(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】生体検出装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20240409BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240409BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20240409BHJP
G01S 13/50 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61B5/11 110
A61B5/00 102A
G01S13/34
G01S13/50
(21)【出願番号】P 2020116841
(22)【出願日】2020-07-07
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】201910758078.2
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】リ・ホォンチュヌ
(72)【発明者】
【氏名】シエ・リリ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・チエヌ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン・ジュン
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-157870(JP,A)
【文献】特開2016-138796(JP,A)
【文献】特開2016-135233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0094350(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
A61B 5/00
G08B 19/00 - 21/24
G01S 13/00 - 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体検出装置であって、
第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得する第1計算部と、
前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅変動を計算する第2計算部と、
前記振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得する第3計算部と、
前記振幅変動が第1閾値よりも大きい場合、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定する第2決定部と、
前記振幅変動が前記第1閾値以下である場合、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定する第3決定部と、を含
み、
前記第2決定部は、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算する第4計算部と、
距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、前記距離に生体が存在すると決定する第4決定部と、を含み、
前記第3決定部は、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算する第5計算部と、
該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、前記距離に生体が存在すると決定する第5決定部と、を含む、装置。
【請求項2】
前記距離を中心とする局所範囲内において、前記距離の振幅変動が局所最大値であり、且つ前記局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、前記第4決定部は、前記距離に生体が存在すると決定する、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記距離を中心とする局所範囲内において、前記距離の振幅低周波エネルギー比が局所最大値であり、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、前記第5決定部は、前記距離に生体が存在すると決定する、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
生体検出システムであって、
生体が所在する空間にマイクロ波信号を発射する信号発射部、及び反射信号を受信する信号受信部を有するマイクロ波レーダと、
前記反射信号に基づいて生体を検出する請求項1に記載の装置と、を含む、生体検出システム。
【請求項5】
生体検出方法であって、
第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得するステップと、
前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅変動を計算するステップと、
前記振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得するステップと、
前記振幅変動が第1閾値よりも大きい場合、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、
前記振幅変動が前記第1閾値以下である場合、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、を含
み、
前記振幅変動が第1閾値よりも大きい場合、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算するステップと、
距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、前記距離に生体が存在すると決定するステップと、を含み、
前記振幅変動が前記第1閾値以下である場合、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算するステップと、
該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、前記距離に生体が存在すると決定するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報技術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸や心拍などのバイタルサイン(生命兆候)を監視すると、人体の健康状態を知るのに役立つ。医学では、心電計や聴診器などの専門的な医療機器を使用して、患者の呼吸や心拍情報を取得する。技術の進歩に伴い、ウェアラブルデバイスが多数登場し、スマートウォッチ、スマートブレスレットなどのデバイスを使用して、日常生活において自分の身体指標の変化を監視することができる。しかし、ウェアラブルデバイスの普及及び応用は、着心地が悪く、頻繁に充電するという問題がある。
【0003】
近年、非接触式のバイタルサイン検出方法、例えばマイクロ波レーダに基づくバイタルサイン検出方法が登場し、該方法は、検出対象により反射されたマイクロ波信号をマイクロ波レーダにより収集し、呼吸や心拍を検出する。この方法は、ユーザエクスペリエンスが良く、受容性が高く、応用範囲が広い。
【0004】
このようなバイタルサインの検出方法を適用するには、まず、生体とマイクロ波レーダとの間の距離を決定する必要がある。
【0005】
なお、上述した背景技術の説明は、本発明の技術案を明確、完全に理解させるための説明であり、当業者を理解させるために記述されているものである。これらの技術案は、単なる本発明の背景技術部分として説明されたものであり、当業者により周知されたものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明の発明者の発見によると、従来の生体検出方法は、静止している生体と静止している他の物体とを区別することができず、ノイズによる干渉を排除することができないため、検出結果の正確性及び信頼性が悪い。
【0007】
本発明の実施例は、他の静止物体及びノイズの影響を効果的に排除することができ、生体位置の正確な検出を実現することができる生体検出装置、方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例の第1態様では、生体検出装置であって、第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得する第1計算部と、前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅変動を計算する第2計算部と、前記振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得する第3計算部と、前記振幅変動の大きさに応じて、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに前記振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定する第1決定部と、を含む、装置を提供する。
【0009】
本発明の実施例の第2態様では、生体検出システムであって、生体が所在する空間にマイクロ波信号を発射する信号発射部、及び反射信号を受信する信号受信部を有するマイクロ波レーダと、前記反射信号に基づいて生体を検出する本発明の実施例の第1態様に記載の装置と、を含む、生体検出システムを提供する。
【0010】
本発明の実施例の第3態様では、生体検出方法であって、第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得するステップと、前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅変動を計算するステップと、前記振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得するステップと、前記振幅変動の大きさに応じて、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに前記振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、を含む、方法を提供する。
【0011】
本発明の有利な効果は以下の通りである。明らかな振幅変動が生体の微動を反映でき、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが生体の規則的な微動による周波数分布を反映できるため、各距離上の距離FFT信号の所定時間内の振幅変動の大きさに応じて、生体を検出する時に該振幅変動を考慮するか否かを決定し、さらに、距離FFT信号の振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定することで、他の静止物体及びノイズの影響を効果的に排除することができ、生体位置の正確な検出を実現することができる。
【0012】
本発明の特定の実施形態は、後述の説明及び図面に示すように、詳細に開示され、本発明の原理を採用されることが可能な方式を示している。なお、本発明の実施形態は、範囲上には限定されるものではない。本発明の実施形態は、添付されている特許請求の範囲の主旨及び内容の範囲内、各種の改変、修正、及び均等的なものが含まれる。
【0013】
ある一つの実施形態に説明及び又は示されている特徴は、同一又は類似の方式で一つ又は多くの他の実施形態に使用されてもよく、他の実施形態における特徴と組み合わせてもよく、他の実施形態における特徴を代替してもよい。
【0014】
なお、用語「含む/有する」は、本文に使用される際に、特徴、要素、ステップ又は構成要件の存在を意味し、一つ又は複数の他の特徴、要素、ステップ又は構成要件の存在又は追加を排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここで含まれる図面は、本発明の実施例を理解させるためのものであり、本明細書の一部を構成し、本発明の実施例を例示するためのものであり、文言の記載と合わせて本発明の原理を説明する。なお、ここに説明される図面は、単なる本発明の実施例を説明するためのものであり、当業者にとって、これらの図面に基づいて他の図面を容易に得ることができる。
【
図1】本発明の実施例1の生体検出装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施例1のマイクロ波レーダによる信号の送信及び受信の概略図である。
【
図3】本発明の実施例1の距離FFT信号の概略図である。
【
図4】本発明の実施例1の第1距離の振幅分布の概略図である。
【
図5】本発明の実施例1の第1距離の振幅スペクトルの概略図である。
【
図6】本発明の実施例1の第2距離の振幅分布の概略図である。
【
図7】本発明の実施例1の第2距離の振幅スペクトルの概略図である。
【
図8】本発明の実施例1の第1距離の位相分布の概略図である。
【
図9】本発明の実施例1の第1距離の位相スペクトルの概略図である。
【
図10】本発明の実施例1の第2距離の位相分布の概略図である。
【
図11】本発明の実施例1の第2距離の位相スペクトルの概略図である。
【
図12】本発明の実施例1の第1決定部104の概略図である。
【
図13】本発明の実施例1の第2決定部1201の概略図である。
【
図14】本発明の実施例1の第4決定部1302が距離に生体が存在するか否かを決定する方法の概略図である。
【
図15】本発明の実施例1の第3決定部1202の概略図である。
【
図16】本発明の実施例1の第5決定部1502が距離に生体が存在するか否かを決定する方法の概略図である。
【
図17】本発明の実施例2の電子機器の概略図である。
【
図18】本発明の実施例2の電子機器のシステム構成の概略ブロック図である。
【
図19】本発明の実施例3の生体検出システムの概略図である。
【
図20】本発明の実施例4の生体検出方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の上記及びその他の特徴は、図面及び下記の説明により理解できるものである。明細書及び図面では、本発明の特定の実施形態、即ち本発明の原則に従う一部の実施形態を表すものを公開している。なお、本発明は説明される実施形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内の全ての修正、変更されたもの、及び均等なものを含む。
【0017】
<実施例1>
本発明の実施例は生体検出装置を提供する。
図1は本発明の実施例1の生体検出装置の概略図である。
図1に示すように、生体検出装置100は、第1計算部101、第2計算部102、第3計算部103及び第1決定部104を含む。
【0018】
第1計算部101は、第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得する
第2計算部102は、第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の第1所定時間範囲内の振幅変動を計算する。
【0019】
第3計算部103は、該振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得する。
【0020】
第1決定部104は、該振幅変動の大きさに応じて、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに該振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定する。
【0021】
これによって、明らかな振幅変動が生体の微動を反映でき、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが生体の規則的な微動による周波数分布を反映できるため、各距離上の距離FFT信号の所定時間内の振幅変動の大きさに応じて、生体を検出する時に該振幅変動を考慮するか否かを決定し、さらに、距離FFT信号の振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定することで、他の静止物体及びノイズの影響を効果的に排除することができ、生体位置の正確な検出を実現することができる。
【0022】
本実施例では、該生体検出装置は、様々な生体の検出に用いられてもよい。本実施例では、人体を検出対象の一例にして例示的に説明する。
【0023】
第1計算部101は、第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、第1所定時間範囲内の距離高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transformation)信号を取得する。
【0024】
本実施例では、生体の微動は主に呼吸によるものであるため、第1所定時間範囲は、少なくとも呼吸の1つの周期を含み、その具体的な範囲は実際の需要に応じて設定されてもよい。
【0025】
例えば、人体の例では、呼吸の周期は3~6秒であってもよく、心拍の周期は0.3~1.2秒であってもよい。
【0026】
本実施例では、マイクロ波レーダは、動作モードが周波数変調連続波(FMCW:Frequency Modulated Continuous Wave)のマイクロ波レーダであってもよい。
【0027】
図2は本発明の実施例1のマイクロ波レーダによる信号の送信及び受信の概略図である。
図2に示すように、マイクロ波レーダの発射信号は、人体などの物体で反射され、マイクロ波レーダで受信される。マイクロ波レーダは、発射信号及び受信された反射信号を処理し、差周波数信号を取得する。マイクロ波レーダにより受信された信号は、空間における全ての反射信号の重畳であり、差周波数信号に対して高速フーリエ変換を行うことにより、信号を分解し、異なる距離での反射信号を取得することができる。このフーリエ変換は、距離FFT(Range FFT)と称される。距離FFT処理後の距離FFT信号は、以下の式(1)で表されてもよい。
【0028】
S=Asin(2πft+p) (1)
ここで、Aは振幅であり、pは位相であり、周波数fは人体とレーダとの距離の影響を受け、f=s2d/cとなり、sはマイクロ波レーダの送信信号の周波数変調の傾きであり、dは人体とレーダとの距離であり、cは光速である。
【0029】
以上から分かるように、距離FFT信号の振幅Aは、人体とレーダとの距離d、人体の反射面の特性、人体の微動などの要因の影響を受け、距離FFT信号の位相pは、主に人体の微動Δdの影響を受ける。
【0030】
本実施例では、レーダからの各距離について、該距離の距離FFT信号が取得される。場合によって、信号処理及びサンプリング解像度などの要因の制限により、距離FFT信号を取得可能な距離点は、連続的なものではなく、離散的な複数の距離点であり、距離ビン(range bin)とも称される。しかし、本発明の実施例はこれらの離散的な距離ビンに限定されず、連続的な全ての距離点であってもよい。
【0031】
本実施例では、第2計算部102は、第1所定時間範囲(t1,tn)内の距離FFT信号に基づいて、各距離の第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得する。該振幅分布は振幅の時間に伴う変化の曲線により表されてもよく、該位相分布は位相の時間に伴う変化の曲線により表されてもよい。また、第2計算部102は、各距離の第1所定時間範囲内の振幅変動を計算する。
【0032】
図3は本発明の実施例1の距離FFT信号の概略図である。
図3に示すように、横座標はレーダとの間の距離であり、縦座標は距離FFT信号の振幅又は位相である。上から下までの順に、t
1時点、t
2時点、…、t
n時点の距離FFT信号の振幅情報又は位相情報である。
【0033】
図3に示すように、特定の距離d
iについて、その振幅又は位相のt
1時点からt
n時点までの変化は、該第1所定時間範囲内の振幅分布又は位相分布を反映する。
【0034】
例えば、該距離diについて、ti時点からtn時点までの振幅の分散を用いて振幅変動を測定してもよい。
【0035】
本実施例では、第3計算部103は、該振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得する。該振幅スペクトルは、振幅の周波数に伴う変化の曲線により表されてもよく、該位相スペクトルは、位相の周波数に伴う変化の曲線により表されてもよい。該フーリエ変換は、例えば高速フーリエ変換(FFT)である。
【0036】
第2計算部102及び第3計算部103により、各距離の振幅変動、振幅分布及び/又は位相分布、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが取得される。
【0037】
図4は本発明の実施例1の第1距離の振幅分布の概略図であり、
図5は本発明の実施例1の第1距離の振幅スペクトルの概略図であり、
図6は本発明の実施例1の第2距離の振幅分布の概略図であり、
図7は本発明の実施例1の第2距離の振幅スペクトルの概略図である。
【0038】
図5及び
図7に示すように、第1距離の振幅スペクトルの分布と第2距離の振幅スペクトルの分布とは明らかに異なる。
【0039】
図8は本発明の実施例1の第1距離の位相分布の概略図であり、
図9は本発明の実施例1の第1距離の位相スペクトルの概略図であり、
図10は本発明の実施例1の第2距離の位相分布の概略図であり、
図11は本発明の実施例1の第2距離の位相スペクトルの概略図である。
【0040】
図9及び
図11に示すように、第1距離の位相スペクトルの分布と第2距離の位相スペクトルの分布とは明らかに異なる。
【0041】
各距離の振幅変動、振幅分布及び/又は位相分布、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが取得された後に、第1決定部104は、該振幅変動の大きさに応じて、振幅スペクトル及び/位相スペクトル、並びに振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定する。
【0042】
図12は本発明の実施例1の第1決定部104の概略図である。
図12に示すように、第1決定部104は、第2決定部1201及び第3決定部1202を含む。
【0043】
第2決定部1201は、該振幅変動が第1閾値よりも大きい場合、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに該振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定する。
【0044】
第3決定部1202は、該振幅変動が該第1閾値以下である場合、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定する。
【0045】
本実施例では、第1閾値は、実際の要求に応じて設定されてもよい。
【0046】
本実施例では、距離の振幅変動と第1閾値との関係に応じて、第2決定部1201により該距離に生体が存在するか否かを決定するか、それとも第3決定部1202により該距離に生体が存在するか否かを決定するかを決定する。
【0047】
本実施例では、第2決定部1201は、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定する。
【0048】
以下は、第2決定部1201が各距離に生体が存在するか否かを決定する方法を具体的に説明する。
【0049】
図13は本発明の実施例1の第2決定部1201の概略図である。
図13に示すように、第2決定部1201は、第4計算部1301及び第4決定部1302を含む。
【0050】
第4計算部1301は、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算する。
【0051】
第4決定部1302は、距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、該距離に生体が存在すると決定する。
【0052】
本実施例では、第4計算部1301は、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算する。
【0053】
例えば、各距離の生体に関連する所定の周波数範囲内の振幅及び/又は位相のエネルギーと非負の周波数範囲内の振幅及び/又は位相のエネルギーとの比を計算し、該距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を取得する。
【0054】
本実施例では、該生体に関連する所定の周波数範囲は、例えば呼吸周波数に基づいて決定された範囲である。呼吸の周波数は、雑音の周波数に比べて、低周波の部分に属する。
【0055】
例えば、以下の式(2)に従って振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算してもよい。
【数1】
【0056】
ここで、rは振幅低周波エネルギー比又は位相低周波エネルギー比を表し、eは振幅スペクトル又は位相スペクトルの振幅を表し、(f1,f2)は正常の呼吸周波数範囲であり、Fは振幅スペクトル又は位相スペクトルの最高周波数である。
【0057】
また、例えば、振幅スペクトル又は位相スペクトルに対してハイパスフィルタリングを行い、f
1よりも大きい周波数を有するフィルタリング結果D
H=(d
1
H,d
2
H,…,d
T
H)を取得し、振幅スペクトル又は位相スペクトルに対してバンドパスフィルタリングを行い、(f
1,f
2)の範囲内の周波数を有するフィルタリング結果D
B=(d
1
B,d
2
B,…,d
T
B)を取得し、振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比はD
HのエネルギーとD
Bのエネルギーとの比であり、例えば、以下の式(3)に従って振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算してもよい。
【数2】
【0058】
ここで、rは振幅低周波エネルギー比又は位相低周波エネルギー比を表し、DHはハイパスフィルタリングの結果を表し、DBはバンドパスフィルタリングの結果を表す。
【0059】
第4決定部1302は、各距離に生体が存在するか否かを決定する際に、距離ごとに決定してもよい。
【0060】
ある距離について、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ/或いは該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、該距離に生体が存在すると決定する。
【0061】
例えば、該距離を中心とする局所範囲内において、該距離の振幅変動が局所最大値であり、且つ該局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、第4決定部1302は、該距離に生体が存在すると決定する。
【0062】
本実施例では、該局所範囲のサイズ、第2閾値及び第3閾値は、実際の要求に応じて設定されてもよい。
【0063】
図14は本発明の実施例1の第4決定部1302が距離に生体が存在するか否かを決定する方法の概略図である。
図14に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0064】
ステップ1401:該距離の振幅変動が該距離を中心とする局所範囲内の局所最大値であるか否かを判断する。判断結果がYESの場合、ステップ1402に進み、判断結果がNOの場合、ステップ1406に進む。
【0065】
ステップ1402:該局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きいか否かを判断する。判断結果がYESの場合、ステップ1403に進み、判断結果がNOの場合、ステップ1406に進む。
【0066】
ステップ1403:該局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいか否かを判断する。判断結果がYESの場合、ステップ1404に進み、判断結果がNOの場合、ステップ1406に進む。
【0067】
ステップ1404:該局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいか否かを判断する。判断結果がYESの場合、ステップ1405に進み、判断結果がNOの場合、ステップ1406に進む。
【0068】
ステップ1405:該距離に生体が存在すると決定する。
【0069】
ステップ1406:該距離に生体が存在しないと決定する。
【0070】
各距離について、上記のステップを繰り返すことで、全ての距離に生体が存在するか否かの検出結果が取得される。
【0071】
以上は第2決定部1201が各距離に生体が存在するか否かを決定する方法を説明した。
【0072】
以下は、第3決定部1202が各距離に生体が存在するか否かを決定する方法を具体的に説明する。
【0073】
図15は本発明の実施例1の第3決定部1202の概略図である。
図15に示すように、第3決定部1202は、第5計算部1501及び第5決定部1502を含む。
【0074】
第5計算部1501は、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算する。
【0075】
第5決定部1502は、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、該距離に生体が存在すると決定する。
【0076】
本実施例では、第5計算部1501の計算方法は、第4計算部1301と同様であり、ここでその説明を省略する。
【0077】
本実施例では、第5決定部1502は、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び/又は該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、該距離に生体が存在すると決定する。
【0078】
例えば、該距離を中心とする局所範囲内において、該距離の振幅低周波エネルギー比が局所最大値であり、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、該第5決定部は、該距離に生体が存在すると決定する。
【0079】
図16は本発明の実施例1の第5決定部1502が距離に生体が存在するか否かを決定する方法の概略図である。
図16に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0080】
ステップ1601:該距離の振幅低周波エネルギー比が該距離を中心とする局所範囲内の局所最大値であるか否かを判断する。判断結果がYESの場合、ステップ1602に進み、判断結果がNOの場合、ステップ1605に進む。
【0081】
ステップ1602:該局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいか否かを判断する。判断結果がYESの場合、ステップ1603に進み、判断結果がNOの場合、ステップ1605に進む。
【0082】
ステップ1603:該局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいか否かを判断する。判断結果がYESの場合、ステップ1604に進み、判断結果がNOの場合、ステップ1605に進む。
【0083】
ステップ1604:該距離に生体が存在すると決定する。
【0084】
ステップ1605:該距離に生体が存在しないと決定する。
【0085】
各距離について、上記のステップを繰り返すことで、全ての距離に生体が存在するか否かの検出結果が取得される。
【0086】
図5及び
図9に示すように、第1距離の振幅スペクトル及び位相スペクトルの分布が低周波部分に集中しており、上記の具体的な判断ステップにより、第1距離に生体が存在すると決定する。
【0087】
図7及び
図11に示すように、第2距離の振幅スペクトル及び位相スペクトルの分布が低周波部分に集中しておらず、上記の具体的な判断ステップにより、第2距離に生体が存在しないと決定する。
【0088】
本実施例によれば、明らかな振幅変動が生体の微動を反映でき、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが生体の規則的な微動による周波数分布を反映できるため、各距離上の距離FFT信号の所定時間内の振幅変動の大きさに応じて、生体を検出する時に該振幅変動を考慮するか否かを決定し、さらに、距離FFT信号の振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定することで、他の静止物体及びノイズの影響を効果的に排除することができ、生体位置の正確な検出を実現することができる。
【0089】
<実施例2>
本発明の実施例は電子機器をさらに提供し、
図17は本発明の実施例2の電子機器の概略図である。
図17に示すように、電子機器1700は、生体検出装置1701を含み、生体検出装置1701の構成及び機能は実施例1に記載されたものと同じであり、ここでその説明を省略する。
【0090】
図18は本発明の実施例2の電子機器のシステム構成の概略ブロック図である。
図18に示すように、電子機器1800は、中央制御装置(中央処理装置)1801及び記憶装置1802を含んでもよく、記憶装置1802は中央制御装置1801に接続される。該図は単なる例示的なものであり、電気通信機能又は他の機能を実現するように、他の種類の構成を用いて、該構成を補充又は代替してもよい。
【0091】
図18に示すように、電子機器1800は、入力部1803、ディスプレイ1804及び電源1805をさらに含んでもよい。
【0092】
例えば、実施例1の生体検出装置の機能は中央制御装置1801に統合されてもよい。ここで、中央制御装置1801は、第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、該第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得し、該第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の該第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の該第1所定時間範囲内の振幅変動を計算し、該振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得し、該振幅変動の大きさに応じて、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに該振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するように構成されてもよい。
【0093】
例えば、該振幅変動の大きさに応じて、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに該振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、該振幅変動が第1閾値よりも大きい場合、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに該振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、該振幅変動が該第1閾値以下である場合、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、を含む。
【0094】
例えば、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに該振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップ、を含み、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップ、を含む。
【0095】
例えば、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算するステップと、距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、該距離に生体が存在すると決定するステップと、を含む。
【0096】
例えば、該距離を中心とする局所範囲内において、該距離の振幅変動が局所最大値であり、且つ該局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、該距離に生体が存在すると決定する。
【0097】
例えば、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算するステップと、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、該距離に生体が存在すると決定するステップと、を含む。
【0098】
例えば、該距離を中心とする局所範囲内において、該距離の振幅低周波エネルギー比が局所最大値であり、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、該距離に生体が存在すると決定する。
【0099】
また、例えば、実施例1の生体検出装置は中央制御装置1801とそれぞれ配置されてもよく、例えば、該生体検出装置は中央制御装置1801に接続されたチップであり、中央制御装置1801の制御によりバイタルサインの検出装置の機能を実現するように構成されてもよい。
【0100】
本実施例における電子機器1800は、
図18に示されている全ての構成部を含まなくてもよい。
【0101】
図18に示すように、中央制御装置1801は、コントローラ又は操作制御部とも称され、マイクロプロセッサ又は他の処理装置及び/又は論理装置を含んでもよく、中央制御装置1801は入力を受け付け、電子機器1800の各部の操作を制御する。
【0102】
記憶装置1802は、例えばバッファ、フラッシュメモリ、ハードディスク、移動可能な媒体、発揮性メモリ、不発揮性メモリ、又は他の適切な装置の1つ又は複数であってもよい。また、中央制御装置1801は、記憶装置1802に記憶されたプログラムを実行し、情報の記憶又は処理などを実現してもよい。他の部材は従来技術に類似するため、ここでその説明が省略される。電子機器1800の各部は、本発明の範囲から逸脱することなく、専用のハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はその組み合わせによって実現されてもよい。
【0103】
本実施例によれば、明らかな振幅変動が生体の微動を反映でき、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが生体の規則的な微動による周波数分布を反映できるため、各距離上の距離FFT信号の所定時間内の振幅変動の大きさに応じて、生体を検出する時に該振幅変動を考慮するか否かを決定し、さらに、距離FFT信号の振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定することで、他の静止物体及びノイズの影響を効果的に排除することができ、生体位置の正確な検出を実現することができる。
【0104】
<実施例3>
本発明の実施例は、マイクロ波レーダ及び生体検出装置を含む生体検出システムをさらに提供し、該生体検出装置の構成及び機能は実施例1に記載されたものと同じであり、ここでその説明を省略する。
【0105】
図19は本発明の実施例3の生体検出システムの概略図である。
図19に示すように、生体検出システム1900は、マイクロ波レーダ1910及び生体検出装置1920を含む。
【0106】
マイクロ波レーダ1910は、生体が所在する空間にマイクロ波信号を発射する信号発射部1911、及び反射信号を受信する信号受信部1912を有する。
【0107】
生体検出装置1920は、該反射信号に基づいて生体を検出する。
【0108】
例えば、マイクロ波レーダ1910は、3次元アンテナアレイを有するマイクロ波レーダである。マイクロ波レーダ1910の信号発射部1911及び信号受信部1912の具体的な構成及び機能は従来技術を参照してもよい。
【0109】
本実施例では、生体検出装置1920の構成及び機能は実施例1に記載されたものと同様であり、その具体的な内容について説明を省略する。
【0110】
本実施例によれば、明らかな振幅変動が生体の微動を反映でき、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが生体の規則的な微動による周波数分布を反映できるため、各距離上の距離FFT信号の所定時間内の振幅変動の大きさに応じて、生体を検出する時に該振幅変動を考慮するか否かを決定し、さらに、距離FFT信号の振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定することで、他の静止物体及びノイズの影響を効果的に排除することができ、生体位置の正確な検出を実現することができる。
【0111】
<実施例4>
本発明の実施例は、実施例1の生体検出装置に対応する生体検出方法をさらに提供する。
図20は本発明の実施例4の生体検出方法の概略図である。
図20に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0112】
ステップ2001:第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、該第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得する。
【0113】
ステップ2002:該第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の該第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の該第1所定時間範囲内の振幅変動を計算する。
【0114】
ステップ2003:該振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得する。
【0115】
ステップ2004:該振幅変動の大きさに応じて、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに該振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、該振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定する。
【0116】
本実施例では、上記各ステップの具体的な実現方法は実施例1に記載されたものと同じであり、ここでその説明を省略する。
【0117】
本実施例によれば、明らかな振幅変動が生体の微動を反映でき、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルが生体の規則的な微動による周波数分布を反映できるため、各距離上の距離FFT信号の所定時間内の振幅変動の大きさに応じて、生体を検出する時に該振幅変動を考慮するか否かを決定し、さらに、距離FFT信号の振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定することで、他の静止物体及びノイズの影響を効果的に排除することができ、生体位置の正確な検出を実現することができる。
【0118】
本発明の実施例は、生体検出装置又は電子機器においてプログラムを実行する際に、コンピュータに、該生体検出装置又は電子機器において上記実施例4に記載の生体検出方法を実行させる、コンピュータ読み取り可能なプログラムをさらに提供する。
【0119】
本発明の実施例は、コンピュータに、生体検出装置又は電子機器において上記実施例4に記載の生体検出方法を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶する、記憶媒体をさらに提供する。
【0120】
本発明の実施例を参照しながら説明した生体検出装置又は電子機器において実行されている生体検出方法は、ハードウェア、プロセッサにより実行されるソフトウェアモジュール、又は両者の組み合わせで実施されてもよい。例えば、
図1に示す機能的ブロック図における1つ若しくは複数、又は機能的ブロック図の1つ若しくは複数の組み合わせは、コンピュータプログラムフローの各ソフトウェアモジュールに対応してもよいし、各ハードウェアモジュールに対応してもよい。これらのソフトウェアモジュールは、
図16に示す各ステップにそれぞれ対応してもよい。これらのハードウェアモジュールは、例えばフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を用いてこれらのソフトウェアモジュールをハードウェア化して実現されてもよい。
【0121】
ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、モバイルハードディスク、CD-ROM又は当業者にとって既知の任意の他の形の記憶媒体に位置してもよい。プロセッサが記憶媒体から情報を読み取ったり、記憶媒体に情報を書き込むように該記憶媒体をプロセッサに接続してもよいし、記憶媒体がプロセッサの構成部であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体はASICに位置する。該ソフトウェアモジュールは移動端末のメモリに記憶されてもよいし、移動端末に挿入されたメモリカードに記憶されてもよい。例えば、機器(例えば移動端末)が比較的に大きい容量のMEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置を用いる場合、該ソフトウェアモジュールは該MEGA-SIMカード又は大容量のフラッシュメモリ装置に記憶されてもよい。
【0122】
図1に記載されている一つ以上の機能ブロックおよび/または機能ブロックの一つ以上の組合せは、本願に記載されている機能を実行するための汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタ論理装置、ディスクリートハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の適切な組み合わせで実現されてもよい。
図1に記載されている一つ以上の機能ブロックおよび/または機能ブロックの一つ以上の組合せは、例えば、コンピューティング機器の組み合わせ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSP通信と組み合わせた1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は他の任意の構成で実現されてもよい。
【0123】
以上は具体的な実施形態を参照しながら本発明を説明しているが、上記の説明は、例示的なものに過ぎず、本発明の保護の範囲を限定するものではない。本発明の趣旨及び原理を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び変更を行ってもよく、これらの変形及び変更も本発明の範囲に属する。
【0124】
また、上述の実施例を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
生体検出方法であって、
第1所定時間範囲内のマイクロ波レーダの反射信号に基づいて、前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号を取得するステップと、
前記第1所定時間範囲内の距離FFT信号に基づいて、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅分布及び/又は位相分布を取得し、各距離の前記第1所定時間範囲内の振幅変動を計算するステップと、
前記振幅分布及び/又は位相分布に対してフーリエ変換を行い、振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルを取得するステップと、
前記振幅変動の大きさに応じて、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに前記振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、を含む、方法。
(付記2)
前記振幅変動の大きさに応じて、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに前記振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定し、或いは、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、
前記振幅変動が第1閾値よりも大きい場合、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに前記振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、
前記振幅変動が前記第1閾値以下である場合、前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップと、を含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトル、並びに前記振幅変動に基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップ、を含み、
前記振幅スペクトル及び/又は位相スペクトルに基づいて各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップ、を含む、付記2に記載の方法。
(付記4)
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布、並びに各距離の振幅変動に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算するステップと、
距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ、該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、前記距離に生体が存在すると決定するステップと、を含む、付記3に記載の方法。
(付記5)
前記距離を中心とする局所範囲内において、前記距離の振幅変動が局所最大値であり、且つ前記局所範囲内の全ての距離の振幅変動が何れも第1閾値よりも大きく、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、前記距離に生体が存在すると決定する、付記4に記載の方法。
(付記6)
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離に生体が存在するか否かを決定するステップは、
各距離の振幅スペクトルの周波数における第1分布及び/又は位相スペクトルの周波数における第2分布に基づいて、各距離の振幅低周波エネルギー比及び/又は位相低周波エネルギー比を計算するステップと、
該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きいこと、及び該距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きいことのうち少なくとも1つの条件を満たす場合、前記距離に生体が存在すると決定するステップと、を含む、付記3に記載の方法。
(付記7)
前記距離を中心とする局所範囲内において、前記距離の振幅低周波エネルギー比が局所最大値であり、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の振幅低周波エネルギー比が何れも第2閾値よりも大きく、且つ前記距離を中心とする局所範囲内の全ての距離の位相低周波エネルギー比が何れも第3閾値よりも大きい場合、前記距離に生体が存在すると決定する、付記6に記載の方法。