IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱樹脂インフラテック株式会社の特許一覧

特許7468168土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法
(51)【国際特許分類】
   C09K 17/44 20060101AFI20240409BHJP
   C09K 17/10 20060101ALI20240409BHJP
   C09K 17/06 20060101ALI20240409BHJP
   C09K 17/14 20060101ALI20240409BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20240409BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20240409BHJP
   C04B 22/06 20060101ALI20240409BHJP
   C04B 14/10 20060101ALI20240409BHJP
   C04B 24/06 20060101ALI20240409BHJP
   C09K 103/00 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
C09K17/44 P
C09K17/10 P
C09K17/06 P
C09K17/14 P
E02D3/12 101
C04B28/02
C04B22/06 Z
C04B14/10 B
C04B24/06 A
C09K103:00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020100291
(22)【出願日】2020-06-09
(65)【公開番号】P2021195385
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】瀬谷 昌明
【審査官】高崎 久子
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-188658(JP,A)
【文献】特開2015-229684(JP,A)
【文献】特開昭51-107610(JP,A)
【文献】特開2011-093800(JP,A)
【文献】特開2002-307422(JP,A)
【文献】特開2008-031305(JP,A)
【文献】特開2020-090622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K17/00-17/52
C04B2/00-32/02;40/00-40/06
E02D3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記主材液Aと、下記硬化材液Bとを組み合わせてなる土質安定用薬液であって、有機カルボン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする土質安定用薬液。
主材液A:アルミナセメントを除く水硬性セメント、石灰、及び水を含む主材液
硬化材液B:アルミナセメントと、アルカリ金属炭酸塩及び/又はマグネシウム炭酸塩と、ベントナイト、セピオライト、及びアタパルジャイトよりなる群から選ばれる1種以上の粘土鉱物と、水とを含む硬化材液
【請求項2】
前記主材液Aに前記有機カルボン酸及び/又はその塩が含有されている、請求項1に記載の土質安定用薬液。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の土質安定用薬液を製造する方法であって、前記主材液Aと前記硬化材液Bを混合する工程を含むことを特徴とする土質安定用薬液の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の土質安定用薬液により地盤を安定化する地盤安定化工法であって、該土質安定用薬液を地盤に注入すること、或いは、前記主材液Aと前記硬化材液Bとを地盤内で混合することを特徴とする地盤安定化工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤に注入して地盤を補強するために使用する土質安定用薬液としては、セメントを水に懸濁させたセメント懸濁液が用いられるが、セメント懸濁液は凝結速度が遅く、凝結するまでに数時間を要する。また、セメント懸濁液中のセメントが沈降してしまい、全容を硬化させることができなくなる。
【0003】
セメント懸濁液を地盤に注入して土質安定用薬液として用いる場合、地盤に注入する前、及び、所定の場所に到達するまでは流動性が確保され、所定の場所に到達後にゲル化し、かつ、早期にゲルが固くなることが求められる。
【0004】
そこで最近では、セメント懸濁液の硬化速度を向上させる硬化材液が用いられるようになっている。
例えば、特許文献1には、アルミナセメントを除く水硬性セメント、石膏、石灰及び水を含む主材液と、アルミナセメント、無機炭酸塩及び水を含む硬化材液とを混合した土質安定用薬液を地盤に注入する土質安定用薬液及び地盤安定化工法が開示されている。該特許文献1に記載された発明によれば、主材液と硬化材液は、それぞれ液状態が長時間安定で、かつ、両液の混合終了後10秒程度で硬化させることが可能であるとされている。
また、消石灰の量を減らすとゲルタイムを1分45秒まで長く出来ること(表1-(b),表2-(b) 実験No.25)、消石灰のブレーン値を低くし、クエン酸を入れることでゲルタイムを60秒とすることが出来ること(表1-(a),表2-(a) 実験No.15)が示されている。
更には、石膏、石灰及び水を含む主材液の安定性を拡大するために、クエン酸などの有機カルボン酸及びその塩を添加することもできるとの記載があり、実施例中にクエン酸を薬液全体量400Lに0.3kg添加した例の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-188658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、主材液と硬化材液とを混合してから硬化するまでの時間(以下、「ゲルタイム」という。)が40秒~数10分の材料を、一定の時間のゲルタイムにするためには、気温が20℃前後の場合でも、主材液及び硬化材液の製造に長い撹拌時間を要し、攪拌時間が短いとゲルタイムが伸びてしまうという問題がある。このため、冬場や寒い地方での施工では、主材液及び硬化材液のそれぞれの製造時の撹拌にはさらに長時間を要するという問題があった。
また、ゲルタイムを長くするには消石灰の量を減らす方法があるが、この場合、ゲル化後の強度の立上りが遅くなってしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、ゲルタイムを40秒~数10分とした場合でも、安定したゲルタイムを得るための主材液及び硬化材液の製造に要する撹拌時間がより短く、且つ、ゲル化後の薬液の固さの立上りが早い土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の[1]~[4]の態様を包含する。
【0009】
[1] 下記主材液Aと、下記硬化材液Bとを組み合わせてなる土質安定用薬液であって、有機カルボン酸及び/又はその塩を含有することを特徴とする土質安定用薬液。
主材液A:アルミナセメントを除く水硬性セメント、石灰、及び水を含む主材液
硬化材液B:アルミナセメントと、無機炭酸塩と、ベントナイト、セピオライト、及びアタパルジャイトよりなる群から選ばれる1種以上の粘土鉱物と、水とを含む硬化材液
【0010】
[2] 前記主材液Aに前記有機カルボン酸及び/又はその塩が含有されている、[1]に記載の土質安定用薬液。
【0011】
[3] [1]又は[2]に記載の土質安定用薬液を製造する方法であって、前記主材液Aと前記硬化材液Bを混合する工程を含むことを特徴とする土質安定用薬液の製造方法。
【0012】
[4] [1]又は[2]に記載の土質安定用薬液により地盤を安定化する地盤安定化工法であって、該土質安定用薬液を地盤に注入すること、或いは、前記主材液Aと前記硬化材液Bとを地盤内で混合することを特徴とする地盤安定化工法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ゲルタイムを40秒~数10分とした場合でも、安定したゲルタイムを得るための主材液及び硬化材液の製造に要する撹拌時間がより短く、且つ、ゲル化後の薬液の固さの立上りが早い土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において「固結体」とは、本発明の土質安定用薬液が地盤内で凝結したものをいう。また、「撹拌時間」とは、主材液及び硬化材液のそれぞれの製造において、全成分を混合してから、撹拌を終了するまでの時間を意味する。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
[有機カルボン酸(塩)]
本発明の土質安定用薬液は、有機カルボン酸及び/又はその塩(以下、「有機カルボン酸(塩)」と称す場合がある。)を含有することを特徴とする。
土質安定用薬液が有機カルボン酸(塩)を含有することにより、ゲルタイムの調整が可能であるとともに、一定のゲルタイムに設定した場合のゲル化直後のゲルの強度を上げることが出来る。
有機カルボン酸(塩)としては、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グルコヘプトン酸、オキシマロン酸、粘液酸、グルクロン酸、ラクトビオン酸等のオキシカルボン酸、及びこれらのオキシカルボン酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アンモニウム塩等が挙げられる。また、グルタミン酸等のアミノカルボン酸、及びこれらのアミノカルボン酸のアルカリ金属塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)、アンモニウム塩が挙げられる。これらのうち、ゲル化直後のゲル強度の立ち上がりの観点からオキシカルボン酸及び/又はその塩が好ましく、クエン酸、クエン酸のナトリウム塩、グルコン酸、グルコン酸のナトリウム塩が特に好ましい。
【0016】
これらの有機カルボン酸(塩)は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0017】
本発明の土質安定用薬液における有機カルボン酸(塩)の含有量は、所望のゲルタイム、ゲル化直後のゲル強度の立ち上がりによっても異なるが、アルミナセメント以外の水硬性セメントに対して0.02質量%~5質量%が好ましく、0.04質量%~1質量%がより好ましく、0.06質量%~0.5質量%が特に好ましい。土質安定用薬液中の有機カルボン酸(塩)の含有量が上記下限以上であれば、有機カルボン酸(塩)を含有することによる本発明の効果、即ち、ゲルタイムの調整やゲル強度の向上効果を得やすい。一方、土質安定用薬液中の有機カルボン酸(塩)の含有量が上記上限以下であれば、ゲルタイムの調整やゲル強度の向上効果を得やすいとともに、ゲル化直後ではなく、数時間、あるいは、数日後の強度立上りの遅延が起こりにくくなる。
【0018】
本発明の土質安定用薬液において、有機カルボン酸(塩)は、主材液A、硬化材液Bのいずれに含まれていてもよく、主材液Aと硬化材液Bの両方に含まれていてもよいが、主材液Aに含まれていることが、主材液Aの安定性が向上するため、好ましい。
【0019】
有機カルボン酸(塩)が主材液A、硬化材液Bのいずれに含まれる場合であっても、主材液Aと硬化材液Bを混合して得られる土質安定用薬液中の有機カルボン酸(塩)の含有量が上記好適範囲となるように配合すればよい。
【0020】
[硬化材液B]
本発明に係る硬化材液Bは、アルミナセメント以外の水硬性セメント、石灰及び水を含む主材液Aを硬化させるために用いるものである。
硬化材液Bは、アルミナセメントと、無機炭酸塩と、ベントナイト、セピオライト、及びアタパルジャイトよりなる群から選ばれる1種以上の粘土鉱物と、水とを含む。
【0021】
また、硬化材液Bは、上記以外に、前述の有機カルボン酸(塩)やその他の添加剤を含んでいてもよい。以下において、硬化材液Bに含まれる水以外の成分を「硬化材」と称す場合がある。
以下、本発明に係る硬化材液Bに含まれる各成分について説明する。
【0022】
(アルミナセメント)
本発明においてアルミナセメントとは、石灰質原料(カルシウム分)とアルミナ質原料(アルミナ分)とを混合し、この混合物を焼成するか、あるいは、該混合物を溶融~硬化させた後に粉砕することで得られるセメント鉱物全般を意味する。
【0023】
このようなアルミナセメントの一例としては、例えば、主要鉱物組成がガラス質(非晶質)のC12となるように、上記の石灰質原料とアルミナ質原料との混合物を溶融した後に急冷し、この硬化物を粉砕したもの、これにさらに石膏を添加して混合したものなどが挙げられる。ここで、石膏は、上記混合物の硬化物を粉砕しながら添加してもよいし、硬化物の粉砕が完了してから添加してもよい。また、添加する石膏の結晶形態としては、II型であってもよいし、他の形態であってもよい。
【0024】
また、アルミナセメントの他の例としては、主要鉱物組成がCAとなるように、上記の石灰質原料とアルミナ質原料との混合物を焼成するか、あるいは、混合物を溶融した後に急冷し、この硬化物を粉砕することで得られるものが挙げられる。また、この例のアルミナセメントは、焼成又は溶融条件や、原料に含まれる不純物の影響により、CAに加えて、例えば、上記したような、CA、C12、CAS、CAF等の鉱物を副成分として含むことがある。
【0025】
さらに、アルミナセメントの具体例としては、例えば、JIS R2511:1995「耐火物用アルミナセメント」に規定されるアルミナセメント1~5種、若しくはこれに相当する品質を有するアルミナセメントが挙げられる。
【0026】
これらの内、アルミナセメント3種又は4種、若しくはこれに相当する品質を有するものを用いることがより好ましい。
このようなアルミナセメントしては、例えば、CA、CA等のカルシウムアルミネートを主成分とし、CAF等のカルシウムアルミノフェライト、CAS等のカルシウムアルミノシリケート等の化合物で構成されるセメントが挙げられる。
【0027】
なお、上記の各化学式の例示において、「A」はAlを表し、「C」はCaO、「F」はFe、「S」はSiOを表す。
【0028】
(無機炭酸塩)
無機炭酸塩は、アルミナセメント以外の水硬性セメントの硬化を促進する性質を有する成分である。無機炭酸塩は、主材液に配合すると該主材液を不安定にするが、硬化材液に配合しても該硬化材液を不安定にしない。
【0029】
無機炭酸塩としては、例えば、LiCO、NaCO、KCOなどのアルカリ金属の炭酸塩や、MgCOなどのアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられる。無機炭酸塩は一種のみが含まれていてもよく、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。中でも、セメントの硬化を促進する点、固結体の強度の立ち上がりを早くする点に有効という観点から、NaCO、KCOが好ましい。
【0030】
(粘土鉱物)
本発明で用いるベントナイト、セピオライト、アタパルジャイト(別名:パリゴルスカイト)は、薬液が安定したゲルタイムを示すのに必要な硬化材液Bの製造に要する撹拌時間を短くする成分である。これらは、一種のみが含まれていてもよく、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0031】
(添加剤)
硬化材液Bは、アルミナセメント、無機炭酸塩及び粘土鉱物以外に、減水剤、消泡剤、増粘剤などの各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0032】
減水剤としては、リグニンスルホン酸塩又はその誘導体系、ポリカルボン酸系、アミノスルホン酸系、オキシ有機酸塩系、アルキルアリルスルホン酸塩系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ポリオール複合体系、高級多価アルコールスルホン酸塩系、メラミンホルマリン縮合物系(スルホン酸塩、(変性)メチロール)、ナフタリンスルホン酸塩ホルマリン縮合物系などを主成分とする各種の減水剤、分散剤、高性能減水剤、流動化剤が挙げられる。
【0033】
消泡剤としては、高級アルコール系、アルキルフェノール系、ジエチレングリコール系、ジブチルフタレート系、非水溶性アルコール系、トリブチルホスフェート系、ポリグリコール系、シリコーン系、酸化エチレン-酸化プロピレン共重合物系などの消泡剤が挙げられる。
【0034】
増粘剤としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル系;ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド-ポリアクリル酸ソーダ共重合物、ポリアクリルアミド部分加水分解物などのアクリル系ポリマー;ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、アルギン酸ソーダ、カゼイン、グアガムなどの水溶性ポリマーなど各種の増粘剤が挙げられる。
【0035】
(水)
水としては、例えば、上水、工業用水、地下水、河川水、海水などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果を充分に発揮させるためには、上水や工業用水が好ましい。
【0036】
(硬化材液B中の各成分の含有量)
硬化材液B中のアルミナセメントの含有量の下限は、硬化材液B200Lあたり、5~100kgであることが好ましく、10~60kgがより好ましく、15~40kgが特に好ましい。アルミナセメントの含有量が上記下限値以上であれば、安定したゲルタイムの発現に必要な最低撹拌時間が短くなるとともに、固結体の圧縮強度がより高くなる。一方、上記上限値以下であれば、硬化材液Bの粘度が抑えられるため、主材液Aと硬化材液Bとがより均一に混合され、固結体の圧縮強度のバラツキがより少なくなる。また、上記上限値以下であれば、ポンプによる圧送が容易となり、硬化材液B又は後述する土質安定用薬液が地盤に浸透しやすくなる。
【0037】
硬化材液B中の無機炭酸塩の含有量は、硬化材液B200Lあたり、2~12kgであることが好ましく、4~10kgがより好ましい。無機炭酸塩の含有量が上記範囲内にあれば、セメントの硬化を促進し、固結体の強度の立ち上がりを早くすることが出来る。本発明の効果をより発揮させるためには、硬化材液Bを調製した際に、無機炭酸塩の不溶解分が残らないようにすることが好ましい。
【0038】
硬化材液B中の粘土鉱物、即ち、ベントナイト、セピオライト、アパタルジャイトの1種以上の含有量は、硬化材液B200Lあたり、0.1~20kgであることが好ましく、1~10kgがより好ましい。粘土鉱物の含有量が上記範囲内であれば、本発明の効果のうち、薬液が安定したゲルタイムを示すのに必要な硬化材液Bの製造に要する撹拌時間を短くする効果を得やすい。また、上記下限値以上であれば、硬化材液B中成分の沈降が抑制される。一方、上記上限値以下であれば、硬化材液Bの粘度が抑えられるため、ポンプによる圧送が容易となり、硬化材液B又は後述する土質安定用薬液が地盤に浸透しやすくなる。また、上記上限値以下であれば、硬化材液B中の成分量に対する固結体の体積をより大きくすることができる。
【0039】
(硬化材液Bの製造方法)
硬化材液Bは、公知の撹拌器等を用いて、各成分を水に分散させることにより製造される。分散方法としては、予め製造した硬化材を水に分散させる方法でもよく、硬化材の各成分を任意の順序で水に分散させる方法でもよい。
【0040】
本発明では、硬化材を水に分散させる際の撹拌時間が短くても安定したゲルタイムが得られる。しかし、各成分は水に充分に分散されていることが好ましい。各成分が水に充分に分散されていることにより、主材液Aと硬化材液Bとがより均一に混合され、固結体の圧縮強度のバラツキがより少なくなる。
【0041】
なお、硬化材液Bの水以外の成分である硬化材を予め混合する場合は、一般に用いられる混合器により、各成分を所望の配合量で混合すればよい。用いる混合器は、工場又は施工現場に固定されているものでもよく、ミキサートラックに搭載されているものでもよい。
各成分は充分に混合されていることが好ましい。各成分が充分に混合されていることにより、均質な硬化材液Bを素早く製造することができる。
【0042】
[主材液A]
本発明に係る主材液Aは、アルミナセメント以外の水硬性セメント(以下、単に「水硬性セメント」とも称する。)、石灰及び水を含むものであり、好ましくは更に有機カルボン酸(塩)を含む。主材液Aは、アルミナセメント以外の水硬性セメント、石灰及び水以外に、その他の添加剤を含んでいてもよい。
特に石膏は、初期及び最終的な固結体の強度を向上させるという観点から、主材液Aに含有させることが好ましい。
【0043】
以下、主材液Aに含まれる各成分について説明する。なお、その他の添加剤の詳細については、上述の硬化材液Bにおけるその他の添加剤と同様である。
【0044】
(水硬性セメント)
本発明に係る主材液Aが含む水硬性セメントは、アルミナセメント以外の水硬性セメントである。該水硬性セメントとしては、例えば、普通、早強、超早強、中庸熱及び白色などのポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどの混合セメント、微粒子セメント、超微粒子セメント、極超微粒子セメントや高炉水砕スラグ微粉末等が挙げられる。
水硬性セメントは、これらの一種のみが含まれていてもよく、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0045】
主材液Aには、主材としてアルミナセメント以外の水硬性セメントに加えて、アルミナセメントを含ませることができるが、主材液Aの安定性を保つ点から、主材液A中のアルミナセメントは少ないほど好ましく、含まないことがより好ましい。
【0046】
本発明に係る主材液A中の水硬性セメントの含有量は、主材液A200Lあたり、25~300kgが好ましく、50~200kgがより好ましく、75~150kgが特に好ましい。水硬性セメントの含有量が上記下限値以上であれば、固結体の圧縮強度をより高めることができる。一方、上記上限値以下であれば、主材液Aの粘度が抑えられるため、ポンプによる圧送が容易となり、主材液A又は後述する土質安定用薬液が地盤に浸透しやすくなる。また、上記上限値以下であれば、主材液A中の成分量に対する固結体の体積をより大きくすることができる。
【0047】
(石灰)
石灰は、水中で水酸化カルシウム(Ca(OH))の形をとるものであり、例えば、消石灰(Ca(OH))や生石灰(CaO)が挙げられる。中でも、取扱いが容易な消石灰が好ましい。
石灰のブレーン値は3000~20000cm/gが好ましく、5000~18000がより好ましく、7000~15000cm/gが特に好ましい。石灰のブレーン値が上記下限値以上であれば、反応性が上がり短い時間で安定したゲルタイムが得られるとともに、沈降が抑えられる点で優れる。一方、上記上限値以下であれば、粉の飛散が抑えられる点、粉体の容積が減るという点で好ましい。また、上記上限値以下であれば、水と混合した時に凝集が起こりにくくなる。
石灰は、一種のみが含まれていてもよく、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0048】
本発明に係る主材液A中の石灰の含有量は、主材液A200Lあたり、3~12kgが好ましく、4~10kgがより好ましく、5~8kgが更に好ましい。石灰の含有量が上記下限値以上であれば、ゲル化後の固さの立ち上がりが早くなる点で優れる。上記上限値以下であれば、主材液Aの粘度が抑えられるため、ポンプによる圧送が容易となり、主材液A又は後述する土質安定用薬液が地盤に浸透しやすくなる。また、上記上限値以下であれば、主材液A中の成分量に対する固結体の体積をより大きくすることができる。
【0049】
(石膏)
本発明に係る主材液Aにおいて、石膏の含有は必須ではないが、固結体の初期及び最終の強度を上げるという観点から含まれる方が好ましい。
【0050】
石膏としては、例えば、II型無水石膏、III型無水石膏、α半水石膏、β半水石膏、2水石膏など、各種の形態の石膏が挙げられる。中でも、固結体の圧縮強度がより高くなることから、II型無水石膏が好ましい。
石膏のブレーン値は、1000~20000cm/gが好ましく、2000~12000cm/gがより好ましく、3000~10000cm/gが特に好ましい。石膏のブレーン値が上記下限値以上であれば、固結体の圧縮強度がより高くなる。一方、上記上限値以下であれば、粉の飛散が抑えられる点、粉体の容積が減るという点で好ましい。また、上記上限値以下であれば、水と混合した時に凝集が起こりにくくなる。
石膏は、一種のみが含まれていてもよく、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0051】
本発明に係る主材液Aが石膏を含む場合、主材液A中の石膏の含有量は、主材液A200Lあたり、0.5~20kgが好ましく、1~10kgがより好ましい。石灰の含有量が上記下限値以上であれば、固結体の初期及び最終強度が高くなる。上記上限値以下であれば、主材液Aの粘度が抑えられるため、ポンプによる圧送が容易となり、主材液A又は後述する土質安定用薬液が地盤に浸透しやすくなる。また、上記上限値以下であれば、主材液A中の成分量に対する固結体の体積をより大きくすることができる。
【0052】
(水)
水としては、例えば、上水、工業用水、地下水、河川水、海水などが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果を充分に発揮させるためには、上水や工業用水が好ましい。
【0053】
(主材液Aの製造方法)
本発明に係る主材液Aは、公知の撹拌器等を用いて、各成分を所望の配合量で水に分散させることにより製造される。
主材液Aを製造する際の、水硬性セメント、石灰及び水、必要に応じて配合される有機カルボン酸(塩)や石膏を混合する順序は、特に限定されない。主材液Aの製造方法は、石灰、必要に応じて配合される有機カルボン酸(塩)、石膏並びに任意成分である分散剤及び消泡剤などの添加剤を水に分散させた後、水硬性セメントを加え、所定時間撹拌して混合する方法が好ましい。
【0054】
地盤安定化を行う施工現場で主材液Aを製造する方法としては、例えば、水硬性セメントと石灰、必要に応じて配合される有機カルボン酸(塩)や石膏、添加剤とを別々に施工現場に搬入し、所定の量比で混合した後、水を加えて混合する方法が挙げられる。または、一般的に流通している水硬性セメントと、それとは別に、その他の石灰、必要に応じて配合される有機カルボン酸(塩)や石膏、添加剤を所定の量比で予め配合した混合物を施工現場に搬入し、水に添加して混合する方法が挙げられる。あるいは、水硬性セメント、石灰、必要に応じて配合される有機カルボン酸(塩)や石膏、添加剤を所定の量比で予め配合した主材の混合物を施工現場に搬入し、これを水に添加して混合する方法が挙げられる。中でも、施工現場での作業を簡略化できる点から、後者の2つの方法が好ましい。
【0055】
本発明では、主材液Aの水以外の成分を水に分散させた後の撹拌時間が短くても、長く攪拌した際に到達する安定したゲルタイムが得られる。また、各成分は水に充分に分散されていることが好ましい。各成分が水に充分に分散されていることにより、主材液Aと硬化材液Bとがより均一に混合され、固結体の圧縮強度のバラツキがより少なくなる。
【0056】
[土質安定用薬液]
本発明の土質安定用薬液は、前述の主材液Aと硬化材液Bとを組み合わせてなり、有機カルボン酸(塩)を前述の好適含有量で含有することを特徴とする。
【0057】
[土質安定用薬液の製造方法]
本発明の土質安定用薬液の製造方法は、公知の撹拌器等を用いて、各成分を水に分散させる方法でもよく、主材液Aに、硬化材液B中の水以外の成分を添加する方法でもよく、硬化材液Bに、主材液A中の水以外の成分を添加する方法でもよく、主材液Aと硬化材液Bとを混合する方法でもよい。中でも、施工現場での作業を簡略化できる点及びゲルタイムを安定化する点から、土質安定用薬液の製造方法は、主材液Aと硬化材液Bとを混合する方法であることが好ましい。
【0058】
以下、主材液Aと硬化材液Bとを混合する方法について説明する。
両液の混合は、地盤に注入する前に行ってもよく、各液を地盤に注入しながら行ってもよい。地盤に注入する前に行う場合は、セメントを製造する際に通常用いる撹拌器等を用いて、一般的な撹拌方法によって混合すればよい。各液を地盤に注入しながら混合する場合は、例えば、主材液Aと硬化材液Bとを、それぞれ単位時間当りの送液容量が等しいポンプを用いて個別にY字管、撹拌装置、注入管内に設けられた混合室(管内混合器・管路混合器)などに圧送して混合する方法、又は、主材液Aと硬化材液Bを二重管の内管と外管で別々に送液し、注入時に地盤中で主材液Aと硬化材液Bを合流させて混合する方法などが挙げられる。両液が注入中に硬化しないようにするため、土質安定用薬液は、注入直前又は注入しながら製造することが好ましく、注入しながら製造することがより好ましい。
【0059】
施工がし易くなる点から、主材液Aと硬化材液Bとは7:3~3:7の容量比で混合することが好ましく、6:4~4:6の容量比で混合することがより好ましく、等容量で混合することが特に好ましい。
【0060】
[地盤安定化工法]
本発明の地盤安定化工法には、上述の本発明の土質安定用薬液を地盤に注入する第一の態様と、主材液Aと硬化材液Bとを地盤内で混合する第二の態様とがある。
第一の態様の具体的な方法は、上述の本発明の土質安定用薬液の製造方法と同様にして土質安定用薬液を得、該薬液を地盤に注入する方法である。
第二の態様の具体的な方法は、主材液Aと硬化材液Bとを別々の注入管で地盤内に注入し、両液を地盤内で合流させ、混合させる方法である。本態様では、注入の際に、噴射ノズルを有する注入管を用いて、圧力50~1000kg/cmで噴射注入してもよい。
【0061】
[作用効果]
本発明によれば、ゲルタイムが40秒~数10分の薬液について、主材液A及び硬化材液Bのそれぞれの製造に要する撹拌時間がより短く安定したゲルタイムが得られ、かつ、ゲル化後の薬液の固さの立上りが早い土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法を提供することができる。
本発明によるこのような効果は、以下のメカニズムによるものと推定される。
【0062】
<製造に要する撹拌時間がより短く安定したゲルタイムが得られるメカニズム>
本発明に係る硬化材液Bに含まれる前記粘土鉱物、即ち、ベントナイト、セピオライト、及びアパタルジャイトの1種以上は、アルミナセメントが水と反応した際に発生するカルシウムイオンを適度に捕捉する作用を有する。この適度な捕捉により、カルシウムイオンが炭酸ナトリウムやアルミナセメント由来の鉱物と反応して析出物する炭酸カルシウム等の発生を抑え、アルミナセメントの活性部位を覆うことを防ぐことで、より短い撹拌時間で安定したゲルタイムが得られるようになると考えられる。
【0063】
<ゲル化後の薬液の固さの立上りが早いメカニズム>
本発明の土質安定用薬液中に含まれる有機カルボン酸(塩)はゲルタイムを延ばす機能がある。本発明では石灰(水酸化カルシウム)の添加量が多いとゲルタイムが早くなり、ゲル化直後の固さの立ち上がりも早くなる。これに対し、有機カルボン酸(塩)を添加することで同じ石灰量でもゲルタイムを延ばすことが可能であり、有機カルボン酸(塩)の効果で遅延したゲルタイムが解除した時点で石灰の効果により急激にゲル化が進行するため、ゲル化前の安定した流動化とゲル化後の早い立上りの固さが得られるものと考えられる。
但し、石灰が同量の場合でも、有機カルボン酸(塩)の添加によりゲル化後の薬液の固さの立上りが早くなっており、有機カルボン酸(塩)が、ゲル強度を下げるような急激な反応を抑えることで、固さの立上りが良くなっているものと推定される。
【実施例
【0064】
以下に本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例で用いた材料、主材液及び硬化材液の調製方法、並びに各種測定・評価方法は以下のとおりである。
【0065】
[材料]
(主材液)
・水硬性セメント:普通ポルトランドセメント
・石膏:II型無水石膏(ブレーン値:6500cm/g)
・石灰:消石灰(ブレーン値:12000cm/g)
・減水剤:ナフタレンスルホン酸ナトリウム・ホルムアルデヒド縮合物
・有機カルボン酸:無水クエン酸
・水:水道水
【0066】
(硬化材液)
・アルミナセメント:JIS-R2511,3種
・無機炭酸塩:ソーダ灰(無水炭酸ナトリウム)
・ベントナイト(品川窯業(株)社製 商品名「九州ベントナイト 筑前特8号」)
・セピオライト(IMV Nevada社製 商品名「THERMOGEL」)
・アタパルジャイト(SKWイーストアジア(株)社製 商品名「Ashagel SF」)
・水:水道水
【0067】
[主材液の調製方法]
20℃に調整した材料を使用し、それぞれ20℃の室内で石灰、場合によりクエン酸、石膏、減水散剤等の混合物を水に分散させた後、普通ポルトランドセメントを分散させ、撹拌して主材液を得た。撹拌は、マグネチックスターラーを用い、200mLのディスカップに長さ4cmのスターラーバーを入れ、主材液200mLの入った状態で、回転数650~750rpmの条件で所定の時間行った。
主材液中の各成分の含有量は表1に示す通りとした。
なお、本実施例では、硬化材液を作製する直前に主材液を調製して実験を行った。
【0068】
[硬化材液の調製方法]
20℃に調整した材料を使用し、20℃の室内でアルミナセメント、無機炭酸塩、並びにベントナイト、セピオライト、アパタルジャイトを混合した硬化材を水に分散させ、撹拌して硬化材液を得た。撹拌は、マグネチックスターラーを用い、200mLのディスカップに長さ4cmのスターラーバーを入れ、硬化材液200mLの入った状態で、回転数650~750rpmの条件で所定の時間行った。
硬化材液中の各成分の含有量は表1に示す通りとした。
【0069】
本実施例では、普通ポルトランドセメントを水に分散させてから、撹拌を終了するまでの時間を「主材液の撹拌時間」とし、硬化材を水に分散させてから、撹拌を終了するまでの時間を「硬化材液の撹拌時間」とした。
【0070】
[ゲルタイム]
まず、得られた主材液50mLと硬化材液50mLとをそれぞれ200mLディスカップA,Bに入れ、硬化材液の入ったディスカップBに主材液の全量を勢いよく入れた後、両液の混合液を直ちに主材液が入っていたディスカップAに移しかえ、さらに硬化材液が入っていたディスカップBに移しかえた。最初に主材液と硬化材液を混合してからここまで3秒程度であった。次いで、ディスカップBを水平にして表面の様子を確認し、15秒毎に、ディスカップBを45度傾けて、混合液の液面が動くか否かを確認し、混合液の液面が動かなくなるまでの時間を確認した。
【0071】
なお、硬化材液撹拌時間3分と主材液撹拌時間4分を混合した際のゲルタイムと、硬化材液撹拌時間10分と主材液撹拌時間11分を混合した際のゲルタイムとを比較し、その差から、硬化材液、主材液の必要撹拌時間の改善の有無を判断した。
【0072】
[ゲル化後の薬液の固さの立ち上がりの測定]
ベーンせん断試験器(トルクドライバ-FTD-10CN-S:(株)東日製作所製、ベーンブレード:D15mm×H30mm)を用いて測定した。
500mLディスカップに主材液、硬化材液をそれぞれ200mLずつ調製し、硬化材液の入ったディスカップに主材液の全量を勢いよく入れた後、両液の混合液を直ちに主材液が入っていたディスカップに移しかえ、さらに硬化材液が入っていたディスカップに移しかえそのまま静置した。この混合液について、ゲルタイムから一定時間静置後にベーンブレードをカップ内中央に挿入、回転させ、その最大目盛値(最大トルク値)よりベーンせん断強さを算出した。
【0073】
[実施例1~6及び比較例1~2]
実施例1~6及び比較例1~2では、それぞれ表1に示された成分、該成分の含有量で、上記の通り調製した主材液と硬化材液を用いて、20℃における硬化材液撹拌時間3分・主材液撹拌時間4分を混合した際(以下、「短時間撹拌」という。)のゲルタイムと、硬化材液撹拌時間10分・主材液撹拌時間11分を混合した際(以下、「長時間撹拌」という。)のゲルタイムを測定した。
また、一部について、ゲル化後の薬液の固さの立ち上がりの測定を実施した。
なお、ゲル化後の薬液の固さの立ち上がりは、比較の為、ゲルタイムが2分となる配合及び攪拌時間に統一し、比較例1、2では、長時間攪拌時、実施例1~6では短時間攪拌時に混合した際の値を測定した。
測定結果を表2に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
[考察]
比較例1と比較例2の比較より、クエン酸を配合すると共に消石灰を増やすことにより、ゲルタイムが同等(2分)であるにも関わらず、混合後の強度の立ち上がりが良くなることがわかる。
比較例2と実施例1の比較より、ベントナイトを含むことで、撹拌時間が短くても長い場合と同じでゲルタイムが安定していること、ベーンせん断試験の強度立上りが早いことが分かる。
実施例1と実施例2より、石膏の添加により強度の立ち上がりが早くなることがわかる。
実施例3、4より、セピオライト、アパタルジャイトも効果があることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の土質安定用薬液、該薬液の製造方法、及び地盤安定化工法は、例えば、地盤内の空隙、護岸堤防と地盤との空隙、液状化によって生じた空洞及びトンネル背面の空洞等に薬液を注入して地盤を補強するために有用である。