取得すると、S202にて、無線周波信号の位相差から乗員の身体位置を推定する。具体的には、制御部44は、第1受信アンテナ13aによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号および第2受信アンテナ13bによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号の位相差を検出し、この位相差に基づいて乗員の身体位置を推定する。
【0089】
第1受信アンテナ13aと第2受信アンテナ13bは、所定距離離れて配置されている。したがって、図12に示すように、乗員の身体をまわり込むように進んで第1受信アンテナ13aにより受信される回折波の経路長と乗員の身体をまわり込むように進んで第2受信アンテナ13bにより受信される回折波の経路長に差が生じる。
【0090】
乗員の身体がシートバック62に近いほど第1受信信号と第2受信信号の位相差は大きくなり、第2受信アンテナ13bに到来する回折波の到来角度は鋭角となる。ここで、第2受信アンテナ13bに到来する回折波の到来角度は、送信アンテナ12と第1受信アンテナ13aとの間を結ぶ直線と第2受信アンテナ13bに到来する回折波の角度である。
【0091】
また、乗員の身体がシートバック62から離れるにつれて第1受信信号と第2受信信号の位相差は小さくなり、第1受信アンテナ13aあるいは第2受信アンテナ13bに到来する回折波の到来角度も小さくなる。
【0092】
生体情報検知部4の記憶部42には、第1受信信号と第2受信信号の位相差と、乗員の身体位置の関係を示した位相差マップが記憶されている。この位相差マップを参照することで、乗員の身体位置がシートバック62の近くにあるのかシートバック62から離れた位置にあるのかを推定することが可能である。制御部44は、この位相差マップを用いて第1受信信号および第2受信信号の位相差から乗員の身体位置を推定する。
【0093】
次に、制御部44は、S206にて、乗員の身体位置に基づいて第1受信信号を補正する。生体情報検知部4の記憶部42には、乗員の身体位置と第1受信信号の補正量の関係を示した補正量マップが記憶されている。制御部44は、この補正量マップを用いて乗員の身体位置に応じた補正量を特定し、この補正量を用いて第1受信信号を補正する。
【0094】
以降、S108以降の処理は図6のフローチャートと同じであるので、ここでは、その説明について省略する。
【0095】
以上、説明したように、本実施形態の生体情報検出装置は、送信信号を送信する送信機11と、送信機11から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ12と、を備えている。また、送信アンテナ12から送信された無線周波信号を受信する第1受信アンテナ13aと、第1受信アンテナ13aと所定距離離れて配置され送信アンテナから送信された無線周波信号を受信する第2受信アンテナ13bと、を備えている。また、第1受信アンテナ13aによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号および第2受信アンテナ13bによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号を出力する受信機14を備えている。また、第1受信信号と第2受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する身体位置推定部と、身体位置推定部により推定された測定対象者の身体の位置に基づいて第1受信信号の振幅を補正する補正部と、を備えている。さらに、補正部により補正された第1受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部を備えている。
【0096】
このような構成によれば、身体位置推定部は、第1受信信号と第2受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する。そして、補正部は、身体位置推定部により推定された測定対象者の身体の位置に基づいて第1受信信号の振幅を補正する。すなわち、乗員の身体の位置が変化しても、第1受信信号と第2受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置が推定され、測定対象者の身体の位置に基づいて第1受信信号の振幅を補正される。したがって、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0097】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る生体情報検出装置について図14を用いて説明する。上記第4実施形態の生体情報検出装置は、第1受信アンテナ13aによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号と第2受信アンテナ13bによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号の位相差に基づいて第1受信信号を補正するようにした。
【0098】
これに対し、本実施形態の生体情報検出装置は、第2受信アンテナ13bと所定距離離れた位置に配置された第3受信アンテナ13cを備えている。そして、第3受信アンテナ13cによって受信された無線周波信号に応じた第3受信信号と第2受信アンテナ13bによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号の位相差に基づいて第1受信信号を補正する点が異なる。
【0099】
第1受信アンテナ13aは、送信アンテナ12から送信される無線周波信号を受信する第3受信アンテナ13cを有している。第3受信アンテナ13cは、第2受信アンテナ13bより車両後方側に所定距離離れて配置されている。すなわち、第3受信アンテナ13cは、第2受信アンテナ13bより送信アンテナ12から離れた位置に配置されている。
【0100】
上記第4実施形態のように、第1受信アンテナ13aと第2受信アンテナ13bが車幅方向に並んで配置されている場合、乗員に身体が第1受信アンテナ13aおよび第2受信アンテナ13bの近くにあると、方位分解能が悪化する。
【0101】
これに対し、本実施形態では、第3受信アンテナ13cが第2受信アンテナ13bよりも送信アンテナ12より離れた位置に配置されている。これにより、乗員に身体が第2受信アンテナ13bおよび第3受信アンテナ13cの近くにある場合でも、方位分解能の悪化を抑制することができる。
【0102】
本実施形態では、上記第4実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
【0103】
(第6実施形態)
第6実施形態に係る生体情報検出装置について図15を用いて説明する。上記第4実施形態では、第1受信アンテナ13aと第2受信アンテナ13bを車幅方向に並んで配置した。そして、第1受信アンテナ13aによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号と第2受信アンテナ13bによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号の位相差に基づいて第1受信信号を補正するようにした。
【0104】
これに対し、本実施形態の生体情報検出装置は、第2受信アンテナ13bが第1受信アンテナ13aよりも送信アンテナ12から離れて配置されている。具体的には、第2受信アンテナ13bは、第1受信アンテナ13aよりも車両後方側に配置されるとともに、車両のシートバック62の車幅方向の一方側に配置されている。
【0105】
そして、制御部44は、第1受信アンテナ13aによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号と第2受信アンテナ13bによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号の位相差に基づいて第1受信信号を補正する。
【0106】
このように、第2受信アンテナ13bを、第1受信アンテナ13aよりも離れた位置に配置することにより、乗員に身体が第2受信アンテナ13bあるいは第1受信アンテナ13aの近くにある場合でも、方位分解能の悪化を抑制することができる。
【0107】
本実施形態では、上記第4実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
【0108】
(第7実施形態)
第7実施形態に係る生体情報検出装置について図16を用いて説明する。上記第6実施形態の生体情報検出装置は、第1受信アンテナ13aの第3受信アンテナ13cを第2受信アンテナ13bより車両後方側に配置した。すなわち、第1受信アンテナ13aの第3受信アンテナ13cを送信アンテナ12から第2受信アンテナ13bより離れて配置した。
【0109】
これに対し、本実施形態の生体情報検出装置は、第1受信アンテナ13aが第2受信アンテナ13bより車両前方側に配置されている。すなわち、第1受信アンテナ13aが第2受信アンテナ13bより送信アンテナ12の近くに配置されている。
【0110】
このように、第1受信アンテナ13aを第2受信アンテナ13bより車両前方側に配置することにより、乗員に身体が第2受信アンテナ13bあるいは第1受信アンテナ13aの近くにある場合でも、方位分解能の悪化を抑制することができる。
【0111】
本実施形態では、上記第4実施形態と共通の構成から奏される同様の効果を上記第1実施形態と同様に得ることができる。
【0112】
(第8実施形態)
第8実施形態に係る生体情報検出装置について図17図18を用いて説明する。上記第4~第7実施形態の生体情報検出装置は、複数の受信アンテナ13a~13b等によって検出された無線周波信号に応じた受信信号の位相差に基づいて乗員の身体位置を推定する。そして、推定した乗員の身体位置に基づいて受信機14から出力される受信信号を補正するようにした。
【0113】
これに対し、本実施形態の生体情報検出装置は、車両に装備され測定対象者により装着されるシートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する。そして、推定した乗員の身体位置に基づいて受信機14から出力される受信信号を補正する。
【0114】
車両には、乗員により装着されるシートベルト3の巻き取りを行うとともにシートベルト3の巻き取り量に応じた信号を出力するベルト巻き取り装置30が設けられている。例えば、乗員の身体が車両後方に位置している場合には、シートベルト3の巻き取り量は比較的少なく、乗員の身体が車両前方に位置している場合には、シートベルト3の巻き取り量は比較的多くなる。乗員の身体の位置が変化してシートベルト3の巻き取り量が変化すると、ベルト巻き取り装置30から出力される信号も変化する。
【0115】
本実施形態の生体情報検出装置は、ベルト巻き取り装置30から出力される信号に基づいて乗員の身体の位置を推定し、推定した乗員の身体位置に基づいて受信機14から出力される受信信号を補正する処理を行う。
【0116】
次に、本実施形態の生体情報検知部4の制御部44の処理について、図18を用いて説明する。本生体情報検出装置は、車両のイグニッションスイッチがオンすると動作状態となり、制御部44は、図18に示す処理を周期的に実施する。
【0117】
制御部44は、S100にて、受信機14から所定期間(例えば、2秒)分の受信信号の時間波形を取得すると、S302にて、ベルト巻き取り装置30から出力される信号に基づいてシートベルト3の巻き取り量を特定する。そして、このシートベルト3の巻き取り量から乗員の身体の位置を推定する。
【0118】
生体情報検知部4の記憶部42には、シートベルト3の巻き取り量と乗員の身体の位置の関係を示した巻取量マップが記憶されている。この巻取量マップを参照することで、乗員の身体位置がシートバック62の近くにあるのかシートバック62から離れた位置にあるのかを推定することが可能である。
【0119】
次に、制御部44は、S306にて、乗員の身体の位置に基づいて受信機14から出力される受信信号を補正する。生体情報検知部4の記憶部42には、乗員の身体位置と受信信号の補正量の関係を示した補正量マップが記憶されている。制御部44は、この補正量マップを用いて乗員の身体位置に応じた補正量を特定し、この補正量を用いて受信信号を補正する。
【0120】
以降、S108以降の処理は図6のフローチャートと同じであるので、ここでは、その説明について省略する。
【0121】
以上、説明したように、本実施形態の生体情報検出装置は、車両に搭載され、送信信号を送信する送信機(11)と、送信機から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナ(12)と、を備えている。また、送信アンテナから送信された無線周波信号を受信する受信アンテナ(13)と、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機(14)と、を備えている。また、車両に装備され測定対象者により装着されるシートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する身体位置推定部(S302)を備えている。また、身体位置推定部によって推定された測定対象者の身体の位置に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部(S306)を備えている。さらに、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部(S110)を備えている。
【0122】
このような構成によれば、身体位置推定部は、車両に装備され測定対象者により装着されるシートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する。そして、補正部は、身体位置推定部によって推定された測定対象者の身体の位置に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する。すなわち、受信アンテナと乗員の身体との距離が変化しても、シートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置が推定され、この測定対象者の身体の位置に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅が補正される。したがって、生体情報の検出誤差を抑制することができる。
【0123】
(他の実施形態)
(1)上記第1実施形態では、制御部44は、受信機14の送受信機141から乗員の身体へ向けて電波を送信させ、この電波が乗員の身体に反射した反射波の受信レベルに基づいて受信アンテナ13と乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定した。
【0124】
これに対し、受信機14の送受信機141から乗員の身体へ向けて電波を送信させてから、この電波が乗員の身体に反射した反射波を受信機14が受信するまでの時間に基づいて受信アンテナ13と乗員の身体とのアンテナ身体間距離を推定してもよい。
【0125】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0126】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、生体情報検出装置は、送信信号を送信する送信機と、送信機から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナと、を備えている。また、測定対象者の身体を通過した無線周波信号を受信する受信アンテナと、受信アンテナを介して受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機と、を備えている。また、送信アンテナおよび受信アンテナのいずれか一方と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する距離推定部を備えている。また、距離推定部により推定されたアンテナ身体間距離に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部を備えている。また、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部を備えている。
【0127】
また、第2の観点によれば、受信機は、測定対象者の身体へ電波を送信するとともに該電波が測定対象者の身体に反射した反射波を受信する送受信機を有している。また、距離推定部は、送受信機が電波を送信してから測定対象者の身体に反射した反射波を受信するまでの時間、または測定対象者の身体に反射した反射波の受信レベルに基づいて受信機と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0128】
このように、送受信機が電波を送信してから測定対象者の身体に反射した反射波を受信するまでの時間に基づいて受信機と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定してもよい。また、送受信機が電波を送信して測定対象者の身体に反射した反射波が送受信機により受信される反射波の受信レベルに基づいて受信機と測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定してもよい。
【0129】
また、第3の観点によれば、送信機は、測定対象者の身体へ送信した無線周波信号が測定対象者の身体で反射した反射波を受信する反射波受信機を有している。そして、距離推定部は、送信機から無線周波信号を送信してから該無線周波信号が測定対象者の身体で反射した反射波が反射波受信機によって受信されるまでの時間に基づいて送信アンテナと測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。あるいは、距離推定部は、送信機が無線周波信号を送信して測定対象者の身体に反射した反射波が反射波受信機によって受信される反射波の受信レベルに基づいて送信アンテナと測定対象者の身体とのアンテナ身体間距離を推定する。
【0130】
このように、送受信機が送信した電波が記測定対象者の身体に反射した反射波に基づいてアンテナ身体間距離を推定するとともに、送信機が送信した無線周波信号が測定対象者の身体に反射した反射波に基づいてアンテナ身体間距離を推定することができる。さらに、2つのアンテナ身体間距離を用いて受信機から出力される受信信号の振幅を別々に補正することが可能である。
【0131】
また、第4の観点によれば、生体情報検出装置は、送受信機から測定対象者の身体へ電波を送信している期間と送信機から測定対象者の身体へ無線周波信号を送信している期間とが交互となるよう送受信機および送信機を制御する制御部を備えている。
【0132】
これにより、受信アンテナによって受信される無線周波信号と送受信アンテナによって受信される電波の混信を防止することができ、精度よく生体情報を検出することができる。
【0133】
また、第5の観点によれば、制御部は、送受信機から測定対象者の身体へ送信する電波のレベルと送信機から測定対象者の身体へ送信する無線周波信号のレベルのいずれか一方を低下させる。これにより、送受信機から測定対象者の身体へ電波を送信している期間と送信機から測定対象者の身体へ無線周波信号を送信している期間とが交互となるようにする。
【0134】
したがって、例えば、送受信機から測定対象者の身体へ送信する電波と送信機から測定対象者の身体へ送信する無線周波信号を断続的に切り替える場合と比較してノイズを低減することができる。
【0135】
また、第6の観点によれば、生体情報検出装置は、送信信号を送信する送信機と、送信機から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナと、を備えている。また、送信アンテナから送信された無線周波信号を受信する第1受信アンテナと、第1受信アンテナと所定距離離れて配置され送信アンテナから送信された無線周波信号を受信する第2受信アンテナと、を備えている。また、第1受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた第1受信信号および第2受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた第2受信信号を出力する受信機を備えている。また、第1受信信号と第2受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する身体位置推定部を備えている。また、身体位置推定部により推定された測定対象者の身体の位置に基づいて第1受信信号の振幅を補正する補正部を備えている。また、補正部により補正された第1受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部を備えている。
【0136】
また、第7の観点によれば、第2受信アンテナは、第1受信アンテナよりも送信アンテナから離れた位置に配置されている。
【0137】
これにより、乗員に身体が第2受信アンテナおよび第1受信アンテナの近くにある場合でも、方位分解能の悪化を抑制することができる。
【0138】
また、第8の観点によれば、第1受信アンテナは、送信アンテナから送信された無線周波信号を受信する第3受信アンテナを有している。また、受信機は、さらに、第3受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた第3受信信号を出力し、身体位置推定部は、第2受信信号と第3受信信号の位相差に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する。そして、第3受信アンテナは、第2受信アンテナよりも送信アンテナから離れた位置に配置されている。
【0139】
このように、第3受信アンテナを、第2受信アンテナよりも送信アンテナから離れた位置に配置することにより、測定対象者の身体が第2受信アンテナあるいは第1受信アンテナの近くにある場合でも、方位分解能の悪化を抑制することができる。
【0140】
また、第9の観点によれば、第3受信アンテナは、第2受信アンテナよりも送信アンテナに近い位置に配置されている。
【0141】
このように、第3受信アンテナを、第2受信アンテナよりも送信アンテナに近い位置に配置することにより、測定対象者の身体が第2受信アンテナあるいは第1受信アンテナの近くにある場合でも、方位分解能の悪化を抑制することができる。
【0142】
また、第10の観点によれば、生体情報検出装置は、車両に搭載され、送信信号を送信する送信機と、送信機から送信された送信信号に応じた無線周波信号を測定対象者の身体へ送信する送信アンテナと、備えている。また、送信アンテナから送信された無線周波信号を受信する受信アンテナと、受信アンテナによって受信された無線周波信号に応じた受信信号を出力する受信機と、を備えている。また、車両に装備され測定対象者により装着されるシートベルトの巻き取り量に基づいて測定対象者の身体の位置を推定する身体位置推定部を備えている。また、身体位置推定部によって推定された測定対象者の身体の位置に基づいて受信機から出力される受信信号の振幅を補正する補正部を備えている。また、補正部により補正された受信信号に基づいて測定対象者の心拍および呼吸の少なくとも一方を生体情報として検出する生体情報検出部を備えている。
【0143】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S102の処理が距離推定部に相当し、S106、S206、S306の処理が補正部に相当し、S110の処理が生体情報検出部に相当する。また、受信機111が反射波受信機に相当し、S202、S302の処理が身体位置推定部に相当する。
【符号の説明】
【0144】
4 生体情報検知部
11 送信機
12 送信アンテナ
13 受信アンテナ
13a 第1受信アンテナ
13b 第2受信アンテナ
13c 第3受信アンテナ
14 受信機
30 ベルト巻き取り機
41 入力部
42 記憶部
43 出力部
44 制御部
図1
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