(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】膜付き基板、サブマウント、及び光学デバイス
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02315 20210101AFI20240409BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H01S5/02315
H01L23/02 F
(21)【出願番号】P 2020107030
(22)【出願日】2020-06-22
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
(72)【発明者】
【氏名】山口 義正
(72)【発明者】
【氏名】藤田 浩輝
(72)【発明者】
【氏名】豊福 直樹
【審査官】高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-227395(JP,A)
【文献】特開昭63-160292(JP,A)
【文献】特開昭58-091692(JP,A)
【文献】特開2006-237074(JP,A)
【文献】特開2017-032625(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0265770(US,A1)
【文献】特開2019-153762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00- 5/50
H01L 21/52-21/52
H01L 21/54
H01L 21/58
H01L 23/00-23/10
H01L 23/16-23/26
H01L 23/34-23/46
H01L 29/86-29/96
H01L 31/00-31/02
H01L 31/08-31/10
H01L 31/18
H01L 33/00-33/64
H10K 30/60-30/65
H10K 39/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を搭載するためのサブマウントに用いられる膜付き基板であって、
対向している第1の主面及び第2の主面を有する、基板と、
前記基板の前記第1の主面及び前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面上に配置されている、
スパッタ膜である、応力調整膜と、
前記基板と前記応力調整膜との間に設けられている、めっき膜と、
を備える、膜付き基板。
【請求項2】
前記応力調整膜が、Niを含む、請求項
1に記載の膜付き基板。
【請求項3】
前記応力調整膜の厚みが、10μm以下である、請求項1
又は2に記載の膜付き基板。
【請求項4】
前記めっき膜が、Niを含む、請求項
1~3のいずれか1項に記載の膜付き基板。
【請求項5】
前記応力調整膜上に設けられており、かつAu及びSnのうち少なくとも一方を含む、密着膜をさらに備える、請求項1~
4のいずれか1項に記載の膜付き基板。
【請求項6】
前記応力調整膜上に設けられており、かつPt又はPdを含む、第1の層と、前記第1の層上に設けられており、かつAu及びSnのうち少なくとも一方を含む、第2の層とを有する、密着膜をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の膜付き基板。
【請求項7】
前記第1の層が、Ptを含む、請求項6に記載の膜付き基板。
【請求項8】
光学素子を搭載するためのサブマウントであって、
請求項1~7のいずれか1項に記載の膜付き基板からなる、サブマウント。
【請求項9】
ヒートシンクである、請求項8に記載のサブマウント。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のサブマウントと、
前記サブマウントにおける前記応力調整膜の上に配置される、光学素子と、
前記光学素子を収容するためのパッケージと、
を備える、光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜付き基板、並びに該膜付き基板を用いたサブマウント及び光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)などの光学素子におけるサブマウントとして、放熱性の高いヒートシンクが用いられている。このようなヒートシンクでは、光学素子をはんだ付けする際の熱や、光学素子で発生した熱をパッケージへ効率よく放熱させている。また、下記の特許文献1には、このようなヒートシンクの材料として、CuW等の材料が用いられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、放熱性の向上のために、より薄型化が求められている。しかしながら、特許文献1のようなヒートシンクを薄型化した場合、製造時の焼成工程における熱などの影響を受け易くなり、ヒートシンクに反りが生じることがある。このような反りが生じたヒートシンクの上に光学素子を搭載すると、十分に放熱を行なえないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、反りを抑制することができる、膜付き基板、並びに該膜付き基板を用いたサブマウント及び光学デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る膜付き基板は、光学素子を搭載するためのサブマウントに用いられる膜付き基板であって、対向している第1の主面及び第2の主面を有する、基板と、前記基板の前記第1の主面及び前記第2の主面のうち少なくとも一方の主面上に配置されている、応力調整膜と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、前記応力調整膜が、スパッタ膜であることが好ましい。
【0008】
本発明においては、前記応力調整膜が、Niを含むことが好ましい。
【0009】
本発明においては、前記応力調整膜の厚みが、10μm以下であることが好ましい。
【0010】
本発明においては、前記基板と前記応力調整膜との間に設けられている、めっき膜をさらに備えていてもよい。
【0011】
本発明においては、前記めっき膜が、Niを含むことが好ましい。
【0012】
本発明においては、前記応力調整膜上に設けられており、かつAu及びSnのうち少なくとも一方を含む、密着膜をさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明に係るサブマウントは、光学素子を搭載するためのサブマウントであって、本発明に従って構成される膜付き基板からなることを特徴とする。
【0014】
本発明に係るサブマウントは、ヒートシンクであってもよい。
【0015】
本発明に係る光学デバイスは、本発明に従って構成されるサブマウントと、前記サブマウントにおける前記応力調整膜の上に配置される、光学素子と、前記光学素子を収容するためのパッケージと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、反りを抑制することができる、膜付き基板、並びに該膜付き基板を用いたサブマウント及び光学デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る膜付き基板を示す模式的断面図である。
【
図2】(a)~(c)は、膜付き基板における反りの測定方法を説明するための模式図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る膜付き基板を示す模式的断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る光学デバイスを示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、好ましい実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は単なる例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照する場合がある。
【0019】
[膜付き基板]
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る膜付き基板を示す模式的断面図である。
【0020】
膜付き基板1は、光学素子のサブマウントに用いられる基板である。なかでも、膜付き基板1は、ヒートシンク機能を有するサブマウントに用いられる基板であることが望ましい。なお、膜付き基板1は、光学素子以外の素子のサブマウントであってもよいし、サブマウント以外の用途に用いられてもよく、その用途は、特に限定されない。
【0021】
膜付き基板1は、基板2、第1のめっき膜3、応力調整膜4、第1の密着膜5、第2のめっき膜8、及び第2の密着膜9を備える。基板2は、対向している第1の主面2a及び第2の主面2bを有する。
【0022】
基板2の第1の主面2a上に、第1のめっき膜3が設けられている。第1のめっき膜3上に、応力調整膜4が設けられている。応力調整膜4上に、第1の密着膜5が設けられている。また、基板2の第2の主面2b上に、第2のめっき膜8が設けられている。第2のめっき膜8上に、第2の密着膜9が設けられている。
【0023】
本実施形態において、基板2は、略矩形板状の形状を有する。もっとも、基板2は、例えば、略円板状等の形状を有していてもよく、その形状は特に限定されない。
【0024】
基板2の材料は、特に限定されないが、放熱性の高い材料により構成されていることが望ましい。具体的には、基板2の材料としては、例えば、CuW、CuMo、AlN、Cu-Diamond、Mo、Al-SiC、Mg-SiC等が挙げられる。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
【0025】
基板2の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。基板2の厚みが上記下限値以上である場合、放熱性をより一層高めることができる。また、基板2の厚みが上記上限値以下である場合、用いられるデバイスにおいてより一層の低背化を図ることができる。
【0026】
第1のめっき膜3及び第2のめっき膜8は、基板2との密着性を高めるために用いられる。
【0027】
第1のめっき膜3及び第2のめっき膜8の材料としては、特に限定されないが、本実施形態では、Niである。もっとも、第1のめっき膜3及び第2のめっき膜8の材料は、Niには限定されず、Cr、Ti、W、TiW、Mo又はNi-Cr等であってもよい。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。なお、第1のめっき膜3及び第2のめっき膜8には、上記例示した材料が95%以上含まれていることが望ましい。もっとも、第1のめっき膜3及び第2のめっき膜8は、本発明の効果を阻害しない範囲において、不純物や添加物を含んでいてもよい。
【0028】
第1のめっき膜3及び第2のめっき膜8におけるそれぞれの厚みは、特に限定されないが、例えば、0.5μm以上、5μm以下とすることができる。
【0029】
応力調整膜4は、その膜応力により膜付き基板1全体に加わる応力を調整し、膜付き基板1の反りを抑制するための膜である。具体的には、応力調整膜4は、応力調整膜4を設けなかった場合に反りの生じる方向とは反対方向に反りを生じさせることにより、膜付き基板1全体としての反りを低減するように調整する膜である。従って、応力調整膜4は、応力調整膜4を設けなかった場合に反りの生じる方向を考慮して、本実施形態のように第1の主面2a側に設けてもよいし、第2の主面2b側に設けてもよい。また、第1の主面2a及び第2の主面2bの双方の上に設けてもよい。なお、第2の主面2b側に設ける場合においても、第2の主面2b上に設けてもよいし、第2のめっき膜8と第2の密着膜9との間に設けてもよい。
【0030】
応力調整膜4における反りの程度は、その膜応力により調整することができる。従って、応力調整膜4における反りの程度は、例えば、応力調整膜4の厚みによって調整することができる。これを以下の実験例を用いて説明する。
【0031】
実験例では、
図2(a)に示すように、まず、基板12(日本電気硝子社製、BDA、厚み:0.5mm)上に、第1のめっき膜13としてのCrめっき膜(厚み100nm)を形成した。次に、第1のめっき膜13上に、スパッタリング法により、応力調整膜14としてのNi膜を成膜した。なお、Ni膜の厚みが、300nm、1000nm、及び1500nmのものをそれぞれ作製した。それによって、3種類の膜付き基板11を作製した。
【0032】
膜付き基板11の寸法は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、長さa:25mmとし、幅b:25mmとした。また、第1のめっき膜13及び応力調整膜14の成膜は、膜付き基板11の長さ方向における第1の端部11b及び第2の端部11cから長さc:0.2mmの部分には成膜しなかった。
【0033】
このようにして得られた膜付き基板11の反り量を測定した。具体的には、
図2(c)に示すステージ10上に、膜付き基板11を載置し、25℃で1時間放置した後の反り量Lを測定した。なお、膜付き基板11は、膜面11aが上方となるように載置した。そして、第1の端部11b及び第2の端部11cと、膜付き基板11の非膜面11dにおける長さ方向の中心との高さの差を反り量Lとした。反り量Lは、2つの端部11b、11cの反り量Lの平均とした。なお、非膜面11dは、膜面11aと対向する面である。
【0034】
結果を下記の表1に示す。
【0035】
【0036】
表1に示すように、応力調整膜14としてのNi膜の厚みが大きくなるほど、反り量の絶対値が大きくなっていることがわかる。
【0037】
従って、本実施形態では、膜付き基板1を構成する応力調整膜4以外の設計に応じて、応力調整膜4を設ける面や反り量を調整することにより、膜付き基板1全体の反り量を低減するように調整することができる。よって、膜付き基板1では、反りを抑制することができる。
【0038】
応力調整膜4の材料としては、特に限定されず、Ni、Ti、W、Mo、TiW、Ni-Cr、Pt、Pd、Au等を用いることができる。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。膜付き基板1全体の反り量をより一層調整し易いという観点から、応力調整膜4は、Niを主成分とする膜であることが好ましい。また、応力調整膜4の材料は、Niと他の金属の合金であってもよい。なお、上記主成分とは、応力調整膜4中にその成分が95%以上含まれていることをいうものとする。もっとも、応力調整膜4は、本発明の効果を阻害しない範囲において、不純物や添加物を含んでいてもよい。
【0039】
応力調整膜4の厚みとしては、特に限定されず、必要とされる反り量に応じて適宜設計することができる。応力調整膜4の厚みは、例えば、0.05μm以上、10μm以下とすることができる。なお、薄型化や製造コスト低減の観点からは、応力調整膜4の厚みは、好ましくは1.0μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
【0040】
また、応力調整膜4の形成方法は、特に限定されないが、スパッタリング法により形成することが好ましい。従って、応力調整膜4は、スパッタ膜であることが好ましい。この場合、より緻密な膜が成膜されるので、膜付き基板1全体の反り量をより一層調整し易い。また、応力調整膜4の厚みをより薄くすることもできる。
【0041】
なお、応力調整膜4は、平面視において、基板2における主面全体に設けられることが好ましいが、基板2における主面の一部にのみ設けられていてもよい。また、応力調整膜4は、基板2における主面の少なくとも一部に加えて、基板2の側面にも設けられていてもよい。
【0042】
第1の密着膜5は、第1の層6及び第2の層7を有する。具体的には、応力調整膜4上に、第1の層6が設けられている。また、第1の層6上に、第2の層7が設けられている。
【0043】
第1の層6は、拡散防止層としての機能を有していることが望ましい。例えば、第2の層7の成分が第1のめっき膜3や応力調整膜4へ拡散することを防止するための層であることが望ましい。これにより、第1の密着膜5の光学素子等への密着性を高めることができる。もっとも、第1の密着膜5において、第1の層6は設けられていなくてもよい。
【0044】
第1の層6の材料は、特に限定されないが、本実施形態では、Ptである。この場合、第2の層7の成分が第1のめっき膜3や応力調整膜4へ拡散することをより一層抑制することができる。もっとも、第1の層6の材料は、Ptには限定されず、Au、又はPd等であってもよい。これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。なお、第1の層6には、上記例示した材料が95%以上含まれていることが望ましい。もっとも、第1の層6には、密着性を阻害しない範囲において、不純物や添加物が含まれていてもよい。
【0045】
第1の層6の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.05μm以上、1.0μm以下とすることができる。
【0046】
第1の層6の形成方法としては、特に限定されず、例えば、スパッタリング法や蒸着法により形成することができる。
【0047】
第2の層7は、例えば、光学素子等と直接密着される層である。
【0048】
第2の層7の材料としては、特に限定されないが、例えば、Au、Sn等が挙げられる。なかでも、第2の層7の材料は、Au及びSnのうち少なくとも一方であることが好ましい。この場合、第2の層7を溶融させることにより、光学素子等とより容易に接合することができ、より低温で接合することもできる。なお、第2の層7は、Au及びSnの合金により構成されていてもよい。また、Au及びGeの合金、Au及びSiの合金、Sn、Ag及びCuの合金で構成されていてもよい。第2の層7には、上記例示した材料が95%以上含まれていることが望ましい。もっとも、第2の層7には、密着性を阻害しない範囲において、不純物や添加物が含まれていてもよい。
【0049】
第2の層7は、Au層とSn層とが積層された積層体であってもよい。この場合、Au層とSn層とが交互に積層されていてもよい。積層体における各層の積層数は、例えば、3層以上、200層以下とすることができる。Au層とSn層との間には、Au及びSnの合金層が形成されていてもよい。この場合、第2の層7を溶融させることにより、光学素子等とより容易に接合することができ、より低温で接合することもできる。
【0050】
第2の層7の厚みは、特に限定されないが、例えば、1μm以上、30μm以下とすることができる。
【0051】
第2の層7の形成方法としては、特に限定されず、例えば、スパッタリング法や蒸着法により形成することができる。また、第2の層7は、めっき膜であってもよい。
【0052】
第2の密着膜9は、例えば、パッケージ等と密着される密着膜である。第2の密着膜9としては、上述した第1の密着膜5と同じものを用いることができる。従って、第2の密着膜9は、上述した第1の層6及び第2の層7により構成されていてもよいし、第2の層7のみにより構成されていてもよい。
【0053】
なお、後述するように、パッケージの内面には、Au膜が設けられる場合がある。従って、この場合、第2の密着膜9は、Auを含んでいることが好ましい。また、Au層とSn層とが積層された積層体である場合には、Au層が最外層であることが好ましい。これにより、パッケージとの接合力をより一層高めることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態に係る膜付き基板を示す模式的断面図である。
【0055】
図3に示すように、膜付き基板21では、第1のめっき膜3が設けられていない。また、基板2の第2の主面2b上に膜が設けられていない。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
【0056】
第2の実施形態のように、基板2と応力調整膜4との間には、第1のめっき膜3が設けられていなくてもよく、基板2の第2の主面2b上に膜が設けられていなくてもよい。基板2の第1の主面2a及び第2の主面2bのうちの一方の主面上に、応力調整膜4が配置されていればよい。
【0057】
また、第2の実施形態においても、基板2の第1の主面2a上に、応力調整膜4が設けられているので、膜付き基板21全体に加わる反り量を低減するように調整することができる。そのため、膜付き基板21においても、反りを抑制することができる。
【0058】
[光学デバイス]
図4は、本発明の一実施形態に係る光学デバイスを示す模式的断面図である。
図4に示すように、光学デバイス31は、第1の実施形態の膜付き基板1と、光学素子37と、プリズム38と、パッケージ32とを備える。パッケージ32内には、膜付き基板1と、光学素子37と、プリズム38とが収容されている。
【0059】
より具体的には、パッケージ32は、底部33と、底部33上に配置された側壁部34とを有する容器状の部材である。パッケージ32は、例えば、セラミック材料により構成することができる。セラミック材料としては、例えば、アルミナや窒化アルミニウム等を用いることができる。なかでも、放熱性をより一層高める観点からは、窒化アルミニウムであることが好ましい。
【0060】
底部33は、実装面33aを有する。側壁部34は、内面34aを有する。そして、底部33の実装面33a及び側壁部34の内面34aには、金属膜36が設けられている。
【0061】
本実施形態では、実装面33aにおける金属膜36上に、光学素子37及びプリズム38が配置されている。より具体的には、金属膜36上に、膜付き基板1が設けられており、その上に光学素子37が配置されている。この際、膜付き基板1の第2の主面2b側が、金属膜36に接合されている。一方、膜付き基板1の第1の主面2a側が、光学素子37に接合されている。また、プリズム38も、金属膜36に接合されている。プリズム38は、特に限定されないが、例えば、はんだ等により金属膜36に接合することができる。
【0062】
パッケージ32は、金属膜36を必ずしも有していなくてもよい。もっとも、パッケージ32は、本実施形態のように金属膜36を有していることが好ましい。このような構成は、特に、膜付き基板1やプリズム38と、パッケージ32との熱膨張率差が比較的大きい場合に有効である。
【0063】
金属膜36は、Au膜であることが好ましい。この場合、金属膜36が酸化し難いことから、光学デバイス31の製造に際し、膜付き基板1やプリズム38と、パッケージ32との間の接合力をより一層高めることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、底部33における実装面33aの全面及び側壁部34の内面34aの全面に、金属膜36が設けられている。もっとも、金属膜36は、少なくとも膜付き基板1及びプリズム38が配置される部分に設けられていればよい。
【0065】
パッケージ32の側壁部34上には、光学素子37及びプリズム38を封止するように、蓋体35が設けられている。蓋体35は、特に限定されないが、本実施形態ではガラス蓋である。
【0066】
蓋体35及び側壁部34の接合方法は、特に限定されないが、例えば、AuSn、SnAg、SnAgCu等のはんだにより接合することができる。この場合には、接合後においてガスが生じないため、プリズム38の反射膜39に不純物が付着し難く、反射特性の劣化がより生じ難い。
【0067】
本実施形態において、光学素子37は、プリズム38に光を出射する光源である。光源としては、特に限定されないが、例えば、LDやLED等を用いることができる。
図4に示すように、光学素子37から出射した光Aは、プリズム38において反射され、蓋体35を通り、光学デバイス31外に出射される。なお、光学素子37は、プリズム38からの光を受光する受光素子であってもよい。
【0068】
光学デバイス31では、光学素子37のサブマウントとして、膜付き基板1が用いられている。また、膜付き基板1は、ヒートシンクを兼ねている。そのため、光学素子37で発生した熱を、膜付き基板1を通して、パッケージ32側へ効率よく放熱することができる。これについては、以下のように説明することができる。
【0069】
ヒートシンクは、その製造時において焼成工程が設けられることが多い。そのため、デバイスの小型化を目的としてヒートシンクを薄型化すると、その焼成工程において反りが生じることがある。この状態で、ヒートシンクをパッケージに実装すると、隙間が生じ、パッケージへの放熱性が低下するという問題がある。
【0070】
これに対して、本実施形態の光学デバイス31では、ヒートシンクとして膜付き基板1を用いているので、上記のような反りを抑制することができる。そのため、パッケージ32に膜付き基板1を実装しても、隙間が生じ難く、パッケージ32への放熱性が低下し難い。よって、光学デバイス31では、光学素子37で発生した熱を、膜付き基板1を通して、パッケージ32側へ効率よく放熱することが可能となる。また、光源である光学素子37の高さ方向における位置ずれも抑制することができる。
【符号の説明】
【0071】
1,11,21…膜付き基板
2,12…基板
2a…第1の主面
2b…第2の主面
3,13…第1のめっき膜
4,14…応力調整膜
5…第1の密着膜
6…第1の層
7…第2の層
8…第2のめっき膜
9…第2の密着膜
10…ステージ
11a…膜面
11b…第1の端部
11c…第2の端部
11d…非膜面
31…光学デバイス
32…パッケージ
33…底部
33a…実装面
34…側壁部
34a…内面
35…蓋体
36…金属膜
37…光学素子
38…プリズム
39…反射膜