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特許7468184電界マップ作成装置および電界マップ使用装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電界マップ作成装置および電界マップ使用装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/18 20090101AFI20240409BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20240409BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20240409BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240409BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H04W16/18 110
G01C21/34
G08G1/0969
G09B29/10 A
G09B29/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020107962
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022003317
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】梶浦 直哉
(72)【発明者】
【氏名】直井 孝
(72)【発明者】
【氏名】川井 一馬
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-197341(JP,A)
【文献】特開2009-253688(JP,A)
【文献】特開2019-142072(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
G01C 21/34
G08G 1/0969
G09B 29/10
G09B 29/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する移動装置(101)に搭載される電界マップ使用装置であって、
電子装置(41,47)と、
前記電子装置が許容可能な電界強度が周波数毎に設定された閾値情報を取得する閾値取得部(34)と、
移動装置の現在位置および現在時刻を取得する位置取得部(55)と、
周波数毎の電界強度に関して、位置と時間推移とを関連付けた電界マップを取得する電界マップ取得部(34)と、
取得した現在時刻、現在位置および前記電界マップに基づいて現在位置および周辺位置における周波数毎の電界強度を取得し、前記閾値情報を用いて前記電子装置の動作可否を判断する判断部(39)と、を含む電界マップ使用装置。
【請求項2】
地図データを取得する地図データ取得部(34,55)と、
地図データを用いて出発地から目的地までの案内経路を探索し、かつ、前記案内経路上の各地点を通過する予定時刻を決定する経路探索部(40,53)と、
前記経路探索部が探索した経路に従って目的地まで案内する案内部(54)と、をさらに含み、
前記判断部は、前記案内経路上において前記閾値情報を用いて前記電子装置の動作可否を判断し、
前記経路探索部は、前記案内経路上に前記電子装置が動作不可の地点がある場合には、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する請求項1に記載の電界マップ使用装置。
【請求項3】
前記電子装置は、前記移動装置に存在する複数の電子装置であり、
前記閾値情報は、前記電子装置毎に互いに異なり、
前記判断部は、前記電子装置毎に動作可否を判断し、
前記経路探索部は、前記案内経路上に少なくとも1つの前記電子装置が動作不可の地点がある場合には、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する請求項2に記載の電界マップ使用装置。
【請求項4】
前記移動装置は、乗り込んだ乗員を移動し、
複数の前記電子装置は、前記移動装置に搭載される電子装置と、前記移動装置に搭載されずに乗員が携帯する電子装置とを含み、
前記経路探索部は、前記案内経路上に乗員が携帯する前記電子装置が動作不可の地点がある場合は動作不可の地点を迂回せず、前記移動装置に搭載される前記電子装置が動作不可の地点がある場合は動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する請求項3に記載の電界マップ使用装置。
【請求項5】
複数の前記電子装置は、予め優先順位が設定されており、
前記経路探索部は、前記案内経路上に前記優先順位が予め設定される設定順位よりも高い前記電子装置が動作不可の地点がある場合は、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する請求項3に記載の電界マップ使用装置。
【請求項6】
前記電子装置は、前記移動装置の移動を自動で移動制御する電子装置(58)であり、
前記案内部は、前記案内経路上に自動で移動制御する前記電子装置が動作不可の地点がある場合には、動作不可の地点における自動での移動制御を不可とする請求項2~5のいずれか1つに記載の電界マップ使用装置。
【請求項7】
前記経路探索部は、前記移動装置に搭載されている請求項2~6のいずれか1つに記載の電界マップ使用装置。
【請求項8】
前記移動装置は、前記経路探索部と通信する通信部(42)をさらに含み、
前記経路探索部は、前記移動装置とは別体であり、前記移動装置に通信によって探索した案内経路を送信し、
前記案内部は、前記通信部によって受信した案内経路に従って目的地まで案内する請求項2~6のいずれか1つに記載の電界マップ使用装置。
【請求項9】
前記通信部は、使用中の通信周波数に関連する周波数の電界強度が通信許容可能な閾値を越えた場合には、他の通信許容可能な通信周波数に変更する請求項8に記載の電界マップ使用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電界マップを作成する電界マップ作成装置、および電界マップを使用して電子装置の動作可否を判断する電界マップ使用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の車載用レーダの動作制御装置では、レーダが誤作動する電波障害地域内に現在位置がある場合には、レーダの機能を停止するように制御している。これによってレーダが誤作動することを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-276115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した車載用レーダの動作制御装置では、電波障害地域内に侵入するとレーダが停止する。したがってレーダが停止して初めて電波障害地域内にいることをユーザは認識するので、レーダなどの電子装置を使用したいユーザにとっては不便である。また電波障害地域など強電界の地域内では、電子装置が電波ノイズの影響を受けて動作に影響を受けるおそれがある。
【0005】
そこで、開示される目的は前述の問題点を鑑みてなされたものであり、電波による悪影響を避けるために電界マップを作成することができる電界マップ作成装置を提供することを目的とする。また、電界マップを使用して電子装置の動作可否を判断することができる電界マップ使用装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は前述の目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。
【0007】
ここに開示された電界マップ使用装置は、移動する移動装置(101)に搭載される電界マップ使用装置であって、電子装置(41,47)と、電子装置が許容可能な電界強度が周波数毎に設定された閾値情報を取得する閾値取得部(34)と、移動装置の現在位置および現在時刻を取得する位置取得部(55)と、周波数毎の電界強度に関して、位置と時間推移とを関連付けた電界マップを取得する電界マップ取得部(34)と、取得した現在時刻、現在位置および電界マップに基づいて現在位置および周辺位置における周波数毎の電界強度を取得し、閾値情報を用いて電子装置の動作可否を判断する判断部(39)と、を含む電界マップ使用装置である。
【0008】
このような電界マップ使用装置に従えば、周波数毎の電界強度に関して、位置と時間推移とを関連付けた電界マップが電界マップ取得部によって取得される。これによって現在位置および周辺位置における周波数毎の電界強度がわかるので、閾値情報を用いて電子装置の動作可否が判断部によって判断される。判断部は現在位置だけでなく周辺位置でも判断されるので、移動装置の移動先での動作可否も判断することができる。したがって動作不可になる前に動作可否がわかり、また動作不可の地域をさけて移動することができるので、電波による悪影響を避けることができ、利便性を向上することができる。
【0011】
なお、前述の各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】経路案内システム100を示す図
図2】データセンタ102を示すブロック図
図3】車載装置104を示すブロック図
図4】検出装置103の検出処理を示すフローチャート
図5】データセンタ102の作成処理を示すフローチャート
図6】車載装置104の送信処理を示すフローチャート
図7】データセンタ102の判断処理を示すフローチャート
図8】表示部52の表示例を示す図
図9】車載装置104の送信処理を示すフローチャート
図10】データセンタ102の判断処理を示すフローチャート
図11】第2実施形態のデータセンタ102の判断処理を示すフローチャート
図12】第3実施形態のデータセンタ102の判断処理を示すフローチャート
図13】表示部52の表示例を示す図
図14】データセンタ102の判断処理を示すフローチャート
図15】第4実施形態のデータセンタ102の送信処理を示すフローチャート
図16】車載装置104の判断処理を示すフローチャート
図17】第5実施形態の車載装置104の判断処理を示すフローチャート
図18】第6実施形態の検出装置103の検出処理を示すフローチャート
図19】車載装置104の検出処理を示すフローチャート
図20】データセンタ102の作成処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための形態を、複数の形態を用いて説明する。各実施形態で先行する実施形態で説明している事項に対応している部分には同一の参照符を付すか、または先行の参照符号に一文字追加し、重複する説明を略する場合がある。また各実施形態にて構成の一部を説明している場合、構成の他の部分は、先行して説明している実施形態と同様とする。各実施形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施形態同士を部分的に組合せることも可能である。
【0014】
(第1実施形態)
本開示の第1実施形態に関して、図1図10を用いて説明する。本実施形態の経路案内システム100は、車両101を現在地または出発地から目的地までの経路を案内するシステムである。本実施形態の経路案内システム100は、図1に示すように、データセンタ102、複数の検出装置103および複数の車載装置104を含んで構成される。データセンタ102、検出装置103および車載装置104は、インターネット105などの通信網を介して相互に通信可能である。
【0015】
検出装置103は、信号機および標識など道路に設置される。また検出装置103は、ユーザが携帯する携帯端末に搭載されている。検出装置103は、図1に示すように、通信部31および検出部32を含んで構成される。検出部32は、現在位置における周波数毎の電界強度を検出する。周波数毎の電界強度を、以下、「電界強度群」ということがある。検出部32は、定期的に電界強度群を検出する。検出部32は、検出した電界強度群を通信部31に与える。検出部32は、検出すべき周波数帯の電波を検出できるアンテナと、このアンテナが受信した電波の強度を周波数解析して電界強度群を得る解析部を備える。
【0016】
通信部31は、データセンタ102および車載装置104と無線通信して、相互に信号を送受信する。通信部31は、検出部32から与えられた電界強度群をデータセンタ102に送信する。また通信部31は、現在位置と検出時間もあわせてデータセンタ102に送信する。通信部31は、第1通信部として機能する。
【0017】
次に、データセンタ102に関して説明する。データセンタ102は、サーバともいわれ、車両外に設置される。データセンタ102は、図2に示すように、通信装置33、制御装置34、電界マップデータベース35、地図データベース36および閾値情報データベース37を含んで構成される。
【0018】
通信装置33は、検出装置103、車載装置104および他の装置と無線通信して、相互に信号を送受信する。通信装置33は、第2通信部として機能する。電界マップデータベース35は、電界マップが記憶されている。電界マップは、周波数毎の電界強度に関して、位置と時間推移とを関連付けたマップである。したがって電界マップとは、地点毎の電界強度群を時間推移で示したマップである。たとえばある地点のある時刻における電界強度群が記憶されている。
【0019】
地図データベース36は、地図データが記憶されている。地図データは、たとえば道路を示すリンクデータとノードデータが含まれる。このリンクとは、地図上の各道路を交差、分岐および合流する点等の複数のノードにて分割したときのノード間を結ぶものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定するリンクIDと呼ばれる固有番号、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折および左折専用車線の有無とその専用車線の数、及び制限速度等の各データから構成される。
【0020】
ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種類等の各データから構成される。
【0021】
閾値情報データベース37は、電子装置の閾値情報を記憶している。閾値情報は、電子装置が許容可能な電界強度が周波数毎に設定された情報である。閾値情報は、電子装置毎に異なる。電子装置とは、装置全体を示すこともあり、装置を構成する構成要素を示すこともある。したがって電子装置は、たとえば車載部品、携帯端末、検出装置103、通信装置33であり、これらの装置の各部を制御するECUでもある。閾値情報は、ECEおよびR10などの規格、または電子装置の製造業者が設定する。たとえば第1電界強度で第1周波数の場合は、第1電子装置は動作可であるが、第2電子装置は動作に影響がある場合がある。また第1電界強度で第2周波数の場合は、第2電子装置は動作可であるが、第1電子装置は動作に影響がある場合がある。このように各電子装置によって、閾値情報が異なる、すなわち影響のある周波数と電界強度が異なるので、閾値情報と電界強度群とが必要となる。
【0022】
制御装置34は、通信装置33など他の部と接続されている。制御装置34は、CPU、ROM、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータである。ROMには、マイクロコンピュータを制御装置34として機能させるためのプログラムが格納されている。制御装置34は、CPUがROMに格納されている制御プログラムを実行することで、各部を制御する。
【0023】
制御装置34は、機能ブロックとして作成部38、判断部39および迂回経路探索部40を備える。作成部38は、検出装置103から送信された情報に基づいて、周波数毎の電界強度に関して、位置と時間推移とを関連付けた電界マップを作成する。時間推移における時間は、秒、あるいは、数分ではなく、それよりは長い時間である。時間推移における時間は、たとえば、30分、あるいは、1時間以上を単位とする。作成部38は、作成した電界マップを電界マップデータベース35に記憶させる。
【0024】
判断部39は、現在時刻、電子装置の現在位置および電界マップに基づいて現在位置および周辺位置における周波数毎の電界強度を電界マップデータベース35から取得し、閾値情報データベース37に記憶されている閾値情報を用いて電子装置の動作可否を判断する。判断部39は、たとえば通信した車載装置104において、現在位置および周辺位置で動作可否を判断する。たとえば車載装置104の周辺地域の一部で、許容できる電界強度を越える場合には、その周辺地域の座標データなどを車載装置104に送信することで、ドライバはその周辺地域を迂回することができる。また判断部39は、通信によって車載装置104から案内経路を取得した場合には、案内経路上において閾値情報を用いて電子装置の動作可否を判断する。
【0025】
迂回経路探索部40は、判断部39が車両101の案内経路上において電子装置が動作を許容できない地点がある場合には、その地点を迂回する迂回経路を探索する。そして迂回経路探索部40が探索した迂回経路は、通信装置33を介して車載装置104に送信される。これによってドライバは、動作不可の地点を迂回する案内経路によって迂回することができる。
【0026】
次に、車載装置104に関して図3を用いて説明する。車載装置104は、乗員を運ぶ移動装置である車両101に搭載される。車載装置104は、車両101の施解錠および走行に関する機能として、照合ECU(Electronic Control Unit)41、通信モジュール42、車両状態センサ43、始動スイッチ44、施解錠スイッチ45、ボデーECU46およびパワーユニットECU47を含んでいる。
【0027】
通信モジュール42は、データセンタ102、検出装置103および携帯端末と通信する通信部として機能する。通信モジュール42は、インターネット105などのネットワークに接続することで、クラウドシステムを経由した通信も可能である。通信モジュール42としては、例えばDCM(Data Communication Module)を用いられる。通信モジュール42は、メモリを含んでおり、例えば車両側IDをこのメモリに予め記憶している構成とすればよい。そして、通信モジュール42は、通信接続する場合に、例えばメモリに記憶している車両側IDを通信接続先に送信する構成とすればよい。
【0028】
通信モジュール42は、複数、少なくとも3つの車載側アンテナ48に接続されている。本実施形態では、通信モジュール42は、3つの車載側アンテナ48に接続されている。3つの車載側アンテナ48は、車両101の異なる位置、たとえば左側部、前方部、右側部にそれぞれ搭載されている。
【0029】
車載側アンテナ48は、入力された信号をLF帯の電波に変換して空間へ放射する。また車載側アンテナ48は、RF帯の電波を受信し、電気信号に変換する。変換した電気信号は、通信モジュール42に出力される。
【0030】
車載側アンテナ48は、例えば送受信アンテナとするが、送信アンテナと受信アンテナとを別に有する構成であってもよい。また、近距離無線通信としては、利便性の点から、多機能型携帯電話機で標準的に用いられているBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格に従った近距離無線通信を採用することが好ましい。
【0031】
車両状態センサ43は、自車の走行状態、操作状態等の車両101の挙動に関する情報を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ43としては、例えば、車速を検出する車速センサ、シフトポジションを検出するシフトポジションセンサ等がある。
【0032】
始動スイッチ44は、自車の走行駆動源の始動を要求するためのスイッチである。始動スイッチ44は、例えば運転席前方に設けられる。始動スイッチ44としては、例えばメカニカルなボタンスイッチを用いることができる。
【0033】
施解錠スイッチ45は、運転席のドア、助手席のドア、トランクルームドアといった自車の車両ドアの施解錠を要求するためのスイッチである。施解錠スイッチ45は、運転席および助手席のドアについては、例えばアウタードアハンドルに設けられる。施解錠スイッチ45は、トランクルームドアについては、例えばリアバンパに設けられる。施解錠スイッチ45としては、例えばタッチスイッチを用いたり、メカニカルなボタンスイッチを用いたりすることができる。
【0034】
ボデーECU46は、自車の各車両ドアの施解錠を制御するための駆動信号を各車両ドアに設けられたドアロックモータに出力することで、各車両ドアの施解錠を行う。ボデーECU46は、施錠信号をドアロックモータに出力することでドアロックの施錠を行わせる。ボデーECU46は、解錠信号をドアロックモータに出力することでドアロックの解錠を行わせる。ボデーECU46には、各車両ドアについての施解錠スイッチ45が接続されている。ボデーECU46は、施解錠スイッチ45の信号を取得し、施解錠スイッチ45の操作を検出する。
【0035】
パワーユニットECU47は、自車の内燃機関又はモータジェネレータといった走行駆動源を制御する電子制御装置である。パワーユニットECU47は、照合ECU41から走行駆動源の始動許可信号を取得すると、自車の走行駆動源を始動させる。またパワーユニットECU47は、運転席に着座している乗員の運転操作を支援する処理を実行するECUとしても機能する。
【0036】
照合ECU41は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで自車の利用を許可する認証に関する各種の処理を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスク等によって実現される。照合ECU41は、CPUが各種のプログラムを実行することによって、スマートエントリーシステム等を実現するための車両側の処理を実行する。
【0037】
また車載装置104は、経路探索機能として、位置検出部49、地図データ記憶部50、操作スイッチ群51、表示部52および統合ECU55を含んで構成される。位置検出部49は、車両101の現在位置および現在時刻を検出し、統合ECU55に与える。位置検出部49は、いずれも周知の地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサ、及び衛星からの電波に基づいて車両101の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機を有している。これらのセンサ等は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。
【0038】
地図データ記憶部50は、前述のデータセンタ102における地図データベース36に記憶されている情報と同様の地図データが記憶されている。操作スイッチ群51は、例えば表示部52と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられる。操作スイッチ群51は、スイッチ操作により統合ECU55へ各種機能の実行指示を行う。たとえば操作スイッチ群51のスイッチ操作によって、地図縮尺変更、メニュー表示選択、目的地設定、経路探索、経路案内開始、現在位置修正、表示画面変更を行うことができる。
【0039】
表示部52は、車両101が走行するのを補助するために地図や目的地選択画面等、案内経路を表示するものである。表示部52は、たとえばフルカラー表示が可能なものであり、液晶、有機EL等を用いて構成することができる。また表示部52は、通信モジュール42が受信した情報を表示する。たとえば表示部52は、データセンタ102から迂回経路に関する情報を受信したときは、迂回経路を表示する。
【0040】
統合ECU55は、基本的な構成は照合ECU41と同様であって、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで経路探索に関する各種の処理を実行する。統合ECU55は、機能ブロックとして経路探索部53および案内部54を備える。
【0041】
経路探索部53は、操作スイッチ群51によって目的地が設定されると、地図データを用いて出発地から目的地までの案内経路を探索する。案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また経路探索部53は、案内経路を探索するときにリアルタイムの渋滞情報および過去の渋滞情報を用いて、渋滞を回避する案内経路も探索する。また経路探索部53は、有料道路を使用する案内経路も探索する。したがって経路探索部53は、複数の案内経路を探索する。さらに経路探索部は、前記案内経路上の各地点を通過する予定時刻を決定する。したがって経路案内部は、目的地に到着する到着予定時刻、および案内経路上の各地点を通過する通過予定時刻を決定する。
【0042】
経路探索部53は、探索した案内経路を表示部52にて表示するように制御する。これによって探索された案内経路は、位置検出部49により検出された現在位置を示す現在位置マークと共に、地図データ記憶部50の地図データに基づき表示部52に表示される表示地図上に重畳表示される。表示地図には、現在位置マーク、案内経路のほかに、現在時刻、渋滞データなど他のデータも付加表示することもできる。
【0043】
案内部54は、経路探索部53が探索した経路に従って目的地まで案内する。案内部54は、表示部52によって案内経路を表示するとともに、交差点などの分岐点にて音声など経路を案内する。案内部54は、通信モジュール42が迂回経路を受信したときは、迂回経路もあわせて表示する。そしてユーザが現案内経路か迂回経路かを選択操作したときは、選択された経路を最新の案内経路として表示する。また案内部54は、走行とともに変化する現在位置に応じて現在位置などの情報を更新する。
【0044】
さらに車載装置104は、電界マップに関連する機能として、電波情報検出センサ56および閾値情報記憶部57を含んで構成される。電波情報検出センサ56は、検出装置103の検出部32と同様の構成であって、現在位置における電界強度群を検出する。電波情報検出センサ56は、検出した電界強度群を統合ECU55に与える。閾値情報記憶部57は、データセンタ102の閾値情報データベース37と同様の構成であって、車両101に搭載される電子装置の閾値情報を記憶している。車両101に搭載される電子装置は、たとえば照合ECU41などのECU、車両状態センサ43などのセンサ、表示部52などの出力装置、車室内にあるユーザの携帯端末などである。
【0045】
さらに車載装置104は、自動運転に関する機能として、自動運転ECU58を含んで構成される。したがって車載装置104のECUには、ドライバの運転操作を支援するECUであって、車両101の自動走行を制御する自動運転ECU58も含まれる。自動運転ECU58は、ドライバの運転操作を代行可能な自動運転機能を備えている。一例として、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、自動運転ECU58は、レベル3以上の自動走行制御を可能にする。
【0046】
次に、電界マップに関連する処理に関して、フローチャートを用いて説明する。図4は、検出装置103におけるフローチャートである。図4に示す処理は、検出装置103の電源投入状態において短時間に繰り返し実行される。
【0047】
ステップS1では、周波数毎における現在位置xおよび現在時刻tにおける電界強度Eを検出し、ステップS2に移る。電界強度を検出する複数の周波数は、予め設定されている。ステップS2では、検出した電界強度群をデータセンタ102へ送信して、本フローを終了する。このように検出装置103は、検出した電界強度群をデータセンタ102に送信する。
【0048】
次に、データセンタ102における処理に関して説明する。図5は、データセンタ102におけるフローチャートである。図5に示す処理は、データセンタ102の電源投入状態において制御装置34によって短時間に繰り返し実行される。
【0049】
ステップS11では、電界強度群の検出データを受信したか否かを判断し、受信した場合はステップS12に移り、受信していない場合は本フローを終了する。ステップS12では、受信した電界強度群を電界マップ情報と蓄積して、本フローを終了する。ステップS12では、電界マップデータベース35に受信した情報を記録することで、電界マップを作成する。このようにデータセンタ102は、電界マップを作成する。
【0050】
次に、車両101における処理に関して説明する。図6は、車載装置104におけるフローチャートである。図6に示す処理は、目的地が設定されると統合ECU55によって実行される。ステップS21では、現在地から目的地までの最適なルートを選択して、案内経路を作成、ステップS22に移る。ステップS22では、作成した案内経路をルート情報としてデータセンタ102に送信し、ステップS23に移る。
【0051】
ステップS23では、ルート情報に対するデータセンタ102からの応答の有無を判断し、応答を受信したときはステップS24に移り、応答を受信するまでステップS23の処理を繰り返す。ステップS24では、受信した情報の中に迂回経路があるか否かを判断し、迂回経路がある場合には、ステップS26に移り、迂回経路がない場合にはステップS25に移る。
【0052】
ステップS25では、迂回経路がないのでステップS21での案内経路を出力するように表示部52を制御し、本フローを終了する。ステップS26では、迂回経路を受信したので、迂回経路を出力するように表示部52を制御し、本フローを終了する。このようにデータセンタ102によって、迂回経路が作成された場合には、迂回経路が出力されるように制御される。
【0053】
次に、データセンタ102における処理に関して説明する。図7は、データセンタ102におけるフローチャートである。図7に示す処理は、データセンタ102の電源投入状態において制御装置34によって短時間に繰り返し実行される。
【0054】
ステップS31では、ルート情報を受信したか否かを判断し、ルート情報を受信した場合には、ステップS32に移り、ルート情報を受信していない場合には、本フローを終了する。ステップS32では、ルート情報に含まれる案内経路と電界マップを比較し、ステップS33に移る。具体的には、ステップS32では、電界マップから取得した案内経路上の電界強度群と、車両101にある電子装置の閾値情報とを比較し、ステップS33に移る。案内経路には、各地点を通過する予定時刻があり、電界マップには、電界強度群の時間推移に関する情報がある。したがって電界マップから取得する電界強度群は、時間を考慮して予定時刻に最も近い電界強度群である。ステップS32で比較される電子装置は、車両101に搭載される電子装置だけでなく、車両101内にある乗員の携帯端末などの電子装置も含む。
【0055】
ステップS33では、全ての電子装置が正常動作可能か否かを判断し、動作可能な場合はステップS36に移り、正常動作が可能でない電子装置がある場合は、ステップS34に移る。ステップS34では、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索し、ステップS35に移る。
【0056】
ステップS35では、探索した迂回経路をルート情報に返信する形で車両101に送信し、本フローを終了する。ステップS36では、現案内経路で走行可能である旨を送信し、本フローを終了する。
【0057】
本フローでは、図8に示すように強電界エリアでは少なくとも1つの電子装置で動作可能でない場合には、迂回経路が作成される。これによって迂回経路によって、強電界エリアを回避することができる。
【0058】
次に、車両101における処理に関して説明する。図9は、車載装置104におけるフローチャートである。図9に示す処理は、統合ECU55の電源投入情報において定期的に実行される。ステップS41では、現在位置を含む現在位置情報としてデータセンタ102に送信し、ステップS42に移る。現在位置情報には、電波情報検出センサ56が検出した現在位置における電界強度群に関する情報を含む。さらに現在位置情報には、閾値情報記憶部57に記憶される車両101の電子装置の閾値情報も含む。
【0059】
ステップS42では、現在位置情報に対するデータセンタ102からの応答の有無を判断し、応答を受信したときはステップS43に移り、応答を受信するまでステップS42の処理を繰り返す。ステップS43では、受信した電界マップを出力し、本フローを終了する。
【0060】
次に、データセンタ102における処理に関して説明する。図10は、データセンタ102におけるフローチャートである。図10に示す処理は、データセンタ102の電源投入状態において制御装置34によって短時間に繰り返し実行される。
【0061】
ステップS51では、位置情報を受信したか否かを判断し、位置情報を受信した場合には、ステップS52に移り、位置情報を受信していない場合には、本フローを終了する。ステップS52では、位置情報と電界マップを比較し、ステップS53に移る。具体的には、ステップS52では、位置情報および電界マップから取得した車両101の現在位置および周辺位置の電界強度群と、車両101に搭載される電子装置の閾値情報とを比較し、ステップS53に移る。
【0062】
ステップS53では、全ての電子装置が現在位置および周辺位置で正常動作可能か否かを判断し、動作可能な場合はステップS56に移り、正常動作が可能でない電子装置がある場合は、ステップS54に移る。ステップS54では、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索し、ステップS55に移る。
【0063】
ステップS55では、探索した迂回経路を現在位置情報に返信する形で車両101に送信し、本フローを終了する。ステップS56では、現在位置および周辺位置で走行可能である旨を送信し、本フローを終了する。迂回経路は、現在位置および周辺位置において、動作不可の地点を示す電界マップ情報を含む。したがってドライバは、現在位置および周辺位置において、電子装置が正常動作しない可能性がある地域を確認することができる。
【0064】
以上説明したように本実施形態のデータセンタ102および検出装置103は、電界マップを作成する電界マップ作成装置として機能する。データセンタ102における制御装置34の作成部38は、複数の検出装置103によって検出された周波数毎の電界強度に基づいて、位置と時間推移とを関連付けた電界マップを作成する。したがってどの地域で電界強度が強いかなどを電界マップによって知ることができる。これによって現在位置や移動先での電波強度がわかるので、電波による悪影響を避けることができる。
【0065】
また本実施形態のデータセンタ102および車載装置104は、電界マップを使用する電界マップ使用装置として機能する。電界マップは、電界マップデータベース35に記憶されており、制御装置34は電界マップを取得する電界マップ取得部として機能する。これによって車載装置104の現在位置および周辺位置における周波数毎の電界強度がわかるので、閾値情報を用いて電子装置の動作可否が判断部39によって判断される。判断部39は現在位置だけでなく周辺位置でも判断されるので、現在時刻も考慮されるので車両101の移動先での動作可否も判断することができる。したがって動作不可になる前に動作可否がわかり、また動作不可の地域をさけて移動することができるので、電波による悪影響を避けることができ、利便性を向上することができる。
【0066】
また本実施形態では、データセンタ102の制御装置34は、地図データベース36から地図データを取得する地図データ取得部として機能する。そして判断部39は、案内経路上において閾値情報を用いて電子装置の動作可否を判断する。さらに迂回経路探索部40は、案内経路上に電子装置が動作不可の地点がある場合には、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する。これによって動作不可の地点を迂回する経路を、迂回経路によって確認することができる。
【0067】
さらに本実施形態では、複数の電子装置において、電子装置毎の動作可否を判断し、案内経路上に少なくとも1つの電子装置が動作不可の地点がある場合には、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する。複数の電子装置の動作可否を考慮することができる。
【0068】
また本実施形態では、車載装置104は、経路探索部53を含んで構成される。経路探索部53は、車載装置104に搭載されているので、経路探索における通信負荷を考慮することなく、経路探索を実行することができる。
【0069】
さらに本実施形態では、電界マップには電界強度群の時間推移に関する情報も含むので、電界強度が小さくなる時間での移動を案内することができる。また強電界エリアが電界マップからわかるので、強電界エリアでは通信モジュール42の通信用電波の強度を上げるように制御することができる。これによって強電界エリアにおける通信感度を向上することができる。また逆に、弱電界エリアが電界マップからわかるので、弱電界エリアでは通信モジュール42の通信用電波の強度を下げるように制御することができる。これによって弱電界エリアによける通信感度を維持しつつ、省エネを実現することができる。
【0070】
さらに本実施形態では、弱電界エリアが電界マップからわかるので、動画信号およびデータセンタ102との信号が良好な案内経路を探索することができる。したがって単に強電界エリアを避けるだけでなく、通信が良好な経路を選択することができ、利便性を向上することができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態に関して、図11を用いて説明する。本実施形態では、動作可否を判断する電子装置は、車載装置104のECUと、その他の電子装置とに分けて判断する点に特徴を有する。
【0072】
図11は、データセンタ102におけるフローチャートである。図11に示す処理は、データセンタ102の電源投入状態において制御装置34によって短時間に繰り返し実行される。
【0073】
ステップS61では、ルート情報を受信したか否かを判断し、ルート情報を受信した場合には、ステップS62に移り、ルート情報を受信していない場合には、本フローを終了する。ステップS62では、ルート情報に含まれる案内経路と電界マップを比較し、ステップS63に移る。具体的には、ステップS62では、電界マップから取得した案内経路上の電界強度群と、車両101にある電子装置の閾値情報とを比較し、ステップS63に移る。
【0074】
ステップS63では、車載のECUが正常動作可能か否かを判断し、動作可能な場合はステップS66に移り、正常動作が可能でない電子装置がある場合は、ステップS64に移る。ステップS64では、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索し、ステップS65に移る。
【0075】
ステップS65では、探索した迂回経路をルート情報に返信する形で車両101に送信し、ステップS67に移る。ステップS66では、現案内経路で走行可能である旨を送信し、ステップS67に移る。
【0076】
ステップS67では、車載のECU以外の電子装置が正常動作可能か否かを判断し、動作可能な場合は、本フローを終了し、正常動作が可能でない電子装置がある場合は、ステップS68に移る。ステップS68では、動作不可の電子装置の情報を送信し、本フローを終了する。
【0077】
このように本実施形態では、複数の電子装置は、車両101に搭載されるECUと、車両101に搭載されずに乗員が携帯する電子装置とのグループに分けている。そして案内経路上に乗員が携帯する電子装置が動作不可の地点がある場合は動作不可の地点を迂回せず、車載のECUが動作不可の地点がある場合は動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する。これによって車両101の走行の妨げになるおそれがある場合は迂回経路によって迂回することができる。また車載のECUは動作可能であるが、携帯端末などの他の電子装置だけが動作不可の場合には、その旨が通知される。したがって乗員は、動作不可になることを予め分かるので、その地点を適宜回避するなど、判断の目安にすることができる。
【0078】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態に関して、図12図14を用いて説明する。本実施形態では、車載装置104のECUに優先順位を設けて、優先順位に応じ迂回経路の制御が異なる点に特徴を有する。
【0079】
また電子装置には、予め優先順位が設定されている。電子装置には車載のECUとして、走行に必須のパワーユニットECU47および自動運転に必須の自動運転ECU58と、走行中は必須でないECU、たとえば照合ECU41とがある。パワーユニットECU47および自動運転ECU58は、照合ECU41よりも優先順位が高く設定される。
【0080】
図12は、データセンタ102におけるフローチャートである。図12に示す処理は、データセンタ102の電源投入状態において制御装置34によって短時間に繰り返し実行される。
【0081】
ステップS71では、ルート情報を受信したか否かを判断し、ルート情報を受信した場合には、ステップS72に移り、ルート情報を受信していない場合には、本フローを終了する。ステップS72では、ルート情報に含まれる案内経路と電界マップを比較し、ステップS73に移る。具体的には、ステップS72では、電界マップから取得した案内経路上の電界強度群と、車両101にある電子装置の閾値情報とを比較し、ステップS73に移る。
【0082】
ステップS73では、車載のECUが正常動作可能か否かを判断し、ステップS74に移る。したがって車載のECU毎に正常動作可能か否かが判断される。ステップS74では、ステップS73での判断の結果、走行不可領域であるか否かを判断し、走行不可領域である場合には、ステップS75に移り、走行不可領域でない場合には、ステップS77に移る。走行不可領域では、優先順位が予め設定される設定順位よりも高いECUの動作不可の地点が案内経路上にある場合である。設定順位は、そのECUが動作不可の場合に、走行不可か否かに基づいて設定されている。たとえばパワーユニットECU47および自動運転ECU58が動作不可の場合には、走行不可と判断されるが、照合ECU41が動作不可の場合には、走行不可とは判断されない。
【0083】
ステップS75では、走行不可領域であるので、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索し、ステップS76に移る。ステップS76では、探索した迂回経路をルート情報に返信する形で車両101に送信し、本フローを終了する。
【0084】
ステップS77では、ステップS73での判断の結果、中間領域であるか否かを判断し、中間領域である場合には、ステップS79に移り、中間領域でない場合には、ステップS78に移る。中間領域では、優先順位が予め設定される設定順位よりも低いECUの動作不可の地点が案内経路上にある場合である。たとえばパワーユニットECU47が動作可であるが、照合ECU41が動作不可の場合である。この場合は、走行はできるが、走行以外の機能に問題が発生するおそれがある。
【0085】
ステップS79では、中間領域であるので、車載のECUを選定し、ステップS710に移る。ステップS79では、優先順位が設定順位よりも高い車載のECUを選定する。ステップS710では、選定したECUが動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索し、ステップS711に移る。この場合、選定したECU以外のECUが動作不可の地点は迂回しない経路も含まれる。ステップS711では、探索した迂回経路をルート情報に返信する形で車両101に送信し、本フローを終了する。ステップS78では、走行不可領域でも中間領域でもないので、現案内経路で走行可能である旨を送信し、本フローを終了する。
【0086】
本フローでは、図13に示すように強電界エリアが走行不可領域であり、中電界エリアが中間領域である。したがって走行不可領域は迂回するが、中電界エリアは迂回しない経路が早い場合には、中電界エリアは迂回しない迂回経路が設定されている。中電界エリアでは、走行に支障が無い電子装置については、動作不可のおそれがあるが、走行には問題がないので、中電界エリアを通過する迂回経路が設定される。これによって強電界エリアは回避しつつ、走行可能な経路で最短な経路を設定することができる。
【0087】
次に、データセンタ102における処理に関して説明する。図14は、データセンタ102におけるフローチャートである。図14に示す処理は、データセンタ102の電源投入状態において制御装置34によって短時間に繰り返し実行される。図14に示す処理は、前述の第1実施形態における車両101の図9の処理に関連する処理である。すなわち車両101が現在位置情報を定期的に送信する処理に関連する処理である。
【0088】
ステップS81では、位置情報を受信したか否かを判断し、位置情報を受信した場合には、ステップS82に移り、位置情報を受信していない場合には、本フローを終了する。ステップS82では、位置情報と電界マップを比較し、ステップS83に移る。具体的には、ステップS82では、位置情報および電界マップから取得した車両101の現在位置および周辺位置の電界強度群と、車両101に搭載される自動運転ECU58の閾値情報とを比較し、ステップS83に移る。
【0089】
ステップS83では、自動運転ECU58が現在位置および周辺位置で正常動作可能か否かを判断し、動作可能な場合はステップS86に移り、正常動作が可能でない場合は、ステップS84に移る。ステップS84では、自動運転の停止指示を送信するように制御し、本フローを終了する。
【0090】
ステップS85では、現在位置および周辺位置で自動走行可能である旨を送信し、本フローを終了する。したがって現在位置および周辺位置において、自動運転ECU58に支障がある場合には、自動的に自動運転が停止される。これによって自動運転ECU58が正常動作しない可能性がある地域を確認することができる。
【0091】
このように本実施形態では、複数の電子装置は、予め優先順位が設定されており、案内経路上に優先順位が予め設定される設定順位よりも高い電子装置が動作不可の地点がある場合は、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索する。これによってより優先順位が高い、すなわち走行に必要な電子装置の動作を確保しつつ、最適な経路を探索することができる。
【0092】
さらに本実施形態では、優先順位が設定順位よりも高いECUとして、車両101を自動で移動制御する電子装置である自動運転ECU58も含む。そして案内経路上に自動で移動制御する自動運転ECU58が動作不可の地点がある場合には、動作不可の地点のおける自動での移動制御を不可とする。これによって運転者が誤って強電界エリアに入ったとしても、自動運転を制御する電子装置の電波障害による不具合の発生を抑制することができる。
【0093】
本実施形態では、ステップS83で自動運転ECU58が正常動作可能か判断しているが、判断するのは自動運転ECU58に限るものではない。たとえば判断する電子装置として、自動運転ECU58の動作に関連するカメラ、ミリ波、LADAR、LiDAR、ソナーなどであってもよい。この場合、カメラとLiDARのだけでも正常動作可能であり、他の機器が正常動作不可の場合はその正常動作不可の電子装置を一時的に動作停止させて自動運転走行を継続してもよい。
【0094】
(第4実施形態)
次に、本開示の第4実施形態に関して、図15および図16を用いて説明する。本実施形態では、車載装置104の経路探索部53は、前述の第1実施形態におけるデータセンタ102の迂回経路探索部40の機能も有するに特徴を有する。
【0095】
まずデータセンタ102における処理に関して説明する。図15は、データセンタ102におけるフローチャートである。図15に示す処理は、データセンタ102の電源投入状態において制御装置34によって短時間に繰り返し実行される。
【0096】
ステップS91では、ルート情報を受信したか否かを判断し、ルート情報を受信した場合には、ステップS92に移り、ルート情報を受信していない場合には、本フローを終了する。ステップS92では、ルート情報に関連する電界マップをルート情報に返信する形で車両101に送信し、本フローを終了する。
【0097】
次に、車両101における処理に関して説明する。図16は、車載装置104におけるフローチャートである。図16に示す処理は、案内経路が作成されると、統合ECU55によって実行される。
【0098】
ステップS101では、作成した案内経路に関するルート情報を送信し、ステップS102に移る。ステップS102では、ステップS101の送信に対する返信として、電界マップデータを受信したか否かを判断し、電界マップデータを受信した場合には、ステップS103に移り、電界マップデータを受信するまでステップS102の処理を繰り返す。
【0099】
ステップS103では、案内経路と電界マップを比較し、車載のECUが正常動作可能か否かを判断し、ステップS104に移る。したがって車載のECU毎に正常動作可能か否かが判断される。ステップS104では、ステップS103での判断の結果、走行不可領域であるか否かを判断し、走行不可領域である場合には、ステップS105に移り、走行不可領域でない場合には、ステップS107に移る。
【0100】
ステップS105では、走行不可領域であるので、動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索し、ステップS106に移る。ステップS106では、探索した迂回経路を案内部54に出力し、本フローを終了する。
【0101】
ステップS107では、ステップS103での判断の結果、中間領域であるか否かを判断し、中間領域である場合には、ステップS108に移り、中間領域でない場合には、ステップS1011に移る。
【0102】
ステップS108では、中間領域であるので、車載のECUを選定し、ステップS109に移る。ステップS109では、選定したECUが動作不可の地点を迂回する迂回経路を探索し、ステップS1010に移る。ステップS1010では、探索した迂回経路を案内部54に出力し、本フローを終了する。ステップS1011では、走行不可領域でも中間領域でもないので、現案内経路で走行可能である旨を案内部54に出力し、本フローを終了する。
【0103】
このように本実施形態では、車載装置104の経路探索部53が迂回経路を探索する。したがって迂回経路探索部40の機能がデータセンタ102では不要になり、車載装置104の経路探索部53に統合ECU55することができる。したがって車載装置104の経路探索部53を有効活用することができる。
【0104】
(第5実施形態)
次に、本開示の第5実施形態に関して、図17を用いて説明する。本実施形態では、通信部31または第1通信部として機能する通信モジュール42が動作不可の場合の制御に特徴を有する。通信モジュール42は、複数の周波数で通信可能である。通信モジュール42は、通信周波数について、たとえば5Gといわれる第5世代移動通信システムと、4Gといわれる第4世代移動通信規格とを切替可能である。
【0105】
次に、本実施形態の車両101における処理に関して説明する。図17は、車載装置104におけるフローチャートである。図17に示す処理は、統合ECU55の電源投入情報において定期的に実行される。ステップS1では、現在位置を含む現在位置情報としてデータセンタ102に送信し、ステップS2に移る。現在位置情報には、電波情報検出センサ56が検出した現在位置における電界強度群に関する情報を含む。さらに現在位置情報には、閾値情報記憶部57に記憶される通信モジュール42の閾値情報も含む。
【0106】
ステップS2では、現在位置情報に対するデータセンタ102からの電界マップデータの受信の有無を判断し、電界マップデータを受信したときはステップS3に移り、応答を受信するまでステップS2の処理を繰り返す。ステップS3では、受信した電界マップを用いて通信モジュール42の動作可否を判断し、ステップS4に移る。
【0107】
ステップS4では、現在の周波数で通信可能か否かを判断し、通信可能な場合は本フローを終了し、通信可能でない場合は、ステップS5に移る。ステップS5では、通信可能な別な周波数に変更して、本フローを終了する。
【0108】
このように通信モジュール42は、使用中の通信周波数に関連する周波数の電界強度が通信許容可能な閾値を越えた場合には、他の通信許容可能な通信周波数に変更する。たとえば通信モジュール42は、強電界エリアの影響によって、4Gでは通信不可であるが5Gで通信可能である場合は、5Gで通信するように制御する。これによって通信モジュール42の電界強度による影響を抑制することができる。
【0109】
(第6実施形態)
次に、本開示の第6実施形態に関して、図18図20を用いて説明する。本実施形態では、妨害電波を検出した場合、および電磁ノイズによる不具合が発生した場合の制御に関して特徴を有する。
【0110】
検出装置103の検出部32および車載装置104の電波情報検出センサ56は、妨害電波を検出することができる。また車両101内に位置するユーザの携帯端末も、妨害電波を検出することができる。この場合、妨害電波が発生していることを知らせることを好ましい。
【0111】
そこで図18に示す検出装置103の処理に関して説明する。図18は、検出装置103におけるフローチャートである。図18に示す処理は、検出装置103の電源投入情報において定期的に実行される。ステップS1では、妨害電波を検出したか否かを判断し、検出した場合はステップS2に移り、検出していない場合は本フローを終了する。
【0112】
ステップS2では、妨害電波を検出したので警戒情報をデータセンタ102へ送信し、本フローを終了する。警戒情報は、妨害電波の発生位置、妨害電波の発生時間、妨害電波の電界強度群、妨害電波によって影響を受けた電子装置などが含まれる。このような処理は、車載装置104および携帯端末によっても同様に実行される。これによって警戒情報をデータセンタ102に集めることができる。
【0113】
次に図19に示す車載装置104の処理に関して説明する。図19は、車載装置104におけるフローチャートである。図19に示す処理は、車載装置104の電源投入情報において定期的に実行される。ステップS1では、電磁ノイズによる不具合が発生したか否かを判断し、不具合が発生した場合はステップS2に移り、不具合が発生していない場合は本フローを終了する。
【0114】
ステップS2では、不具合が発生したので不具合情報をデータセンタ102へ送信し、本フローを終了する。不具合情報は、不具合がおきた位置、不具合がおきたときの電界強度群の情報、不具合がおきた電子装置、不具合がおきた時間および不具合の内容などが含まれる。このような処理は、検出装置103および携帯端末によっても同様に実行される。これによって不具合情報をデータセンタ102に集めることができる。
【0115】
次に図20に示すデータセンタ102の処理に関して説明する。図20は、データセンタ102におけるフローチャートである。図20に示す処理は、データセンタ102の電源投入情報において定期的に実行される。ステップS1では、不具合情報または警戒情報を受信したか否かを判断し、受信した場合はステップS2に移り、受信していない場合は本フローを終了する。
【0116】
ステップS2では、受信した不具合情報または警戒情報を電界マップ情報として蓄積すし、本フローを終了する。
【0117】
このように、通信モジュール42は、車載の電子装置に電磁ノイズに起因する不具合が発生した場合には、さらに不具合が発生した電子装置に関する不具合情報を送信しする。そして作成部38は、通信モジュール42から送信された不具合情報をさらに含む電界マップを作成する。これによって電界マップの情報を用いて、第三者に不具合情報を踏まえた迂回経路を提供することができる。
【0118】
また検出装置103において、検出部32は、さらに妨害電波を検出し、通信部31は、妨害電波を検出した場合には、妨害電波を検出したことを示す警戒情報をさらに送信する。そして作成部38は、通信部31から送信された警戒情報をさらに含む電界マップを作成する。これによって電界マップの情報を用いて、第三者に警戒情報を踏まえた迂回経路を提供することができる。したがってたとえば、車両101が電磁攻撃を受けた場合には、他の車両101にもそれが電界マップを介して提供される。したがって電磁攻撃を受けた地点を避けることができる。また周辺地域での電磁攻撃の発生がわかると、自動運転などを停止することができる。
【0119】
(その他の実施形態)
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は前述した実施形態に何ら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0120】
前述の実施形態の構造は、あくまで例示であって、本開示の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本開示の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものである。
【0121】
前述の第1実施形態では、移動装置は車両101によって実現されているが、車両101に限るものではな。移動装置は、無人の移動装置、たとえばドローンおよび無人走行車両などであってもよく、乗り込んだ乗員が移動する飛行機、船舶および自動二輪車などであってもよい。
【0122】
前述の第1実施形態では、閾値情報は、データセンタ102および車載装置104の両方に記憶保存されているが、両方である必要はなく、いずれか一方に記憶されていればよい。車載装置104およびデータセンタ102のいずれにも記憶されていなく、他の装置に関連情報が記憶されていてもよい。この場合、データセンタ102または車載装置104における電子装置が閾値情報を他の装置から取得する閾値取得部として機能すればよい。電界マップおよび地図データも同様であり、他の装置に電界マップおよび地図データが記憶されていてもよい。この場合は、データセンタ102または車載装置104における電子装置が電界マップおよび地図データを他の装置から取得する電界マップ取得部および実データ取得部として機能すればよい。現在位置および現在時刻についても同様であり、他の装置によって現在位置および現在時刻が検出されてもよい。この場合は、データセンタ102または車載装置104における電子装置が現在位置および現在時刻を他の装置から取得する位置取得部として機能すればよい。
【0123】
前述の第1実施形態では、車載装置104はデータセンタ102から電界マップを取得しているがこのような構成に限るものではない。たとえば車載装置104は、電界マップデータベース35を予め搭載していてもよい。これによってデータセンタ102との通信が不要となり、通信途絶に対して強い装置とすることができる。
【0124】
前述の第1実施形態において、制御装置34および統合ECU55などによって実現されていた機能は、前述のものとは異なるハードウェアおよびソフトウェア、またはこれらの組み合わせによって実現してもよい。制御装置34は、たとえば他の制御装置34と通信し、他の制御装置34が処理の一部または全部を実行してもよい。制御装置34が電子回路によって実現される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって実現することができる。
【符号の説明】
【0125】
31…通信部(第1通信部) 32…検出部 33…通信装置(第2通信部)
34…制御装置(閾値取得部,電界マップ取得部,地図データ取得部)
35…電界マップデータベース 37…閾値情報データベース 38…作成部
39…判断部 40…迂回経路探索部(経路探索部) 41…照合ECU(電子装置)
42…通信モジュール(通信部) 47…パワーユニットECU(電子装置)
48…車載側アンテナ 55…統合ECU(位置取得部,地図データ取得部)
56…電波情報検出センサ 57…閾値情報記憶部 58…自動運転ECU(電子装置)
100…経路案内システム 101…車両(移動装置)
102…データセンタ(作成装置) 103…検出装置 104…車載装置
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