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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】手摺金具
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
E04F11/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020110790
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007686
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩山 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】喜多 裕美
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-013244(JP,A)
【文献】特開平11-236755(JP,A)
【文献】特開2015-108258(JP,A)
【文献】特開2007-255100(JP,A)
【文献】特開2001-054483(JP,A)
【文献】特開2003-049520(JP,A)
【文献】特開平09-158434(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/00-11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象部に取り付けられる第1部材と、手摺棒を支持しかつ前記第1部材に支持される第2部材とを備え、
前記第2部材は、芯部と、前記芯部に繋がり前記手摺棒を受ける受部とを有し、
前記第2部材は、前記芯部および前記受部において摺動可能に前記第1部材によって支持され
前記第1部材は、前記芯部の少なくとも一部を収容する収容部と、前記収容部内に設けられて前記芯部が摺動可能に固定される固定部とを有し、
前記固定部は、ナットの締付軸力を受ける軸力受部と、前記軸力受部に設けられて前記芯部が軸心に交差する方向に移動可能に挿通する挿通部とを有し、
前記芯部は、前記ナットが係合する係合部を有し、
前記芯部は、前記芯部が前記挿通部に挿通した状態で前記ナットが前記芯部の係合部に係合することによって、前記固定部に摺動可能に固定される
手摺金具。
【請求項2】
固定対象部に取り付けられる第1部材と、手摺棒を支持しかつ前記第1部材に支持される第2部材とを備え、
前記第2部材は、芯部と、前記芯部に繋がり前記手摺棒を受ける受部とを有し、
前記第2部材は、前記芯部および前記受部において摺動可能に前記第1部材によって支持され
前記第1部材は、前記芯部の少なくとも一部を収容する収容部と、前記収容部内に設けられて前記芯部が摺動可能に固定される固定部と、前記固定対象部に取り付けられる取付部とを有し、
前記第1部材は、屈曲するように構成されており、
前記固定部は、屈曲する部分よりも前記取付部側に配置される
手摺金具。
【請求項3】
前記固定部は、ナットの締付軸力を受ける軸力受部と、前記軸力受部に設けられて前記芯部が軸心に交差する方向に移動可能に挿通する挿通部とを有し、
前記芯部は、前記ナットが係合する係合部を有し、
前記芯部は、前記芯部が前記挿通部に挿通した状態で前記ナットが前記芯部の係合部に係合することによって、前記固定部に摺動可能に固定される
請求項に記載の手摺金具。
【請求項4】
前記ナットと前記軸力受部との間には第1緩衝部が設けられる
請求項1または3に記載の手摺金具。
【請求項5】
前記第1部材は、前記第2部材の前記受部を摺動可能に支持する支持部を有し、
前記第2部材の前記受部と前記支持部との間に第2緩衝部が設けられる
請求項1~4のいずれか一項に記載の手摺金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手摺金具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、手摺が開示されている。手摺は、手摺金具と、手摺金具に支持される手摺棒(同文献では、手すり本体)とを備える。手摺金具は、支柱と、手摺棒を受ける受け部材とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-98128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、手摺に大荷重がかかる場合がある。例えば、体操や運動を行うときに手摺に体重をかけたり、何かの拍子に倒れる場合に手摺に掴まったり、介護の際に介護者自身の体を支えるために手摺を掴んだりする。手摺に大荷重が加わると、手摺金具が変形する虞がある。そこで、折れまたは変形が生じ難い手摺金具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する手摺金具は、固定対象部に取り付けられる第1部材と、手摺棒を支持しかつ前記第1部材に支持される第2部材とを備え、前記第2部材は、芯部と、前記芯部に繋がり前記手摺棒を受ける受部とを有し、前記第2部材は、前記芯部および前記受部において摺動可能に前記第1部材によって支持される。
【0006】
この構成によれば、手摺に大荷重が加わる場合、第1部材に対して第2部材が摺動する。このとき、第2部材は、少なくとも2か所の部分で第1部材に対して摺動するため、第1部材の特定の箇所に応力が集中することが抑制される。このようにして、手摺金具において折れまたは変形が生じ難くなる。
【0007】
(2)上記(1)の手摺金具において、前記第1部材は、前記第2部材の芯部の少なくとも一部を収容する収容部を有する。
この構成によれば、芯部の少なくとも一部が外から見えなくなるため、手摺のデザイン性が向上する。
【0008】
(3)上記(2)の手摺金具において、前記第1部材は、前記収容部内に設けられて前記芯部が摺動可能に固定される固定部を有する。
この構成によれば、芯部は、第1部材の収容部内の固定部に支持される。芯部が固定される部分が見えないため、デザイン性が向上する。
【0009】
(4)上記(3)の手摺金具において、前記固定部は、ナットの締付軸力を受ける軸力受部と、前記軸力受部に設けられて前記芯部が軸心に交差する方向に移動可能に挿通する挿通部とを有し、前記芯部は、前記ナットが係合する係合部を有し、前記芯部は、前記芯部が前記挿通部に挿通した状態で前記ナットが前記芯部の係合部に係合することによって、前記固定部に摺動可能に固定される。この構成によれば、簡易な構成によって、芯部を摺動可能に固定部に固定できる。
【0010】
(5)上記(4)の手摺金具において、前記ナットと前記固定部の軸力受部との間には第1緩衝部が設けられる。
この構成によれば、手摺に大荷重が加わる場合、第1緩衝部が大荷重の一部を吸収する。これによって、固定部が変形することが抑制される。
【0011】
(6)上記(3)~(5)のいずれか1つの手摺金具において、前記第1部材は、屈曲するように構成され、前記固定対象部に取り付けられる取付部を有し、前記第1部材の前記固定部は、屈曲する部分よりも取付部側に配置されることが好ましい。この構成によれば、固定部が筒体において取付部側に配置されることによって、第2部材に加わる荷重を固定対象部に伝え易くできる。これによって、第1部材に加わる荷重を抑制できる。
【0012】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの手摺金具において、前記第1部材は、前記第2部材の前記受部を摺動可能に支持する支持部を有し、前記第2部材の前記受部と前記支持部との間に第2緩衝部が設けられる。
【0013】
この構成によれば、手摺に大荷重が加わる場合、第2緩衝部が大荷重の一部を吸収する。これによって、支持部が変形することが抑制される。
【発明の効果】
【0014】
上記手摺金具は、折れまたは変形が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】手摺の側面図。
図2】手摺金具の側面図。
図3】手摺金具の分解図。
図4】手摺金具の変形例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図3を参照して、手摺金具について説明する。
手摺1は、階段、バルコニー、運動部屋、廊下、屋外の歩道橋、等に設けられる。手摺1は、固定対象部3に取り付けられる。固定対象部3は、建物の壁、天井、床、柱、塀、屋外の歩道橋、等である。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態では、手摺1は、運動部屋の壁に取り付けられる。運動部屋では運動が行われるため、手摺1には大荷重が加わり易い。手摺1は、手摺金具2と、手摺金具2を支持する手摺棒4とを備える。手摺棒4は、金属または木によって形成される。
【0018】
図2および図3に示されるように、手摺金具2は、固定対象部3に取り付けられる第1部材10と、第1部材10に支持される第2部材20とを備える。第2部材20は、手摺棒4を支持する。
【0019】
第1部材10は、筒体11と、筒体11の一方の端に設けられる取付部12と、筒体11において取付部12と反対側の端に設けられる支持部13とを有する。
例えば、筒体11は、筒体11の断面積が取付部12側の端から支持部13側の端に向かって小さくなるように構成される。筒体11、取付部12、および支持部13は、ステンレスまたはアルミニウム合金によって形成される。ダイカストによって、筒体11、取付部12、および支持部13を一体に形成してもよい。取付部12は、溶接によって筒体11に接続されてもよい。支持部13は、溶接によって筒体11に接続されてもよい。取付部12は、絞り加工によって筒体11に形成されてもよい。
【0020】
本実施形態では、第1部材10は、全体として屈曲するように構成される。具体的には、第1部材10は、取付部12が壁の縦面に取り付けられた状態において、支持部13が取付部12よりも高い位置に配置されるように屈曲する。
【0021】
取付部12は、固定対象部3に取り付けられる部分である。本実施形態では、取付部12は、筒体11に設けられるフランジとして構成される。取付部12には、締結部材が挿通する締結孔(図示略)が設けられる。
【0022】
支持部13は、第2部材20の受部30(図2参照)を摺動可能に支持する部分である。支持部13は、筒体11の端部を塞ぐように設けられる支持本体部13Aと、支持本体部13Aに設けられる挿通孔13Bとを有する。挿通孔13Bは、第2部材20の芯部21が挿通できるように構成される。挿通孔13Bは、挿通孔13Bに芯部21が挿通した状態で、芯部21が軸心AXに交差する方向に移動可能に構成される。具体的には、挿通孔13Bに芯部21が挿通した状態で、挿通孔13Bと芯部21との間には、隙間SAが設けられる。
【0023】
第1部材10は、収容部14を有する。収容部14は、第2部材20の芯部21の少なくとも一部を収容する。収容部14は、筒体11内の空間を有する。収容部14は、筒体11において取付部12側に開口する。第1部材10において取付部12側の開口部14Aは、ナット40が入る大きさに構成される。
【0024】
第1部材10は、固定部15を有する。固定部15は、収容部14内に設けられる。固定部15は、筒体11において屈曲する部分11Aよりも取付部12側に配置されることが好ましい。
【0025】
固定部15には、芯部21が摺動可能に固定される。固定部15は、軸力受部16と、軸力受部16に設けられる挿通部16Aとを有する。軸力受部16は、ナット40(図2参照)の締付軸力を受ける部分である。
【0026】
挿通部16Aは、挿通部16Aに芯部21が挿通した状態で、芯部21が軸心AXに交差する方向に移動可能に構成される。具体的には、挿通部16Aに芯部21が挿通した状態で、挿通部16Aと芯部21との間には隙間SBが設けられる。挿通部16Aは、軸力受部16の貫通孔として構成されてもよいし、軸力受部16の切欠きとして構成されてもよい。本実施形態では、挿通部16Aは、貫通孔として構成される。
【0027】
第2部材20は、芯部21と、芯部21に繋がる受部30とを有する。
芯部21は、受部30を支持する。芯部21は、金属によって構成される。例えば、芯部21は、ステンレスまたはアルミニウム合金によって形成される。芯部21は、受部30が結合する結合部22と、ナット40が係合する係合部23とを有する。
【0028】
結合部22は、芯部21の第1端部24に設けられる。本実施形態では、結合部22は、ねじによって構成される。係合部23は、芯部21において第1端部24の反対側の第2端部25に設けられる。本実施形態では、係合部23は、ねじによって構成される。
【0029】
受部30は、手摺棒4を受ける部分である。
受部30は、受部本体31と、受部本体31に設けられて手摺棒4に取り付けられる手摺取付部32とを有する。受部本体31と手摺取付部32とはダイカストによって一体に形成されてもよい。手摺取付部32は、受部本体31に溶接によって接続されてもよい。手摺取付部32は、手摺棒4の外周の一部に沿う形状に構成される。手摺棒4は、締結部材によって手摺取付部32に取り付けられる。
【0030】
受部本体31は、芯部21と結合する被結合部33が設けられる。被結合部33は、受部本体31において手摺取付部32と反対側の部分に設けられる。本実施形態では、被結合部33は、芯部21の結合部22に係合するねじ孔に構成される。受部30は、ねじ込みによって芯部21の結合部22に結合される。この構造により、手摺金具2の組み立てが簡易になる。
【0031】
第2部材20は、第1部材10に摺動可能に取り付けられる。
第2部材20の芯部21の一部は、第1部材10の収容部14に収容される。具体的には、芯部21の係合部23は、収容部14に収容される。芯部21の結合部22は、第1部材10から露出する。
【0032】
芯部21の係合部23は、第1部材10の固定部15の挿通部16Aに挿通する。芯部21の係合部23は、第1部材10の固定部15の挿通部16Aに挿通した状態で、ナット40が芯部21の係合部23に係合することによって、固定部15に摺動可能に固定される。
【0033】
好ましくは、ナット40と固定部15の軸力受部16との間には第1緩衝部41が設けられる。第1緩衝部41は、弾性を有する樹脂、ゴム、またはエラストマによって構成される。例えば、第1緩衝部41は、芯部21が挿通する第1孔41Aを有するリング部材に構成される。第1緩衝部41は、固定部15またはナット40に接着剤によって固定されてもよい。
【0034】
第2部材20の芯部21の結合部22には、受部30が取り付けられる。受部30と支持部13との間に第2緩衝部42が設けられる。第2緩衝部42は、弾性を有する樹脂、ゴム、またはエラストマによって構成される。第2緩衝部42の弾性は、手摺棒4の弾性に応じた大きさであることが好ましい。例えば、第2緩衝部42の圧縮率は、第2緩衝部42に所定荷重を加えたときの第2緩衝部42の圧縮幅が、手摺棒4に所定荷重を加えたときの手摺棒4の撓み幅に応じた値になるように設定される。手摺棒4の撓み幅が大きいほど、圧縮幅が大きい第2緩衝部42を使うことが好ましい。第2緩衝部42の外形は、第1部材10の筒体11の外周面および受部本体31の外周面から突出しないように構成されることが好ましい。例えば、第2緩衝部42は、芯部21が挿通する第2孔42Aを有するリング部材に構成される。第2緩衝部42は、支持部13または受部30に接着剤によって固定されてもよい。
【0035】
芯部21の第2端部25に係合するナット40は、第2緩衝部42を介して第1部材10の固定部15に締め付けられる。これによって、第1緩衝部41は、ナット40と第1部材10の固定部15とに挟まれて圧縮され、かつ、第2緩衝部42は、第1部材10の支持部13と受部30との間に挟まれて圧縮される。
【0036】
芯部21の第2端部25に係合するナット40は、第1緩衝部41を介して第1部材10の固定部15に締め付けられる。固定部15の挿通部16Aと芯部21との間には隙間SBがあり、芯部21の第2端部25は、第1緩衝部41を介して固定部15に固定されている。第2部材20に大荷重が加わると、第1緩衝部41が変形しつつ固定部15に対して第2端部25が移動する。このように、芯部21の第2端部25は、固定部15に対して円滑に摺動できる。
【0037】
第2部材20の受部30は、第2緩衝部42を介して第1部材10の支持部13に押し付けられる。支持部13の挿通孔13Bと芯部21の第1端部24との間には隙間SAがあり、芯部21の第1端部24に取り付けられる受部30は、第2緩衝部42を介して支持部13に固定されている。第2部材20に大荷重が加わると、第2緩衝部42が変形しつつ支持部13に対して受部30が移動する。このように、受部30は、支持部13に対して円滑に摺動できる。
【0038】
本実施形態の作用を説明する。
手摺棒4は、複数の手摺金具2によって支持される。手摺1において2つの手摺金具2の間の領域に荷重が加わると、手摺棒4が僅かに湾曲する。このとき、受部30には、第1部材10に対して受部30を傾かせる力が加わる。従来構造のように、受部30が第1部材10に固定されている場合、大荷重が手摺棒4に加わると、第1部材10に対して受部30が折れる虞がある。
【0039】
本実施形態では、手摺金具2は、固定対象部3に取り付けられる第1部材10と、手摺棒4を支持する第2部材20とを備える。第2部材20は、第1部材10に対して摺動可能に支持される。第2部材20は、2か所において第1部材10に対して摺動可能である。大荷重が手摺棒4に加わると、第1部材10に対して第2部材20が摺動する。このようにして、受部30の折れが抑制される。また、第2部材20に加わる荷重は、第1部材10の2か所に分散されて、一か所に荷重が集中することが抑制されるため、第1部材10の変形が抑制される。
【0040】
本実施形態の効果を説明する。
(1)手摺金具2は、第1部材10と、第1部材10に支持される第2部材20とを備える。第2部材20は、芯部21と、手摺棒4を受ける受部30とを有する。第2部材20は、芯部21および受部30において摺動可能に第1部材10によって支持される。
【0041】
この構成によれば、手摺1に大荷重が加わる場合、第1部材10に対して第2部材20が摺動する。このとき、第2部材20は、少なくとも2か所の部分で第1部材10に対して摺動するため、第1部材10の特定の箇所に応力が集中することが抑制される。このようにして、手摺金具2において折れまたは変形が生じ難くなる。
【0042】
(2)第1部材10は、第2部材20の芯部21の少なくとも一部を収容する収容部14を有する。この構成によれば、芯部21の少なくとも一部が外から見えなくなるため、手摺1のデザイン性が向上する。
【0043】
(3)第1部材10は、収容部14内に設けられる固定部15を有する。固定部15には、芯部21が摺動可能に固定される。この構成によれば、芯部21は、第1部材10の収容部14内の固定部15に支持される。芯部21が固定される部分が見えないため、デザイン性が向上する。
【0044】
(4)固定部15は、ナット40の締付軸力を受ける軸力受部16と、軸力受部16に設けられる挿通部16Aとを有する。挿通部16Aは、芯部21が軸心AXに交差する方向に移動可能に挿通するように構成される。芯部21は、ナット40が係合する係合部23を有する。芯部21は、芯部21が挿通部16Aに挿通した状態でナット40が芯部21の係合部23に係合することによって、固定部15に摺動可能に固定される。この構成によれば、簡易な構成によって、芯部21を摺動可能に固定部15に固定できる。
【0045】
(5)ナット40と固定部15の軸力受部16との間には第1緩衝部41が設けられる。この構成によれば、手摺1に大荷重が加わる場合、第1緩衝部41が大荷重の一部を吸収する。これによって、固定部15が変形することが抑制される。
【0046】
(6)第1部材10は、屈曲するように構成される。第1部材10は、取付部12を有する。固定部15は、屈曲する部分11Aよりも取付部12側に配置されることが好ましい。この構成によれば、固定部15が筒体11において取付部12側に配置されることによって、第2部材20に加わる荷重を固定対象部3に伝え易くできる。これによって、第1部材10に加わる荷重を抑制できる。
【0047】
(7)第1部材10は、第2部材20の受部30を摺動可能に支持する支持部13を有する。受部30と支持部13との間には第2緩衝部42が設けられる。この構成によれば、手摺1に大荷重が加わる場合、第2緩衝部42が大荷重の一部を吸収する。これによって、支持部13が変形することが抑制される。
【0048】
<変形例>
上記実施形態は、手摺金具2が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。手摺金具2は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0049】
・筒体11の形状は限定されない。筒体11の断面は四角でもよく、楕円でもよい。筒体11は、湾曲しなくてもよい。筒体11は、固定対象部に対して斜めに延びるように構成される。
【0050】
例えば、図4に示されるように、筒体11は、取付部12が垂直な壁に取り付けられた状態において、支持部13が取付部12の斜め上の位置に配置されるように構成される。筒体11は、取付部12が垂直な壁に取り付けられた状態において、支持部13が取付部12の斜め下の位置に配置されるように構成されてもよい。これらの場合、固定部15は、筒体11において長手方向の中間点よりも取付部12側に配置されることが好ましい。
【0051】
・第2部材20において、芯部21と、受部30との結合構造は、限定されない。受部30は、圧入によって芯部21に取り付けられてもよい。ボルトによって受部30と芯部21とが締結されてもよい。受部30は、芯部21に溶接されてもよい。
【0052】
・第1緩衝部41の構成は限定されない。第1緩衝部41は、ナット40の一面または軸力受部16の一面に塗布して形成される弾性樹脂によって構成されてもよい。また、第1緩衝部41は、弾性樹脂層と金属層とを有するスペーサとして構成されてもよい。
【0053】
・第2緩衝部42の構成は限定されない。第2緩衝部42は、受部30の一面または支持部13の一面に塗布して形成される弾性樹脂によって構成されてもよい。また、第2緩衝部42は、弾性樹脂層と金属層とを有するスペーサとして構成されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
AX…軸心
2…手摺金具
3…固定対象部
4…手摺棒
10…第1部材
11A…部分
12…取付部
13…支持部
14…収容部
15…固定部
16…軸力受部
16A…挿通部
20…第2部材
21…芯部
23…係合部
30…受部
40…ナット
41…第1緩衝部
42…第2緩衝部
図1
図2
図3
図4